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指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について
老企第25号
指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について
老企第25号
指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について (老企第25号)
発出日:平成11年9月17日
更新日:令和6年3月15日
更新日:令和6年3月15日
○指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について
(平成11年9月17日)
(老企第25号)
(厚生省老人保健福祉局企画課長通知)
介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第42条第1項第2号並びに第74条第1項及び第2項の規定に基づく「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(以下「居宅基準」という。)については、平成11年3月31日厚生省令第37号をもって公布され、平成12年4月1日より施行されるところであるが、基準の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、御了知の上、管下市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
第一 基準の性格
1 基準は、指定居宅サービスの事業がその目的を達成するために必要な最低限度の基準を定めたものであり、指定居宅サービス事業者は、常にその事業の運営の向上に努めなければならないこと。
2 指定居宅サービスの事業を行う者又は行おうとする者が満たすべき基準等を満たさない場合には、指定居宅サービスの指定又は更新は受けられず、また、運営開始後、基準に違反することが明らかになった場合には、①相当の期間を定めて基準を遵守するよう勧告を行い、②相当の期間内に勧告に従わなかったときは、事業者名、勧告に至った経緯、当該勧告に対する対応等を公表し、③正当な理由が無く、当該勧告に係る措置を採らなかったときは、相当の期限を定めて当該勧告に係る措置を採るよう命令することができるものであること。また、③の命令をした場合には事業者名、命令に至った経緯等を公示しなければならない。なお、③の命令に従わない場合には、当該指定を取り消すこと、又は取消しを行う前に相当の期間を定めて指定の全部若しくは一部の効力を停止すること(不適正なサービスが行われていることが判明した場合、当該サービスに関する介護報酬の請求を停止させること)ができる。ただし、次に掲げる場合には、基準に従った適正な運営ができなくなったものとして、直ちに指定を取り消すこと又は指定の全部若しくは一部の効力を停止することができるものであること。
① 次に掲げるときその他の事業者が自己の利益を図るために基準に違反したとき
イ 指定居宅サービスの提供に際して利用者が負担すべき額の支払を適正に受けなかったとき
ロ 居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの代償として、金品その他の財産上の利益を供与したとき
② 利用者の生命又は身体の安全に危害を及ぼすおそれがあるとき
③ その他①及び②に準ずる重大かつ明白な基準違反があったとき
3 運営に関する基準及び介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準に従って事業の運営をすることができなくなったことを理由として指定が取り消され、法に定める期間の経過後に再度当該事業者から当該事業所について指定の申請がなされた場合には、当該事業者が運営に関する基準及び介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が十分に確認されない限り指定を行わないものとすること。
4 特に、居宅サービスの事業の多くの分野においては、基準に合致することを前提に自由に事業への参入を認めていること等にかんがみ、基準違反に対しては、厳正に対応すべきであること。
第二 総論
1 事業者指定の単位について
事業者の指定は、原則としてサービス提供の拠点ごとに行うものとするが、地域の実情等を踏まえ、サービス提供体制の面的な整備、効率的な事業実施の観点から本体の事業所とは別にサービス提供等を行う出張所等であって、次の要件を満たすものについては、一体的なサービス提供の単位として「事業所」に含めて指定することができる取扱いとする。なお、この取扱いについては、同一法人にのみ認められる。
① 利用申込みに係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。
② 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。必要な場合に随時、主たる事業所や他の出張所等との間で相互支援が行える体制(例えば、当該出張所等の従業者が急病等でサービスの提供ができなくなった場合に、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。
③ 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。
④ 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められること。
⑤ 人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。
なお、サテライト型指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の本体事業所が訪問看護事業所として指定を受けている場合であって、当該サテライト指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が指定訪問看護を行うものとして①〜⑤を満たす場合には、本体事業所の指定訪問看護事業所に含めて指定できるものであること。
2 用語の定義
基準第2条において、一定の用語についてその定義を明らかにしているところであるが、以下は、同条に定義が置かれている用語について、その意味をより明確なものとするとともに、基準中に用いられている用語であって、定義規定が置かれていないものの意味を明らかにするものである。
(1) 「常勤換算方法」
当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該事業所が訪問介護と訪問看護の指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護師等を兼務する場合、訪問介護員等の勤務延時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなるものであること。
ただし、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第13条第1項に規定する措置(以下「母性健康管理措置」という。)又は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)第23条第1項、同条第3項又は同法第24条に規定する所定労働時間の短縮等の措置若しくは厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に沿って事業者が自主的に設ける所定労働時間の短縮措置(以下「育児、介護及び治療のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)が講じられている場合、30時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として取り扱うことを可能とする。
(2) 「勤務延時間数」
勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者一人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。
(3) 「常勤」
当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。ただし、母性健康管理措置又は育児、介護及び治療のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられている者については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことを可能とする。
同一の事業者によって事業所に併設される事業所(同一敷地内に所在する又は道路を隔てて隣接する事業所をいう。ただし、管理上支障がない場合は、その他の事業所を含む。)の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、1の事業者によって行われる指定訪問介護事業所と指定居宅介護支援事業所が併設されている場合、指定訪問介護事業所の管理者と指定居宅介護支援事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。
また、人員基準において常勤要件が設けられている場合、従事者が労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条に規定する休業(以下「産前産後休業」という。)、母性健康管理措置、育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業(以下「育児休業」という。)、同条第2号に規定する介護休業(以下「介護休業」という。)、同法第23条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置又は同法第24条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定により同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業(以下「育児休業に準ずる休業」という。)を取得中の期間において、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤の従業者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことが可能であることとする。
(4) 「専ら従事する」「専ら提供に当たる」
原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従業者の当該事業所における勤務時間(指定通所介護及び指定通所リハビリテーションについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。ただし、指定通所介護及び指定通所リハビリテーションについては、あらかじめ計画された勤務表に従って、サービス提供時間帯の途中で同一職種の従業者と交代する場合には、それぞれのサービス提供時間を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをもって足りるものである。
また、指定通所リハビリテーション(1時間以上2時間未満に限る。)又は指定介護予防通所リハビリテーションが、保険医療機関において医療保険の脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料のいずれかを算定すべきリハビリテーションが同じ訓練室で実施されている場合に限り、専ら当該指定通所リハビリテーション又は指定介護予防通所リハビリテーションの提供に当たる理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、医療保険の脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料のいずれかを算定すべきリハビリテーションに従事して差し支えない。ただし、当該従事者が指定通所リハビリテーション又は指定介護予防通所リハビリテーションに従事していない時間帯については、基準第111条第1項第2号又は第2項の従事者の員数及び厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)の第24号の3の従業者の合計数に含めない。
(5) 「前年度の平均値」
① 基準第121条第3項(指定短期入所生活介護に係る生活相談員、介護職員又は看護職員の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)及び第175条第3項(指定特定施設における生活相談員、看護職員若しくは介護職員の人員並びに計画作成担当者の人員の標準を算定する場合の利用者の数の算定方法)における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる年度とする。以下同じ。)の平均を用いる。この場合、利用者数等の平均は、前年度の全利用者等の延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この平均利用者数等の算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。
② 新たに事業を開始し、若しくは再開し、又は増床した事業者又は施設においては、新設又は増床分のベッドに関しては、前年度において1年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合を含む。)の利用者数等は、新設又は増床の時点から6月未満の間は、便宜上、ベッド数の90%を利用者数等とし、新設又は増床の時点から6月以上1年未満の間は、直近の6月における全利用者等の延数を6月間の日数で除して得た数とし、新設又は増床の時点から1年以上経過している場合は、直近1年間における全利用者等の延数を1年間の日数で除して得た数とする。また、減床の場合には、減床後の実績が3月以上あるときは、減床後の利用者数等の延数を延日数で除して得た数とする。ただし、短期入所生活介護及び特定施設入居者生活介護については、これらにより難い合理的な理由がある場合には、他の適切な方法により利用者数を推定するものとする。
3 指定居宅サービスと指定介護予防サービス等の一体的運営等について
指定居宅サービス又は基準該当居宅サービスに該当する各事業を行う者が、指定介護予防サービス等又は基準該当介護予防サービス等に該当する各事業者の指定を併せて受け、かつ、指定居宅サービス又は基準該当居宅サービスの各事業と指定介護予防サービス等又は基準該当介護予防サービス等の各事業とが同じ事業所で一体的に運営されている場合については、介護予防における各基準を満たすことによって、基準を満たしているとみなすことができる等の取扱いを行うことができることとされたが、その意義は次のとおりである。
例えば、訪問介護においては、指定居宅サービスにおいても、第一号訪問事業(指定介護予防訪問介護に相当するものとして市町村が定めるものに限る。以下同じ。)においても、訪問介護員等を常勤換算方法で2.5人以上配置しなければならないとされているが、同じ事業所で一体的に運営している場合には、合わせて常勤換算方法で5人以上を置かなければならないという趣旨ではなく、常勤換算方法で2.5人以上配置していることで、指定居宅サービスに該当する訪問介護も、第一号訪問事業も、双方の基準を満たすこととするという趣旨である。
設備、備品についても同様であり、例えば、定員30人の指定通所介護事業所においては、機能訓練室の広さは30人×3㎡=90㎡を確保する必要があるが、この30人に第一号通所事業(指定介護予防通所介護に相当するものとして市町村が定めるものに限る。以下同じ。)の利用者も含めて通算することにより、要介護者15人、要支援者15人であっても、あるいは要介護者20人、要支援者10人の場合であっても、合計で90㎡が確保されていれば、基準を満たすこととするという趣旨である。
要するに、人員についても、設備、備品についても、同一の事業所で一体的に運営する場合にあっては、例えば、従前から、指定居宅サービス事業を行っている者が、従来通りの体制を確保していれば、指定介護予防サービス等の基準も同時に満たしていると見なすことができるという趣旨である。
なお、居宅サービスと介護予防サービスを同一の拠点において運営されている場合であっても、完全に体制を分離して行われており一体的に運営されているとは評価されない場合にあっては、人員についても設備、備品についてもそれぞれが独立して基準を満たす必要があるので留意されたい。
また、例えば、指定居宅サービスと緩和した基準による第一号訪問事業等を一体的に運営する場合には、緩和した基準による第一号訪問事業等については、市町村がサービス内容等に応じて基準を定められるが、例えば、サービス提供責任者であれば、要介護者数で介護給付の基準を満たす必要があるので留意されたい。
第三 介護サービス
一 訪問介護
1 人員に関する基準
(1) 訪問介護員等の員数(居宅基準第5条第1項)
① 指定訪問介護事業所における訪問介護員等の員数については、常勤換算方法で2.5人以上と定められたが、これについては、職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものであり、各地域におけるサービス利用の状況や利用者数及び指定訪問介護の事業の業務量を考慮し、適切な員数の職員を確保するものとする。
② 勤務日及び勤務時間が不定期な訪問介護員等(以下「登録訪問介護員等」という。)についての勤務延時間数の算定については、次のとおりの取扱いとする。
イ 登録訪問介護員等によるサービス提供の実績がある事業所については、登録訪問介護員等1人当たりの勤務時間数は、当該事業所の登録訪問介護員等の前年度の週当たりの平均稼働時間(サービス提供時間及び移動時間をいう。)とすること。
ロ 登録訪問介護員等によるサービス提供の実績がない事業所又は極めて短期の実績しかない等のためイの方法によって勤務延時間数の算定を行うことが適当でないと認められる事業所については、当該登録訪問介護員等が確実に稼働できるものとして勤務表に明記されている時間のみを勤務延時間数に算入すること。なお、この場合においても、勤務表上の勤務時間数は、サービス提供の実績に即したものでなければならないため、勤務表上の勤務時間と実態が乖離していると認められる場合には、勤務表上の勤務時間の適正化の指導の対象となるものであること。
③ 出張所等があるときは、常勤換算を行う際の事業所の訪問介護員等の勤務延時間数には、出張所等における勤務延時間数も含めるものとする。
(2) サービス提供責任者(居宅基準第5条)
① 利用者の数が40人又はその端数を増すごとに1人以上の者をサービス提供責任者としなければならないこととされたが、その具体的取扱は次のとおりとする。なお、これについては、指定訪問介護事業所ごとに最小限必要な員数として定められたものであり、1人のサービス提供責任者が担当する利用者の数の上限を定めたものではないことに留意するとともに、業務の実態に応じて必要な員数を配置するものとする。
イ 管理者がサービス提供責任者を兼務することは差し支えないこと。
ロ 利用者の数については、前3月の平均値を用いる。この場合、前3月の平均値は、暦月ごとの実利用者の数を合算し、3で除して得た数とする。なお、新たに事業を開始し、又は再開した事業所においては、適切な方法により利用者の数を推定するものとする。
ハ 当該指定訪問介護事業所が提供する指定訪問介護のうち、通院等乗降介助に該当するもののみを利用した者の当該月における利用者の数については、0.1人として計算すること。
② 利用者の数に応じて常勤換算方法によることができることとされたが、その具体的取扱は次のとおりとする。なお、サービス提供責任者として配置することができる非常勤職員については、当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の訪問介護員等が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)の2分の1以上に達している者でなければならない。
イ 利用者の数が40人を超える事業所については、常勤換算方法とすることができる。この場合において、配置すべきサービス提供責任者の員数は、利用者の数を40で除して得られた数(小数第1位に切り上げた数)以上とする。
ロ イに基づき、常勤換算方法とする事業所については、以下に掲げる員数以上の常勤のサービス提供責任者を配置するものとする。
a 利用者の数が40人超200人以下の事業所
常勤換算方法としない場合に必要となるサービス提供責任者の員数から1を減じて得られる数以上
b 利用者の数が200人超の事業所
常勤換算方法としない場合に必要となるサービス提供責任者の員数に2を乗じて3で除して得られた数(一の位に切り上げた数)以上
従って、具体例を示すと別表一に示す常勤換算方法を採用する事業所で必要となる常勤のサービス提供責任者数以上の常勤のサービス提供責任者を配置するものとする。
③ 居宅基準第5条第5項は、常勤のサービス提供責任者を3人以上配置し、かつ、サービス提供責任者の業務に主として従事する者を1人以上配置している指定訪問介護事業所であって、当該事業所のサービス提供責任者が行う業務が効率的に行われていることにより、サービス提供責任者が担当する利用者を増すことに支障がないと認められる事業所に置くべきサービス提供責任者の員数について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。
イ 「サービス提供責任者の業務に主として従事する者」とは、サービス提供責任者である者が当該事業所の訪問介護員として行ったサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く。)が、1月あたり30時間以内であること。
ロ 「サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われている」場合とは、居宅基準においてサービス提供責任者が行う業務として規定されているものについて、省力化・効率化が図られていることが必要であり、例えば、以下のような取組が行われていることをいうものである。
・訪問介護員の勤務調整(シフト管理)について、業務支援ソフトなどの活用により、迅速な調整を可能としていること
・利用者情報(訪問介護計画やサービス提供記録等)について、タブレット端末やネットワークシステム等のIT機器・技術の活用により、職員間で円滑に情報共有することを可能としていること
・利用者に対して複数のサービス提供責任者が共同して対応する体制(主担当や副担当を定めている等)を構築する等により、サービス提供責任者業務の中で生じる課題に対しチームとして対応することや、当該サービス提供責任者が不在時に別のサービス提供責任者が補完することを可能としていること
この場合において、常勤換算方法を採用する事業所で必要となるサービス提供責任者については、②の規定に関わらず、別表二に示すサービス提供責任者数を配置するものとする。
④ サービス提供責任者については、訪問介護員等のうち、介護福祉士又は厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者(平成24年厚生労働省告示第118号)各号に定める者であって、原則として常勤のものから選任するものとされたが、その具体的取扱は次のとおりとする。なお、1級課程については、看護師等の資格を有する者の場合、全科目を免除することが可能とされていたこと。
イ 専ら指定訪問介護の職務に従事する者であること。
ロ イにかかわらず、同一敷地内にある指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所又は指定夜間対応型訪問介護事業所の職務に従事することができること。この場合、それぞれの職務については、第1の2の(3)にいう、同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものであることから、当該者についてはそれぞれの事業所における常勤要件を満たすものであること。
(3) 管理者(居宅基準第6条)
指定訪問介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。なお、管理者は、訪問介護員等である必要はないものである。
① 当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等としての職務に従事する場合
② 同一の事業者によって設置された他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合であって、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する時間帯も、当該指定訪問介護事業所の利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握でき、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令に支障が生じないときに、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合(施設における勤務時間が極めて限られている場合を除く。)、事故発生時等の緊急時において管理者自身が速やかに当該指定訪問介護事業所又は利用者へのサービス提供の現場に駆け付けることができない体制となっている場合などは、管理業務に支障があると考えられる。)
2 設備に関する基準(居宅基準第7条)
(1) 指定訪問介護事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定訪問介護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。
(2) 事務室又は区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
(3) 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護に必要な設備及び備品等を確保するものとする。特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮すること。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問介護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
なお、事務室・区画、又は設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。
3 運営に関する基準
(1) 介護保険等関連情報の活用とPDCAサイクルの推進について
居宅基準第3条第4項は、指定居宅サービスの提供に当たっては、法第118条の2第1項に規定する介護保険等関連情報等を活用し、事業所単位でPDCAサイクルを構築・推進することにより、提供するサービスの質の向上に努めなければならないこととしたものである。
この場合において、「科学的介護情報システム(LIFE:Long-term care Information system For Evidence)」に情報を提出し、当該情報及びフィードバック情報を活用することが望ましい(この点については、以下の他のサービス種類についても同様とする。)。
(2) 内容及び手続の説明及び同意
居宅基準第8条は、指定訪問介護事業者は、利用者に対し適切な指定訪問介護を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、当該指定訪問介護事業所の運営規程の概要、訪問介護員等の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等(当該指定訪問介護事業者が、他の介護保険に関する事業を併せて実施している場合、当該パンフレット等について、一体的に作成することは差し支えないものとする。)の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定訪問介護の提供を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものである。なお、当該同意については、利用者及び指定訪問介護事業者双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。
(3) 提供拒否の禁止
居宅基準第9条は、指定訪問介護事業者は、原則として、利用申込に対しては応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。また、利用者が特定のサービス行為以外の訪問介護サービスの利用を希望することを理由にサービス提供を拒否することも禁止するものである(ただし、「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」(平成12年11月16日老振第76号)の1を除く。)。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、①当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合、②利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合、その他利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難な場合である。
(4) サービス提供困難時の対応
指定訪問介護事業者は、居宅基準第9条の正当な理由により、利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難であると認めた場合には、居宅基準第10条の規定により、当該利用申込者に係る居宅介護支援事業者への連絡、適当な他の指定訪問介護事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないものである。
(5) 受給資格等の確認
① 居宅基準第11条第1項は、指定訪問介護の利用に係る費用につき保険給付を受けることができるのは、要介護認定を受けている被保険者に限られるものであることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、利用者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無及び要介護認定の有効期間を確かめなければならないこととしたものである。
② 同条第2項は、利用者の被保険者証に、指定居宅サービスの適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項に係る認定審査会意見が記載されているときは、指定訪問介護事業者は、これに配慮して指定訪問介護を提供するように努めるべきことを規定したものである。
(6) 要介護認定の申請に係る援助
① 居宅基準第12条第1項は、要介護認定の申請がなされていれば、要介護認定の効力が申請時に遡ることにより、指定訪問介護の利用に係る費用が保険給付の対象となりうることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、利用申込者が要介護認定を受けていないことを確認した場合には、要介護認定の申請が既に行われているか否かを確認し、申請が行われていない場合は、当該利用申込者の意向を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
② 同条第2項は、要介護認定を継続し、継続して保険給付を受けるためには要介護更新認定を受ける必要があること及び当該認定が申請の日から30日以内に行われることとされていることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、居宅介護支援(これに相当するサービスを含む。)が利用者に対して行われていない等の場合であって必要と認めるときは、要介護認定の更新の申請が、遅くとも当該利用者が受けている要介護認定の有効期間が終了する30日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
(7) 法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
居宅基準第15条は、施行規則第64条第1号イ又はロに該当する利用者は、指定訪問介護の提供を法定代理受領サービスとして受けることができることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、施行規則第64条第1号イ又はロに該当しない利用申込者又はその家族に対し、指定訪問介護の提供を法定代理受領サービスとして受けるための要件の説明、居宅介護支援事業者に関する情報提供その他の法定代理受領サービスを行うために必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
(8) 居宅サービス計画等の変更の援助
居宅基準第17条は、指定訪問介護を法定代理受領サービスとして提供するためには当該指定訪問介護が居宅サービス計画(法第8条第21項に規定する居宅サービス計画をいう。以下同じ。)に位置付けられている必要があることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、利用者が居宅サービス計画の変更を希望する場合(利用者の状態の変化等により追加的なサービスが必要となり、当該サービスを法定代理受領サービスとして行う等のために居宅サービス計画の変更が必要となった場合で、指定訪問介護事業者からの当該変更の必要性の説明に対し利用者が同意する場合を含む。)は、当該利用者に係る居宅介護支援事業者への連絡、サービスを追加する場合に当該サービスを法定代理受領サービスとして利用する場合には支給限度額の範囲内で居宅サービス計画を変更する必要がある旨の説明その他の必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
(9) 身分を証する書類の携行
居宅基準第18条は、利用者が安心して指定訪問介護の提供を受けられるよう、指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないこととしたものである。この証書等には、当該指定訪問介護事業所の名称、当該訪問介護員等の氏名を記載するものとし、当該訪問介護員等の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。
(10) サービスの提供の記録
① 居宅基準第19条第1項は、利用者及びサービス事業者が、その時点での支給限度額の残額やサービスの利用状況を把握できるようにするために、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、当該指定訪問介護の提供日、内容(例えば、身体介護、生活援助、通院等のための乗車又は降車の介助の別)、保険給付の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画の書面又はサービス利用票等に記載しなければならないこととしたものである。
② 同条第2項は、当該指定訪問介護の提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録するとともに、サービス事業者間の密接な連携等を図るため、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならないこととしたものである。また、「その他適切な方法」とは、例えば、利用者の用意する手帳等に記載するなどの方法である。なお、提供した具体的なサービスの内容等の記録は、居宅基準第39条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
(11) 利用料等の受領
① 居宅基準第20条第1項は、指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスとして提供される指定訪問介護についての利用者負担として、居宅介護サービス費用基準額の1割又は2割(法第50条若しくは第60条又は第69条第3項の規定の適用により保険給付の率が9割又は8割でない場合については、それに応じた割合)の支払を受けなければならないことを規定したものである。
② 同条第2項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定訪問介護を提供した際に、その利用者から支払を受ける利用料の額と、法定代理受領サービスである指定訪問介護に係る費用の額の間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けてはならないこととしたものである。
なお、そもそも介護保険給付の対象となる指定訪問介護のサービスと明確に区分されるサービスについては、次のような方法により別の料金設定をして差し支えない。
イ 利用者に、当該事業が指定訪問介護の事業とは別事業であり、当該サービスが介護保険給付の対象とならないサービスであることを説明し、理解を得ること。
ロ 当該事業の目的、運営方針、利用料等が、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定められていること。
ハ 会計が指定訪問介護の事業の会計と区分されていること。
③ 同条第3項は、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供に関して、前2項の利用料のほかに、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問介護を行う場合の交通費(移動に要する実費)の支払を利用者から受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。
④ 同条第4項は、指定訪問介護事業者は、前項の交通費の支払を受けるに当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対してその額等に関して説明を行い、利用者の同意を得なければならないこととしたものである。
(12) 保険給付の請求のための証明書の交付
居宅基準第21条は、利用者が市町村に対する保険給付の請求を容易に行えるよう、指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスでない指定訪問介護に係る利用料の支払を受けた場合は、提供した指定訪問介護の内容、費用の額その他利用者が保険給付を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に対して交付しなければならないこととしたものである。
(13) 指定訪問介護の基本的取扱方針及び具体的取扱方針
① 提供された介護サービスについては、目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うとともに、訪問介護計画の修正を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
② 指定訪問介護の提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであること。
③ 指定訪問介護の提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第39条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
(14) 訪問介護計画の作成
① 居宅基準第24条第1項は、サービス提供責任者は、訪問介護計画を作成しなければならないこととしたものである。訪問介護計画の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、援助の方向性や目標を明確にし、担当する訪問介護員等の氏名、訪問介護員等が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、訪問介護計画の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 同条第2項は、訪問介護計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、訪問介護計画の作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該訪問介護計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 同条第3項は、訪問介護計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。したがって、サービス提供責任者は、訪問介護計画の目標や内容等については、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
④ 同条第4項は、訪問介護計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならないこととしたものである。
なお、訪問介護計画は、居宅基準第39条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
⑤ サービス提供責任者は、他の訪問介護員等の行うサービスが訪問介護計画に沿って実施されているかについて把握するとともに、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。
⑥ 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第12号において、「介護支援専門員は、居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等に対して、指定居宅サービス等基準において位置付けられている計画の提出を求めるものとする」と規定していることを踏まえ、居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定訪問介護事業者は、当該居宅サービス計画を作成している指定居宅介護支援事業者から訪問介護計画の提供の求めがあった際には、当該訪問介護計画を提供することに協力するよう努めるものとする。
(15) 利用者に関する市町村への通知
居宅基準第26条は、偽りその他不正な行為によって保険給付を受けた者及び自己の故意の犯罪行為又は重大な過失等により、要介護状態又はその原因となった事故を生じさせるなどした者については、市町村が、法第22条第1項に基づく既に支払った保険給付の徴収又は法第64条に基づく保険給付の制限を行うことができることに鑑み、指定訪問介護事業者が、その利用者に関し、保険給付の適正化の観点から市町村に通知しなければならない事由を列記したものである。
(16) 緊急時等の対応
居宅基準第27条は、訪問介護員等が現に指定訪問介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治の医師(以下「主治医」という。)への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。
(17) 管理者及びサービス提供責任者の責務
居宅基準第28条は、指定訪問介護事業所の管理者とサービス提供責任者の役割分担について規定したものであり、管理者の責務を、介護保険法の基本理念を踏まえた利用者本位のサービス提供を行うため、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、従業者及び業務の管理を一元的に行うとともに、当該指定訪問介護事業所の従業者に居宅基準第2章第4節(運営に関する基準)の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととし、サービス提供責任者は、指定訪問介護に関するサービス内容の管理について必要な業務等として、居宅基準第28条第3項各号に具体的に列記する業務を行うこととしたものである。この場合、複数のサービス提供責任者を配置する指定訪問介護事業所において、サービス提供責任者間での業務分担を行うことにより、指定訪問介護事業所として当該業務を適切に行うことができているときは、必ずしも1人のサービス提供責任者が当該業務の全てを行う必要はない。
また、同条第3項第2号の2において、サービス提供責任者は居宅介護支援事業者等に対して、指定訪問介護の提供に当たり把握した利用者の服薬状況や口腔機能等の利用者の心身の状態及び生活の状況に係る必要な情報の提供を行うこととされているが、情報の提供は、サービス担当者会議等を通じて行うことも差し支えない。必要な情報の内容については、
例えば、
・ 薬が大量に余っている又は複数回分の薬を1度に服用している
・ 薬の服用を拒絶している
・ 使いきらないうちに新たに薬が処方されている
・ 口臭や口腔内出血がある
・ 体重の増減が推測される見た目の変化がある
・ 食事量や食事回数に変化がある
・ 下痢や便秘が続いている
・ 皮膚が乾燥していたり湿疹等がある
・ リハビリテーションの提供が必要と思われる状態にあるにも関わらず提供されていない
等の利用者の心身又は生活状況に係る情報が考えられるが、居宅介護支援事業者等に対して情報提供する内容は、サービス提供責任者が適切に判断することとする。なお、必要な情報の提供については、あらかじめ、サービス担当者会議等で居宅介護支援事業者等と調整しておくことが望ましい。
なお、サービス提供責任者は、利用者に対して適切な訪問介護サービスを提供するために重要な役割を果たすことに鑑み、その業務を画一的に捉えるのではなく、訪問介護事業所の状況や実施体制に応じて適切かつ柔軟に業務を実施するよう留意するとともに、常に必要な知識の修得及び能力の向上に努めなければならない。
(18) サービス提供責任者による訪問介護員等に対する業務管理、研修、技術指導等
居宅基準第28条第3項第4号から第7号までにおいて、サービス提供責任者による訪問介護員等に対する業務管理や研修、技術指導等が規定されているところである。
平成30年度以降、生活援助中心型のみに従事することができる生活援助従事者研修修了者が従事するようになることから、当該研修修了者を含む訪問介護員等であって、指定訪問介護に従事したことがない者については、初回訪問時にサービス提供責任者が同行するなどのOJTを通じて支援を行うこととする。また、緊急時の対応等についてもあらかじめ当該訪問介護員等に指導しておくこととする。
さらに、生活援助従事者研修修了者である訪問介護員等が所属している指定訪問介護事業所のサービス提供責任者は、当該訪問介護員等が生活援助中心型しか提供できないことを踏まえ、利用者の状況を判断の上、適切な業務管理を行うこととする。具体的には、生活援助中心型のみ利用している利用者に対する指定訪問介護に従事させることなどが考えられる。
(19) 運営規程
居宅基準第29条は、指定訪問介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定訪問介護の提供を確保するため、同条第1号から第8号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定訪問介護事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。なお、同一事業者が同一敷地内にある事業所において、複数のサービス種類について事業者指定を受け、それらの事業を一体的に行う場合においては、運営規程を一体的に作成することも差し支えない(この点については他のサービス種類についても同様とする。)。
① 従業者の職種、員数及び職務の内容(第2号)
従業者の「員数」は日々変わりうるものであるため、業務負担軽減等の観点から、規程を定めるに当たっては、居宅基準第5条において置くべきとされている員数を満たす範囲において、「○人以上」と記載することも差し支えない(居宅基準第8条に規定する重要事項を記した文書に記載する場合についても、同様とする。)(以下、他のサービス種類についても同趣旨。)。
② 指定訪問介護の内容(第4号)
「指定訪問介護の内容」とは、身体介護、生活援助、通院等のための乗車又は降車の介助等のサービスの内容を指すものであること。
③ 利用料その他の費用の額(第4号)
「利用料」としては、法定代理受領サービスである指定訪問介護に係る利用料(1割負担又は2割負担)及び法定代理受領サービスでない指定訪問介護の利用料を、「その他の費用の額」としては、居宅基準第20条第3項により徴収が認められている交通費の額及び必要に応じてその他のサービスに係る費用の額を規定するものであること(以下、他のサービス種類についても同趣旨。)。
④ 通常の事業の実施地域(第5号)通常の事業の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の事業の実施地域は、利用申込に係る調整等の観点からの目安であり、当該地域を越えてサービスが行われることを妨げるものではないものであること(以下、居宅基準第53条第5号、第73条第5号、第82条第5号、第100条第6号、第117条第6号及び第200条第5号についても同趣旨。)。
⑤ 虐待の防止のための措置に関する事項(第7号)
(31)の虐待の防止に係る、組織内の体制(責任者の選定、従業者への研修方法や研修計画等)や虐待又は虐待が疑われる事案(以下「虐待等」という。)が発生した場合の対応方法等を指す内容であること(以下、他のサービス種類についても同趣旨。)。
(20) 介護等の総合的な提供
居宅基準第29条の2は、居宅基準第4条の基本方針等を踏まえ、指定訪問介護の事業運営に当たっては、多種多様な訪問介護サービスの提供を行うべき旨を明確化したものである。指定訪問介護事業は、生活全般にわたる援助を行うものであることから、指定訪問介護事業者は、入浴、排せつ、食事等の介護(身体介護)又は調理、洗濯、掃除等の家事(生活援助)を総合的に提供しなければならず(通院等のための乗車又は降車の介助を行う指定訪問介護事業者についても、身体介護又は生活援助を総合的に提供しなければならない。)、また、指定訪問介護事業所により提供しているサービスの内容が、身体介護のうち特定のサービス行為に偏ったり、生活援助のうち特定のサービス行為に偏ったり、通院等のための乗車又は降車の介助に限定されたりしてはならないこととしたものである。また、サービス提供の実績から特定のサービス行為に偏っていることが明らかな場合に限らず、事業運営の方針、広告、従業者の勤務体制、当該事業者の行う他の事業との関係等の事業運営全般から判断して、特定のサービス行為に偏ることが明らかであれば、本条に抵触することとなる。
また、「偏っている」とは、特定のサービス行為のみを専ら行うことはもちろん、特定のサービス行為に係るサービス提供時間が月単位等一定期間中のサービス提供時間の大半を占めていれば、これに該当するものである。
さらに、通院等のための乗車又は降車の介助を行う訪問介護事業者について、都道府県知事が法第70条第1項に基づく指定を行うに当たっては、事業所の所在地の市町村に対して意見を求めることとする(確認すべき事項等については別に定める。)。
なお、居宅基準第29条の2は、基準該当訪問介護事業者には適用されない。
(21) 勤務体制の確保等
居宅基準第30条は、利用者に対する適切な指定訪問介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。
① 指定訪問介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、訪問介護員等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、サービス提供責任者である旨等を明確にすること。
② 同条第2項は、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等によって指定訪問介護を提供するべきことを規定したものであるが、指定訪問介護事業所の訪問介護員等とは、雇用契約、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という)に規。定する労働者派遣契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある訪問介護員等を指すものであること。なお、社会福祉士及び介護福祉士法の規定に基づき、同法施行規則(昭和61年厚生省令第49号)第1条各号に規定する口腔内の喀痰吸引その他の行為を業として行う訪問介護員等については、労働者派遣法に基づく派遣労働者(同法に規定する紹介予定派遣又は同法第40条の2第1項第3号又は第4号に該当する場合を除く。)であってはならないことに留意すること。
③ 同条第3項は、当該指定訪問介護事業所の従業者たる訪問介護員等の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。
④ 同条第4項は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第11条第1項及び労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第30条の2第1項の規定に基づき、事業主には、職場におけるセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント(以下「職場におけるハラスメント」という。)の防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務づけられていることを踏まえ、規定したものである。事業主が講ずべき措置の具体的内容及び事業主が講じることが望ましい取組については、次のとおりとする。なお、セクシュアルハラスメントについては、上司や同僚に限らず、利用者やその家族等から受けるものも含まれることに留意すること。
イ 事業主が講ずべき措置の具体的内容
事業主が講ずべき措置の具体的な内容は、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)及び事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号。以下「パワーハラスメント指針」という。)において規定されているとおりであるが、特に留意されたい内容は以下のとおりである。
a 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
職場におけるハラスメントの内容及び職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発すること。
b 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談に対応する担当者をあらかじめ定めること等により、相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。
なお、パワーハラスメント防止のための事業主の方針の明確化等の措置義務については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24号)附則第3条の規定により読み替えられた労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2第1項の規定により、中小企業(医療・介護を含むサービス業を主たる事業とする事業主については資本金が5000万円以下又は常時使用する従業員の数が100人以下の企業)は、令和4年4月1日から義務化となり、それまでの間は努力義務とされているが、適切な勤務体制の確保等の観点から、必要な措置を講じるよう努められたい。
ロ 事業主が講じることが望ましい取組について
パワーハラスメント指針においては、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止のために、事業主が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例として、①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、②被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)及び③被害防止のための取組(マニュアル作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)が規定されている。介護現場では特に、利用者又はその家族等からのカスタマーハラスメントの防止が求められていることから、イ(事業主が講ずべき措置の具体的内容)の必要な措置を講じるにあたっては、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」、「(管理職・職員向け)研修のための手引き」等を参考にした取組を行うことが望ましい。この際、上記マニュアルや手引きについては、以下の厚生労働省ホームページに掲載しているので参考にされたい。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05120.html)
