公益社団法人 全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム  全老健介護保険制度情報サービス

[表示中の法令・QA等]
介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について
老老発0322第1号

介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について (老老発0322第1号)

発出日:平成30年3月22日
更新日:令和6年3月15日
老老発0322第1号
平成30年3月22日
 
各都道府県介護保険主管部(局)長 殿
 
厚生労働省老健局老人保健課長 
(  公  印  省  略  )
 
 
介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について
 
 
介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第111条第1項から第3項までの規定に基づく「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(以下「基準省令」という。)については、平成30年1月18日付け厚生労働省令第5号をもって公布され、平成30年4月1日より施行されるところであるが、基準の趣旨及び内容は左記のとおりであるので、御了知の上、管下市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
 
 
第1 基準省令の性格
1 基準省令は、介護医療院がその目的を達成するために必要な最低限の基準を定めたものであり、介護医療院の開設者は、常にその施設、設備及び運営の向上に努めなければならないこと。
2 介護医療院サービスを行う者又は行おうとする者が満たすべき基準等を満たさない場合には、介護医療院の開設許可又は更新を受けられず、また、基準に違反することが明らかとなった場合には、①相当の期限を定めて基準を遵守する旨の勧告を行い、②当該期限内に勧告に従わなかった場合は、開設者名、当該勧告に至った経緯、当該勧告に対する対応等を公表し、③正当な理由が無く、当該勧告に係る措置をとらなかった場合は、相当の期限を定めて当該勧告に係る措置をとるよう命令することができるものであること。ただし、③の命令を行った場合には、開設者名、命令に至った経緯等を公表しなければならない。なお、③の命令に従わなかった場合には、当該許可を取り消すこと、又は取り消しを行う前に相当の期間を定めて許可の全部若しくは一部の効力を停止すること(不適正なサービスが提供されていることが判明した場合、当該サービスに関する介護報酬の請求を停止させる)ができる。
ただし、次に掲げる場合には、基準省令に従った適正な運営ができなくなったものとして、直ちに取り消すことができるものであること。
① 次に掲げるときその他の介護医療院が自己の利益を図るために基準省令に違反したとき
イ 介護医療院サービスの提供に際し、入所者が負担すべき額の支払を適正に受けなかったとき
ロ 居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、要介護被保険者に対して当該施設を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与したとき
ハ 居宅介護支援事業者又はその従業者から、当該施設からの退所者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受したとき
② 入所者の生命又は身体の安全に危害を及ぼすおそれがあるとき
③ その他①及び②に準ずる重大かつ明白な基準省令違反があったとき
3 運営に関する基準に従って施設の運営をすることができなくなったことを理由として開設許可が取り消された直後に再度当該施設から介護医療院の開設許可の申請がなされた場合には、当該施設が運営に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が十分に確認されない限り開設許可を行わないものとすること。
4 療養床等の定義は以下のとおり。
① 療養床
療養室のうち、入所者一人当たりの寝台又はこれに代わる設備の部分をいう。
② Ⅰ型療養床
療養床のうち、主として長期にわたり療養が必要である者であって、重篤な身体疾病を有する者、身体合併症を有する認知症高齢者等を入所させるためのものをいう。
③ Ⅱ型療養床
療養床のうち、Ⅰ型療養床以外のものをいう。
5 医療機関併設型介護医療院等の形態は以下のとおり。
① 医療機関併設型介護医療院
イ 医療機関併設型介護医療院は、病院又は診療所に併設(同一敷地内又は隣接する敷地において、サービスの提供、夜勤を行う職員の配置等が一体的に行われているものを指すこと。以下同じ。)され、入所者の療養生活の支援を目的とする介護医療院である。
② 併設型小規模介護医療院
イ 併設型小規模介護医療院は、医療機関併設型介護医療院のうち、当該介護医療院の入所定員が19人以下のものをいう。
ロ 併設型小規模介護医療院は、病院又は診療所に1か所の設置とする。
 
第2 許可の単位等について
法の規定上、介護医療院の開設許可は、一つの介護医療院を単位として行われることとなっているが、介護医療院サービスを行う部分として認められる単位(以下「許可の単位」という。)等については、以下のとおりとする。
1 許可の単位は、原則として「療養棟」とする。
2 「療養棟」とは、介護医療院における看護・介護体制の1単位を指すものである。
なお、高層建築等の場合には、複数階(原則として2つの階)を1療養棟として認めることは差し支えないが、昼間・夜間を通して、看護・介護に支障のない体制をとることが必要である。
3 1療養棟の療養床数は、原則として60床以下とする。
4 1療養棟ごとに、看護・介護サービスの責任者を配置し、看護・介護チームによる交代勤務等の看護・介護を実施すること及び看護・介護に係る職員の詰め所(以下「サービス・ステーション」という。)等の設備等を有することが必要である。ただし、サービス・ステーションの配置によっては、他の看護・介護単位とサービス・ステーションを共用することは可能である。
5 例外的に、療養棟を2棟以下しか持たない介護医療院については、療養室単位で開設許可を受け、又は変更することができるものとする。
 
第3 人員に関する基準(基準省令第4条
1 医師
⑴ 介護医療院においては、常勤換算方法で、介護医療院の入所者のうちⅠ型療養床を利用している者(以下「Ⅰ型入所者」という。)の数を48で除した数に、介護医療院の入所者のうちⅡ型療養床を利用している者(以下「Ⅱ型入所者」という。)の数を100で除した数を加えて得た数以上の医師を配置するものとする。なお、上記の計算により算出された数が3に満たないときは3とし、その数に1に満たない端数が生じたときは、その端数は1として計算することとする。
⑵ ⑴にかかわらず、Ⅱ型療養床のみ有する介護医療院であって、基準省令第27条第3項ただし書の規定により、介護医療院に宿直を行う医師を置かない場合にあっては、入所者の数を100で除した数以上の医師を配置するものとする。なお、その数に1に満たない端数が生じたときは、その端数は1として計算する。
⑶ ⑴及び⑵にかかわらず、医療機関併設型介護医療院の場合にあっては、常勤換算方法で、Ⅰ型入所者の数を48で除した数に、Ⅱ型入所者の数を100で除した数を加えて得た数以上の医師を配置するものとする。
⑷ ⑴から⑶までにかかわらず、併設型小規模介護医療院における医師の配置については、併設される医療機関により当該併設小規模介護医療院の入所者の処遇が適切に行われると認められる場合にあっては、置かないことができることとする。
⑸ 複数の医師が勤務する形態にあっては、それらの勤務延時間数が基準に適合すれば差し支えないこと。ただし、このうち1人は、入所者全員の病状等を把握し施設療養全体の管理に責任を持つ医師としなければならないこと。なお、兼務の医師については、日々の勤務体制を明確に定めておくこと。
⑹ 介護医療院で行われる(介護予防)通所リハビリテーション、(介護予防)訪問リハビリテーションの事業所の職務であって、当該施設の職務と同時並行的に行われることで入所者の処遇に支障がない場合は、介護医療院サービスの職務時間と(介護予防)通所リハビリテーション、(介護予防)訪問リハビリテーションの職務時間を合計して介護医療院の勤務延時間数として差し支えないこと。
2 薬剤師
⑴ 常勤換算方法で、Ⅰ型入所者の数を150で除した数に、Ⅱ型入所者の数を300で除した数を加えて得た数以上を配置するものとする。
⑵ ⑴にかかわらず、併設型小規模介護医療院における薬剤師の配置については、併設される医療機関の職員(病院の場合にあっては、医師又は薬剤師。診療所の場合にあっては、医師とする。)により当該施設の入所者の処遇が適切に行われると認められる場合にあっては、置かないことができることとする。
3 看護師、准看護師(以下「看護職員」という。)
常勤換算方法で、介護医療院の入所者の数を6で除した数以上を配置するものとする。
4 介護職員
⑴ 常勤換算方法で、Ⅰ型入所者の数を5で除した数に、Ⅱ型入所者の数を6で除した数を加えて得た数以上を配置するものとする。
⑵ ⑴にかかわらず、併設型小規模介護医療院における介護職員の配置については、常勤換算方法で、当該併設型小規模介護医療院の入所者の数を6で除した数以上を配置するものとする。
⑶ 介護職員の数を算出するに当たっては、看護職員を介護職員とみなして差し支えない。ただし、この場合の看護職員については、人員の算出上、看護職員として数えることはできない。
5 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下「理学療法士等」という。)
⑴ 介護医療院の設置形態等の実情に応じた適当数を配置すること。
⑵ 併設型小規模介護医療院における理学療法士等の配置については、併設される医療機関の職員(病院の場合にあっては、医師又は理学療法士等。診療所の場合にあっては、医師とする。)により当該施設の入所者の処遇が適切に行われると認められる場合にあっては、置かないことができることとする。
6 栄養士又は管理栄養士
入所定員100以上の介護医療院にあっては、1以上の栄養士又は管理栄養士を配置すること。ただし、同一敷地内にある病院等の栄養士又は管理栄養士がいることにより、栄養管理に支障がない場合には、兼務職員をもって充てても差し支えないこと。
なお、100人未満の施設においても常勤職員の配置に努めるべきであるが、併設型小規模介護医療院の併設医療機関に配置されている栄養士又は管理栄養士による栄養管理が、当該介護医療院の入所者に適切に行われると認められるときは、これを置かないことができる。
7 介護支援専門員
⑴ 介護支援専門員については、その業務に専ら従事する常勤の者を1名以上配置していなければならないこと。したがって、入所者数が100人未満の介護医療院にあっても1人は配置されていなければならないこと。また、介護支援専門員の配置は、入所者数が100人又はその端数を増すごとに1人を標準とするものであり、入所者数が100人又はその端数を増すごとに増員することが望ましいこと。ただし、当該増員に係る介護支援専門員については、非常勤とすることを妨げるものではない。なお、併設型小規模介護医療院における介護支援専門員の配置については、当該施設の入所者に対するサービス提供が適切に行われると認められる場合にあっては、当該介護医療院の設置形態等の実情に応じた適当数でよいこと。
⑵ 介護支援専門員は、入所者の処遇に支障がない場合は、当該介護医療院の他の職務に従事することができるものとし、また、介護支援専門員が医療機関併設型介護医療院の職務に従事する場合であって、当該医療機関併設型介護医療院の入所者の処遇に支障がない場合には、当該医療機関併設型介護医療院に併設される病院又は診療所の職務に従事することができることとする。この場合、兼務を行う当該介護支援専門員の配置により、介護支援専門員の配置基準を満たすこととなると同時に、兼務を行う他の職務に係る常勤換算上も、当該介護支援専門員の勤務時間の全体を当該他の職務に係る勤務時間として算入することができるものとする。
なお、居宅介護支援事業者の介護支援専門員との兼務は認められないものである。ただし、増員に係る非常勤の介護支援専門員については、この限りでない。
8 診療放射線技師
⑴ 介護医療院の設置形態等の実情に応じた適当数を配置すること。
⑵ 併設施設との職員の兼務を行うこと等により適正なサービスを確保できる場合にあっては、配置しない場合があっても差し支えないこと。
9 調理員、事務員等
⑴ 介護医療院の設置形態等の実情に応じた適当数を配置すること。
⑵ 併設施設との職員の兼務や業務委託を行うこと等により適正なサービスを確保できる場合にあっては、配置しない場合があっても差し支えないこと。
10 用語の定義
⑴ 「常勤換算方法」
当該介護医療院の従業者の勤務延時間数を当該施設において常勤の従業員が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該施設の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該施設の介護医療院サービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該施設が(介護予防)通所リハビリテーションの指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が介護医療院サービスと指定(介護予防)通所リハビリテーションを兼務する場合、当該従業者の勤務延時間数には、介護医療院サービスに係る勤務時間数だけを算入することとなるものであること。
ただし、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第13条第1項に規定する措置(以下「母性健康管理措置」という。)又は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)第23条第1項、同条第3項又は同法第24条に規定する所定労働時間の短縮等の措置若しくは厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に沿って事業者が自主的に設ける所定労働時間の短縮措置(以下「育児、介護及び治療のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)が講じられている場合、30時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として取り扱うことを可能とする。
⑵ 「勤務延時間数」
勤務表上、介護医療院サービスの提供に従事する時間として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該施設において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。
⑶ 「常勤」
当該介護医療院における勤務時間が、当該施設において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。ただし、母性健康管理措置又は育児、介護及び治療のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられている者については、入所者の処遇に支障がない体制が施設として整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことを可能とする。
当該施設に併設される事業所(同一敷地内に所在する又は道路を隔てて隣接する事業所をいう。ただし、管理上支障がない場合は、その他の事業所を含む。)の職務であって、当該施設の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間数の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、介護医療院、指定(介護予防)通所リハビリテーション事業所及び指定(介護予防)訪問リハビリテーション事業所が併設されている場合、介護医療院の管理者、指定(介護予防)通所リハビリテーション事業所の管理者及び指定(介護予防)訪問リハビリテーション事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間数の合計が所定の時間数に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。
また、人員基準において常勤要件が設けられている場合、従事者が労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条に規定する休業(以下「産前産後休業」という。)、母性健康管理措置、育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業(以下「育児休業」という。)、同条第2号に規定する介護休業(以下「介護休業」という。)、同法第23条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置又は同法第24条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定により同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業(以下「育児休業に準ずる休業」という。)を取得中の期間において、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤の従業者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことが可能であることとする。
