公益社団法人 全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム  全老健介護保険制度情報サービス

[表示中の法令・QA等]
「新型コロナウイルス感染症の軽度者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」等の周知について
事務連絡

「新型コロナウイルス感染症の軽度者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」等の周知について (事務連絡)

発出日:令和2年4月3日
更新日:令和2年4月3日
事 務 連 絡
令和2年4月3日
 
 
  都道府県
各 指定都市 民生主管部(局) 御中
  中 核 市
 
 
厚生労働省健康局結核感染症課
厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課
厚生労働省子ども家庭局母子保健課
厚生労働省社会・援護局保護課
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室
厚生労働省老健局高齢者支援課
厚生労働省老健局振興課
厚生労働省老健局老人保健課
 
 
「新型コロナウイルス感染症の軽度者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象
並びに自治体における対応に向けた準備について」等の周知について
 
 
社会福祉施設等における新型コロナウイルス感染症への対応については、「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について」(令和2年3月6日付厚生労働省健康局結核感染症課ほか連名事務連絡)等においてお示ししてきたところです。
今般、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」(令和2年4月2日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)において、医療提供体制(入院医療提供体制)の対策の移行が行われた際の軽症者等(高齢者や基礎疾患を有する者など以外の方で、症状がない又は医学的に症状が軽い方)の宿泊や自宅での療養の対象者等について取りまとめました。
別紙内容についてご了知いただき、管内の社会福祉施設等に対して周知をお願いするとともに、都道府県におかれましては、管内市町村(特別区を含む。)に対する周知をお願いいたします。
 
なお、以下の点にご留意ください。
○ 以下の者については、必ずしも入院勧告の対象とならず、都道府県が用意する宿泊施設等での安静・療養を行うことができる。
・無症状病原体保有者及び軽症患者(軽症者等)で、感染防止にかかる留意点が遵守できる者であって、
・原則①から④までのいずれにも該当せず、帰国者・接触者外来又は現在入院中の医療機関の医師が、症状や病床の状況等から必ずしも入院が必要な状態ではないと判断した者※
① 高齢者
② 基礎疾患がある者(糖尿病、心疾患又は呼吸器疾患を有する者、透析加療中の者等)
③ 免疫抑制状態である者(免疫抑制剤や抗がん剤を用いている者)
④ 妊娠している者
※ 発熱、呼吸器症状、呼吸数、胸部レントゲン、酸素飽和度SpO2等の症状や診察、検査所見等を踏まえ、医師が総合的に判断する。
○ 軽症者等である本人が重症化するおそれが高い者(上記①から④までに該当する者をいう。)(以下「高齢者等」という。)に該当しない場合であっても、当該軽症者等と同居している者の中に高齢者等がいることが確認された場合には、利用可能な入院病床数の状況を踏まえて入院が可能なときは、入院措置を行うものとする。
 
○ 上記の対応を進めてもなお、地域における入院を要する患者の増大により、入院治療が必要な者や重症化するおそれが高い者に対する入院医療の提供に支障をきたすと判断される場合には、次の対応を行うこととする。
➢ 宿泊での療養
・都道府県が用意する宿泊施設での安静・療養を行う。
・その際、地域における軽症者等の人数を踏まえ、宿泊施設の受入可能人数を超えることが想定される場合等は、以下の①及び②の者について、優先的に宿泊施設を確保すること。
① 高齢者等と同居している軽症者等
② 医療従事者や福祉・介護職員など、その業務において、高齢者等と接触する者(以下「医療従事者等」という。)と同居している軽症者等
 
(別紙1)
・ 「地域で新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合の各対策(サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制)の移行について」(令和2年3月1日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)
 
(別紙2)
・ 「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」(令和2年4月2日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)
 
(別紙3)
・ 「「新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル」の送付について」(令和2年4月2日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)
 
(別紙4)
・ 「新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について」(令和2年4月2日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)
 
(参考資料)
・ 宿泊療養・自宅療養の概要等(「軽症者等の療養に関する対象者等の基本的考え方について」等)
 
 
(問合せ先)
<児童養護施設等に関するお問い合わせ>
○ 厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課
TEL:03−5253−1111(内線4868)
○ 厚生労働省子ども家庭局母子保健課
TEL:03−5253−1111(内線4976、4977)
 
<保護施設に関するお問い合わせ>
○ 厚生労働省社会・援護局保護課
TEL:03−5253−1111(内線2824)
 
<障害福祉サービス事業所等に関するお問い合わせ>
○ 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
TEL:03−5253−1111(内線3148)
 
<介護保険サービスに関するお問い合わせ>
○ 厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室
TEL:03−5253−1111(内線3975、3973)
○ 厚生労働省老健局高齢者支援課
TEL:03−5253−1111(内線3929、3971)
○ 厚生労働省老健局振興課
TEL:03−5253−1111(内線3937、3979)
○ 厚生労働省老健局老人保健課
TEL:03−5253−1111(内線3948、3949)
 
 

 
 
令和2年3月1日
 
 
各 
 
都 道 府 県
保健所設置市
特 別 区
 
 衛生主管部(局) 御中
 
 
厚生労働省新型コロナウイルス感染症
対策推進本部
 
 
地域で新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合の各対策
(サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制)の移行について
 
 
2月25日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部で「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」が決定された。
その中で、地域の新型コロナウイルス感染症の患者の発生状況に応じた各対策の概要を提示した上で、その対策の移行に当たっての考え方を含め、おって通知等で詳細に提示していくこととしたところである。
既に、新型コロナウイルス感染症の患者が発生している地域においては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)に基づく医師の届出や積極的疫学調査、入院措置等に御協力いただくとともに、北海道等では、同方針で示された患者クラスター(集団)に対する感染拡大防止策を実施するなど、新型コロナウイルス感染症対策に率先して取り組んでいただいてきた。
一方で、今後、各地域で散発的、継続的に新型コロナウイルス感染症の患者が発生していくことも想定し、本事務連絡で、今後の状況の進展に応じて段階的に講じていくべき各対策(サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制)の詳細と、対策の移行に当たっての判断の考え方をお示しし、地域の実情に応じた最適な対策を柔軟に講ずることができるようにするものである。
現時点で、現行の取組から対策を移行させる必要のない地域においても、本事務連絡を参考に患者の増加に備え、事前に今後に向けた準備を進めていただきたい。
なお、各都道府県においては、下記3.及び4.に基づき、医療の役割分担のため、各対応を行う医療機関を設定した場合には、厚生労働省に調査報告を求める予定であることを申し添える。
 
1.基本的な考え方
○ 新型コロナウイルス感染症の患者の発生状況は、地域により様々である。このため、サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制の3点について、
・ 今後、状況の進展に応じて段階的に講じていくべき対策を示すとともに、
・ その移行の判断に当たっての考え方、それぞれの対策を適用する地域の範囲
等をお示しするものである。
○ 各都道府県では、地域の患者の発生状況や医療資源の分布等も踏まえ、本事務連絡で示す移行に当たっての判断の考え方を考慮し、地域の実情に応じた柔軟な対策を講じていくこととする。
○ なお、2.以降に示す対策は、新型コロナウイルス感染症の患者の増加に伴う一方向的なものではなく、例えば、地域で患者が確認された早期の段階で、患者クラスターに対する感染拡大防止策が奏功して、いったん地域の感染者の発生が抑制された場合など、移行した対策を元の段階に戻すこともあり得る点、留意が必要である。
 
2.サーベイランス/感染拡大防止策
(1)現行の取組
○ 現行、感染症法第12条の規定に基づく医師の届出により、疑似症患者を把握。医師が診断上必要と認める場合にPCR検査を実施し、患者を把握している。
○ 患者が確認された場合には、感染症法第15条の規定に基づき、積極的疫学調査を実施し、濃厚接触者を把握。濃厚接触者に対しては、感染症法に基づく健康観察や外出自粛等により感染拡大防止を図っている。
○ あわせて、北海道等については、積極的疫学調査によって患者クラスターを確認し、その患者クラスターが次の患者クラスターを生み出していくことを防止する感染拡大防止策を講じている。
(2)状況の進展に応じて講じていくべき施策
○ 地域で新型コロナウイルス感染症の疑い患者が増加し、全件PCR等病原体検査を実施すると重症者に対する検査に支障が出るおそれがあると判断される場合においては、PCR等検査は、重症化防止の観点から、入院を要する肺炎患者等の診断・治療に必要な検査を優先する。感染症法第12条に基づく医師の届出は、現行と同様としつつ、積極的疫学調査による患者クラスターの把握等については、地域の感染状況に応じて、厚生労働省や専門家等と相談の上、優先順位をつけて実施する。
保健所設置市又は特別区が、このような対応をとる場合には、地域の医療提供体制の検討のため、都道府県に情報を共有するものとする。
 
