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介護保険法施行規則第140条の63の6第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準について
老認発0315第4号
介護保険法施行規則第140条の63の6第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準について
老認発0315第4号
介護保険法施行規則第140条の63の6第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準について (老認発0315第4号)
発出日:令和6年3月15日
更新日:令和6年3月15日
更新日:令和6年3月15日
老認発0315第4号
令和6年3月15日
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各都道府県・市町村介護保険主管部(局)長 殿
厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課長
( 公 印 省 略 )
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介護保険法施行規則第140条の63の6第1号に規定する
厚生労働大臣が定める基準について
介護保険法施行規則第140条の63の6第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準の全部を改正する件(令和6年厚生労働省告示第84号。以下「基準告示」という。)が令和6年3月15日に公布され、同年4月1日より適用されるところであるが、基準の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、御了知の上、管内の市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
なお、本通知は、令和6年4月1日から適用することとし、「介護保険法施行規則第140条の63の6第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準について」(令和3年3月19日老認発0319第2号厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課長通知)は同年3月31日をもって廃止する。
記
第1 基準告示の性格
1 基準告示は、指定相当第一号事業がその目的を達成するために必要な最低限度の基準を定めたものであり、指定相当第一号事業実施者は、常にその事業の運営の向上に努めなければならないこと。
2 指定相当第一号事業を行う者又は行おうとする者が満たすべき基準等を満たさない場合には、指定相当第一号事業の指定又は更新は受けられず、また、運営開始後、基準に違反することが明らかになった場合には、①相当の期間を定めて基準を遵守するよう勧告を行い、②相当の期間内に勧告に従わなかったときは、事業者名、勧告に至った経緯、当該勧告に対する対応等を公表し、③正当な理由が無く、当該勧告に係る措置を採らなかったときは、相当の期限を定めて当該勧告に係る措置を採るよう命令することができるものであること。また、③の命令をした場合には事業者名、命令に至った経緯等を公示しなければならない。なお、③の命令に従わない場合には、当該指定を取り消すこと、又は取消しを行う前に相当の期間を定めて指定の全部若しくは一部の効力を停止すること(不適正なサービスが行われていることが判明した場合、当該サービスに関する第一号事業支給費の請求を停止させること)ができる。ただし、次に掲げる場合には、基準に従った適正な運営ができなくなったものとして、直ちに指定を取り消すこと又は指定の全部若しくは一部の効力を停止することができるものであること。
① 次に掲げるときその他の事業者が自己の利益を図るために基準に違反したとき
イ 指定相当第一号事業の提供に際して利用者が負担すべき額の支払を適正に受けなかったとき
ロ 介護予防支援事業者及び第一号介護予防支援事業の実施者(以下「介護予防支援事業者等」という。)又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの代償として、金品その他の財産上の利益を供与したとき
② 利用者の生命又は身体の安全に危害を及ぼすおそれがあるとき
③ その他①及び②に準ずる重大かつ明白な基準違反があったとき
3 運営に関する基準及び介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準に従って事業の運営をすることができなくなったことを理由として指定が取り消され、再度当該事業者から当該事業所について指定の申請がなされた場合には、当該事業者が運営に関する基準及び介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が十分に確認されない限り指定を行わないものとすること。
4 指定相当第一号事業は、基準に合致することを前提に自由に事業への参入を認めていること等にかんがみ、基準違反に対しては、厳正に対応すべきであること。
第2 総論
1 事業者指定の単位について
事業者の指定は、原則としてサービス提供の拠点ごとに行うものとするが、地域の実情等を踏まえ、サービス提供体制の面的な整備、効率的な事業実施の観点から本体の事業所とは別にサービス提供等を行う出張所等であって、次の要件を満たすものについては、一体的なサービス提供の単位として「事業所」に含めて指定することができる取扱いとする。なお、この取扱いについては、同一法人にのみ認められる。
① 利用申込みに係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。
② 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。必要な場合に随時、主たる事業所や他の出張所等との間で相互支援が行える体制(例えば、当該出張所等の従業者が急病等でサービスの提供ができなくなった場合に、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。
③ 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。
④ 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められること。
⑤ 人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。
2 用語の定義
基準告示第1条において、一定の用語についてその定義を明らかにしているところであるが、以下は、同条に定義が置かれている用語について、その意味をより明確なものとするとともに、基準告示中に用いられている用語であって、定義規定が置かれていないものの意味を明らかにするものである。
⑴ 「常勤換算方法」
当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該事業所が指定相当訪問型サービスと介護予防訪問看護の指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護師等を兼務する場合、訪問介護員等の勤務延時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなるものであること。