⑷ 「専ら従事する」
原則として、サービス提供時間帯を通じて介護医療院サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従業者の当該施設における勤務時間をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。
⑸ 「前年度の平均値」
① 基準省令第4条第2項における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年4月1日に始まり翌年3月31日をもって終わる年度とする。以下同じ。)の入所者延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げるものとする。
② 新設(事業の再開の場合を含む。以下同じ。)又は増床分のベッドに関して、前年度において1年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合を含む。)の入所者数は、新設又は増床の時点から6月未満の間は、便宜上、ベッド数の90%を入所者数とし、新設又は増床の時点から6月以上1年未満の間は、直近の6月における入所者延数を6月間の日数で除して得た数とし、新設又は増床の時点から1年以上経過している場合は、直近1年間における入所者延数を1年間の日数で除して得た数とする。
③ 減床の場合には、減床後の実績が3月以上あるときは、減床後の入所者延数を延日数で除して得た数とする。
 
第4 施設及び設備に関する基準
1 一般原則
⑴ 介護医療院の施設及び構造設備については、基準省令のほか建築基準法、消防法等の関係規定を遵守するとともに、日照、採光、換気等について十分考慮したものとし、入所者の保健衛生及び防災につき万全を期すこと。
⑵ 介護医療院の環境及び立地については、入所者の療養生活を健全に維持するため、ばい煙、騒音、振動等による影響を極力排除するとともに、交通、水利の便等を十分考慮したものとすること。
2 施設に関する基準
⑴ 施設に関する基準
① 基準省令第5条第1項各号に掲げる施設(設置が義務付けられているもの)については、次の点に留意すること。
イ 機能訓練室、談話室、食堂、レクリエーション・ルーム等を区画せず、1つのオープンスペースとすることは差し支えないが、入所者に対する介護医療院サービスの提供に支障を来さないよう全体の面積は各々の施設の基準面積を合算したもの以上とすること。
ロ 施設の兼用については、各々の施設の利用目的に沿い、かつ、入所者に対する介護医療院サービスの提供に支障を来さない程度で認めて差し支えないものであること。したがって、談話室とレクリエーション・ルームの兼用並びに洗面所と便所、洗濯室と汚物処理室が同一の区画にあること等は差し支えないこと。
② 各施設については、基準省令第5条第2項に定めるもののほか、次の点に留意すること。
イ 療養室
a 療養室に洗面所を設置した場合に必要となる床面積及び収納設備の設置に要する床面積は、基準面積に含めて差し支えないものであること。
b 療養室の床面積は、内法による測定で入所者1人当たり8平方メートル以上とすること。
c 多床室の場合にあっては、家具、パーティション、カーテン等の組合せにより、室内を区分することで、入所者同士の視線等を遮断し、入所者のプライバシーを確保すること。カーテンのみで仕切られているに過ぎないような場合には、プライバシーの十分な確保とはいえない。また、家具、パーティション等については、入所者の安全が確保されている場合には、必ずしも固定されているものに限らない。
d 療養室のナース・コールについては、入所者の状況等に応じ、サービスに支障を来さない場合には、入所者の動向や意向を検知できる機器を設置することで代用することとして差し支えない。
ロ 診察室
a 医師が診察を行う施設については医師が診療を行うのに適切なものとすること。
b 臨床検査施設は、病院又は診療所に設置される臨床検査施設に求められる検査基準及び構造設備基準を満たすものであること。
c 調剤を行う施設は、病院又は診療所に設置される調剤所に求められる基準を満たすものであること。
ハ 処置室
a 医師が処置を行う施設については、医師が処置を行うのに適切なものとすること。なお、当該部分については、診察室における医師が診察を行う施設の部分と兼用することができる。
b 診療の用に供するエックス線装置にあっては、医療法(昭和23年法律第205号)、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)及び医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について(平成13年3月12日医薬発第188号)において求められる防護に関する基準を満たすものであること。
ニ 機能訓練室
介護医療院で行われる機能訓練は、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の指導の下における運動機能やADL(日常生活動作能力)の改善を中心としたものであり、内法による測定で40平方メートル以上の面積を有し、必要な器械・器具を備えること。ただし、併設型小規模介護医療院の場合は、機能訓練を行うのに十分な広さを有し、必要な器械・器具を備えることで足りるものとする。
ホ 談話室
談話室には、入所者とその家族等が談話を楽しめるよう、創意工夫を行うこと。
ヘ 浴室
入所者の入浴に際し、支障が生じないよう配慮すること。
ト サービス・ステーション
看護・介護職員が入所者のニーズに適切に応じられるよう、療養室のある階ごとに療養室に近接してサービス・ステーションを設けること。
チ 調理室
食器、調理器具等を消毒する設備、食器、食品等を清潔に保管する設備並びに防虫及び防鼠の設備を設けること。
リ 汚物処理室
汚物処理室は、他の施設と区別された一定のスペースを有すれば足りること。
ヌ その他
a 焼却炉、浄化槽、その他の汚物処理設備及び便槽を設ける場合には、療養室、談話室、食堂、調理室から相当の距離を隔てて設けること。
b 床面積を定めない施設については、各々の施設の機能を十分に発揮し得る適当な広さを確保するよう配慮すること。
③ 基準省令第5条第3項は、同条第1項各号に定める各施設が当該介護医療院の用に専ら供するものでなければならないこととしたものであるが、介護医療院と介護老人保健施設、指定介護老人福祉施設等の社会福祉施設等が併設される場合に限り、次に掲げるところにより、同条第3項ただし書が適用されるものである。ただし、介護医療院と病院又は診療所に併設される場合については、別途通知するところによるものとする。
イ 次に掲げる施設については、併設施設との共用は認められないものであること。
a 療養室
b 診察室(医師が診察を行う施設に限る。)
c 処置室(エックス線装置を含む。)
ロ イに掲げる施設以外の施設は、介護医療院と併設施設双方の施設基準を満たし、かつ、当該介護医療院の余力及び当該施設における介護医療院サービス等を提供するための当該施設の使用計画(以下「利用計画」という。)からみて両施設の入所者の処遇に支障がない場合に限り共用を認めるものであること。
ハ 共用する施設についても介護医療院としての許可を与えることとなるので、例えば、併設の病院と施設を共用する場合には、その共用施設については医療法上の許可と介護医療院の許可とが重複するものであること。
④ 設置が義務づけられている施設のほか、家族相談室、ボランティア・ルーム、家族介護教室は、介護医療院の性格等からみて設置が望ましいので、余力がある場合には、その設置につき配慮すること。
⑵ 「火災に係る入所者の安全性が確保されている」と認めるときは、次の点を考慮して判断されたい。
① 基準省令第5条第2項各号の要件のうち、満たしていないものについても、一定の配慮措置が講じられていること。
② 日常又は火災時における火災に係る安全性について、入所者が身体的、精神的に障害を有する者であることにかんがみて確保されていること。
③ 管理者及び防火管理者は、当該介護医療院の建物の燃焼性に対する知識を有し、火災の際の危険性を十分認識するとともに、職員等に対して、火気の取扱いその他火災予防に関する指導監督、防災意識の高揚に努めること。
④ 定期的に行うこととされている避難等の訓練は、当該介護医療院の建物の燃焼性を十分に勘案して行うこと。
3 構造設備の基準
基準省令第6条に定める介護医療院の構造設備については、次の点に留意すること。
⑴ 耐火構造
介護医療院の建物は、入所者が身体的、精神的に障害を有する者であることに鑑み、入所者の日常生活のために使用しない附属の建物を除き耐火建築物としなければならない。ただし、療養室、談話室、食堂、浴室、レクリエーション・ルーム、便所等入所者が日常継続的に使用する施設(以下「療養室等」という。)を2階以上の階及び地階のいずれにも設けていない建物については、準耐火建築物とすることができる。また、居室等を2階又は地階に設ける場合であっても、基準省令第6条第1項第1号に掲げる要件を満たし、火災に係る入所者の安全性が確保されていると認められる場合には、準耐火建築物とすることができる。
⑵ エレベーター
介護医療院の入所者が常時介護を必要とする高齢者であることから、療養室等が2階以上の階にある場合は、屋内の直通階段及びエレベーターの設置すること。
⑶ 診察の用に供する電気等
介護医療院サービスの一環として行われる診察の用に供する電気、光線、熱、蒸気又はガスに関する構造設備については、医療法において病院又は診療所が求められる危害防止上必要な方法を講ずること。
⑷ 階段
階段の傾斜は緩やかにするとともに、適当な手すりを設けること。なお、手すりは両側に設けることが望ましい。
⑸ 廊下
① 廊下の幅は、内法によるものとし、壁から測定するものとすること。
② 適当な手すりを設けること。なお、手すりは両側に設けることが望ましい。
③ 中廊下は、廊下の両側に療養室等又はエレベーター室のある廊下をいうこと。
⑹ 入所者の身体の状態等に応じた介護医療院サービスの提供を確保するため、車椅子、ギャッチベッド、ストレッチャー等を備えること。
⑺ 家庭的な雰囲気を確保するよう創意工夫すること。
⑻ 車椅子等による移動に支障のないよう床の段差をなくすよう努めること。
⑼ 病院又は診療所等と介護医療院とを併設する場合には、両施設の入所者の処遇に支障がないよう、表示等により病院又は診療所等との区分を可能な限り明確にすることで足りること。
⑽ 基準省令第6条第1項第8号に定める「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、消防法第17条の規定に基づく消防用設備等及び風水害、地震等の災害に際して必要な設備をいうこと。
4 経過措置
⑴ 療養病床等を有する病院(医療法第七条第二項に規定する精神病床、感染症病床、結核病床、療養病床又は一般病床を有する病院。以下同じ。)又は病床を有する診療所(療養病床又は一般病床を有する診療所。以下同じ。)の開設者が、当該病院の療養病床等を平成36年3月31日までの間に転換を行って介護医療院を開設する場合における当該転換に係る療養室の床面積は、新築、増築又は全面的な改築の工事が終了するまでの間は、内法による測定で入所者1人当たり6.4平方メートル以上とする。(基準省令附則第2条)
⑵ 療養病床等を有する病院又は療養病床等を有する診療所の開設者が、当該病院の療養病床等又は当該診療所の療養病床等を平成36年3月31日までの間に転換を行って介護医療院を開設する場合における当該転換に係る建物の耐火構造については、新築、増築又は全面的な改築の工事が終了するまでの間は、基準省令第6条第1項第1号の規定は適用せず、建築基準法の基準によるものでよいこととする。(基準省令附則第3条)
⑶ 療養病床等を有する病院又は療養病床等を有する診療所の開設者が、当該病院の療養病床等又は当該診療所の療養病床等を平成36年3月31日までの間に転換を行って介護医療院を開設する場合における当該転換に係る屋内の直通階段及びエレベーターについては、新築、増築又は全面的な改築の工事が終了するまでの間は、転換前の医療法による基準と同等のものでよいこととする。(基準省令附則第4条)
⑷ 療養病床等を有する病院又は療養病床等を有する診療所の開設者が、当該病院の療養病床等又は当該診療所の療養病床等を平成36年3月31日までの間に転換を行って介護医療院を開設する場合における当該転換に係る療養室に隣接する廊下の幅は、新築、増築又は全面的な改築の工事が終了するまでの間は、内法による測定で、1.2メートル以上(ただし、両側に療養室等又はエレベーター室がある廊下の幅は、内法による測定で、1.6メートル以上)であればよいこととする。(基準省令附則第5条)
⑸ 平成18年7月1日から平成30年3月31日までの間に、療養病床等を有する病院又は病床を有する診療所の開設者が、当該病院の療養病床等又は当該診療所の病床の転換を行った介護老人保健施設(以下「介護療養型老人保健施設」という。)が、平成36年3月31日までに当該介護療養型老人保健施設の全部又は一部を廃止するとともに、介護医療院を開設した場合についても、⑴から⑷までの取扱と同様の取扱とする。(基準省令附則第7条から第10条まで)
⑹ 介護療養型老人保健施設が平成36年3月31日までに当該介護療養型老人保健施設の全部又は一部を廃止するとともに、介護医療院を開設した場合には、当該介護医療院における調剤を行う施設については、近隣の場所にある薬局と連携することにより入所者に対する介護医療院サービスの提供に支障がない場合、臨床検査施設又はエックス線装置の設置については、近隣の医療機関等との連携により入所者に対する介護医療院サービスの提供に支障がない場合にあっては、それぞれ置かないことができることとする。(基準省令附則第6条)
⑺ 療養病床等を有する診療所(療養病床又は一般病床を有する診療所。以下同じ。)の開設者が、当該病院の療養病床等を令和6年3月31日までの間に転換を行って介護医療院を開設する場合における当該転換に係る第5条第2項第7号ロの規定は、新築、増築又は全面的な改築の工事が終了するまでの間は、一般浴槽のほか、入浴に介助を必要とする者の入浴に適した設備を設けることとする。(基準省令附則第11条)
 
第5 運営に関する基準
1 介護保険等関連情報の活用とPDCAサイクルの推進について
基準省令第2条第5項は、介護医療院サービスの提供に当たっては、法第118条の2第1項に規定する介護保険等関連情報等を活用し、施設単位でPDCAサイクルを構築・推進することにより、提供するサービスの質の向上に努めなければならないこととしたものである。
この場合において、「科学的介護情報システム(LIFE:Long-term care Information system For Evidence)」に情報を提出し、当該情報及びフィードバック情報を活用することが望ましい。
2 内容及び手続の説明及び同意
基準省令第7条は、入所申込者に対し適切な介護医療院サービスを提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、入所申込者又はその家族に対し、当該介護医療院の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の入所申込者がサービスを選択するために必要な重要事項をわかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該施設から介護医療院サービスの提供を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものであること。なお、当該同意については、入所申込者及び介護医療院双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。
3 提供拒否の禁止
基準省令第8条は、原則として、入所申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、入院治療の必要がある場合その他入所者に対し自ら適切な介護医療院サービスを提供することが困難な場合である。
4 サービス提供困難時の対応
基準省令第9条は、入所申込者の病状からみて、その病状が重篤なために介護医療院での対応が困難であり、病院又は診療所での入院治療が必要であると認められる場合には、適切な病院又は診療所を紹介する等の適切な措置を速やかに講じなければならないものであること。
5 受給資格等の確認
⑴ 基準省令第10条第1項は、介護医療院サービスの利用に係る費用につき保険給付を受けることができるのは、要介護認定を受けている被保険者に限られるものであることを踏まえ、介護医療院は、介護医療院サービスの提供の開始に際し、入所申込者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無及び要介護認定の有効期間を確かめなければならないこととしたものである。
⑵ 同条第2項は、入所申込者の被保険者証に、介護医療院サービス等の適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項に係る認定審査会意見が記載されているときは、これに配慮して介護医療院サービスを提供するように努めるべきことを規定したものである。
6 要介護認定の申請に係る援助
⑴ 基準省令第11条第1項は、要介護認定の申請がなされていれば、要介護認定の効力が申請時に遡ることにより、介護医療院サービスの利用に係る費用が保険給付の対象となり得ることを踏まえ、介護医療院は、入所申込者が要介護認定を受けていないことを確認した場合には、要介護認定の申請が既に行われているかどうかを確認し、申請が行われていない場合は、当該入所申込者の意思を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