加えて、都道府県において、地域医療介護総合確保基金を活用した介護職員に対する悩み相談窓口設置事業や介護事業所におけるハラスメント対策推進事業を実施している場合、事業主が行う各種研修の費用等について助成等を行っていることから、事業主はこれらの活用も含め、介護事業所におけるハラスメント対策を推進することが望ましい。
(22) 業務継続計画の策定等
① 居宅基準第30条の2は、指定訪問介護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定訪問介護の提供を受けられるよう、指定訪問介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、登録訪問介護員等を含めて、訪問介護員等その他の従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、居宅基準第30条の2に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
② 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、「介護施設・事業所における感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。さらに、感染症に係る業務継続計画並びに感染症の予防及びまん延の防止のための指針については、それぞれに対応する項目を適切に設定している場合には、一体的に策定することとして差し支えない。
イ 感染症に係る業務継続計画
a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
b 初動対応
c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
ロ 災害に係る業務継続計画
a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
c 他施設及び地域との連携
③ 研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
④ 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(23) 衛生管理等
① 居宅基準第31条第1項及び第2項は、指定訪問介護事業者は、訪問介護員等の清潔の保持及び健康状態の管理並びに指定訪問介護事業所の設備及び備品等の衛生的な管理に努めるべきことを規定したものである。特に、指定訪問介護事業者は、訪問介護員等が感染源となることを予防し、また訪問介護員等を感染の危険から守るため、使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じる必要がある。
② 同条第3項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずべき措置については、具体的には次のイからハまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(以下「感染対策委員会」という。)であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、感染対策を担当する者(以下「感染対策担当者」という。)を決めておくことが必要である。なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、利用者や事業所の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※) 身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者
感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
また、感染対策委員会は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器をいう。以下同じ。)を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
ロ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。
ハ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
登録訪問介護員等を含めて、訪問介護員等その他の従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(24) 掲示
① 居宅基準第32条第1項は、指定訪問介護事業者は、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)等の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を指定訪問介護事業所の見やすい場所に掲示することを規定したものである。また、同条第3項は、指定訪問介護事業所は、原則として、重要事項を当該指定訪問介護事業者のウェブサイトに掲載することを規定したものであるが、ウェブサイトとは、法人のホームページ等又は介護サービス情報公表システムのことをいう。なお、指定訪問介護事業者は、重要事項の掲示及びウェブサイトへの掲載を行うにあたり、次に掲げる点に留意する必要がある。
イ 事業所の見やすい場所とは、重要事項を伝えるべき介護サービスの利用申込者、利用者又はその家族に対して見やすい場所のことであること。
ロ 訪問介護員等の勤務体制については、職種ごと、常勤・非常勤ごと等の人数を掲示する趣旨であり、訪問介護員等の氏名まで掲示することを求めるものではないこと。
ハ 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第140条の44各号に掲げる基準に該当する指定訪問介護事業所については、介護サービス情報制度における報告義務の対象ではないことから、基準省令第32条第3項の規定によるウェブサイトへの掲載は行うことが望ましいこと。なお、ウェブサイトへの掲載を行わない場合も、同条第1項の規定による掲示は行う必要があるが、これを同条第2項や居宅基準第217条第1項の規定に基づく措置に代えることができること。
② 居宅基準第32条第2項は、重要事項を記載したファイル等を介護サービスの利用申込者、利用者又はその家族等が自由に閲覧可能な形で当該指定訪問介護事業所内に備え付けることで同条第1項の掲示に代えることができることを規定したものである。
(25) 秘密保持等
① 居宅基準第33条第1項は、指定訪問介護事業所の訪問介護員等その他の従業者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものである。
② 同条第2項は、指定訪問介護事業者に対して、過去に当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等その他の従業者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等その他の従業者が、従業者でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めをおくなどの措置を講ずべきこととするものである。
③ 同条第3項は、訪問介護員等がサービス担当者会議等において、課題分析情報等を通じて利用者の有する問題点や解決すべき課題等の個人情報を、介護支援専門員や他のサービスの担当者と共有するためには、指定訪問介護事業者は、あらかじめ、文書により利用者又はその家族から同意を得る必要があることを規定したものであるが、この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。
(26) 不当な働きかけの禁止
居宅基準第34条の2は、居宅介護支援事業者に対する利益供与に当たらない場合であっても、指定訪問介護事業者が、居宅サービス計画の作成又は変更に関し、介護支援専門員又は被保険者に対して、利用者に必要のないサービスを位置付けるよう求めることなどの不当な働きかけを行ってはならないこととしたものである。具体的には、例えば、指定訪問介護事業者と居宅介護支援事業者が同一法人等である場合や同一の建物等に所在する場合において、当該利用者の状況を勘案することなく、自らが提供する訪問介護サービスを居宅サービス計画に位置付けるよう働きかけるような場合が該当する。
(27) 居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止
居宅基準第35条は、居宅介護支援の公正中立性を確保するために、指定訪問介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならないこととしたものである。
(28) 苦情処理
① 居宅基準第36条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等当該事業所における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、利用申込者又はその家族にサービスの内容を説明する文書に苦情に対する措置の概要についても併せて記載するとともに、事業所に掲示し、かつ、ウェブサイトに掲載すること等である。なお、ウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
② 同条第2項は、利用者及びその家族からの苦情に対し、指定訪問介護事業者が組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(指定訪問介護事業者が提供したサービスとは関係のないものを除く。)の受付日、その内容等を記録することを義務づけたものである。
また、指定訪問介護事業者は、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うべきである。
なお、居宅基準第39条第2項の規定に基づき、苦情の内容等の記録は、2年間保存しなければならない。
③ 同条第3項は、介護保険法上、苦情処理に関する業務を行うことが位置付けられている国民健康保険団体連合会のみならず、住民に最も身近な行政庁であり、かつ、保険者である市町村が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村についても国民健康保険団体連合会と同様に、指定訪問介護事業者に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを運営基準上、明確にしたものである。
(29) 地域との連携等
なお、「市町村が実施する事業」には、介護サービス相談員派遣事業のほか、広く市町村が老人クラブ、婦人会その他の非営利団体や住民の協力を得て行う事業が含まれるものである。
② 同条第2項は、高齢者向け集合住宅等と同一の建物に所在する指定訪問介護事業所が当該高齢者向け集合住宅等に居住する要介護者に指定訪問介護を提供する場合、当該高齢者向け集合住宅等に居住する要介護者のみを対象としたサービス提供が行われないよう、第9条の正当な理由がある場合を除き、地域包括ケア推進の観点から地域の要介護者にもサービス提供を行うよう努めなければならないことを定めたものである。なお、こうした趣旨を踏まえ、地域の実情に応じて、都道府県が条例等を定める場合や、市町村等の意見を踏まえて指定の際に条件を付す場合において、例えば、当該事業所の利用者のうち、一定割合以上を当該集合住宅以外の利用者とするよう努める、あるいはしなければならない等の規定を設けることは差し支えないものである。この際、自立支援や重度化防止等につながるようなサービス提供がなされているか等、サービスの質が担保されているかが重要であることに留意すること。
(30) 事故発生時の対応
居宅基準第37条は、利用者が安心して指定訪問介護の提供を受けられるよう、事故発生時の速やかな対応を規定したものである。指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、当該事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならないこととしたものである。
また、利用者に対する指定訪問介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。
なお、居宅基準第39条第2項の規定に基づき、事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録は、2年間保存しなければならない。
このほか、以下の点に留意するものとする。
① 利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定訪問介護事業者が定めておくことが望ましいこと。
② 指定訪問介護事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくか、又は賠償資力を有することが望ましいこと。
③ 指定訪問介護事業者は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。
(31) 虐待の防止
居宅基準第37条の2は、虐待の防止に関する事項について規定したものである。虐待は、法の目的の1つである高齢者の尊厳の保持や、高齢者の人格の尊重に深刻な影響を及ぼす可能性が極めて高く、指定訪問介護事業者は虐待の防止のために必要な措置を講じなければならない。虐待を未然に防止するための対策及び発生した場合の対応等については、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成17年法律第124号。以下「高齢者虐待防止法」という。)に規定されているところであり、その実効性を高め、利用者の尊厳の保持・人格の尊重が達成されるよう、次に掲げる観点から虐待の防止に関する措置を講じるものとする。
・ 虐待の未然防止
指定訪問介護事業者は高齢者の尊厳保持・人格尊重に対する配慮を常に心がけながらサービス提供にあたる必要があり、第3条の一般原則に位置付けられているとおり、研修等を通じて、従業者にそれらに関する理解を促す必要がある。同様に、従業者が高齢者虐待防止法等に規定する養介護事業の従業者としての責務・適切な対応等を正しく理解していることも重要である。
・ 虐待等の早期発見
指定訪問介護事業所の従業者は、虐待等又はセルフ・ネグレクト等の虐待に準ずる事案を発見しやすい立場にあることから、これらを早期に発見できるよう、必要な措置(虐待等に対する相談体制、市町村の通報窓口の周知等)がとられていることが望ましい。また、利用者及びその家族からの虐待等に係る相談、利用者から市町村への虐待の届出について、適切な対応をすること。
・ 虐待等への迅速かつ適切な対応
虐待が発生した場合には、速やかに市町村の窓口に通報される必要があり、指定訪問介護事業者は当該通報の手続が迅速かつ適切に行われ、市町村等が行う虐待等に対する調査等に協力するよう努めることとする。
以上の観点を踏まえ、虐待等の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するために次に掲げる事項を実施するものとする。
① 虐待の防止のための対策を検討する委員会(第1号)
虐待防止検討委員会は、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討する委員会であり、管理者を含む幅広い職種で構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、定期的に開催することが必要である。また、虐待防止の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。
一方、虐待等の事案については、虐待等に係る諸般の事情が、複雑かつ機微なものであることが想定されるため、その性質上、一概に従業者に共有されるべき情報であるとは限られず、個別の状況に応じて慎重に対応することが重要である。
なお、虐待防止検討委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
また、虐待防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
虐待防止検討委員会は、具体的には、次のような事項について検討することとする。その際、そこで得た結果(事業所における虐待に対する体制、虐待等の再発防止策等)は、従業者に周知徹底を図る必要がある。
イ 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関すること
ロ 虐待の防止のための指針の整備に関すること
ハ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること
ニ 虐待等について、従業者が相談・報告できる体制整備に関すること
ホ 従業者が高齢者虐待を把握した場合に、市町村への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
ヘ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
ト 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること
② 虐待の防止のための指針(第2号)
指定訪問介護事業者が整備する「虐待の防止のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
イ 事業所における虐待の防止に関する基本的考え方
ロ 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ハ 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
ニ 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
ホ 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
ヘ 成年後見制度の利用支援に関する事項
ト 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
チ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
リ その他虐待の防止の推進のために必要な事項
③ 虐待の防止のための従業者に対する研修(第3号)
従業者に対する虐待の防止のための研修の内容としては、虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、当該指定訪問介護事業所における指針に基づき、虐待の防止の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定訪問介護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修(年1回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、事業所内での研修で差し支えない。
④ 虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者(第4号)指定訪問介護事業所における虐待を防止するための体制として、①から③までに掲げる措置を適切に実施するため、担当者を置くことが必要である。当該担当者としては、虐待防止検討委員会の責任者と同一の従業者が務めることが望ましい。なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、利用者や事業所の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※) 身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者
(32) 会計の区分
居宅基準第38条は、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものであるが、具体的な会計処理の方法等については、別に通知するところによるものであること。
(33) 記録の整備
居宅基準第39条第2項は、指定訪問介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
4 共生型訪問介護に関する基準
共生型訪問介護は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「指定障害福祉サービス等基準」という。)第5条第1項に規定する指定居宅介護事業者又は重度訪問介護(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「障害者総合支援法」)という。第5条第3項に規定する重度訪問介護をいう。)に係る指定障害福祉サービス(同法第29条第2項に規定する指定障害福祉サービスをいう。)の事業を行う者が、要介護者に対して提供する指定訪問介護をいうものであり、共生型訪問介護事業所が満たすべき基準は、次のとおりであること。
① 従業者(ホームヘルパー)
指定居宅介護事業所又は指定重度訪問介護事業所(以下この4において「指定居宅介護事業所等」という。)の従業者の員数が、共生型訪問介護を受ける利用者(要介護者)の数を含めて当該指定居宅介護事業所等の利用者の数とした場合に、当該指定居宅介護事業所等として必要とされる数以上であること。
② サービス提供責任者
共生型訪問介護事業所に置くべきサービス提供責任者の員数は、指定居宅介護事業所等における指定居宅介護又は指定重度訪問介護の利用者(障害者及び障害児)及び共生型訪問介護の利用者(要介護者)の合計数が、40又はその端数を増すごとに1人以上とする。この場合において、サービス提供責任者の資格要件については、指定居宅介護事業所等のサービス提供責任者であれば、共生型訪問介護事業所のサービス提供責任者の資格要件を満たすものとする。
なお、共生型訪問介護事業所のサービス提供責任者と指定居宅介護事業所等のサービス提供責任者を兼務することは差し支えないこと。
③ 管理者
指定訪問介護の場合と同趣旨であるため、第3の一の1の(3)を参照されたいこと。なお、共生型訪問介護事業所の管理者と指定居宅介護事業所等の管理者を兼務することは差し支えないこと。
(2) 設備に関する基準
指定居宅介護事業所等として満たすべき設備基準を満たしていれば足りるものであること。
(3) 指定訪問介護事業所その他の関係施設から、指定居宅介護事業所等が要介護高齢者の支援を行う上で、必要な技術的支援を受けていること。(居宅基準第39条の2第2号)
(4) 運営等に関する基準(居宅基準第39条の3)
(5) その他の共生型サービスについて
高齢者と障害者・障害児に一体的にサービス提供するものであって、
・ デイサービス、ホームヘルプサービス、ショートステイについて、障害福祉制度と介護保険制度の両方の基準を満たして両方の指定を受けているもの
・ 法令上、共生型サービスの対象とされているデイサービス、ホームヘルプサービス、ショートステイ以外のサービス(例えば、障害福祉制度の共同生活援助と介護保険制度の認知症対応型共同生活介護)について、障害福祉制度と介護保険制度の両方の指定を受けているもの
・ 障害福祉制度の基準を満たして指定を受け、かつ、介護保険制度の基準該当サービスを活用しているもの
についても「共生型サービス」であり、地域共生社会の実現に向け、これらの推進も図られることが望ましいこと。
なお、共生型サービスは、各事業所の選択肢の一つであり、地域の高齢者や、障害者・障害児のニーズを踏まえて、各事業所は指定を受けるどうか判断することとなる。
5 基準該当訪問介護に関する基準
(1) 訪問介護員等の員数(居宅基準第40条)
基準該当訪問介護事業所における訪問介護員等の員数については、3人以上と定められたが、これについては、訪問介護員等の勤務時間の多寡にかかわらず員数として3人以上確保すれば足りるものである。ただし、各地域におけるサービス利用の状況や利用者数等を考慮し、適切な員数の職員を確保するものとする。その他については、指定訪問介護事業所の場合と同趣旨であるため第三の一の1の(1)に準じて取り扱うべきものである。
なお、サービス提供責任者については、常勤である必要はないが、指定訪問介護における配置に準じて配置することが望ましい。
(2) 管理者(居宅基準第41条)
指定訪問介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第三の一の1の(3)を参照されたい。ただし、管理者は常勤である必要はないことに留意するものとする。
(3) 設備及び備品等
居宅基準第42条は、基準該当訪問介護事業所の設備及び備品等についての規定であるが、指定訪問介護事業所の場合と基本的に同趣旨であるため、第三の一の2を参照されたい。
(4) 同居家族に対するサービス提供の制限
居宅基準第42条の2は、同条第1項各号に定める場合に限り、同居家族である利用者に対するサービス提供を例外的に認めることを定めたものである。
特に、同条第1項第1号にあるとおり、離島、山間のへき地その他の地域であって、指定訪問介護による訪問介護だけでは必要な訪問介護の見込量を確保することが困難であると市町村が認めた地域において認められるものであり、市町村は、その運用に際して次に掲げる点に留意するとともに、当該地域における指定訪問介護の確保に努めることとする。
① 市町村は、同居家族に対する訪問介護を行おうとする訪問介護員等が所属する訪問介護事業所から、居宅サービス計画の写し等、同居家族に対する訪問介護が認められるための要件に満たされていることを確認できる書類を届け出させ、これに基づき基準該当居宅サービスとしての実施を認めるものとする。
② 市町村は、いったん認めた同居家族に対する訪問介護について、事後的にその要件を満たしていないと認めるときは、保険給付を行わず、又は既に行った保険給付の返還を求めるものとする。
③ 市町村は、居宅基準第42条の2第1項各号に規定する要件に反した訪問介護が行われている場合の是正の指導のほか、当該同居家族に対して行われている居宅サービスとして、当該訪問介護員等による訪問介護のほか、他の居宅サービスが適切に組み合わされているかどうか等を点検し、状況に応じて必要な助言を当該同居家族及び基準該当訪問介護事業者に対して行うものとする。
④ 居宅基準第42条の2第1項第5号に規定する、訪問介護員等が同居家族の訪問介護に従事する時間の合計時間が当該訪問介護員等が訪問介護に従事する時間の合計時間のおおむね2分の1を超えないという要件は、同居家族の訪問介護が「身内の世話」ではなく、「訪問介護事業所の従業者による介護」として行われることを担保する趣旨で設けられたものであるが、こうした趣旨を踏まえつつ、当該市町村の訪問介護の基盤整備の状況など地域の実情に応じて、当該要件をある程度の幅をもって運用することは差し支えないものとする。
(5) 運営に関する基準
居宅基準第43条の規定により、居宅基準第15条、第20条第1項、第25条、第29条の2並びに第36条第5項及び第6項を除き、指定訪問介護の運営に関する基準が基準該当訪問介護に準用されるものであるため、第3の一の3の(2)から(6)まで及び⑻から(33)まで((11)の①及び(20)を除く。)を参照されたい。この場合において、準用される居宅基準第20条第2項の規定は、基準該当訪問介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費を算定するための基準となる費用の額(100分の90、100分の80又は100分の70を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による訪問介護が複数の市町村において基準該当訪問介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。
二 訪問入浴介護
1 人員に関する基準
(1) 従業者の員数(居宅基準第45条)
指定訪問入浴介護事業所における訪問入浴介護従業者の員数については、最低限必要の数を定めたものであり、訪問入浴介護の提供量に応じて、居宅基準第50条第4号の規定に基づく体制に必要な員数を確保するものとする。
(2) 管理者(居宅基準第46条)訪問介護の場合と同趣旨であるため、第三の一の1の(3)を参照されたい。
2 設備に関する基準(居宅基準第47条)
(1) 指定訪問入浴介護事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りをする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定訪問入浴介護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。
(2) 専用の事務室又は区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペース及び浴槽等の備品・設備等を保管するために必要なスペースを確保する必要がある。
(3) 専用の事務室又は区画については、指定訪問入浴介護に必要な浴槽(身体の不自由な者が入浴するのに適したもの)、車両(浴槽を運搬し又は入浴設備を備えたもの)等の設備及び備品等を確保する必要がある。特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮する必要がある。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問入浴介護の事業及び当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
3 運営に関する基準
(1) 利用料等の受領
② 同条第3項は、指定訪問入浴介護事業者は、指定訪問入浴介護の提供に関して、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問入浴介護を行う場合の交通費、及び利用者の選定により提供される特別な浴槽水等に係る費用については、前2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。
(2) 指定訪問入浴介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
① 指定訪問入浴介護の提供に当たっては、利用者の心身の状況により、訪問時に全身入浴が困難な場合は、利用者の希望により、「清しき」又は「部分浴(洗髪、陰部、足部等)」を実施するなど、適切なサービス提供に努めること。
② 居宅基準第50条第2号に定める「サービスの提供方法等」とは、入浴方法等の内容、作業手順、入浴後の留意点などを含むものであること。
③ 指定訪問入浴介護の提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第53条の3第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
(3) 緊急時等の対応
居宅基準第51条は、訪問入浴介護従業者が現に指定訪問入浴介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治医又はあらかじめ当該指定訪問入浴介護事業者が定めた協力医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。協力医療機関については、次の点に留意するものとする。
① 協力医療機関は、事業の通常の実施地域内にあることが望ましいものであること。
② 緊急時において円滑な協力を得るため、当該協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくこと。
(4) 管理者の責務
居宅基準第52条は、指定訪問入浴介護事業所の管理者の責務を、介護保険法の基本理念を踏まえた利用者本位のサービス提供を行うため、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、従業者及び業務の管理を一元的に行うとともに、当該指定訪問入浴介護事業所の従業者に居宅基準の第3章第4節の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。
(5) 運営規程
居宅基準第53条は、指定訪問入浴介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定訪問入浴介護の提供を確保するため、同条第1号から第9号までに掲げる事項を内容とする規定を定めることを指定訪問入浴介護事業所ごとに義務づけたものであるが、同条第6号の「サービスの利用に当たっての留意事項」とは、利用者が指定訪問入浴介護の提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(入浴前の食事の摂取に関すること等)を指すものであることに留意するものとする。
(6) 勤務体制の確保等
居宅基準第53条の2は、利用者に対する適切な指定訪問入浴介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。
① 指定訪問入浴介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、訪問入浴介護従業者については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすること。
② 同条第2項は、当該指定訪問入浴介護従業者によって指定訪問入浴介護を提供するべきことを規定したものであるが、指定訪問入浴介護事業所の訪問入浴介護従業者とは、雇用契約、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)に規定する労働者派遣契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある訪問入浴介護従業者を指すものであること。
③ 同条第3項前段は、当該指定訪問入浴介護事業所の従業者の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。
また、同項後段は、介護サービス事業者に、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者について、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務づけることとしたものであり、これは、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させ、認知症についての理解の下、本人主体の介護を行い、認知症の人の尊厳の保障を実現していく観点から実施するものであること。
当該義務付けの対象とならない者は、各資格のカリキュラム等において、認知症介護に関する基礎的な知識及び技術を習得している者とすることとし、具体的には、同条第三項において規定されている看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者に加え、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員養成研修一級課程・二級課程修了者、社会福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師等とする。
④ 同条第4項の規定は、指定訪問介護に係る居宅基準第30条第4項の規定と基本的に同趣旨であるため、第3の一の3の(21)④を参照されたい。
(7) 業務継続計画の策定等
① 居宅基準第54条により準用される居宅基準第30条の2は、指定訪問入浴介護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定訪問入浴介護の提供を受けられるよう、業務継続計画を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、訪問入浴介護従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、居宅基準第30条の2に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
② 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、「介護施設・事業所における感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。さらに、感染症に係る業務継続計画並びに感染症の予防及びまん延の防止のための指針については、それぞれに対応する項目を適切に設定している場合には、一体的に策定することとして差し支えない。
イ 感染症に係る業務継続計画
a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
b 初動対応
c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
ロ 災害に係る業務継続計画
a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
c 他施設及び地域との連携
③ 研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
④ 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
⑻ 衛生管理等
② 居宅基準第54条の規定により指定訪問入浴介護の事業について準用される居宅基準第31条第3項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずべき措置については、具体的には次のイからハまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該事業所における感染対策委員会であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、感染対策担当者を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
ロ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。
ハ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
訪問入浴介護従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(9) 虐待の防止
(10) 記録の整備
訪問介護の場合と同趣旨であるため、第3の一の3の(33)を参照されたい。
(11) 準用
居宅基準第54条の規定により、居宅基準第8条から第19条まで、第21条、第26条、第30条の2から第34条まで及び第35条から第38条までの規定は、指定訪問入浴介護の事業について準用されるため、第3の一の3の(2)から(10)まで((2)の第三者評価の実施状況に係る規定を除く。)、(12)、(15)、(24)、(25)、(27)から(30)まで及び(32)を参照されたい。この場合において、居宅基準第31条中「設備及び備品等」とあるのは「指定訪問入浴介護に用いる浴槽その他の設備及び備品等」と読み替えられることに留意するものとする。
4 基準該当訪問入浴介護に関する基準
(1) 従業者の員数(居宅基準第55条)
基準該当訪問入浴介護事業所の訪問入浴介護従業者の員数については、最低限必要な数を定めたものであり、訪問入浴介護の提供量に応じて、居宅基準第58条により準用する居宅基準第50条第4号の規定に基づく体制に必要な員数を確保するものとする。
(2) 管理者(居宅基準第56条)
指定訪問入浴介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第三の二の1の(2)を参照されたい。ただし、管理者は常勤である必要はないことに留意するものとする。
(3) 設備及び備品等(居宅基準第57条)
指定訪問入浴介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第三の二の2を参照されたい。
(4) 運営に関する基準
居宅基準第58条の規定により、居宅基準第8条から第14条まで、第16条から第19条まで、第21条、第26条、第30条の2から第34条まで、第35条から第38条まで(第36条第5項及び第6項を除く。)及び第44条並びに第4節(第48条第1項及び第54条を除く。)の規定は、基準該当訪問入浴介護の事業について準用されるものであるため、第3の一の3の(2)から(6)まで、⑻から(10)まで、(12)、(15)、(24)、(25)、(27)から(30)まで及び(32)並びに第3の二の3を参照されたい。この場合において、準用される居宅基準第48条第2項の規定は、基準該当訪問入浴介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費を算定するための基準となる費用の額(100分の90、100分の80又は100分の70を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による訪問入浴介護が複数の市町村において基準該当訪問入浴介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。
三 訪問看護
1 人員に関する基準
(1) 看護師等の員数(居宅基準第60条)
① 指定訪問看護ステーションの場合(居宅基準第60条第1項第1号)
イ 指定訪問看護ステーションにおける保健師、看護師又は准看護師(以下「看護職員」という。)の員数については、常勤換算方法で2.5人以上と定められたが、これについては、職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものであり、各地域におけるサービス利用の状況や利用者数及び指定訪問看護の事業の業務量を考慮し、適切な員数の人員を確保するものとする。
ロ 勤務日及び勤務時間が不定期な看護師等についての勤務延時間数の算定については、指定訪問介護の場合と同様である。
ハ 理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士については、実情に応じた適当数を配置するものとする(配置しないことも可能である。)。
ニ 出張所等があるときは、常勤換算を行う際の事業所の看護職員の勤務延時間数とは、出張所等における勤務延時間数も含めるものとする。
② 指定訪問看護を担当する医療機関の場合(居宅基準第60条第1項第2号)
指定訪問看護事業所ごとに、指定訪問看護の提供に当たる看護職員を適当数置かなければならない。
③ 指定定期巡回・随時対応訪問介護看護又は指定複合型サービスとの一体的運営について(居宅基準第60条第4項及び第5項)
指定訪問看護事業者が、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者又は指定複合型サービス事業者の指定を併せて受け、かつ、当該事業が指定訪問看護事業所と同じ事業所で一体的に運営されている場合については、指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業又は指定複合型サービス事業(以下③において「指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業等」という。)の指定を受ける上で必要とされている看護職員の員数(常勤換算方法で2.5)を配置していることをもって、指定訪問看護の看護職員の人員基準を満たしているものとみなすことができることとしている。
なお、指定訪問看護事業者が指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業等の看護職員の人員配置基準を満たしていることにより指定訪問看護の看護職員の人員配置基準を満たしているものとみなされている場合については、当該指定訪問看護事業の人員配置基準を満たしていることをもって別の指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業等の看護職員の人員配置基準を満たしているものとはみなされないので留意すること。
(2) 指定訪問看護ステーションの管理者(居宅基準第61条)
① 訪問看護ステーションの管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該指定訪問看護ステーションの管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該指定訪問看護ステーションの管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
イ 当該指定訪問看護ステーションの看護職員としての職務に従事する場合
ロ 当該指定訪問看護ステーションが健康保険法による指定を受けた訪問看護ステーションである場合に、当該訪問看護ステーションの管理者又は看護職員としての職務に従事する場合
ハ 同一の事業者によって設置された他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合であって、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する時間帯も、当該指定訪問看護ステーションの利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握でき、職員及び業務に関し、一元的な管理及び指揮命令に支障が生じないときに、当該他の事業所等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設における看護業務(管理業務を含む。)と兼務する場合(施設における勤務時間が極めて限られている場合を除く。)、事故発生時等の緊急時において管理者自身が速やかに当該指定訪問看護ステーション又は利用者へのサービス提供の現場に駆け付けることができない体制となっている場合などは、管理者の業務に支障があると考えられる。)
② 指定訪問看護ステーションの管理者は、管理者としてふさわしいと認められる保健師又は看護師であって、保健師助産師看護師法(昭和23年法律第203号)第14条第3項の規定により保健師又は看護師の業務の停止を命ぜられ、業務停止の期間終了後2年を経過しない者に該当しないものである。
③ 管理者の長期間の傷病又は出張等のやむを得ない理由がある場合には、老人の福祉の向上に関し相当の知識、経験及び熱意を有し、過去の経歴等を勘案して指定訪問看護ステーションの管理者としてふさわしいと都道府県知事に認められた者であれば、管理者として保健師及び看護師以外の者をあてることができるものとする。ただし、この場合においても、可能な限り速やかに常勤の保健師及び看護師の管理者が確保されるように努めなければならないものである。
④ 指定訪問看護ステーションの管理者は、医療機関における看護、訪問看護又は訪問指導の業務に従事した経験のある者である必要がある。さらに、管理者としての資質を確保するために関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましい。
2 設備に関する基準
(1) 指定訪問看護ステーションの場合(居宅基準第62条第1項)
① 指定訪問看護ステーションには、運営に必要な面積を有する専用の事務室を設ける必要がある。ただし、当該指定訪問看護ステーションが健康保険法による指定を受けた訪問看護ステーションである場合には、両者を共用することは差し支えない。また、当該指定訪問看護ステーションが、他の事業の事業所を兼ねる場合には、必要な広さの専用の区画を有することで差し支えないものとする。なお、この場合に、区分されていなくても業務に支障がないときは、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものである。
② 事務室については、利用申込みの受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
③ 指定訪問看護に必要な設備及び備品等を確保する必要がある。特に、感染症予防に必要な設備等に配慮する必要がある。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問看護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
(2) 指定訪問看護を担当する医療機関の場合(居宅基準第62条第2項)
① 指定訪問看護を担当する病院又は診療所には、指定訪問看護の事業を行うために必要な専用の区画を設ける必要がある。なお、業務に支障がないときは、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものである。
② 指定訪問看護事業に必要な設備及び備品等を確保する必要がある。ただし、設備及び備品等については、当該医療機関における診療用に備え付けられたものを使用することが出来るものである。
3 運営に関する基準
(1) サービス提供困難時の対応
指定訪問看護事業者が、指定訪問看護の提供を拒否する正当な理由としては、第3の一の3の(3)に示した理由のほか、利用申込者の病状等により、自ら適切な訪問看護の提供が困難と判断した場合が該当するが、これらの場合には、居宅基準第63条の規定により、指定訪問看護事業者は、主治医及び居宅介護支援事業者への連絡を行い、適当な他の指定訪問看護事業者等を紹介する等の必要な措置を速やかに講じなければならない。
(2) 利用料の受領
① 居宅基準第66条第1項、第3項及び第4項については、第3の一の3の(11)の①、③及び④を参照されたいこと。
② 同条第2項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定訪問看護を提供した際にその利用者から支払を受ける利用料の額及び法定代理受領サービスである指定訪問看護に係る費用の額と、医療保険給付又は訪問看護療養費の対象となる健康保険法上の指定訪問看護の費用の額の間に不合理な差異を設けてはならないこととしたものであること。
なお、そもそも介護保険給付、医療保険給付又は訪問看護療養費の給付対象となる訪問看護と明確に区分されるサービスについては、第3の一の3の(11)の②のなお書きを参照されたいこと。
(3) 指定訪問看護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
① 指定訪問看護は、利用者の心身の状態を踏まえ、妥当適切に行うとともにその生活の質の確保を図るよう、主治医との密接な連携のもとに訪問看護計画に沿って行うこととしたものであること。
② 指定訪問看護の提供については、目標達成の度合いやその効果等について評価を行うとともに、訪問看護計画の修正を行い改善を図る等に努めなければならないものであること。
③ 利用者の健康状態と経過、看護の目標や内容、具体的な方法その他療養上必要な事項について利用者及び家族に理解しやすいよう指導又は説明を行うこと。
④ 指定訪問看護の提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第73条の2第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
⑤ 指定訪問看護の提供に当たっては、医学の進歩に沿った適切な看護技術をもって対応できるよう、新しい技術の習得等、研鑽を積むことを定めたものであること。
⑥ 医学の立場を堅持し、広く一般に認められていない看護等については行ってはならないこと。
(4) 主治医との関係(居宅基準第69条)
① 指定訪問看護事業所の管理者は、利用者の主治医が発行する訪問看護指示の文書(以下、第三の三において「指示書」という。)に基づき指定訪問看護が行われるよう、主治医との連絡調整、指定訪問看護の提供を担当する看護師等の監督等必要な管理を行わなければならないこと。なお、主治医とは、利用申込者の選定により加療している医師をいい、主治医以外の複数の医師から指示書の交付を受けることはできないものであること。
② 居宅基準第69条第2項は、指定訪問看護の利用対象者は、その主治医が指定訪問看護の必要性を認めたものに限られるものであることを踏まえ、指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の開始に際しては、指示書の交付を受けなければならないこととしたものであること。
③ 指定訪問看護事業所の管理者は、主治医と連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため、定期的に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医に提出しなければならないこと。
④ 指定訪問看護事業所が主治医に提出する訪問看護計画書及び訪問看護報告書については、書面又は電子的な方法により主治医に提出できるものとする。ただし、電子的方法によって、個々の利用者の訪問看護に関する訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医に提出する場合は、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守し、安全な通信環境を確保するとともに、厚生労働省の定める準拠性監査基準を満たす保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI:Healthcare Public Key Infrastructure)による電子署名を施すこと。
⑤ 指定訪問看護の実施に当たっては、特に医療施設内の場合と異なり、看護師等が単独で行うことに十分留意するとともに慎重な状況判断等が要求されることを踏まえ、主治医との密接かつ適切な連携を図ること。
⑥ 保険医療機関が指定訪問看護事業者である場合には、主治医の指示は診療録に記載されるもので差し支えないこと。また、訪問看護計画書及び訪問看護報告書についても看護記録等の診療記録に記載されるもので差し支えないこと。
(5) 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成
① 居宅基準第70条は、看護師等(准看護師を除く。)が利用者ごとに、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を作成することとしたものである。
② 看護師等は、訪問看護計画書には、利用者の希望及び心身の状況、主治医の指示等を踏まえて、看護目標、具体的サービス内容等を記載する。なお、既に居宅サービス計画等が作成されている場合には、当該計画に沿って訪問看護の計画を立案する。
③ 看護師等は、訪問看護計画書の目標や内容等について、利用者及びその家族に理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行う必要がある。
④ 訪問看護計画書は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、訪問看護計画書を作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該訪問看護計画書が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
⑤ 訪問看護計画書は、利用者の希望、主治医の指示及び心身の状況を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、看護師等は、訪問看護計画書の作成に当たっては、その内容及び理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士による指定訪問看護については、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるものであること等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該訪問看護計画書を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した訪問看護計画書は、居宅基準第73条の2第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
⑥ 指定訪問看護事業所が保険医療機関である場合は、居宅基準第69条第4項により、主治の医師への訪問看護計画書の提出は、診療記録への記載をもって代えることができることとされているため、居宅基準第70条第4項に基づく訪問看護計画書の交付については、「訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて」(平成12年3月30日老企第55号)に定める訪問看護計画書を参考に各事業所ごとに定めるものを交付することで差し支えない。
⑦ 看護師等は、訪問看護報告書には、訪問を行った日、提供した看護内容、サービス提供結果等を記載する。なお、居宅基準第70条に規定する報告書は、訪問の都度記載する記録とは異なり、主治医に定期的に提出するものをいい、当該報告書の記載と先に主治医に提出した訪問看護計画書(当該計画書を居宅基準第69条第4項において診療記録の記載をもって代えた場合を含む。)の記載において重複する箇所がある場合は、当該報告書における重複箇所の記載を省略しても差し支えないこととする。
