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高齢者施設における新型コロナウイルス感染者発生時等の検査体制について
事務連絡
高齢者施設における新型コロナウイルス感染者発生時等の検査体制について
事務連絡
高齢者施設における新型コロナウイルス感染者発生時等の検査体制について (事務連絡)
発出日:令和2年8月7日
更新日:令和2年8月7日
更新日:令和2年8月7日
事 務 連 絡
令和2年8月7日
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都道府県
各 保健所設置市 衛生主管部(局)御中
特 別 区
都道府県
各 指定都市 介護保険担当主管部(局)御中
中 核 市
厚生労働省健康局結核感染症課
厚生労働省老健局高齢者支援課
厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課
厚生労働省老健局老人保健課
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高齢者施設における新型コロナウイルス感染者発生時等の検査体制について
高齢者施設における新型コロナウイルス感染症発生に備えた対応等については、「高齢者施設における新型コロナウイルス感染症発生に備えた対応等について」(令和2年6月30日付厚生労働省健康局結核感染症課ほか連名事務連絡)(以下「6月30日付事務連絡」という。)等において示しているところです。
高齢者施設の入所者は重症化リスクが高い特性があり、早期発見の取組強化が重要であることから、今般、特に新型コロナウイルス感染者が発生した場合等の検査体制に関する留意事項を整理しましたので、必要な対応を行うとともに、管内の施設に対しての周知をお願いします。
なお、指定都市・中核市におかれては、都道府県と連携して対応いただくようお願いします。
記
1.新型コロナウイルス感染症の感染が疑われる場合
○ 発熱、呼吸器症状等により感染が疑われる職員、入所者については、「「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」の改訂について」(令和2年5月11日厚生労働省子ども家庭局総務課少子総合対策室ほか連名事務連絡)等を踏まえ、帰国者・接触者相談センターや主治医、協力医療機関、地域の相談窓口等に相談し、必要に応じ紹介された帰国者・接触者外来等で検査を受けることとなる。
○ 「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年5月25日変更)(新型コロナウイルス感染症対策本部決定)三(4)⑦においては、都道府県は、「特に感染が疑われる医療、施設従事者及び入院患者等については、率先してPCR検査等を受けさせるようにする」とされており、感染拡大防止の観点から、感染が疑われる者への速やかな検査を実施することが重要である。
○ また、新規入所者について、入所時に、地域における新型コロナウイルス感染症の発生状況や入所前の生活状況等を勘案して、医師が必要と認める場合には、症状の有無に関わらず検査を行うことができるものであることを申し添える。
2.新型コロナウイルス感染者発生時等の行政検査
○ 施設関係者に感染者が発生した場合には、適切な感染管理が可能となるよう、感染が疑われる者への速やかな検査を実施することが重要となる。
○ 新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の対象については、「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査に関するQ&Aについて(令和2年7月15日時点)」(令和2年7月15日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)Q1において、以下のように示されている。
○ 新型コロナウイルス感染症にかかる「行政検査」の対象者としては、感染症法第15条第1項・第3項第1号より、
①新型コロナウイルス感染症の患者
②当該感染症の無症状病原体保有者
③当該感染症の疑似症患者
④当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者
となっております。
○ 上記①~③の具体的な基準としては、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について(一部改正)」(令和2年5月13日付健感発0513第4号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。以下「届出通知」という。)別紙の第7において、それぞれをお示ししております。
○ 上記④については、例えば、「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」(令和2年5月29日版。国立感染症研究所感染症疫学センター)に示されている「濃厚接触者」が該当することをお示ししていますが、必ずしもこれに限られず、以下のような者についても④に該当すると考えられます。
○ 特定の地域や集団、組織等において、
・関連性が明らかでない患者が少なくとも複数発生しているなど、検査前確率が高いと考えられ、かつ、
・濃厚接触を生じやすいなど、クラスター連鎖が生じやすいと考えられる状況にある
と認められる場合における、当該地域や集団、組織等に属する者
※ 上記の「地域や集団、組織等に属する者」に対する行政検査については、個別具体的な検査対象者の感染の疑いに着目して行う検査ではないため、濃厚接触者に対する検査とは別のものとして行うのであり、検査対象者は濃厚接触者として取り扱うことはしないこと(14日間の健康観察の対象としない)とされている。また、高齢者は重症化しやすい者が多く、クラスターが発生した場合の影響が極めて大きくなることから、高齢者施設において感染が1例でも出た場合などにおいても当該行政検査を実施できる。