⑵ 同条第2項は、要介護認定を継続し、保険給付を受けるためには要介護更新認定を受ける必要があること及び当該認定が申請の日から30日以内に行われることとされていることを踏まえ、介護医療院は、要介護認定の更新の申請が、遅くとも当該入所者が受けている要介護認定の有効期間が終わる30日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
7 入退所
⑴ 基準省令第12条第1項は、介護医療院は、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他医療等が必要な要介護者を対象とするものであることを規定したものである。
⑵ 同条第2項は、入所を待っている申込者がいる場合には、入所して介護医療院サービスを受ける必要性が高いと認められる者を優先的に入所させるよう努めなければならないことを規定したものである。また、その際の勘案事項として、介護医療院が同条第1項に定める者を対象としていること等にかんがみ、長期にわたる療養及び医学的管理の下における介護の必要性を挙げているものである。なお、こうした優先的な入所の取扱いについては、透明性及び公平性が求められることに留意すべきものである。
⑶ 同条第3項は、基準省令第2条(基本方針)を踏まえ、入所者に対して適切な介護医療院サービスが提供されるようにするため、入所者の心身の状況、病歴、生活歴、家族の状況等の把握に努めなければならないことを規定したものである。
また、質の高い介護医療院サービスの提供に資する観点から、当該入所者に係る指定居宅サービス等の利用状況等の把握に努めなければならないものとしたものである。
⑷ 同条第4項及び第5項は、入所者について、その病状及び身体の状態に照らし、退所して居宅において生活ができるかどうかについて定期的に検討しなければならないこととされたものであること。医師、薬剤師、看護・介護職員、介護支援専門員等による居宅における生活への復帰の可否の検討は、病状及び身体の状態に応じて適宜実施すべきものである。これらの検討の経過及び結果は記録しておくとともに、基準省令第42条第2項の規定に基づきその記録は2年間保存しておくこと。
⑸ 同条第6項は、入所者の退所に際しての、本人又は家族等に対する家庭での介護方法等に関する適切な指導、病院又は診療所の医師及び居宅介護支援事業者等に対する情報提供について規定したものであること。入所者の退所にあたっては、退所後の主治の医師、居宅介護支援事業者、市町村等と十分連携を図ることが望ましい。
8 サービス提供の記録
基準省令第13条第2項は、サービスの提供日、具体的なサービスの内容、入所者の状況その他必要な事項を記録しなければならないこととしたものである。
なお、基準省令第42条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
9 利用料等の受領
⑴ 基準省令第14条第1項は、法定代理受領サービスとして提供される介護医療院サービスについての入所者負担として、法第48条第2項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用(食事の提供に要する費用、居住に要する費用その他の日常生活に要する費用として厚生労働省令で定める費用を除いて算定。)の額を除いた額の1割又は2割(法第50条又は第69条の規定の適用により保険給付の率が9割又は8割でない場合については、それに応じた割合)の支払を受けなければならないことを規定したものである。
⑵ 同条第2項は、入所者間の公平及び入所者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない介護医療院サービスを提供した際にその入所者から支払を受ける利用料の額と法定代理受領サービスである介護医療院サービスに係る費用の額の間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けてはならないこととしたものである。
⑶ 同条第3項は、介護医療院サービスの提供に関して、
① 食事の提供に要する費用(法第51条の2第1項の規定により特定入所者介護サービス費が入所者に支給された場合は、同条第2項第1号に規定する食費の基準費用額(同条第4項の規定により当該特定入所者介護サービス費が入所者に代わり当該介護医療院に支払われた場合は、同条第2項第1号に規定する食費の負担限度額)を限度とする。)
② 居住に要する費用(法第51条の2第1項の規定により特定入所者介護サービス費が入所者に支給された場合は、同条第2項第2号に規定する居住費の基準費用額(同条第4項の規定により当該特定入所者介護サービス費が入所者に代わり当該介護医療院に支払われた場合は、同条第2項第2号に規定する居住費の負担限度額)を限度とする。)
③ 厚生労働大臣の定める基準に基づき入所者が選定する特別な療養室の提供を行ったことに伴い必要となる費用
④ 厚生労働大臣の定める基準に基づき入所者が選定する特別な食事の提供を行ったことに伴い必要となる費用
⑤ 理美容代
⑥ 前各号に掲げるもののほか、介護医療院サービスにおいて提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その入所者に負担させることが適当と認められるものについては、前2項の利用料のほかに入所者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、①から④までの費用については、居住、滞在及び食事の提供に係る利用料等に関する指針(平成17年厚生労働省告示第419号)及び厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等(平成12年厚生省告示第123号)の定めるところによるものとし、前記⑥の費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものとする。
⑷ 基準省令第14条第5項は、介護医療院は、同条第3項の費用の支払を受けるに当たっては、あらかじめ、入所者又はその家族に対して、その額等を記載した書類を交付して、説明を行い、入所者の同意を得なければならないこととしたものである。また、同項第1号から第4号までの利用料に係る同意については、文書によって得なければならないこととしたものである。
10 保険給付の請求のための証明書の交付
基準省令第15条は、入所者が保険給付の請求を容易に行えるよう、介護医療院は、法定代理受領サービスでない介護医療院サービスに係る利用料の支払を受けた場合は、提供した介護医療院サービスの内容、費用の額その他入所者が保険給付を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を入所者に対して交付しなければならないこととしたものである。
11 介護医療院サービスの取扱方針
⑴ 基準省令第16条第5項に規定する記録の記載は、介護医療院の医師が診療録に記載しなければならないものとすること。
⑵ 同条第4項及び第5項は、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、基準省令第42条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
⑶ 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(第6項第1号)
同条第6項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(以下、「身体的拘束等適正化検討委員会」という。)であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、介護職員、生活相談員)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、身体的拘束等の適正化対応策を担当する者を決めておくことが必要である。なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、入所者や施設の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※) 身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者
なお、身体的拘束等適正化検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。身体的拘束等適正化検討委員会の責任者はケア全般の責任者であることが望ましい。また、身体的拘束等適正化検討委員会には、第三者や専門家を活用することが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等が考えられる。
また、身体的拘束等適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
介護医療院が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
① 身体的拘束について報告するための様式を整備すること。
② 介護職員その他の従業者は、身体的拘束の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、①の様式に従い、身体的拘束について報告すること。
③ 身体的拘束等適正化検討委員会において、②により報告された事例を集計し、分析すること。
④ 事例の分析に当たっては、身体的拘束の発生時の状況等を分析し、身体的拘束の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
⑤ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
⑥ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。
⑷ 身体的拘束等の適正化のための指針(第6項第2号)
介護医療院が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
① 施設における身体的拘束適正化に関する基本的考え方
② 身体的拘束等適正化検討委員会その他施設内の組織に関する事項
③ 身体的拘束適正化のための職員研修に関する基本方針
④ 施設内で発生した身体的拘束の報告方法等のための方策に関する基本方針
⑤ 身体的拘束発生時の対応に関する基本方針
⑥ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
⑦ その他身体的拘束適正化の推進のために必要な基本方針
⑸ 身体的拘束適正化のための従業者に対する研修(第6項第3号)
介護職員その他の従業者に対する身体的拘束適正化のための研修の内容としては、身体的拘束適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該介護医療院における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該介護医療院が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修施設内での研修で差し支えない。
12 施設サービス計画の作成
基準省令第17条は、入所者の課題分析、サービス担当者会議の開催、施設サービス計画の作成、施設サービス計画の実施状況の把握など、施設サービスが施設サービス計画に基づいて適切に行われるよう、施設サービス計画に係る一連の業務のあり方及び当該業務を行う介護支援専門員(以下「計画担当介護支援専門員」という。)の責務を明らかにしたものである。なお、施設サービス計画の作成及びその実施に当たっては、いたずらにこれを入所者に強制することとならないように留意するものとする。
⑴ 計画担当介護支援専門員による施設サービス計画の作成(第1項)
介護医療院の管理者は、施設サービス計画の作成に関する業務の主要な過程を計画担当介護支援専門員に担当させることとしたものである。
⑵ 総合的な施設サービス計画の作成(第2項)
施設サービス計画は、入所者の日常生活全般を支援する観点に立って作成されることが重要である。このため、施設サービス計画の作成又は変更に当たっては、入所者の希望や課題分析の結果に基づき、介護給付等対象サービス以外の、当該地域の住民による入所者の話し相手、会食などの自発的な活動によるサービス等も含めて施設サービス計画に位置付けることにより、総合的な計画となるよう努めなければならない。
⑶ 課題分析の実施(第3項)
施設サービス計画は、個々の入所者の特性に応じて作成されることが重要である。このため計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成に先立ち入所者の課題分析を行わなければならない。
課題分析とは、入所者の有する日常生活上の能力や入所者を取り巻く環境等の評価を通じて入所者が生活の質を維持・向上させていく上で生じている問題点を明らかにし、入所者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握することであり、入所者の生活全般についてその状態を十分把握することが重要である。
なお、課題分析は、計画担当介護支援専門員の個人的な考え方や手法のみによって行われてはならず、入所者の課題を客観的に抽出するための手法として合理的なものと認められる適切な方法を用いなければならないものである。
⑷ 課題分析における留意点(第4項)
計画担当介護支援専門員は、解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、必ず入所者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、入所者やその家族との間の信頼関係、協働関係の構築が重要であり、計画担当介護支援専門員は、面接の趣旨を入所者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない。なお、このため、計画担当介護支援専門員は面接技法等の研鑚に努めることが重要である。なお、家族への面接については、幅広く課題を把握する観点から、テレビ電話等の通信機器等の活用により行われるものを含むものとする。
⑸ 施設サービス計画原案の作成(第5項)
計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画が入所者の生活の質に直接影響する重要なものであることを十分に認識し、施設サービス計画原案を作成しなければならない。したがって、施設サービス計画原案は、入所者の希望及び入所者についてのアセスメントの結果による専門的見地並びに介護医療院の医師の治療方針に基づき、入所者の家族の希望を勘案した上で、実現可能なものとする必要がある。
また、当該施設サービス計画原案には、入所者及びその家族の生活に対する意向及び総合的な援助の方針並びに生活全般の解決すべき課題に加え、各種サービス(医療、リハビリテーション、看護、介護、食事等)に係る目標を具体的に設定し記載する必要がある。さらに提供される施設サービスについて、その長期的な目標及びそれを達成するための短期的な目標並びにそれらの達成時期等を明確に盛り込み、当該達成時期には施設サービス計画及び提供したサービスの評価を行い得るようにすることが重要である。
なお、ここでいう介護医療院サービスの内容には、当該介護医療院の行事及び日課を含むものである。
施設サービス計画の作成にあたっては、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を参考にしつつ、本人の意思を尊重した医療・ケアが実施できるよう、多職種が連携し、本人及びその家族と必要な情報の共有等を行うこと。
⑹ サービス担当者会議等による専門的意見の聴取(第6項)
計画担当介護支援専門員は、効果的かつ実現可能な質の高い施設サービス計画とするため、施設サービスの目標を達成するために、具体的なサービスの内容として何ができるかなどについて、施設サービス計画原案に位置付けた施設サービスの担当者からなるサービス担当者会議の開催又は当該担当者への照会等により、専門的な見地からの意見を求め調整を図ることが重要である。なお、計画担当介護支援専門員は、入所者の状態を分析し、複数職種間で直接に意見調整を行う必要の有無について十分見極める必要があるものである。
サービス担当者会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。ただし、入所者又はその家族(以下この⑹において「入所者等」という。)が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該入所者等の同意を得なければならない。なお、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、同項で定める他の担当者とは、医師、薬剤師、看護・介護職員、理学療法士等、管理栄養士等の当該入所者の介護及び生活状況等に関係する者を指すものである。
⑺ 施設サービス計画原案の説明及び同意(第7項)
施設サービス計画は、入所者の希望を尊重して作成されなければならない。このため、計画担当介護支援専門員に、施設サービス計画の作成に当たっては、これに位置付けるサービスの内容を説明した上で文書によって入所者の同意を得ることを義務づけることにより、サービスの内容への入所者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。
なお、当該説明及び同意を要する施設サービス計画の原案とは、いわゆる施設サービス計画書の第1表及び第2表(「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)に示す標準様式を指す。)に相当するものを指すものである。
