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社会保障審議会介護保険部会「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」中間とりまとめを踏まえた対応について(その2)
老発0330第1号
社会保障審議会介護保険部会「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」中間とりまとめを踏まえた対応について(その2)
老発0330第1号
社会保障審議会介護保険部会「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」中間とりまとめを踏まえた対応について(その2) (老発0330第1号)
発出日:令和3年3月30日
更新日:令和3年3月30日
更新日:令和3年3月30日
老発0330第1号
令和3年3月30日
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各
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都道府県知事
指定都市市長
中核市市長
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殿
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厚生労働省老健局長
( 公 印 省 略 )
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社会保障審議会介護保険部会「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」
中間とりまとめを踏まえた対応について(その2)
介護保険制度の運営につきましては、平素より種々御尽力をいただき、厚く御礼申し上げます。
令和元年8月に社会保障審議会介護保険部会の下に「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」(以下「専門委員会」という。)が設置され、自治体関係者の参画も得て、令和元年12月4日に中間とりまとめが行われました。(別添参照)
同中間とりまとめにおいて今後の取組としていた事項のうち、令和2年度に専門委員会で検討した対応方針を下記の通りお示しいたしますので、貴職におかれましては、本通知を踏まえた適切な対応を図られるとともに、管内市町村(特別区を含む。)、関係団体等に対し周知をお願いいたします。
なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言として発出するものです。
記
第一 今般お示しする対応方針
1.変更届に関する取扱い
(1)運営規程等に記載する従業員の「員数」の取扱い
運営規程や重要事項説明書に記載する従業員の「員数」は日々変わりうるものであるため、業務負担軽減等の観点から、介護サービス事業者が規程を定めるに当たっては、指定基準において置くべきとされている員数を満たす範囲において、「○人以上」と記載することも差し支えないこととする。
実人数を記載する場合にあっても、運営規程の「従業者の員数」に変更があったとするのは、1年のうち一定の時期を比較して変更している場合とし、その変更の届出は1年のうちの一定の時期(どの時期がいいかは各指定権者の判断事項)に行うことで足りるものとすること。(例えば、毎年3月に変更の届出を行わせる場合には、介護サービス事業者は、前年の3月と比較して変更している事項について届出を行うこととなる。)
なお、この取扱いは、従業者の日々の変動などを想定しているものであって、運営規程に変更があったとしても届出をしなくてもよいということを示しているものではないことに留意されたい。
(2)変更届に添付を求める書類の標準化
変更届に添付を求める標準添付書類について、別途お示しする。
(3)変更届の提出が遅延した場合の遅延理由書について
事業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項に変更があったとき、介護サービス事業者は10日以内にその旨を指定権者に届け出なければならないと介護保険法で定められており、介護サービス事業者は変更届の提出期限を遵守しなければならないが、やむを得ない事情により遅延した場合などにおいては、指定権者は遅延理由書の提出までは求めないなど、介護サービス事業者に過度な負担をかけることのないよう留意すること。
2.更新申請時に求める文書の簡素化
介護保険法施行規則において、介護サービス事業者が更新申請にあたり提出が必要な事項のうち、既に指定権者に提出していて変更がない場合、指定権者は「申請書の記載又は書類の提出を省略させることができる」としている事項について、特段の事情がない限り、省略させることとする。