3.医療提供体制(外来診療体制)
(1)現行の取組
○ 新型コロナウイルスへの感染が疑われる方に、診療体制等の整った医療機関を適切・確実に受診していただくため、帰国者・接触者相談センター及び帰国者・接触者外来を設置。
○ 受診調整を行うため、感染を疑う方に事前に帰国者・接触者相談センターに電話連絡をするよう呼びかけ。連絡を受けた同センターは、新型コロナウイルスへの感染の可能性を確認しつつ、帰国者・接触者外来へつなげている。
(2)状況の進展に応じて講じていくべき施策
<外来診療体制>
○ 地域での感染拡大により、既存の帰国者・接触者外来(又は①の対応で増設した帰国者・接触者外来)で受け入れる患者数が増大し、患者への医療提供に支障をきたすと判断される場合には、次のような状況に応じた体制整備を行う。
① 地域の感染状況や医療需要に応じて帰国者・接触者外来を増設し、帰国者・接触者相談センターの体制を強化した上で、今の枠組みのまま、外来を早急に受診できる体制とする。その際、同センターは柔軟に帰国者・接触者外来へ患者をつなげる。
② 原則として、一般の医療機関において、必要な感染予防策(参考参照)を講じた上で外来診療を行うこととする。新型コロナウイルスへの感染を疑う方は、受診する医療機関に事前に電話連絡を行うよう周知し、電話を受けた医療機関は、受診時刻や入口等の調整(時間的・空間的な感染予防策)を行った上で、患者の受入れを行う。
必要に応じて、新型コロナウイルス感染症が疑われる方の外来診療を原則として行わないこととする医療機関(例えば、重症化しやすい方が来院するがんセンター、透析医療機関及び産科医療機関等、重症者を多数受け入れる見込みのある感染症指定医療機関等、地域の実情に鑑みて医療機能を維持する必要のある医療機関等)を設定するとともに、新型コロナウイルスへの感染を疑う方が受診しないように周知を行う。
夜間・休日の外来診療体制については、救急外来を設置していない医療機関に対しても診療時間の延長や、夜間外来を輪番制で行うことを求めるなど、地域の医療機関や医師会等との連携を図る。
(参考)新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年2月21日国立感染症研究所、国立国際医療研究センター国際感染症センター)
<院内感染対策の徹底>
○ ②の施策を講じた場合、一般の医療機関においても新型コロナウイルスに感染した患者が受診することから、より一層、院内感染対策を徹底するよう指導する。
○ 医療従事者は標準予防策に加えて、飛沫・接触感染予防策を徹底し、また、全ての外来患者に対して受診前後の手指衛生を心がけ、咳などの症状のある患者はマスクを着用してから受診するよう案内し、医療機関においても患者への手指衛生の啓発・支援や患者・医療従事者の触れる箇所や物品の消毒等に努める。
さらに、医療機関は、新型コロナウイルス感染症が疑われる方が受診する際には、あらかじめ受診時間を伝える等により他の患者との受診時間をずらす、又は待合室を別にするなど時間的・空間的に他の患者と分離するなどして十分な感染予防策を講ずる。
<慢性疾患等を有する定期受診患者等に係る電話等を用いた処方等>
○ 医療機関において新型コロナウイルスの感染が拡大することを防止する観点から、慢性疾患等を有する定期受診患者等が継続的な医療・投薬を必要とする場合に、電話や情報通信機器を用いた診療によりファクシミリ等による処方箋情報の送付等の対応が必要なケースについて、あらかじめ、その取扱いに関する留意点を示しているので、適切な運用が行われるよう医療機関、薬局等に引き続き周知を行う。
<地域住民等への呼びかけ>
○ 地域住民に対し、
・ 高齢者や基礎疾患を有する方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方、妊産婦は、新型コロナウイルスに感染すると重症化するおそれがあるため、特に留意して、適切な時期に医療機関を受診すること、
・ 一方で、重症化しやすい方以外の方であれば、新型コロナウイルスに感染しても症状が軽いことが多いため、通常の風邪と症状が変わらない場合は、必ずしも医療機関を受診する必要はないこと、
・ ①の施策を講じた場合、感染への不安から、帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医への相談なしに、医療機関を受診すると、かえって感染のリスクを高めることになること、
・ ②の施策を講じた場合でも、新型コロナウイルスへの感染を疑う方は、受診する医療機関に事前に電話連絡を行い、電話を受けた医療機関は、受診時刻や入口等の調整を行うこと、
・ 自宅療養している方は、状態が変化した場合には、帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医に相談するなどして医療機関を受診すること、
・ 新型コロナウイルス感染症が疑われる患者の外来診療を原則として行わないこととする医療機関を設定した場合には、感染を疑う方はその医療機関へ来院せず、外来診療を行うこととしている医療機関を受診すること
・ 外来診療体制を確保するため、救急外来時間帯等における緊急以外の外来受診を控えることや、電話相談窓口を活用すること、
を呼びかける。また、季節性インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等が治癒していることの証明等を求めて、症状がない又は症状が軽微であるにも関わらず医療機関を受診することのないよう、学校や事業者、保険者等を通じて周知を行う。
<電話相談体制の変更>
○ ②の施策を講じた場合、感染を疑う方は、医療機関を受診するにあたって帰国者・接触者相談センターを介することなく、直接、一般の医療機関へ外来受診することができるため、帰国者・接触者相談センターは、新型コロナウイルス感染を疑う方からの相談対応、医療機関の紹介、自宅療養している患者への相談対応等、電話による情報提供を行う。
○ また、新型コロナウイルス感染症の患者数の急速な増加に併せて、帰国者・接触者相談センターや一般電話相談窓口において、医療機関の受診状況や地域住民が必要としている情報等に応じて電話相談体制の拡充(時間の延長、電話回線の増設等)が必要となる。
 
4.医療提供体制(入院医療提供体制)
(1)現行の取組
○ 感染症法第12条に基づき医師から届出があった新型コロナウイルス感染症の疑似症患者等については、感染症法第19条に基づき感染症指定医療機関等への入院措置を実施。
(2)状況の進展に応じて講じていくべき施策
<入院医療体制>
○ 地域での感染拡大により、入院を要する患者が増大し、重症者や重症化するおそれが高い者に対する入院医療の提供に支障をきたすと判断される場合、次のような体制整備を図る。
① 感染症指定医療機関に限らず、一般の医療機関においても、一般病床も含め、一定の感染予防策を講じた上で、必要な病床を確保する。感染症病床以外の病床へ入院させる際の感染予防対策としては、個室又は新型コロナウイルス感染症の診断が確定している患者においては同一の病室へ入院させること、入院患者が使用するトイレはポータブルトイレ等を使用すること等により、他の患者等と空間的な分離を行うこととする。
② 高齢者や基礎疾患を有する方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方、妊産婦以外の者で、症状がない又は医学的に症状が軽い方には、PCR等検査陽性であっても、自宅での安静・療養を原則とする。このとき、自宅療養中に状態が変化した場合には、必ず帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医に連絡するよう患者に伝えるなど、重症化に備えた連絡体制を徹底する。
なお、自宅療養中の家族内感染を防止する趣旨から、家庭での感染対策について周知する(参考参照)とともに、家族構成(高齢者や基礎疾患を有する者等と同居しているか)等を確認した上で、高齢者や基礎疾患を有する者等への家族内感染のおそれがある場合には、入院措置を行うものとする。
(参考)新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(2020年2月28日。一般社団法人日本環境感染学会HP)
<病床の状況の収集、把握等>
○ 各都道府県は、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れられる医療機関及び病床の状況等の情報の収集・把握を定期的に行うとともに、都道府県域や医療圏を越えて広域搬送の調整を行うため、国に対してもその情報を提供する。
<重症者のための病床の確保>
○ 重症者の受入体制を構築するにあたって、管下の医療機関における人工呼吸器等の保有・稼働状況や病床の稼働率等の情報の収集・把握を行っているため、その情報を踏まえて、集中治療を要する重症者を優先的に受け入れる医療機関を設定する。
○ そうした医療機関においては、感染が更に拡大した場合には、必要に応じて医師の判断により延期が可能と考えられる予定手術及び予定入院の延期も検討する。
○ 都道府県を中心に、管下の市区町村、地域の医療機関や消防機関等の関係者間において、新型コロナウイルス感染症の重症患者が発生した場合の搬送体制を早急に協議の上、合意する。その際、民間救急サービスへの協力依頼や自衛隊への協力要請を行うことも検討する。特に、全身管理が必要な重症患者等が増加した場合についても想定し、診療を行う集中治療室等の集約化などの対応策を協議する。
また、新型コロナウイルス重症患者を県域や医療圏を越えて搬送する場合の調整担当者や広域の搬送・受入ルールを隣県の関係者等の間で定めるよう調整を開始する。
<糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方、透析患者及び妊産婦等のための病床の確保>
○ 糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方、透析患者及び妊産婦等については、新型コロナウイルスに感染した場合には、専門性を有する集中治療が必要となる可能性が高くなる。このため、地域において、基礎疾患がある方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方、透析患者及び妊産婦等の専門治療を実施でき、かつ、新型コロナウイルス感染症患者の受入れも可能である医療機関を早急に設定し、そういった患者が発生した場合には当該患者が速やかに受け入れられるよう、当該医療機関と必要な調整を行った上で、搬送体制の整備及び病床の確保を行うとともに、ほかの医療機関への周知を行う。
 
5.新型コロナウイルス感染症対策を協議する協議会の設置
2.から4.までに記載の「状況の進展に応じて講じていくべき施策」等の新型コロナウイルス感染症対策について協議するため、都道府県を単位として、市区町村、都道府県医師会、都道府県薬剤師会、都道府県看護協会、その地域の中核的医療機関や感染症指定医療機関を含む医療機関、薬局、消防等の関係者や専門家からなる協議会の設置を、各都道府県の実情に応じて検討していただきたい。なお、設置に当たっては、既存の会議体を活用していただいても差し支えない。
 
6.各対策の移行に当たっての地域の範囲
○ 2.から4.までの各対策を講ずるにあたり、地域の実情に応じて現行の対策を移行させる必要がある場合には、都道府県知事が、5.で設置した協議会の場などを活用して関係者の意見を聴取しつつ、判断するものとする。一方で、
・ 3.(2)②の体制に移行する場合
・ 4.(2)②の体制に移行する場合
については、厚生労働省とも相談するものとする。
○ 各対策の移行の単位は、医療圏単位、市町村単位のいずれでも、差し支えない。都道府県知事が、市町村長や関係団体と相談しつつ、個別に各対策の移行を決定するものとする。
 
 

 
 
事 務 連 絡
令和2年4月2日
 
各 
 
都 道 府 県
保健所設置市
特 別 区
 
 衛生主管部(局) 御中
 
 
厚生労働省新型コロナウイルス感染症
対策推進本部
 
 
新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養
の対象並びに自治体における対応に向けた準備について
 