また、施設サービス計画の原案について、入所者に対して説明し、同意を得ることを義務づけているが、必要に応じて入所者の家族に対しても説明を行い同意を得る(通信機器等の活用により行われるものを含む。)ことが望ましいことに留意されたい。
⑻ 施設サービス計画の交付(第8項)
施設サービス計画を作成した際には、遅滞なく入所者に交付しなければならない。
なお、交付した施設サービス計画は、基準省令第42条第2項の規定に基づき、2年間保存しておかなければならない。
⑼ 施設サービス計画の実施状況等の把握及び評価等(第9項)
計画担当介護支援専門員は、入所者の解決すべき課題の変化に留意することが重要であり、施設サービス計画の作成後においても、入所者及びその家族並びに他のサービス担当者と継続して連絡調整を行い、施設サービス計画の実施状況の把握(入所者についての継続的なアセスメントを含む。以下「モニタリング」という。)を行い、入所者の解決すべき課題の変化が認められる場合等必要に応じて施設サービス計画の変更を行うものとする。
なお、入所者の解決すべき課題の変化は、入所者に直接サービスを提供する他のサービス担当者により把握されることも多いことから、計画担当介護支援専門員は、他のサービス担当者と緊密な連携を図り、入所者の解決すべき課題の変化が認められる場合には、円滑に連絡が行われる体制の整備に努めなければならない。
⑽ モニタリングの実施(第10項)
施設サービス計画の作成後のモニタリングについては、定期的に、入所者と面接して行う必要がある。また、モニタリングの結果についても定期的に記録することが必要である。「定期的に」の頻度については、入所者の心身の状況等に応じて適切に判断するものとする。
また、特段の事情とは、入所者の事情により、入所者に面接することができない場合を主として指すものであり、計画担当介護支援専門員に起因する事情は含まれない。なお、当該特段の事情がある場合については、その具体的な内容を記録しておくことが必要である。
⑾ 施設サービス計画の変更(第12項)
計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画を変更する際には、原則として、基準省令第17条第2項から第8項に規定された施設サービス計画作成に当たっての一連の業務を行うことが必要である。
なお、入所者の希望による軽微な変更を行う場合には、この必要はないものとする。ただし、この場合においても、計画担当介護支援専門員が、入所者の解決すべき課題の変化に留意することが重要であることは、同条第9項(⑼施設サービス計画の実施状況等の把握及び評価等)に規定したとおりであるので念のため申し添える。
13 診療の方針
基準省令第18条は、介護医療院の医師が、常に入所者の病状や心身の状態の把握に努めるべきこととしたものであり、特に、診療に当たっては、的確な診断を基とし、入所者に対して必要な検査、投薬、処置等を妥当適切に行うこと。
14 必要な医療の提供が困難な場合等の措置等
⑴ 基準省令第19条は、介護医療院の入所者に対しては、施設の医師が必要な医療を行うことを定めたものであるが、入所者の病状からみて当該介護医療院において自ら必要な医療を提供することが困難であると認めた場合は、協力医療機関その他の医療機関への入院のための措置を講じ、又は往診や通院により他の医師の対診を求める等により入所者の診療について適切な措置を講じなければならないものとすること。
⑵ 特に、入所者の病状が急変した場合などのように入院による治療を必要とする場合には、協力病院等の病院へ速やかに入院させることが必要であること。
⑶ 介護医療院の入所者に係る往診及び通院(対診)については、別に通知するところによるものであること。
15 機能訓練(基準省令第20条
リハビリテーションの提供に当たっては、入所者の心身の状況及び家庭環境等を十分に踏まえて、日常生活の自立を助けるため、必要に応じて提供しなければならないものとする。
16 栄養管理(基準省令第20条の2
介護医療院の入所者に対する栄養管理について、管理栄養士が、入所者の栄養状態に応じて、計画的に行うべきことを定めたものである。ただし、栄養士のみが配置されている施設や栄養士又は管理栄養士を置かないことができる施設については、併設施設や外部の管理栄養士の協力により行うこととする。
栄養管理について、以下の手順により行うこととする。
イ 入所者の栄養状態を施設入所時に把握し、医師、管理栄養士、歯科医師、看護師、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、入所者ごとの摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮した栄養ケア計画を作成すること。栄養ケア計画の作成に当たっては、施設サービス計画との整合性を図ること。なお、栄養ケア計画に相当する内容を施設サービス計画の中に記載する場合は、その記載をもって栄養ケア計画の作成に代えることができるものとすること。
ロ 入所者ごとの栄養ケア計画に従い、管理栄養士が栄養管理を行うとともに、入所者の栄養状態を定期的に記録すること。
ハ 入所者ごとの栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直すこと。
ニ 栄養ケア・マネジメントの実務等については、別途通知(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」)において示しているので、参考とされたい。
17 口腔衛生の管理(基準省令第20条の3
介護医療院の入所者に対する口腔衛生の管理について、入所者の口腔の健康状態に応じて、以下の手順により計画的に行うべきことを定めたものである。別途通知(「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」)も参照されたい。
⑴ 当該施設において、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士(以下「歯科医師等」という。)が、当該施設の介護職員に対する口腔衛生の管理に係る技術的助言及び指導を年2回以上行うこと。
⑵ 当該施設の従業者又は歯科医師等が入所者毎に施設入所時及び月1一回程度の口腔の健康状態の評価を実施すること。
⑶ ⑴の技術的助言及び指導に基づき、以下の事項を記載した、入所者の口腔衛生の管理体制に係る計画を作成するとともに、必要に応じて、定期的に当該計画を見直すこと。なお、口腔衛生の管理体制に係る計画に相当する内容を施設サービス計画の中に記載する場合はその記載をもって口腔衛生の管理体制に係る計画の作成に代えることができるものとすること。
イ 助言を行った歯科医師
ロ 歯科医師からの助言の要点
ハ 具体的方策
ニ 当該施設における実施目標
ホ 留意事項・特記事項
⑷ 医療保険において歯科訪問診療料が算定された日に、介護職員に対する口腔清掃等に係る技術的助言及び指導又は⑶の計画に関する技術的助言及び指導を行うにあたっては、歯科訪問診療又は訪問歯科衛生指導の実施時間以外の時間帯に行うこと。
なお、当該施設と計画に関する技術的助言若しくは指導又は口腔の健康状態の評価を行う歯科医師等においては、実施事項等を文書で取り決めること。
18 看護及び医学的管理の下における介護(基準省令第21条
⑴ 入浴の実施に当たっては、入所者の自立支援に資するよう、その心身の状況を踏まえ、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施すること。なお、入所者の心身の状況から入浴が困難である場合には、清しきを実施するなどにより身体の清潔保持に努めること。
⑵ 排せつに係る介護に当たっては、入所者の心身の状況や排せつ状況などをもとに、トイレ誘導や入所者の自立支援に配慮した排せつ介助など適切な方法により実施すること。なお、おむつを使用せざるを得ない場合には、入所者の心身及び活動状況に適したおむつを提供し、適切におむつ交換を実施すること。
⑶ 「介護医療院は、褥瘡が発生しないよう適切な介護を行うとともに、その発生を予防するための体制を整備しなければならない。」とは、褥瘡の予防に関わる施設における整備や褥瘡に関する基礎的知識を持ち、日常的なケアにおいて介護職員等が配慮することにより、褥瘡発生の予防効果を向上させることを想定している。例えば、次のようなことが考えられる。
① 当該施設における褥瘡のハイリスク者(日常生活自立度が低い入所者等)に対し、褥瘡予防のための計画の作成、実践並びに評価をする。
② 当該施設において、施設内褥瘡予防対策を担当する者(看護師が望ましい。)を決めておく。なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、入所者や施設の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※) 身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者
③ 医師、看護職員、介護職員、管理栄養士等からなる褥瘡対策チームを設置する。
④ 当該施設における褥瘡対策のための指針を整備する。
⑤ 介護職員等に対し、褥瘡対策に関する施設内職員継続教育を実施する。
また、施設外の専門家による相談、指導を積極的に活用することが望ましい。
19 食事の提供(基準省令第22条
⑴ 食事の提供について
個々の入所者の栄養状態に応じて、摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮した栄養管理を行うとともに、入所者の栄養状態、身体の状況並びに病状及び嗜好を定期的に把握し、それに基づき計画的な食事の提供を行うこと。
また、入所者の自立の支援に配慮し、できるだけ離床して食堂等で行われるよう努めなければならないこと。
⑵ 調理について
調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。
⑶ 適時の食事の提供について
食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降とすることが望ましいが、早くても午後5時以降とすること。
⑷ 食事の提供に関する業務の委託について
食事の提供に関する業務は介護医療院自らが行うことが望ましいが、栄養管理、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理、労働衛生管理について施設自らが行う等、当該施設の管理者が業務遂行上必要な注意を果たし得るような体制と契約内容により、食事サービスの質が確保される場合には、当該施設の最終的責任の下で第三者に委託することができること。
⑸ 療養室関係部門と食事関係部門との連携について
食事提供については、入所者の嚥下や咀嚼の状況、食欲など心身の状態等を当該入所者の食事に的確に反映させるために、療養室関係部門と食事関係部門との連絡が十分とられていることが必要であること。
⑹ 栄養食事相談
入所者に対しては適切な栄養食事相談を行う必要があること。
⑺ 食事内容の検討について
食事内容については、当該施設の医師又は栄養士若しくは管理栄養士を含む会議において検討が加えられなければならないこと。
20 入所者に関する市町村への通知
基準省令第25条は、偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者及び自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失等により、要介護状態等若しくはその原因となった事故を生じさせるなどした者については、市町村が、介護保険法第22条第1項に基づく既に支払った保険給付の徴収又は同法第64条に基づく保険給付の制限を行うことができることに鑑み、介護医療院が、その入所者に関し、保険給付の適正化の観点から市町村に通知しなければならない事由を列記したものである。
21 管理者による管理(基準省令第26条
介護医療院の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該介護医療院の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、介護医療院の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。
⑴ 当該介護医療院の従業者としての職務に従事する場合
⑵ 同一の事業者によって設置された他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合であって、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する時間帯も、当該介護医療院の入所者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握でき、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令に支障が生じないときに、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、事故発生時等の緊急時において管理者自身が速やかに当該介護医療院に駆け付けることができない体制となっている場合などは、一般的には管理業務に支障があると考えられる。)
⑶ 当該介護医療院が本体施設であって、当該本体施設のサテライト型小規模介護老人保健施設、サテライト型特定施設である指定地域密着型特定施設又はサテライト型居住施設である指定地域密着型介護老人福祉施設の管理者又は従業者としての職務に従事する場合
22 管理者の責務
⑴ 基準省令第27条第1項及び第2項は、介護医療院の管理者の責務を、介護保険法の基本理念を踏まえた利用者本位のサービス提供を行うため、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、従業者及び業務の管理を一元的に行うとともに、当該介護医療院の従業者に基準省令の第4章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。
⑵ 基準省令第27条第3項は、介護医療院の管理者は、介護医療院に医師を宿直させなければならないこととしたものである。ただし、以下のいずれかの場合であって、介護医療院の入所者に対するサービスの提供に支障がない場合には、宿直を要しないこととした。
a Ⅱ型療養床のみを有する介護医療院である場合
b 医療機関併設型介護医療院であり同一敷地内又は隣接する敷地にある病院又は診療所との連携が確保されており、当該介護医療院の入所者の病状が急変した場合に当該病院又は診療所の医師が速やかに診察を行う体制が確保されている場合
c その他、医療法施行規則第9条の15の2に定める場合と同様に、介護医療院の入所者の病状が急変した場合においても当該介護医療院の医師が速やかに診察を行う体制が確保されているものとして都道府県知事に認められている場合
23 計画担当介護支援専門員の責務
基準省令第28条は、介護医療院の計画担当介護支援専門員の責務を定めたものである。
計画担当介護支援専門員は、基準省令第17条の業務のほか、介護医療院が行う業務のうち、基準省令第12条第3項から第6項まで、第38条第2項及び第42条第2項に規定される業務を行うものとする。
24 運営規程
基準省令第29条は、介護医療院の適正な運営及び入所者に対する適切な介護医療院サービスの提供を確保するため、同条第1号から第8号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを義務づけたものであるが、特に次の点に留意すること。
⑴ 従業者の職種、員数及び職務の内容(第2号)
従業者の「員数」は日々変わりうるものであるため、業務負担軽減等の観点から、規程を定めるに当たっては、基準省令第4条において置くべきとされている員数を満たす範囲において、「○人以上」と記載することも差し支えない(基準省令第7条に規定する重要事項を記した文書に記載する場合についても、同様とする。)。
⑵ 施設の利用に当たっての留意事項(第5号)
入所者が介護医療院サービスの提供を受ける際に入所者が留意すべき事項(入所生活上のルール、設備の利用上の留意事項等)を指すものであること。
⑶ 非常災害対策(第6号)
27の非常災害に関する具体的計画を指すものであること。
⑷ 虐待の防止のための措置に関する事項(第7号)
36の虐待の防止に係る、組織内の体制(責任者の選定、従業者への研修方法や研修計画等)や虐待又は虐待が疑われる事案(以下「虐待等」という。)が発生した場合の対応方法等を指す内容であること。
⑸ その他施設の運営に関する重要事項(第8号)
a 当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続について定めておくことが望ましい。
b 当該施設における医師の宿直の有無について定めておくこと。Ⅱ型療養床のみを有する介護医療院である場合など医師の宿直がない施設についてはその事由について定めておくこと。
25 勤務体制の確保等
基準省令第30条は、入所者に対する適切な介護医療院サービスの提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、このほか次の点に留意すること。
⑴ 同条第1項は、介護医療院ごとに、原則として月ごと療養棟ごとの勤務表を作成し、従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、看護・介護職員等の配置、管理者との兼務関係等を明確にすることを定めたものであること。
⑵ 夜間の安全の確保及び入所者のニーズに対応するため、看護・介護職員による夜勤体制を確保すること。また、休日、夜間等においても医師との連絡が確保される体制をとること。
⑶ 同条第2項は、介護医療院サービスは、当該施設の従業者によって提供することを原則としたものであるが、調理、洗濯等の入所者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。