なお、変更がないために提出を省略する書類であることを確認するためのチェックリストの様式例を別途お示しする予定であるので、必要に応じて活用されたい。
3.複数の指定を受ける事業所に関する簡素化
(1)介護サービスと介護予防サービスの指定を受ける場合の取扱いについて
例えば、介護予防訪問看護の指定を受けようとしている事業所が、訪問看護の指定を受けている場合においては、既に都道府県知事に提出している事項について変更がないときは、それらの事項にかかわる申請書又は書類の提出を省略させることができることが介護保険法施行規則において規定されている。指定権者は、これらの場合における「申請書の記載又は書類の提出を省略させることができる」としている事項については、特段の事情がない限り、省略させることとする。
(2)指定の有効期間の定めに関する弾力的な運用について
介護保険法の規定により、指定サービス事業者等の指定等は、6年ごとにそれらの更新を受けなければ、その期間の経過によって効力を失うとされているが、これらは、指定等の有効期間を規定するものであり、指定等の更新を6年未満で行うことを妨げるものではない。
したがって、同一事業所で複数のサービスの指定等を受けており、それぞれの指定等の有効期限が異なっている場合に、それらの指定等の有効期間をあわせて更新することは可能であるので、必要に応じて対応願いたい。
なお、上記は、指定の更新を6年未満で行うことが可能であることを示したものであり、指定の有効期間を6年未満に短縮できるとしたものではない。
4.「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」様式例について
自治体及び事業者から寄せられた意見等を踏まえ、様式例及び事業所独自のシフト表等により代替する場合の必要項目について、別途お示しする。
5.実地指導等について
(1)介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針を踏まえた実地指導マニュアルの改訂を行い、更なる標準化・効率化に資する取り組みを推進するとともに、指導形態を見直し、事業所の運営状況により実施頻度についてメリハリをつけることとし、別途、関係通知等を改正する。
(2)老人福祉施設の監査の頻度(原則、毎年1回)については、社会福祉法人監査の頻度と整合性を図り、適正な施設運営が確保されている場合には、原則として3年に1回とし、別途、関係通知等を改正する。
第二 今後の取組
1.様式例の整備
(1)総合事業の様式例の整備
専門委員会での検討を踏まえ、従前相当サービス及びサービスAの指定申請・変更届の様式例を作成し、お示しする予定。
(2)加算の添付書類等
専門委員会での検討を踏まえ、各種加算について整理し、標準添付書類等をお示しする予定。
2.ガイドライン等、効果的な周知の方法
指定申請や報酬請求に関する指定権者の実務の標準化に向け、専門委員会で検討した対応方針等は当面、通知等によりお示しする。
ウェブ入力・電子申請の実現後、指定権者及び事業者からの意見を踏まえながら、更なる簡素化・標準化の検討を行い、その結果を指定申請・報酬請求に関する運用指針(ガイドライン)としてとりまとめる予定。
3.ウェブ入力・電子申請(データの共有化)
専門委員会の方針を踏まえ、介護サービス情報公表システムを活用した指定申請等に関するウェブ入力・電子申請について検討を進めており、当該システムの改修を令和3年度中に行い、令和4年度当初から運用することを予定している。進捗状況や今後の運用方法等については逐次、お知らせする。
以上
別添
社会保障審議会介護保険部会
介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会
中間取りまとめ
令和元年12月4日
1.検討の背景・経緯
○ 少子高齢化が進展し、介護分野の人的制約が強まる中、専門人材が利用者のケアに集中し、ケアの質を確保するために、介護現場の業務効率化は急務であり、その一つとして文書に係る負担軽減が求められている。同時に、自治体においても、限られた人員の中で指定権者や保険者としての役割を適切に果たすためには、職員の負担軽減が重要である。
○ こうした状況を踏まえ、介護分野の文書に係る負担軽減の実現に向け、国、指定権者・保険者及び介護サービス事業者が協働して、必要な検討を行うことを目的として、社会保障審議会介護保険部会に本専門委員会を設置し、本年8月に議論を開始した。
○ 本専門委員会では、主に以下の検討事項について、事業者団体からのヒアリングを含めて計5回にわたり議論を行った。
介護分野において、国、指定権者・保険者及び介護サービス事業者の間でやり取りされている文書に関する負担軽減を主な検討対象とする。
(1)これまでに取組が進められている以下の分野について、必要に応じ更なる共通化・簡素化の方策を検討する。(様式例の見直し、添付文書の標準例作成)
① 指定申請関連文書(人員・設備基準に該当することを確認する文書等)
② 報酬請求関連文書(加算取得の要件に該当することを確認する文書等)