⑧ 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が指定訪問看護を提供している利用者については、訪問看護計画書及び訪問看護報告書は、看護職員(准看護師を除く。)と理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が連携し作成すること。具体的には、訪問看護計画書には、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が提供するものも含め訪問看護の内容を一体的に記載するとともに、訪問看護報告書には訪問日や主な内容を記載することにに加え、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が提供した指定訪問看護の内容とその結果等を記載した文書を添付すること。
⑨ 管理者にあっては、訪問看護計画に沿った実施状況を把握し、計画書及び報告書に関し、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。
⑩ 指定訪問看護事業者は、主治医との連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を定期的に主治医に提出しなければならない。
⑪ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定訪問看護事業者については、第3の一の3の(14)の⑥を準用する。この場合において、「訪問介護計画」とあるのは「訪問看護計画」と読み替える。
(6) 業務継続計画の策定等
(7) 衛生管理等
⑻ 虐待の防止
(9) 記録の整備
居宅基準第73条の2第2項は、指定訪問看護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
また、指定訪問看護事業所が保険医療機関である場合は、同条により整備すべき記録のうち、指示書、訪問看護計画書及び訪問看護報告書については、診療録及び診療記録の保存でも差し支えない。
(10) 準用等
居宅基準第74条の規定により、居宅基準第8条、第9条、第11条から第13条まで、第15条から第19条まで、第21条、第26条、第30条から第34条まで及び第35条から第38条及び第52条までの規定は、指定訪問看護の事業について準用されるため、第3の一の3の(2)(第三者評価の実施状況に係る規定を除く。)、(3)、(5)から(10)まで、(12)、(15)、(21)、(24)、(25)、(27)から(30)まで及び(32)並びに第3の二の3の(4)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。
① 居宅基準第13条(心身の状況等の把握)中「心身の状況」とあるのは、「心身の状況、病歴」と読み替えられること。
② 準用される居宅基準第30条については、指定訪問看護ステーションにおいては、原則として月ごとの勤務表を作成し、看護師等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすること。指定訪問看護を担当する医療機関においては、指定訪問看護事業所ごとに、指定訪問看護に従事する看護師等を明確にし、原則として月ごとの勤務表を作成し、それらの者の職務の内容、常勤・非常勤の別等を明確にすること。なお、指定訪問看護事業所の看護師等については、労働者派遣法に規定する派遣労働者(紹介予定派遣に係る者を除く。)であってはならないものであること。
四 訪問リハビリテーション
1 人員に関する基準(居宅基準第76条)
① 医師
イ 専任の常勤医師が1人以上勤務していること。
ロ 指定訪問リハビリテーションを行う介護老人保健施設又は介護医療院であって、病院又は診療所(医師について介護老人保健施設又は介護医療院の人員基準を満たす余力がある場合に限る。)と併設されているものについては、当該病院又は診療所の常勤医師との兼務で差し支えないものであること。
ハ 指定訪問リハビリテーションを行う介護老人保健施設又は介護医療院であって、当該介護老人保健施設又は当該介護医療院に常勤医師として勤務している場合には、常勤の要件として足るものであること。
また、指定訪問リハビリテーションを行う介護老人保健施設又は介護医療院であって、病院又は診療所(医師について介護老人保健施設又は介護医療院の人員基準を満たす余力がある場合に限る。)と併設されている事業所において、指定訪問リハビリテーション事業所の医師が、当該病院又は当該診療所の常勤医師と兼務している場合でも、常勤の要件として足るものであること。
ニ 指定訪問リハビリテーション事業所のみなし指定を受けた介護老人保健施設又は介護医療院においては、当該介護老人保健施設又は当該介護医療院の医師の配置基準を満たすことをもって、訪問リハビリテーション事業所の医師の常勤配置に係る基準を満たしているものとみなすことができること。
② 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士
指定訪問リハビリテーション事業者は、指定訪問リハビリテーション事業所ごとに、指定訪問リハビリテーションの提供に当たる理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を適当数置かなければならない。
2 設備に関する基準
(1) 居宅基準第77条は、指定訪問リハビリテーション事業所については、
① 病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院であること。
② 指定訪問リハビリテーションの事業の運営を行うために必要な広さ(利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペース)を有する専用の区画を設けていること。なお、業務に支障がないときは、指定訪問リハビリテーションの事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとすること。
③ 指定訪問リハビリテーションの提供に必要な設備及び備品等を備えていること。
としたものである。
(2) 設備及び備品等については、当該病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院における診療用に備え付けられたものを使用することができるものである。
3 運営に関する基準
(1) 利用料等の受領
① 指定訪問リハビリテーションは、利用者の心身の状態、生活環境を踏まえて、妥当適切に行うとともにその生活の質の確保を図るよう、主治の医師との密接な連携のもとに訪問リハビリテーション計画に沿って行うこととしたものであること。
② 指定訪問リハビリテーション事業所の医師が、指定訪問リハビリテーションの実施に当たり、当該事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対し、利用者に対する当該リハビリテーションの目的に加えて、当該リハビリテーション開始前又は実施中の留意事項、やむを得ず当該リハビリテーションを中止する際の基準、当該リハビリテーションにおける利用者に対する負荷等の指示を行うこと。
③ 指定訪問リハビリテーションの提供については、目標達成の度合いやその効果等について評価を行うとともに、訪問リハビリテーション計画の修正を行い改善を図る等に努めなければならないものであること。
④ 指定訪問リハビリテーションの提供に当たっては、利用者の心身状態、リハビリテーションの内容やそれを提供する目的、具体的な方法、リハビリテーションに必要な環境の整備、療養上守るべき点及び療養上必要な目標等、療養上必要な事項について利用者及びその家族に理解しやすいよう指導又は説明を行うこと。
⑤ 指定訪問リハビリテーションの提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第82条の2第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
⑥ 指定訪問リハビリテーションの提供に当たっては、医学の進歩に沿った適切な技術をもって対応できるよう、新しい技術の習得等、研鑽を積むことを定めたものであること。
⑦ 指定訪問リハビリテーションを行った際には、速やかに、指定訪問リハビリテーションを実施した要介護者等の氏名、実施日時、実施した指定訪問リハビリテーションの要点及び担当者の氏名を記録すること。
⑧ 指定訪問リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、介護支援専門員を通じて、指定訪問介護の事業その他の指定居宅サービスに該当する事業に係る従業者に対し、リハビリテーションの観点から、日常生活上の留意点、介護の工夫などの情報を伝達していること。
⑨ リハビリテーション会議の構成員は、利用者及びその家族を基本としつつ、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者、看護師、准看護師、介護職員、介護予防・日常生活支援総合事業のサービス担当者及び保健師等とすること。また、必要に応じて歯科医師、管理栄養士、歯科衛生士等が参加すること。
なお、利用者の家族について、家庭内暴力等により参加が望ましくない場合や、遠方に住んでいる等のやむを得ない事情がある場合は、必ずしもその参加を求めるものではないこと。
また、リハビリテーション会議の開催の日程調整を行ったが、構成員がリハビリテーション会議を欠席した場合は、速やかに当該会議の内容について欠席者との情報共有を図ること。
リハビリテーション会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、利用者又はその家族(以下この⑧において「利用者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない。なお、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
(3) 訪問リハビリテーション計画の作成(居宅基準第81条)
① 訪問リハビリテーション計画は、指定訪問リハビリテーション事業所の医師の診療に基づき、利用者ごとに作成すること。記載内容については別途通知(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」)の様式例及び記載方法を参照すること。また、訪問リハビリテーション計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直していること。
② 訪問リハビリテーション計画の作成にあたっては①が原則であるが、指定訪問リハビリテーション事業所とは別の医療機関の医師から計画的な医学的管理を受けている患者であって、例外として、当該事業所の医師がやむを得ず診療できない場合には、別の医療機関の医師から情報の提供を受けて、当該情報をもとに訪問リハビリテーション計画を作成しても差し支えないものとすること。
③ 訪問リハビリテーション計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないことから、訪問リハビリテーション計画を作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該訪問リハビリテーション計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとすること。
④ 医療機関から退院した利用者に対し訪問リハビリテーション計画を作成する場合には、医療と介護の連携を図り、連続的で質の高いリハビリテーションを行う観点から、当該医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等を入手し、当該利用者に係るリハビリテーションの情報を把握しなければならない。
その際、リハビリテーション実施計画書以外の退院時の情報提供に係る文書を用いる場合においては、当該文書にリハビリテーション実施計画書の内容(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」の別紙様式2-2-1の項目である「本人・家族等の希望」「健康状態、経過」「心身機能・構造」「活動」「リハビリテーションの短期目標」「リハビリテーションの長期目標」「リハビリテーションの方針」「本人・家族への生活指導の内容(自主トレ指導含む)」「リハビリテーション実施上の留意点」「リハビリテーションの見直し・継続理由」「リハビリテーションの終了目安」)が含まれていなければならない。
ただし、当該医療機関からリハビリテーション実施計画書等が提供されない場合においては、当該医療機関の名称及び提供を依頼した日付を記録に残すこと。
⑤ 訪問リハビリテーション計画は医師の診療に基づき、利用者の病状、心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、医師及び理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、当該計画の作成に当たっては、その目標や内容等について、利用者及びその家族に理解しやすい方法で説明を行った上で利用者の同意を得なければならず、また、リハビリテーション計画書を利用者に交付しなければならない。なお、その実施状況や評価等についても説明を行うこと。
⑥ 指定訪問リハビリテーション事業者が、指定通所リハビリテーション事業者の指定を併せて受け、かつ、リハビリテーション会議の開催等を通じて、指定訪問リハビリテーション及び指定通所リハビリテーションの目標並びに当該目標を踏まえたリハビリテーション提供内容について整合性のとれた訪問リハビリテーション計画を作成した場合については、通所リハビリテーション計画に係る基準を満たすことによって、訪問リハビリテーション計画に係る基準を満たしているとみなすことができる。
当該計画の作成に当たっては、各々の事業の目標を踏まえたうえで、共通目標を設定すること。また、その達成に向けて各々の事業の役割を明確にした上で、利用者に対して一連のサービスとして提供できるよう、個々のリハビリテーションの実施主体、目的及び具体的な提供内容等を1つの計画として分かりやすく記載するよう留意すること。
⑦ 指定訪問リハビリテーション及び指定通所リハビリテーションにおいて整合性のとれた計画に従いリハビリテーションを実施した場合には、居宅基準第80条第4項に規定する診療記録を一括して管理しても差し支えないものであること。
⑧ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定訪問リハビリテーション事業者については、第3の一の3の(14)の⑥を準用する。この場合において、「訪問介護計画」とあるのは「訪問リハビリテーション計画」と読み替える。
(4) 業務継続計画の策定等
(5) 衛生管理等
(6) 虐待の防止
(7) 記録の整備
居宅基準第82条の2第2項は、指定訪問リハビリテーション事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
また、同項の指定訪問リハビリテーションの提供に関する記録には診療記録及びリハビリテーション会議の記録が含まれるものであること。
⑻ 準用
居宅基準第83条の規定により、居宅基準第8条から第13条まで、第15条から第19条まで、第21条、第26条、第30条から第33条まで、第35条から第38条まで、第52条、第64条及び第65条の規定は、指定訪問リハビリテーションの事業について準用されるものであるため、第3の一の3の(2)から(10)まで((2)の第三者評価の実施状況に係る規定を除く。)、(12)、(15)、(21)、(24)、(25)、(27)から(30)まで及び(32)、第3の二の3の(4)を参照されたいこと。この場合において、次の点に留意するものとする。
① 居宅基準第13条中「心身の状況」とあるのは「心身の状況、病歴」と読み替えられること。
② 準用される居宅基準第13条については、指定訪問リハビリテーション事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、指定訪問リハビリテーションに従事する理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士を明確にするとともに、それらの者の職務の内容、常勤・非常勤の別等を明確にすること。なお、指定訪問リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士については、労働者派遣法に規定する派遣労働者(紹介予定派遣に係る者を除く。)であってはならないものであること。
五 居宅療養管理指導
1 人員に関する基準(居宅基準第85条)
指定居宅療養管理指導事業所ごとに置くべき居宅療養管理指導従業者の員数は、次に掲げる指定居宅療養管理指導事業所の種類の区分に応じ、次に定めるとおりとしたものである。
(1) 病院又は診療所である指定居宅療養管理指導事業所
① 医師又は歯科医師
② 薬剤師、歯科衛生士(歯科衛生士が行う居宅療養管理指導に相当するものを行う保健師、看護師及び准看護師を含む。以下同じ。)又は管理栄養士その提供する指定居宅療養管理指導の内容に応じた適当数
(2) 薬局である指定居宅療養管理指導事業所薬剤師
2 設備に関する基準
(1) 居宅基準第86条は、指定居宅療養管理指導事業所については、
① 病院、診療所又は薬局であること。
② 指定居宅療養管理指導の事業の運営に必要な広さを有していること。
③ 指定居宅療養管理指導の提供に必要な設備及び備品等を備えていること。
としたものである。
(2) 設備及び備品等については、当該病院又は診療所における診療用に備え付けられたものを使用することができるものである。
3 運営に関する基準
(1) 利用料等の受領
② 同条第二項の規定は、居宅基準第66条第2項の規定と基本的に同趣旨であるため、第3の三の3の(2)の②を参照されたい。
③ 同条第3項は、指定居宅療養管理指導の提供に関して、前2項の利用料のほかに、指定居宅療養管理指導の提供に要する交通費(通常の事業の実施地域内の交通費を含む。)の額の支払を利用者から受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。
(2) 指定居宅療養管理指導の具体的取扱方針
指定居宅療養管理指導の具体的取扱方針については、居宅基準第89条の定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。
① 医師又は歯科医師の行う指定居宅療養管理指導は、訪問診療等により常に利用者の病状及び心身の状況を把握し、計画的な医学的管理又は歯科医学的管理を行っている要介護者に対して行うものであり、サービスの提供状況に応じた指導又は助言が行えるよう日頃から居宅介護支援事業者又は居宅サービス事業者と連携を図ること。
② 指定居宅療養管理指導事業者は、要介護者にサービスを提供している事業者に対して、サービス担当者会議への参加や文書の交付等を通じ、必要に応じて迅速に指導又は助言を行うために、日頃からサービスの提供事業者や提供状況を把握するように努めること。
③ 指定居宅療養管理指導の提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第92条の2第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
(3) 運営規程
居宅基準第90条は、指定居宅療養管理指導の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定居宅療養管理指導の提供を確保するため、同条第1号から第7号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定居宅療養管理指導事業所ごとに義務づけたものであること。なお、第4号の「指定居宅療養管理指導の種類」としては、当該事業所により提供される指定居宅療養管理指導の提供者の職種(医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士)ごとの種類を規定するものであること。
(4) 業務継続計画の策定等
(5) 衛生管理等
② 居宅基準第91条の規定により指定居宅療養管理指導の事業について準用される居宅基準第31条第3項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次のイからハまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該事業所における感染対策委員会であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、感染対策担当者を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
感染対策委員会は、居宅療養管理指導事業所の従業者が1名である場合は、ロの指針を整備することで、委員会を開催しないことも差し支えない。この場合にあっては、指針の整備について、外部の感染管理等の専門家等と積極的に連携することが望ましい。
ロ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。
ハ 感染症の予防及びまんs延の防止のための研修及び訓練
訪問入浴介護従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(6) 虐待の防止
(7) 記録の整備
居宅基準第90条の2第2項は、指定居宅療養管理指導事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
また、同項の指定居宅療養管理指導の提供に関する記録には、診療録、医師又は歯科医師の指示に基づく薬剤管理指導計画及び診療記録が含まれるものであること。
⑻ 準用
居宅基準第91条の規定により、居宅基準第8条から第13条まで、第16条、第18条、第19条、第21条、第26、第30条から第33条まで、第35条から第38条まで、第52条及び第64条の規定は、指定居宅療養管理指導の事業について準用されるものであるため、第3の一の3の(2)から(6)まで((2)の第三者評価の実施状況に係る規定を除く。)、(9)、(10)、(12)、(15)、(21)、(24)、(25)、(27)から(30)まで及び(32)、第3の二の3の(4)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。
② 準用される居宅基準第30条については、居宅療養管理指導従業者は、その職種によっては、労働者派遣法に規定する派遣労働者であってはならないものであること。
③ 準用される居宅基準第32条第3項及び第36条第1項については、指定居宅療養管理指導事業者が、自ら管理するホームページ等を有さず、ウェブサイトへの掲載が過重な負担となる場合は、これを行わないことができること。
六 通所介護
1 人員に関する基準
(1) 従業者の員数(居宅基準第93条)
① 指定通所介護の単位とは、同時に、一体的に提供される指定通所介護をいうものであることから、例えば、次のような場合は、2単位として扱われ、それぞれの単位ごとに必要な従業者を確保する必要がある。
イ 指定通所介護が同時に一定の距離を置いた2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているといえない場合
ロ 午前と午後とで別の利用者に対して指定通所介護を提供する場合また、利用者ごとに策定した通所介護計画に位置づけられた内容の指定通所介護が一体的に提供されていると認められる場合は、同一単位で提供時間数の異なる利用者に対して指定通所介護を行うことも可能である。なお、同時一体的に行われているとは認められない場合は、別単位となることに留意すること。
② 8時間以上9時間未満の指定通所介護の前後に連続して延長サービスを行う場合にあっては、事業所の実情に応じて、適当数の従業者を配置するものとする。
③ 居宅基準第93条第1項第1号の生活相談員、同項第3号の介護職員及び同条第2項の看護職員又は介護職員の人員配置については、当該職種の従業員がサービス提供時間内に勤務する時間数の合計(以下「勤務延時間数」という。)を提供時間数で除して得た数が基準において定められた数以上となるよう、勤務延時間数を確保するよう定めたものであり、必要な勤務延時間数が確保されれば当該職種の従業者の員数は問わないものである。
④ 生活相談員については、指定通所介護の単位の数にかかわらず、次の計算式のとおり指定通所介護事業所における提供時間数に応じた生活相談員の配置が必要になるものである。ここでいう提供時間数とは、当該事業所におけるサービス提供開始時刻から終了時刻まで(サービスが提供されていない時間帯を除く。)とする。
(確保すべき生活相談員の勤務延時間数の計算式)
提供日ごとに確保すべき勤務延時間数=提供時間数
例えば、1単位の指定通所介護を実施している事業所の提供時間数を6時間とした場合、生活相談員の勤務延時間数を、提供時間数である6時間で除して得た数が1以上となるよう確保すればよいことから、従業者の員数にかかわらず6時間の勤務延時間数分の配置が必要となる。また、例えば午前9時から正午、午後1時から午後6時の2単位の指定通所介護を実施している事業所の場合、当該事業所におけるサービス提供時間は午前9時から午後6時(正午から午後1時までを除く)となり。、提供時間数は8時間となることから、従業者の員数にかかわらず8時間の勤務延時間数分の配置が必要となる。
なお、指定通所介護事業所が、利用者の地域での暮らしを支えるため、医療機関、他の居宅サービス事業者、地域の住民活動等と連携し、指定通所介護事業所を利用しない日でも利用者の地域生活を支える地域連携の拠点としての機能を展開できるように、生活相談員の確保すべき勤務延時間数には、「サービス担当者会議や地域ケア会議に出席するための時間」、「利用者宅を訪問し、在宅生活の状況を確認した上で、利用者の家族も含めた相談・援助のための時間」、「地域の町内会、自治会、ボランティア団体等と連携し、利用者に必要な生活支援を担ってもらうなどの社会資源の発掘・活用のための時間」など、利用者の地域生活を支える取組のために必要な時間も含めることができる。
ただし、生活相談員は、利用者の生活の向上を図るため適切な相談・援助等を行う必要があり、これらに支障がない範囲で認められるものである。
⑤ 居宅基準第93条第1項第3号にいう介護職員(第2項の適用を受ける場合の看護職員又は介護職員を含む。以下⑤について同じ。)については、指定通所介護の単位ごとに、提供時間数に応じた配置が必要となるものであり、確保すべき勤務延時間数は、次の計算式のとおり提供時間数及び利用者数から算出される。なお、ここでいう提供時間数とは、当該単位における平均提供時間数(利用者ごとの提供時間数の合計を利用者数で除して得た数)とする。
(確保すべき介護職員の勤務延時間数の計算式)
・利用者数15人まで
単位ごとに確保すべき勤務延時間数=平均提供時間数
・利用者数16人以上
単位ごとに確保すべき勤務延時間数=((利用者数-15)÷5+1)×平均提供時間数
※平均提供時間数=利用者ごとの提供時間数の合計÷利用者数
例えば、利用者数18人、提供時間数を5時間とした場合、(18-15)÷5+1=1.6となり、5時間の勤務時間数を1.6名分確保すればよいことから、従業員の員数にかかわらず、5×1.6=8時間の勤務延時間数分の人員配置が必要となる。利用者数と平均提供時間数に応じて確保すべき勤務延時間数の具体例を別表二に示すものとする。
なお、介護職員については、指定通所介護の単位ごとに常時1名以上確保することとされているが、これは、介護職員が常に確保されるよう必要な配置を行うよう定めたものであり、例えば、計算式により算出した確保すべき勤務延時間数が、当該事業所におけるサービス提供開始時刻から終了時刻までの時間数に満たない場合であっても、常時1名以上が確保されるよう配置を行う必要があることに留意すること。
また、介護職員は、利用者の処遇に支障がない場合は他の指定通所介護の単位の介護職員として従事することができるとされたことから、例えば複数の単位の指定通所介護を同じ時間帯に実施している場合、単位ごとに介護職員等が常に1名以上確保されている限りにおいては、単位を超えて柔軟な配置が可能である。
⑥ 看護職員については、指定通所介護事業所の従業者により確保することに加え、病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により確保することも可能である。具体的な取扱いは以下のとおりとする。
ア 指定通所介護事業所の従業者により確保する場合
提供時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる必要はないが、当該看護職員は提供時間帯を通じて、指定通所介護事業所と密接かつ適切な連携を図るものとする。
イ 病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により確保する場合看護職員が指定通所介護事業所の営業日ごとに利用者の健康状態の確認を行い、病院、診療所、訪問看護ステーションと指定通所介護事業所が提供時間帯を通じて密接かつ適切な連携を図るものとする。
なお、アとイにおける「密接かつ適切な連携」とは、指定通所介護事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などを確保することである。
⑦ 利用者の数又は利用定員は、単位ごとの指定通所介護についての利用者の数又は利用定員をいうものであり、利用者の数は実人員、利用定員は、あらかじめ定めた利用者の数の上限をいうものである。従って、例えば、1日のうちの午前の提供時間帯に利用者10人に対して指定通所介護を提供し、午後の提供時間帯に別の利用者10人に対して指定通所介護を提供する場合であって、それぞれの指定通所介護の定員が10人である場合には、当該事業所の利用定員は10人、必要となる介護職員は午前午後それぞれにおいて利用者10人に応じた数ということとなり、人員算定上午前の利用者の数と午後の利用者の数が合算されるものではない。
⑧ 同一事業所で複数の単位の指定通所介護を同時に行う場合であっても、常勤の従業者は事業所ごとに確保すれば足りるものである(居宅基準第93条第7項関係)。
(2) 生活相談員(居宅基準第93条第1項第1号)
生活相談員については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条第2項に定める生活相談員に準ずるものである。
(3) 機能訓練指導員(居宅基準第93条第5項)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の資格を有する者(はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。)とする。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。
(4) 管理者(居宅基準第94条)
訪問介護の場合と同趣旨であるため、第三の一の1の(3)を参照されたい。
2 設備に関する基準(居宅基準第95条)
(1) 事業所
事業所とは、指定通所介護を提供するための設備及び備品を備えた場所をいう。原則として一の建物につき、一の事業所とするが、利用者の利便のため、利用者に身近な社会資源(既存施設)を活用して、事業所の従業者が当該既存施設に出向いて指定通所介護を提供する場合については、これらを事業所の一部とみなして設備基準を適用するものである。
(2) 食堂及び機能訓練室
指定通所介護事業所の食堂及び機能訓練室(以下「指定通所介護の機能訓練室等」という。)については、3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上とすることとされたが、指定通所介護が原則として同時に複数の利用者に対し介護を提供するものであることに鑑み、狭隘な部屋を多数設置することにより面積を確保すべきではないものである。ただし、指定通所介護の単位をさらにグループ分けして効果的な指定通所介護の提供が期待される場合はこの限りではない。
(3) 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備消火設備その他の非常災害に際して必要な設備とは、消防法その他の法令等に規定された設備を示しており、それらの設備を確実に設置しなければならないものである。
(4) 設備に係る共用
指定通所介護事業所と指定居宅サービス事業所等を併設している場合に、利用者へのサービス提供に支障がない場合は、設備基準上両方のサービスに規定があるもの(指定訪問介護事業所の場合は事務室)は共用が可能である。ただし、指定通所介護事業所の機能訓練室等と、指定通所介護事業所と併設の関係にある病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院における指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースについて共用する場合にあっては、以下の条件に適合することをもって、これらが同一の部屋等であっても差し支えないものとする。
イ 当該部屋等において、指定通所介護事業所の機能訓練室等と指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースが明確に区分されていること。
ロ 指定通所介護事業所の機能訓練室等として使用される区分が、指定通所介護事業所の設備基準を満たし、かつ、指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースとして使用される区分が、指定通所リハビリテーション事業所等の設備基準を満たすこと。
また、玄関、廊下、階段、送迎車両など、基準上は規定がないが、設置されるものについても、利用者へのサービス提供に支障がない場合は、共用が可能である。
なお、設備を共用する場合、居宅基準第104条第2項において、指定通所介護事業者は、事業所において感染症が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講じるよう努めなければならないと定めているところであるが、衛生管理等に一層努めること。
(5) 指定通所介護事業所の設備を利用し、夜間及び深夜に指定通所介護以外のサービスを提供する場合
指定通所介護の提供以外の目的で、指定通所介護事業所の設備を利用し、夜間及び深夜に指定通所介護以外のサービス(以下「宿泊サービス」という。)を提供する場合には、当該サービスの内容を当該サービスの提供開始前に当該指定通所介護事業者に係る指定を行った都道府県知事、指定都市又は中核市の市長(以下「指定権者」という。)に届け出る必要があり、当該サービスの届出内容については、別紙様式によるものとする。また、指定通所介護事業者は宿泊サービスの届出内容に係る介護サービス情報を都道府県に報告し、都道府県は情報公表制度を活用し宿泊サービスの内容を公表することとする。
指定通所介護事業者は届け出た宿泊サービスの内容に変更がある場合は、変更の事由が生じてから10日以内に指定権者に届け出るよう努めることとする。また、宿泊サービスを休止又は廃止する場合は、その休止又は廃止の日の1月前までに指定権者に届け出るよう努めることとする。
3 運営に関する基準
(1) 利用料等の受領
② 同条第3項は、指定通所介護事業者は、指定通所介護の提供に関して、
イ 利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域に居住する利用者に対して行う送迎に要する費用
ロ 指定通所介護に通常要する時間を超える指定通所介護であって利用者の選定に係るものの提供に伴い必要となる費用の範囲内において、通常の指定通所介護に係る居宅介護サービス費用基準額を超える費用
ハ 食事の提供に要する費用
ニ おむつ代
ホ 前各号に掲げるもののほか、指定通所介護の提供において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの
については、前2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、ハの費用については、居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針(平成17年厚生労働省告示第419号。以下「指針」という。)の定めるところによるものとし、ホの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものとする。
(2) 指定通所介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
① 指定通所介護は、個々の利用者に応じて作成された通所介護計画に基づいて行われるものであるが、グループごとにサービス提供が行われることを妨げるものではないこと。
② 居宅基準第98条第2号で定める「サービスの提供方法等」とは、通所介護計画の目標及び内容や利用日の行事及び日課等も含むものであること。
③ 指定通所介護の提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第104条の4第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
④ 認知症の状態にある要介護者で、他の要介護者と同じグループとして、指定通所介護を提供することが困難な場合には、必要に応じグループを分けて対応すること。
⑤ 指定通所介護は、事業所内でサービスを提供することが原則であるが、次に掲げる条件を満たす場合においては、事業所の屋外でサービスを提供することができるものであること。
イ あらかじめ通所介護計画に位置付けられていること。
ロ 効果的な機能訓練等のサービスが提供できること。
(3) 通所介護計画の作成
① 居宅基準第99条で定める通所介護計画については、介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある者や、介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者にそのとりまとめを行わせるものとし、当該事業所に介護支援専門員の資格を有する者がいる場合は、その者に当該計画のとりまとめを行わせることが望ましい。
② 通所介護計画は、サービスの提供に関わる従業者が共同して個々の利用者ごとに作成するものである。
③ 通所介護計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。なお、通所介護計画を作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該通所介護計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
④ 通所介護計画は利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、指定通所介護事業所の管理者は、通所介護計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該通所介護計画を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した通所介護計画は、居宅基準第104条の4第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
⑤ 通所介護計画の目標及び内容については、利用者又は家族に説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
⑥ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定通所介護事業者については、第3の一の3の(14)の⑥を準用する。この場合において、「訪問介護計画」とあるのは「通所介護計画」と読み替える。
(4) 運営規程
居宅基準第100条は、指定通所介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定通所介護の提供を確保するため、同条第1号から第11号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定通所介護事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
① 営業日及び営業時間(第3号)
指定通所介護の営業日及び営業時間を記載すること。
なお、8時間以上9時間未満の指定通所介護の前後に連続して延長サービスを行う指定通所介護事業所にあっては、サービス提供時間とは別に当該延長サービスを行う時間を運営規程に明記すること(居宅基準第117条第3号についても同趣旨)。
例えば、提供時間帯(9時間)の前に連続して1時間、後に連続して2時間、合計3時間の延長サービスを行う指定通所介護事業所にあっては、当該指定通所介護事業所の営業時間は12時間であるが、運営規程には、提供時間帯9時間、延長サービスを行う時間3時間とそれぞれ記載するものとすること(居宅基準第117条第3号の「営業日及び営業時間」についても同趣旨)。
② 指定通所介護の利用定員(第4号)
利用定員とは、当該指定通所介護事業所において同時に指定通所介護の提供を受けることができる利用者の数の上限をいうものであること(居宅基準第117条第4号の「指定通所リハビリテーションの利用定員」についても同趣旨)。
③ 指定通所介護の内容及び利用料その他の費用の額(第5号)
「指定通所介護の内容」については、入浴、食事の有無等のサービスの内容を指すものであること(居宅基準第117条第5号の「指定通所リハビリテーションの内容」についても同趣旨)。
④ サービス利用に当たっての留意事項(第7号)
利用者が指定通所介護の提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(機能訓練室を利用する際の注意事項等)を指すものであること(居宅基準第117条第7号についても同趣旨)。
⑤ 非常災害対策(第9号)
(5) 勤務体制の確保等
居宅基準第101条は、利用者に対する適切な指定通所介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。
①・② (略)
③ 同条第3項の規定は、指定訪問入浴介護に係る居宅基準第53条の2第3項と基本的に同趣旨であるため、第3の二の3の(6)③を参照されたいこと。
④ 同条第4項の規定は、指定訪問介護に係る居宅基準第30条第4項の規定と基本的に同趣旨であるため、第3の一の3の(21)④を参照されたいこと。
(6) 業務継続計画の策定等
① 居宅基準第105条の規定により指定通所介護の事業について準用される居宅基準第30条の2は、指定通所介護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定通所介護の提供を受けられるよう、業務継続計画を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、通所介護従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、居宅基準第105条の規定により指定通所介護の事業について準用される居宅基準第30条の2に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
② 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、「介護施設・事業所における感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。さらに、感染症に係る業務継続計画、感染症の予防及びまん延の防止のための指針、災害に係る業務継続計画並びに非常災害に関する具体的計画については、それぞれに対応する項目を適切に設定している場合には、一体的に策定することとして差し支えない。
イ 感染症に係る業務継続計画
a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
b 初動対応
c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
ロ 災害に係る業務継続計画
a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
c 他施設及び地域との連携
③ 研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
④ 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。また、災害の業務継続計画に係る訓練については、非常災害対策に係る訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(7) 非常災害対策
① 居宅基準第103条は、指定通所介護事業者は、非常災害に際して必要な具体的計画の策定、関係機関への通報及び連携体制の整備、避難、救出訓練の実施等の対策の万全を期さなければならないこととしたものである。関係機関への通報及び連携体制の整備とは、火災等の災害時に、地域の消防機関へ速やかに通報する体制をとるよう従業員に周知徹底するとともに、日頃から消防団や地域住民との連携を図り、火災等の際に消火・避難等に協力してもらえるような体制作りを求めることとしたものである。なお「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定により防火管理者を置くこととされている指定通所介護事業所にあってはその者に行わせるものとする。また、防火管理者を置かなくてもよいこととされている指定通所介護事業所においても、防火管理について責任者を定め、その者に消防計画に準ずる計画の樹立等の業務を行わせるものとする。
② 同条第2項は、指定通所介護事業者が前項に規定する避難、救出その他の訓練の実施に当たって、できるだけ地域住民の参加が得られるよう努めることとしたものであり、そのためには、日頃から地域住民との密接な連携体制を確保するなど、訓練の実施に協力を得られる体制づくりに努めることが必要である。訓練の実施に当たっては、消防関係者の参加を促し、具体的な指示を仰ぐなど、より実効性のあるものとすること。
⑻ 衛生管理等
① 居宅基準第104条は、指定通所介護事業所の必要最低限の衛生管理等について規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。
イ 指定通所介護事業者は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。
ロ 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。
ハ 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。
② 同条第2項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次のイからハまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該事業所における感染対策委員会であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、感染対策担当者を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
ロ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。
ハ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
通所介護従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(9) 地域との連携等
① 居宅基準第104条の2第1項は、指定通所介護の事業が地域に開かれた事業として行われるよう、指定通所介護事業者は、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。
② 同条第2項は、居宅基準第3条第2項の趣旨に基づき、介護サービス相談員を派遣する事業を積極的に受け入れる等、市町村との密接な連携に努めることを規定したものである。なお、「市町村が実施する事業」には、介護サービス相談員派遣事業のほか、広く市町村が老人クラブ、婦人会その他の非営利団体や住民の協力を得て行う事業が含まれるものである。
③ 同条第3項の規定は、指定訪問介護に係る居宅基準第36条の2第2項と基本的に同趣旨であるため、第3の一の3の(29)②を参照されたい。
(10) 事故発生時の対応
居宅基準第104条の3は、利用者が安心して指定通所介護の提供を受けられるよう、事故発生時の速やかな対応を規定したものである。指定通所介護事業者は、利用者に対する指定通所介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、当該事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならないこととしたものである。
また、利用者に対する指定通所介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。
なお、居宅基準第104条の4第2項の規定に基づき、事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録は、2年間保存しなければならない。
このほか、以下の点に留意するものとする。
① 利用者に対する指定通所介護の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定通所介護事業者が定めておくことが望ましいこと。
② 指定通所介護事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくか、又は賠償資力を有することが望ましいこと。
③ 指定通所介護事業者は、事故が発生した際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。
なお、夜間及び深夜に指定通所介護以外のサービスの提供により事故が発生した場合は、以上を踏まえた同様の対応を行うこととする。
(11) 虐待の防止
(12) 記録の整備
居宅基準第104条の4第2項は、指定通所介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
(13) 準用
居宅基準第105条の規定により、居宅基準第8条から第17条まで、第19条、第21条、第26条、第27条、第30条の2、第32条から第34条まで、第35条、第36条、第37条の2、第38条及び第52条は、指定通所介護の事業について準用されるものであるため、第3の一の3の(2)から⑻まで、(10)、(12)、(15)、(16)、(24)、(25)、(27)、(28)及び(32)並びに第3の二の3の(4)を参照されたい。
なお、居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針(平成17年厚生労働省告示第419号)一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、準用される居宅基準第32条に関する第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
4 共生型通所介護に関する基準
共生型通所介護は、指定障害福祉サービス等基準第78条第1項に規定する指定生活介護事業者、指定障害福祉サービス等基準第156条第1項に規定する指定自立訓練(機能訓練)事業者、指定障害福祉サービス等基準第166条第1項に規定する指定自立訓練(生活訓練)事業者、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「指定通所支援基準」という。)第5条第1項に規定する指定児童発達支援事業者又は指定通所支援基準第66条第1項に規定する指定放課後等デイサービス事業者が、要介護者に対して提供する指定通所介護をいうものであり、共生型通所介護事業所が満たすべき基準は、次のとおりであること。
① 従業者
指定生活介護事業所、指定自立訓練(機能訓練)事業所、指定自立訓練(生活訓練)事業所、指定児童発達支援事業所又は指定放課後等デイサービス事業所(以下この4において「指定生活介護事業所等」という。)の従業者の員数が、共生型通所介護を受ける利用者(要介護者)の数を含めて当該指定生活介護事業所等の利用者の数とした場合に、当該指定生活介護事業所等として必要とされる数以上であること。
この場合において、指定生活介護事業所の従業者については、前年度の利用者の平均障害支援区分に基づき、必要数を配置することになっているが、その算出に当たっては、共生型通所介護を受ける利用者(要介護者)は障害支援区分5とみなして計算すること。
② 管理者
指定通所介護の場合と同趣旨であるため、第3の六の1の(4)を参照されたい。なお、共生型通所介護事業所の管理者と指定生活介護事業所等の管理者を兼務することは差し支えないこと。
(2) 設備に関する基準
指定生活介護事業所等として満たすべき設備基準を満たしていれば足りるものであること。ただし、指定児童発達支援事業所又は指定放課後等デイサービス事業所の場合は、必要な設備等について要介護者が使用するものに適したものとするよう配慮すること。
なお、当該設備については、共生型サービスは要介護者、障害者及び障害児に同じ場所で同時に提供することを想定していることから、要介護者、障害者又は障害児がそれぞれ利用する設備を区切る壁、家具、カーテンやパーティション等の仕切りは、不要であること。
(3) 指定通所介護事業所その他の関係施設から、指定生活介護事業所等が要介護者の支援を行う上で、必要な技術的支援を受けていること。(居宅基準第105条の2第2号)
(4) 運営等に関する基準(居宅基準第105条の3)
居宅基準第105条の3の規定により、居宅基準第8条から第17条まで、第19条、第21条、第26条、第27条、第30条の2、第32条から第34条まで、第35条、第36条、第37条の2、第38条、第52条、第92条、第94条及び第95条第4項並びに第7章第4節(第105条を除く。)の規定は、共生型通所介護の事業について準用されるものであるため、第3の一の3の(2)から⑻まで、(10)、(12)、(15)、(16)、(24)、(25)、(27)、(28)及び(32)、第3の二の3の(4)並びに第3の六の2の(5)及び3の(1)から(12)までを参照されたいこと。
この場合において、準用される居宅基準第100条第4号及び第102条の規定について、共生型通所介護の利用定員は、共生型通所介護の指定を受ける指定生活介護事業所等において同時にサービス提供を受けることができる利用者数の上限をいうものであること。つまり、介護給付の対象となる利用者(要介護者)の数と障害給付の対象となる利用者(障害者及び障害児)の数との合計数により、利用定員を定めること。例えば、利用定員が20人という場合、要介護者と障害者及び障害児とを合わせて20人という意味であり、利用日によって、要介護者が10人、障害者及び障害児が10人であっても、要介護者が5人、障害者及び障害児が15人であっても、差し支えないこと。
なお、居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、準用される居宅基準第32条に関する第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
(5) その他の共生型サービスについて
訪問介護と同様であるので、第3の一の4の(5)を参照されたいこと。
(6) その他の留意事項
多様な利用者に対して、一体的にサービスを提供する取組は、多様な利用者が共に活動することで、リハビリや自立・自己実現に良い効果を生むといった面があることを踏まえ、共生型サービスは、要介護者、障害者及び障害児に同じ場所で同時に提供することを想定している。
このため、同じ場所において、サービスを時間によって要介護者、障害者及び障害児に分けて提供する場合(例えば、午前中に要介護者に対して通所介護、午後の放課後の時間に障害児に対して放課後等デイサービスを提供する場合)は、共生型サービスとしては認められないものである。
5 基準該当通所介護に関する基準
常勤の従業者を置く必要がない点及び管理者が常勤である必要がない点を除けば、指定通所介護の基準と同様であり、第三の六の1を参照されたい。
(2) 設備に関する基準(居宅基準第108条)
指定通所介護の場合と異なり、機能訓練や食事のためのスペースが確保されればよく、そのスペースが「機能訓練室」「食堂」といえるものである必要はないが、この点を除けば、指定通所介護の基準と同様であり、第三の六の2を参照されたい。
(3) 運営に関する基準