⑷ 同条第3項後段は、当該介護医療院の従業者の資質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該施設内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。
また、同項後段は、介護医療院に、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者について、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務づけることとしたものであり、これは、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させ、認知症についての理解の下、本人主体の介護を行い、認知症の人の尊厳の保障を実現していく観点から実施するものであること。
当該義務付けの対象とならない者は、各資格のカリキュラム等において、認知症介護に関する基礎的な知識及び技術を習得している者とすることとし、具体的には、同条第3項において規定されている看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者に加え、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員養成研修課程一級課程・二級課程修了者、社会福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師等とする。
⑸ 同条第4項は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第11条第1項及び労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第30条の2第1項の規定に基づき、事業主には、職場におけるセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント(以下「職場におけるハラスメント」という。)の防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務づけられていることを踏まえ、規定したものである。事業主が講ずべき措置の具体的内容及び事業主が講じることが望ましい取組については、次のとおりとする。なお、セクシュアルハラスメントについては、上司や同僚に限らず、入所者やその家族等から受けるものも含まれることに留意すること。
イ 事業主が講ずべき措置の具体的内容
事業主が講ずべき措置の具体的な内容は、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)及び事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号。以下「パワーハラスメント指針」という。)において規定されているとおりであるが、特に留意されたい内容は以下のとおりである。
a 事業者の方針等の明確化及びその周知・啓発
職場におけるハラスメントの内容及び職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発すること。
b 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談に対応する担当者をあらかじめ定めること等により、相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。
なお、パワーハラスメント防止のための事業主の方針の明確化等の措置義務については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24号)附則第3条の規定により読み替えられた労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2第1項の規定により、中小企業(医療・介護を含むサービス業を主たる事業とする事業主については資本金が5000万円以下又は常時使用する従業員の数が100人以下の企業)は、令和4年4月1日から義務化となり、それまでの間は努力義務とされているが、適切な勤務体制の確保等の観点から、必要な措置を講じるよう努められたい。
ロ 事業主が講じることが望ましい取組について
パワーハラスメント指針においては、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止のために、事業主が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例として、①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、②被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)及び③被害防止のための取組(マニュアル作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)が規定されている。介護現場では特に、入所者又はその家族等からのカスタマーハラスメントの防止が求められていることから、イ(事業主が講ずべき措置の具体的内容)の必要な措置を講じるにあたっては、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」、「(管理職・職員向け)研修のための手引き」等を参考にした取組を行うことが望ましい。この際、上記マニュアルや手引きについては、以下の厚生労働省ホームページに掲載しているので参考にされたい。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05120.html)
加えて、都道府県において、地域医療介護総合確保基金を活用した介護職員に対する悩み相談窓口設置事業や介護事業所におけるハラスメント対策推進事業を実施している場合、事業主が行う各種研修の費用等について助成等を行っていることから、事業主はこれらの活用も含め、施設におけるハラスメント対策を推進することが望ましい。
26 業務継続計画の策定等
⑴ 基準省令第30条の2は、介護医療院は、感染症や災害が発生した場合にあっても、入所者が継続して介護医療院サービスの提供を受けられるよう、介護医療院サービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、介護医療院に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、基準省令第30条の2に基づき施設に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
⑵ 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、「介護施設・事業所における感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。さらに、感染症に係る業務継続計画、感染症の予防及びまん延の防止のための指針、災害に係る業務継続計画並びに非常災害に関する具体的計画については、それぞれに対応する項目を適切に設定している場合には、一体的に策定することとして差し支えない。
① 感染症に係る業務継続計画
イ 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
ロ 初動対応
ハ 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
② 災害に係る業務継続計画
イ 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
ロ 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
ハ 他施設及び地域との連携
⑶ 研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年2回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施すること。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
⑷ 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、施設内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年2回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。また、災害の業務継続計画に係る訓練については、非常災害対策に係る訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
27 非常災害対策
⑴ 基準省令第32条は、介護医療院の入所者の特性に鑑み、非常災害に際して必要な具体的計画の策定、関係機関への通報及び連携体制の整備、避難、救出訓練の実施等の対策の万全を期さなければならないこととしたものである。
⑵ 「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、消防法(昭和23年法律第186号)その他の法令等に規定された設備を示しており、それらの設備を確実に設置しなければならないものである。
⑶ 基準省令第32条は、介護医療院の開設者は、非常災害に際して必要な具体的計画の策定、関係機関への通報及び連携体制の整備、避難、救出訓練の実施等の対策の万全を期さなければならないこととしたものである。関係機関への通報及び連携体制の整備とは、火災等の災害時に、地域の消防機関へ速やかに通報する体制をとるよう従業員に周知徹底するとともに、日頃から消防団や地域住民との連携を図り、火災等の際に消火・避難等に協力してもらえるような体制作りを求めることとしたものである。なお「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定により防火管理者を置くこととされている介護医療院にあってはその者に行わせるものとする。また、防火管理者を置かなくてもよいこととされている介護医療院においても、防火管理について責任者を定め、その者に消防計画に準ずる計画の樹立等の業務を行わせるものとする。
⑷ 同条第2項は、介護医療院の開設者が前項に規定する避難、救出その他の訓練の実施に当たって、できるだけ地域住民の参加が得られるよう努めることとしたものであり、日頃から地域住民との密接な連携体制を確保するなど、訓練の実施に協力を得られる体制づくりに努めることが必要である。訓練の実施に当たっては、消防関係者の参加を促し、具体的な指示を仰ぐなど、より実効性のあるものとすること。
28 衛生管理
⑴ 基準省令第33条は、介護医療院の必要最低限の衛生管理等を規定したものであるが、このほか、次の点に留意すること。
① 調理及び配膳に伴う衛生は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)等関係法規に準じて行われなければならない。
なお、食事の提供に使用する食器等の消毒も適正に行われなければならないこと。
② 食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。
③ 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。
④ 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。
⑵ 基準第33条第2項に規定する感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次の①から⑤までの取扱いとすること。
① 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該施設における感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(以下「感染対策委員会」という。)であり、幅広い職種(例えば、当該施設の管理者、事務長、医師、看護職員、介護職員、栄養士又は管理栄養士、生活相談員)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、感染対策を担当する者(以下「感染対策担当者」という。)を決めておくことが必要である。なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、入所者や施設の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※) 身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者
また、感染対策委員会は、入所者の状況など施設の状況に応じ、おおむね3月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、運営委員会など施設内の他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。感染対策担当者は看護師であることが望ましい。
また、施設外の感染管理等の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。
② 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針
当該施設における「感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、施設内の衛生管理(環境の整備、排泄物の処理、血液・体液の処理等)、日常のケアにかかる感染対策(標準的な予防策(例えば、血液・体液・分泌液・排泄物(便)などに触れるとき、傷や創傷皮膚に触れるときどのようにするかなどの取り決め)、手洗いの基本、早期発見のための日常の観察項目)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における施設関係課等の関係機関との連携、医療処置、行政への報告等が想定される。また、発生時における施設内の連絡体制や前記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。
③ 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修
介護職員その他の従業者に対する「感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該施設における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該施設が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず感染対策研修を実施することが重要である。また、調理や清掃などの業務を委託する場合には、委託を受けて行う者に対しても、施設の指針が周知されるようにする必要がある。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、施設内での研修で差し支えない。
④ 感染症の予防及びまん延の防止のための訓練
平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年2回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、施設内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
⑤ 施設は、入所予定者の感染症に関する事項も含めた健康状態を確認することが必要であるが、その結果感染症や既往であっても、一定の場合を除き、サービス提供を断る正当な理由には該当しないものである。こうした者が入所する場合には、感染対策担当者は、介護職員その他の従業者に対し、当該感染症に関する知識、対応等について周知することが必要である。
⑶ 業務委託
介護医療院において、次に掲げる業務を委託する場合は、入所定員の規模に応じ医療法施行規則に準じて行うこと。
① 検体検査の業務
② 医療機器及又は医学的処置の用に供する衣類その他の繊維製品の減菌又は消毒の業務
③ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第8項に規定する特定保守管理医療機器の保守点検の業務
④ 診療の用に供するガスの供給設備の保守点検の業務(高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)の規定により高圧ガスを製造又は消費する者が自ら行わなければならないものを除く。)
29 協力医療機関等
基準省令第34条は、介護医療院の入所者の病状の急変等に対応するための協力医療機関をあらかじめ定めておくこと、新興感染症の診療等を行う医療機関と新興感染症発生時等における対応を取り決めるよう努めること、歯科医療の確保の観点からあらかじめ協力歯科医療機関を定めておくよう努めること等を規定したものであること。
協力医療機関の選定に当たっては、必要に応じ、地域の関係団体の協力を得て行われるものとするほか、介護医療院から近距離にあることが望ましい。
⑴ 協力医療機関との連携(第1項)
介護医療院の入所者の病状の急変時等に、相談対応や診療を行う体制を常時確保した協力医療機関及び緊急時に原則入院できる体制を確保した協力病院を定めなければならない。その際、例えば同条第1項第1号及び第2号の要件を満たす医療機関と同条第1項第3号の要件を満たす医療機関を別に定めるなど、複数の医療機関を定めることにより要件を満たすこととしても差し支えない。