③ 指導監査関連文書(指導監査にあたり提出を求められる文書等)
(2)(1)に掲げる分野以外を含めて、地域によって取扱に顕著な差異があり、事業者及び指定権者・保険者の業務負担への影響が一定程度見込まれる分野について、共通化・簡素化の方策を検討する。(例:自治体によって解釈が分かれることが多い案件の整理)
(注)介護報酬の要件等に関連する事項については、介護給付費分科会にて検討。
○ 今般、一定の方向性が得られた点について早期に実現に向けて取組を推進する観点から、これまでの検討内容について整理し取りまとめを行った。
2.介護分野の文書に係る負担の現状・課題
○ 本専門委員会での検討を通じ、介護保険制度の創設から約20年が経過する中での制度改正等を経て、指定申請、報酬請求及び指導監査に関する制度及び手続が徐々に複雑化してきたことを背景に、事業所と自治体の双方で文書負担が増していることが指摘された。具体的には、介護予防サービス、地域密着型サービス及び介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という。)の創設に伴い、サービス類型が増加し、従来は一件の申請であったサービス事業所が複数の申請及び提出先に分かれたことや、介護職員処遇改善加算のような新たな加算が創設されたことなどが挙げられた。
○ また、事業者からは、自治体による様式や解釈の差異などの、いわゆるローカルルールへの対応に負担感があるとの意見が多く示された。これに対し、自治体側からは、解釈の余地がある部分についてどこまで文書を求めるべきか苦慮してきた経緯や、事業者の利便性のために国の様式例を改変して使用している場合も多く、また、過去の不正やトラブルの事例を踏まえて厳格化してきた経緯がある等の現状が示された。
○ さらに、ウェブ入力や電子申請等のICTの活用について、抜本的な活用策の検討が必要であるとの意見が示された。ICT化については、重複項目や二度手間を無くしていく簡素化の観点や、文書の保管にかかる負担軽減に資するペーパーレス化の観点から、積極的に推進すべきとの意見が多く見られた一方で、小規模事業者を中心にICTへの対応が困難な事業所がある点に留意すべきとの意見も示された。また、既存システムの活用可能性についての意見も示された。
3.介護分野の文書に係る負担軽減策の方向性
(1)検討にあたっての視点
○ 本専門委員会において、指定申請、報酬請求及び指導監査等の分野別に意見聴取を行ったが、集約の結果、分野横断的に共通する項目が多いことが分かった。これを踏まえ、以下の3つの観点を念頭に置きつつ、分野横断的に負担軽減策の検討や取組を進めていくこととした。
① 個々の申請様式・添付書類や手続に関する簡素化
② 自治体毎のローカルルールの解消による標準化
③ 共通してさらなる効率化に繋がる可能性のあるICT等の活用
○ また、負担軽減策については、全ての取組を並列ではなく、短期的に取り組むべき項目と、その進捗を踏まえつつ取り組むべき項目があることに留意が必要である。ただし、特にICT等の活用に関しては、簡素化や標準化がその前提である一方で、ICT化を通じて簡素化・標準化が促進される側面もあることを念頭に、スピード感を持って具体化を進めることが有効である。
○ さらに、例えば小規模事業者への支援など、簡素化・標準化・ICT等の活用の取組を現場に徹底していくための方策も併せて検討を行うことが必要である。
(2)簡素化
(2-1)令和元年度内目途の取組
① 提出時のルールによる手間の簡素化:押印 <指定申請・報酬請求>
【現状】
○ 本専門委員会において、
・ 押印を求められることにより紙面でのやり取りにならざるを得ない場合がある
・ 実印の押印でなくても良い書類は別の形での本人確認を検討すべき
等の意見が示された。
○ 指定申請及び報酬請求に関する文書のうち、法令で押印を求めているものはないが、複数の自治体の様式を確認したところ、
・ 国が示す様式例で「印」と記載のある箇所についての押印を求めている自治体が多いほか、
・ 一部の自治体では、申請書の付表・添付書類への押印を求めていることが確認された。
○ また、複数の自治体に対しヒアリングを行ったところ、申請の単位毎(申請書の1枚目)の押印は、原本性を確保するとともに、法人の意思として申請されたものであることを担保する役割があるため、これを省略すると別の方法による本人確認手続(例:代表者が写真付身分証を持参)が必要となり、今よりも事務が煩雑になる可能性があるとの懸念が示された。
【対応の方向性】
○ 指定申請及び報酬請求に関する文書の押印の考え方につき、以下のとおり広く周知を図る。
(ア)法律に基づき、申請者が介護報酬等の支払いを受けることを認めるにあたり前提となる事項に関する申請について、押印を求める。具体的には、原則として以下の文書のみを対象とし、正本1部に限る。
・ 指定(更新)申請書
・ 誓約書(申請者が法に定める全ての欠格要件に該当しないことを誓約する文書)
・ 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