ただし、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第13条第1項に規定する措置(以下「母性健康管理措置」という。)又は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)第23条第1項、同条第3項又は同法第24条に規定する所定労働時間の短縮等の措置若しくは厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に沿って事業者が自主的に設ける所定労働時間の短縮措置(以下「育児、介護及び治療のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)が講じられている場合、30時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として取り扱うことを可能とする。
⑵ 「勤務延時間数」
勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。
⑶ 「常勤」
当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。ただし、母性健康管理措置又は育児、介護及び治療のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられている者については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことを可能とする。
同一の事業者によって事業所に併設される事業所(同一敷地内に所在する又は道路を隔てて隣接する事業所をいう。ただし、管理上支障がない場合は、その他の事業所を含む。)の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、一の事業者によって行われる指定相当訪問型サービス事業所と指定介護予防支援事業所が併設されている場合、指定相当訪問型サービス事業所の管理者と指定介護予防支援事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。
また、人員基準において常勤要件が設けられている場合、従事者が労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条に規定する休業(以下「産前産後休業」という。)、母性健康管理措置、育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業(以下「育児休業」という。)、同条第2号に規定する介護休業(以下「介護休業」という。)、同法第23条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置又は同法第24条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定により同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業(以下「育児休業に準ずる休業」という。)を取得中の期間において、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤の従業者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことが可能であることとする。
⑷ 「専ら従事する」「専ら提供に当たる」
原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従業者の当該事業所における勤務時間(指定相当通所型サービスについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。ただし、指定相当通所型サービスについては、あらかじめ計画された勤務表に従って、サービス提供時間帯の途中で同一職種の従業者と交代する場合には、それぞれのサービス提供時間を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをもって足りるものである。
3 指定居宅サービス等と指定相当第一号事業として行うサービス等の一体的運営等について
指定居宅サービス等(介護保険法(平成9年法律第123号)第41条第1項に定める指定居宅サービス又は第42条の2第1項に定める指定地域密着型サービスをいう。)又は基準該当居宅サービスに該当する各事業を行う者が、指定相当第一号事業実施者又は基準該当相当第一号事業の指定を併せて受け、かつ、指定居宅サービス等又は基準該当居宅サービスの各事業と指定相当第一号事業又は基準該当相当第一号事業(以下「指定相当第一号事業等」という。)とが同じ事業所で一体的に運営されている場合については、指定相当第一号事業等における基準を満たすことによって、基準を満たしているとみなすことができる等の取扱いを行うことができることとされたが、その意義は次のとおりである。
例えば、指定訪問介護においても、指定相当訪問型サービスにおいても訪問介護員等を常勤換算方法で2.5人以上配置しなければならないとされているが、同じ事業所で一体的に運営している場合には、合わせて常勤換算方法で5人以上を置かなければならないという趣旨ではなく、常勤換算方法で2.5人以上配置していることで、指定訪問介護及び指定訪問型サービスの双方の基準を満たすこととするという趣旨である。
設備及び備品についても同様であり、例えば、利用定員30人の指定通所介護事業所においては、機能訓練室の広さは30人×3㎡=90㎡を確保する必要があるが、この30人に指定相当通所型サービスの利用定員も含めて通算することにより、要介護者15人、要支援者等15人であっても、あるいは要介護者20人、要支援者等10人の場合であっても、合計で90㎡が確保されていれば、基準を満たすこととするという趣旨である。
なお、居宅サービス等と指定相当第一号事業として行うサービスを同一の拠点において運営している場合であっても、完全に体制を分離して行われており一体的に運営されているとは評価されない場合にあっては、人員についても設備及び備品についてもそれぞれが独立して基準を満たす必要があるので留意されたい。
また、例えば、指定居宅サービスと介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号、以下「施行規則」という。)第140条の63の6第2号に規定する基準(以下「緩和した基準」という。)に従って行う第一号事業を同一の事業所で実施する場合は、一体的な運営に関するこの取扱いによることはできず、市町村が、指定訪問型サービスに係る緩和した基準としてサービス提供責任者を必要数置くと定めている場合、指定訪問介護事業所のサービス提供責任者として指定訪問介護の利用者数に応じた員数の者を配置するとともに、緩和した基準により実施する訪問型サービス事業所のサービス提供責任者として必要数を配置することとなること。
第3 指定相当第一号事業として行うサービス
1 指定相当第一号事業として行うサービスに関する基準について