 
「地域で新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合の各対策(サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制)の移行について」(令和2年3月1日付け務連絡。以下「対策移行の事務連絡」という。)の「4.医療提供体制(入院医療提供体制)、(2)状況の進展に応じて講じていくべき施策②」及び「6.各対策の移行に当たっての地域の範囲」において、地域での感染拡大の状況によっては、高齢者や基礎疾患を有する者など以外の方で、症状がない又は医学的に症状が軽い方(以下「軽症者等」という。)には、PCR検査陽性であっても、自宅での安静・療養を原則としつつ、高齢者や基礎疾患を有する者等への家庭内感染のおそれがある場合には、入院措置を行うものとする旨、お示ししたところである。
今般、医療提供体制(入院医療提供体制)の対策の移行が行われた際の軽症者等の宿泊や自宅での療養の対象者並びに都道府県、保健所設置市及び特別区(以下「都道府県等」という。)並びに帰国者・接触者外来等における必要な準備事項について、下記のとおり取りまとめたので、貴職におかれては現段階から準備を行い、その対応に遺漏なきを期されたい。
なお、宿泊や自宅での療養を行う場合の患者へのフォローアップ、受入施設での対応等については、本事務連絡とあわせて、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアルの送付について」(令和2年4月2日付け事務連絡)及び「新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について」(同日付け事務連絡)を事前準備及び対応の参考にされたい。
また、今後の感染状況や、対策移行の事務連絡に基づいた「医療提供体制(入院医療提供体制)」以外の対策の移行後の取扱内容に応じて、下記の内容を変更する場合には、追って連絡する予定であることを申し添える。
 
 
 
 
1. 医療提供体制(入院医療提供体制)の移行に関する基本的な考え方
○ 対策移行の事務連絡の「4.医療提供体制(入院医療提供体制)、(2)状況の進展に応じて講じていくべき施策②」で示した対策の移行が行われるということは、重症者等に対する医療提供に重点を移すこととなる。各地域の状況が、「地域での感染拡大により、入院を要する患者が増大し、重症者や重症化するおそれが高い者に対する入院医療の提供に支障をきたすと判断される場合」に当たるかの判断については、その時点の地域の感染拡大状況や患者受入れ状況のみならず、今後の感染者の増加の兆候として、クラスター(患者集団)が断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じていることや感染源(リンク)が分からない患者の継続的な発生数などの状況及び入院医療提供体制の整備状況等も踏まえて、将来生じうる入院治療が必要な患者数を見越して判断すること。
○ 対策移行の事務連絡において、「サーベイランス/感染拡大防止策」、「医療提供体制(外来診療体制)」、「医療提供体制(入院提供提供体制)」の対策の移行については、それぞれの対策ごとに、都道府県内の対象区域を設定した上で、都道府県知事が判断するものと示しているが、それぞれの対策は相互に関連すること、特定の地域で対策の移行が行われたとしても住民の往来があれば他の地域の対策に影響を与えてしまうことに留意して、移行後の対策内容を検討すること。
○ 例えば、「医療提供体制(入院提供提供体制)」の対策については、移行するが、以下のように「サーベイランス/感染拡大防止策」「医療提供体制(外来診療体制)」の対策について移行しない場合には、地域での感染状況や新型コロナウイルス感染症対策の全体像などを踏まえて、自宅療養の取扱いを検討すること。
・「サーベイランス/感染拡大防止策」の移行(全件PCR等病原体検査を実施すると重症者に対する検査に支障が生じる恐れがある場合)が行われていない場合については、まん延を防止するための対策を、引き続き重点的に実施いただき、自宅療養者に対しても感染拡大防止策を徹底していただく必要があること。
・「医療提供体制(外来診療体制)」の対策の移行(地域での感染拡大の増加により、既存の帰国者・接触者外来等で受け入れる患者数が増加し、患者への医療提供に支障をきたすと判断される場合)が行われていない場合については、自宅療養中に症状が悪化した場合には、一般の医療機関ではなく帰国者・接触者外来(又は必要に応じて入院治療が可能な医療機関)を受診していただくことが基本となること。
○ 都道府県は、保健所等と連携して宿泊療養にかかる体制や自宅療養を行う患者へのフォローアップを実施する体制を整備した上で、対策の移行を行うこと。
 
2.宿泊療養・自宅療養の対象及び解除の考え方
(1)対象者
○ 以下の者については、必ずしも入院勧告の対象とならず、都道府県が用意する宿泊施設等での安静・療養を行うことができる。
・無症状病原体保有者及び軽症患者(軽症者等)で、感染防止にかかる留意点が遵守できる者であって、
・原則①から④までのいずれにも該当せず、帰国者・接触者外来又は現在入院中の医療機関の医師が、症状や病床の状況等から必ずしも入院が必要な状態ではないと判断した者※
① 高齢者
② 基礎疾患がある者(糖尿病、心疾患又は呼吸器疾患を有する者、透析加療中の者等)
③ 免疫抑制状態である者(免疫抑制剤や抗がん剤を用いている者)
④ 妊娠している者
※ 発熱、呼吸器症状、呼吸数、胸部レントゲン、酸素飽和度SpO2等の症状や診察、検査所見等を踏まえ、医師が総合的に判断する。
○ 軽症者等である本人が重症化するおそれが高い者(上記①から④までに該当する者をいう。)(以下「高齢者等」という。)に該当しない場合であっても、当該軽症者等と同居している者の中に高齢者等がいることが確認された場合には、利用可能な入院病床数の状況を踏まえて入院が可能なときは、入院措置を行うものとする。
○ 軽症者等が高齢者等に該当する場合の退院基準については、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和2年4月2日付け健感発0402第1号)のとおりとする。
○ 上記の対応を進めてもなお、地域における入院を要する患者の増大により、入院治療が必要な者や重症化するおそれが高い者に対する入院医療の提供に支障をきたすと判断される場合には、次の対応を行うこととする。
 
➢宿泊での療養
・都道府県が用意する宿泊施設での安静・療養を行う(以下「宿泊療養」という。)。
・その際、地域における軽症者等の人数を踏まえ、宿泊施設の受入可能人数を超えることが想定される場合等は、以下の①及び②の者について、優先的に宿泊施設を確保すること。特に、これらの者のうち、以下「自宅療養」に記載する空間を分ける対応ができない者については、確実に宿泊施設を利用することができるように配慮すること。
① 高齢者等と同居している軽症者等
② 医療従事者や福祉・介護職員など、その業務において、高齢者等と接触する者(以下「医療従事者等」という。)と同居している軽症者等
➢自宅療養
・入院病床の状況及び宿泊施設の受入可能人数の状況を踏まえ、必要な場合には、軽症者等が外出しないことを前提に、自宅での安静・療養を行う(以下「自宅療養」という。)。その際、軽症者等が、適切に健康・感染管理を行うことができるよう、「新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について」(令和2年4月2日付け事務連絡)を参考とすること。
・当該軽症者等が高齢者等と同居している場合には、軽症者等と同居家族等の生活空間を必ず分けること。トイレについては、軽症者等が使用する都度、次亜塩素酸ナトリウムやアルコールで清拭する、換気するなどの対応を取れる場合には共用することができる。入浴等については、「新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について」(令和2年4月2日付け事務連絡)のとおりとする。
・加えて、例えば、近くに親戚宅等があり、高齢者等が一時的に当該親戚宅等に移動することができる等の場合には、こうした対応を取ることも考えられる。ただし、この際、当該高齢者等は、基本的には濃厚接触者に当たるため、移動に際しての対応、移動後の健康管理等については、保健所の指示に従うこと。
・軽症者等が医療従事者等と同居している場合にも、高齢者等と同居している場合と同様に、生活空間を必ず分ける等の対応をとること。
・なお、自宅療養を行う場合、軽症者等と同居する家族については、基本的には濃厚接触者に当たるため、当該家族の健康観察等については所管する保健所と相談すること。
 
(2)解除に関する考え方
○ 原則として、退院基準と同様の基準により、宿泊療養又は自宅療養を解除するものとする。
※退院については、症状の軽快が確認されてから24時間後にPCR検査を実施し、陰転化が確認された場合には、当該検査に係る検体採取から24時間以後に再度検体採取を実施。2回連続でPCR検査での陰性が確認された場合に、退院可能となる。
○ ただし、宿泊療養中又は自宅療養中の軽症者等にPCR検査を実施する体制をとることにより、重症者に対する医療提供に支障が生じるおそれがある場合には、宿泊療養又は自宅療養を開始した日から14日間経過したときに、解除することができることとする。その際、当該14日間は、保健所(又は保健所が委託した者)が健康観察を実施し、症状に大きな変化がある等の場合は、医師の診察を受け、必要な場合には入院することとする。
 
3.具体的な流れ
① 帰国者・接触者外来等において、新型コロナウイルス感染症の疑いのある患者の診療、PCR検査を実施。
その時点で入院を要する症状でない場合には、同居家族等の状況等PCR検査結果が陽性の場合の対応に必要な情報を聞き取る。
あわせて、当該患者に対し、宿泊療養や自宅療養に関する留意事項等を記載したリーフレット等を配布。
※ 都道府県等においては、事前に患者に伝達すべき事項及び患者から聞き取りを行う事項をまとめたリーフレットを作成の上、帰国者・接触者外来等に配布しておく。
② 帰国者・接触者外来等から医療機関所在地の都道府県等の調整窓口に対し、患者の基本的な情報、同居家族等の状況、PCR検査結果が出る期日など、都道府県等の準備のために必要な情報を共有。都道府県等の調整窓口で、帰国者・接触者外来等から把握した情報をもとに、必要な準備を行う(宿泊療養先の候補の選定等)を行う。保健所設置市及び特別区の調整窓口にあっては、宿泊療養が必要な場合には、都道府県の調整窓口に情報を共有するほか、医療機関所在地と居住地の都道府県等が異なる場合には、居住地の都道府県等の調整窓口にも情報共有しておく。
また、検査結果が出るまでの間、患者は、自宅療養に関する留意事項に留意して過ごすとともに、宿泊療養・自宅療養の準備を行う(日用品の準備等)。
③ 帰国者・接触者外来等において、確定患者かつ軽症者等と診断。
帰国者・接触者外来等から医療機関所在地の都道府県等の調整窓口に対し、患者の検査結果を報告するとともに、陽性の場合には、自宅療養中の留意事項、連絡先など、フォローアップ等のために必要な情報を共有。都道府県等の調整窓口で、必要な情報を把握する。
④ 都道府県等は、把握した情報をもとに、宿泊療養・自宅療養のために必要な調整を行い、療養場所を確定させる。
自宅療養の場合で、当該軽症者等の居住地が医療機関所在地の都道府県等と異なる場合には、医療機関所在地の都道府県等が居住地の都道府県等へ連絡する。
自宅療養の健康状態のフォローアップ等の対応を行う都道府県等においては、必要に応じ、市町村(福祉部門)とも連携するなど、関係機関との調整を行う。
宿泊療養を行うこととする場合、帰国者・接触者外来等から連絡を受けた調整窓口が都道府県である場合には、宿泊療養の調整を実施する。医療機関所在地の保健所設置市・特別区にあっては、医療機関所在地の都道府県の調整窓口へ連絡し、宿泊療養に関する調整を依頼する。
⑤ 入所時に帰国者・接触者外来等から連絡を受けた都道府県等の調整窓口が宿泊療養の調整を行う調整窓口と異なる場合(保健所設置市・特別区の場合や県をまたぐ移動を伴った場合)には、軽症者等が宿泊施設から退所する際に、宿泊療養の調整を担当した都道府県の調整窓口から、入所時に調整した都道府県等の調整窓口へ連絡する。
連絡を受けた都道府県等と軽症者等の居住する都道府県等が異なる場合には、連絡を受けた都道府県等が、居住地の都道府県等へ連絡する。
 