(イ)付表や添付書類への押印は原則不要とする。
(ウ)押印した文書をPDF化し、電子メール等により送付することも可とする。
○ なお、オンラインでの電子署名その他の本人確認手続の可能性については、今後のICT等の活用と併せて検討する必要がある。
○ また、上記、指定申請及び報酬請求に関し事業所が自治体に提出する文書以外に、事業所内で作成・保管が求められる文書等への押印の要否についても、必要に応じ見直しを行う必要がある。
② 提出時のルールによる手間の簡素化:原本証明 <指定申請・報酬請求>
【現状】
○ 本専門委員会において、管理者や従業者の資格証等の写しの原本証明を求められる場合があるが、その必要性は低いのではないか、との意見が示された。
○ 平成30年度に行った自治体へのアンケート結果によると、回答自治体のうち75.7%は、報酬請求に関する文書のうち、原本証明を求めているものはないとの回答であった。
【対応の方向性】
○ 多くの自治体では原本証明を求めていない実態を踏まえると、原本証明がなくとも事務に支障はないと考えられることから、原則として添付書類への原本証明は求めないこととし、その旨周知する。
③ 提出時のルールによる手間の簡素化:提出方法(持参・郵送等) <指定申請・報酬請求>
【現状】
○ 本専門委員会において、文書の提出方法について、事業者からは、管理者本人が自治体の窓口へ持参することを求められることが負担であるとの意見があった。一方で、自治体からは、過去の不正やトラブルを背景に、申請の入り口段階で対面にて指導を行うことによるメリットもあるという意見が聞かれた。
○ 文書の提出方法について、47都道府県にアンケートを行ったところ、事業者が方法を選択可能と回答した割合は、新規の指定申請で55.3%、変更届で66.0%、更新申請で59.6%であった。選択できる提出方法は、窓口への来訪又は郵送のいずれかとする自治体が多く、押印不要の文書は電子メールでの提出を認めている自治体もあった。なお、複数の自治体にヒアリングしたところによれば、新規の指定申請の場合、多くの事業者は、申請前に窓口に来訪し、対面での相談が行われているという実態も認められた。
○ また、窓口への来訪を求めている自治体の理由(考え方)については、「修正等に関するやり取りがスムーズであるため」という回答が最も多く、「対面での指導の場と位置づけているため」、「事業者側からの希望が多いため」、「収入証紙の取り扱いがあるため」などの回答が見られた。
○ さらに、令和元年度老人保健健康増進等事業「介護保険制度に関する文書の削減に向けた調査研究事業」(株式会社三菱総合研究所)による9自治体に対するヒアリングでは以下のとおりの結果であった。
・ 7自治体は郵送での提出を認めているが、新規指定の初回は持参必須であるのが3自治体、新たに施設を建てて(あるいは借りて)指定申請をする場合は持参必須であるのが1自治体、申請前に現地確認や事前協議を求めているのが2自治体であり、無条件での郵送を受け付けているのは1自治体のみ。
・ 3自治体は電子メールでの提出を認めているが、押印の必要がない書類に限っていた。
・ 勤務表や運営規程については再提出を求めることが多い。
【対応の方向性】
○ 以下の取扱いについて、周知を図る。
(ア)新規指定申請については、事前説明や面談の機会等を含めて一度は対面の機会を設けることを基本としつつ、すでに複数事業所を運営している事業者の場合については更なる対面を必須としない等、場合分けを行った上で対応する。その際、事前説明や面談を経ているにも関わらず再度持参を求めたり、誤記や添付漏れ等の提出後の補正による再提出にも持参を求めたりといった複数回の持参の手間が発生しないよう留意する。
(イ)更新申請については、原則、郵送・電子メール等による提出とする。ただし、指定有効期間中に事業所運営に問題があった場合等、予め定める条件に該当した場合には、例外的に対面での提出を求める。
(ウ)変更届については、原則、郵送・電子メール等による提出とする。
(エ)ただし、いずれの場合も、持参を希望する事業者については、持参できることとする。
④ 様式・添付書類そのものの簡素化:勤務表の様式 <指定申請・報酬請求>
【現状】
○ 本専門委員会において、指定申請・報酬請求に共通して、人員配置に関する文書に係る負担が大きいという意見が多く挙げられた。
○ 特に「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表」については、
・ 自治体の独自様式で作成を求められる場合があることから、全国共通の様式を整備すべき
・ 事業所が使用している独自の勤務表で代替できるようにすべき
という意見が見られた。一方で、
・ 事業所の独自様式では常勤換算等がきちんと読み取れるものになっていない場合があり、自治体としては配置状況を確認できる書類を出し直してもらうことになるおそれもある
との意見もあった。