居宅基準第109条の規定により、居宅基準第8条から第14条まで、第16条、第17条、第19条、第21条、第26条、第27条、第30条の2、第32条から第34条まで、第35条、第36条(第5項及び第6項を除く。)、第37条の2、第38条、第52条、第92条及び第7章第4節(第96条第1項及び第105条を除く。)の規定は、基準該当通所介護の事業について準用されるものであるため、第3の一の3の(2)から(6)まで、⑻、(10)、(12)、(15)、(16)、(24)、(25)、(27)、(28)及び(32)、第3の二の3の(4)並びに第3の六の3((13)を除く。)を参照されたいこと。この場合において、準用される居宅基準第96条第2項の規定は、基準該当通所介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(100分の90、100分の80又は100分の70を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による通所介護が複数の市町村において基準該当通所介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。
なお、居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、準用される居宅基準第32条に関する第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
七 通所リハビリテーション
1 人員に関する基準
(1) 指定通所リハビリテーション事業所(居宅基準第111条第1項)
① 医師(第1号)
イ 専任の常勤医師が1人以上勤務していること。
ロ 指定通所リハビリテーションを行う介護老人保健施設又は介護医療院であって、病院又は診療所(医師について介護老人保健施設又は介護医療院の人員基準を満たす余力がある場合に限る。)と併設されているものについては、当該病院又は診療所の常勤医師との兼務で差し支えないものであること。
ハ 指定通所リハビリテーションを行う介護老人保健施設又は介護医療院であって、当該介護老人保健施設又は当該介護医療院に常勤医師として勤務している場合には、常勤の要件として足るものであること。
また、指定通所リハビリテーションを行う介護老人保健施設又は介護医療院であって、病院又は診療所(医師について介護老人保健施設又は介護医療院の人員基準を満たす余力がある場合に限る。)と併設されている事業所において指定通所リハビリテーション事業所の医師が、当該病院又は当該診療所の常勤医師と兼務している場合でも、常勤の要件として足るものであること。
ニ 指定通所リハビリテーション事業所のみなし指定を受けた介護老人保健施設又は介護医療院においては、当該介護老人保健施設又は当該介護医療院の医師の配置基準を満たすことをもって、通所リハビリテーション事業所の医師の常勤配置に係る基準を満たしているものとみなすことができること。
② 理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士又は看護師、准看護師若しくは介護職員(以下「従事者」という。)(第2号)
イ 指定通所リハビリテーションの単位とは、同時に、一体的に提供される指定通所リハビリテーションをいうものであることから、例えば、次のような場合は、2単位として扱われ、それぞれの単位ごとに必要な従業者を確保する必要がある。
a 指定通所リハビリテーションが同時に一定の距離を置いた2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているといえない場合
b 午前と午後とで別の利用者に対して指定通所リハビリテーションを提供する場合
ロ 7時間以上8時間未満の指定通所リハビリテーションの前後に連続して延長サービスを行う場合にあっては、事業所の実情に応じて、適当数の従業者を配置するものとする。
ハ 提供時間帯を通じて専ら当該指定通所リハビリテーションの提供に当たる従業者を確保するとは、指定通所リハビリテーションの単位ごとに理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士、看護職員若しくは介護職員について、提供時間帯に当該職種の従業者が常に居宅基準上求められる数以上確保されるよう必要な配置を行うよう定めたものである(例えば、提供時間帯を通じて専従する従業者が2人必要である場合、提供時間帯の2分の1ずつの時間専従する従業者の場合は、その員数としては4人が必要となる。)。
また、専らリハビリテーションの提供に当たる理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、利用者が100人又はその端数を増すごとに1以上確保するとは、指定通所リハビリテーションのうち、リハビリテーションを提供する時間帯に、当該職種の従事者が常に確保されるよう必要な配置を行うよう定めたものであり、所要時間1時間から2時間の指定通所リハビリテーションを行う場合であって、定期的に適切な研修を修了している看護師、准看護師、柔道整復師又はあん摩マッサージ師がリハビリテーションを提供する場合は、これらの者を当該単位におけるリハビリテーションの提供に当たる理学療法士等として計算することができる。この場合における「研修」とは、運動器リハビリテーションに関する理論、評価法等に関する基本的内容を含む研修会であって、関係学会等により開催されているものを指す。具体的には、日本運動器リハビリテーション学会の行う運動器リハビリテーションセラピスト研修、全国病院理学療法協会の行う運動療法機能訓練技能講習会が該当する。
ニ なお、ここでいう利用者の数又は利用定員は、単位ごとの指定通所リハビリテーションについての利用者の数又は利用定員をいうものであり、利用者の数は実人員、利用定員は、あらかじめ定めた利用者の数の上限をいうものである。従って、例えば、1日のうちの午前の提供時間帯に利用者10人に対して指定通所リハビリテーションを提供し、午後の提供時間帯に別の利用者10人に対して指定通所リハビリテーションを提供する場合であって、それぞれの指定通所リハビリテーションの定員が10人である場合には、当該事業所の利用定員は10人、必要となる従業者の員数は午前午後それぞれ1人ということとなり、人員算定上午前の利用者の数と午後の利用者の数が合算されるものではない。
ホ 同一事業所で複数の単位の指定通所リハビリテーションを同時に行う場合には、同時に行われる単位の数の常勤の従業者が必要となるものである(居宅基準第111条第1項・第2項関係)。
ヘ 従業者1人が1日に行うことのできる指定通所リハビリテーションは2単位までとすること。ただし、1時間から2時間までの指定通所リハビリテーションについては0.5単位として扱う。
(2) 指定通所リハビリテーション事業所が診療所である場合
① 医師(第1号)
イ 利用者の数が同時に10人を超える場合にあっては、(1)①を準用すること。
ロ 利用者の数が同時に10人以下の場合にあっては、次に掲げる要件に適合していること。
a 専任の医師が1人勤務していること。
b 利用者数は、専任の医師1人に対し1日48人以内であること。
② 理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士又は看護師、准看護師若しくは介護職員(以下「従事者」という。)(第2号)
イ 単位数に関する取扱い及び所要時間1時間から2時間の通所リハビリテーションを行う場合の考え方については、指定通所リハビリテーション事業所が診療所以外である場合と同様であるので、1(1)②を参考とすること。
ロ 経験を有する看護師とは、診療報酬の算定方法に定める重度認知症患者デイケア、精神科デイケア、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料に係る施設基準の届出を行った保険医療機関等又は「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第19号)に定める通所リハビリテーションに係る施設基準の届出を行った指定通所リハビリテーション事業所、「指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第127号)に定める介護予防通所リハビリテーションに係る施設基準の届出を行った指定介護予防通所リハビリテーション事業所、「厚生労働大臣が定める特定診療費及び特別診療費に係る指導管理等及び単位数」(平成12年厚生省告示第30号)に定める理学療法、作業療法に係る施設基準の届出を行った介護保険施設において、それらに一年以上従事した者であること。
(3) 共生型自立訓練又は基準該当自立訓練を併せて行う際の取扱い
共生型サービス又は基準該当サービスとして障害福祉サービスにおける機能訓練(自立訓練)を行う場合においては、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び関係規定に基づき適切に実施すること。
なお、人員基準を満たすにあたっては、通所リハビリテーションの利用者数に、障害福祉サービスの利用者数を合算することとし、利用者に対するサービス提供が適切に行われると認められる場合において、従事者が双方のサービスに従事することは差し支えない。
2 設備に関する基準
(1) 指定通所リハビリテーション事業所ごとに備える設備については、専ら指定通所リハビリテーション事業の用に供するものでなければならないこととされているが、病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院が互いに併設される場合(同一敷地内にある場合、又は公道をはさんで隣接している場合をいう。)であって、そのうちの複数の施設において、指定通所リハビリテーション事業を行う場合には、以下の条件に適合するときは、それぞれの指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが同一の部屋等であっても差し支えないものとする。
① 当該部屋等において、それぞれの指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが明確に区分されていること。
② それぞれの指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが、次に掲げる面積要件(居宅基準第112条第1項)を満たしていること。
3平方メートルに利用定員を乗じた面積以上であるものを有すること。ただし、介護老人保健施設又は介護医療院の場合は、当該専用の部屋等の面積に利用者用に確保されている食堂(リハビリテーションに供用されるものに限る。)の面積を加えるものとすること。
(2) 指定通所リハビリテーションを行うためのスペースと、当該指定通所リハビリテーション事業所と併設の関係にある特別養護老人ホーム、社会福祉施設等における指定通所介護の機能訓練室等との関係については、第3の六の2の(4)を参照されたい。
ただし、保険医療機関が医療保険の脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションの届出を行っており、当該保険医療機関において、指定通所リハビリテーション(1時間以上2時間未満に限る)又は指定介護予防通所リハビリテーションを実施する場合には、医療保険の脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションを受けている患者と介護保険の指定通所リハビリテーション又は指定介護予防通所リハビリテーションの利用者に対するサービス提供に支障が生じない場合に限り、同一のスペースにおいて行うことも差し支えない。この場合の居宅基準第112条第1項の指定通所リハビリテーションを行うために必要なスペースは、医療保険のリハビリテーションの患者数に関わらず、常時、3平方メートルに指定通所リハビリテーションの利用者数(指定通所リハビリテーションの事業と指定介護予防通所リハビリテーションの事業とが同一の事業所において一体的に運営されている場合にあっては、指定通所リハビリテーションの利用者数と指定介護予防通所リハビリテーションの利用者数の合計数)を乗じた面積以上とする。
なお、機器及び機具は、サービス提供時間に関わらず、各サービスの提供に支障が生じない場合に限り、共用して差し支えない。(予防基準第118条の基準についても同様)。
(3) 共生型サービス又は基準該当サービスとして障害福祉サービスにおける機能訓練(自立訓練)を行う場合においては、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び関係規定に基づき適切に実施すること。
なお、施設基準を満たすにあたっては、通所リハビリテーションの利用者数に、障害福祉サービスの利用者数を合算することとし、利用者に対するサービス提供が適切に行われると認められる場合において、設備を共有することは差し支えない。
3 運営に関する基準
(1) 指定通所リハビリテーションの基本的取扱方針及び具体的取扱方針
① 指定通所リハビリテーションは、指定通所リハビリテーション事業所の医師の診療に基づき、個々の利用者に応じて作成された通所リハビリテーション計画に基づいて行われるものであるが、グループごとにサービス提供が行われることを妨げるものではないこと。
② 指定通所リハビリテーション事業所の医師が、指定通所リハビリテーションの実施に当たり、当該事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対し、利用者に対する当該リハビリテーションの目的に加えて、当該リハビリテーション開始前又は実施中の留意事項、やむを得ず当該リハビリテーションを中止する際の基準、当該リハビリテーションにおける利用者に対する負荷等の指示を行うこと。
③ 指定通所リハビリテーションの提供に当たっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第118条の2第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
④ 指定通所リハビリテーションをより効果的に実施するため、介護支援専門員や医療ソーシャルワーカー等の協力を得て実施することが望ましいこと。
⑤ 指定通所リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、介護支援専門員を通じて、指定訪問介護の事業その他の指定居宅サービスに該当する事業に係る従業者に対し、リハビリテーションの観点から、日常生活上の留意点、介護の工夫などの情報を伝達していること。
⑥ 主として認知症等の精神障害を有する利用者を対象とした指定通所リハビリテーションにあっては、作業療法士等の従業者により、主として脳血管疾患等に起因する運動障害を有する利用者にあっては、理学療法士等の従業者により効果的に実施されるべきものであること。
⑦ リハビリテーション会議の構成員は、利用者及びその家族を基本としつつ、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者、看護師、准看護師、介護職員、介護予防・日常生活支援総合事業のサービス担当者及び保健師等とすること。また、必要に応じて歯科医師、管理栄養士、歯科衛生士等が参加すること。
なお、利用者の家族について、家庭内暴力等により参加が望ましくない場合や、遠方に住んでいる等のやむを得ない事情がある場合においては、必ずしもその参加を求めるものではないこと。
また、リハビリテーション会議の開催の日程調整を行ったが、構成員がリハビリテーション会議を欠席した場合は、速やかに当該会議の内容について欠席者との情報共有を図ること。
リハビリテーション会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、利用者又はその家族(以下この⑧において「利用者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない。なお、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
⑧ 指定通所リハビリテーションは、事業所内でサービスを提供することが原則であるが、次に掲げる条件を満たす場合においては、事業所の屋外でサービスを提供することができるものであること。
イ あらかじめ通所リハビリテーション計画に位置付けられていること。
ロ 効果的なリハビリテーションのサービスが提供できること。
(2) 通所リハビリテーション計画の作成
① 通所リハビリテーション計画は、指定通所リハビリテーション事業所の医師の診療に基づき、利用者ごとに作成すること。記載内容については別途通知(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」)の様式例及び記載方法を参照すること。また、通所リハビリテーション計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直していること。
② 通所リハビリテーション計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないことから、通所リハビリテーション計画を作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該通所リハビリテーション計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 医療機関から退院した利用者に対し通所リハビリテーション計画を作成する場合には、医療と介護の連携を図り、連続的で質の高いリハビリテーションを行う観点から、当該医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等を入手し、当該利用者に係るリハビリテーションの情報を把握しなければならない。
その際、リハビリテーション実施計画書以外の退院時の情報提供に係る文書を用いる場合においては、当該文書にリハビリテーション実施計画書の内容(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」の別紙様式2-2-1の項目である「本人・家族等の希望」「健康状態、経過」「心身機能・構造」「活動」「リハビリテーションの短期目標」「リハビリテーションの長期目標」「リハビリテーションの方針」「本人・家族への生活指導の内容(自主トレ指導含む)」「リハビリテーション実施上の留意点」「リハビリテーションの見直し・継続理由」「リハビリテーションの終了目安」)が含まれていなければならない。
ただし、当該医療機関からリハビリテーション実施計画書等が提供されない場合においては、当該医療機関の名称及び提供を依頼した日付を記録に残すこと。
④ 通所リハビリテーション計画は医師の診療に基づき、利用者の病状、心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、指定通所リハビリテーション事業所の医師及び理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、当該計画の作成に当たっては、その目標や内容等について、利用者及びその家族に理解しやすい方法で説明を行った上で利用者の同意を得なければならず、また、リハビリテーション計画書を利用者に交付しなければならない。なお、その実施状況や評価等についても説明を行うこと。
⑤ 指定通所リハビリテーション事業者が、指定訪問リハビリテーション事業者の指定を併せて受け、かつ、リハビリテーション会議の開催等を通じて、指定通所リハビリテーション及び指定訪問リハビリテーションの目標並びに当該目標を踏まえたリハビリテーション提供内容について整合性のとれた通所リハビリテーション計画を作成した場合については、訪問リハビリテーション計画に係る基準を満たすことによって、通所リハビリテーション計画に係る基準を満たしているとみなすことができる。
当該計画の作成に当たっては、各々の事業の目標を踏まえた上で、共通目標を設定すること。また、その達成に向けて各々の事業の役割を明確にした上で、利用者に対して一連のサービスとして提供できるよう、個々のリハビリテーションの実施主体、目的及び具体的な提供内容等を1つの目標として分かりやすく記載するよう留意すること。
指定通所リハビリテーション及び指定訪問リハビリテーションにおいて整合性のとれた計画に従いリハビリテーションを実施した場合には、居宅基準第115条第6項に規定する診療記録を一括して管理しても差し支えないものであること。
⑥ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定通所リハビリテーション事業者については、第3の一の3の(14)の⑥を準用する。この場合において、「訪問介護計画」とあるのは「通所リハビリテーション計画」と読み替える。
(2) 管理者等の責務
居宅基準第116条第1項は、指定通所リハビリテーション事業所の管理者は、医師、理学療法士、作業療法士又は専ら指定通所リハビリテーションの提供に当たる看護師のうちから選任した者に、必要な管理の代行をさせることができる旨を明記したものであること。この場合、組織図等により、指揮命令系統を明確にしておく必要がある。
(3) 運営規程
7時間以上8時間未満の指定通所リハビリテーションの前後に連続して延長サービスを行う指定通所リハビリテーション事業所にあっては、通所介護と同様であるので、第3の六の3の(4)の①を参照されたい。
(4) 業務継続計画の策定等
(5) 衛生管理等
① 居宅基準第118条第1項は、指定通所リハビリテーション事業所の必要最低限の衛生管理等を規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。
イ 指定通所リハビリテーション事業者は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。
ロ 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。
ハ 医薬品の管理については、当該指定通所リハビリテーション事業所の実情に応じ、地域の薬局の薬剤師の協力を得て行うことも考えられること。
ニ 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。
② 居宅基準第118条第2項の規定については、通所介護と同様であるので、第3の六の3の⑻の②を参照されたい。
(6) 虐待の防止
(7) 記録の整備
居宅基準第118条の2第2項は、指定通所リハビリテーション事業所が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
また、同項の指定通所リハビリテーションの提供に関する記録には診療記録及びリハビリテーション会議の記録が含まれるものであること。
⑻ 準用
居宅基準第119条の規定により、居宅基準第8条から第13条まで、第15条から第17条まで、第19条、第21条、第26条、第27条、第30条の2、第32条、第33条、第35条から第38条まで、第64条、第96条及び第101条から第103条までの規定は、指定通所リハビリテーションの事業について準用されるものであることから、第3の一の3の(2)から⑻まで((2)の第三者評価の実施状況に係る規定を除く。)、(10)、(12)、(15)、(16)、(24)、(25)及び(27)から(30)まで及び(32)、第3の三の3の(2)並びに第3の六の3の(1)、(5)及び(7)を参照されたい。この場合において、特に次の点に留意するものとする。
① 居宅基準第13条中「心身の状況」とあるのは「心身の状況、病歴」と読み替えられることに留意された
② 準用される居宅基準第101条第1項については、指定通所リハビリテーション事業所ごとに、指定通所リハビリテーション従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、専従の理学療法士、作業療法士、経験看護師等、看護職員及び介護職員の配置、管理者との兼務関係等を勤務表上明確にし、人員に関する基準が満たされていることを明らかにする必要があること。
なお、居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、準用される居宅基準第32条に関する第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
八 短期入所生活介護
(1) 従業者の員数
① 居宅基準第121条第2項の適用を受ける特別養護老人ホームとは、入所者に利用されていない居室又はベッドを利用して指定短期入所生活介護を行う特別養護老人ホームを意味するものである。
② 併設事業所については、
イ 居宅基準第121条第4項の「特別養護老人ホーム等と一体的に運営が行われる」とは、併設本体施設の事業に支障が生じない場合で、かつ、夜間における介護体制を含めて指定短期入所生活介護を提供できる場合である。
ロ 医師、栄養士及び機能訓練指導員については、併設本体施設に配置されている場合であって当該施設の事業に支障を来さない場合は兼務させて差し支えない。
ハ 生活相談員、介護職員及び看護職員の員数については、併設されているのが特別養護老人ホームである場合には、特別養護老人ホームとして確保すべき員数と指定短期入所生活介護事業所として確保すべき員数の合計を、特別養護老人ホームの入所者と併設事業所の利用者の数とを合算した数について常勤換算方法により必要とされる従業者の数とするものである。例えば、入所者50人、利用者10人の場合の看護・介護職員の員数は、50÷3=17(端数切り上げ)と10÷3=4(端数切り上げ)の合計で21人となるのではなく、(50+10)÷3=20人となる。
ニ また、併設されているのが特別養護老人ホームでない場合も、従業者の員数の計算上、特別養護老人ホームの場合と同様の端数の処理を行うことができるものとする。例えば、特定施設に併設されている場合で、特定施設入居者生活介護の利用者が110人、短期入所生活介護の利用者が20人である場合の生活相談員の員数は、110+20=130人について計算するため、合計で2人ということとなる。
③ ユニット型指定短期入所生活介護事業所と指定短期入所生活介護事業所(ユニット型指定短期入所生活介護事業所を除く)が併設され一体的に運営される場合、生活相談員の員数については、ユニット型指定短期入所生活介護事業所として確保すべき員数と指定短期入所生活介護事業所として確保すべき員数の合計を、それぞれの事業所の利用者を合算した数について常勤換算方法により必要とされる従業者の数とするものである。
(2) 生活相談員(居宅基準第121条第1項第2号)
生活相談員については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条第2項に定める生活相談員に準ずるものとする。
(3) 看護職員
居宅基準第121条第6項に規定する「密接な連携」とは、以下のいずれも満たしている場合のことをいう。
① 病院等(病院、診療所又は訪問看護ステーション(併設事業所にあっては、同項に規定する併設本体施設を含む。)をいう。②及び③において同じ。)の看護職員が必要に応じて指定短期入所生活介護事業所の利用者の健康状態の確認を行っていること。
② 病院等において、指定短期入所生活介護事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などが確保されていること。また、指定短期入所生活介護事業所において、病院等からの適切な指示等を受けることができる体制が確保されていること。
③ 病院等及び指定短期入所生活介護事業所において、指定短期入所生活介護事業所と連携を行う看護職員が十分な休憩時間を確保できるよう徹底していること。
(4) 機能訓練指導員(居宅基準第121条第7項)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の資格を有する者(はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。)とする。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事等を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。
(5) 栄養士
居宅基準第121条第1項ただし書に規定する「他の社会福祉施設等の栄養士との連携を図ることにより当該指定短期入所生活介護事業所の効果的な運営を期待することができる場合であって、利用者の処遇に支障がないとき」とは、隣接の他の社会福祉施設や病院等の栄養士との兼務や地域の栄養指導員(健康増進法第19条第1項に規定する栄養指導員をいう。)との連携を図ることにより、適切な栄養管理が行われている場合である。
(6) 管理者
指定短期入所生活介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
① 当該指定短期入所生活介護事業所の短期入所生活介護従業者としての職務に従事する場合
② 同一の事業者によって設置された他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合であって、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する時間帯も、当該指定短期入所生活介護事業所の利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握でき、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令に支障が生じないときに、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される訪問系サービスの事業所のサービス提供を行う従業者と兼務する場合(訪問系サービス事業所における勤務時間が極めて限られている場合を除く。)、事故発生時等の緊急時において管理者自身が速やかに当該指定短期入所生活介護事業所に駆け付けることができない体制となっている場合などは、一般的には管理業務に支障があると考えられる。)
(1) ユニット型指定短期入所生活介護の事業と指定短期入所生活介護の事業(ユニット型指定短期入所生活介護の事業を除く)との一体的運営について
ユニット型指定短期入所生活介護事業所と指定短期入所生活介護事業所(ユニット型指定短期入所生活介護の事業を除く。)が併設され一体的に運営される場合であって、それらの利用定員の総数が20人以上である場合にあっては、その利用定員を20人未満であってもよいものとして取扱うことができることとされたが、「併設され一体的に運営される場合」とは、併設ユニット型指定短期入所生活介護の事業に支障が生じない場合で、かつ、夜間における介護体制を含めて指定短期入所生活介護を提供できる場合である。
(2) 指定短期入所生活介護事業所の建物は、利用者が身体的、精神的に障害を有する者であることに鑑み、利用者の日常生活のために使用しない附属の建物を除き耐火建築物としなければならない。ただし、利用者の日常生活に充てられる居室、静養室、食堂、浴室及び機能訓練室(以下「居室等」という。)を2階以上の階及び地階のいずれにも設けていない建物については、準耐火建築物とすることができる。また、居室等を2階又は地階に設ける場合であっても、基準第124条第1項第2号に掲げる要件を満たし、火災に係る利用者の安全性が確保されていると認められる場合には、準耐火建築物とすることができる。
(3) 基準第124条第2項における「火災に係る利用者の安全性が確保されている」と認めるときは、次の点を考慮して判断されたい。
① 同条第2項各号の要件のうち、満たしていないものについても、一定の配慮措置が講じられていること。
② 日常における又は火災時の火災に係る安全性の確保が、利用者が身体的、精神的に障害を有する者であることに鑑みてなされていること。
③ 管理者及び防火管理者は、当該指定短期入所生活介護事業所の建物の燃焼性に対する知識を有し、火災の際の危険性を十分認識するとともに、職員等に対して、火気の取扱いその他火災予防に関する指導監督、防災意識の高揚に努めること。
④ 定期的に行うこととされている避難等の訓練は、当該短期入所生活介護事業所の建物の燃焼性を十分に勘案して行うこと。
(4) 指定短期入所生活介護事業所の設備は、当該指定短期入所生活介護の運営上及びサービス提供上当然設けなければならないものであるが、同一敷地内に他の社会福祉施設が設置されている場合等であって、当該施設の設備を利用することにより指定短期入所生活介護事業所の効果的な運営が図られ、かつ、当該指定短期入所生活介護事業所の利用者及び当該施設の入所者のサービス提供に支障がない場合には、利用者が日常継続的に使用する設備以外の調理室等の設備について、その一部を設けないことができる。なお、指定短期入所生活介護事業者が利用する他の施設の当該設備については、本基準に適合するものでなければならない。
(5) 便所等面積又は数の定めのない設備については、それぞれの設備の持つ機能を十分に発揮し得る適当な広さ又は数を確保するよう配慮するものとする。
(6) 指定短期入所生活介護事業所における廊下の幅は、利用者の身体的、精神的特性及び非常災害時における迅速な避難、救出の確保を考慮して定められたものである。なお、「中廊下」とは、廊下の両側に居室、静養室等利用者の日常生活に直接使用する設備のある廊下をいう。
(7) 指定短期入所生活介護事業所に設置する傾斜路は、利用者の歩行及び輸送車、車椅子等の昇降並びに災害発生時の避難、救出に支障がないようその傾斜はゆるやかにし、表面は、粗面又はすべりにくい材料で仕上げるものとする。
(8) 調理室には、食器、調理器具等を消毒する設備、食器、食品等を清潔に保管する設備並びに防虫及び防鼠の設備を設けるものとする。
(9) 汚物処理室は、他の設備と区別された一定のスペースを有すれば足りるものである。
(10) 焼却炉、浄化槽その他の汚物処理設備及び便槽を設ける場合には、居室、静養室、食堂及び調理室から相当の距離を隔てて設けるものとする。
(12) 経過措置(居宅基準附則第3条)
この省令の施行の際現に存する老人短期入所事業を行っている施設又は老人短期入所施設(基本的な設備が完成されているものを含み、この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、設備基準のうち一の居室の定員に関する基準(4人以下)、利用者1人当たりの床面積に関する基準(10.65平方メートル以上)、食堂及び機能訓練室の面積に関する基準(3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上)並びに構造設備の基準(廊下の幅の基準、常夜灯の設置、傾斜路の設置等)を適用しないものである。
3 運営に関する基準
(1) 内容及び手続の説明及び同意
居宅基準第125条は、指定短期入所生活介護事業者は、利用者に対し適切な指定短期入所生活介護を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、当該指定短期入所生活介護事業所の運営規程の概要、短期入所生活介護従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等(当該指定短期入所生活介護事業者が、他の介護保険に関する事業を併せて実施している場合、当該パンフレット等について、一体的に作成することは差し支えないものとする。)の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定短期入所生活介護の提供を受けること(サービスの内容及び利用期間等を含む)につき同意を得なければならないこととしたものである。なお、当該同意については、利用者及び指定短期入所生活介護事業者双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。
(2) 指定短期入所生活介護の開始及び終了
居宅基準第126条第2項は、利用者が指定短期入所生活介護の利用後においても、利用前と同様のサービスを受けられるよう、指定短期入所生活介護事業者は、居宅介護支援事業者その他保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携により、指定短期入所生活介護の提供の開始前から終了後に至るまで利用者が継続的に保健医療サービス又は福祉サービスを利用できるよう必要な援助に努めなければならないこととしたものである。
(3) 利用料等の受領
② 同条第3項は、指定短期入所生活介護事業者は、指定短期入所生活介護の提供に関して、
イ 食事の提供に要する費用(法第51条の2第1項又は法第61条の2第1項の規定により特定入所者介護サービス費が利用者に支給された場合は、法第51条の2第2項第1号に規定する食費の基準費用額(法第51条の2第4項の規定により当該特定入所者介護サービス費等が利用者に代わり当該指定短期入所生活介護事業者に支払われた場合は、法第51条の2第2項第1号に規定する食費の負担限度額)を限度とする。)
ロ 滞在に要する費用(法第51条の2第1項の規定により特定入所者介護サービス費等が利用者に支給された場合は、法第51条の2第2項第2号に規定する居住費の基準費用額(法第51条の2第4項の規定により当該特定入所者介護サービス費等が利用者に代わり当該指定短期入所生活介護事業者に支払われた場合は、法第51条の2第2項第2号に規定する居住費の負担限度額)を限度とする。)
ハ 厚生労働大臣の定める基準に基づき利用者が選定する特別な居室の提供を行ったことに伴い必要となる費用
ニ 厚生労働大臣の定める基準に基づき利用者が選定する特別な食事の提供を行ったことに伴い必要となる費用
ホ 送迎に要する費用(厚生労働大臣が別に定める場合を除く。)
ヘ 理美容代
ト 前各号に掲げるもののほか、指定短期入所生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるものについては、前2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、イからニまでの費用については、指針及び厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等(平成12年厚生省告示第123号。以下「特別な居室等の基準等」という。)の定めるところによるものとし、トの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものとする。
③ 同条第5項は、指定短期入所生活介護事業者は、同条第3項の費用の支払を受けるに当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対して、その額等を記載した書類を交付して、説明を行い、利用者の同意を得なければならないこととしたものである。また、同項第1号から第4号までの利用料に係る同意については、文書によって得なければならないこととしたものである。
(4) 指定短期入所生活介護の取扱方針
① 居宅基準第128条第2項で定める「相当期間以上」とは、概ね4日以上連続して利用する場合を指すこととするが、4日未満の利用者にあっても、利用者を担当する居宅介護支援事業者等と連携をとること等により、利用者の心身の状況等を踏まえて、他の短期入所生活介護計画を作成した利用者に準じて、必要な介護及び機能訓練等の援助を行うものとする。
② 同条第3項で定めるサービス提供方法等とは、短期入所生活介護計画の目標及び内容や利用期間内の行事及び日課等も含むものである。
③ 同条第4項及び第5項は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第139条の3第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
④ 同条第6項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」(以下「身体的拘束等適正化検討委員会」という。)とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会であり、委員会の構成メンバーは、事業所の管理者及び従業者より構成する場合のほか、これらの職員に加えて、第三者や専門家を活用した構成とすることが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等も考えられる。また、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。
また、身体的拘束等適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
指定短期入所生活介護事業者が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
イ 身体的拘束等について報告するための様式を整備すること。
ロ 介護従業者その他の従業者は、身体的拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、イの様式に従い、身体的拘束等について報告すること。
ハ 身体的拘束等適正化検討委員会において、ロにより報告された事例を集計し、分析すること。
ニ 事例の分析に当たっては、身体的拘束等の発生時の状況等を分析し、身体的拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
ホ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
へ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。
⑤ 指定短期入所生活介護事業者が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
イ 事業所における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
ロ 身体的拘束等適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ハ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
ニ 事業所内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
ホ 身体的拘束等発生時の対応に関する基本方針
へ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
ト その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
⑥ 介護従業者その他の従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修の内容としては、身体的拘束等の適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定短期入所生活介護事業者における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定短期入所生活介護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修事業所内での研修で差し支えない。
(5) 短期入所生活介護計画の作成
① 居宅基準第129条で定める短期入所生活介護計画については、介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある者や、介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者にそのとりまとめを行わせるものとし、当該事業所に介護支援専門員の資格を有する者がいる場合は、その者に当該計画のとりまとめを行わせることが望ましいものである。
② 短期入所生活介護計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならない。
なお、短期入所生活介護計画を作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該短期入所生活介護計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 短期入所生活介護計画は利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保証するため、指定短期入所生活介護事業所の管理者は、短期入所生活介護計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該短期入所生活介護計画を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した短期入所生活介護計画は、居宅基準第139条の3第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
④ 短期入所生活介護計画の作成に当たっては、居宅サービス計画を考慮しつつ、利用者の希望を十分勘案し、利用者の日々の介護状況に合わせて作成するものとする。
⑤ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定通所介護事業者については、第3の一の3の(14)の⑥を準用する。この場合において、「訪問介護計画」とあるのは「短期入所生活介護計画」と読み替える。
(6) 介護
① 居宅基準第130条で定める介護サービスの提供に当たっては、利用者の人格に十分配慮し、在宅生活へ復帰することを念頭において行うことが基本であり、そのためには、利用者の家庭環境等を十分踏まえて、自立している機能の低下が起きないようにするとともに残存機能の維持向上が図られるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとすること。
② 入浴は、利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、適切な方法により実施するものとする。なお、入浴の実施に当たっては、事前に健康管理を行い、入浴することが困難な場合は、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。
③ 排せつの介護は、利用者の心身の状況や排せつ状況などを基に、自立支援を踏まえて、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。
④ 利用者がおむつを使用せざるを得ない場合には、その心身及び活動の状況に適したおむつを提供するとともに、おむつ交換は、頻繁に行えばよいということではなく、利用者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。
⑤ 同条第5項は、短期間の入所ではあるが、生活にメリハリをつけ、生活面での積極性を向上させる観点から、1日の生活の流れに沿って、離床、着替え、整容など利用者の心身の状況に応じた日常生活上の世話を適切に行うべきことを定めたものである。
⑥ 同条第6項の「常時1人以上の介護職員を介護に従事させ」るとは、夜間を含めて適切な介護を提供できるように介護職員の勤務体制を定めておかなければならないことを規定したものである。なお、介護サービスの提供に当たっては、提供内容に応じて、職員体制を適切に組むものとする。
(7) 食事
① 食事の提供について
利用者ごとの栄養状態を定期的に把握し、個々の利用者の栄養状態に応じた栄養管理を行うように努めるとともに、摂食・嚥下機能その他の利用者の身体の状況や、食形態、嗜好等にも配慮した適切な栄養量及び内容とすること。また、利用者の自立の支援に配慮し、できるだけ離床して食堂で行われるよう努めなければならないこと。
② 調理について
調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。
③ 適時の食事の提供について
食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。
④ 食事の提供に関する業務の委託について
食事の提供に関する業務は指定短期入所生活介護事業者自らが行うことが望ましいが、栄養管理、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理、労働衛生管理について事業者自らが行う等、当該事業者の管理者が業務遂行上必要な注意を果たし得るような体制と契約内容により、食事サービスの質が確保される場合には、当該事業者の最終的責任の下で第三者に委託することができること。
⑤ 居室関係部門と食事関係部門との連携について
食事提供については、利用者の嚥下や咀嚼の状況、食欲など心身の状態等を当該利用者の食事に的確に反映させるために、居室関係部門と食事関係部門との連絡が十分とられていることが必要であること。
⑥ 栄養食事相談
利用者に対しては適切な栄養食事相談を行う必要があること。
⑦ 食事内容の検討について
食事内容については、当該事業者の医師又は栄養士を含む会議において検討が加えられなければならないこと。
(8) 機能訓練
居宅基準第132条に定める機能訓練は、利用者の家庭環境等を十分に踏まえて、日常生活の自立を助けるため、必要に応じて提供しなければならない。なお、日常生活及びレクリエーション、行事の実施等に当たっても、その効果を配慮するものとする。
(9) 健康管理
居宅基準第133条第1項は、健康管理が、医師及び看護職員の業務であることを明確にしたものである。
(10) 相談及び援助
居宅基準第134条に定める相談及び援助は、常時必要な相談及び援助を行い得る体制をとることにより、積極的に利用者の在宅生活の向上を図ることを趣旨とするものである。
(11) その他のサービスの提供
居宅基準第135条に定めるレクリエーション行事は、(8)の趣旨を踏まえて行うものとする。
(12) 緊急時等の対応
居宅基準第136条は、短期入所生活介護従業者が現に指定短期入所生活介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治医又はあらかじめ当該指定短期入所生活介護事業者が定めた協力医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものであるが、協力医療機関については、次の点に留意するものとする。
① 協力医療機関は、緊急時等に速やかに対応できるよう、指定短期入所生活介護事業所から近距離にあることが望ましいものであること。
② 緊急時において円滑な協力を得るため、当該協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくこと。
(13) 運営規程
居宅基準第137条は、指定短期入所生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定短期入所生活介護の提供を確保するため、同条第1号から第10号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定短期入所生活介護事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
① 利用定員(第3号)利用定員は、指定短期入所生活介護の事業の専用の居室のベッド数と同数とすること。
② 指定短期入所生活介護の内容(第4号)
「指定短期入所生活介護の内容」については、送迎の有無も含めたサービスの内容を指すものであること(居宅基準第153条第3号についても同趣旨)。
③ 通常の送迎の実施地域(第5号)通常の送迎の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の送迎の実施地域は、送迎に係る費用の徴収等の目安であり、当該地域以外の地域に居住する被保険者に対して送迎が行われることを妨げるものではないものであること(居宅基準第153条第4号についても同趣旨)。
④ サービス利用に当たっての留意事項(第6号)利用者が指定短期入所生活介護の提供を受ける際の、利用者側が留意すべき事項(入所生活上のルール、設備の利用上の留意事項等)を指すものであること(居宅基準第153条第5号及び第189条第6号についても同趣旨)。
⑤ その他運営に関する重要事項(第10号)
当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続について定めておくことが望ましい。
(14) 業務継続計画の策定等
(15) 定員の遵守
指定短期入所生活介護事業者は、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合には、指定短期入所生活介護事業所の利用定員を超えて指定短期入所生活介護を行うことができることとしているが、利用者の状況や利用者の家族等の事情により、指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員が、緊急に指定短期入所生活介護を受けることが必要と認めた者に対し、居宅サービス計画に位置付けられていない指定短期入所生活介護を提供する場合であって、当該利用者及び他の利用者の処遇に支障がないと認められる場合においても、利用者数を超えて指定短期入所生活介護を行うことが認められるものである。
この場合、居室以外の静養室において指定短期入所生活介護を行うととしているが、あくまでも、緊急の必要がある場合にのみ認められるものであり、当該利用者に対する指定短期入所生活介護の提供は7日(利用者の日常生活上の世話を行う家族等の疾病等やむを得ない事情がある場合は14日)を限度に行うものとする。
なお、指定短期入所生活介護事業所の利用定員を超えて受け入れることができる利用者数は、利用定員が40人未満である場合は1人、利用定員が40人以上である場合は2人まで認められるものであり、定員超過利用による減算の対象とはならない。
(16) 衛生管理等
(17) 地域等との連携
居宅基準第139条は、指定短期入所生活介護の事業が地域に開かれた事業として行われるよう、指定短期入所生活介護事業者は、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。
(18) 虐待の防止
(19) 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催
居宅基準第139条の2は、介護現場の生産性向上の取組を促進する観点から、現場における課題を抽出及び分析した上で、事業所の状況に応じた必要な対応を検討し、利用者の尊厳や安全性を確保しながら事業所全体で継続的に業務改善に取り組む環境を整備するため、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置及び開催について規定したものである。なお、本条の適用に当たっては、令和6年改正省令附則第4条において、3年間の経過措置を設けており、令和9年3月31日までの間は、努力義務とされている。
本委員会は、生産性向上の取組を促進する観点から、管理者やケア等を行う職種を含む幅広い職種により構成することが望ましく、各事業所の状況に応じ、必要な構成メンバーを検討すること。なお、生産性向上の取組に関する外部の専門家を活用することも差し支えないものであること。
また、本委員会は、定期的に開催することが必要であるが、開催する頻度については、本委員会の開催が形骸化することがないよう留意した上で、各事業所の状況を踏まえ、適切な開催頻度を決めることが望ましい。
あわせて、本委員会の開催に当たっては、厚生労働省老健局高齢者支援課「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」等を参考に取組を進めることが望ましい。また、本委員会はテレビ電話装置等を活用して行うことができるものとし、この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、事務負担軽減の観点等から、本委員会は、他に事業運営に関する会議(事故発生の防止のための委員会等)を開催している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。本委員会は事業所毎に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、委員会の名称について、法令では「利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会」と規定されたところであるが、他方、従来から生産性向上の取組を進めている事業所においては、法令とは異なる名称の生産性向上の取組を進めるための委員会を設置し、開催している場合もあるところ、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策が適切に検討される限りにおいては、法令とは異なる委員会の名称を用いても差し支えない。
(20) 記録の整備
居宅基準第139条の3第2項は、指定短期入所生活介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
(21) 準用
居宅基準第140条の規定により、居宅基準第9条から第13条まで、第15条、第16条、第19条、第21条、第26条、第30条の2、第32条から第34条まで、第35条から第38条まで(第36条の2第2項を除く。)、第52条、第101条、第103条及び第104条は、指定短期入所生活介護の事業について準用されるものであるため、第3の1の3の(3)から(7)まで、(10)、(12)、(15)、(24)、(25)、(27)から(30)まで((29)の②を除く。)及び、第3の2の3の(4)並びに第3の6の3の(5)及び(7)を参照されたい。この場合において、準用される居宅基準第101条については、