4.都道府県等における準備
○ 宿泊療養の調整窓口の設置
都道府県に、宿泊療養等に関して保健所設置市・特別区の窓口と調整する窓口を設置する。なお、この調整窓口は、外部委託することも可能であるが、軽症者等を把握した場合の連絡・調整を円滑に行える体制を確保することが必要。
○ 宿泊療養に関する準備
宿泊療養については、都道府県がとりまとめることとするため、管内の保健所設置市及び特別区分もとりまとめて枠組みを検討する。ただし、都道府県と市区において協議が整った場合、異なる取扱をとることは差し支えない。
「新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアルの送付について」(令和2年4月2日付け事務連絡)の内容も参考に、主に次のような準備が必要。
・ 宿泊療養が可能な宿泊施設の確保、搬送手段の確保、当該施設における人員体制及び物品等の準備等。
・ その際、必要と見込まれる居室について、自治体の保有する研修施設等のほか、地域の公共的な施設(国の研修施設等)の確保を検討するとともに、確保が困難な場合には、ホテル等の民間宿泊施設等の借り上げ等を検討
※国の研修施設等に関しては、適宜厚生労働省へ相談する。
・ 同居家族等、福祉的支援を要する者について適切な支援につなげるため、管下の市町村の連絡先及び連絡経路を確認。
○ 自宅療養の調整窓口の設置
都道府県等に自宅療養のフォローアップに必要な事項に関して帰国者・接触者外来等と調整する窓口を設置する。なお、この調整窓口は、本庁部門や保健所のほか、外部委託することも可能であるが、帰国者・接触者外来等において軽症者等を把握した場合の連絡・調整を円滑に行える体制を確保することが必要。
○ 自宅療養に関する準備
地域におけるフォローアップの体制や体調急変時の対応、市町村の福祉部門との連携などの関係機関との調整を行う。「新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について」(令和2年4月2日付け事務連絡)も参考として、特に次の点に留意の上、地域の実情に応じて、関係機関との調整を開始すること。
・軽症者等の健康管理
・症状が悪化した際に速やかに適切な医療機関を受診できる体制の確保
・適切な感染管理対策の実施
 
5.帰国者・接触者外来等における準備
○ 帰国者・接触者外来等は、上記のように都道府県等と連携して対応することとなるため、事前に都道府県等と連絡体制等の調整を行う。
以上
 
 

 
 
事 務 連 絡
令和2年4月2日
 
各 
 
都 道 府 県
保健所設置市
特 別 区
 
 衛生主管部(局) 御中
 
 
厚生労働省新型コロナウイルス感染症
対策推進本部
 
 
「新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル」の送付について
 
 
今般、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル」を別添のとおり取りまとめたので、送付する。
「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」(令和2年4月2日付け事務連絡)及び「新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について」(同日付け事務連絡)とあわせて、宿泊療養等の事前準備及び対応の参考にされたい。
 
 

 
 
 
 
 
新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル
 
 
 
1.はじめに
 
○ 新型コロナウイルス感染症の患者の増加に伴う医療提供体制の移行については、「地域で新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合の各対策(サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制)の移行について」(令和2年3月1日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)で、その考え方が示されたところである。
具体的に、医療提供体制(入院)については、入院患者が増大し、重症者等に対する入院医療の提供に支障をきたすと判断される場合には、
・ PCR検査陽性であっても、軽症者等は、自宅での安静・療養を原則としつつ、
・ 家族構成(高齢者や基礎疾患を有する者等と同居しているか)等を確認した上で、高齢者や基礎疾患を有する者等への家族内感染のおそれがある場合には、入院措置を行う
とされた。
「地域で新型コロナウイルス感染症の患者が増加した場合の各対策(サーベイランス、感染拡大防止策、医療提供体制)の移行について(令和2年3月1日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)」抜粋
 
4.医療提供体制(入院医療提供体制)
(2)状況の進展に応じて講じていくべき施策
<入院医療体制>
〇 地域での感染拡大により、入院を要する患者が増大し、重症者や重症化するおそれが高い者に対する入院医療の提供に支障をきたすと判断される場合、次のような体制整備を図る。
① (略)
② 高齢者や基礎疾患を有する方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方、妊産婦以外の者で、症状がない又は医学的に症状が軽い方には、PCR等検査陽性であっても、自宅での安静・療養を原則とする。このとき、自宅療養中に状態が変化した場合には、必ず帰国者・接触者相談センターやかかりつけ医に連絡するよう患者に伝えるなど、重症化に備えた連絡体制を徹底する。
なお、自宅療養中の家族内感染を防止する趣旨から、家庭での感染対策について周知する(参考参照)とともに、家族構成(高齢者や基礎疾患を有する者等と同居しているか)等を確認した上で、高齢者や基礎疾患を有する者等への家族内感染のおそれがある場合には、入院措置を行うものとする。
 
○ 今後、更に新型コロナウイルス感染症の感染拡大が進み、入院患者の増加が見られた場合、より重症者に対する医療資源の確保が重要となることから、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」(令和2年4月2日付け事務連絡)において、PCR検査陽性となった新型コロナウイルス感染症の軽症者等について自治体の研修施設等や民間の宿泊施設での宿泊療養を実施する旨の方針が示されたところである。
 
○ 本マニュアルは、具体的な「宿泊療養」の実施に当たって、当該施設を運営する職員の作業手順や感染管理の留意点を示すとともに、宿泊療養を行う軽症者等(以下「宿泊軽症者等」という。)に対する注意喚起事項等を具体的に明示することにより、安心・安全な療養環境を実現することを目的として、作成したものである。
 
○ なお、本マニュアルは、作成日時点の知見を基に作成したものであり、今後の新型コロナウイルス感染症に関する知見の集積や地域における取組状況等を踏まえて、随時、見直しがあり得る旨を申し添える。
○ また、本マニュアルは適切な宿泊療養の参考となる考え方を示したものであり、適切な感染防止策を講じることを前提に、宿泊施設の形態等に応じた工夫をされたい。様式についても、適宜改変し、工夫されたい。
 
(1)枠組みの概要
○ 症状等から入院が必要な状態ではないと考えられる軽症者等をについて、高齢者等の重症化するおそれが高い者等が同居しているなどの家族感染のリスクが高い場合は、入院措置とすることとしているが、病床確保の必要性等から入院措置が難しい場合には、代替手段として、宿泊療養を行う。
○ 医師や保健師等の専門職の関与が必須である一方で、これらの人材は貴重であるため、各自治体においては、医師や保健師等が専門職でなければならない業務に集中できるよう全庁的な体制で取り組むようにする必要がある。
○ その際、自治体のみならず、医師会、薬剤師会等の医療系の各種団体や多くの民間の事業者等の協力を得て、取り組むことが望ましい。
○ 当該取扱については、都道府県がとりまとめることとするため、管内の保健所設置市及び特別区分もとりまとめて枠組みを検討する。
なお、都道府県と市区において協議が整った場合、それぞれ枠組みを整備する等の取扱をすることは差し支えない。
○ 都道府県において、自治体の研修施設、公共的な施設(国の研修施設等)、確保困難な場合には、ホテル等の民間宿泊施設等を借り上げ等により実施。
○ 宿泊軽症者等については、建物外へ外出できないため、食事の提供のほか、健康管理等を行う。
 
(2)対象者
○ 「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」(令和2年4月2日付け事務連絡)の「2.宿泊療養・自宅療養の対象及び解除の考え方」に基づき宿泊療養の対象とされた者
 
 
2.都道府県における事前準備
 
(1)宿泊施設等の確保
 
① 必要な居室数の確保
・入院施設の確保状況や軽症者等の発生状況等を見ながら、あらかじめ、必要な居室数を確保。
・必要居室数(職員用の居室等を含む。)に応じ、建物単位又はフロア単位での借り上げを行う。(フロア単位での借り上げの場合、エレベーターの利用等について他の宿泊者と接触しないようにするなど、ゾーニング(感染領域と非感染領域を区分けすること)での工夫が必要)
・居室は個室とする。ただし、同居家族が同時に宿泊軽症者等として滞在する場合には、同室も可とする。
・基本的には、トイレ、入浴設備を含め、個室での対応が望ましいが、難しい場合には、共用も可能とする(宿泊軽症者等間での共用であり、職員との共用は避ける。)。ただし、共用とする場合は、宿泊軽症者等ごとに入浴時間帯を変える等の対応が可能な状況で確保すること。
・生活支援等の対応を行う職員の宿泊用の居室(4(2)①参照)、事務局用の会議室等も確保。なお、職員・事務局用の部屋の選定に当たっては、感染防護の観点から、宿泊軽症者等と動線が分かれる位置に部屋を位置させることや換気状況等に配慮。
・自治体の研修施設等のほか、確保できない場合は、仮設居室の設置や民間施設の利用等も含めて検討する。
・感染防護の観点から、職員と宿泊軽症者の動線や他の宿泊者との動線が分けられるなどの適切なゾーニングを行うことができる施設を選定。具体的には、事前に、保健所又は感染管理についての専門知識を有する者による下見を実施し、施設側と調整。(【ゾーニングに関する考え方】参照)
 
