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高額障害福祉サービス等給付費等の支給事務の調整について
事務連絡

高額障害福祉サービス等給付費等の支給事務の調整について (事務連絡)

発出日:平成30年1月10日
更新日:平成30年1月10日
事 務 連 絡
平成30年1月10日
 
 
各都道府県介護保険担当課(室)御中
 
厚生労働省老健局介護保険計画課
 
 
高額障害福祉サービス等給付費等の支給事務の調整について
 
介護保険制度の運営につきましては、平素より種々ご尽力をいただき、厚く御礼申し上げます。
平成28年5月25日に可決成立した「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」(平成28年法律第65号。以下「改正法」という。)において、高額障害福祉サービス等給付費等の支給対象拡大等の制度改正が行われることとなりました。
改正法に係る整備政省令の公布は、平成30年1月以降となる予定ですが、上記の制度改正により、保険者においては下記のとおり各市町村の障害福祉担当課の支給事務にご協力いただくことが想定されるため、ご了知の上、管内保険者への周知に特段のご配慮をお願いいたします。
 
 
第1 高額障害福祉サービス等給付費等の新制度について
(1)新制度の概要
高齢障害者が介護保険サービスを利用する場合、障害福祉制度と介護保険制度の利用者負担上限が異なるために利用者負担が新たに生じること等により、介護保険サービスが円滑に利用できないという課題に対応するため、平成30年度より、一定の要件を満たす者(※)は、その介護保険の自己負担について、高額障害福祉サービス等給付費、高額障害児通所給付費及び高額障害児入所給付費(以下「高額障害福祉サービス等給付費等」という。)により償還する制度(以下「新制度」という。)が設けられる。
当該制度改正に伴い、保険者は、自己負担額、高額介護サービス費の支給金額等を障害福祉担当課に提供し、情報連携を図る必要がある。
 
※具体的には以下の要件を満たす者となる
・ 介護保険サービスに相当する障害福祉サービス(居宅介護、生活介護等)に係る支給決定を65歳に達する前に5年間引き続き受けていた者
・ 障害福祉サービスに相当する介護保険サービス(訪問介護、通所介護等)を利用する者
・ 障害支援区分2以上であった者
・ 市町村民税非課税者又は生活保護世帯の者
・ 65歳に達するまでに介護保険法による保険給付を受けていない者
 
現行の高額障害福祉サービス等給付費等により償還する制度(以下「既存制度」という。)についても、市町村の介護保険担当課から障害福祉担当課へ該当者の自己負担額の情報提供をしていただいているところであるが、この自己負担額については、障害福祉サービスに相当する介護保険サービス以外の介護保険サービスも含む自己負担額である。
この点、新制度については、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスに係る部分と当該相当部分以外の部分の自己負担額を分けて情報提供していただくことに留意が必要である。
 
(2)市町村における具体的な事務
新制度の支給事務については、既存制度と同様、国保連合会に委託をすることが可能となる見込みである(この場合、市町村の介護保険担当課からの自己負担額の情報提供が不要となる。)。
なお、国保連合会に委託していない場合における具体的な事務の流れとしては、以下のような例が想定される。
① 新制度の対象となる者が、障害福祉担当課に高額障害福祉サービス等給付費等の申請
② 障害福祉担当課より介護保険担当課に、当該対象者の自己負担額(障害福祉サービスに相当する介護保険サービス(※)に係る自己負担額と当該相当部分以外に係る自己負担額(両自己負担額ともに月毎の高額介護サービス費の支給がある場合は支給後になお残る自己負担額))を照会
③ 介護保険担当課から障害福祉担当課に両自己負担額を通知
④ 障害福祉担当課で計算を行い、当該対象者に高額障害福祉サービス等給付費等を支給
※ 障害福祉サービスに相当する介護保険サービスとは、訪問介護・通所介護・短期入所生活介護・地域密着型通所介護・小規模多機能型居宅介護をいい、これらの基準該当サービスを含む。
訪問看護や訪問リハビリテーション等の医療系サービスや居住系・施設系サービスは含まれない。また、介護予防サービスも含まれない。
 