イ 指定短期入所生活介護事業所ごとに、短期入所生活介護従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、機能訓練指導員との兼務関係等を勤務表上明確にし、人員に関する基準が満たされていることを明らかにする必要があるものであること。併設の指定短期入所生活介護事業所については、本体施設の従業者と併せて勤務表を作成するものとすること。空きベッドを利用して指定短期入所生活介護の事業を行う特別養護老人ホームにあっては、当該特別養護老人ホームの従業者について勤務表が作成されていればよいものであること
ロ 職員の職務体制を定めるもののうち、介護職員の勤務形態については、指定短期入所生活介護が短期間の利用とはいえ、そのサービスの内容は、指定介護老人福祉施設である特別養護老人ホームと基本的に同様であることから、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について(昭和62年9月18日社施第107号)」に定める特別養護老人ホームの夜間における勤務形態の取り扱いに準じてその体制を確保すること。
また、夜間の介護職員数については、介護老人福祉施設における配置を参考に適切に配置すること。ただし、併設事業所及び居宅基準第121条第2項の適用を受ける特別養護老人ホームについては、本体の事業所等と一体でその取り扱いを行って差し支えないこと
ハ 指定短期入所生活介護事業所の夜間の安全、防災上の管理の観点から、介護職員のほかに宿直員を配置することが望ましいこと。ただし、併設事業所及び居宅基準第121条第2項の適用を受ける特別養護老人ホームについては、本体の事業所等と一体でその取り扱いを行って差し支えないこと
に留意するものとする。
なお、厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等(平成12年厚生省告示第123号)のハの(2)及び居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、準用される居宅基準第32条に関する第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
4 ユニット型指定短期入所生活介護の事業
(1) 第五節の趣旨
「ユニット型」の指定短期入所生活介護の事業は、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち、生活単位と介護単位とを一致させたケアであるユニットケアを行うことに特徴があり、これまで「居住福祉型」と称してきたものを、その特徴をよりわかりやすく表す観点から改めたものである。こうしたユニット型指定短期入所生活介護の事業におけるケアは、これまでの指定短期入所生活介護の事業におけるケアと大きく異なることから、その基本方針並びに設備及び運営に関する基準については、第一節、第三節及び第四節ではなく、第五節に定めるところによるものである。なお、人員に関する基準については、第二節に定めるところによるので、留意すること。
(2) 基本方針
居宅基準第140条の3は、ユニット型指定短期入所生活介護の事業がユニットケアを行うものであることを規定したものである。その具体的な内容に関しては、居宅基準第140条の7以下に、指定短期入所生活介護の取扱方針、介護、食事など、それぞれについて明らかにしている。
(3) 設備の基準(居宅基準第140条の4)
① ユニットケアを行うためには、利用者の自律的な生活を保障する居室(個室)と、少人数の家庭的な雰囲気の中で生活できる共同生活室(居宅での居間に相当する部屋)が不可欠であることから、ユニット型指定短期入所生活介護事業所は、事業所全体を、こうした居室と共同生活室によって一体的に構成される場所(ユニット)を単位として構成し、運営しなければならない。② 居宅基準第140条の4第2項は、指定短期入所生活介護に係る居宅基準第124条第2項と同趣旨であるため、第三の八の2の(2)を参照されたい。
③ 同条第3項第1号に掲げている「ユニット」は、居室及び共同生活室のほか、洗面設備及び便所を含むものである。
④ 利用者が、自室のあるユニットを超えて広がりのある日常生活を楽しむことができるよう、他のユニットの利用者と交流したり、多数の利用者が集まったりすることのできる場所を設けることが望ましい。
⑤ ユニット(第6項第1号)ユニットは、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うというユニットケアの特徴を踏まえたものでなければならない。
⑥ 居室(第1号イ)
イ 前記①のとおりユニットケアには個室が不可欠なことから、居室の定員は一人とする。ただし、夫婦で居室を利用する場合などサービスの提供上必要と認められる場合は、二人部屋とすることができる。
ロ 居室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設けなければならない。この場合、「当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設け」られる居室とは、次の3つをいう。
a 当該共同生活室に隣接している居室
b 当該共同生活室に隣接してはいないが、aの居室と隣接している居室
c その他当該共同生活室に近接して一体的に設けられている居室(他の共同生活室のa及びbに該当する居室を除く。)
ハ ユニットの利用定員
ユニット型指定短期入所生活介護事業所は、各ユニットにおいて利用者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するものであることから、1のユニットの利用定員は、おおむね10人以下とすることを原則とする。
ただし、各ユニットにおいて利用者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するのに支障がないと認められる場合には、利用定員が15人までのユニットも認める。
ニ ユニットの利用定員に関する既存事業所の特例
平成15年4月1日に現に存する指定短期入所生活介護事業所(建築中のものを含む。)が同日において現にユニットを有している(建築中のものを含む。)場合は、当該ユニットについては、前記ハは適用しない。ただし、当該ユニットが改築されたときは、この限りでない。
ホ 居室の床面積等
ユニット型指定短期入所生活介護事業所では、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うため、居室は次のいずれかに分類される。
a ユニット型個室
床面積は、10.65平方メートル以上(居室内に洗面設備が設けられているときはその面積を含み、居室内に便所が設けられているときはその面積を除く。)とすること。
b ユニット型準個室
令和3年4月1日に現に存するユニット型指定短期入所生活介護事業所(基本的な設備が完成しているものを含み、令和3年4月1日以降に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)において、ユニットに属さない居室を改修してユニットが造られている場合であり、床面積が、10.65平方メートル以上(居室内に洗面設備が設けられているときはその面積を含み、居室内に便所が設けられているときはその面積を除く。)であるもの。この場合にあっては、入居者同士の視線が遮断され、入居者のプライバシーが十分に確保されていれば、天井と壁との間に一定の隙間が生じていても差し支えない。
壁については、家具等のように可動のもので室内を区分しただけのものは認められず、可動でないものであって、プライバシーの確保のために適切な素材であることが必要である。
居室であるためには、一定程度以上の大きさの窓が必要であることから、多床室を仕切って窓のない居室を設けたとしても個室的多床室としては認められない。
また、居室への入口が、複数の居室で共同であったり、カーテンなどで仕切られているに過ぎないような場合には、十分なプライバシーが確保されているとはいえず、個室的多床室しては認められないものである。
なお、ユニットに属さない居室を改修してユニットを造る場合に、居室がaの要件を満たしていれば、ユニット型個室に分類される。
⑦ 共同生活室(第1号ロ)
イ 共同生活室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの利用者が交流し、共同で日常生活を営むための場所としてふさわしい形状を有するものでなければならない。このためには、次の2つの要件を満たす必要がある。
a 他のユニットの利用者が、当該共同生活室を通過することなく、事業所内の他の場所に移動することができるようになっていること。
b 当該ユニットの利用者全員とその介護等を行う従業者が一度に食事をしたり、談話等を楽しんだりすることが可能な備品を備えた上で、当該共同生活室内を車椅子が支障なく通行できる形状が確保されていること。
ロ 共同生活室には、要介護者が食事をしたり、談話等を楽しんだりするのに適したテーブル、椅子等の備品を備えなければならない。また、利用者が、その心身の状況に応じて家事を行うことができるようにする観点から、簡易な流し、調理設備を設けることが望ましい。
⑧ 洗面設備(第1号ハ)
洗面設備は、居室ごとに設けることが望ましい。ただし、共同生活室ごとに適当数設けることとしても差し支えない。この場合にあっては、共同生活室内の1か所に集中して設けるのではなく、2か所以上に分散して設けることが望ましい。なお、居室ごとに設ける方式と、共同生活室ごとに設ける方式とを混在させても差し支えない。
⑨ 便所(第1号ニ)
便所は、居室ごとに設けることが望ましい。ただし、共同生活室ごとに適当数設けることとしても差し支えない。この場合にあっては、共同生活室内の1か所に集中して設けるのではなく、2か所以上に分散して設けることが望ましい。なお、居室ごとに設ける方式と、共同生活室ごとに設ける方式とを混在させても差し支えない。
⑩ 浴室(第2号)
浴室は、居室のある階ごとに設けることが望ましい。
⑪ 廊下(第7項第1号)
ユニット型指定短期入所生活介護事業所にあっては、多数の利用者や従業者が日常的に一度に移動することはないことから、廊下の幅の一律の規制を緩和する。
ここでいう「廊下の一部の幅を拡張することにより、利用者、従業者等の円滑な往来に支障が生じないと認められる場合」とは、アルコーブを設けることなどにより、利用者、従業者等がすれ違う際にも支障が生じない場合を想定している。
このほか、ユニット型指定短期入所生活介護事業所の廊下の幅については、第三の八の2の(5)を準用する。この場合において、第三の八の2の(5)中「静養室」とあるのは「共同生活室」と読み替えるものとする。
⑫ 消火設備その他の非常災害に際して必要となる設備
⑬ ユニット型指定短期入所生活介護事業所の設備については、前記の①から⑫までによるほか、第3の8の2の規定((6)及び(12)を除く。)を準用する。この場合において、第3の8の2の(2)中「静養室、食堂、浴室及び機能訓練室」とあるのは「共同生活室及び浴室」と、同(10)中「静養室、食堂」とあるのは「共同生活室」と読み替えるものとする。
(4) 利用料等の受領(居宅基準第140条の6)
第三の八の3の(3)は、ユニット型指定短期入所生活介護事業者について準用する。この場合において、第三の八の3の(3)の①中「居宅基準第127条第1項及び第2項」とあるのは「居宅基準第140条の6第1項及び第2項」と読み替えるものとする。
(5) 指定短期入所生活介護の取扱方針
① 居宅基準第140条の7第1項は、第140条の3第1項の基本方針を受けて、利用者へのサービスの提供は、利用者が自律的な日常生活を営むことができるよう支援するものとして行われなければならないことを規定したものである。利用者へのサービスの提供に当たっては、利用前の居宅における生活と利用中の生活が連続したものとなるよう配慮することが必要であり、このため従業者は、一人一人の利用者について、個性、心身の状況、利用に至るまでの生活歴とその中で培われてきた生活様式や生活習慣を具体的に把握した上で、その日常生活上の活動を適切に援助しなければならない。なお、こうしたことから明らかなように、利用者の意向に関わりなく集団で行うゲームや、日常生活動作にない動作を通じた機能訓練など、家庭の中では通常行われないことを行うのは、サービスとして適当でない。
② 同条第2項は、第140条の3第1項の基本方針を受けて、利用者へのサービスの提供は、利用者がユニットにおいて相互に社会的関係を築くことができるよう、それぞれ役割を持って生活を営めるように配慮して行われなければならないことを規定したものである。
このため従業者は、利用者相互の信頼関係が醸成されるよう配慮することが必要であるが、同時に、利用者が他の利用者の生活に過度に干渉し、自律的な生活を損なうことにならないようにすることにも配慮が必要である。
③ 同条第6項及び第7項は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
④ 同条第8項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会であり、委員会の構成メンバーは、事業所の管理者及び従業者より構成する場合のほか、これらの職員に加えて、第三者や専門家を活用した構成とすることが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等も考えられる。また、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。
また、身体的拘束等適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
ユニット型指定短期入所生活介護事業者が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
イ 身体的拘束等について報告するための様式を整備すること。
ロ 介護従業者その他の従業者は、身体的拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、イの様式に従い、身体的拘束等について報告すること。
ハ 身体的拘束等適正化検討委員会において、ロにより報告された事例を集計し、分析すること。
ニ 事例の分析に当たっては、身体的拘束等の発生時の状況等を分析し、身体的拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
ホ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
へ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。
⑤ ユニット型指定短期入所生活介護事業者が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
イ 事業所における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
ロ 身体的拘束等適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ハ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
ニ 事業所内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
ホ 身体的拘束等発生時の対応に関する基本方針
へ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
ト その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
⑥ 介護従業者その他の従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修の内容としては、身体的拘束等の適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該ユニット型指定短期入所生活介護事業者における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該ユニット型指定短期入所生活介護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修事業所内での研修で差し支えない。
⑦・⑧ (略)
(6) 介護
① 居宅基準第140条の8第1項は、介護が、第140条の7第1項及び第2項の指定短期入所生活介護の取扱方針を受けた適切な技術をもって行われなければならないことを規定したものである。自律的な日常生活を営むことを支援するという点では、利用者の日常生活上の活動への援助が過剰なものとなることのないよう留意する必要がある。
② 同条第2項の「日常生活における家事」には、食事の簡単な下準備や配膳、後片付け、清掃やゴミ出しなど、多様なものが考えられる。
③ 同条第3項は、入浴が、単に身体の清潔を維持するためだけでなく、利用者が精神的に快適な生活を営む上でも重要なものであることから、こうした観点に照らして「適切な方法により」これを行うこととするとともに、同様の観点から、一律の入浴回数を設けるのではなく、個浴の実施など利用者の意向に応じることができるだけの入浴機会を設けなければならないことを規定したものである。
④ ユニット型指定短期入所生活介護事業所における介護については、前記の①から③までによるほか、第三の八の3の(6)の③から⑥までを準用する。この場合において、第三の八の3の(6)の⑤中「同条第5項」とあるのは「第140条の8第6項」と、同⑥中「同条第6項」とあるのは「第140条の8第7項」と読み替えるものとする。
(7) 食事
① 居宅基準第140条の9第3項は、第140条の7第1項の指定短期入所生活介護の取扱方針を受けて、食事は、利用者の生活習慣を尊重した適切な時間に提供しなければならないこと、また、事業者側の都合で急かしたりすることなく、利用者が自分のペースで食事を摂ることができるよう十分な時間を確保しなければならないことを規定したものである。
② 同条第4項は、第140条の3の基本方針を受けて、利用者の意思を尊重し、また、その心身の状況に配慮した上で、できる限り離床し、共同生活室で食事を摂ることができるよう支援しなければならないことを規定したものである。その際、共同生活室で食事を摂るよう強制することはあってはならないので、十分留意する必要がある。
③ ユニット型指定短期入所生活介護事業所における食事については、前記の①及び②によるほか、第三の八の3の(7)の①から⑦までを準用する。
(8) その他のサービスの提供
① 居宅基準第140条10第1項は、第140条の7第1項の指定短期入所生活介護の取扱方針を受けて、利用者一人一人の嗜好しこうを把握した上で、それに応じた趣味、教養又は娯楽に係る活動の機会を提供するとともに、同好会やクラブ活動などを含め、利用者が自律的に行うこれらの活動を支援しなければならないことを規定したものである。
② ユニット型指定短期入所生活介護事業所の居室は、家族や友人が来訪、宿泊して利用者と交流するのに適した個室であることから、これらの者ができる限り気軽に来訪、宿泊することができるよう配慮しなければならない。
(9) 運営規程
① 指定短期入所生活介護の内容及び利用料その他の費用の額(第5号)
「その他の費用の額」は、居宅基準第140条の6第3項により支払を受けることが認められている費用の額を指すものであること。
② 第三の八の3の(13)は、ユニット型指定短期入所生活介護事業者について準用する。この場合において、第3の八の3の(13)中「第137条」とあるのは「第140条の11」と、「同条第1号から第10号まで」とあるのは「同条第1号から第11号まで」と、同②中「第4号」とあるのは「第5号」と、同③中「第5号」とあるのは「第6号」と、同④中「第6号」とあるのは「第7号」と、同⑤中「第10号」とあるのは「第11号」と読み替えるものとする。
(10) 勤務体制の確保(居宅基準第140条の11 の2)
① ユニット型指定短期入所生活介護事業所において配置を義務付けることとしたユニットごとの常勤のユニットリーダーについては、当面は、ユニットケアリーダー研修を受講した職員(以下「研修受講者」という。)を各施設に2名以上配置する(ただし2ユニット以下の施設の場合には、1名でよいこととする。)ほか、研修受講者が配置されているユニット以外のユニットでは、ユニットにおけるケアに責任を持つ(研修受講者でなくても構わない。)職員を決めてもらうことで足りるものとする。
この場合、研修受講者は、研修で得た知識等をリーダー研修を受講していないユニットの責任者に伝達するなど、当該施設におけるユニットケアの質の向上の中核となることが求められる。
また、ユニットリーダーについて必要とされる研修受講者の数には、当面は、ユニットリーダー以外の研修受講者であって、研修を受講していないユニットリーダーに対して研修で得た知識等を伝達するとともに、ユニットケアに関して指導及び助言を行うことができる者を含めて差し支えない。
ユニット型指定短期入所生活介護事業所(以下(10)において「ユニット型事業所」という。)とユニット型の指定介護老人福祉施設等(以下(10)において「ユニット型施設」という。)が併設されている場合には、研修受講者をそれぞれに2名以上配置する必要はなく、ユニット型事業所及び併設するユニット型施設(併設するユニット型施設が複数ある場合には、そのうちいずれか1施設に限る。)を一体のものとみなして、合計2名以上の研修受講者が配置されていればよいこととする(ただし、ユニット型事業所及び併設するユニット型施設のユニット数の合計が2ユニット以下のときには、1名でよいこととする。)。
② 令和3年4月1日以降に、入居定員が10を超えるユニットを整備する場合においては、令和3年改正省令附則第6条の経過措置に従い、夜勤時間帯(午後10時から翌日の午前5時までを含めた連続する16時間をいい、原則として事業所又は施設ごとに設定するものとする。以下同じ。)を含めた介護職員及び看護職員の配置の実態を勘案し、次のとおり職員を配置するよう努めるものとする。
イ 日勤時間帯の介護職員及び看護職員の配置
ユニットごとに常時1人の配置に加えて、当該ユニットにおいて日勤時間帯(夜勤時間帯に含まれない連続する8時間をいい、原則として事業所又は施設ごとに設定するものとする。以下同じ。)に勤務する別の従業者の1日の勤務時間数の合計を8で除して得た数が、入居者の数が10を超えて1を増すごとに0.1以上となるように介護職員又は看護職員を配置するよう努めること。
ロ 夜勤時間帯の介護職員及び看護職員の配置
2ユニットごとに1人の配置に加えて、当該2ユニットにおいて夜勤時間帯に勤務する別の従業者の1日の勤務時間数の合計を16で除して得た数が、入居者の合計数が20を超えて2又はその端数を増すごとに0.1以上となるように介護職員又は看護職員を配置するよう努めること。
なお、基準省令第140条の11の2第2項第1号及び第2号に規定する職員配置に加えて介護職員又は看護職員を配置することを努める時間については、日勤時間帯又は夜勤時間帯に属していればいずれの時間でも構わず、連続する時間である必要はない。当該ユニットにおいて行われるケアの内容、入居者の状態等に応じて最も配置が必要である時間に充てるよう努めること。
③ 居宅基準第140条の11の2第4項の規定は、指定訪問入浴介護に係る居宅基準第53条の2第3項と基本的に同趣旨であるため、第3の二の3の(6)③を参照されたい。
④ 同条第5項の規定は、指定訪問介護に係る居宅基準第30条第4項の規定と基本的に同趣旨であるため、第3の一の3の(21)④を参照されたい。
(11) 準用
居宅基準第140条の13の規定により、第125条、第126条、第129条、第132条から第134条まで、第136条及び第139条から第140条(第101条の準用に係る部分を除く。)までの規定は、ユニット型指定短期入所生活介護の事業について準用されるものであるため、第3の八の3の(1)、(2)、(5)、⑻から(10)まで、(12)、(14)、(16)から(21)(居宅基準第101条の準用に係る部分を除く。)までを参照されたい。
なお、厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等二のハの(2)及び居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、準用される居宅基準第32条に関する第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
5 共生型短期入所生活介護の基準
共生型短期入所生活介護は、指定短期入所事業者(指定障害福祉サービス等基準第118条第1項に規定する指定短期入所事業者をいい、障害者支援施設(障害者総合支援法第29条第1項に規定する指定障害者支援施設をいう。)の併設事業所及び空床利用型事業所において事業を行う者に限る。)が、要介護者に対して提供する指定短期入所生活介護をいうものであり、共生型短期入所生活介護事業所が満たすべき基準は、次のとおりであること。
① 従業者
指定短期入所事業所の従業者の員数が、共生型短期入所生活介護を受ける利用者(要介護者)の数を含めて当該指定短期入所事業所の利用者の数とした場合に、当該指定短期入所事業所として必要とされる数以上であること。
この場合において、昼間に生活介護を実施している障害者支援施設の空床利用型又は併設型の指定短期入所事業所の従業者については、前年度の利用者の平均障害支援区分に基づき、必要数を配置することになっているが、その算出に当たっては、共生型短期入所生活介護を受ける利用者(要介護者)は障害支援区分5とみなして計算すること。
② 管理者
指定短期入所生活介護の場合と同趣旨であるため、第三の8の1の(6)を参照されたい。なお、共生型短期入所生活介護事業所の管理者と指定短期入所事業所の管理者を兼務することは差し支えないこと。
(2) 設備に関する基準(居宅基準第140条の14第1号)
指定短期入所事業所の居室の面積が、当該指定短期入所事業所の利用者(障害者及び障害児)の数と共生型短期入所生活介護の利用者(要介護者)の数の合計数で除して得た面積が9.9平方メートル以上であること。
その他の設備については、指定短期入所事業所として満たすべき設備基準を満たしていれば足りるものであること。
なお、当該設備については、共生型サービスは要介護者、障害者及び障害児に同じ場所で同時に提供することを想定していることから、要介護者、障害者又は障害児がそれぞれ利用する設備を区切る壁、家具、カーテンやパーティション等の仕切りは、不要であること。
(3) 指定短期入所生活介護事業所その他の関係施設から、指定短期入所事業所が要介護者の支援を行う上で、必要な技術的支援を受けていること。(居宅基準第140条の14第3号)
(4) 運営等に関する基準(居宅基準第140条の15)
居宅基準第140条の15の規定により、第9条から第13条まで、第15条、第16条、第19条、第21条、第26条、第30条の2、第32条から第34条まで、第35条から第38条まで(第36条の2第2項を除く。)、第52条、第101条、第103条、第104条、第120条及び第122条並びに第9章第4節(第140条を除く。)の規定は、共生型短期入所生活介護の事業について準用されるものであるため、第3の一の3の(3)から(7)まで、(10)、(12)、(15)、(24)、(25)、(27)から(30)((29)の②を除く。)まで及び(32)、第3の二の3の(4)及び第3の六の3の(5)及び(7)並びに第3の八の3の(1)から(20)までを参照されたいこと。
この場合において、準用される居宅基準第137条第3号及び第138条の規定について、指定共生型短期入所生活介護の利用定員は、指定短期入所の事業の専用の居室のベッド数と同数とすること。つまり、指定短期入所事業所が、併設事業所の場合は指定短期入所の専用の用に供される居室のベッド数、空床利用型事業所の場合は指定障害者支援施設の居室のベッド数となること。例えば、併設事業所で利用定員20人という場合、要介護者と障害者及び障害児とを合わせて20人という意味であり、利用日によって、要介護者が10人、障害者及び障害児が10人であっても、要介護者が五人、障害者及び障害児が15人であっても、差し支えないこと。
なお、厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等二のハの(2)及び居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、準用される居宅基準第32条に関する第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
(5) その他の共生型サービスについて
訪問介護と同様であるので、第3の一の4の(5)を参照されたいこと。
6 基準該当短期入所生活介護に関する基準
(1) 基準該当短期入所生活介護事業所は、指定通所介護事業所、指定認知症対応型通所介護事業所、指定小規模多機能型居宅介護事業所又は社会福祉施設に併設しなければならないこととされているが、ここにいう社会福祉施設とは、社会福祉法第62条にいう社会福祉施設を指すものであること。
(2) 従業員の員数及び管理者医師の配置が不要であること、居宅基準第140条の27第4項にいう従業者の員数の確保に関することを除けば、いわゆる単独型の指定短期入所生活介護事業所の基準と同様であり、第三の八の1の(2)から(6)までを参照されたい。なお、医師を配置しない基準該当短期入所生活介護事業所にあっても、協力医療機関及び主治医と連携することにより、適切なサービス提供体制を確保すること。
(3) 設備に関する基準
① 併設の指定通所介護事業所等の施設との設備の兼用が居室を除き可能であること、利用者1人当たりの床面積に関する基準が異なること、廊下は車椅子での円滑な移動が可能な廊下幅であればよいこと等、指定短期入所生活介護の基準との相違点に留意すること。
② 基準該当短期入所生活介護における利用者1人当たりの床面積については7.43平方メートル以上とされているところであるが、基準該当サービスは市区町村が必要と認める場合にのみ給付の対象となるサービスであり、指定事業者によるサービス提供が地域の需要を満たしている場合は給付の対象とならないことがあり得るので、基準該当短期入所生活介護の事業を行おうとする場合は当該市区町村の意向をあらかじめ確認するとともに、利用者の適切な処遇確保の観点から良好な居住環境の実現や居室面積の確保に留意すること。
③ この省令の施行の際現に存する老人短期入所事業を行っている施設若しくは老人短期入所施設(基本的な設備が完成されているものを含み、この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)又は老人短期入所事業に相当する事業の用に供する施設若しくは老人短期入所施設に相当する施設(この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、設備基準のうち1の居室の定員に関する基準(4人以下)、利用者1人当たりの床面積に関する基準(10.65平方メートル以上)、食堂及び機能訓練室の面積に関する基準(3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上)を適用しないものである。(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(平成12年厚生省令第37号)附則第2項による経過措置)
(4) 運営に関する基準
居宅基準第140条の32の規定により、居宅基準第9条から第13条まで、第16条、第19条、第21条、第26条、第30条の2、第32条から第34条まで、第35条から第38条まで(第36条第5項及び第6項並びに第36条の2第2項を除く。)、第52条、第101条、第103条、第104条、第120条及び第4節(第127条第1項及び第140条を除く。)の規定は、基準該当短期入所生活介護の事業に準用されるものであるため、第3の1の3の(3)から(6)まで、(10)、(12)、(15)、(24)、(25)、(27)から(30)まで((29)の②を除く。)及び(32)、第3の2の3の(4)、第3の6の3の(5)及び(7)並びに第3の8の3を参照されたい。この場合において、準用される居宅基準第127条第2項の規定は、基準該当短期入所生活介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費を算定するための基準となる費用の額(100分の90、100分の80又は100分の70を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。
なお、当該事業所による短期入所生活介護が複数の市町村において基準該当短期入所生活介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。
また、準用される居宅基準第138条第2項中「静養室」を「静養室等」と読み替える規定は、床面積が7・43平方メートル以上確保されている場合には、静養室以外においても基準該当短期入所生活介護を行うことができるものであり、このこと以外は、第3の8の3の(15)を準用する。
なお、厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等二のハの(2)及び居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、準用される居宅基準第32条に関する第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
九 短期入所療養介護
(1) 本則
いわゆる本体施設となる介護老人保健施設、介護医療院、療養病床を有する病院又は診療所が、それぞれの施設として満たすべき人員・施設基準(ユニット型介護老人保健施設及びユニット型介護医療院に関するものを除く。)を満たしていれば足りるものとする。また、本体施設が療養病床を有する病院又は診療所については、それぞれの施設として満たすべき施設基準に加えて消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を有することとしている。
(2) 経過措置
① 医療法等の一部を改正する法律(平成12年法律第141号)の施行前において、療養病床転換による療養型病床群として病院療養病床療養環境減算Ⅱ及び診療所療養病床療養環境減算が適用されてきた病床を有する病院又は診療所である指定介護療養型医療施設にあっては、当該減算が平成20年3月31日限りで廃止されたことから、当該病床を有する病院又は診療所における短期入所療養介護についても、各基準において、指定介護療養型医療施設と同等の基準を満たさなければならないものとする。(居宅基準附則第6条から附則第13条まで)
② その他の経過措置については、「医療法等の一部を改正する法律の施行に伴う介護保険関係法令の一部改正等について」(平成13年2月22日老計発第9号・老振発第8号・老老発第4号通知)を参照されたい。
2 運営に関する基準
(1) 利用料等の受領
② 同条第3項は、指定短期入所療養介護事業者は、指定短期入所療養介護の提供に関して、
イ 食事の提供に要する費用(法第51条の2第1項の規定により特定入所者介護サービス費が利用者に支給された場合は、法第51条の2第2項第1号に規定する食費の基準費用額(法第51条の2第4項の規定により当該特定入所者介護サービス費等が利用者に代わり当該指定短期入所療養介護事業者に支払われた場合は、法第51条の2第2項第1号に規定する食費の負担限度額)を限度とする。)
ロ 滞在に要する費用(法第51条の2第1項の規定により特定入所者介護サービス費等が利用者に支給された場合は、法第51条の2第2項第2号に規定する居住費の基準費用額(法第51条の2第4項の規定により当該特定入所者介護サービス費等が利用者に代わり当該指定短期入所療養介護事業者に支払われた場合は、法第51条の2第2項第2号に規定する居住費の負担限度額)を限度とする。)
ハ 厚生労働大臣の定める基準に基づき利用者が選定する特別な療養室等の提供を行ったことに伴い必要となる費用
ニ 厚生労働大臣の定める基準に基づき利用者が選定する特別な食事の提供を行ったことに伴い必要となる費用
ホ 送迎に要する費用(厚生労働大臣が別に定める場合を除く。)
ヘ 理美容代
ト 前各号に掲げるもののほか、指定短期入所療養介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるものについては、前2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、イからニまでの費用については、指針及び特別な居室等の基準等の定めるところによるものとし、トの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものとする。
③ 同条第5項は、指定短期入所療養介護事業者は、同条第3項の費用の支払を受けるに当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対して、その額等を記載した書類を交付して、説明を行い、利用者の同意を得なければならないこととしたものである。また、同項第1号から第4号までの利用料に係る同意については、文書によって得なければならないこととしたものである。
(2) 指定短期入所療養介護の取扱方針(居宅基準第146条)
① 居宅基準第146条第2項に定める「相当期間以上」とは、概ね4日以上連続して利用する場合を指すこととするが、4日未満の利用者にあっても、利用者を担当する居宅介護支援事業者等と連携をとること等により、利用者の心身の状況を踏まえて必要な療養を提供するものとする。
② 指定短期入所療養介護事業者は、居宅基準第154条の2第2項の規定に基づき、身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、当該記録は主治医が診療録に行わなければならないものとする。
③ 居宅基準第146条第6項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会であり、委員会の構成メンバーは、事業所の管理者及び従業者より構成する場合のほか、これらの職員に加えて、第三者や専門家を活用した構成とすることが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等も考えられる。また、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。
また、身体的拘束等適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
指定短期入所療養介護事業者が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
イ 身体的拘束等について報告するための様式を整備すること。
ロ 介護従業者その他の従業者は、身体的拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、イの様式に従い、身体的拘束等について報告すること。
ハ 身体的拘束等適正化検討委員会において、ロにより報告された事例を集計し、分析すること。
ニ 事例の分析に当たっては、身体的拘束等の発生時の状況等を分析し、身体的拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
ホ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
へ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。
④ 指定短期入所療養介護事業者が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
イ 事業所における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
ロ 身体的拘束等適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ハ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
ニ 事業所内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
ホ 身体的拘束等発生時の対応に関する基本方針
へ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
ト その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
⑤ 介護従業者その他の従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修の内容としては、身体的拘束等の適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定短期入所療養介護事業者における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定短期入所療養介護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修事業所内での研修で差し支えない。
⑥ (略)
(3) 短期入所療養介護計画の作成(居宅基準第147条)
① 指定短期入所療養介護事業者は、施設に介護支援専門員がいる場合には、介護支援専門員に短期入所療養介護計画作成のとりまとめを行わせること。介護支援専門員がいない場合には、療養介護計画作成の経験を有する者に作成をさせることが望ましい。
② 短期入所療養介護計画は利用者の心身の状況、病状、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保証するため、指定短期入所療養介護事業所の管理者は、短期入所療養介護計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該短期入所療養介護計画を利用者に交付しなければならない。なお、当該交付した短期入所療養介護計画は、居宅基準第154条の2第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
③ 短期入所療養介護計画の作成に当たっては、居宅におけるケアプランを考慮しつつ、利用者の日々の療養状況に合わせて作成するものとする。
④ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定短期入所療養介護事業者については、第三の一の3の(13)の⑥を準用する。この場合において、「訪問介護計画」とあるのは「短期入所療養介護計画」に読み替える。
(4) 診療の方針(居宅基準第148条)
短期入所療養介護事業所の医師は、常に利用者の病床や心身の状態の把握に努めること。特に、診療に当たっては、的確な診断をもととし、入所者に対して必要な検査、投薬、処置等を妥当適切に行うものとする。
(5) 機能訓練(居宅基準第149条)
リハビリテーションの提供に当たっては、利用者の心身の状況及び家庭環境等を十分に踏まえて、日常生活の自立を助けるため、必要に応じて提供しなければならないものとする。
(6) 看護及び医学的管理の下における介護(居宅基準第150条)
① 入浴の実施に当たっては、利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、利用者の心身の状況から入浴が困難である場合には、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。
② 排せつの介護に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などをもとに自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。おむつを使用せざるを得ない場合には、利用者の心身及び活動状況に適したおむつを提供し、適切におむつを交換するものとする。
(7) 食事の提供(居宅基準第151条)
① 食事の提供について
個々の入所者の栄養状態に応じて、摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮した栄養管理を行うように努めるとともに、利用者の栄養状態、身体の状況並びに病状及び嗜好を定期的に把握し、それに基づき計画的な食事の提供を行うこと。
また、利用者の自立の支援に配慮し、できるだけ離床して食堂で行われるよう努めなければならないこと。
なお、転換型の療養病床等であって食堂がない場合には、できるだけ離床して食事が食べられるよう努力をしなければならないものとする。
② 調理について
調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。
③ 適時の食事の提供について
食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。
④ 食事の提供に関する業務の委託について
食事の提供に関する業務は指定短期入所療養介護事業者自らが行うことが望ましいが、栄養管理、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理、労働衛生管理について事業者自らが行う等、当該事業者の管理者が業務遂行上必要な注意を果たし得るような体制と契約内容により、食事サービスの質が確保される場合には、当該事業者の最終的責任の下で第三者に委託することができること。
⑤ 療養室等関係部門と食事関係部門との連携について
食事提供については、利用者の嚥下や咀嚼の状況、食欲など心身の状態等を当該利用者の食事に的確に反映させるために、療養室等関係部門と食事関係部門との連絡が十分とられていることが必要であること。
⑥ 栄養食事相談
利用者に対しては適切な栄養食事相談を行う必要があること。
⑦ 食事内容の検討について
食事内容については、当該事業者の医師又は栄養士を含む会議において検討が加えられなければならないこと。
⑻ 運営規程(居宅基準第153条)
居宅基準第153条第8号の「その他運営に関する重要事項」にあたっては、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続きについて定めておくことが望ましい。
(9) 業務継続計画の策定等
(10) 定員の遵守
居宅基準第154条は、利用者に対する適切な指定短期入所療養介護の提供を確保するため、介護老人保健施設及び介護医療院についてはその療養室の全部が指定短期入所療養介護の提供のために利用できること、病院及び診療所についてはその療養病床等の病床において指定短期入所療養介護の提供を行わなければならないことを踏まえて、指定短期入所療養介護事業者は、次に掲げる利用者数以上の利用者に対して同時に指定短期入所療養介護を行ってはならないことを明記したものである。ただし、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。
① 介護老人保健施設である指定短期入所療養介護事業所にあっては、利用者を当該介護老人保健施設の入所者とみなした場合において入所定員及び療養室の定員を超えることとなる利用者数
② 介護医療院である指定短期入所療養介護事業所にあっては、利用者を当該介護医療院の入所者とみなした場合において入所定員及び療養室の定員を超えることとなる利用者数
③ 療養病床を有する病院又は診療所を有する病院である指定短期入所療養介護事業所にあっては、療養病床又は診療所に係る病床数及び療養病床又は診療所に係る病室の定員を超えることとなる利用者数
(11) 衛生管理等
(12) 虐待の防止
(14) 記録の整備
居宅基準第154条の2第2項は、指定短期入所療養介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、入所者の死亡、入所者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
また、同項の指定短期入所療養介護の提供に関する記録には診療録が含まれているものであること。
(15) 準用
居宅基準第155条の規定により、居宅基準第9条から第13条まで、第15条、第16条、第19条、第21条、第26条、第30条の2、第32条、第33条、第35条から第38条まで(第36条の2第2項を除く。)、第52条、第101条、第103条、第118条、第125条、第126条第2項、第139条及び第139条の2の規定は、指定短期入所療養介護の事業について準用されるものであるため、第3の一の3の(3)から(7)まで、(10)、(12)、(15)、(24)、(25)、(27)から(30)まで((29)の②を除く。)及び(32)、第3の二の3の(4)、第3の三の3の(2)、第3の六の3の(5)及び(7)、第3の八の3の(1)、(2)、(17)及び(19)を参照されたい。この場合において、準用される居宅基準第101条第1項については、当該病院、診療所又は介護老人保健施設の従事者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別等を勤務表上明確にし、人員に関する基準が満たされていることを明らかにする必要があることとしたものであることに留意するものとする。
なお、厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等二のハの(2)及び居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、居宅基準第32条に関する第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
3 ユニット型指定短期入所療養介護の事業
(1) 第5節の趣旨
「ユニット型」の指定短期入所療養介護の事業は、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち、生活単位と介護単位とを一致させたケアであるユニットケアを行うことに特徴がある。
こうしたユニット型指定短期入所療養介護の事業におけるケアは、これまでの指定短期入所療養介護の事業におけるケアと大きく異なることから、その基本方針並びに設備及び運営に関する基準については、第1節、第3節及び第4節ではなく、第5節に定めるところによるものである。なお、人員に関する基準については、第2節に定めるところによるので、留意すること。
(2)基本方針
居宅基準第155条の3は、ユニット型指定短期入所療養介護の事業がユニットケアを行うものであることを規定したものである。その具体的な内容に関しては、居宅基準第155条の6以下に、指定短期入所療養介護の取扱方針、看護及び医学的管理の下における介護、食事など、それぞれについて明らかにしている。
(3) 設備の基準
① 居宅基準第155条の4第1項は、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)第141条の規定と同趣旨であるため、「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について」(平成12年3月17日老企第44号)の第五の3の内容を参照されたい。
② 同条第4号は、介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)第45条の規定と同趣旨であるため、「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について」(平成30年3月22日老老発0322第1号)の第六の3の内容を参照されたい。
③ 同条第2項及び3項における具体的な取扱いは以下のとおりであること。
イ ユニットケアを行うためには、入院患者の自律的な生活を保障する病室(使い慣れた家具等を持ち込むことのできる個室)と、少人数の家庭的な雰囲気の中で生活できる共同生活室(居宅での居間に相当する部屋)が不可欠であることから、ユニット型の療養病床を有する病院又は診療所は、施設全体を、こうした病室と共同生活室によって一体的に構成される場所(ユニット)を単位として構成し、運営しなければならない。
ロ 利用者が、自室のあるユニットを超えて広がりのある日常生活を楽しむことができるよう、他のユニットの利用者と交流したり、多数の利用者が集まったりすることのできる場所を設けることが望ましい。
ハ ユニット(第2項第2号イ)
ユニットは、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うというユニットケアの特徴を踏まえたものでなければならない。
ニ 病室(第2項第2号イ(1)及び第3項第2号イ(1))
a 前記イのとおりユニットケアには個室が不可欠なことから、病室の定員は1人とする。ただし、夫婦で病室を利用する場合などサービスの提供上必要と認められる場合は、2人部屋とすることができる。
b 病室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設けなければならない。この場合、「当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設け」られる病室とは、次の3つをいう。
(ⅰ) 当該共同生活室に隣接している病室
(ⅱ) 当該共同生活室に隣接してはいないが、イの病室と隣接している病室
(ⅲ) その他当該共同生活室に近接して一体的に設けられている病室(他の共同生活室のイ及びロに該当する病室を除く。)
c ユニットの入居定員
ユニット型の療養病床を有する病院又は診療所は、各ユニットにおいて利用者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するものであることから、一のユニットの入居定員は、おおむね10人以下とすることを原則とする。
ただし、各ユニットにおいて利用者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するのに支障がないと認められる場合には利用者の定員が15人までのユニットも認める。
d 病室の面積等
ユニット型の療養病床を有する病院又は診療所では、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うため、利用者は長年使い慣れた箪笥などの家具を持ち込むことを想定しており、病室は次のいずれかに分類される。
(ⅰ) ユニット型個室
一の病室の床面積は、10・65平方メートル以上(病室内に洗面設備が設けられているときはその面積を含み、病室内に便所が設けられているときはその面積を除く。)とするとともに、身の回りの品を保管することができる設備は、必要に応じて備えれば足りることとしている。
また、利用者へのサービス提供上必要と認められる場合に2人部屋とするときは21・3平方メートル以上とすること。
(ⅱ) ユニット型個室的多床室(経過措置)
令和3年4月1日に現に存するユニット型の療養病床を有する病院又は診療所(基本的な設備が完成しているものを含み、令和3年4月1日以降に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)において、ユニットに属さない病室を改修してユニットが造られている場合であり、床面積が、10・65平方メートル以上(病室内に洗面設備が設けられているときはその面積を含み、病室内に便所が設けられているときはその面積を除く。)であるもの。この場合にあっては、利用者同士の視線が遮断され、利用者のプライバシーが十分に確保されていれば、天井と壁との間に一定の隙間が生じていても差し支えない。
壁については、家具等のように可動のもので室内を区分しただけのものは認められず、可動でないものであって、プライバシーの確保のために適切な素材であることが必要である。
病室であるためには、一定程度以上の大きさの窓が必要であることから、多床室を仕切って窓のない病室を設けたとしても個室的多床室としては認められない。
また、病室への入口が、複数の病室で共同であったり、カーテンなどで仕切られているに過ぎないような場合には、十分なプライバシーが確保されているとはいえず、個室的多床室としては認められないものである。
なお、ユニットに属さない病室を改修してユニットを造る場合に、病室がイの要件を満たしていれば、ユニット型個室に分類される。
ホ 共同生活室(第2項第2号イ(2)及び第3項第2号イ(2))
a 共同生活室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの利用者が交流し、共同で日常生活を営むための場所としてふさわしい形状を有するものでなければならない。このためには、次の2つの要件を満たす必要がある。
(ⅰ) 他のユニットの利用者が、当該共同生活室を通過することなく、施設内の他の場所に移動することができるようになっていること。
(ⅱ) 当該ユニットの利用者全員とその介護等を行う職員が1度に食事をしたり、談話等を楽しんだりすることが可能な備品を備えた上で、当該共同生活室内を車椅子が支障なく通行できる形状が確保されていること。
b 共同生活室の床面積
共同生活室の床面積について「標準とする」とされている趣旨は、病室の床面積について前記(4)の⑤にあるのと同様である。
c 共同生活室には、介護を必要とする者が食事をしたり、談話等を楽しんだりするのに適したテーブル、椅子等の備品を備えなければならない。
また、利用者が、その心身の状況に応じて家事を行うことができるようにする観点から、簡易な流し・調理設備を設けることが望ましい。
ト 洗面設備(第2項第2号ロ及び第3項第2号ロ)