② 宿泊施設等との調整
・入居者数の見込みに応じて、宿泊施設側と相談の上、必要な物品等の確保の役割分担を整理しておく。宿泊施設の職員等が当該業務に携わる場合にも、役割分担はあらかじめ明確にしておく。
 
(調整が必要な事項の例)
・感染管理
事前に保健所又は感染管理についての専門知識を有する者の助言を得ながら、施設側と調整。
マスクや長袖ガウン(身体を覆うことができ、破棄できる物で代替可(カッパ等)。以下同じ。)など必要な個人防護具を確保する。
・食事の提供方法
宿泊施設側での提供の可否、提供できない場合の弁当業者等の事前契約等 アレルギー食への対応状況、受渡方法の確認。
・日用品等の確保
宿泊施設にある備品(宿泊する職員用の備品を含む。)、受渡方法の確認、不足分の確保方策の検討。
・リネン類
体液で汚れていないリネンを取り扱う際は、手袋とサージカルマスクを付け、一般的な家庭用洗剤等で洗濯し、完全に乾かすとの対応で差し支えない。体液で汚れたリネンを取り扱う際は、手袋、長袖ガウン、サージカルマスクをつけ、消毒(80℃以上の熱湯に10分間以上つける又は0.1%(1000ppm)次亜塩素酸)を行う。具体的には個別の宿泊施設との関係等で調整。なお、宿泊施設等において消毒を行わずにクリーニング所に委託を行う場合は、指定洗濯物を取り扱えるクリーニング所に依頼する。
・利用中の共用部分の清掃・消毒
手袋、サージカルマスク、眼の防護具(フェイスシールド又はゴーグル(目を覆うことができる物で代替可(シュノーケリングマスク等)。以下同じ。))、長袖ガウンを着用し、通常の清掃に加え、ドアノブなどよく触る部分やトイレは1日1回以上、0.05-0.1%の次亜塩素酸ナトリウムで清拭し、消毒を行うことを確認(清掃業者に委託も可)。施設利用者と清掃者が接触しないよう配慮。
・退所時の処理
個々の利用者の退去時の対応及び施設全体を撤収する場合の対応それぞれについて、片付け、清掃、消毒までの処理方法、費用等の調整。
・廃棄物の処理
宿泊軽症者等の食事ゴミ等は、基本的に感染性廃棄物として処理する等、ゴミの種類ごとに処理方法を確認。
・各居室との連絡方法
内線、館内放送等、居室内の施設利用者との連絡方法の確認等。
・在庫管理(備品等)
在庫管理の方法・場所等について、施設側と調整。
・急変時の対応
体調急変時の搬送手段と搬送先となる医療機関の確保・調整。
・事務局の作業のための備品の確保
机、椅子、ホワイトボード、PC、プリンター、複合機等、携帯電話(外部との連絡用)、食事提供のための作業台(弁当を一人分ずつビニール袋に分ける等のための長机等)等の確認、不足分の確保方策
・ストレスに対する支援体制
精神保健福祉センター等の活用を検討する。
 
③ 搬送手段の確保
・宿泊施設までの移動は、公共交通機関を避ける観点から、民間救急車の活用や、宿泊施設の協力を得て、バスやレンタカーを用意しておくなど、可能な限り搬送手段を確保しておく。
 
④ 施設利用者の費用負担等の考え方の整理
・ 宿泊療養については、軽症者等が、高齢者、基礎疾患を有する方等の重症化するおそれがある者と同居している場合は、基本的には、当該高齢者等への感染を防止するため、入院による対応をとることが望ましいものの、病床確保等の必要性から、代替手段として行うものである。こうした趣旨を踏まえると、例えば、入院措置と同様の費用負担とするなどが考えられるが、都道府県においては、宿泊軽症者等が負担すべき費用の範囲をあらかじめ定める。
 
⑤ 宿泊施設の所在する市町村等との調整
・ 上記のほか、宿泊施設の所在する市町村等の関係者と、必要な対応等について調整。
 
【ゾーニングに関する考え方】
○ 清潔な領域(清潔区域)とウイルスによって汚染されている領域(汚染区域)を明確に区分けすることが感染拡大防止のために重要である。
○ 区分けをした上で患者は汚染区域でのみ生活し、職員は極力清潔区域内で活動し、汚染区域に入る際は、必要な防護具を装着した上で活動する。
○ 宿泊軽症者等が宿泊施設に到着した際には、事務手続や宿泊中の注意事項の説明を受けることが想定されるが、可能な限り広い空間の隅に受付を用意し、他の清潔区域と区分けしていることがわかるようにする。なお、受付を担当する職員は手袋・サージカルマスク・眼の防護具(フェイスシールド又はゴーグル)を着用し、手指衛生を保つ。宿泊軽症者等側もサージカルマスクを着用。
○ 宿泊軽症者等が生活する場と職員が滞在する場所のフロアを分けるなど、宿泊軽症者等と職員が接触することのないよう、配慮する。
○ 検体採取など感染リスクの高い医療行為をする場合は、手袋・サージカルマスク等・長そでガウン・眼の防護具(フェイスシールド又はゴーグル)を着用(※)、原則として1回ごとに取り換える。使用した防護具を着脱する場所は他の場所と明確に分け、未使用の防護具は床ではなく、机上に置く。また、特に、脱ぐ場所は汚染領域となるため、テープやロープで仕切りをし、他の職員がその領域に誤って立ち入らないようにする。
※「新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点」(令和2年3月11日付け事務連絡)参照。
○ 脱いだ防護具は汚染されているため、危険マークや赤色など目立つ形のビニール袋に入れ、汚染物が袋の外に出ないよう、配慮する。
○ 宿泊軽症者等がエレベーターを使用する場合、使用前後で必ずボタンを消毒する。また、職員が使用する場合も前後で手指をアルコール消毒する。
 
(2)利用者の調整(都道府県の調整窓口)
・宿泊療養の対象となり得る患者が確認された場合に、医療機関が連絡すべき都道府県の連絡先をあらかじめ定め、医療機関に周知。
・PCR検査実施時・診断時等に、患者から聴取する事項等を整理し、医療機関へ配布。
 
(3)宿泊施設における運営を担当する人員体制の確保
・以下のような体制が必要になることを見据えて、事前に施設運営を担当する人員体制を調整しておく。なお、以下の体制については、宿泊施設や業者等の体制や地域での宿泊療養施設数等に応じて、適宜縮小・拡充すること。
・施設運営に携わる職員に対しては、あらかじめ、保健所又は感染管理に知見を有する医師により、感染防護対策について十分な指導を行う。
・施設運営に携わる職員の体調急変時の連絡先・連絡方法を決め、職員に説明・周知。
 
(必要な体制と役割分担例)
① 全体統括責任者
② 総括ロジ班(全体調整)
・宿泊者名簿等の管理
・宿泊者に対するお知らせ(紙・放送・アプリ等)
・鍵の管理
・事務局員の管理
・活動記録の作成
・施設利用者からの費用負担についての全体管理  等
③ 保健医療班(宿泊者の健康管理)
※保健師又は看護師を配置(日中は常駐、夜間はオンコールでの対応としても可)。医師はオンコール以上での対応(日中・夜間)。必要に応じ、薬剤師も確保(近辺の薬局との連携での対応も可)。
・宿泊者の健康管理(健康状態の把握)
・宿泊者の健康面での相談等への対応
・急患発生時の対応
・事務局員に対する感染防護対策の指導
・衛生資材の在庫管理、確保等
④ 食事班
・食事の手配(宿泊者及び支援者用)
・食事内容の管理(熱量、栄養、アレルギー等特別の配慮を要する者への対応)について、業者との調整
⑤ 生活支援班
・日用品・消耗品、リネン類(タオル、シーツ等)の管理、業者との調整、受け取り等
・宿泊者からの要望対応(健康関連は保健医療班)
・宿泊者への荷物の受け取り
⑥ 物資等配布回収班
・居室への食事、荷物等の配布
・ゴミ、使用済みリネン類の回収
 
【職員に対する感染予防策で伝達すべき事項に関する考え方】
○専門家から、以下の事項の具体的な手順や手法について、研修を受ける
・適切な手指の手洗い、アルコール消毒を徹底する。
・適切な感染防護具の着脱方法を確認する。
○1日2回の検温など職員の健康管理の徹底と、体調異常の際に報告する仕組みを構築する。
○交代勤務を徹底し、十分な休養を確保する。
 
