7 Point 1.リスクマネジメント強化に向けた考え方と組織文化の醸成 Ⅰ.リスクマネジメント強化に向けた考え方 生活の場としての介護施設等 介護施設等は、あくまで生活の場です。生活の場では事故が起きうること を、本人・家族に事前に説明することが重要です。 介護施設等はあくまで生活の場であり 、事故は起きうる 特別養護老人ホームをはじめとする介護施設等は、あくまで生活の場です。事故を防ぐためといっ て、日常の行動を制限することは、高齢者の自立を支えることにつながりません。 多くの高齢者は身体機能や認知機能が低下しているため、自宅でも転倒などのリスクが高くなりま す。そのため、高齢者の生活の場である介護施設等における生活の場面で、事故が起こりうること を認識する必要があります。 特に転倒に関しては、予防策の有無に関わらず個人のリスクに応じて一定の頻度で発生するもの と考えられています。一般社団法人日本老年医学会と公益社団法人全国老人保健施設協会 が2021年に発表した「介護施設内での転倒に関するステートメント」でも、転倒すべてが過失によ る事故ではないということが明言されています。 本人 ・家族との認識共有の重要性 このように、生活の場である介護施設等では、個別の対策を講じたとしても事故が起こる可能性が 低くありません。重要なのは、介護施設等では事故が起きうるという事実を、高齢者本人や家族 に伝え、認識を共有することです。そのためには、あらかじめその人が持つリスクを予見し必要な対 策を講じ、それについて利用者・家族に対して十分な説明を行うことが必要です。 なお、認知症などで適切な理解・判断が困難な利用者に対しては、説明しても分からないから何 も説明しないのではなく、ケアの専門家として、その方の権利や尊厳が尊重されるよう十分に配慮 することが必要です。 高齢者住まいにおけるリスクマネジメントのあり方 高齢者住まいにおける対応方針 サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームのような高齢者住まいは、一般的な不動産賃 貸に近い位置づけとなっています。そのため、利用者のリスク管理について、介護施設等に比べ責 任の線引きが難しくなっています。 発生した事故に関する事業所としての対応方針についてあらかじめ検討しておき、契約時等に利 用者や家族に対して説明する必要があります。 高齢者本人や家族に対する説明 例えば、経管栄養を行っている利用者に対し、施設として経口摂取を再度試みるという方針を決 定した場合、そのことを本人・家族に説明しましょう。その際には、経口摂取を行うと誤嚥が発生する 可能性があること、さらには肺炎などにつながるリスクもあることを事前に十分説明する必要があります。