洗面設備は、病室ごとに設けることが望ましい。ただし、共同生活室ごとに適当数設けることとしても差し支えない。この場合にあっては、共同生活室内の1か所に集中して設けるのではなく、2か所以上に分散して設けることが望ましい。なお、病室ごとに設ける方式と、共同生活室ごとに設ける方式とを混在させても差し支えない。
チ 便所(第2項第2号イ(4)及び第3項第2号イ(4))
便所は、病室ごとに設けることが望ましい。ただし、共同生活室ごとに適当数設けることとしても差し支えない。この場合にあっては、共同生活室内の1か所に集中して設けるのではなく、2か所以上に分散して設けることが望ましい。なお、病室ごとに設ける方式と、共同生活室ごとに設ける方式とを混在させても差し支えない。
リ 浴室
浴室は、病室のある階ごとに設けることが望ましい。
ヌ 浴室や機能訓練室等の設備については、療養病床を有する病院又は診療所における短期入所療養介護の指定を受けた病棟と受けない病棟とで共用することは当然認められるが、その場合には、利用者数等からみて必要時に使用可能な広さを有することが必要である。
ル 「火災に係る入所者の安全性が確保されている」と認められるときは、次の点を考慮して判断されたい。
a 病院においては、居宅基準第155の4の2条第2項第2号イ(1)(ⅰ)、第2項第2号イ(1)(ⅲ)、第2項第2号ロ、第2項第2号ハ、第2項第2号二及び、診療所においては、居宅基準第155の4の第3項第2号イ(1)(ⅰ)、第3項第2号イ(1)(ⅲ)、第3項第2号ロ、第3項第2号ハ及び第3項第2号二及び以下の要件のうち、満たしていないものについても、一定の配慮措置が講じられていること。
(ⅰ) 談話室は、療養病床の利用者同士や利用者とその家族が談話を楽しめる広さを有しなければならない。
(ⅱ) 食堂は、内法による測定で、療養病床における利用者1人につき1平方メートル以上の広さを有しなければならない。
b 日常における又は火災時の火災に係る安全性の確保が、利用者が身体的、精神的に障害を有する者であることにかんがみてなされていること。
c 管理者及び防火管理者は、当該療養病床を有する病院又は診療所の建物の燃焼性に対する知識を有し、火災の際の危険性を十分認識するとともに、職員等に対して、火気の取扱いその他火災予防に関する指導監督、防災意識の高揚に努めること。
d 定期的に行うこととされている避難等の訓練は、当該療養病床を有する病院又は診療所の建物の燃焼性を十分に勘案して行うこと。
(4) 利用料等の受領(居宅基準第155条の5)
第三の九の2の(1)は、ユニット型指定短期入所療養介護事業者について準用する。この場合において、第三の九の2の(1)の①中「居宅基準第145条第1項及び第2項」とあるのは「居宅基準第155条の5第1項及び第2項」と、同②中「居宅基準第127条第3項」とあるのは「居宅基準第155条の5第3項」と、同③中「居宅基準第127条第5項」とあるのは「居宅基準第155条の5第5項」と読み替えるものとする。
(5) 指定短期入所療養介護の取扱方針
① 居宅基準第155条の6第1項は、第155条の3の基本方針を受けて、利用者へのサービスの提供は、利用者が自律的な日常生活を営むことができるよう支援するものとして行われなければならないことを規定したものである。利用者へのサービスの提供に当たっては、利用前の居宅における生活と利用後の生活が連続したものとなるよう配慮することが必要であり、このため職員は、一人一人の利用者について、個性、心身の状況、入居に至るまでの生活歴とその中で培われてきた生活様式や生活習慣を具体的に把握した上で、その日常生活上の活動を適切に援助しなければならない。なお、こうしたことから明らかなように、利用者の意向に関わりなく集団で行うゲームや、日常生活動作にない動作を通じた機能訓練など、家庭の中では通常行われないことを行うのは、サービスとして適当でない。
② 同条第2項は、第155条の3の基本方針を受けて、利用者へのサービスの提供は、利用者がユニットにおいて相互に社会的関係を築くことができるよう、それぞれ役割を持って生活を営めるように配慮して行われなければならないことを規定したものである。このため職員は、利用者相互の信頼関係が醸成されるよう配慮することが必要であるが、同時に、利用者が他の利用者の生活に過度に干渉し、自律的な生活を損なうことのないようにすることにも配慮が必要である。
③ ユニット型指定短期入所療養介護事業者は、居宅基準第155条の6第6項の規定に基づき、身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、当該記録は主治医が診療録に行わなければならないものとする。
④ 居宅基準第155条の6第8項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会であり、委員会の構成メンバーは、事業所の管理者及び従業者より構成する場合のほか、これらの職員に加えて、第三者や専門家を活用した構成とすることが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等も考えられる。また、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。
また、身体的拘束等適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
ユニット型指定短期入所療養介護事業者が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
イ 身体的拘束等について報告するための様式を整備すること。
ロ 介護従業者その他の従業者は、身体的拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、イの様式に従い、身体的拘束等について報告すること。
ハ 身体的拘束等適正化検討委員会において、ロにより報告された事例を集計し、分析すること。
ニ 事例の分析に当たっては、身体的拘束等の発生時の状況等を分析し、身体的拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
ホ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
へ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。
⑤ ユニット型指定短期入所療養介護事業者が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
イ 事業所における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
ロ 身体的拘束等適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ハ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
二 事業所内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
ホ 身体的拘束等発生時の対応に関する基本方針
へ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
ト その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
⑥ 介護従業者その他の従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修の内容としては、身体的拘束等の適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定短期入所療養介護事業者における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定短期入所療養介護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修事業所内での研修で差し支えない。
(6) 看護及び医学的管理の下における介護
① 居宅基準第155条の7第1項は、看護及び医学的管理の下における介護が、第155条の6のサービスの取扱方針を受けた適切な技術をもって行われなければならないことを規定したものである。自律的な日常生活を営むことを支援するという点では、利用者の日常生活上の活動への援助が過剰なものとなることのないよう留意する必要がある。また、利用者が相互に社会的関係を築くことを支援するという点では、単に利用者が家事の中で役割を持つことを支援するにとどまらず、例えば、利用者相互の間で、頼り、頼られるといった精神的な面での役割が生まれることを支援することにも留意する必要がある。
② 同条第2項の「日常生活における家事」には、食事の簡単な下準備や配膳、後片付け、清掃やゴミ出しなど、多様なものが考えられる。
③ 同条第3項は、入浴が、単に身体の清潔を維持するだけでなく、利用者が精神的に快適な生活を営む上でも重要なものであることから、こうした観点に照らして「適切な方法により」これを行うこととするとともに、同様の観点から、一律の入浴回数を設けるのではなく、個浴の実施など利用者の意向に応じることができるだけの入浴機会を設けなければならないことを規定したものである。
④ ユニット型指定短期入所生活介護事業所における看護及び医学的管理の下における介護については、前記の①から③までによるほか、第三の九の2の(6)の①及び②を準用する。
(7) 食事(居宅基準第155条の8)
① 居宅基準第155条の8第3項は、第155条の6第1項のサービスの取扱方針を受けて、食事は、利用者の生活習慣を尊重した適切な時間に提供しなければならないこと、また、事業者側の都合で急かしたりすることなく、入居者が自分のペースで食事を摂ることができるよう十分な時間を確保しなければならないことを規定したものである。
② 同条第4項は、居宅基準第155条の3の基本方針を受けて、入居者の意思を尊重し、また、その心身の状況に配慮した上で、できる限り離床し、共同生活室で食事を摂ることができるよう支援しなければならないことを規定したものである。その際、共同生活室で食事を摂るよう強制することはあってはならないので、十分留意する必要がある。
③ ユニット型指定短期入所療養介護事業所における食事については、前記の①及び②によるほか、第三の九の2の(7)の①から⑦までを準用する。
(8) その他のサービスの提供
① 居宅基準第155条の9第1項は、居宅基準第155条の6第1項のサービスの取扱方針を受けて、入居者一人一人の嗜好を把握した上で、それに応じた趣味、教養又は娯楽に係る活動の機会を提供するとともに、同好会やクラブ活動などを含め、利用者が自律的に行うこれらの活動を支援しなければならないことを規定したものである。
② ユニット型指定短期入所療養介護の療養室等は、家族や友人が来訪・宿泊して利用者と交流するのに適した個室であることから、これらの者ができる限り気軽に来訪・宿泊することができるよう配慮しなければならない。
(9) 運営規程(第155条の10)
(10) 勤務体制の確保
居宅基準第155条の10の2は、ユニット型指定短期入所生活介護の事業に係る居宅基準第140条の11の2と同趣旨である為、第三の八の4の(10)を参照されたい。
(11) 準用
居宅基準第155条の12の規定により、第144条、第147条から第149条まで、第154条の2及び第155条の規定は、ユニット型指定短期入所生活介護の事業について準用されるものであるため、第3の九の2の(3)から(5)まで、(9)及び(11)から(15)までを参照されたい。
なお、厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等二のハの(2)及び居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、居宅基準第32条に関する第3の一の3の(24)の①に準ずるものとする。
十 特定施設入居者生活介護
1 人員に関する基準
(1) 看護職員及び介護職員
① 居宅基準第175条第1項第2号ハの「常に1以上の指定特定施設入居者生活介護の提供に当たる介護職員の確保」及び同条第2項第2号ハの「常に1以上の指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護の提供に当たる介護職員の確保」とは、介護サービスの提供内容に応じて介護職員の勤務体系を適切に定めることであり、宿直時間帯を含めて適切な介護を提供できるようにするものとする。
② 同条第2項第2号イの「看護職員及び介護職員の合計数」について、要介護者の利用者の数に、要支援の利用者1人を要介護者0.3人と換算して合計した利用者数をもとに、3又はその端数を増すごとに1以上と算出するものとする。
③ 同条第2項第2号ハの「宿直時間帯」は、それぞれの事業所ごとに利用者の状況等に応じて、例えば午後9時から午前6時までなどと設定するものとする。また、宿直時間帯には宿直勤務を行う介護職員がいなければならないこととする。
④ 同条第8項の「指定介護予防特定施設入居者生活介護のみを提供する場合」とは、入居者の状態の改善等により要介護者が存在せず、要支援者に対する介護予防サービスのみが提供される場合をいうものとする。
(2) 主として指定特定施設入居者生活介護の提供に当たる看護職員又は介護職員
居宅基準第175条第5項の「主として指定特定施設入居者生活介護の提供に当たる看護職員又は介護職員」及び同条第8項の「主として指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護の提供に当たる介護職員及び看護職員」とは、要介護者等(第5項の場合には要介護者、第8項の場合には要介護者及び要支援者をいう。以下同じ。)に対するサービス提供に従事することを基本とするものである。ただし、要介護者等のサービス利用に支障がないときに、要介護者等以外の当該特定施設の入居者に対するサービス提供を行うことは差し支えない。
指定時においては、これらの従業者が要介護者等に対してサービスを提供する者として、それぞれ他の従業者と明確に区分するための措置が講じられており、この措置及び前記の趣旨が運営規程において明示されていることを確認する必要がある。
(3) 生産性向上に取り組む施設における看護職員及び介護職員の員数の柔軟化
居宅基準第175条第9項については、生産性向上の取組に当たっての必要な安全対策について検討した上で、見守り機器等の複数のテクノロジーの活用、職員間の適切な役割分担等の取組により、介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減が行われていると認められる指定特定施設に係る当該指定特定施設ごとに置くべき看護職員及び介護職員の合計数について、常勤換算方法で、要介護者である利用者の数が3(要支援者の場合は10)又はその端数を増すごとに0.9以上であることと規定したものである。適用にあたっての留意点等については、別途通知(「「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」等における生産性向上に先進的に取り組む特定施設等に係る人員配置基準の留意点について」によるものとする。
(4) 管理者(居宅基準第176条)
短期入所生活介護の場合と同趣旨であるため、第3の八の1の(6)を参照されたい。
(5) 病院及び診療所の療養病床転換による機能訓練指導員の配置に関する基準緩和の経過措置(附則第14条)
一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟を有する病院の一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟又は一般病床若しくは療養病床を有する診療所の一般病床若しくは療養病床を令和6年3月31日までの間に転換し、指定特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護を除く。)の事業を行う医療機関併設型指定特定施設(介護老人保健施設、介護医療院又は病院若しくは診療所に併設される指定特定施設をいう。以下同じ。)においては、機能訓練指導員は、当該医療機関併設型指定特定施設における理学療法士等によるサービス提供が、当該併設医療機関及び医療機関併設型指定特定施設の入居者に対するサービス提供が適切に行われると認められるときは、これを置かないことができる。
(6) 病院及び診療所の療養病床転換による生活指導員及び計画作成担当者の配置に関する基準緩和の経過措置(附則第15条)
一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟を有する病院の一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟又は一般病床若しくは療養病床を有する診療所の一般病床若しくは療養病床を令和6年3月31日までの間に転換し、指定特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護を除く。)の事業を行う医療機関併設型指定特定施設においては、当該医療機関併設型指定特定施設における生活相談員又は計画作成担当者の配置については、当該医療機関併設型指定特定施設の入居者に対するサービス提供が適切に行われると認められる場合にあっては、実情に応じた適当数でよいこと。
2 設備に関する基準(居宅基準第177条)
(2) 居宅基準第177条第4項第1号イの「利用者の処遇上必要と認められる場合」とは、例えば、夫婦で居室を利用する場合などであって、事業者の都合により一方的に2人部屋とすることはできない。なお、平成18年厚生労働省令第33号附則第2条により、既存の指定特定施設における定員4人以下の介護居室については、個室とする規定を適用しないものとする。
(3) 居宅基準第177条第4項において、介護居室、一時介護室、食堂及び機能訓練室についていう「適当な広さ」については、面積による基準を定めることはせず、利用者の選択に委ねることとする。このため、具体的な広さについては、利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項であり、利用申込者に対する文書を交付しての説明及び掲示が必要となる。また、機能訓練室については、他に適当な場所が確保されている場合に設けないことができることとしたが、この場合には、同一敷地内にある若しくは道路を隔てて隣接する又は当該特定施設入居者生活介護事業所の付近にある等機能訓練の実施に支障のない範囲内にある施設の設備を利用する場合も含まれるものである。
(4) 居宅基準第177条第5項の「利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間と構造」とは、段差の解消、廊下の幅の確保等の配慮がなされていることをいうものである。
(5) 居宅基準附則第13条は、平成11年3月31日においてすでに存在する特定有料老人ホーム(旧社会福祉・医療事業団業務方法書に規定する特定有料老人ホームをいう。)について、浴室及び食堂を設けないことができるものとする趣旨で設けられたものである。ただし、利用者が当該有料老人ホームに併設する養護老人ホーム等の浴室及び食堂を利用することができること等が要件であることに留意するものとする。
(6) 病院及び診療所の療養病床転換による浴室、便所及び食堂に関する基準の緩和(附則第16条)
一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟を有する病院の一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟又は一般病床若しくは療養病床を有する診療所の一般病床若しくは療養病床を令和6年3月31日までの間に転換し、指定特定施設入居者生活介護(外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護を除く。)の事業を行う医療機関併設型指定特定施設においては、当該医療機関併設型指定特定施設における浴室、便所及び食堂に関しては、当該医療機関併設型指定特定施設の入居者に対するサービス提供が適切に行われると認められる場合にあっては、置かないことができるものとする。
なお、機能訓練指導室については、他に適当な場所が確保されている場合に設けないことができることとされており、この場合には、併設医療機関の設備を利用する場合も含まれるものである。
3 運営に関する基準
(1) 内容及び手続の説明及び契約の締結等
居宅基準第178条第1項は、利用者に対し適切な特定施設入居者生活介護を提供するため、入居申込者又はその家族に対し、入居申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、同意を得なければならないこととしたものである。
「入居申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項」とは、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、介護居室、一時介護室、浴室、食堂及び機能訓練室の概要、要介護状態区分に応じて当該事業者が提供する標準的な介護サービスの内容、利用料の額及びその改定の方法並びに事故発生時の対応等である。また、契約書においては、少なくとも、介護サービスの内容及び利用料その他費用の額、契約解除の条件を記載するものとする。
なお、居宅基準第175条第2項本文に規定する介護予防特定施設入居者生活介護の指定をあわせて受ける場合にあっては、特定施設入居者生活介護事業と介護予防特定施設入居者生活介護の契約について別の契約書とすることなく、一つの契約書によることができる。
(2) 指定特定施設入居者生活介護の提供の開始等
居宅基準第179条第2項は、入居者が当該指定特定施設入居者生活介護事業者から指定特定施設入居者生活介護を受けることに同意できない場合もあること等から設けたものである。
(3) サービス提供の記録
① 居宅基準第181条第1項は、指定特定施設入居者生活介護の提供を受けている者が居宅療養管理指導以外の居宅サービス、地域密着型サービス及び施設サービスについて保険給付を受けることができないことを踏まえ、他の居宅サービス事業者等において当該利用者が指定特定施設入居者生活介護の提供を受けていることを確認できるよう、指定特定施設入居者生活介護事業者に対して、指定特定施設入居者生活介護の開始に際しては当該開始の年月日及び入居している指定特定施設の名称を、指定特定施設入居者生活介護の終了に際しては当該終了の年月日を、利用者の被保険者証に記載しなければならないこととしたものである。
② 同条第2項は、サービスの提供日、サービスの内容、利用者の状況その他必要な事項を記録しなければならないこととしたものである。
なお、居宅基準第191条の3第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
(4) 利用料等の受領
② 同条第3項は、指定特定施設入居者生活介護事業者は、指定特定施設入居者生活介護の提供に関して、
イ 利用者の選定により提供される介護その他の日常生活上の便宜に要する費用
ロ おむつ代
ハ 前2号に掲げるもののほか、指定特定施設入居者生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの
については、前2項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、ハの費用の具体的な範囲については、別途通知するところによるものである。
(5) 指定特定施設入居者生活介護の提供の取扱方針
① 居宅基準第183条第4項及び第5項は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第191条の3第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
② 同条第6項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、看護職員、介護職員、生活相談員)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、身体的拘束等の適正化対応策を担当する者を決めておくことが必要である。なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、利用者や事業所の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※) 身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者
なお、身体的拘束等適正化検討委員会は、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。身体的拘束等適正化検討委員会の責任者はケア全般の責任者であることが望ましい。また、身体的拘束等適正化検討委員会には、第三者や専門家を活用することが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等が考えられる。
また、身体的拘束等適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
指定特定施設が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。具体的には、次のようなことを想定している。
イ 身体的拘束等について報告するための様式を整備すること。
ロ 介護職員その他の従業者は、身体的拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、イの様式に従い、身体的拘束等について報告すること。
ハ 身体的拘束等適正化検討委員会において、ロより報告された事例を集計し、分析すること。
ニ 事例の分析に当たっては、身体的拘束等の発生時の状況等を分析し、身体的拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
ホ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
ヘ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。
③ 指定特定施設が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
イ 施設における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
ロ 身体的拘束等適正化検討委員会その他施設内の組織に関する事項
ハ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
ニ 施設内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
ホ 身体的拘束等発生時の対応に関する基本方針
ヘ 入居者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
ト その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
④ 介護職員その他の従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修の内容としては、身体的拘束等の適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定特定施設における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定特定施設が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修施設内での研修で差し支えない。
(6) 特定施設サービス計画の作成
居宅基準第184条は、特定施設サービス計画の作成及び変更の留意点及び方法について定めたものであるが、利用者に対するサービスが総合的に提供されるよう、当該計画は、介護保険給付の対象とならない介護サービスに関する事項をも含めたものとする。なお、当該計画の作成及び実施に当たっては、利用者の希望を十分勘案するものとする。
サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、計画作成担当者は、特定施設サービス計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で文書によって利用者の同意を得なければならず、また、当該特定施設サービス計画を利用者に交付しなければならない。
なお、交付した特定施設サービス計画は、居宅基準第191条の3第1項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
また、指定特定施設入居者生活介護事業所において短期利用特定施設入居者生活介護費を算定する場合で、居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定特定施設入居者生活介護事業者については、第3の一の3の(14)の⑥を準用する。この場合において、「訪問介護計画」とあるのは「特定施設サービス計画」と読み替える。
(7) 介護
① 居宅基準第185条の規定による介護サービスの提供に当たっては、当該指定特定施設においてその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとする。なお、介護サービス等の実施に当たっては、利用者の人格を十分に配慮して実施するものとする。
② 同条第2項の規定による入浴の実施に当たっては、自ら入浴が困難な利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、健康上の理由等で入浴の困難な利用者については、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。
③ 同条第3項の規定による排せつの介助に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などを基に自立支援を踏まえて、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。
④ 同条第4項は、指定特定施設入居者生活介護事業者は、入居者の心身の状況や要望に応じて、1日の生活の流れに沿って、食事、離床、着替え、整容などの日常生活上の世話を適切に行うべきことを定めたものである。
⑻ 口腔衛生の管理
居宅基準第185条の2は、特定施設入居者生活介護事業者の入居者に対する口腔衛生の管理について、入居者の口腔の健康状態に応じて、以下の手順により計画的に行うべきことを定めたものである。別途通知(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」)も参照されたい。
① 当該施設において、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該施設の介護職員に対する口腔衛生の管理に係る技術的助言及び指導を年2回以上行うこと。
② ①の技術的助言及び指導に基づき、以下の事項を記載した、入所者の口腔衛生の管理体制に係る計画を作成するとともに、必要に応じて、定期的に当該計画を見直すこと。なお、口腔衛生の管理体制に係る計画に相当する内容を特定施設サービス計画の中に記載する場合はその記載をもって口腔衛生の管理体制に係る計画の作成に代えることができるものとすること。
イ 助言を行った歯科医師
ロ 歯科医師からの助言の要点
ハ 具体的方策
ニ 当該施設における実施目標
ホ 留意事項・特記事項
③ 医療保険において歯科訪問診療料が算定された日に、介護職員に対する口腔清掃等に係る技術的助言及び指導又は②の計画に関する技術的助言及び指導を行うにあたっては、歯科訪問診療又は訪問歯科衛生指導の実施時間以外の時間帯に行うこと。
なお、当該施設と計画に関する技術的助言及び指導を行う歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士においては、実施事項等について文書で取り決めること。
また、当該義務付けの適用に当たっては、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第16号)附則第5条において、3年間の経過措置を設けており、令和9年3月31日までの間は、努力義務とされている。
(9) 相談及び援助
居宅基準第187条の規定による相談及び援助については、常時必要な相談及び社会生活に必要な支援を行いうる体制をとることにより、積極的に入居者の生活の向上を図ることを趣旨とするものである。なお、社会生活に必要な支援とは、入居者自らの趣味又は嗜好に応じた生きがい活動、各種の公共サービス及び必要とする行政機関に対する手続き等に関する情報提供又は相談である。
(10) 利用者の家族との連携等
居宅基準第188条は、指定特定施設入居者生活介護事業者は、利用者の生活及び健康の状況並びにサービスの提供状況を家族に定期的に報告する等常に利用者と家族の連携を図るとともに、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。
(11) 運営規程
居宅基準第189条は、指定特定施設入居者生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定特定施設入居者生活介護の提供を確保するため、同条第1号から第10号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定特定施設ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
① 指定特定施設入居者生活介護の内容
「指定特定施設入居者生活介護の内容」については、入浴の介護の1週間における回数等のサービスの内容を指すものであること。
② その他運営に関する重要事項
居宅基準第175条第1項第2号の看護職員又は介護職員を、それぞれ他の従業者と明確に区分するための措置等を指すものであること。
また、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続きについて定めておくことが望ましい。
(12) 勤務体制の確保等
居宅基準第190条は、利用者に対する適切な指定特定施設入居者生活介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等を規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。
① 特定施設従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、機能訓練指導員との兼務関係、計画作成担当者との兼務関係等を勤務表上明確にすること。
② 同条第2項の規定により、指定特定施設入居者生活介護に係る業務の全部又は一部を他の事業者(以下「受託者」という)に行わせ。る指定特定施設入居者生活介護事業者(以下「委託者」という。)は、当該受託者に対する当該業務の管理及び指揮命令の確実な実施を確保するため、当該委託契約において次に掲げる事項を文書により取り決めなければならない。この場合において、委託者は受託者に委託した業務の全部又は一部を再委託させてはならない。なお、給食、警備等の特定施設入居者生活介護に含まれない業務については、この限りでない。
イ 当該委託の範囲
ロ 当該委託に係る業務(以下「委託業務」という。)の実施に当たり遵守すべき条件
ハ 受託者の従業者により当該委託業務が居宅基準第12章第4節の運営基準に従って適切に行われていることを委託者が定期的に確認する旨
ニ 委託者が当該委託業務に関し受託者に対し指示を行い得る旨
ホ 委託者が当該委託業務に関し改善の必要を認め、所要の措置を講じるよう前号の指示を行った場合において、当該措置が講じられたことを委託者が確認する旨
ヘ 受託者が実施した当該委託業務により入居者に賠償すべき事故が発生した場合における責任の所在
ト その他当該委託業務の適切な実施を確保するために必要な事項
③ 指定特定施設入居者生活介護事業者は②のハ及びホの確認の結果の記録を作成しなければならないこと。
④ 指定特定施設入居者生活介護事業者が行う②のニの指示は、文書により行わなければならないこと。
⑤ 指定特定施設入居者生活介護事業者は、居宅基準第191条の2第2項の規定に基づき、②のハ及びホの確認の結果の記録を2年間保存しなければならないこと。
⑥ 同条第4項の規定は、指定訪問入浴介護に係る居宅基準第53条の2第3項と基本的に同趣旨であるため、第3の二の3の(6)③を参照されたいこと。
⑦ 同条第5項の規定は、指定訪問介護に係る居宅基準第30条第4項の規定と基本的に同趣旨であるため、第3の一の3の(21)④を参照されたいこと。
(13) 業務継続計画の策定等
① 居宅基準第192条の規定により指定特定施設入居者生活介護の事業について準用される居宅基準第30条の2は、指定特定施設入居者生活介護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定特定施設入居者生活介護の提供を受けられるよう、業務継続計画を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、指定認知症対応型共同生活介護事業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、居宅基準第192条の規定により指定特定施設入居者生活介護の事業について準用される居宅基準第30条の2に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
② 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、「介護施設・事業所における感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。さらに、感染症に係る業務継続計画、感染症の予防及びまん延の防止のための指針、災害に係る業務継続計画並びに非常災害に関する具体的計画については、それぞれに対応する項目を適切に設定している場合には、一体的に策定することとして差し支えない。
イ 感染症に係る業務継続計画
a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
b 初動対応
c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
ロ 災害に係る業務継続計画
a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
c 他施設及び地域との連携
③ 研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年2回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施すること。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
④ 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年2回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。また、災害の業務継続計画に係る訓練については、非常災害対策に係る訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(14) 衛生管理等
② 同条第2項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次のイからハまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該事業所における感染対策委員会であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、感染対策担当者を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
ロ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。
ハ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
特定施設従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施すること。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年2回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(15) 協力医療機関等
居宅基準第191条は、特定施設の入居者の病状の急変時等に対応するための協力医療機関をあらかじめ定めておくこと、新興感染症の診療等を行う医療機関と新興感染症発生時等における対応を取り決めるよう努めること、歯科医療の確保の観点からあらかじめ協力歯科医療機関を定めておくよう努めること等を規定したものであること。
協力医療機関及び協力歯科医療機関は、特定施設から近距離にあることが望ましい。
① 指定特定施設入居者生活介護事業者は、利用者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくものとする。
② 協力医療機関との連携(第2項)
特定施設入居者介護の入居者の病状の急変時等に、相談対応や診療を行う体制を常時確保した協力医療機関を定めるよう努めなければならない。
連携する医療機関は、在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟(200床未満)を持つ医療機関等の在宅医療を支援する地域の医療機関(以下、在宅療養支援病院等)と連携を行うことが想定される。なお、令和6年度診療報酬改定において新設される地域包括医療病棟を持つ医療機関は、前述の在宅療養支援病院等を除き、連携の対象として想定される医療機関には含まれないため留意すること。
③ 協力医療機関との連携に係る届け出(第3項)
協力医療機関と実効性のある連携体制を確保する観点から、年に1回以上、協力医療機関と入居者の急変時等における対応を確認し、当該医療機関の名称や当該医療機関との取り決めの内容等を都道府県に届け出ることを義務づけたものである。届出については、別紙1によるものとする。協力医療機関の名称や契約内容の変更があった場合には、速やかに都道府県知事に届け出ること。
④ 新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携(第4項)
特定施設入居者介護事業者の入居者における新興感染症の発生時等に、感染者の診療等を迅速に対応できる体制を平時から構築しておくため、感染症法第6条第17項に規定する第二種協定指定医療機関である病院又は診療所との新興感染症発生時等における対応を取り決めるよう努めることとしたものである。
取り決めの内容としては、流行初期期間経過後(新興感染症の発生の公表後4か月程度から6カ月程度経過後)において、特定施設入居者介護事業者の入居者が新興感染症に感染した場合に、相談、診療、入院の要否の判断、入院調整等を行うことが想定される。なお、第二種協定指定医療機関である薬局や訪問看護ステーションとの連携を行うことを妨げるものではない。
⑤ 協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合(第5項)
協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合には、第3項で定められた入居者の急変時等における対応の確認と合わせ、当該協力医療機関との間で、新興感染症の発生時等における対応について協議を行うことを義務付けるものである。協議の結果、当該協力医療機関との間で新興感染症の発生時等の対応の取り決めがなされない場合も考えられるが、協力医療機関のように日頃から連携のある第二種協定指定医療機関と取り決めを行うことが望ましい。
⑥ 医療機関に入院した入居者の退院後の受け入れ(第6項)
「速やかに入居させることができるよう努めなければならない」とは、必ずしも退院後に再入居を希望する入居者のために常に居室を確保しておくということではなく、できる限り円滑に再入居できるよう努めなければならないということである。
(16) 地域との連携等
① 居宅基準第191条の2第1項は、指定特定施設入居者生活介護の事業が地域に開かれた事業として行われるよう、指定特定施設入居者生活介護事業者は、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。
② 同条第2項は、居宅基準第3条第2項の趣旨に基づき、介護サービス相談員を派遣する事業を積極的に受け入れる等、市町村との密接な連携に努めることを規定したものである。
なお、「市町村が実施する事業」には、介護サービス相談員派遣事業のほか、広く市町村が老人クラブ、婦人会その他の非営利団体や住民の協力を得て行う事業が含まれるものである。
(17) 居宅基準第192条の規定により指定特定施設入居者生活介護の事業について準用される居宅基準第37条の2は、虐待の防止に関する事項について規定したものである。虐待は、法の目的の1つである高齢者の尊厳の保持や、高齢者の人格の尊重に深刻な影響を及ぼす可能性が極めて高く、指定特定施設入居者生活介護事業者は虐待の防止のために必要な措置を講じなければならない。虐待を未然に防止するための対策及び発生した場合の対応等については、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成17年法律第124号。以下「高齢者虐待防止法」という。)に規定されているところであり、その実効性を高め、入居者の尊厳の保持・人格の尊重が達成されるよう、次に掲げる観点から虐待の防止に関する措置を講じるものとする。
・虐待の未然防止
指定特定施設入居者生活介護事業者は高齢者の尊厳保持・人格尊重に対する配慮を常に心がけながらサービス提供にあたる必要があり、第3条の一般原則に位置付けられているとおり、研修等を通じて、従業者にそれらに関する理解を促す必要がある。同様に、従業者が高齢者虐待防止法等に規定する養介護施設の従業者としての責務・適切な対応等を正しく理解していることも重要である。
・虐待等の早期発見
指定特定施設の従業者は、虐待等を発見しやすい立場にあることから、これらを早期に発見できるよう、必要な措置(虐待等に対する相談体制、市町村の通報窓口の周知等)がとられていることが望ましい。また、入居者及びその家族からの虐待等に係る相談、入居者から市町村への虐待の届出について、適切な対応をすること。
・虐待等への迅速かつ適切な対応
虐待が発生した場合には、速やかに市町村の窓口に通報される必要があり、指定特定施設入居者生活介護事業者は当該通報の手続が迅速かつ適切に行われ、市町村等が行う虐待等に対する調査等に協力するよう努めることとする。
以上の観点を踏まえ、虐待等の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するために次に掲げる事項を実施するものとする。
① 虐待の防止のための対策を検討する委員会(第1号)
「虐待の防止のための対策を検討する委員会」(以下「虐待防止検討委員会」という。)は、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討する委員会であり、管理者を含む幅広い職種で構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、定期的に開催することが必要である。また、虐待防止の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。
一方、虐待等の事案については、虐待等に係る諸般の事情が、複雑かつ機微なものであることが想定されるため、その性質上、一概に従業者に共有されるべき情報であるとは限られず、個別の状況に応じて慎重に対応することが重要である。
なお、虐待防止検討委員会は、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、施設に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
また、虐待防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
虐待防止検討委員会は、具体的には、次のような事項について検討することとする。その際、そこで得た結果(事業所における虐待に対する体制、虐待等の再発防止策等)は、従業者に周知徹底を図る必要がある。
イ 虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関すること
ロ 虐待の防止のための指針の整備に関すること
ハ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること
ニ 虐待等について、従業者が相談・報告できる体制整備に関すること
ホ 従業者が高齢者虐待を把握した場合に、市町村への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
ヘ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
ト 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること
② 虐待の防止のための指針(第2号)
指定特定施設入居者生活介護事業者が整備する「虐待の防止のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
イ 施設における虐待の防止に関する基本的考え方
ロ 虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関する事項
ハ 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
ニ 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
ホ 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
ヘ 成年後見制度の利用支援に関する事項
ト 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
チ 入居者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
リ その他虐待の防止の推進のために必要な事項
③ 虐待の防止のための従業者に対する研修(第3号)
従業者に対する虐待の防止のための研修の内容としては、虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、当該指定特定施設における指針に基づき、虐待の防止の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定特定施設入居者生活介護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修(年2回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、施設内での研修で差し支えない。
④ 前3号に掲げる措置を適切に実施するための担当者(第4号)
指定特定施設における虐待を防止するための体制として、①から③までに掲げる措置を適切に実施するため、担当者を置くことが必要である。当該担当者としては、虐待防止検討委員会の責任者と同一の従業者が務めることが望ましい。なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、利用者や事業所の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※) 身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者
(18) 記録の整備
居宅基準第191条の3第2項は、指定特定施設入居者生活介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、同項第1号から第3号まで及び第5号から第7号までの記録については、個々の利用者につき、契約の終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立を含む。)により一連のサービス提供が終了した日、同項第4号の記録については、居宅基準第190条第3項に規定する指定特定施設入居者生活介護に係る業務の全部又は一部を委託により他の事業者に行わせる場合の当該事業者の業務の実施状況について確認した日を指すものとする。
(19) 準用
居宅基準第192条の規定により、居宅基準第11条、第12条、第21条、第26条、第30条の2、第32条から第34条まで、第35条、第36条、第37条から第38条まで、第51条、第52条、第103条、第104条、第132条及び第139条の2の規定は、指定特定施設入居者生活介護の事業に準用されるものであるため、第3の一の3の(5)、(6)、(12)、(15)、(24)、(25)、(27)、(28)、(30)及び(32)、第3の二の3の(3)及び(4)、第3の六の3の⑻並びに第3の八の3の⑻及び(19)を参照されたい。
十の二 外部サービス利用型特定施設入居者生活介護
1 人員に関する基準
(1) 介護職員の数
居宅基準第192条の4第2項第2号の介護職員について、要介護者の利用者の数に、要支援者である利用者1人を要介護者3分の1人と換算して合計した利用者数をもとに、10又はその端数を増すごとに1以上と算出するものとする。
(2) 常に1以上確保すべき従業者
居宅基準第192条の4第4項の「指定特定施設の従業者」は、第1項に規定する外部サービス利用型特定施設従業者に限るものではなく、要介護者及び要支援者以外の当該特定施設の入居者に対して生活相談等のサービスを提供する者等を含むものとする。
(3) 利用者の処遇に支障がない場合に従事することができる他の職務
居宅基準第192条の4第5項及び第6項並びに第192条の5の「他の職務」は、外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護に係る職務に限るものではなく、要介護者及び要支援者以外の当該特定施設の入居者に対する生活相談等のサービスの提供を含むものとする。
(4) 計画作成担当者(居宅基準第192条の4第6項)
計画作成担当者は、介護支援専門員をもって充てること。ただし、平成18年厚生労働省令第33号附則第4条により、養護老人ホームに係る特定施設においては、平成21年3月31日までの間は、介護支援専門員でない者をもって充てることができる。
(5) 病院及び診療所の療養病床転換による生活相談員及び計画作成担当者の配置に関する基準緩和の経過措置
一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟を有する病院の一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟又は一般病床若しくは療養病床を有する診療所の一般病床若しくは療養病床を令和6年3月31日までの間に転換し、外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護の事業を行う医療機関併設型指定特定施設においては、当該医療機関併設型指定特定施設における生活相談員及び計画作成担当者の配置については、当該医療機関併設型指定特定施設の入居者に対するサービス提供が適切に行われると認められる場合にあっては、実情に応じた適当数でよいこと。
2 設備に関する基準
(2) 居宅基準第192条の6第4項において、居室及び食堂についていう「適当な広さ」については、面積による基準を定めることはせず、利用者の選択に委ねることとする。このため、具体的な広さについては、利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項であり、利用申込者に対する文書を交付しての説明及び掲示が必要となる。
(3) 居宅基準第192条の6第4項第1号イの「利用者の処遇上必要と認められる場合」とは、例えば夫婦で居室を利用する場合などであって、事業者の都合により一方的に2人部屋とすることはできない。なお、平成18年厚生労働省令第33号附則第2条により、既存の指定特定施設における定員4人以下の居室については、同附則第5条により、既存の又は既存とみなすことができる養護老人ホームに係る特定施設における居室については、個室とする規定を適用しないものとする。
(4) 居宅基準第192条の6第4項第1号ホ及び同項第3号の非常通報装置等の設置の規定は、利用者が居室等にいる場合に病状の急変等の事態が生じた場合に、特定施設の従業者が速やかに対応できるようにする趣旨で設置を求めるものである。ただし、平成18年厚生労働省令第33号附則第3条により、既存の養護老人ホームに係る特定施設の場合は、平成19年3月31日までの間に非常通報装置等の設置をする旨の計画が立てられていることを要件として、当該規定を満たすこととする。
(5) 病院及び診療所の療養病床転換による浴室、便所、食堂及び機能訓練室に関する基準緩和の経過措置