3.宿泊療養施設の利用者が発生した場合の流れ
 
(1)宿泊施設までの流れ
・医療機関において、新型コロナウイルス感染症の疑いのある患者の診療を行い、入院を要する症状でないと判断され、同居家族等の状況等から、宿泊療養を要することが確認される場合、都道府県等の窓口に連絡。その際、PCR検査結果の出る時期についても共有。保健所設置市及び特別区にあっては、必要に応じ、都道府県に共有。
・都道府県において、同居家族の状況等の確認。入院病床の状況や宿泊療養の入居可能状況を踏まえ、宿泊療養又は自宅療養の調整を行う(ただし、自宅療養は、当該患者と同居家族等の生活空間を完全に分けることができる場合に限る。)。
※自宅療養に当たっての生活空間の区分けは、高齢者等である同居家族が近くの親戚宅等に居所移動を行うことによる対応でも可。その可否の判断等に当たっては、心身の状況や、その特性、移動の困難度等について丁寧に聞き取りを行い、かつ、説明を行う。
・PCR検査結果が出るまでの間、都道府県においては、宿泊療養先の候補の選定等の準備を行い、患者は、日用品の準備等の宿泊療養の準備を行う。
・医療機関においては、食事アレルギー、健康情報等や服用中の薬剤の必要事項の確認。服用中の薬剤がある場合は、2~3週間分(宿泊療養期間中分)を処方。調剤された薬剤の薬局等での受取は、宿泊療養の関係職員が行う(宿泊施設へ移動する前に医療機関で受け取れる場合には、施設利用者が自身で受け取る)。
・施設利用者に対し、都道府県・宿泊施設等に共有する旨を伝えた上で、都道府県に情報を共有。
・PCR検査結果について、医療機関から都道府県の窓口に連絡。確定患者かつ軽症者等であることが確認された場合には、都道府県において宿泊施設へ連絡、受入準備を依頼。
・都道府県において搬送手段を手配。
・宿泊施設への搬送までに時間がかかることが見込まれる場合には、都道府県から医療機関に対し、軽症者等の待機場所の確保を依頼。
・都道府県において、宿泊施設に関する注意事項や、事前に宿泊施設に準備されている備品と利用者負担が必要な物のリストを作成し、医療機関にいる間に渡すなど、可能な限り早い段階で、施設利用者に渡しておくことが望ましい。
 
(2)宿泊施設等における準備
・宿泊予定の部屋、施設側で準備することとなっている備品等の準備。
 
4.宿泊施設等における対応
 
(1)施設利用者の受け入れ
・到着後、施設利用者への説明
(利用者向けの説明資料を用意し、説明。あわせて説明事項の内容について承諾した旨の書面での同意を取得。)(様式1、様式2)
 
※想定される説明内容の例:
・入所中は外出せず、職員の指示に従うこと。
・入所中の緊急連絡先の確認、退所後の居所・費用の請求先の確認
・施設利用者が負担すべき費用の範囲
・健康報告の方法。特に発熱時には直ちに報告することを依頼。
・緊急時の対応
・食事・洗濯等の生活基本情報
・施設内の利用可能部分や利用時間
・宿泊軽症者等同士の接触について全面禁止することは要しないが、なるべく接触は減らす。居室から出る場合(共用部分(廊下等)の利用時)には、必ずサージカルマスクを着用する、他の施設利用者と2m以上の間隔を空ける等の配慮(ただし、外部の人との面会は禁止)
・飲酒・喫煙禁止
・ネットショッピングを行う場合の受取等の取扱
・宿泊施設に準備されている物品と、そのうち利用者負担が発生する物のリストの説明(様式3)
 
 
・全体的な総括説明を行う職員と保健師の2名以上で対応。
・対面で対応する場合には、職員(看護師等を含む。)は、手袋・サージカルマスク・眼の防護具(フェイスシールド又はゴーグル)を着用。宿泊軽症者等側もサージカルマスクを着用。換気のよい広めの部屋で実施する。
・入所時期・退所予定時期・部屋割りは、台帳等を作成し管理。(様式4、様式5)
・可能であれば入所者の居室は建物の中で一定地域に集めて配置する。入居時も、近い場所(同じフロア、隣室など)の部屋から順に入室させる(コホーティング)
 
(2)宿泊中の対応
①基本的な考え方
・標準予防策に加え、飛沫接触予防策を原則実施する。
・建物外(フロア単位管理の場合は、フロア)から出ないように指導・協力のアナウンスをする。(様式6)
・十分換気を行うことについて、指導・協力のアナウンスをする。・体温計は各部屋一つ配布
・要望があるときの連絡先を定め、基本的には電話で対応する
・対面しての説明時は、職員は、手袋・サージカルマスク・眼の防護具(フェイスシールド又はゴーグル)をつける。宿泊軽症者等側もサージカルマスクを着用。
・生活支援等の対応として、職員が24時間常駐。ただし、宿泊軽症者等からの連絡は、原則として、朝食時間より前から夕食時間より後までの間(例:7時~21時など)に、内線電話等で受け付け、夜間は緊急時(特に体調変化については必ず)のみ受け付けることとしても差し支えない。なお、専門職の体制は、2(3)②保健医療班のとおり。
 
②生活面のサポート
・宿泊軽症者等は、宿泊療養中は外出できないため、日常生活を維持するためのサポート(物の調達、配布、回収など)を全面的に対応する。
・宿泊軽症者等へのお知らせは手紙や電話等でこまめに知らせることが望ましい。(人と接する機会が減少していることからくる不安の軽減にもつながる。)
・原則として、職員は、宿泊療養開始時の説明等を除き、宿泊軽症者等と顔を合わせて対応することはしない。
・利用者は時間を区切った上で、居室から出られることとする(ただし、建物内に限る。)。その際、宿泊軽症者等はサージカルマスクを必ず着用する。宿泊軽症者等同士の接触について全面禁止することは要しないが、なるべく接触は減らすようにする。
居室から出られる時間帯については、職員による食事等の配布時間帯を避けるなど、職員と接触しないような時間帯で設定する。
・感染予防策(宿泊軽症者等と対面で接触する場合以外)は、サージカルマスクと手指衛生で対応。
・食事やリネンは職員が配布するが、受渡しは、直接行わない。
・アレルギー対応が必要な場合の食事は特別のメニューでの対応。
・食事は、原則として、各部屋の前に届ける。ただし、宿泊軽症者等が無症状である場合は、宿泊軽症者等にマスク着用を徹底させた上で、決められた時間帯に自ら食事置き場に取りに行くなど、職員と接触しない形での配布が可能であれば、配布方法を工夫しても差し支えない。
・リネン・タオルについても、食事と同様の取扱とする。
・ゴミについては、ゴミ袋を配布し、部屋の前に置いたものを職員が回収する。ただし、食事と同様に、宿泊軽症者等が無症状である場合には、職員が軽症者等と接触することなく、衛生的に回収することが可能であれば、各フロアで施設利用者が自ら入れるなどの対応を取っても差し支えない。
・居室内の清掃は、必要に応じ、宿泊軽症者等自身が行う。入居時に簡単な掃除用具を配布。トイレや洗面台等の掃除道具等も配布しておくことが望ましい。
・洗濯は、必要に応じ、宿泊軽症者等が居室にて手洗いを行う(宿泊施設に利用できる洗濯機がある場合には、洗濯機を利用)。入居時に洗剤、洗濯物干しハンガー等の必要な備品を希望に応じて配布。
・宿泊軽症者等は、原則として居室内で過ごすことになるため、各居室には、Wifi環境及びテレビを準備することが望ましい。また、図書館等とも連携して、図書の貸出等の検討も行う。
・ホテル等の施設内においては散歩等の定期的な軽い運動を推奨する。時間を決めて居室の外や宿泊施設の敷地内のスペースで歩くことを勧めることや軽い体操の方法のリーフレットを配布するなどを行うことが望ましい。(参考1)
・閉鎖環境において、病院に入院するよりも他者との接触機会が少ないことから、必要な対応を検討する。具体的には、専門家とも相談の上、精神保健福祉センター等の協力を得ることを検討する。
・その他の備品として、ビジネスホテル等の通常の備品(歯ブラシ、ドライヤー、ポット、お茶・コーヒー等)を参考に、必要なものを準備しておくことが望ましい。
※タオル・歯ブラシ、お茶・コーヒー等の日用品等の利用者負担については、あらかじめ負担範囲を定めておく。(様式3)
 
③健康管理
・看護師・保健師は、居室へ1日1回は電話等により連絡し、健康状態を確認。確認に当たっては、入居時に配布する健康観察票(健康管理アプリ等も可)の項目に基づき、宿泊軽症者等から聞き取りを行う1。聞き取った内容は、健康観察票と同じ様式に記録する。(様式7)
 

1 なお、厚生労働省としては、宿泊療養等中の患者のフォローアップを効率的に実施するためのICTツールの開発を現在進めているところであり、全国的に利用できるようになった段階でお知らせする予定。また、他のICTツールについても即時に無償で利用できるもの等について既に都道府県等に対して情報を共有しているところであり、必要に応じて活用して可。
 
・体温は1日2回測り、看護師・保健師による健康状態の確認の際に、あわせて聞き取る。ただし、発熱時には、直ちに事務局に報告してもらうようにする。
・自覚症状があるなどの申告があった場合に、前述の予防策を遵守しつつ、対面での健康観察を行う。
・熱がある、喉が痛いなどの新型コロナウイルス感染症の増悪が疑われる場合や、それ以外の疾患が疑われる場合は、医師に連絡し、指示を受ける。医師による診察は、電話等情報通信機器による診療等の活用を検討しても差し支えない。必要に応じて、医薬品の処方(薬局との連携による対応も含む)や、症状・容態によっては、医療機関への救急搬送を行う。なお、搬送の段取りや搬送先については、あらかじめ、市町村の救急担当部署や搬送先候補となる医療機関と調整しておく。
※療養施設の運用に携わっている期間は、職員についても毎日体温確認、体調チェックは行う。
・医薬品が処方され、薬局で調剤する場合は、薬局における服薬指導は電話等情報通信機器を用いて行うことも可。電話等情報通信機器を用いた処方、処方箋の取扱い及びその調剤についても次の事務連絡によるものとする。
-「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」(令和2年2月28日付け事務連絡)
-「新型コロナウイルスの感染拡大防止策としての電話や情報通信機器を用いた診療等の臨時的・特例的な取扱いについて」(令和2年3月19日付け事務連絡)
 
④ゴミの対応
・弁当のゴミや非医療従事者が使用した手袋などは、感染性廃棄物として廃棄する。
・客室からのゴミは、前もって配布した大型のビニール袋に入れてもらい、客室の外に出してもらう形で回収。職員が、手袋、サージカルマスク、長袖ガウンをつけて回収。
・職員のPPEについては、医療廃棄物として対応する。
 