なお、月額の高額介護サービス費が支給されている場合は、最終的な自己負担額について、障害福祉サービス相当部分とそれ以外の部分とで按分することとなる(下図を参照)。
※ 例えば、高額介護サービス費の負担上限額が15,000円であり、障害相当のサービスに要する費用が15万円、障害相当サービス以外が10万円の場合、9割給付は22.5万円、高額介護サービス支給額は1万円となり、新制度の対象となる自己負担部分は、9,000円{=15,000×150,000/(150,000+100,000)}
 
第2 高額障害福祉サービス等給付費等と年間高額介護サービス費及び高額医療合算介護サービス費の併給調整について
(1)併給調整の概要
現在、高額障害福祉サービス等給付費等は、介護保険優先原則の規定に基づき、介護保険における高額介護サービス費の支給後になお残る自己負担額について、障害福祉サービスの自己負担額と合わせた額が高額となる場合に、支給を行っている。その際、高額医療合算介護サービス費については勘案せずに高額障害福祉サービス等給付費等を支給しているところである。
 
これについて、新制度の導入にあわせて、平成30年度より、高額障害福祉サービス等給付費等は、高額医療合算介護サービス費の支給後の自己負担額について支給することとなる。
 
さらに、平成29年8月より高額介護サービス費に年間上限が設定されているが、介護保険優先原則の考え方から、月間の高額介護サービス費に加えて年間の高額介護サービス費の支給後の自己負担額について、高額障害福祉サービス等給付費等を支給することとなる。
 
このため、月額の高額介護サービス費の支払のみを勘案して、高額障害福祉サービス等給付費等の支給を行う場合、年間の高額介護サービス費や高額医療介護合算サービス費(以下「年間高額介護サービス費等」という。)の支給があった場合には、高額障害福祉サービス等給付費等の支給が過払い(重複支給)となる事態が生じることとなる。
 
上記の過払いを避けるため、市町村の障害福祉担当課は以下の対応を行うことが想定される(詳細については、「平成30年度施行予定の高額障害福祉サービス等給付費等の支給対象の拡大に係る事務手続等について(事前連絡)」(平成29年11月14日付厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課・障害福祉課事務連絡。以下「障害福祉課事務連絡」という。)別紙参照。)。
 
①年間高額介護サービス費等の支給がないものとして、毎月の高額障害福祉サービス等給付費等を支給する。
②その後、年間高額介護サービス費等の支給がある場合には、①による高額障害福祉サービス等給付費等の支給額の調整を行うため、年間高額介護サービス費等の支給について、重複支給分について障害福祉担当課が当該年間高額介護サービス費等の受給者の代理として受領し、なお残る自己負担部分がある場合には、当該年間高額介護サービス費等から重複支給分を除いた部分を当該受給者が受領する。
 
(2)市町村における具体的な事務
介護保険担当課においては、(1)②のとおり、重複支給分について年間高額介護サービス費等の全部又は一部について、その受給者の代理である障害福祉担当課に支給することとなる。その場合、以下に示す具体的な事務の流れ(例)を参考に対応されたい。
 