一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟を有する病院の一般病床、療養病床若しくは老人性認知症疾患療養病棟又は一般病床若しくは療養病床を有する診療所の一般病床若しくは療養病床を令和6年3月31日までの間に転換し、外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護の事業を行う医療機関併設型指定特定施設においては、併設される介護老人保健施設、介護医療院又は病院若しくは診療所の施設を利用することにより、当該医療機関併設型指定特定施設の利用者の処遇が適切に行われると認められるときは、当該医療機関併設型指定特定施設に浴室、便所及び食堂を置かないことができるものとする。
3 運営に関する基準
(1) 内容及び手続の説明及び契約の締結等
居宅基準第192条の7第1項は、利用者に対し適切な外部サービス利用型指定特定施設入居者介護を提供するため、入居申込者又はその家族に対し、入居申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、同意を得なければならないこととしたものである。
「入居申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項」とは、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者と受託居宅サービス事業者の業務の分担の内容、受託居宅サービス事業者及び受託居宅サービス事業所の名称並びに居宅サービスの種類、居室、浴室及び食堂の概要、要介護状態区分又は要支援状態区分に応じて当該事業者が提供する標準的な介護サービスの内容、安否確認の方法及び手順、利用料の額及びその改定の方法、事故発生時の対応等である。
また、契約書においては、少なくとも、介護サービスの提供の方法、利用料その他費用の額、契約解除の条件を記載するものとする。
(2) 介護サービスの提供
① 適切かつ円滑な介護サービス提供のための必要な措置
居宅基準第192条の8第1項は、利用者に対し、受託居宅サービス事業者による介護サービスを適切かつ円滑に提供するため、必要な措置を講じなければならないこととしたものである。
「必要な措置」とは、例えば、外部サービス利用型特定施設従業者及び受託居宅サービス事業所の従業者による会議を開催し、利用者への介護サービス提供等に係る情報伝達、特定施設サービス計画作成にあたっての協議等を行うことである。
② 介護サービス提供に係る文書による報告居宅基準第192条の8第2項は、外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者が、受託居宅サービス事業者による介護サービス提供の実施状況を把握するため、介護サービス提供の日時、時間、具体的なサービスの内容等を文書により報告させることとしたものである。
(3) 運営規程
居宅基準第192条の9は、外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護の提供を確保するため、同条第1号から第10号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定特定施設ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
① 外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護の内容
「外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護の内容」については、利用者の安否の確認、生活相談、計画作成の方法等を指すものであること。
② その他運営に関する重要事項
従業者間で利用者に緊急時対応等を行った場合の内容について共有するための方法を定めておくこと。利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続について定めておくことが望ましい。
(4) 受託居宅サービス事業者への委託
居宅基準第192条の10は、利用者に対する適切な外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護の提供を確保するため、外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者が、受託居宅サービス事業者に受託居宅サービスの提供に係る業務を委託する方法等を規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。
① 外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者は、受託居宅サービス事業者に対する委託に係る業務の管理及び指揮命令の確実な実施を確保するため、当該委託契約において次に掲げる事項を文書により取り決めなければならない。この場合において、外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者は受託居宅サービス事業者に委託した業務を再委託させてはならない。
イ 当該委託の範囲
ロ 当該委託に係る業務(以下「委託業務」という。)の実施に当たり遵守すべき条件
ハ 受託居宅サービス事業者の従業者により当該委託業務が居宅基準第12章第5節の運営基準に従って適切に行われていることを外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者が定期的に確認する旨
ニ 外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者が当該委託業務に関し受託居宅サービス事業者に対し指示を行い得る旨
ホ 外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者が当該委託業務に関し改善の必要を認め、所要の措置を講じるよう前号の指示を行った場合において、当該措置が講じられたことを外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者が確認する旨
ヘ 受託居宅サービス事業者が実施した当該委託業務により入居者に賠償すべき事故が発生した場合における責任の所在
ト その他当該委託業務の適切な実施を確保するために必要な事項
② 外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者は①のハ及びホの確認の結果の記録を作成しなければならないこと。
③ 外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者が行う①のニの指示は、文書により行わなければならないこと。
④ 外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護事業者は、居宅基準第192条の11第2項の規定に基づき、①のハ及びホの確認の結果の記録を2年間保存しなければならないこと。
⑤ 一の居宅サービスを提供する受託居宅サービス事業者は、複数の事業者とすることも可能であること。
⑥ 外部サービス利用型特定施設入居者生活介護事業者は、事業の開始に当たっては、指定訪問介護、指定訪問看護、指定通所介護のサービスを提供する事業者と予め契約し、法第70条第1項及び施行規則第123条第1項により、当該受託居宅サービス事業者及び当該受託居宅サービス事業所の名称及び所在地を記載した書類を都道府県知事に提出しなければならないこと。
⑦ 居宅基準第192条の10第7項は、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護事業者が、受託居宅サービス事業者に、業務について必要な指揮命令をすることを規定しているが、当該指揮命令には、居宅基準第183条の身体的拘束等の禁止並びに居宅基準第192条の12により準用される第33条の秘密保持等、第37条の事故発生時の対応及び第51条の緊急時の対応の規定において求められている内容が、当該外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の提供に当たる受託居宅サービス事業者の従業者によっても遵守されることを確保する旨が含まれていること。
(5) 記録の整備
居宅基準第192条の11第2項は、指定特定施設入居者生活介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、同項第1号、第2号及びから第4号から第8号までの記録については、個々の利用者につき、契約の終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立を含む。)により一連のサービス提供が終了した日、同項第3号の記録については、居宅基準第192条の10第8項に規定する受託居宅サービスに係る業務の実施状況について確認した日、同項第9号の記録については、居宅基準第190条第3項に規定する指定特定施設入居者生活介護に係る業務の全部又は一部を委託により他の事業者に行わせる場合の当該事業者の業務の実施状況について確認した日を指すものとする。
(6) 特定施設サービス計画の作成
① 第三の十の3の(6)によるほか、次の事項に留意すること。当該特定施設の計画作成担当者は、他の外部サービス利用型特定施設従業者と受託居宅サービス事業者と協議の上、特定施設サービス計画の原案を作成することとすること。
② 受託居宅サービス事業者のサービス計画(訪問介護計画、訪問看護計画、通所介護計画等)は、特定施設サービス計画と整合が図られなければならないこと。
(7) 準用
居宅基準第192条の12の規定により、居宅基準第11条、第12条、第21条、第26条、第30条の2、第32条から第34条まで、第35条、第36条、第37条から第38条まで、第51条、第52条、第103条、第104条、第179条から第184条まで、第187条、第188条及び第190条から第191条の2の規定は、外部サービス利用型指定特定施設入居者生活介護の事業に準用されるものであるため、第3の一の3の(5)、(6)、(12)、(15)、(24)、(25)、(27)、(28)、(30)及び(32)、第3の二の3の(3)及び(4)、第3の六の3の(7)並びに第3の十の3の(2)から(6)まで及び⑻から(17)までを参照されたい。
十一 福祉用具貸与
1 人員に関する基準
(1) 福祉用具専門相談員に関する事項(居宅基準第194条)
① 福祉用具専門相談員の範囲については、介護保険法施行令(平成10年政令第412号。以下「政令」という。)第4条第1項において定めているところであるが、福祉用具貸与に係る指定居宅サービス事業者の指定を受けようとする者は、当該福祉用具貸与に従事させることとなる者が政令第4条第1項各号に規定する者であるかを確認する必要がある。
② また、介護保険法施行令等の一部を改正する政令(平成18年政令第154号)附則第18条第2項各号に規定する「都道府県知事が福祉用具専門相談員指定講習に相当する講習として都道府県知事が公示するものの課程」に該当するかどうかについて疑義があるときは、当該指定の申請をするに当たって、その旨を都道府県知事に申し出るものとする。
③ 指定福祉用具貸与事業所ごとに置くべき福祉用具専門相談員の員数については、常勤換算方法で2以上とされているが、当該指定福祉用具貸与事業者が、指定介護予防福祉用具貸与、指定特定福祉用具販売又は指定介護予防福祉用具販売に係る事業者の指定を併せて受ける場合であって、これらの指定に係る事業所と指定福祉用具貸与事業所が一体的に運営される場合については、常勤換算方法で2以上の福祉用具専門相談員を配置することをもって、これらの指定に係るすべての人員基準を満たしているものとみなすことができる。したがって、例えば、同一の事業所において、指定福祉用具貸与、指定介護予防福祉用具貸与、指定特定福祉用具販売及び指定介護予防福祉用具販売の4つの指定を併せて受けている場合であっても、これらの運営が一体的になされているのであれば、福祉用具専門相談員は常勤換算方法で2人でもって足りるものである。
(2) 管理者(居宅基準第195条)
訪問介護の場合と同趣旨であるため、第三の一の1の(3)を参照されたい。
2 設備に関する基準
(1) 居宅基準第196条第1項に規定する必要な広さの区画については、利用申込みの受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
(2) 指定福祉用具貸与事業者は、指定福祉用具貸与に必要な設備及び備品等を確保するものとする。ただし、他の事業所又は施設等と同一敷地内にある場合であって、指定福祉用具貸与の事業及び当該他の事業所又は施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所又は施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
(3) 同条第2項第1号ロは、既に消毒又は補修がなされている福祉用具とそれ以外の福祉用具の区分について、保管室を別にするほか、つい立ての設置等両者を保管する区域を明確に区分するための措置が講じられていることをいうものである。
(4) 同条第2項第2号に定める福祉用具の消毒のために必要な器材とは、居宅基準第203条第2項の規定による消毒の方法により消毒を行うために必要な器材をいう。
3 運営に関する基準
(1) 利用料等の受領
① 居宅基準第197条第1項は、指定福祉用具貸与事業者は、法定代理受領サービスとして提供される指定福祉用具貸与についての利用者負担として、居宅介護サービス費用基準額の1割(法第50条若しくは第60条又は第69条第3項の規定の適用により保険給付の率が9割でない場合については、それに応じた割合)の支払を受けなければならないことを規定したものである。また、指定福祉用具貸与者は、現に要した費用の額として適切な利用料を設定し、指定福祉用具貸与の提供内容によって利用者から選択されることが本旨である。そのため、指定福祉用具貸与事業者が受領した自己のサービス提供に係る利用者負担を金品その他の財産上の利益に替えて直接的又は間接的に供与し、事実上自己の利用者の利用者負担の全部又は一部を軽減している場合は、本項の主旨からは除かれるものである。また、自己以外の者が自己のサービス提供に係る利用者負担を前提として、自己の利用者に対して金品その他の財産上の利益を供与している場合も同様である。
② 居宅基準第197条第2項及び第4項は、指定訪問介護に係る居宅基準第20条第1項、第2項及び第4項と同趣旨であるため、第3の一の3の(11)の②及び④を参照されたい。なお、指定福祉用具貸与は継続的な契約であるとともに利用者と対面する機会が少ないことから、指定福祉用具貸与事業者は、利用者から前払いにより数箇月分の利用料を徴収することも可能とするが、この場合であっても、要介護者の要介護認定の有効期間を超える分について前払いにより利用料を徴収してはならない。
③ 居宅基準第197条第3項は、指定福祉用具貸与事業者は、指定福祉用具貸与の提供に関し、
イ 通常の事業の実施地域以外の地域において指定福祉用具貸与を行う場合の交通費
ロ 福祉用具の搬出入に通常必要となる人数以上の従事者やクレーン車が必要になる場合等特別な措置が必要な場合の当該措置に要する費用については、前2項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができるものとし、介護保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。
④ 同条第5項は、利用者がその負担すべき利用料を支払わずに、福祉用具を使用し続ける事態を防止するため、そのような場合には指定福祉用具貸与事業者が福祉用具を回収すること等により、当該指定福祉用具貸与の提供を中止できる旨を定めたものである。
(2) 指定福祉用具貸与の基本取扱方針
居宅基準第198条第2項は、指定福祉用具貸与においては、福祉用具が様々な利用者に利用されることから、その衛生と安全性に十分留意することとしたものである。
(3) 指定福祉用具貸与の具体的取扱方針及び福祉用具貸与計画の作成
① 居宅基準第199条は、指定福祉用具貸与に係る福祉用具専門相談員の業務の方針、手続を明確にしたものであり、福祉用具専門相談員は原則としてこれらの手続を自ら行う必要がある。なお、同条第4号の福祉用具の修理については、専門的な技術を有する者に行わせても差し支えないが、この場合にあっても、専門相談員が責任をもって修理後の点検を行うものとする。
② 同条第2号の対象福祉用具(以下「対象福祉用具」という。)に係る指定福祉用具貸与の提供に当たっては、同号の規定に基づき、福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のいずれかを利用者が選択できることや、それぞれのメリット及びデメリット等、利用者の選択に当たって必要な情報を提供しなければならない。
また、提案に当たっては、利用者の身体状況や生活環境等の変化の観点から、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、居宅サービス計画の原案に位置づけた指定居宅サービス等の担当者等から聴取した意見又は、退院・退所時カンファレンス又はサービス担当者会議といった多職種による協議の結果を踏まえた対象福祉用具の利用期間の見通しを勘案するものとする。
なお、提案に当たっては、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士からのいずれかの意見を介護支援専門員等と連携するなどの方法により聴取するものとするが、利用者の安全の確保や自立を支援する必要性から遅滞なくサービス提供を行う必要があるなど、やむを得ない事情がある場合は、この限りではない。
③ 同条第4号は、指定福祉用具貸与の提供に当たっての調整、説明及び使用方法の指導について規定したものであるが、特に、電動車いす、移動用リフト等の使用に際し安全性の面から注意が必要な福祉用具については、訓練操作の必要性等利用に際しての注意事項について十分説明するものとする。また、自動排泄処理装置等の使用に際し衛生管理の面から注意が必要な福祉用具については、利用者又は家族等が日常的に行わなければならない衛生管理(洗浄、点検等)について十分説明するものとする。
なお、同号の「福祉用具の使用方法、使用上の留意事項、故障時の対応等を記載した文書」は、当該福祉用具の製造事業者、指定福祉用具貸与事業者等の作成した取扱説明書をいうものである。
④ 同条第5号は、指定福祉用具貸与の提供に当たっての随時の使用方法の確認及び指導・修理について規定したものであるが、特に自動排泄処理装置等の使用に際し衛生管理の面から注意が必要な福祉用具については、当該福祉用具の製造事業者が規定するメンテナンス要領等に則り、定期的な使用状況の確認、衛生管理、保守・点検を確実に実施すること。
⑤ 同条第6号及び第7号は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第204条の2第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
⑥ 同条第8号は、居宅サービス計画に指定福祉用具貸与が位置づけられる場合、主治の医師からの情報伝達及びサービス担当者会議の結果を踏まえ、介護支援専門員は、当該計画へ指定福祉用具貸与の必要な理由の記載が必要となるため、福祉用具専門相談員は、これらのサービス担当者会議等を通じて、福祉用具の適切な選定のための助言及び情報提供を行う等の必要な措置を講じなければならない。
また、必要に応じて随時、介護支援専門員は、同様の手続により、その必要な理由を記載した内容が、現在の利用者の心身の状況及びその置かれている環境等に照らして、妥当なものかどうかの検証が必要となるため、福祉用具専門相談員は、サービス担当者会議等を通じて、福祉用具の適切な選定のための助言及び情報提供を行う等の必要な措置を講じなければならない。
⑦ 同条第9号は、利用者が適切な福祉用具を選択するための情報の提供について規定したものであるが、その提供に当たっては、現在の利用者の心身の状況及びその置かれている環境等に照らして行うものとする。
⑧ 福祉用具貸与計画の作成
イ 居宅基準第199条の2第1項は、福祉用具専門相談員が利用者ごとに、福祉用具貸与計画を作成しなければならないこととしたものである。なお、指定特定福祉用具販売の利用がある場合は、指定福祉用具貸与と指定特定福祉用具販売に係る計画は、一体的に作成すること。
ロ 福祉用具専門相談員は、福祉用具貸与計画には、福祉用具の利用目標、具体的な福祉用具の機種、当該機種を選定した理由、当該福祉用具貸与計画の実施状況の把握(以下ホにおいて「モニタリング」という。)を行う時期等を記載すること。その他、関係者間で共有すべき情報(福祉用具使用時の注意事項等)がある場合には、留意事項に記載すること。
なお、福祉用具貸与計画の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。
ハ 福祉用具貸与計画は、居宅サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。なお、福祉用具貸与計画を作成後に居宅サービス計画が作成された場合は、当該福祉用具貸与計画が居宅サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
ニ 福祉用具貸与計画は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、福祉用具専門相談員は、福祉用具貸与計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該福祉用具貸与計画を利用者及び当該利用者に係る介護支援専門員に交付しなければならない。
なお、福祉用具貸与計画は、居宅基準第204条の2第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
ホ 同条第5項から第7項までは、福祉用具専門相談員に対して、福祉用具貸与計画に記載した時期にモニタリングを行うとともに、その際、居宅サービスの提供状況等について記録し、その記録を居宅介護支援事業者に報告することを義務づけるものである。当該報告は、居宅介護支援事業者において、福祉用具貸与が居宅介護サービス計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該福祉用具貸与計画策定時からの利用者の身体の状況等の変化を踏まえ、利用中の福祉用具が適切かどうかなどを確認するために行うものである。福祉用具専門相談員は、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められるなどの場合においては、当該居宅介護支援事業者とも相談の上、必要に応じて当該福祉用具貸与計画の変更を行うこと。
また、対象福祉用具に係る指定福祉用具貸与の提供に当たっては、利用開始時から6月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、福祉用具の利用の必要性を確認するとともに、必要に応じて、利用者の選択に当たって必要な情報の提供を行う。当該検討に当たっては、リハビリテーション会議又はサービス担当者会議といった多職種が協議する場を活用するほか、関係者への聴取による方法も考えられる。なお、やむを得ない事情により利用開始時から六月以内にモニタリングを実施できなかった場合については、実施が可能となった時点において、可能な限り速やかにモニタリングを実施するものとする。
(4) 運営規程
居宅基準第200条は、指定福祉用具貸与の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定福祉用具貸与の提供を確保するため、同条第1号から第7号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定福祉用具貸与事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
① 指定福祉用具貸与の提供方法、取り扱う種目及び利用料その他の費用の額(第4号)
「指定福祉用具貸与の提供方法」は、福祉用具の選定の援助、納品及び使用方法の指導の方法等を指すものであること。「利用料」としては、法定代理受領サービスである指定福祉用具貸与に係る利用料(1割負担又は2割負担)、法定代理受領サービスでない指定福祉用具貸与の利用料を、「その他の費用の額」としては、居宅基準第197条第3項により徴収が認められている費用の額並びに必要に応じてその他のサービスに係る費用の額を規定するものであるが、個々の福祉用具の利用料については、その額の設定の方式(利用期間に暦月による1月に満たない端数がある場合の算定方法等)及び目録(居宅基準第204条第2項に規定する目録をいう。)に記載されている旨を記載すれば足りるものとし、運営規程には必ずしも額自体の記載を要しないものであること。
② その他運営に関する重要事項(第7号)
(6)①の標準作業書に記載された福祉用具の消毒の方法について規定すること。
(5) 業務継続計画の策定等
(6) 適切な研修の機会の確保並びに福祉用具専門相談員の知識及び技能の向上等(居宅基準第201条)
① 居宅基準第201条第1項は、福祉用具の種類が多種多様であり、かつ、常に新しい機能を有するものが開発されるとともに、要介護者の要望は多様であるため、福祉用具専門相談員は常に最新の専門的知識に基づいた情報提供、選定の相談等を行うことが求められる。このため、指定福祉用具貸与事業者は、福祉用具専門相談員に福祉用具の構造、使用方法等についての継続的な研修を定期的かつ計画的に受けさせなければならないこととしたものである。
② 同条第2項は、福祉用具専門相談員は、利用者が可能な限り、その有する能力に応じ自立した生活を営むことができるよう、利用者の心身の状況等を踏まえた適切な目標の設定、目標達成のための具体的なサービス内容の検討など福祉用具貸与計画の作成や利用者への説明を通じて、適切な福用用具の選定がなされるよう援助を行うことが求められている。このため、福祉用具専門相談員は常に必要な知識及び技能の修得、維持及び向上に努めなければならないこととしたものである。
(7) 衛生管理等(居宅基準第203条)
① 福祉用具の種類ごとに、消毒の具体的方法及び消毒器材の保守点検の方法を記載した標準作業書を作成し、これに従い熱湯による消毒、消毒液を用いた清拭等、その種類、材質等からみて適切な消毒効果を有する方法により消毒を行うものとする。なお、自動排泄処理装置を取り扱う場合は、当該自動排泄処理装置の製造事業者が規定するメンテナンス要領等に則り、利用者を変更する場合に必要とされる衛生管理(分解洗浄、部品交換、動作確認等)が確実に実施されるよう、特に留意すること。
② 第3項の規定により、福祉用具の保管又は消毒の業務の全部又は一部を他の事業者(当該指定福祉用具貸与事業者が運営する他の事業所及び指定福祉用具貸与事業者に福祉用具を貸与する事業者を含む。以下「受託者等」という。)に行わせる指定福祉用具貸与事業者(以下この項において「指定事業者」という。)は、当該保管又は消毒の業務が適切な方法により行われることを担保するため、当該保管又は消毒の業務に係る委託契約(当該指定福祉用具貸与事業者が運営する他の事業所に当該保管又は消毒の業務を行わせる場合にあっては、業務規定等)において次に掲げる事項を文書により取り決めなければならない。
イ 当該委託等の範囲
ロ 当該委託等に係る業務の実施に当たり遵守すべき条件
ハ 受託者等の従業者により当該委託等がなされた業務(以下「委託等業務」という)が居宅基準第13章第4節の運営基準に従って適切に行われていることを指定事業者が定期的に確認する旨
ニ 指定事業者が当該委託等業務に関し受託者等に対し指示を行い得る旨
ホ 指定事業者が当該委託等業務に関し改善の必要を認め、所用の措置を講じるよう前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたことを指定事業者が確認する旨
ヘ 受託者等が実施した当該委託等業務により利用者に賠償すべき事故が発生した場合における責任の所在
ト その他当該委託等業務の適切な実施を確保するために必要な事項
③ 指定事業者は②のハ及びホの確認の結果の記録を作成しなければならない。
④ 指定事業者が行う②のニの指示は、文書により行われなければならない。
⑤ 指定福祉用具貸与事業者は、居宅基準第204条の2第2項の規定に基づき、②のハ及びホの確認の結果の記録を2年間保存しなければならない。
⑥ 居宅基準第203条第5項の規定については、訪問入浴介護と同様であるので、第3の二の3の⑻の②を参照されたい。
⑻ 虐待の防止
(9) 記録の整備
居宅基準第204条の2により、整備すべき記録は以下のとおりであること。なお、居宅基準第204条の2第2項の「その完結の日」とは、同項第1号、第2号及び第5号から第7号までの記録については、個々の利用者につき、契約の終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立を含む。)により一連のサービス提供が終了した日、同項第3号の記録については、居宅基準第203条第4項に規定する福祉用具の保管又は消毒を委託等により他の事業者に行わせる場合の当該事業者の業務の実施状況について確認した日を指すものとする。
① 福祉用具貸与計画
② 提供した個々の指定福祉用具貸与に関する記録
③ 3の(3)の⑤の身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
④ 3の(7)の③の確認の結果の記録及び④の指示の文書
⑤ 準用される居宅基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
⑥ 準用される居宅基準第36条第2項に係る苦情の内容等の記録
⑦ 準用される居宅基準第37条第2項に係る事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
(10) 準用
居宅基準第205条の規定により、居宅基準第8条から第19条まで、第21条、第26条、第30条の2、第33条、第34条、第35条から第38条まで、第52条並びに第101条第1項、第2項及び第4項の規定は、指定福祉用具貸与の事業について準用されるため、第3の一の3の(2)から(10)まで((2)の第三者評価の実施状況に係る規定を除く。)、(12)、(15)、(25)、(27)から(29)まで及び(32)、第3の二の3の(4)並びに第3の六の3の(5)(③を除く。)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。
① 居宅基準第10条中「以下同じ。)」とあるのは「以下同じ。)、取り扱う福祉用具の種目」と、第14条第2項中「適切な指導」とあるのは「適切な相談又は助言」と、第18条中「初回訪問時及び利用者」とあるのは「利用者」と、第19条中「提供日及び内容」とあるのは「提供の開始日及び終了日並びに種目及び品名」と、第21条中「内容」とあるのは「種目、品名」と、第101条第2項中「処遇」とあるのは「サービス利用」と読み替えられるものであること。
② 準用される居宅基準第101条第1項及び第2項については、次の点に留意すること。
イ 指定福祉用具貸与事業所ごとに、福祉用具専門相談員の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を勤務表上明確にすること。
ロ 福祉用具の選定の援助、機能等の点検、使用方法の指導等については、当該指定福祉用具貸与事業所の従業者たる福祉用具専門相談員が行わなければならないが、福祉用具の運搬、回収、修理、保管、消毒等の利用者のサービスの利用に直接影響を及ぼさない業務については、福祉用具専門相談員以外の者又は第三者に行わせることが認められるものとしたものであること。なお、保管又は消毒を第三者に委託等する場合は、居宅基準第203条第3項の規定に留意すること。
4 基準該当福祉用具貸与に関する基準
(1) 福祉用具専門相談員に関する事項(居宅基準第205条の2)
基準該当福祉用具貸与の事業と基準該当介護予防福祉用具貸与の事業とが、同一の事業所において一体的に運営されている場合については、基準該当介護予防福祉用具貸与事業所で福祉用具専門相談員の員数を満たすことをもって、基準該当福祉用具貸与事業所での員数を満たしているものとみなすことができる。
(2) 準用
居宅基準第206条の規定により、居宅基準第8条から第14条まで、第16条から第19条まで、第21条、第26条、第30条の2、第33条、第34条、から第35条から第38条まで(第36条第5項及び第6項を除く。)、第52条、第101条第1項、第2項、及び第4項、第193条、第195条、第196条並びに第4節(第197条第1項及び第205条を除く。)の規定は、基準該当福祉用具貸与の事業に準用されるものであるため、第3の一の3の(2)から(6)まで((2)の第三者評価の実施状況に係る規定を除く。)、⑻から(10)まで、(12)、(15)、(25)、(27)から(30)まで及び(32)、第3の二の3の(4)、第3の六の3の(5)(③を除く。)並びに第3の十一の1((1)の③を除く。)から3までを参照されたい。なお、この場合において、準用される居宅基準第197条第2項の規定は、基準該当福祉用具貸与事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合も、ならない場合も、特例居宅介護サービス費を算定するための基準となる費用の額(100分の90、100分の80又は100分の70を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による福祉用具貸与が複数の市町村において基準該当福祉用具貸与と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。
十二 特定福祉用具販売
1 人員に関する基準
(1) 福祉用具専門相談員に関する事項(居宅基準第208条第1項)福祉用具貸与の場合と同趣旨であるため、第三の十一の1の(1)を参照されたい。
(2) 管理者(居宅基準第209条)
訪問介護の場合と同趣旨であるため、第三の一の1の(3)を参照されたい。
2 設備に関する基準
(1) 居宅基準第210条に規定する必要な広さの区画については、購入申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
(2) 指定特定福祉用具販売事業者は、指定特定福祉用具販売に必要な設備及び備品等を確保するものとする。ただし、他の事業所又は施設等と同一敷地内にある場合であって、指定特定福祉用具販売の事業及び当該他の事業所又は施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所又は施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
3 運営に関する基準
(1) サービス提供の記録
居宅基準第211条は、当該特定福祉用具販売の提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録するとともに、サービス事業者間の密接な連携等を図るため、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならないこととしたものである。また、「その他の適切な方法」とは、例えば、利用者の用意する手帳等に記載するなどの方法である。なお、提供した具体的なサービス内容等の記録は、居宅基準第215条第2項に基づき、2年間保存しなければならない。
(2) 販売費用の額等の受領
① 居宅基準第212条第1項に規定する「販売費用の額」とは、法第44条第3項に規定する現に当該特定福祉用具の購入に要した費用の額であり、その費用には、通常の事業の実施地域において特定福祉用具販売を行う場合の交通費等が含まれることとする。また、指定特定福祉用具販売事業者は、現に当該特定福祉用具の購入に要した費用の額として適切な販売費用の額を設定し、指定特定福祉用具販売の提供内容によって利用者から選択されることが本旨である。そのため、指定特定福祉用具販売事業者が受領した自己の特定福祉用具の購入に要した費用を金品その他の財産上の利益に替えて直接的又は間接的に供与し、事実上自己の利用者の利用者負担の全部又は一部を軽減している場合は、本項の主旨からは除かれるものである。また、自己以外の者が自己の特定福祉用具の購入に係る利用者負担を前提として、自己の利用者に対して金品その他の財産上の利益を供与している場合も同様である。
② 居宅基準第212条第2項は、指定特定福祉用具販売事業者は、指定特定福祉用具販売の提供に関し、
イ 通常の事業の実施地域以外の地域において指定特定福祉用具販売を行う場合の交通費
ロ 特定福祉用具の搬入に通常必要となる人数以上の従事者が必要になる場合等特別な措置が必要な場合の当該措置に要する費用
については、前項の費用のほかに、利用者から支払を受けることができるものとし、介護保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。
(3) 保険給付の申請に必要となる書類等の交付
居宅基準第213条は、指定特定福祉用具販売事業者が指定特定福祉用具販売に係る販売費用の額の支払を受けた場合は、
① 当該指定特定福祉用具販売事業所の名称、提供した特定福祉用具の種目の名称、品目の名称及び販売費用の額その他保険給付の申請のために必要と認められる事項を記載した証明書
② 領収書
③ 当該特定福祉用具販売のパンフレットその他の当該特定福祉用具の概要を利用者に対し、交付することとされている。
(4) 指定特定福祉用具販売の具体的取扱方針及び特定福祉用具販売計画の作成
① 居宅基準第214条は、指定特定福祉用具販売に係る福祉用具専門相談員の業務の方針、手続を明確にしたものであり、福祉用具専門相談員は原則としてこれらの手続を自ら行う必要がある。
② 対象福祉用具に係る指定特定福祉用具販売の提供に当たっては、同条第2号の規定に基づき、福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のいずれかを利用者が選択できることや、それぞれのメリット及びデメリット等、利用者の選択に当たって必要な情報を提供しなければならない。
また、提案に当たっては、利用者の身体状況や生活環境等の変化の観点から、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、居宅サービス計画の原案に位置づけた指定居宅サービス等の担当者等から聴取した意見又は、退院・退所時カンファレンス又はサービス担当者会議といった多職種による協議の結果を踏まえた対象福祉用具の利用期間の見通しを勘案するものとする。
なお、提案に当たっては、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士からのいずれかの意見を介護支援専門員等と連携するなどの方法により聴取するものとするが、利用者の安全の確保や自立を支援する必要性から遅滞なくサービス提供を行う必要があるなど、やむを得ない事情がある場合は、この限りではない。
③ 同条第4号は、指定特定福祉用具販売の提供に当たっての調整、説明及び使用方法の指導について規定したものであるが、特に、腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品等の使用に際し衛生面から注意が必要な福祉用具については、衛生管理の必要性等利用に際しての注意事項を十分説明するものとする。なお、同号の「福祉用具の使用方法、使用上の留意事項、故障時の対応等を記載した文書」は、当該特定福祉用具の製造事業者、指定特定福祉用具販売事業者等の作成した取扱説明書をいうものである。
④ 同条第8号は、居宅サービス計画に指定特定福祉用具販売が位置づけられる場合、主治の医師からの情報伝達及びサービス担当者会議の結果を踏まえ、介護支援専門員は、当該計画へ指定特定福祉用具販売の必要な理由の記載が必要となるため、福祉用具専門相談員は、これらのサービス担当者会議等を通じて、福祉用具の適切な選定のための助言及び情報提供を行う等の必要な措置を講じなければならない。
⑤ 対象福祉用具に係るサービスを提供した福祉用具専門相談員は利用者等に対し、福祉用具の不具合時の連絡等使用に当たっての要請が行えるよう連絡先を情報提供するものとする。
⑥ 特定福祉用具販売計画の作成
イ 居宅基準第214条の2第1項は、福祉用具専門相談員が利用者ごとに、特定福祉用具販売計画を作成しなければならないこととしたものである。なお、指定福祉用具貸与の利用がある場合は、指定福祉用具貸与と指定特定福祉用具販売に係る計画は、一体的に作成すること。
ロ 福祉用具専門相談員は、特定福祉用具販売計画には、福祉用具の利用目標、具体的な福祉用具の機種、当該機種を選定した理由等を記載すること。その他、関係者間で共有すべき情報(福祉用具使用時の注意事項等)がある場合には、留意事項に記載すること。
なお、既に居宅サービス計画が作成されている場合には、当該計画に沿って特定福祉用具販売計画を立案すること。また、特定福祉用具販売計画の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。
ハ 特定福祉用具販売計画は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、福祉用具専門相談員は、特定福祉用具販売計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該特定福祉用具販売計画を利用者に交付しなければならない。
なお、特定福祉用具販売計画は、居宅基準第215条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
ニ 対象福祉用具に係る指定特定福祉用具販売の提供に当たっては、当該計画の作成後、少なくとも1回、当該計画に記載した目標の達成状況の確認を行うものとする。なお、目標の達成状況の確認方法は、訪問に限らず、本人や関係者へのテレビ電話装置等の活用による聴取等も含まれるものとし、テレビ電話装置等の活用に際しては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守するものとする。
ホ 居宅サービス計画に基づきサービスを提供している指定特定福祉用具販売事業者については、第3の一の3の(14)の⑥を準用する。この場合において、「訪問介護計画」とあるのは「特定福祉用具販売計画」と読み替える。
⑦ 同条第6号及び第7号は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、居宅基準第215条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
(5) 業務継続計画の策定等
(6) 衛生管理等
(7) 虐待の防止
⑻ 記録の整備
居宅基準第215条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。なお、居宅基準第204条の2第2項の「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
① 特定福祉用具販売計画
② 提供した個々の指定特定福祉用具販売に関する記録
③ 3の(4)の⑦の身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
④ 準用される居宅基準第26条に係る市町村への通知に係る記録
⑤ 準用される居宅基準第36条第2項に係る苦情の内容等の記録
⑥ 準用される居宅基準第37条第2項に係る事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
(9) 準用
居宅基準第216条の規定により、居宅基準第8条から第14条まで、第16条から第18条まで、第26条、第30条の2、第31条、第33条から第38条まで、第52条、第101条第1項、第2項及び第4項、第198条、第200条から第202条まで並びに第204条の規定は、指定特定福祉用具販売の事業について準用されるため、第3の一の3の(2)から(6)まで((2)の第三者評価の実施状況に係る規定を除く。)、⑻及び(9)、(15)、(25)、(27)から(30)まで及び(32)、第3の二の3の(4)、第3の六の3の(5)(③を除く。)、第3の十一の3の(2)、(4)、(6)及び(9)を参照されたい。
この場合において、次の点に留意するものとする。
① 居宅基準第10条中「以下同じ。)」とあるのは「以下同じ。)、取り扱う特定福祉用具の種目」と、第14条第2項中「適切な指導」とあるのは「適切な相談又は助言」と、第18条中「初回訪問時及び利用者」とあるのは「利用者」と、第101条第2項中「処遇」とあるのは「サービス利用」と、第198条中「福祉用具」とあるのは「福祉用具販売」と、「貸与」とあるのは「販売」と、第200条中「利用料」とあるのは「販売費用の額」と、第201条及び第202条中「福祉用具」とあるのは「特定福祉用具」と読み替えられるものであること。
② 準用される居宅基準第101条第1項及び第2項については、次の点に留意すること。
イ 指定特定福祉用具販売事業所ごとに、福祉用具専門相談員の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を勤務表上明確にすること。
ロ 特定福祉用具の選定の援助、機能等の点検、使用方法の指導等については、当該指定福祉用具貸与事業所の従業者たる福祉用具専門相談員が行うべきであるが、特定福祉用具に係る運搬等の利用者のサービスの利用に直接影響を及ぼさない業務については、福祉用具専門相談員以外の者又は第三者に行わせることが認められるものとしたものであること。
③ 準用される居宅基準第200条については、次の点に留意するものとする。
「指定特定福祉用具販売の提供方法」は、福祉用具の選定の援助、納品及び使用方法の指導の方法等を指すものであること。「販売費用の額」としては、法第44条第3項に規定する現に当該特定福祉用具の購入に要した費用の額、「その他費用の額」としては、居宅基準第212条第3項により徴収が認められている費用の額並びに必要に応じてその他のサービスに係る費用の額を規定するものである。また、個々の特定福祉用具の販売費用の額等については、その額の設定方式及び目録(居宅基準第216条で準用する第204条第2項に規定する目録をいう)。に記載されている旨を記載すれば足りるものとし、運営規定には必ずしも額自体の記載を要しないものであること。
第四 介護予防サービス
一 介護予防サービスに関する基準について
介護予防サービスに関する基準については、「指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」において定められているところであるが、このうち、三に記載する「介護予防のための効果的な支援のための基準」については、指定介護予防サービスの提供に当たっての基本的な指針となるべき基準である(基準の性格等については、第一及び第二を参照されたい。)。介護予防サービスの事業の運営に当たっては、当該基準に従った適正な運営を図られたい。
なお、①人員、②設備及び③運営に関する基準については、二に記載する事項を除き、その取扱いについては、基本的には、第三に記載した介護サービスに係る取扱いと同様であるので、第三の該当部分を参照されたい。
二 介護サービスとの相違点
1 介護予防訪問入浴介護
訪問入浴介護(基準該当訪問入浴介護も含む。)では、介護職員を2人以上配置することとなっているが、介護予防訪問入浴介護(基準該当介護予防訪問入浴介護も含む。)では、介護職員を1人以上配置することとしていること。
2 介護予防通所リハビリテーション
利用料の受領(予防基準第118条の2第3項)
介護予防通所リハビリテーションでは、利用料以外に「その他の費用の額」として「指定介護予防通所リハビリテーションに通常要する時間を超える指定介護予防通所リハビリテーションであって利用者の選定に係るものの提供に伴い必要となる費用の範囲内において、通常の指定介護予防通所リハビリテーションに係る居宅介護サービス費用基準額を超える費用」を利用者から受け取ることができるが、介護予防通所リハビリテーションでは、受け取ることができないので留意すること。
3 指定介護予防短期入所生活介護
身体的拘束等の禁止(予防基準第136条)
予防基準第136条については、内容としては、居宅基準第128条(指定短期入所生活介護の取扱方針)第4項及び第5項と同様であるので、第3の八の3の(4)の③を参照されたい。(ユニット型指定介護予防短期入所生活介護、共生型介護予防短期入所生活介護及び基準該当介護予防短期入所生活介護においても同趣旨。)
4 指定介護予防短期入所療養介護
身体的拘束等の禁止(予防基準第191条)
予防基準第191条については、内容としては、居宅基準第146条(指定短期入所療養介護の取扱方針)第4項及び第5項と同様であるので、第三の九の2の(2)の②を参照されたい。(ユニット型指定介護予防短期入所療養介護においても同趣旨。)
三 介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準
1 介護予防訪問入浴介護
(1) 指定介護予防訪問入浴介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
① 指定介護予防訪問入浴介護の提供に当たっては、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ、利用者ごとに目標を設定の上、計画的に行うこと。
② サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
③ 指定介護予防訪問入浴介護の提供に当たっては、利用者の心身の状況により、訪問時に全身入浴が困難な場合は、利用者の希望により、「清しき」又は「部分浴(洗髪、陰部、足部等)」を実施するなど、適切なサービス提供に努めること。
④ 予防基準第57条第2号に定める「サービス提供方法等」とは、入浴方法等の内容、作業手順、入浴後の留意点などを含むものであること。
⑤ 同条第4号に定める「サービスの提供の責任者」については、入浴介護に関する知識や技術を有した者であって、衛生管理や入浴サービスの提供に当たって他の従業者に対し作業手順など適切な指導を行うとともに、利用者が安心してサービス提供を受けられるように配慮すること。また、同号に定める「主治の医師の意見の確認」については、利用者又は利用者の承認を得て当該事業者が、利用者の主治医に確認することとし、併せて、次に確認すべき時期についても確認しておくこと。
⑥ 同条第5号に定める「サービスの提供に用いる設備、器具その他の用品」の安全衛生については、特に次の点について留意すること。
イ 浴槽など利用者の身体に直に接触する設備・器具類は、利用者一人ごとに消毒した清潔なものを使用し、使用後に洗浄及び消毒を行うこと。また、保管に当たっても、清潔保持に留意すること。
ロ 皮膚に直に接するタオル等については、利用者一人ごとに取り替えるか個人専用のものを使用する等、安全清潔なものを使用すること。
ハ 消毒方法等についてマニュアルを作成するなど、当該従業者に周知させること。
2 介護予防訪問看護
(1) 指定介護予防訪問看護の基本取扱方針
予防基準第75条にいう指定介護予防訪問看護の基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 指定介護予防訪問看護は、利用者の心身の状態を踏まえて、妥当適切に行うとともにその生活の質の確保を図るよう、主治医との密接な連携のもとに介護予防訪問看護計画に沿って行うものとしたものであること。
② 介護予防訪問看護計画の作成に当たっては、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
③ 利用者の健康状態と経過、看護の目標や内容、具体的な方法その他療養上必要な事項について利用者及び家族に理解しやすいよう指導又は説明を行うこと。また、介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
④ サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
⑤ 提供された介護予防サービスについては、介護予防訪問看護計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
(2) 指定介護予防訪問看護の具体的取扱方針
① 予防基準第76条第1号から第3号は、看護師等は、介護予防訪問看護計画を作成し、主治医に提出しなければならないこととしたものである。介護予防訪問看護計画の作成に当たっては、主治医又は主治の歯科医師からの情報伝達やサービス担当者会議を通じる等の適切な方法により、利用者の病状、心身の状況、置かれている環境等を把握・分析し、介護予防訪問看護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにした上で(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、提供するサービスの具体的内容、期間等を明らかにするものとする。なお、既に介護予防サービス計画が作成されている場合には、当該計画に沿って介護予防訪問看護の計画を立案する。
② 同条第4号から第7号は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、介護予防訪問看護計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容及び理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士による指定介護予訪問看護については、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合には、看護職員の代わりに訪問させるものであることについて説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。看護師等は、介護予防訪問看護計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
また、介護予防訪問看護計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならず、当該介護予防訪問看護計画は、予防基準第73条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならないこととしている。
③ 同条第10号及び第11号は、指定介護予防訪問看護の提供に当たっては、医学の進歩に沿った適切な看護技術をもって対応できるよう、新しい看護技術の習得等、研鑽を積むことを定めたものである。また、第9号においては、医学の立場を堅持し、広く一般に認められていない看護等については行ってはならないこととしている。
④ 同条第12号から第15号は、介護予防訪問看護計画に定める計画期間終了後の当該計画の実施状況の把握(モニタリング)、当該モニタリングの結果も踏まえた介護予防訪問看護報告書の作成、当該報告書の内容の担当する介護予防支援事業者への報告及び主治医への定期的な提出を義務づけたものである。
看護師等は、介護予防訪問看護報告書に、訪問を行った日、提供した看護内容、介護予防訪問看護計画書に定めた目標に照らしたサービス提供結果等を記載する。なお、当該報告書は、訪問の都度記載する記録とは異なり、主治医に定期的に提出するものをいい、当該報告書の記載と先に主治医に提出した介護予防訪問看護計画書(当該計画書を予防基準第76条第15号において診療記録の記載をもって代えた場合を含む。)の記載において重複する箇所がある場合は、当該報告書における重複箇所の記載を省略しても差し支えないこととする。
看護師等は、介護予防訪問看護報告書に記載する内容について、担当する介護予防支援事業者に報告するとともに、当該報告書自体は、主治医に提出するものとする。
また、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が指定介護予防訪問看護を提供している利用者については、介護予防訪問看護計画書及び介護予防訪問看護報告書は、看護職員(准看護師を除く。)と理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が連携し作成すること。作成に当たり、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が提供するものも含め介護予防訪問看護の内容を一体的に介護予防訪問看護計画書に記載するとともに、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が提供した指定介護予防訪問看護の内容とその結果等を記載した文書を添付すること。なお、管理者にあっては、介護予防訪問看護計画に沿った実施状況を把握し、計画書及び報告書に関し、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。
⑤ 同条第17号は、指定介護予防訪問看護事業所が保険医療機関である場合は、主治医への介護予防訪問看護計画書の提出は、診療記録への記載をもって代えることができることとしたものであり、「訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて」(平成12年3月30日老企第55号)に定める訪問看護計画書を参考に事業所ごとに定めるもので差し支えない。