5.施設利用者の退所
 
(1)退所基準
・原則として、退院基準と同様の基準により、宿泊療養を解除。基準を満たすことが確認されたときに、宿泊軽症者等に帰宅可能である旨を伝える。
※退院については、症状の軽快が確認されてから24時間後にPCR検査を実施し、陰転化が確認された場合には、当該検査に係る検体採取から24時間以後に再度検体採取を実施。2回連続でPCR検査での陰性が確認された場合に、退院可能。
・ただし、宿泊療養中・自宅療養中の軽症者等にPCR検査を実施する体制をとることにより、重症者に対する医療提供に支障が生じるおそれがある場合には、宿泊療養を開始した日から14日間経過したときに、解除することも可能。その際、当該14日間も、保健師・看護師による毎日の健康観察を実施し、症状に大きな変化がある等の場合は、医師の診察を受け、必要な場合には入院対応を行う。
・PCR検査については、体温や自覚症状等を把握した上で、軽快していると保健医療班において考えられる場合は、帰国者・接触者外来等PCR検査実施可能な医療機関と調整の上、搬送し、医師の判断により、検査を実施する。なお、適切な感染防御を行った上で、医師が宿泊施設に赴いて検体採取することも可能とする(2(1)【ゾーニングに対する考え方】参照)。
 
(2)施設利用者の退所手順
・施設利用者は、必要な荷物を片付ける。
・健康状況が変化した場合の連絡先を伝える(退所の基準を確認した医療機関で連絡先を伝えてもよい。)
・宿泊費の自己負担の費用負担の伝達(振り込み先等)又は追って請求する旨を伝える。
 
(3)退去後の居室の清掃等
・退去後は、室内の家具・備品の消毒及び十分な換気を行う。
・清掃は、通常の宿泊施設等と同様の清掃に加え、次亜塩素酸0.1%溶液及びアルコールによりドアの取っ手やノブ、ベッド柵等を拭く。
・清掃・消毒の際は、手袋、サージカルマスク、眼の防護具(フェイスシールド又はゴーグル)、長袖ガウンを使用して行う。
・リネンは、体液で汚れていない場合は、手袋とサージカルマスクをつけ、一般的な家庭用洗剤等で洗濯し、完全に乾かすとの対応で差し支えない。体液で汚れたリネンを取り扱う際は、手袋、長袖ガウン、サージカルマスクをつけ、消毒(80℃以上の熱湯に10分間以上つける又は0.1%(1000ppm)次亜塩素酸)を行う。具体的には個別の宿泊施設との関係等で調整。
 
6.宿泊施設借り上げを終了する際の対応
 
(1)清掃等
○5(3)の退去後の居室の清掃等と同様の対応でも差し支えないが、施設側と調整の上、必要に応じて消毒等適切な対応を行う。
 
(2)運営に携わった職員の健康管理
○運営に携わった職員については、感染予防策を適切に取っている場合、濃厚接触者とはならないが、体調に変化があった場合には、速やかに電話相談し適切な対応を取ることとする。
 
 

 
 
 モデル例 
 様式1 
○○研修所で療養される皆様へ
 
○○県○○研修所事務局より
 
皆様におかれましては、本日から当面の間、この宿泊施設で療養されることになります。療養中は建物から外出することができません。ご宿泊される皆様に、安心・安全にお過ごしいただくため、以下のご宿泊中の注意事項を遵守していただきますよう、お願いいたします。
スタッフ一同支援いたしますので、皆様のご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
生活上のお困りごとや健康上の心配ごとがございましたら、お気軽に事務局までご連絡ください。スタッフへのご連絡は、電話にてお願いいたします。
事務局の連絡先 内線00000、00000
 
※原則として、毎日朝●時から夜●時までの受付となりますので、ご了承ください。なお、咳や発熱などの体調不良の場合や緊急時には、ご遠慮なさらずに、いつでもご連絡ください。
 
<ご宿泊中の注意事項>
1.健康状況の報告(毎日の報告、緊急時)
○ 毎日朝夕の2回検温を行い、「健康管理票」にご記入ください。「健康管理アプリ」に登録済みの方は、アプリを使っても結構です。
○ 毎朝●~●時頃に、保健師・看護師が各居室に電話し、皆様の体調について、「健康管理票」の項目に沿ってお伺いします。その際に、2回分の検温の結果についてもお聞きします。
○ 体調に変化がある場合(特に発熱の場合)には、夜間であっても、速やかに事務局までお電話下さいますよう、お願いいたします。担当の医師等が症状を確認します。
 
2.ご宿泊に当たっての生活基本事項
○生活全般:建物の外に出ることはできません。また、原則として、各自の居室内に留まっていただくようお願いします。ただし、毎日、●~●時の時間帯は、共有スペースをご利用頂けます。居室のドアを開閉する際には、必ず、手指消毒して頂くとともに、マスクを着用して頂きますよう、お願いします。
○お風呂・お手洗い:各居室内に設置されています。浴室の使用時間帯の制限はございませんが、深夜・早朝の使用の場合には、周囲へのご配慮をお願いいたします。
○清掃・洗濯:居室内の清掃及び衣類等の洗濯は、ご自身で行ってください。洗濯は、毎日●~●時の間、●階の洗濯室をご利用頂けます。衛生管理上、お配りした洗剤の使用をお願いします。
○食事:毎食、次の時間帯に、職員が、お弁当を袋に入れて、各居室前に置かせて頂きます。お弁当を全部お召し上がりになる必要はありません、体調に応じ、ご飯の量を減らすなどして、健康管理にご留意ください。また、食中毒防止のため、お早めにお召し上がりいただくとともに、食べ残しは廃棄頂きますようお願いします。
(食事をお配りする時間帯の目安)
朝食:●~●時頃、昼食:●~●時頃、夕食:●~●時頃
○ ごみ:各居室のビニール袋にまとめた上で、●~●時の間に、可燃ごみ、ビン、缶、ペットボトルは、それぞれ別の袋に入れて、各居室前にお出しください。
○ Wifi:館内でご自由でご利用いただけます。(ID:・・、PW・・)
○ ・・・。
 
3.その他の注意事項
○ 健康状態の正確な確認が困難となる恐れがあることや症状の悪化の恐れがあることから、飲酒・喫煙は厳禁です。
○ ネットショッピングを行う場合には、届いた商品は、食事の配膳とあわせて、職員が部屋の前に置いておきます。生ものの受け取りはできません。また、職員による商品の返品対応やその他のトラブルの対応はできませんので、その点ご留意の上、ご注文下さい。
○ ・・・。
 
4.ご退去時の手続
○ ・・・が確認された場合に、ご自宅にお戻り頂くことになります。
○ ご宿泊に伴う費用の一部は、自己負担となります。自己負担額は、一日当たり●●円です。ご退去時に、ご宿泊日数分をまとめてお支払い頂きます。
 

※該当するものにチェックをお願いいたします。
□ 私は、上記の「ご宿泊中の注意事項」の内容について、説明を受けました。
□ 宿泊中は、「ご宿泊中の注意事項」の事項を守って生活します。
 
令和2年   月   日   (ご宿泊者名)              
 
 

 
問診担当者         問診実施日
 様式2 
※皆様の健康管理のお手伝いをさせていただく上で、より詳細な情報を得るためにご協力をお願いいたします。
 
【基本情報】
         
ふりがな
部屋番号         
氏名            (   歳)
 
保険証情報 記号            番号
 
【問診内容】
 
1. 最終体温             (測定日時:     月   日   時)
 
2. 既往歴(過去にかかった病気または行った手術・アレルギー等)について
※食物アレルギーがある場合も、具体的にお知らせ下さい。
 
 
 
3. 体調について
○ 現在、何か症状がありますか?(咳、痰、発熱、倦怠感など)
 
 
 
○ いつからですか?
 
 
 
4. 現在服用しているお薬について
○ 滞在中に不足しますか?
 
はい ・ いいえ
 
○ (「はい」と答えた方のみ)不足する薬がわかるもの(お薬手帳、薬剤情報提供文書、薬袋など)を用意してください
 
 
 
 
2020/●   ●●県●●課
 
 

 
 
【様式3】
以下はあくまで例示であり、宿泊施設の備品等を参考に記載されたい。
 
宿泊施設備品リスト
ベッド
デスク
テレビ
電気ポット
ドライヤー
トイレ
風呂
トイレットペーパー(○個まで)     
箱ティッシュ 一箱
トイレ用洗剤
・・・
・・・
・・・・・
 
 
提供可能であるが、実費負担であるもの
                    
値段
タオル
○円/枚
歯ブラシ
 
歯磨き粉
 
・・・
 
・・・
 
・・・・・
 
 
※上記以外は自分で用意いただく必要があります。
 
 

 
 
様式4
 
 

 
 
様式5
 
 

 
 
様式6
 
 

 
 
様式7(1枚目)
 
 

 
 
様式7(2枚目)
 
 

参考1(1枚目)
参考1(2枚目)
 
 
事 務 連 絡
令和2年4月2日
 
各 
 
都 道 府 県
保健所設置市
特 別 区
 
 衛生主管部(局) 御中
 
 
厚生労働省新型コロナウイルス感染症
対策推進本部
 
 
新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行う場合の患者への
フォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について
 
 
「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養の対象並びに自治体における対応に向けた準備について」(令和2年4月2日付け事務連絡)において、医療提供体制(入院医療提供体制)の対策の移行が行われた際の自宅療養の取扱等についてお示ししたところである。
今般、自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について下記のとおり取りまとめた。都道府県、保健所設置市及び特別区(以下「都道府県等」という。)におかれては、内容をご了知の上、関係者への周知を含め、自宅療養が適切に行われるような環境整備をお願いする。
 
 
 