連携する医療機関は、在宅療養支援病院や在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟(200床未満)を持つ医療機関、在宅療養後方支援病院等の在宅医療を支援する地域の医療機関(以下、在宅療養支援病院等)と連携を行うことが想定される。なお、令和6年度診療報酬改定において新設される地域包括医療病棟を持つ医療機関は、前述の在宅療養支援病院等を除き、連携の対象として想定される医療機関には含まれないため留意すること。
また、第3号の要件については、必ずしも当該介護医療院の入所者が入院するための専用の病床を確保する場合でなくとも差し支えなく、一般的に当該地域で在宅療養を行う者を受け入れる体制が確保されていればよい。
なお、協力医療機関との連携に係る義務付けの適用に当たっては、令和6年改正省令附則第6条において、3年間の経過措置を設けており、令和9年3月31日までの間は、努力義務とされているが、経過措置期限を待たず、可及的速やかに連携体制を構築することが望ましい。
⑵ 協力医療機関との連携に係る届け出(第2項)
協力医療機関と実効性のある連携体制を確保する観点から、年に1回以上、協力医療機関と入所者の急変時等における対応を確認し、当該医療機関の名称や当該医療機関との取り決めの内容等を開設許可を行った都道府県知事、指定都市又は中核市の市長(以下「許可権者」という。)に届け出ることを義務づけたものである。届出については、別紙1によるものとする。協力医療機関の名称や契約内容の変更があった場合には、速やかに許可権者に届け出ること。同条第1項の規定の経過措置期間において、同条第1項第1号、第2号及び第3号の要件を満たす協力医療機関を確保できていない場合は、経過措置の期限内に確保するための計画を併せて届け出を行うこと。
⑶ 新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携(第3項)
介護医療院の入所者における新興感染症の発生時等に、感染者の診療等を迅速に対応できる体制を平時から構築しておくため、感染症法第6条第17項に規定する第二種協定指定医療機関である病院又は診療所との新興感染症発生時等における対応を取り決めるよう努めることとしたものである。
取り決めの内容としては、流行初期期間経過後(新興感染症の発生の公表後4か月程度から6カ月程度経過後)において、介護医療院の入所者が新興感染症に感染した場合に、相談、診療、入院の要否の判断、入院調整等を行うことが想定される。なお、第二種協定指定医療機関である薬局や訪問看護ステーションとの連携を行うことを妨げるものではない。
⑷ 協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合(第4項)
協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合には、第2項で定められた入所者の急変時等における対応の確認と合わせ、当該協力機関との間で、新興感染症の発生時等における対応について協議を行うことを義務付けるものである。協議の結果、当該協力医療機関との間で新興感染症の発生時等の対応の取り決めがなされない場合も考えられるが、協力医療機関のように日頃から連携のある第二種協定指定医療機関と取り決めを行うことが望ましい。
⑸ 医療機関に入院した入所者の退院後の受け入れ(第5項)
「速やかに入所させることができるよう努めなければならない」とは、必ずしも退院後に再入所を希望する入所者のために常にベッドを確保しておくということではなく、できる限り円滑に再入所できるよう努めなければならないということである。
30 掲示
⑴ 基準省令第35条第1項は、介護医療院は、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)等の入所申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を介護医療院の見やすい場所に掲示することを規定したものである。また、同条第3項は、介護医療院は、原則として、重要事項を当該介護医療院のウェブサイトに掲載することを規定したものであるが、ウェブサイトとは、法人のホームページ等又は介護サービス情報公表システムのことをいう。なお、介護医療院は、重要事項の掲示及びウェブサイトへの掲載を行うにあたり、次に掲げる点に留意する必要がある。
① 施設の見やすい場所とは、重要事項を伝えるべき介護サービスの入所申込者、入所者又はその家族に対して見やすい場所のことであること。
② 従業者の勤務の体制については、職種ごと、常勤・非常勤ごと等の人数を掲示する趣旨であり、従業者の氏名まで掲示することを求めるものではないこと。
③ 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第140条の44各号に掲げる基準に該当する介護医療院については、介護サービス情報制度における報告義務の対象ではないことから、基準省令第35条第3項の規定によるウェブサイトへの掲載は行うことが望ましいこと。なお、ウェブサイトへの掲載を行わない場合も、同条第1項の規定による掲示は行う必要があるが、これを同条第2項や基準省令第55条第1項の規定に基づく措置に代えることができること。
なお、厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等(平成12年厚生省告示第123号)二のハの⑵及び居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針(平成17年厚生労働省告示第419号)一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、この③に準ずるものとする。
⑵ 同条第2項は、重要事項を記載したファイル等を介護サービスの入所申込者、入所者又はその家族等が自由に閲覧可能な形で当該介護医療院内に備え付けることで同条第1項の掲示に代えることができることを規定したものである。
31 秘密保持等
⑴ 基準省令第36条第1項は、介護医療院の従業者に、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものであること。
⑵ 同条第2項は、介護医療院に対して、過去に当該介護医療院の従業者であった者が、その業務上知り得た入所者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、介護医療院は、当該介護医療院の従業者が、従業者でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者の雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めを置くなどの措置を講ずべきこととするものであること。
⑶ 同条第3項は、入所者の退所後の居宅における居宅介護支援計画の作成等に資するために、居宅介護支援事業者等に対して情報提供を行う場合には、あらかじめ、文書により入所者から同意を得る必要があることを規定したものであること。
32 居宅介護支援事業者に対する利益供与等の禁止
⑴ 基準省令第37条第1項は、居宅介護支援事業者による介護保険施設の紹介が公正中立に行われるよう、介護医療院は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、要介護被保険者に対して当該施設を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものであること。
⑵ 同条第2項は、入所者による退所後の居宅介護支援事業者の選択が公正中立に行われるよう、介護医療院は、居宅介護支援事業者又はその従業者から、当該施設からの退所者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものであること。
33 苦情処理
⑴ 基準省令第38条第1項にいう「必要な措置」とは、苦情を受け付けるための窓口を設置することのほか、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等、当該施設における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、これを入所者又はその家族にサービスの内容を説明する文書に記載するとともに、施設に掲示し、かつ、ウェブサイトに掲載すること等である。なお、ウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、第5の30の⑴に準ずるものとする。
⑵ 同条第2項は、苦情に対し介護医療院が組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(介護医療院が提供したサービスとは関係のないものを除く。)の受付日、内容等を記録することを義務づけたものである。
また、介護医療院は、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うべきである。
なお、基準省令第42条第2項の規定に基づき、苦情の内容等の記録は、2年間保存しなければならない。
⑶ 介護保険法上、苦情処理に関する業務を行うことが位置付けられている国民健康保険団体連合会のみならず、住民に最も身近な行政庁であり、かつ、保険者である市町村が、介護医療院サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村についても国民健康保険団体連合会と同様に、介護医療院に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを明確にしたものである。
34 地域との連携等
⑴ 基準省令第39条第1項は、介護医療院が地域に開かれたものとして運営されるよう、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流を図らなければならないこととしたものである。
⑵ 同条第2項は、基準省令第2条第3項の趣旨に基づき、介護サービス相談員を積極的に受け入れる等、市町村との密接な連携に努めることを規定したものである。
なお、「市町村が実施する事業」には、介護サービス相談員派遣事業のほか、広く市町村が老人クラブ、婦人会その他の非営利団体や住民の協力を得て行う事業が含まれるものである。
35 事故発生の防止及び発生時の対応
① 事故発生の防止のための指針
介護医療院が整備する「事故発生の防止のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
イ 施設における介護事故の防止に関する基本的考え方
ロ 介護事故の防止のための委員会その他施設内の組織に関する事項
ハ 介護事故の防止のための職員研修に関する基本方針
ニ 施設内で発生した介護事故、介護事故には至らなかったが介護事故が発生しそうになった場合(ヒヤリ・ハット事例)及び現状を放置しておくと介護事故に結びつく可能性が高いもの(以下「介護事故等」という。)の報告方法等の介護に係る安全の確保を目的とした改善のための方策に関する基本方針
ホ 介護事故等発生時の対応に関する基本方針
ヘ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
ト その他介護事故等の発生の防止の推進のために必要な基本方針
② 事実の報告及びその分析を通じた改善策の職員に対する周知徹底
介護医療院が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、介護事故等について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して職員の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
イ 介護事故等について報告するための様式を整備すること。
ロ 介護職員その他の職員は、介護事故等の発生又は発見ごとにその状況、背景等を記録するとともに、イの様式に従い、介護事故等について報告すること。
ハ ③の事故発生の防止のための委員会において、ロにより報告された事例を集計し、分析すること。
ニ 事例の分析に当たっては、介護事故等の発生時の状況等を分析し、介護事故等の発生原因、結果等をとりまとめ、防止策を検討すること。
ホ 報告された事例及び分析結果を職員に周知徹底すること。
ヘ 防止策を講じた後に、その効果について評価すること。
③ 事故発生の防止のための委員会
介護医療院における「事故発生の防止のための検討委員会」(以下「事故防止検討委員会」という。)は、介護事故発生の防止及び再発防止のための対策を検討する委員会であり、幅広い職種(例えば、当該施設の管理者、事務長、医師、看護職員、介護職員、生活相談員)により構成し、構成メンバーの責務及び役割分担を明確にすることが必要である。
事故防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、事故防止検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。事故防止検討委員会の責任者はケア全般の責任者であることが望ましい。
また、事故防止検討委員会に施設外の安全対策の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。
④ 事故発生の防止のための職員に対する研修
介護職員その他の職員に対する事故発生の防止のための研修の内容としては、事故発生防止の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、介護医療院における指針に基づき、安全管理の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、介護医療院が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず事故発生の防止の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修施設内での研修で差し支えない。
⑤ 事故発生防止等の措置を適切に実施するための担当者
介護医療院における事故発生を防止するための体制として、①から④までに掲げる措置を適切に実施するため、担当者を置くことが必要である。当該担当者としては、事故防止検討委員会の安全対策を担当する者と同一の従業者が務めることが望ましい。なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、入所者や施設の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※) 身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者
⑥ 損害賠償
介護医療院は、賠償すべき事態となった場合には、速やかに賠償しなければならない。そのため、損害賠償保険に加入しておくか又は賠償資力を有することが望ましい。
36 虐待の防止
基準省令第40条の2は虐待の防止に関する事項について規定したものである。虐待は、法の目的の1つである高齢者の尊厳の保持や、高齢者の人格の尊重に深刻な影響を及ぼす可能性が極めて高く、介護医療院は虐待の防止のために必要な措置を講じなければならない。虐待を未然に防止するための対策及び発生した場合の対応等については、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成17年法律第124号。以下「高齢者虐待防止法」という。)に規定されているところであり、その実効性を高め、入所者の尊厳の保持・人格の尊重が達成されるよう、次に掲げる観点から虐待の防止に関する措置を講じるものとする。
・ 虐待の未然防止
介護医療院は高齢者の尊厳保持・人格尊重に対する配慮を常に心がけながらサービス提供にあたる必要があり、第2条の基本方針に位置付けられているとおり、研修等を通じて、従業者にそれらに関する理解を促す必要がある。同様に、従業者が高齢者虐待防止法等に規定する養介護施設の従業者としての責務・適切な対応等を正しく理解していることも重要である。
・ 虐待等の早期発見
介護医療院の従業者は、虐待等を発見しやすい立場にあることから、虐待等を早期に発見できるよう、必要な措置(虐待等に対する相談体制、市町村の通報窓口の周知等)がとられていることが望ましい。また、入所者及びその家族からの虐待等に係る相談、入所者から市町村への虐待の届出について、適切な対応をすること。
・ 虐待等への迅速かつ適切な対応
虐待が発生した場合には、速やかに市町村の窓口に通報される必要があり、介護医療院は当該通報の手続が迅速かつ適切に行われ、市町村等が行う虐待等に対する調査等に協力するよう努めることとする。
以上の観点を踏まえ、虐待等の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するために次に掲げる事項を実施するものとする。
① 虐待の防止のための対策を検討する委員会(第1号)
「虐待の防止のための対策を検討する委員会」(以下「虐待防止検討委員会」という。)は、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討する委員会であり、管理者を含む幅広い職種で構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、定期的に開催することが必要である。また、施設外の虐待防止の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。
一方、虐待等の事案については、虐待等に係る諸般の事情が、複雑かつ機微なものであることが想定されるため、その性質上、一概に従業者に共有されるべき情報であるとは限られず、個別の状況に応じて慎重に対応することが重要である。