⑥ 指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準第30条第12号において、「担当職員は、介護予防サービス計画に位置付けた指定介護予防サービス事業者に対して、指定介護予防サービス等基準において位置付けられている計画の提出を求めるものとする」と規定していることを踏まえ、介護予防サービス計画に基づきサービスを提供している指定介護予防支援事業者から介護予防訪問看護計画の提供の求めがあった際には、当該介護予防訪問看護計画を提出することに協力するよう努めるものとする。
(3) 主治医との関係
① 指定介護予防訪問看護事業所の管理者は、利用者の主治医が発行する介護予防訪問看護指示の文書(以下、第四の三の3において「指示書」という。)に基づき指定介護予防訪問看護が行われるよう、主治医との連絡調整、指定介護予防訪問看護の提供を担当する看護師等の監督等必要な管理を行わなければならないこと。なお、主治医とは、利用申込者の選定により加療している医師をいい、主治医以外の複数の医師から指示書の交付を受けることはできないものであること。
② 予防基準第77条第2項は、指定介護予防訪問看護の利用対象者は、その主治医が指定介護予防訪問看護の必要性を認めたものに限られるものであることを踏まえ、指定介護予防訪問看護事業者は、指定介護予防訪問看護の提供の開始に際しては、利用者の主治医が発行する指示書の交付を受けなければならないこととしたものであること。
③ 指定介護予防訪問看護事業所が主治医に提出する介護予防訪問看護計画書及び介護予防訪問看護報告書については、書面又は電子的な方法により主治医に提出できるものとする。ただし、電子的方法によって、個々の利用者の介護予防訪問看護に関する介護予防訪問看護計画書及び介護予防訪問看護報告書を主治医に提出する場合は、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守し、安全な通信環境を確保するとともに、厚生労働省の定める準拠性監査基準を満たす保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI:Healthcare Public Key Infrastructure)による電子署名を施すこと。
④ 介護予防訪問看護の実施に当たっては、特に医療施設内の場合と異なり、看護師等が単独で行うことに十分留意するとともに慎重な状況判断等が要求されることを踏まえ、主治医との密接かつ適切な連携を図ること。
3 介護予防訪問リハビリテーション
(1) 指定介護予防訪問リハビリテーションの基本取扱方針
予防基準第85条にいう指定介護予防訪問リハビリテーションの基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 指定介護予防訪問リハビリテーションは、利用者の心身の状態、生活環境を踏まえて、妥当適切に行うとともにその生活の質の確保を図るよう、指定介護予防訪問リハビリテーション事業所の医師の診療に基づく介護予防訪問リハビリテーション計画に沿って行うものであること。
指定介護予防訪問リハビリテーションの提供に当たって、指定介護予防訪問リハビリテーション事業所とは別の医療機関の医師から計画的な医学的管理を受けている患者であって、例外として、当該事業所の医師がやむを得ず診療できない場合には、別の医療機関の医師から情報提供を受けて、当該情報をもとに介護予防訪問リハビリテーション計画を作成しても差し支えないものとすること。なお、この場合は、当該情報提供を行った別の医療機関の医師と当該事業所の医師の間で十分な連携を図るものであること。
② 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
③ サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
④ 提供された介護予防サービスについては、介護予防訪問リハビリテーション計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
(2) 指定介護予防訪問リハビリテーションの具体的取扱方針
① 予防基準第86条第1号及び第2号は、医師及び理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、介護予防訪問リハビリテーション計画を作成しなければならないこととしたものである。介護予防訪問リハビリテーション計画の作成に当たっては、主治医又は主治の歯科医師からの情報伝達やサービス担当者会議を通じる等の適切な方法により、利用者の病状、心身の状況、置かれている環境等を把握・分析し、指定介護予防訪問リハビリテーションの提供によって解決すべき問題状況を明らかにした上で(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、提供するサービスの具体的内容、期間等を定めるものとする。また、進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直すこと。なお、介護予防訪問リハビリテーション計画の様式については、「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」に示す様式を参考に作成すること。
② 指定介護予防訪問リハビリテーション事業所の医師が、指定介護予防訪問リハビリテーションの実施に当たり、当該事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対し、利用者に対する当該リハビリテーションの目的に加えて、当該リハビリテーション開始前又は実施中の留意事項、やむを得ず当該リハビリテーションを中止する際の基準、当該リハビリテーションにおける利用者に対する負荷等の指示を行うこと。
③ 介護予防訪問リハビリテーション計画は、介護予防サービス計画に沿って作成されなければならないことから、介護予防訪問リハビリテーション計画の作成後に介護予防サービス計画が作成された場合は、当該介護予防訪問リハビリテーション計画が介護予防サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
④ 介護予防訪問リハビリテーション計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけるものである。医師又は理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士は、介護予防訪問リハビリテーション計画の目標や内容等(利用者の心身の状態、リハビリテーションの内容やそれを提供する目的、具体的な方法、リハビリテーションに必要な環境の整備、療養上必要な事項など)について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
⑤ 医療機関から退院した利用者に対し介護予防訪問リハビリテーション計画を作成する場合には、医療と介護の連携を図り、連続的で質の高いリハビリテーションを行う観点から、当該医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等を入手し、当該利用者に係るリハビリテーションの情報を把握しなければならない。
その際、リハビリテーション実施計画書以外の退院時の情報提供に係る文書を用いる場合においては、当該文書にリハビリテーション実施計画書の内容(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」の別紙様式2-2-1の項目である「本人・家族等の希望」「健康状態、経過」「心身機能・構造」「活動」「リハビリテーションの短期目標」「リハビリテーションの長期目標」「リハビリテーションの方針」「本人・家族への生活指導の内容(自主トレ指導含む)」「リハビリテーション実施上の留意点」「リハビリテーションの見直し・継続理由」「リハビリテーションの終了目安」)が含まれていなければならない。
ただし、当該医療機関からリハビリテーション実施計画書等が提供されない場合においては、当該医療機関の名称及び提供を依頼した日付を記録に残すこと。
⑥ 同条第7号は、指定介護予防訪問リハビリテーション事業者が、指定介護予防通所リハビリテーション事業者の指定を併せて受け、かつ、リハビリテーション会議の開催等を通じて、指定介護予防訪問リハビリテーション及び指定介護予防通所リハビリテーションの目標並びに当該目標を踏まえたリハビリテーション提供内容について整合性のとれた介護予防訪問リハビリテーション計画を作成した場合については、介護予防通所リハビリテーション計画に係る基準を満たすことによって、介護予防訪問リハビリテーション計画に係る基準を満たしているとみなすことができることとしたものであること。
当該計画の作成に当たっては、各々の事業の目標を踏まえたうえで、共通目標を設定すること。また、その達成に向けて各々の事業の役割を明確にした上で、利用者に対して一連のサービスとして提供できるよう、個々のリハビリテーションの実施主体、目的及び具体的な提供内容等を1つの計画として分かりやすく記載するよう留意すること。
⑦ 指定介護予防通所リハビリテーション及び指定介護予防訪問リハビリテーションにおいて整合性のとれた計画に従いリハビリテーションを実施した場合には、診療記録を一括して管理しても差し支えないものであること。
⑧ 同条第12号は、指定介護予防訪問リハビリテーションの提供に当たっては、医学の進歩に沿った適切な技術をもって対応できるよう、新しい技術の習得等、研鑽を積むことを定めたものである。
⑨ 同条第14号から第16号は、事業者に対して介護予防サービスの提供状況等について介護予防支援事業者に対する報告及び介護予防訪問リハビリテーション計画の実施状況の把握(モニタリング)を義務づけるものである。介護予防支援事業者に対する報告については、サービスが介護予防サービス計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該計画策定時から利用者の状態等が大きく異なることとなっていないか等を確認するために行うものであり、毎月行うこととしている。
また、併せて、事業者は介護予防訪問リハビリテーション計画に定める計画期間が終了するまでに1回はモニタリングを行い、利用者の介護予防訪問リハビリテーション計画に定める目標の達成状況の把握等を行うとともに、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められる場合等については、担当する介護予防支援事業者等とも相談の上、必要に応じて当該介護予防訪問リハビリテーション計画の変更を行うこととしたものである。
⑩ 指定介護予防訪問リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、指定介護予防支援事業者等を通じて、指定訪問介護の事業その他の指定居宅サービスに該当する事業に係る従業者に対し、リハビリテーションの観点から、日常生活上の留意点、介護の工夫などの情報を伝達していること。
4 介護予防居宅療養管理指導
(1) 指定介護予防居宅療養管理指導の具体的取扱方針
指定居宅療養管理指導の具体的取扱方針については、予防基準第95条の定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。
① 医師又は歯科医師の行う指定介護予防居宅療養管理指導は、訪問診療等により常に利用者の病状及び心身の状況を把握し、計画的な医学的管理又は歯科医学的管理を行っている要支援者に対して行うものであること。
② 指定介護予防居宅療養管理指導事業者は、要支援者にサービスを提供している事業者に対して、必要に応じて迅速に指導又は助言を行うために、日頃からサービスの提供事業者や提供状況を把握するように努めること。
③ 薬剤師、歯科衛生士及び管理栄養士は、指定介護予防居宅療養管理指導を行った際には、速やかに、指定介護予防居宅療養管理指導を実施した要支援者の氏名、実施日時、実施した介護予防居宅療養管理指導の要点及び担当者の氏名を記録すること。
5 介護予防通所リハビリテーション
(1) 指定介護予防通所リハビリテーションの基本取扱方針
予防基準第85条にいう指定介護予防訪問リハビリテーションの基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
② サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
③ 提供された介護予防サービスについては、介護予防通所リハビリテーション計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
(2) 指定介護予防通所リハビリテーションの具体的取扱方針
① 予防基準第125条第1号及び第2号は、医師及び理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、介護予防通所リハビリテーション計画を作成しなければならないこととしたものである。介護予防通所リハビリテーション計画の作成に当たっては、主治医又は主治の歯科医師からの情報伝達やサービス担当者会議を通じる等の適切な方法により、利用者の病状、心身の状況、置かれている環境等を把握・分析し、介護予防通所リハビリテーションの提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、提供するサービスの具体的内容、期間等を定めるものとする。また、進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直すこと。なお、介護予防通所リハビリテーション計画の様式については、「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」に示す様式を参考に作成すること。
② 指定介護予防通所リハビリテーション事業所の医師が、指定介護予防通所リハビリテーションの実施に当たり、当該事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対し、利用者に対する当該リハビリテーションの目的に加えて、当該リハビリテーション開始前又は実施中の留意事項、やむを得ず当該リハビリテーションを中止する際の基準、当該リハビリテーションにおける利用者に対する負荷等の指示を行うこと。
③ 介護予防通所リハビリテーション計画は、介護予防サービス計画に沿って作成されなければならないことから、介護予防通所リハビリテーション計画の作成後に介護予防サービス計画が作成された場合は、当該介護予防通所リハビリテーション計画が介護予防サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
④ 介護予防通所リハビリテーション計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけるものである。医師等の従業者は、介護予防通所リハビリテーション計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
⑤ 医療機関から退院した利用者に対し介護予防通所リハビリテーション計画を作成する場合には、医療と介護の連携を図り、連続的で質の高いリハビリテーションを行う観点から、当該医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等を入手し、当該利用者に係るリハビリテーションの情報を把握しなければならない。
その際、リハビリテーション実施計画書以外の退院時の情報提供に係る文書を用いる場合においては、当該文書にリハビリテーション実施計画書の内容(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」の別紙様式2-2-1の項目である「本人・家族等の希望」「健康状態、経過」「心身機能・構造」「活動」「リハビリテーションの短期目標」「リハビリテーションの長期目標」「リハビリテーションの方針」「本人・家族への生活指導の内容(自主トレ指導含む)」「リハビリテーション実施上の留意点」「リハビリテーションの見直し・継続理由」「リハビリテーションの終了目安」)が含まれていなければならない。
ただし、当該医療機関からリハビリテーション実施計画書等が提供されない場合においては、当該医療機関の名称及び提供を依頼した日付を記録に残すこと。
⑥ 同条第7号は、指定介護予防通所リハビリテーション事業者が、指定介護予防訪問リハビリテーション事業者の指定を併せて受け、かつ、リハビリテーション会議の開催等を通じて、指定介護予防通所リハビリテーション及び指定介護予防訪問リハビリテーションの目標並びに当該目標を踏まえたリハビリテーション提供内容について整合性のとれた介護予防通所リハビリテーション計画を作成した場合については、介護予防訪問リハビリテーション計画に係る基準を満たすことによって、介護予防通所リハビリテーション計画に係る基準を満たしているとみなすことができることとしたものであること。
当該計画の作成に当たっては、各々の事業の目標を踏まえたうえで、共通目標を設定すること。また、その達成に向けて各々の事業の役割を明確にした上で、利用者に対して一連のサービスとして提供できるよう、個々のリハビリテーションの実施主体、目的及び具体的な提供内容等を一つの計画として分かりやすく記載するよう留意すること。
⑦ 指定介護予防通所リハビリテーション及び指定介護予防訪問リハビリテーションにおいて整合性のとれた計画に従いリハビリテーションを実施した場合には、診療記録を一括して管理しても差し支えないものであること。
⑧ 同条第12号は、指定介護予防通所リハビリテーションの提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであることとしたものである。
⑨ 同条第13号から第15号は、事業者に対して介護予防サービスの提供状況等について介護予防支援事業者に対する報告及び介護予防通所リハビリテーション計画の実施状況の把握(モニタリング)を義務づけるものである。介護予防支援事業者に対する報告については、サービスが介護予防サービス計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該計画策定時から利用者の状態等が大きく異なることとなっていないか等を確認するために行うものであり、毎月行うこととしている。
また、併せて、事業者は介護予防通所リハビリテーション計画に定める計画期間が終了するまでに1回はモニタリングを行い、利用者の介護予防通所リハビリテーション計画に定める目標の達成状況の把握等を行うとともに、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められる場合等については、担当する介護予防支援事業者等とも相談の上、必要に応じて当該介護予防通所リハビリテーション計画の変更を行うこととしたものである。
⑩ 指定介護予防通所リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、指定介護予防支援事業者等を通じて、指定訪問介護の事業その他の指定居宅サービスに該当する事業に係る従業者に対し、リハビリテーションの観点から、日常生活上の留意点、介護の工夫などの情報を伝達していること。
6 介護予防短期入所生活介護
(1) 指定介護予防短期入所生活介護の基本取扱方針
予防基準第143条にいう指定介護予防短期入所生活介護の基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 介護予防短期入所生活介護の提供に当たっては、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。②介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
③ サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
(2) 指定介護予防短期入所生活介護の具体的取扱方針
① 予防基準第144条第2号に定める「相当期間以上」とは、概ね4日以上連続して利用する場合を指すこととするが、4日未満の利用者にあっても、担当する介護予防支援事業者等と連携をとること等により、利用者の心身の状況等を踏まえて、他の介護予防短期入所生活介護計画を作成した利用者に準じて、必要な介護及び機能訓練等の支援を行うものとする。
なお、介護予防短期入所生活介護計画については、介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある者や、介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者にそのとりまとめを行わせるものとし、当該事業所に介護支援専門員の資格を有する者がいる場合は、その者に当該計画のとりまとめを行わせることが望ましいものである。
② 同条第3号は、介護予防短期入所生活介護計画が作成される場合には、介護予防サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、介護予防短期入所生活介護計画の作成後に介護予防サービス計画が作成された場合は、当該介護予防短期入所生活介護計画が介護予防サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 同条第4号から第7号は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、介護予防短期入所生活介護計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。管理者は、介護予防短期入所生活介護計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
また、介護予防短期入所生活介護計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならず、当該介護予防短期入所生活介護計画は、予防基準第141条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならないこととしている。
④ 介護予防サービス計画に基づきサービスを提供している指定介護予防短期入所生活介護事業者については、第4の三の2の(2)の⑥を準用する。この場合において、「介護予防訪問看護計画」とあるのは「介護予防短期入所生活介護計画」と読み替える。
(3) 介護
① 予防基準第145条で定める介護サービスの提供に当たっては、在宅生活へ復帰することを念頭において行うことが基本であり、そのためには、利用者の家庭環境等を十分踏まえて、自立している機能の低下が起きないようにするとともに残存機能の維持、向上が図られるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとすること。なお、介護サービス等の実施に当たっては、利用者の人格に十分に配慮して実施するものとする。
② 同条第2項で定める入浴の実施に当たっては利用者の心身の状況や自立支援を踏まえ、適切な方法により実施するものとする。なお、入浴の実施に当たっては、事前に健康管理を行い、入浴することが困難な場合は、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。
③ 同条第3項で定める排せつの介護に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などを基に自立支援を踏まえて、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。
④ 同条第4項で定める「おむつを使用せざるを得ない」場合には、利用者の心身及び活動状況に適したおむつを提供するとともに、おむつ交換に当たっては頻繁に行えばよいということではなく、利用者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。
⑤ 同条第5項は、短期間の入所ではあるが、生活にメリハリをつけ、生活面での積極性を向上させる観点から、1日の生活の流れに沿って、離床、着替え、整容など利用者の心身の状況に応じた日常生活上の世話を適切に行うべきことを定めたものである。
⑥ 同条第6項で定める「常時1人以上の介護職員を介護に従事させ」るとは、夜間を含めて適切な介護を提供できるように介護職員の勤務体制を定めておくものである。なお、介護サービスの提供に当たっては、提供内容に応じて、職員体制を適切に行うものとする。
(4) 食事
① 食事の提供について
利用者ごとの栄養状態を定期的に把握し、個々の利用者の栄養状態に応じた栄養管理を行うように努めるとともに、摂食・嚥下機能その他の利用者の身体の状況や、食形態、嗜好等にも配慮した適切な栄養量及び内容とすること。また、利用者の自立の支援に配慮し、できるだけ離床して食堂で行われるよう努めなければならないこと。
② 調理について
調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。
③ 適時の食事の提供について
食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。
④ 食事の提供に関する業務の委託について
食事の提供に関する業務は指定介護予防短期入所生活介護事業者自らが行うことが望ましいが、栄養管理、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理、労働衛生管理について事業者自らが行う等、当該事業者の管理者が業務遂行上必要な注意を果たし得るような体制と契約内容により、食事サービスの質が確保される場合には、当該事業者の最終的責任の下で第三者に委託することができること。
⑤ 居室関係部門と食事関係部門との連携について
食事提供については、利用者の嚥下や咀嚼の状況、食欲など心身の状態等を当該利用者の食事に的確に反映させるために、居室関係部門と食事関係部門との連絡が十分とられていることが必要であること。
⑥ 栄養食事相談
利用者に対しては適切な栄養食事相談を行う必要があること。
⑦ 食事内容の検討について
食事内容については、当該事業者の医師又は栄養士を含む会議において検討が加えられなければならないこと。
(5) 機能訓練
予防基準第147条に定める機能訓練の提供に当たっては、利用者の家庭環境等を十分に踏まえて、日常生活の自立を助けるため、必要に応じて提供しなければならない。なお、日常生活及びレクリエーション、行事の実施等に当たっても、その効果を配慮するものとする。
(6) 健康管理
予防基準第148条第1項は、健康管理が、医師及び看護職員の業務であることを明確にしたものである。
(7) 相談及び援助
予防基準第149条に定める相談及び援助については、常時必要な相談及び援助を行い得る体制をとることにより、積極的に利用者の在宅生活の向上を図ることを趣旨とするものである。
7 介護予防短期入所療養介護
(1) 指定介護予防短期入所療養介護の基本取扱方針
予防基準第196条にいう指定介護予防短期入所療養介護の基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 介護予防短期入所療養介護の提供に当たっては、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
② 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
③ サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
(2) 指定介護予防短期入所療養介護の具体的取扱方針
① 予防基準第197条第2号に定める「相当期間以上」とは、概ね4日以上連続して利用する場合を指すこととするが、4日未満の利用者にあっても、担当する介護予防支援事業者等と連携をとること等により、利用者の心身の状況等を踏まえて、他の介護予防短期入所療養介護計画を作成した利用者に準じて、必要な介護及び機能訓練等の支援を行うものとする。なお、介護予防短期入所療養介護事業者は、施設に介護支援専門員がいる場合には、介護支援専門員に介護予防短期入所療養介護計画作成のとりまとめを行わせること。介護支援専門員がいない場合には、療養介護計画作成の経験を有する者に作成をさせることが望ましい。
② 同条第3号は、介護予防短期入所療養介護計画が作成される場合には、介護予防サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、介護予防短期入所療養介護計画の作成後に介護予防サービス計画が作成された場合は、当該介護予防短期入所療養介護計画が介護予防サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 同条第4号から第7号は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、介護予防短期入所療養介護計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。管理者は、介護予防短期入所療養介護計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
また、介護予防短期入所療養介護計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならず、当該介護予防短期入所療養介護計画は、予防基準第194条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならないこととしている。
④ 介護予防サービス計画に基づきサービスを提供している指定介護予防短期入所療養介護事業者については、第4の三の2の(2)の⑥を準用する。この場合において、「介護予防訪問看護計画」とあるのは「介護予防短期入所療養介護計画」と読み替える。
(3) 診療の方針について
介護予防短期入所療養介護事業所の医師は、常に利用者の病床や心身の状態の把握に努めること。特に、診療に当たっては、的確な診断をもととし、入所者に対して必要な検査、投薬、処置等を妥当適切に行うものとする。
(4) 機能訓練について
リハビリテーションの提供に当たっては、利用者の心身の状況及び家庭環境等を十分に踏まえて、日常生活の自立を助けるため、必要に応じて提供しなければならないものとする。
(5) 看護及び医学的管理の下における介護
① 入浴の実施に当たっては、利用者の心身の状況や自立支援を踏まえ適切な方法により実施するものとする。なお、利用者の心身の状況から入浴が困難である場合には、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。
② 排せつの介護に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などをもとに自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。おむつを使用せざるを得ない場合には、利用者の心身及び活動状況に適したおむつを提供し、適切におむつを交換するものとする。
(6) 食事
① 食事の提供について
利用者ごとの栄養状態を定期的に把握し、個々の利用者の栄養状態に応じた栄養管理を行うように努めるとともに、摂食・嚥下機能その他の利用者の身体の状況や、食形態、嗜好等にも配慮した適切な栄養量及び内容とすること。
また、利用者の自立の支援に配慮し、できるだけ離床して食堂で行われるよう努めなければならないこと。
② 調理について
調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。
③ 適時の食事の提供について
食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。
④ 食事の提供に関する業務の委託について
食事の提供に関する業務は指定介護予防短期入所療養介護事業者自らが行うことが望ましいが、栄養管理、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理、労働衛生管理について事業者自らが行う等、当該事業者の管理者が業務遂行上必要な注意を果たし得るような体制と契約内容により、食事サービスの質が確保される場合には、当該事業者の最終的責任の下で第三者に委託することができること。
⑤ 療養室等関係部門と食事関係部門との連携について
食事提供については、利用者の嚥下や咀嚼の状況、食欲など心身の状態等を当該利用者の食事に的確に反映させるために、療養室等関係部門と食事関係部門との連絡が十分とられていることが必要であること。
⑥ 栄養食事相談
利用者に対しては適切な栄養食事相談を行う必要があること。
⑦ 食事内容の検討について
食事内容については、当該事業者の医師又は栄養士を含む会議において検討が加えられなければならないこと。
8 介護予防特定施設入居者生活介護
(1) 指定介護予防特定施設入居者生活介護の基本取扱方針
予防基準第246条にいう指定介護予防特定施設入居者生活介護の基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 介護予防特定施設入居者生活介護の提供に当たっては、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
② 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
③ サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
④ 提供された介護予防サービスについては、介護予防特定施設サービス計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
(2) 指定介護予防特定施設入居者生活介護の具体的取扱方針
① 予防基準第247条第1号及び第2号は、計画作成担当者は、介護予防特定施設サービス計画を作成しなければならないこととしたものである。介護予防特定施設サービス計画の作成に当たっては、主治医又は主治の歯科医師からの情報伝達等の適切な方法により、利用者の状況を把握・分析し、介護予防特定施設入居者生活介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、介護予防特定施設サービス計画の様式については、事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 同条第3号は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、介護予防特定施設サービス計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。計画作成担当者は、介護予防特定施設サービス計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。また、介護予防特定施設サービス計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならず、当該介護予防特定施設サービス計画は、予防基準第244条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならないこととしている。
③ 指定介護予防特定施設入居者生活介護事業所において介護予防短期利用特定施設入居者生活介護費を算定する場合で、介護予防サービス計画に基づきサービスを提供している指定介護予防特定施設入居者生活介護事業者については、第4の三の2の(2)の⑥を準用する。この場合において、「介護予防訪問看護計画」とあるのは「介護予防特定施設サービス計画」と読み替える。
(3) 介護
① 予防基準第248条の規定による介護サービスの提供に当たっては、当該指定介護予防特定施設においてその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとする。なお、介護サービス等の実施に当たっては、利用者の人格を十分に配慮して実施するものとする。
② 同条第2項の規定による入浴の実施に当たっては、自ら入浴が困難な利用者の心身の状況や自立支援を踏まえ適切な方法により実施するものとする。なお、健康上の理由等で入浴の困難な利用者については、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。
③ 同条第3項の規定による排せつの介助に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などを基に自立支援を踏まえて、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。
④ 同条第4項は、介護予防特定施設入居者生活介護事業者は、入居者の心身の状況や要望に応じて、1日の生活の流れに沿って、食事、離床、着替え、整容などの日常生活上の世話を適切に行うべきことを定めたものである。
(4) 相談及び援助
予防基準第250条の規定による相談及び援助については、常時必要な相談及び社会生活に必要な支援を行いうる体制をとることにより、積極的に入居者の生活の向上を図ることを趣旨とするものである。なお、社会生活に必要な支援とは、入居者自らの趣味又は嗜好に応じた生きがい活動、各種の公共サービス及び必要とする行政機関に対する手続き等に関する情報提供又は相談である。
(5) 利用者の家族との連携等
予防基準第251条は、指定介護予防特定施設入居者生活介護事業者は、利用者の生活及び健康の状況並びにサービスの提供状況を家族に定期的に報告する等常に利用者と家族の連携を図るとともに、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。
(6) 受託介護予防サービス事業者について
平成27年度より、介護予防訪問介護及び介護予防通所介護については、順次、介護予防・日常生活支援総合事業に移行していくこととなるが、外部サービス利用型指定介護予防特定施設入居者生活介護においては、引き続き、要支援者に対するサービスを提供する必要があることから、介護予防訪問介護及び介護予防通所介護と同様のサービスが提供できる事業者として、指定訪問介護事業者若しくは指定通所介護事業者又は第一号訪問事業若しくは第一号通所事業を行う指定事業者(法第115条の45の3第1項に規定する指定事業者をいう。)を位置付けている。
9 介護予防福祉用具貸与
(1) 指定介護予防福祉用具貸与の基本取扱方針
予防基準第277条にいう指定介護予防福祉用具貸与の基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 介護予防福祉用具貸与の提供に当たっては、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
② サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
(2) 指定介護予防福祉用具貸与の具体的取扱方針
① 予防基準第278条第1号及び第3号は、指定介護予防福祉用具貸与の提供に当たって、福祉用具専門相談員が主治の医師等からの情報伝達及びサービス担当者会議等を通じ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、介護予防福祉用具貸与計画に基づき、福祉用具を適切に選定し、個々の福祉用具の貸与について利用者に対し、説明及び同意を得る手続きを規定したものである。
② 対象福祉用具に係る指定介護予防福祉用具貸与の提供に当たっては、同条第4号の規定に基づき、福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のいずれかを利用者が選択できることや、それぞれのメリット及びデメリット等、利用者の選択に当たって必要な情報を提供しなければならない。
また、提案に当たっては、利用者の身体状況や生活環境等の変化の観点から、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、指定介護予防支援事業所の担当職員(指定居宅介護支援事業者である指定介護予防支援事業所の場合にあっては、介護支援専門員。以下(3)の④及び10の(2)の②において同じ。)、介護予防サービス計画の原案に位置づけた指定介護予防サービス等の担当者等から聴取した意見又は、退院・退所時カンファレンス又はサービス担当者会議といった多職種による協議の結果を踏まえた対象福祉用具の利用期間の見通しを勘案するものとする。
なお、提案に当たっては、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士からのいずれかの意見を介護支援専門員等と連携するなどの方法により聴取するものとするが、利用者の安全の確保や自立を支援する必要性から遅滞なくサービス提供を行う必要があるなど、やむを得ない事情がある場合は、この限りではない。
③ 同条第6号は、指定介護予防福祉用具貸与の提供に当たっての調整、説明及び使用方法の指導について規定したものである。同号の「福祉用具の使用方法、使用上の留意事項、故障時の対応等を記載した文書」は、当該福祉用具の製造事業者、指定介護予防福祉用具貸与事業者等の作成した取扱説明書をいうものである。
また、自動排泄処理装置等の使用に際し衛生管理の面から注意が必要な福祉用具については、利用者又は家族等が日常的に行わなければならない衛生管理(洗浄、点検等)について十分説明するものとする。
④ 同条第7号は、福祉用具の修理については、専門的な技術を有する者に行わせても差し支えないが、この場合にあっても、福祉用具専門相談員が責任をもって修理後の点検を行うものとする。
特に自動排泄処理装置等の使用に際し衛生管理の面から注意が必要な福祉用具については、当該福祉用具の製造事業者が規定するメンテナンス要領等に則り、定期的な使用状況の確認、衛生管理、保守・点検を確実に実施すること。
⑤ 同条第10号は、利用者が適切な福祉用具を選択するための情報の提供について規定したものであるが、その提供に当たっては、現在の利用者の心身の状況及びその置かれている環境等に照らして行うものとする。
(3) 介護予防福祉用具貸与計画の作成
① 予防基準第278条の2第1項は、福祉用具専門相談員は、介護予防福祉用具貸与計画を作成しなければならないこととしたものである。介護予防福祉用具貸与計画作成に当たっては、福祉用具の利用目標、具体的な福祉用具の機種、当該機種を選定した理由、当該介護予防福祉用具貸与計画の実施状況の把握(以下④において「モニタリング」という。)を行う時期等を明らかにするものとする。その他、関係者間で共有すべき情報(福祉用具使用時の注意事項等)がある場合には、留意事項に記載すること。
なお、介護予防福祉用具貸与計画の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 同条第2項は、介護予防福祉用具貸与計画は、介護予防サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、介護予防福祉用具貸与計画を作成後に介護予防サービス計画が作成された場合は、当該介護予防福祉用具貸与計画が介護予防サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
③ 同条第3項及び第4項は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明等について定めたものである。介護予防福祉用具貸与計画は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、福祉用具専門相談員は、介護予防福祉用具貸与計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該介護予防福祉用具貸与計画を利用者及び当該利用者に係る介護支援専門員に交付しなければならない。
なお、介護予防福祉用具貸与計画は、予防基準第275条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
④ 同条第5項から第7項までは、福祉用具専門相談員に対して、介護予防福祉用具貸与計画に記載した時期にモニタリングを行うとともに、その際、介護予防サービスの提供状況等について記録し、その記録を指定介護予防支援事業者に報告することを義務づけるものである。当該報告は、介護予防支援事業者において、介護予防福祉用具貸与が介護予防サービス計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該介護予防福祉用具貸与計画策定時からの利用者の身体の状況等の変化を踏まえ、利用中の福祉用具が適切かどうかなどを確認するために行うものである。福祉用具専門相談員は、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められるなどの場合においては、当該担当する介護予防支援事業者とも相談の上、必要に応じて当該介護予防福祉用具貸与計画の変更を行うこと。
また、対象福祉用具に係る指定介護予防福祉用具貸与の提供に当たっては、利用開始時から6月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、福祉用具の利用の必要性を確認するとともに、必要に応じて、利用者の選択に当たって必要な情報の提供を行う。当該検討に当たっては、リハビリテーション会議又はサービス担当者会議といった多職種が協議する場を活用するほか、関係者への聴取による方法も考えられる。なお、やむを得ない事情により利用開始時から6月以内にモニタリングを実施できなかった場合については、実施が可能となった時点において、可能な限り速やかにモニタリングを実施するものとする。
10 特定介護予防福祉用具販売
(1) 指定特定介護予防福祉用具販売の基本取扱方針
予防基準第290条にいう指定特定介護予防福祉用具販売の基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
① 指定特定介護予防福祉用具販売の提供に当たっては、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
② サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に行う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
(2) 指定特定介護予防福祉用具販売の具体的取扱方針
① 予防基準第291条第1号及び第2号は、指定特定介護予防福祉用具販売の提供に当たって、福祉用具専門相談員が「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、特定介護予防福祉用具販売計画に基づき、特定介護予防福祉用具を適切に選定し、個々の特定介護予防福祉用具の販売について利用者に対し、説明及び同意を得る手続きを規定したものである。
② 対象福祉用具に係る指定特定介護予防福祉用具販売の提供に当たっては、同条第3号の規定に基づき、福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のいずれかを利用者が選択できることや、それぞれのメリット及びデメリット等、利用者の選択に当たって必要な情報を提供しなければならない。
また、提案に当たっては、利用者の身体状況や生活環境等の変化の観点から、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士指定介護予防支援事業所の担当職員(指定居宅介護支援事業者である指定介護予防支援事業所の場合にあっては、介護支援専門員。以下(3)の④及び10の(2)の②において同じ。)、介護予防サービス計画の原案に位置づけた指定介護予防サービス等の担当者等から聴取した意見又は、退院・退所時カンファレンス又はサービス担当者会議といった多職種による協議の結果を踏まえた対象福祉用具の利用期間の見通しを勘案するものとする。
なお、提案に当たっては、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士からのいずれかの意見を介護支援専門員等と連携するなどの方法により聴取するものとするが、利用者の安全の確保や自立を支援する必要性から遅滞なくサービス提供を行う必要があるなど、やむを得ない事情がある場合は、この限りではない。
③ 同条第5号は、指定特定介護予防福祉用具販売の提供に当たっての調整、説明及び使用方法の指導について規定したものであるが、特に、腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品等の使用に際し衛生面から注意が必要な福祉用具については、衛生管理の必要性等利用に際しての注意事項を十分説明するものとする。なお、同号の「特定介護予防福祉用具の使用方法、使用上の留意事項、故障時の対応等を記載した文書」は、当該特定介護予防福祉用具の製造事業者、指定特定介護予防福祉用具販売事業者等の作成した取扱説明書をいうものである。
④ 同条第9号は、介護予防サービス計画に指定特定介護予防福祉用具販売が位置づけられる場合、主治の医師等からの情報伝達及びサービス担当者会議の結果を踏まえ、指定介護予防支援等基準第2条第1項に規定する担当職員(以下④において「担当職員」という。)は、当該計画へ指定特定介護予防福祉用具販売の必要な理由の記載が必要となるため、福祉用具専門相談員は、これらのサービス担当者会議等を通じて、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、特定介護予防福祉用具の適切な選定のための助言及び情報提供を行う等の必要な措置を講じなければならない。
⑤ 対象福祉用具に係るサービスを提供した福祉用具専門相談員は利用者等に対し、福祉用具の不具合時の連絡等使用に当たっての要請が行えるよう連絡先を情報提供するものとする。
(3) 特定介護予防福祉用具販売計画の作成
① 予防基準第292条第1項は、福祉用具専門相談員は、特定介護予防福祉用具販売計画を作成しなければならないこととしたものである。特定介護予防福祉用具販売計画作成に当たっては、福祉用具の利用目標、具体的な福祉用具の機種、当該機種を選定した理由等を明らかにするものとする。その他、関係者間で共有すべき情報(福祉用具使用時の注意事項等)がある場合には、留意事項に記載すること。なお、特定介護予防福祉用具販売計画の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。
② 同条第2項は、特定介護予防福祉用具販売計画は、介護予防サービス計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
③ 同条第3項及び第4項は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。特定介護予防福祉用具販売計画は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて作成されなければならないものであり、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障するため、福祉用具専門相談員は、特定介護予防福祉用具販売計画の作成に当たっては、その内容等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該特定介護予防福祉用具販売計画を利用者に交付しなければならない。
なお、特定介護予防福祉用具販売計画は、予防基準第288条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならない。
④ 対象福祉用具に係る指定特定福祉用具販売の提供に当たっては、当該計画の作成後、少なくとも1回、当該計画に記載した目標の達成状況の確認を行うものとする。なお、目標の達成状況の確認方法は、訪問に限らず、本人や関係者へのテレビ電話装置等の活用による聴取等も含まれるものとし、テレビ電話装置等の活用に際しては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を遵守するものとする。
⑤ 介護予防サービス計画に基づきサービスを提供している指定特定介護予防福祉用具販売事業者については、第4の三の2の(2)の⑥を準用する。この場合において、「介護予防看護介護計画」とあるのは「特定介護予防福祉用具販売計画」と読み替える。
第5 雑則
1 電磁的記録について
居宅基準第217条第1項及び予防基準第293条第1項は、指定居宅サービス事業者及び指定居宅サービスの提供に当たる者等(以下「事業者等」という。)の書面の保存等に係る負担の軽減を図るため、事業者等は、この省令で規定する書面(被保険者証に関するものを除く。)の作成、保存等を次に掲げる電磁的記録により行うことができることとしたものである。
(1) 電磁的記録による作成は、事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法または磁気ディスク等をもって調製する方法によること。
(2) 電磁的記録による保存は、以下のいずれかの方法によること。
① 作成された電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
② 書面に記載されている事項をスキャナ等により読み取ってできた電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
(4) また、電磁的記録により行う場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」及び厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
2 電磁的方法について
居宅基準第217条第2項及び予防基準第293条第2項は、利用者及びその家族等(以下「利用者等」という。)の利便性向上並びに事業者等の業務負担軽減等の観点から、事業者等は、書面で行うことが規定されている又は想定される交付等(交付、説明、同意、承諾、締結その他これに類するものをいう。)について、事前に利用者等の承諾を得た上で、次に掲げる電磁的方法によることができることとしたものである。
(2) 電磁的方法による同意は、例えば電子メールにより利用者等が同意の意思表示をした場合等が考えられること。なお、「押印についてのQ&A(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にすること。
(3) 電磁的方法による締結は、利用者等・事業者等の間の契約関係を明確にする観点から、書面における署名又は記名・押印に代えて、電子署名を活用することが望ましいこと。なお、「押印についてのQ&A(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にすること。
(4) その他、居宅基準第217条第2項及び予防基準第293条第2項において電磁的方法によることができるとされているものは、(1)から(3)までに準じた方法によること。ただし、居宅基準若しくは予防基準又はこの通知の規定により電磁的方法の定めがあるものについては、当該定めに従うこと。
(5) また、電磁的方法による場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」及び厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
3 令和6年4月から5月までの取扱い
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第16号)において、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導及び介護予防通所リハビリテーション(以下「訪問看護等」という。)に係る改正は令和6年6月施行となっているところ、令和6年4月から5月までの間の訪問看護等については、「「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について」(令和6年3月15日老高発0315001号老認発0315001号老健発0315001号)による改正前の本通知を参照すること。
別表一
別表二
常勤換算方法を採用する事業所で必要となる常勤のサービス提供責任者数(居宅基準第5条第5項の規定の適用を受ける指定訪問介護事業所の場合)
利用者の数
|
居宅基準第五条第五項の規定の適用を受ける訪問介護事業所が置かなければならない常勤のサービス提供責任者数
|
常勤換算方法を採用する事業所で必要となる常勤のサービス提供責任者数
|
50人以下
|
3
|
3
|
50人超100人以下
|
3
|
3
|
100人超150人以下
|
3
|
3
|
150人超200人以下
|
4
|
3
|
200人超250人以下
|
5
|
4
|
250人超300人以下
|
6
|
4
|
300人超350人以下
|
7
|
5
|
350人超400人以下
|
8
|
6
|
400人超450人以下
|
9
|
6
|
450人超500人以下
|
10
|
7
|
500人超550人以下
|
11
|
8
|
550人超600人以下
|
12
|
8
|
600人超650人以下
|
13
|
9
|
別表三
別紙様式