 
1.自宅療養中の患者へのフォローアップについて
 
(1)自宅療養中の患者へのフォローアップの考え方について
○ 自宅療養中の患者へのフォローアップとは、症状が悪化した場合など、医療の提供が必要となった場合に、当該患者が適切に医療機関を受診できるようにするためのものであり、都道府県等は、①電話等情報通信機器を用いて遠隔で、定期的に自宅療養中の患者の健康状態を把握するとともに、その患者からの相談を受ける体制及び②患者の症状が悪化した際に速やかに適切な医療機関を受診できる体制(①②を合わせて自宅療養中の患者へのフォローアップ体制)を整備する。
○ また、対策移行の事務連絡に基づき、「医療提供体制(入院医療提供体制)」の対策の移行(軽症者等の自宅療養の開始)は都道府県知事が判断することとなるため、対策の移行は、保健所設置市及び特別区の自宅療養中の患者へのフォローアップ体制の整備状況を十分に確認して判断すること。
 
(2)自宅療養中の患者へのフォローアップを行うに当たって保健所の業務負担軽減について
○ 新型コロナウイルス感染症対策を適切に実施するためには、地域の感染予防の要となる保健所の業務負担軽減を図り、保健所業務が継続される体制を維持することが重要である。また、自宅療養中の患者へのフォローアップを行うに当たって、医学的な知見が必要になることもあることから、必要に応じて地域の医師会や医療機関等へ協力を求め、又は、業務を委託するなど、地域の実情に応じて適切なフォローアップ体制を整備すること。
○ さらに、上記①のうち健康状態を聞き取る業務等専門職以外の者が対応できる業務については、保健所部門ではなく本庁部門が業務を担う、外部委託を行う等により業務削減を行う、全庁的に保健所業務応援体制を組み保健所に人員を投入する、非常勤職員等を雇用する、又は、アプリ等ICTツールを積極的に活用する等により体制を強化することが肝要であり、取り組まれたい。
○ なお、厚生労働省としては、自宅療養中の患者のフォローアップを効率的に実施するためのICTツールの開発を現在進めているところであり、全国的に利用できるようになった段階でお知らせする予定である。また、他のICTツールについても即時に無償で利用できるもの等について既に都道府県等に対して情報を共有しているところであり、必要に応じて活用されたい。
 
(3)都道府県と市区間の連携体制の確立について
○「新型コロナウイルス感染症の患者数が大幅に増えたときに備えた入院医療提供体制等の整備について(改訂)」(令和2年3月26日付け事務連絡)に基づき、都道府県は県内の患者受入れを調整する機能を有する組織・部門(以下「都道府県調整本部」という)を設置していることから、保健所設置市及び特別区は、自宅療養中の軽症者等が症状の悪化により入院が必要になった時のために、都道府県調整本部との連携体制を確保しておくこと。
○ なお、保健所設置市及び特別区は、都道府県が医療提供体制の整備、宿泊療養の実施を担っていることを踏まえ、新型コロナウイルス感染症の感染状況等医療需要や宿泊療養実施施設の必要量に影響を与えうる情報の共有が十分になされるよう留意すること。
 
(4)患者本人への情報の伝達について
○ 都道府県等は、自宅療養を行う軽症者等に伝達すべき事項をまとめたリーフレットを作成の上、帰国者・接触者外来等に配布しておくこと。当該リーフレットには症状が変化した場合の相談先や必要に応じて受診するべき医療機関、受診に当たっての手順(事前に医療機関に電話の上で受診する必要があるか等)に関する記載も盛り込むこと。なお、健康状況のフォローアップを、ICTを活用して行う場合には当該リーフレット上にICTの操作方法等も記載しておくことが望ましい。
○ 新型コロナウイルス感染症であると診断を行った帰国者・接触者外来等の医療機関は、その患者が軽症者等であり、自宅療養が可能な場合に、フォローアップの内容や感染管理対策等について、都道府県等が作成した、自宅療養の留意事項をまとめたリーフレットを活用して説明を行うこと。その際、症状が変化した場合の相談先や受診するべき医療機関、受診に当たっての手順についても説明を行うこと。また、都道府県等が軽症者等のフォローアップにICTを活用している場合には、ICTツールへの登録等の案内を、その場でリーフレットに基づき行うことが推奨されること。
○ なお、「医療提供体制(外来診療体制)」の対策の移行が行われていない場合、患者は、基本的には帰国者・接触者外来において新型コロナウイルス感染症の診断を受けて、自宅療養となることが想定される。そのため、都道府県等は、基本的には帰国者・接触者外来から自宅療養を行う患者の情報提供を受けてフォローアップを開始する。一方、対策の移行が行われている場合は、原則として一般の医療機関で外来を行うこととなるため、その場合のフォローアップ体制及びその内容については整理の上、追ってお示しする予定である。
 
(5)健康状態の把握頻度、把握項目等及び相談の体制整備について
○ 自宅療養中の患者の健康状態の把握のため、都道府県等は、診断を行った医師の指示により、定期的に本人から健康状態を聴取すること(医師による特段の指示が無い限り、ICT活用や電話の使用など、簡便な手法での聴取が可能である。)。その際には、その患者への診療を行った医療機関から、当該患者の状態、診療内容、フォローアップを行うに当たっての留意事項等について申し送りを受けた上で、患者の健康状態の把握に努めること。
○ 健康状態の聴取の頻度としては、一日に一回を目安とするものの、患者の状態等に応じて柔軟に対応すること。聴取の具体的な内容としては、体温、咳、鼻汁又は鼻閉、倦怠感、息苦しさ(労作時の変化にも注意すること)、その他特に申出があった症状の有無、症状の変化の有無、症状がある場合は発症時期、程度、変化を一日に二回を目安として確認すること。また、医薬品使用の有無、医薬品を使用している場合には、想定される自宅療養の期間の薬剤の所持の有無を確認すること(薬剤が不足する場合は患者へ処方・調剤されるよう調整すること)。
○ 定期的な健康状態の把握とは別に、自宅療養中の患者の症状が変化した場合などに備え、患者からの連絡・相談を受ける体制を確保しておくこと。自宅療養中の患者の増加に応じて、電話回線及び相談体制を十分に確保しておくこと。その際、患者本人に限らず、同居家族等の体調が悪化した場合においても、連絡・相談を受けること。
○ 新型コロナウイルス感染症患者には、発症時は症状が無い又は医学的に症状が軽い場合でも、時間の経過とともに急激に症状が悪化する例もみられることから、症状の変化等に留意してフォローアップを行い、受診が必要な時は速やかに医療機関につなげること。
○ また、都道府県等はフォローアップを行うに当たって必要に応じ、市町村(福祉部門)とも連携すること。
 
(6)自宅療養中の患者に対する医療の提供について
○ 定期的な健康状態の把握や患者からの相談を受けることによって、自宅療養中の患者を医療機関につなげる必要がある場合には、保健師、看護師又は必要に応じて診断を行った医師が、必要に応じて都道府県調整本部とも連携し、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ可能な医療機関(その患者を診断した医療機関をはじめとする帰国者・接触者外来等や、必要に応じて重点医療機関等の入院治療が可能な医療機関を想定)への受診を迅速に調整すること。なお、医師による診察や薬局における服薬指導は、電話等情報通信機器を用いた診療等の活用を検討しても差し支えない。電話等情報通信機器を用いた処方、処方箋の取扱い及びその調剤についても次の事務連絡によるものとする。
・「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」(令和2年2月28日付け事務連絡)
・「新型コロナウイルスの感染拡大防止策としての電話や情報通信機器を用いた診療等の臨時的・特例的な取扱いについて」(令和2年3月19日付け事務連絡)。
○ 事前に、自宅療養中の患者に対して医療の提供が必要になった場合に備え、迅速に新型コロナウイルス感染症患者の受入れ可能な医療機関の受診につなげることができるよう、都道府県調整本部、地域の医師会、医療機関、消防機関等と、医療提供及び搬送体制について調整を行っておくこと。その場合、重症者の受入れ可能な医療機関についても調整を行うこと。また、実際に自宅療養を行っている患者の情報についても共有を行うこと。
 
2.自宅療養時の感染管理対策について
○ 都道府県等は、新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行うに当たって、以下に記載する対応を行うよう呼びかけるとともに、帰国者・接触者外来等の医療機関へ自宅療養を行う患者へ説明するよう要請すること。その際、「1.(4)患者本人への情報の伝達について」で述べたリーフレットに盛り込むことで患者への周知を行うこと。
<居住環境>
・患者専用の個室を確保することが望ましい。個室が確保できない場合は、同室内の全員がマスク(サージカルマスク等)を着用し、十分な換気を行う。
・患者の行動範囲は最小限とし、患者と接する人は十分な距離を保つ(1m以上)。
・部屋の出入り時には、サージカルマスク等を着用し、流水と石鹸又は擦式アルコール性消毒薬による手洗いを行う。
・患者専用の洗面所・トイレを確保することが望ましい。洗面所・トイレを共用する場合は、十分な清掃と換気を行う。
・リネン(タオル、シーツなど)、食器、歯ブラシなどの身の回りのものは共用しない。
・入浴は家族の中で最後に行う。
・外部からの不要不急な訪問者は受け入れない。
<同居者の感染管理>
・患者のケアは特定の人が担当する。基礎疾患がない健康な人が望ましい。
・患者とケア担当者が接触する際には、どちらもサージカルマスク等を着用する。
・口腔内、気道のケアの際、体液・汚物に触れる際、清掃・洗濯の際はサージカルマスク等、手袋、プラスティックエプロンやガウン(身体を覆うことができ、破棄できる物で代替可:例カッパ等)を使用する。
・マスクの外側の面、眼や口などに手で触れないよう注意する。
・患者や汚物との接触後、清掃・洗濯の後は石鹸と流水で手を洗う。
<清掃>
・患者が触れるものの表面(ベッドサイド、テーブル、ドアノブなど)は家庭用除菌スプレーなどを用いて、一日一回以上清拭する。
・リネン、衣類等は通常の洗濯用洗剤で洗濯し、しっかりと乾燥させる。洗濯表示に記載されている上限の温度での洗濯、乾燥が望ましい。
 
以上
 
 

 
軽症者等の療養に関する対象者等の基本的考え方について
 

 
宿泊療養のマニュアル
 

 
自宅療養中の患者へのフォローアップ及び感染管理対策
 

 
軽症者等の療養等に関する流れ
 
ページトップへ