なお、虐待防止検討委員会は、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、施設に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
また、虐待防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
虐待防止検討委員会は、具体的には、次のような事項について検討することとする。その際、そこで得た結果(施設における虐待に対する体制、虐待等の再発防止策等)は、従業者に周知徹底を図る必要がある。
イ 虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関すること
ロ 虐待の防止のための指針の整備に関すること
ハ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること
ニ 虐待等について、従業者が相談・報告できる体制整備に関すること
ホ 従業者が虐待等を把握した場合に、市町村への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
ヘ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
ト 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること
② 虐待の防止のための指針(第2号)
介護医療院が整備する「虐待の防止のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
イ 施設における虐待の防止に関する基本的考え方
ロ 虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関する事項
ハ 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
ニ 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
ホ 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
ヘ 成年後見制度の利用支援に関する事項
ト 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
チ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
リ その他虐待の防止の推進のために必要な事項
③ 虐待の防止のための従業者に対する研修(第3号)
従業者に対する虐待の防止のための研修の内容としては、虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、当該介護医療院における指針に基づき、虐待の防止の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該介護医療院が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修(年2回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、施設内での研修で差し支えない。
④ 虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者(第4号)
介護医療院における虐待を防止するための体制として、①から③までに掲げる措置を適切に実施するため、担当者を置くことが必要である。当該担当者としては、虐待防止検討委員会の責任者と同一の従業者が務めることが望ましい。なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、入所者や施設の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※) 身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者
37 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催
介護医療院基準第40条の3は、介護現場の生産性向上の取組を促進する観点から、現場における課題を抽出及び分析した上で、事業所の状況に応じた必要な対応を検討し、利用者の尊厳や安全性を確保しながら事業所全体で継続的に業務改善に取り組む環境を整備するため、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置及び開催について規定したものである。なお、本条の適用に当たっては、令和6年改正省令附則第4条において、3年間の経過措置を設けており、令和9年3月31日までの間は、努力義務とされている。
本委員会は、生産性向上の取組を促進する観点から、管理者やケア等を行う職種を含む幅広い職種により構成することが望ましく、各事業所の状況に応じ、必要な構成メンバーを検討すること。なお、生産性向上の取組に関する外部の専門家を活用することも差し支えないものであること。
また、本委員会は、定期的に開催することが必要であるが、開催する頻度については、本委員会の開催が形骸化することがないよう留意した上で、各事業所の状況を踏まえ、適切な開催頻度を決めることが望ましい。
あわせて、本委員会の開催に当たっては、厚生労働省老健局高齢者支援課「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」等を参考に取組を進めることが望ましい。また、本委員会はテレビ電話装置等を活用して行うことができるものとし、この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、事務負担軽減の観点等から、本委員会は、他に事業運営に関する会議(事故発生の防止のための委員会等)を開催している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。本委員会は事業所毎に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、委員会の名称について、法令では「利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会」と規定されたところであるが、他方、従来から生産性向上の取組を進めている事業所においては、法令とは異なる名称の生産性向上の取組を進めるための委員会を設置し、開催している場合もあるところ、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策が適切に検討される限りにおいては、法令とは異なる委員会の名称を用いても差し支えない。
38 会計の区分
基準省令第41条は、介護医療院は、介護医療院サービスと他の介護給付等対象サービスとの経理を区分するとともに、介護保険の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものであるが、具体的な会計処理の方法等については、別に通知するところによるものであること。
39 記録の整備
基準省令第42条第2項は、介護医療院が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の入所者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、入所者の死亡、入所者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
また、介護医療院サービスの提供に関する記録には診療録が含まれるものであること(ただし、診療録については、医師法第24条第2項の規定により、5年間保存しなければならないものであること)。
 
第6 ユニット型介護医療院
1 第5章の趣旨(第43条
「ユニット型」の介護医療院は、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち、生活単位と介護単位とを一致させたケアであるユニットケアを行うことに特徴がある。
こうしたユニット型介護医療院のケアは、これまでの介護医療院のケアと大きく異なることから、その基本方針並びに施設、設備及び運営に関する基準については、第1章、第4章及び第5章ではなく、第6章に定めるところによるものである。なお、人員に関する基準については、第3章(基準省令第4条)に定めるところによるので、留意すること。
2 基本方針(第44条
基準省令第44条(基本方針)は、ユニット型介護医療院がユニットケアを行うものであることを規定したものである。
その具体的な内容に関しては、基準省令第47条以下に、サービスの取扱方針、看護及び医学的管理の下における介護、食事など、それぞれについて明らかにしている。
3 設備の基準(基準省令第45条
⑴ ユニットケアを行うためには、入居者の自律的な生活を保障する療養室(使い慣れた家具等を持ち込むことのできる個室)と、少人数の家庭的な雰囲気の中で生活できる共同生活室(居宅での居間に相当する部屋)が不可欠であることから、ユニット型介護医療院は、施設全体を、こうした療養室と共同生活室によって一体的に構成される場所(ユニット)を単位として構成し、運営しなければならない。
⑵ 入居者が、自室のあるユニットを超えて広がりのある日常生活を楽しむことができるよう、他のユニットの入居者と交流したり、多数の入居者が集まったりすることのできる場所を設けることが望ましい。
⑶ ユニット(第2項第1号)
ユニットは、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うというユニットケアの特徴を踏まえたものでなければならない。
⑷ 療養室(第1号イ)
① 前記⑴のとおりユニットケアには個室が不可欠なことから、療養室の定員は1人とする。ただし、夫婦で療養室を利用する場合などサービスの提供上必要と認められる場合は、2人部屋とすることができる。
② 療養室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設けなければならない。
この場合、「当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設け」られる療養室とは、次の3つをいう。
イ 当該共同生活室に隣接している療養室
ロ 当該共同生活室に隣接してはいないが、イの療養室と隣接している療養室
ハ その他当該共同生活室に近接して一体的に設けられている療養室(他の共同生活室のイ及びロに該当する療養室を除く。)
③ ユニットの入居定員
ユニット型介護医療院は、各ユニットにおいて入居者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するものであることから、1のユニットの入居定員は、おおむね10人以下とすることを原則とする。
ただし、各ユニットにおいて入居者が相互に社会的関係を築き、自律的な日常生活を営むことを支援するのに支障がないと認められる場合には、入居者の定員が15人までのユニットも認める。
④ 削除
⑤ 療養室の面積等
ユニット型介護医療院では、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うため、入居者は長年使い慣れた箪笥(たんす)などの家具を持ち込むことを想定しており、療養室は次のいずれかに分類される。
イ ユニット型個室
一の療養室の床面積は、10.65平方メートル以上(療養室内に洗面所が設けられているときはその面積を含み、療養室内に便所が設けられているときはその面積を除く。)とするとともに、身の回りの品を保管することができる設備は、必要に応じて備えれば足りることとしている。また、入居者へのサービス提供上必要と認められる場合に2人部屋とするときは21.3平方メートル以上とすること。
ロ ユニット型個室的多床室(経過措置)
令和3年4月1日に現に存するユニット型介護医療院(基本的な設備が完成しているものを含み、令和3年4月1日以降に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)において、ユニットに属さない療養室を改修してユニットが造られている場合であり、床面積が、10.65平方メートル以上(療養室内に洗面所が設けられているときはその面積を含み、療養室内に便所が設けられているときはその面積を除く。)であるもの。この場合にあっては、入居者同士の視線が遮断され、入居者のプライバシーが十分に確保されていれば、天井と壁との間に一定の隙間が生じていても差し支えない。
壁については、家具等のように可動のもので室内を区分しただけのものは認められず、可動でないものであって、プライバシーの確保のために適切な素材であることが必要である。
療養室であるためには、一定程度以上の大きさの窓が必要であることから、多床室を仕切って窓のない療養室を設けたとしても個室的多床室としては認められない。
また、療養室への入口が、複数の療養室で共同であったり、カーテンなどで仕切られているに過ぎないような場合には、十分なプライバシーが確保されているとはいえず、個室的多床室としては認められないものである。ここで、「標準とする」とは、10.65平方メートル以上(入院患者へのサービス提供上必要と認められる場合に2人部屋とするときは21.3平方メートル以上)とすることが原則であるが、平成17年10月1日に、当該介護医療院に転換する前の現に存する指定介護療養型医療施設(建築中のものを含む。)が同日において現に有しているユニット(同日以降に増築又は改築されたものを除く。)転換後の介護医療院において活用する場合にあっては、建物の構造や敷地上の制約など特別の事情によって当該面積を確保することが困難であると認められたときには、前記の趣旨を損なわない範囲で、10.65平方メートル未満(入院患者へのサービス提供上必要と認められる場合に2人部屋とするときは21.3平方メートル未満)であっても差し支えない。
なお、ユニットに属さない療養室を改修してユニットを造る場合に、療養室がイの要件を満たしていれば、ユニット型個室に分類される。
⑸ 共同生活室(第1号ロ)
① 共同生活室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの入居者が交流し、共同で日常生活を営むための場所としてふさわしい形状を有するものでなければならない。このためには、次の2つの要件を満たす必要がある。
イ 他のユニットの入居者が、当該共同生活室を通過することなく、施設内の他の場所に移動することができるようになっていること。
ロ 当該ユニットの入居者全員とその介護等を行う職員が一度に食事をしたり、談話等を楽しんだりすることが可能な備品を備えた上で、当該共同生活室内を車椅子が支障なく通行できる形状が確保されていること。
② 共同生活室の床面積
共同生活室の床面積について「標準とする」とされている趣旨は、2平方メートル以上とすることが原則であるが、建物の構造や敷地上の制約など特別の事情によって当該面積を確保することが困難であると認められたときには、基準省令第43条の趣旨を損なわない範囲で、2平方メートル未満であっても差し支えないとするものである。
③ 共同生活室には、介護を必要とする者が食事をしたり、談話等を楽しんだりするのに適したテーブル、椅子等の備品を備えなければならない。また、入居者が、その心身の状況に応じて家事を行うことができるようにする観点から、簡易な流し・調理設備を設けることが望ましい。
⑹ 洗面設備(第1号ハ)及び便所(第1号ニ)
洗面設備及び便所は、療養室ごとに設けることが望ましい。ただし、共同生活室ごとに適当数設けることとしても差し支えない。この場合にあっては、共同生活室内の1か所に集中して設けるのではなく、2か所以上に分散して設けることが望ましい。なお、療養室ごとに設ける方式と、共同生活室ごとに設ける方式とを混在させても差し支えない。
⑺ 浴室(第5号)
浴室は、療養室のある階ごとに設けることが望ましい。
⑻ 廊下(第4項第6号)
ユニット型介護医療院にあっては、多数の入居者や職員が日常的に一度に移動することはないことから、廊下の幅の一律の規制を緩和する。
ここでいう「廊下の一部の幅を拡張することにより、入居者、職員等の円滑な往来に支障が生じないと認められる場合」とは、アルコーブを設けることなどにより、入居者、職員等がすれ違う際にも支障が生じない場合を想定している。
このほか、ユニット型介護医療院の廊下については、第4の3の(5)を準用する。
⑼ ユニット型介護医療院の設備については、前記の(1)から(8)までによるほか、第4の規定(2の(1)の②のリを除く。)を準用する。この場合において、第4の2の(1)の①中「基準省令第5条第1項各号」とあるのは「基準省令第45条第1項各号」と、第4の2の(1)の①のイ中「機能訓練室、談話室、食堂、レクリエーション・ルーム等」とあるのは「機能訓練室、共同生活室等」と、(1)の①のロ中「談話室とレクリエーション・ルームの兼用並びに洗面所と便所、洗濯室と汚物処理室」とあるのは「洗面所と便所、洗濯室と汚物処理室」と、第4の2の(1)の②のヌ中「療養室、談話室、食堂、調理室」とあるのは「療養室、共同生活室及び調理室」と、第4の3の(1)中「療養室、談話室、食堂、浴室、レクリエーション・ルーム、便所等」とあるのは「共同生活室、浴室及び便所等」と読み替えるものとする。
4 利用料等の受領(基準省令第46条
第5の8は、ユニット型介護医療院について準用する。この場合において第5の8の(1)及び(4)中「基準省令第14条」とあるのは「基準省令第46条」と読み替えるものとする。
5 介護医療院サービスの取扱方針(基準省令第47条
⑴ 基準省令第47条第1項は、第44条第1項の基本方針を受けて、入居者へのサービスの提供は、入居者が自律的な日常生活を営むことができるよう支援するものとして行われなければならないことを規定したものである。