○ 上記Q&Aを踏まえ、感染者が発生した施設入所者等への検査など、感染リスクが高いと判断される場合には、施設における感染拡大を最小化するために、高齢者施設において積極的に検査を行うことが重要である。
○ 高齢者施設の入所者は移動が困難な場合もあり、施設や居室内で検体採取を行うことも想定される。
○ この場合、出張方式で検体採取等を行うことも考えられ、このような場合に備えた検査実施の体制づくりが重要であり、衛生部局と福祉部局が連携しつつ、以下の点に留意し対応を行うこと。
(1)都道府県における検討等
○ 「新型コロナウイルス感染症に関するPCR等の検査体制の強化に向けた指針」(令和2年6月2日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡別添)3-2(3)において、「今後、濃厚接触者の検査など、クラスター対策をさらに強化していくこととしており、保健所から施設や自宅等に赴いて検査を行う場合も増加することが想定されるため、そのための体制をあらかじめ確保しておく必要がある。また、要介護者や医療的ケア児等の自宅に赴いて検査を行うことも考えられることから、併せて必要な体制を確保する必要がある。」とされている。
○ また、「今後を見据えた保健所の即応体制の整備について」(令和2年6月19日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)においては、「行政検査の体制整備に際しては、検査実施のマニュアル作成(鼻咽頭ぬぐい液等の検体採取や検体の取扱いなどの手技、物品消毒・廃棄など)や研修の実施により、安全かつ円滑に検査が実施できる人材を確保することが重要である。なお、人員の確保が更に必要な場合には、地域の医師会や看護協会等の関係団体や医療機関等と調整を行い、輪番制や、人員の応援派遣要請、看護職員等の復職の呼びかけを行うなど、あらかじめ必要な人員体制を確保しておくことが重要である。また、地域の医師会などの団体等への外部委託や、医療機関で保険診療としてPCR検査及び抗原検査を実施できるようになったことも踏まえ、地域の医師会や医療機関と調整の上、できる限り、保健所業務が低減できるように、医療機関で検査を実施できる体制を整えておく必要がある。なお、即応体制を整備するためには、事前に契約事務等を行っておくことが重要である。」とされている。
○ これらも踏まえ、衛生部局においては、引き続き保健所等の検査体制整備を行うこと。
○ この時、感染症予防事業費等国庫負担金を活用し、行政検査の外部委託により、感染者が発生した施設に看護職員等を派遣し検体採取を行うことができるチームをあらかじめ確保しておくも考えられること。
○ また、福祉部局や高齢者施設においては、同一法人の医療機関、併設医療機関、協力医療機関等、高齢者施設が平時に連携している医療機関(以下「連携医療機関」という。)が、地域の検査体制が逼迫した場合に保健所に代わり検体採取又は検査実施が可能な見込みである場合には、その旨を保健所に連絡し、保健所から連絡を受けた都道府県、保健所設置市又は特別区(以下「都道府県等」という。)が、当該連携医療機関と行政検査に係る委託契約の調整を行うことも考えられる。
※ なお、当該委託契約の効果は遡及させることができることから、契約手続きに時間を要する場合などには、契約が締結されれば契約締結前に実施された検査についても契約に基づく補助の対象になることを都道府県等と連携医療機関の間で合意した上で、契約締結を待たずに、行政検査を実施することとしても差し支えない。
○ 衛生部局においては、保健所の体制及び上記対応方法等を踏まえ、検体採取を行う人材確保、検体採取後の検体搬送方法の確認等、高齢者施設において新型コロナウイルス感染者が発生した場合の検体採取体制を構築すること。
○ なお、現在、感染リスクのより低い唾液による検査が無症状者を含め可能となっており、また、有症状者には迅速に結果が判定できる抗原検査キットも活用できるようになっている。保健所や医療機関においては、唾液による検体採取を積極的に考慮するととともに、抗原検査キットを予め一定程度備えておくことも重要である。また、PCR検査機器や抗原定量検査機器をさらに整備することも重要である。
○ 福祉部局においては、各施設のリスト、所在地の情報提供等を行い、体制構築に協力すること。
○ 行政検査として実施するものであり、施設に赴くにあたっては、「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取扱いについて」(令和2年3月4日付け健感発0304第5号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。同年6月25日最終改正。)において「採取された唾液検体を回収する際には、サージカルマスク及び手袋を着用すること。」、「鼻腔や咽頭から検体を採取する際には、サージカルマスク等、眼の防護具(ゴーグル又はフェイスシールド)、ガウン及び手袋を装着すること。」等とされていることを踏まえ、衛生部局又は保健所において検体採取に必要な感染防護資材の準備を行うこと。
○ 検体採取に必要な滅菌綿棒等の資材は、衛生部局又は保健所において準備すること。
○ 緊急の場合やあらかじめ調整している場合等は委託者や施設等の感染防護具や検体採取の資材を使用することも考えられるが、その場合、使用分は都道府県において補充もしくは費用の負担をすること。
(2)施設における検討等
○ 感染者が発生した施設において、入所者の状態等により受診が困難な場合等においては、保健所等が施設に赴いて検体採取を行う場合も考えられる。
○ そのような場合に備え、検体採取が行われる場所について、以下の観点も踏まえ事前に検討しておくこと。
・ 当該場所までの入所者の移動について、濃厚接触者とその他の入所者が接触しないよう、可能な限り導線が分けられていること。
・ 検体を採取する場所は十分な換気及び清掃、適切な消毒を行うこと。
○ 感染者、濃厚接触者、その他の入所者がわかるよう、また、検査を受けた者とその検体採取日がわかるよう、職員及び入所者のリストを準備しておくこと。