① 市町村の障害福祉担当課は、高額障害福祉サービス等給付費等の申請時に、重複支給となる年間の高額介護サービス費を障害福祉担当課が代理受領することについて介護保険の被保険者本人から同意を取得する。
② 障害福祉担当課は、介護保険担当課に、高額障害福祉サービス等給付費等の申請があった者の自己負担額について照会を行う。
③ 介護保険担当課は通常どおり月額の高額介護サービス費を支給し、上記第1の記載のとおり、当該支給後になお残る介護保険の自己負担額(新制度の受給者については障害福祉サービス相当部分と相当部分以外の部分)、高額介護サービス費の支給金額等を障害福祉担当課に提供する。
④ 障害福祉担当課は月毎に高額障害福祉サービス等給付費等を支給する。
⑤ 年間の高額介護サービス費の支給がある場合、②の障害福祉担当課からの照会を受けた者について、年間の高額介護サービス費の支給額を障害福祉担当課に提供する。この時点では照会を受けた被保険者への支給を行わない。なお、照会を受けた被保険者以外の被保険者における年間の高額介護サービス費は順次支給を行うこと。
⑥ 障害福祉担当課において同意書の確認及び年間の高額介護サービス費のうち代理受領すべき金額の計算を行い(※1※2)、障害福祉担当課が代理受領すべき金額及び年間の高額介護サービス費のうち介護保険の保険者がなお被保険者に支給すべき額の一覧を作成し、介護保険担当課に提供する。
⑦ 介護保険担当課は、一覧に従って年間の高額介護サービス費を障害福祉担当課及び各被保険者に支給する。
 
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(高額医療合算介護サービス費について支給している場合)
⑧ 高額医療合算介護サービス費の支給がある場合、②の障害福祉担当課からの照会を受けた者について、高額医療合算介護サービス費の支給額を障害福祉担当課に提供する。この時点では被保険者への支給を行わない。
⑨ 障害福祉担当課において同意書の確認及び高額医療合算介護サービス費のうち代理受領すべき金額の計算を行い(※1※2)、障害福祉担当課が代理受領すべき金額及び高額医療合算介護サービス費のうち介護保険の保険者がなお被保険者に支給すべき額の一覧を作成し、介護保険担当課に提供する。
⑩ 介護保険担当課は、一覧に従って高額医療合算介護サービス費を障害福祉担当課及び各被保険者に支給する。
 
※1 年間の高額介護サービス費が発生する場合、その多くが既存制度対象者であることが想定される(下記「第3 留意事項」参照)。既存制度が適用される場合、年間高額介護サービス費等がすべて障害福祉担当課の代理受領となるため、追加で計算事務は生じない。新制度が適用されるが利用したサービスがすべて障害福祉サービス相当部分である場合も同様である。
※2 新制度が適用され、障害福祉サービス相当部分とそれ以外のサービスの自己負担がある場合、年間高額介護サービス費等についても障害福祉サービス相当部分とそれ以外の部分とで按分する必要がある。すなわち、年間高額介護サービス費等に、全体の自己負担額に対する障害福祉相当サービスに対応する自己負担額の割合を乗じて算出した額を障害福祉担当課が代理受領することとなる。
第3 留意事項
・ 新制度の対象者は、市町村民税非課税者等であるが、月額の高額介護サービス費の負担上限額を当てはめた場合、多くの場合、上限額が15,000円又は24,600円となる。そのため負担額が446,400円(=37,200円×12)以上となり年間の高額介護サービス費が支給対象となる場合は少ないものと考えられ、年間の高額介護サービス費と高額障害福祉サービス等給付費等との調整が必要になるのは、既存制度の対象者が主となることが想定される。
なお、高額医療合算介護サービス費と高額障害福祉サービス等給付費等との調整については、新制度・既存制度のどちらの対象者についても対応が必要となることが想定される。
 
・ 年間高額介護サービス費等について、障害福祉担当課に支給を行う場合でも、支給決定通知書は通常どおり被保険者への支給額全額の通知を行うこと。
 
・ 重複支給を回避するためには、第2で例示した手法のみならず、年間の高額介護サービス費を支給後に高額障害福祉サービス等給付費等を支給する、被保険者へ一旦支給がされた後、障害福祉担当課が返還を求める等の方法が考えられるが、どのような手法を行うかについては各市区町村の障害福祉担当課が判断するので、障害福祉担当課と密に連携を行い、情報の共有に努めること。
 
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