入居者へのサービスの提供に当たっては、入居前の居宅における生活と入居後の生活が連続したものとなるよう配慮することが必要であり、このため職員は、1人1人の入居者について、個性、心身の状況、入居に至るまでの生活歴とその中で培われてきた生活様式や生活習慣を具体的に把握した上で、その日常生活上の活動を適切に援助しなければならない。
なお、こうしたことから明らかなように、入居者の意向に関わりなく集団で行うゲームや、日常生活動作にない動作を通じた機能訓練など、家庭の中では通常行われないことを行うのは、サービスとして適当でない。
⑵ 基準省令第47条第2項は、第44条第1項の基本方針を受けて、入居者へのサービスの提供は、入居者がユニットにおいて相互に社会的関係を築くことができるよう、それぞれ役割を持って生活を営めるように配慮して行われなければならないことを規定したものである。
このため職員は、入居者相互の信頼関係が醸成されるよう配慮することが必要であるが、同時に、入居者が他の入居者の生活に過度に干渉し、自律的な生活を損なうことのないようにすることにも配慮が必要である。
⑶ 同条第6項及び第7項は、当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、基準省令第54条において準用する基準省令第42条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
⑷ 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(第8項第1号)
同条第8項第1号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、介護職員、生活相談員)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、身体的拘束等の適正化対応策を担当する者を決めておくことが必要である。
なお、同一事業所内での複数担当(※)の兼務や他の事業所・施設等との担当(※)の兼務については、担当者としての職務に支障がなければ差し支えない。ただし、日常的に兼務先の各事業所内の業務に従事しており、入所者や施設の状況を適切に把握している者など、各担当者としての職務を遂行する上で支障がないと考えられる者を選任すること。
(※) 身体的拘束等適正化担当者、褥瘡予防対策担当者(看護師が望ましい。)、感染対策担当者(看護師が望ましい。)、事故の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者、虐待の発生又はその再発を防止するための措置を適切に実施するための担当者
なお、身体的拘束等適正化検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。身体的拘束適正化検討委員会の責任者はケア全般の責任者であることが望ましい。また、身体的拘束等適正化検討委員会には、第三者や専門家を活用することが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等が考えられる。
また、身体的拘束等適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
ユニット型介護医療院が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
具体的には、次のようなことを想定している。
① 身体的拘束等について報告するための様式を整備すること。
② 介護職員その他の従業者は、身体的拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、①の様式に従い、身体的拘束等について報告すること。
③ 身体的拘束等適正化検討委員会において、②により報告された事例を集計し、分析すること。
④ 事例の分析に当たっては、身体的拘束等の発生時の状況等を分析し、身体的拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
⑤ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
⑥ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。
⑸ 身体的拘束等の適正化のための指針(第8項第2号)
ユニット型介護医療院が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
① 施設における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
② 身体的拘束等適正化検討委員会その他施設内の組織に関する事項
③ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
④ 施設内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
⑤ 身体的拘束等発生時の対応に関する基本方針
⑥ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
⑦ その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
⑹ 身体的拘束等の適正化のための従業者に対する研修(第8項第3号)
介護職員その他の従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修の内容としては、身体的拘束等の適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該ユニット型介護医療院における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該ユニット型介護医療院が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修施設内での研修で差し支えない。
6 看護及び医学的管理の下における介護(基準省令第48条
⑴ 基準省令第48条第1項は、看護及び医学的管理の下における介護が、第47条第1項及び第2項のサービスの取扱方針を受けた適切な技術をもって行われなければならないことを規定したものである。
自律的な日常生活を営むことを支援するという点では、入居者の日常生活上の活動への援助が過剰なものとなることのないよう留意する必要がある。
また、入居者が相互に社会的関係を築くことを支援するという点では、単に入居者が家事の中で役割を持つことを支援するにとどまらず、例えば、入居者相互の間で、頼り、頼られるといった精神的な面での役割が生まれることを支援することにも留意する必要がある。
⑵ 基準省令第48条第2項の「日常生活における家事」には、食事の簡単な下準備や配膳、後片付け、清掃やゴミ出しなど、多様なものが考えられる。
⑶ 基準省令第48条第3項は、入浴が、単に身体の清潔を維持するだけでなく、入居者が精神的に快適な生活を営む上でも重要なものであることから、こうした観点に照らして「適切な方法により」これを行うこととするとともに、同様の観点から、一律の入浴回数を設けるのではなく、個浴の実施など入居者の意向に応じることができるだけの入浴機会を設けなければならないことを規定したものである。
⑷ ユニット型介護医療院における看護及び医学的管理の下における介護については、前記の⑴から⑶までによるほか、第5の15の(1)から(3)までを準用する。
7 食事(基準省令第49条
⑴ 基準省令第49条第3項は、基準省令第47条第1項の介護医療院サービスの取扱方針を受けて、食事は、入居者の生活習慣を尊重した適切な時間に提供しなければならないこと、また、施設側の都合で急かしたりすることなく、入居者が自分のペースで食事を摂ることができるよう十分な時間を確保しなければならないことを規定したものである。
⑵ 基準省令第49条第4項は、基準省令第44条第1項の基本方針を受けて、入居者の意思を尊重し、また、その心身の状況に配慮した上で、できる限り離床し、共同生活室で食事を摂ることができるよう支援しなければならないことを規定したものである。
その際、共同生活室で食事を摂るよう強制することはあってはならないので、十分留意する必要がある。
⑶ ユニット型介護医療院における食事については、前記の⑴及び⑵によるほか、第5の16の(1)から(7)までを準用する。
8 その他のサービスの提供等(基準省令第50条
⑴ 基準省令第50条第1項は、基準省令第44条第1項のサービスの取扱方針を受けて、入居者1人1人の嗜好(しこう)を把握した上で、それに応じた趣味、教養又は娯楽に係る活動の機会を提供するとともに、同好会やクラブ活動などを含め、入居者が自律的に行うこれらの活動を支援しなければならないことを規定したものである。
⑵ ユニット型介護医療院の療養室は、家族や友人が来訪・宿泊して入居者と交流するのに適した個室であることから、これらの者ができる限り気軽に来訪・宿泊することができるよう配慮しなければならない。
9 運営規程(基準省令第51条
⑴ 入居者に対する介護医療院サービスの内容及び利用料その他の費用の額、入居者へのサービスの提供の内容及び費用の額(第5号)
「介護医療院サービスの内容」は、入居者が、自らの生活様式や生活習慣に沿って自律的な日常生活を営むことができるように、1日の生活の流れの中で行われる支援の内容を指すものであること。
また、「利用料その他の費用の額」は、基準省令第42条第3項により支払を受けることが認められている費用の額を指すものであること。
⑵ 第5の21の⑴から⑷までは、ユニット型介護医療院について準用する。
10 勤務体制の確保等(基準省令第52条
⑴ 基準省令第52条第2項は、基準省令第47条第1項の介護医療院サービスの取扱方針を受けて、従業者の勤務体制を定めるに当たっては、継続性を重視したサービスの提供に配慮しなければならないことを規定したものである。これは、従業者が、1人1人の入居者について、個性、心身の状況、生活歴などを具体的に把握した上で、その日常生活上の活動を適切に援助するためには、いわゆる「馴染みの関係」が求められることによるものである。
⑵ ユニット型介護医療院において配置を義務付けることとしたユニットごとの常勤のユニットリーダーについては、当面は、ユニットケアリーダー研修を受講した職員(以下「研修受講者」という。)を各施設に2名以上配置する(ただし、2ユニット以下の施設の場合には、1名でよいこととする。)ほか、研修受講者が配置されているユニット以外のユニットでは、ユニットにおけるケアに責任を持つ(研修受講者でなくても構わない。)職員を決めてもらうことで足りるものとする。
この場合、研修受講者は、研修で得た知識等をリーダー研修を受講していないユニットの責任者に伝達するなど、当該施設におけるユニットケアの質の向上の中核となることが求められる。
また、ユニットリーダーについて必要とされる研修受講者の数には、当面は、ユニットリーダー以外の研修受講者であって、研修を受講していないユニットリーダーに対して研修で得た知識等を伝達するとともに、ユニットケアに関して指導及び助言を行うことができる者を含めて差し支えない。
ユニット型介護医療院(以下⑵において「ユニット型施設」という。)とユニット型の指定短期入所生活介護事業所(以下⑵において「ユニット型事業所」という。)が併設されている場合には、研修受講者をそれぞれに2名以上配置する必要はなく、ユニット型施設及び併設するユニット型事業所を一体のものとみなして、合計2名以上の研修受講者が配置されていればよいこととする(ただし、ユニット型施設及び併設するユニット型事業所のユニット数の合計が2ユニット以下のときには、1名でよいこととする。)。
また、今後の研修受講者の状況等を踏まえた上で、配置基準を再検討する予定であるので、この当面の基準にかかわらず、多くの職員について研修を受講していただくよう配慮をお願いしたい。
⑶ 令和3年4月1日以降に、入居定員が10を超えるユニットを整備する場合においては、令和3年改正省令附則第6条の経過措置に従い、夜勤時間帯(午後10時から翌日の午前5時までを含めた連続する16時間をいい、原則として施設ごとに設定するものとする。以下同じ。)を含めた介護職員及び看護職員の配置の実態を勘案し、次のとおり職員を配置するよう努めるものとする。
① 日勤時間帯の介護職員及び看護職員の配置
ユニットごとに常時1人の配置に加えて、当該ユニットにおいて日勤時間帯(夜勤時間帯に含まれない連続する8時間をいい、原則として施設ごとに設定するものとする。以下同じ。)に勤務する別の従業者の1日の勤務時間数の合計を8で除して得た数が、入居者の数が10を超えて1を増すごとに0.1以上となるように介護職員又は看護職員を配置するよう努めること。
② 夜勤時間帯の介護職員及び看護職員の配置
2ユニットごとに1人の配置に加えて、当該2ユニットにおいて夜勤時間帯に勤務する別の従業者の1日の勤務時間数の合計を16で除して得た数が、入居者の合計数が20を超えて2又はその端数を増すごとに0.1以上となるように介護職員又は看護職員を配置するよう努めること。
なお、基準省令第52条第2項第1号及び第2号に規定する職員配置に加えて介護職員又は看護職員を配置することを努める時間については、日勤時間帯又は夜勤時間帯に属していればいずれの時間でも構わず、連続する時間である必要はない。当該ユニットにおいて行われるケアの内容、入居者の状態等に応じて最も配置が必要である時間に充てるよう努めること。
⑷ ユニット型介護医療院における勤務体制の確保等については、前記の⑴及び⑵によるほか、第4の23を準用する。この場合において、第4の23中「第26条」とあるのは「第48条」と、同(3)中「同条第2項」とあるのは「同条第3項」と、同(4)中「同条第3項」とあるのは「同条第4項」と読み替えるものとする。
11 準用等
基準省令第2条第5項の規定については、第5の1を参照されたい。また、基準省令第54条の規定により、第7条から第13条まで、第15条第17条から第20条の3まで、第23条第25条から第28条まで、第30条の2及び第32条から第42条までの規定は、ユニット型介護医療院について準用されるものであるため、第5の2から8まで、10、12から17まで及び20から39までを参照すること。
なお、厚生労働大臣の定める利用者等が選定する特別な居室等の提供に係る基準等二のハの⑵及び居住、滞在及び宿泊並びに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、準用される基準省令第35条に関する第5の30の⑴に準ずるものとする。
第7 雑則
1 電磁的記録について
基準省令第55条第1項は、介護医療院及び介護医療院サービスの提供に当たる者(以下「施設等」という。)の書面の保存等に係る負担の軽減を図るため、施設等は、この省令で規定する書面(被保険者証に関するものを除く。)の作成、保存等を次に掲げる電磁的記録により行うことができることとしたものである。
⑴ 電磁的記録による作成は、施設等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法または磁気ディスク等をもって調製する方法によること。
⑵ 電磁的記録による保存は、以下のいずれかの方法によること。
① 作成された電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
② 書面に記載されている事項をスキャナ等により読み取ってできた電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
⑶ その他、基準省令第55条第1項において電磁的記録により行うことができるとされているものは、⑴及び⑵に準じた方法によること。
⑷ また、電磁的記録により行う場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱のためのガイダンス」及び厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
2 電磁的方法について
基準省令第55条第2項は、入所者及びその家族等(以下「入所者等」という。)の利便性向上並びに施設等の業務負担軽減等の観点から、施設等は、書面で行うことが規定されている又は想定される交付等(交付、説明、同意、承諾、締結その他これに類するものをいう。)について、事前に入所者等の承諾を得た上で、次に掲げる電磁的方法によることができることとしたものである。
⑴ 電磁的方法による交付は、基準省令第7条第2項から第6項までの規定に準じた方法によること。
⑵ 電磁的方法による同意は、例えば電子メールにより入所者等が同意の意思表示をした場合等が考えられること。なお、「押印についてのQ&A(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にすること。
⑶ 電磁的方法による締結は、入所者等・施設等の間の契約関係を明確にする観点から、書面における署名又は記名・押印に代えて、電子署名を活用することが望ましいこと。なお、「押印についてのQ&A(令和2年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にすること。
⑷ その他、基準省令第55条第2項において電磁的方法によることができるとされているものは、⑴から⑶までに準じた方法によること。ただし、基準省令又はこの通知の規定により電磁的方法の定めがあるものについては、当該定めに従うこと。
⑸ また、電磁的方法による場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱のためのガイダンス」及び厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
 


 
ページトップへ