指定相当第一号事業として行うサービスに関する基準については、基準告示において定められているところであるが、このうち、第2章第5節及び第4章第5節に記載する「介護予防のための効果的な支援のための基準」については、指定相当第一号事業として行うサービスの提供に当たっての基本的な指針となるべき基準である(基準の性格等については、第1及び第2を参照されたい。)。指定相当第一号事業の運営に当たっては、当該基準に従った適正な運営を図られたい。
なお、人員、設備及び運営に関する基準については、2に記載する事項を除き、その取扱いについては、基本的には、「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)第3の訪問介護及び通所介護に係る取扱いと同様であるので、同通知の該当部分を参照されたい。
2 居宅サービスとの相違点
利用料の受領(基準告示第51条第3項)について、通所介護では、利用料以外に「その他の費用の額」として「指定通所介護に通常要する時間を超える指定通所介護であって利用者の選定に係るものの提供に伴い必要となる費用の範囲内において、通常の指定通所介護に係る居宅介護サービス費用基準額を超える費用」を利用者から受け取ることができるが、指定相当通所型サービスでは、受け取ることができないので留意すること。なお、基準該当相当通所型サービスにおいても同趣旨であること。
3 介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準
1 指定相当訪問型サービス
⑴ 指定相当訪問型サービスの基本取扱方針
基準告示第39条にいう指定相当訪問型サービスの基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 指定相当訪問型サービスの提供に当たっては、介護予防とは、単に高齢者の運動機能や栄養改善といった特定の機能の改善だけを目指すものではなく、これらの心身機能の改善や環境調整等を通じて、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならずに自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
② 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
③ サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
④ 提供された指定相当訪問型サービスについては、訪問型サービス計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
⑵ 指定相当訪問型サービスの具体的取扱方針
① 基準告示第40条第1号及び第2号は、指定相当訪問型サービスの提供に当たっては、適切な方法により、利用者の日常生活全般の状況の的確な把握を行う必要があり、サービス提供責任者は、把握した利用者の日常生活全般の状況や利用者の希望を踏まえて訪問型サービス計画を作成しなければならないこととしたものである。訪問型サービス計画の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、指定相当訪問型サービスの提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、担当する訪問介護員等が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、訪問型サービス計画の様式については、事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 同条第3号は、訪問型サービス計画は、既に介護予防サービス計画(施行規則第83条の9第1号ハ及びニに規定する計画(第一号介護予防支援事業による支援により作成される計画を含む。)を含む。以下同じ。)が作成されている場合は、当該計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、訪問型サービス計画の作成後に介護予防サービス計画が作成された場合は、当該訪問型サービス計画について、介護予防サービス計画の内容に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 同条第4号から第7号までは、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、訪問型サービス計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。サービス提供責任者は、訪問型サービス計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
また、訪問型サービス計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならず、当該訪問型サービス計画は、基準告示第38条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならないこととしている。
④ 同条第8号及び第9号は、指定相当訪問型サービスの提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、基準告示第38条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
⑤ 同条第10号は、指定相当訪問型サービスの提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであることとしたものである。
⑤ 同条第11号から第13号までは、事業者に対して指定相当訪問型サービスの提供状況等について介護予防支援事業者等に対する報告の義務づけを行うとともに、訪問型サービス計画に定める計画期間終了後の当該計画の実施状況の把握(モニタリング)を義務づけるものである。介護予防支援事業者等に対する実施状況等の報告については、サービスが介護予防サービス計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該計画策定時から利用者の状態等が大きく異なることとなっていないか等を確認するために行うものであり、毎月行うこととしている。
また、併せて、事業者は訪問型サービス計画に定める計画期間が終了するまでに1回はモニタリングを行い、利用者の訪問型サービス計画に定める目標の達成状況の把握等を行うこととしており、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められる場合等については、担当する介護予防支援事業者等とも相談の上、必要に応じて当該訪問型サービス計画の変更を行うこととしたものである。
2 指定相当通所型サービス
⑴ 指定相当通所型サービスの基本取扱方針
基準告示第62条にいう指定相当通所型サービスの基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 指定相当通所型サービスの提供に当たっては、介護予防とは、単に高齢者の運動機能や栄養改善といった特定の機能の改善だけを目指すものではなく、これらの心身機能の改善や環境調整等を通じて、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
② 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
③ サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
④ 提供された指定相当通所型サービスについては、通所型サービス計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
⑵ 指定相当通所型サービスの具体的取扱方針
① 基準告示第63条第1号及び第2号は、指定相当通所型サービスの提供に当たっては、適切な方法により、利用者の日常生活全般の状況の的確な把握を行う必要があり、管理者は、把握した利用者の日常生活全般の状況や利用者の希望を踏まえて通所型サービス計画を作成しなければならないこととしたものである。通所型サービス計画の作成に当たっては、主治医又は主治の歯科医師からの情報伝達やサービス担当者会議を通じる等の適切な方法により、利用者の状況を把握・分析し、指定相当通所型サービスの提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、通所型サービス計画の様式については、事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 同条第3号は、通所型サービス計画は、既に介護予防サービス計画が作成されている場合には、当該計画の内容に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、通所型サービス計画の作成後に介護予防サービス計画が作成された場合は、当該通所型サービス計画について、介護予防サービス計画の内容に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 同条第4号から第7号までは、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、通所型サービス計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。管理者は、通所型サービス計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
また、通所型サービス計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならず、当該通所型サービス計画は、基準告示第60条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならないこととしている。
④ 同条第8号及び第9号は、指定相当通所型サービスの提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、基準告示第60条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
⑤ 同条第10号は、指定相当通所型サービスの提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであることとしたものである。
⑥ 同条第11号から第13号は、事業者に対して指定相当通所型サービスの提供状況等について介護予防支援事業者等に対する報告の義務づけを行うとともに、通所型サービス計画に定める計画期間終了後の当該計画の実施状況の把握(モニタリング)を義務づけるものである。介護予防支援事業者等に対する実施状況等の報告については、サービスが介護予防サービス計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該計画策定時から利用者の状態等が大きく異なることとなっていないか等を確認するために行うものであり、毎月行うこととしている。
また、併せて、事業者は通所型サービス計画に定める計画期間が終了するまでに1回はモニタリングを行い、利用者の通所型サービス計画に定める目標の達成状況の把握等を行うこととしており、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められる場合等については、担当する介護予防支援事業者等とも相談の上、必要に応じて当該通所型サービス計画の変更を行うこととしたものである。
第4 雑則
1 電磁的記録について
基準告示第70条第1項は、第一号事業実施者並びに指定相当第一号事業及び基準該当相当第一号事業として行うサービスの提供に当たる者等(以下「実施者等」という。)の書面の保存等に係る負担の軽減を図るため、実施者等は、この告示で規定する書面(被保険者証に関するものを除く。)の作成、保存等を次に掲げる電磁的記録により行うことができることとしたものである。
⑴ 電磁的記録による作成は、実施者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法又は磁気ディスク等をもって調製する方法によること。
⑵ 電磁的記録による保存は、以下のいずれかの方法によること。
① 作成された電磁的記録を実施者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
② 書面に記載されている事項をスキャナ等により読み取ってできた電磁的記録を実施者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
⑶ その他、基準告示第70条第1項において電磁的記録により行うことができるとされているものは、⑴及び⑵に準じた方法によること。
⑷ また、電磁的記録により行う場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」及び厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
2 電磁的方法について
基準告示第70条第2項は、利用者及びその家族等(以下「利用者等」という。)の利便性向上並びに実施者等の業務負担軽減等の観点から、実施者等は、書面で行うことが規定されている又は想定される交付等(交付、説明、同意、承諾、締結その他これに類するものをいう。)について、事前に利用者等の承諾を得た上で、次に掲げる電磁的方法によることができることとしたものである。
⑴ 電磁的方法による交付は、基準告示第7条第2項から第6項までの規定に準じた方法によること。
⑵ 電磁的方法による同意は、例えば電子メールにより利用者等が同意の意思表示をした場合等が考えられること。なお、「押印についてのQ&A(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にすること。
⑶ 電磁的方法による締結は、利用者等・実施者等の間の契約関係を明確にする観点から、書面における署名又は記名・押印に代えて、電子署名を活用することが望ましいこと。なお、「押印についてのQ&A(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にすること。
⑷ その他、基準告示第70条第2項において電磁的方法によることができるとされているものは、⑴から⑶までに準じた方法によること。ただし、基準告示又はこの通知の規定により電磁的方法の定めがあるものについては、当該定めに従うこと。
⑸ また、電磁的方法による場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」及び厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。