○ 8自治体における勤務表(新規指定・通所介護)の様式の相違点に関する調査の結果、8自治体全てが、国が示す参考様式に何らかの改変を加えた様式を使用していた。
改変の内容は多岐にわたるが、
・ 人員配置基準の確認を行う上で有用と思われる項目(例:資格、常勤職員の勤務すべき時間数、サービス提供単位に関する情報等)の追加や、
・ 事業者が記入・入力をしやすいよう備考欄の記載を充実する等の工夫が多く見られた。
○ また、複数の自治体に対しヒアリングを行ったところ、兼務等を含めた人員配置状況の確認は複雑であり、様式に全てを反映した場合、かえって負担感が増える事業所や自治体もあり得ることに留意が必要との意見があった。
【対応の方向性】
○ 厚生労働省の示す参考様式につき、自治体の意見を確認する機会を設けながら、改訂を行う。
⑤ 様式・添付書類そのものの簡素化:人員配置に関する添付資料 <指定申請・報酬請求>
【現状】
○ 本専門委員会において、前述の勤務表の様式と関連し、人員配置に関して求められる添付資料についても、労働契約書や辞令書の写しの提出は不要ではないかとの意見があった。
○ 47都道府県へのアンケート結果によると、最も添付を求めている自治体が多かった文書は勤務者の資格証で、回答のあった全ての自治体で提出を求めていた。その他、雇用契約書、組織体制図、就業規則、経歴書、給与規程等といった提出文書も複数自治体で求められているが、いずれも過半数を超えるものではなかった。資格証を求める対象については、自治体によっては人員配置基準に直接関連しない職種についても求めている場合が見られた。
【対応の方向性】
○ 人員配置を確認するために添付を求める資料については、自治体による差異があり負担感に繋がっていることから、求めるべき添付資料の範囲を明確化し、周知を行う。具体的には、添付資料は人員配置基準に該当する資格に関する資格証の写しを求めることとし、雇用契約書等その他の人員に関連する添付資料は求めないものとする。さらに、資格証の写しについても、自治体において代替の確認方法がある場合には、求めないこととする。
⑥ 様式・添付書類そのものの簡素化:施設・設備・備品等の写真 <指定申請>
【現状】
○ 本専門委員会において、参考様式に定める平面図や設備・備品等の一覧表に加え、施設や設備・備品の写真について提出を求めている自治体があり、さらに指定基準に直接関連しない備品等の写真まで求めている場合があるとの意見があった。
【対応の方向性】
○ 写真の提出を求める場合は、自治体が指定にあたって現地を訪問できない場合に限って提出を求めることとし、その旨周知する。
⑦ 様式・添付書類そのものの簡素化:処遇改善加算/特定処遇改善加算 <報酬請求>
【現状】
○ 介護職員処遇改善加算(以下「処遇改善加算」という。)については、確実な処遇改善を担保するため、計画書及び実績報告の提出を求めており、本年10月から開始した特定処遇改善加算(以下「特定加算」という。)についても同様の取扱いとしている。また、計画書の提出に応じその内容を確認するため添付書類の提出も自治体の状況に応じ求めている。
○ これに関連し、本専門委員会においては、
・ 指定権者毎に求められる計画書等の様式に差異があること
・ 個人情報の取扱に懸念のある書類を求められる場合があること
等に関する指摘があり、都道府県に対する調査結果をみても、
・ 半数程度の都道府県で国の様式を変更し用いている
・ 自治体により求められる提出が異なっている
等の状況がみられたところ。
【対応の方向性】
○ このような状況を踏まえ、来年度より実施予定の処遇改善加算及び特定加算に関する計画書等を一本化する。その際、確実な処遇改善を担保するという加算の趣旨は踏まえた上で、
・2年目以降の申請手続や複数の事業所を有する介護サービス事業所等が申請する場合等への配慮を含め、関係者の意見を踏まえ、国様式を見直すこと
・ 国様式を指定権者が使用することが望ましいことを周知すること
・ 添付書類として求める書類の範囲を明確化すること
とする。
○ なお、中長期的には、複数の事業所を有する介護サービス事業所等に対する申請窓口の配慮の方策に関し指摘があったことも踏まえた対応など更なる簡素化を検討すべきである。
⑧ 実地指導に際し提出する文書の簡素化 <指導監査>
【現状】
○ 本専門委員会において、実地指導における提出文書について、事前提出資料と当日確認資料が重複しており効率化すべきとの意見や、指定申請や変更届で提出済みの書類は再提出しなくて良いようにしてほしい等の意見が聞かれた。
【対応の方向性】
○ 以下の点について、実地指導の標準化・効率化指針(後述)の見直しのタイミングに合わせて周知を行う。
(ア)事業所に対し資料(文書等)の提出を求める場合の内容の重複防止
(イ)実地指導時の既提出文書の再提出不要の徹底
(2-2)1~2年以内の取組
以下①~⑤につき、令和2年度中に見直しの方向性の検討を行い、結論を得る。その上で、各取組の結論に応じて速やかに必要な対応を行う。
① 変更届の頻度等の取り扱い <指定申請・報酬請求>
人員交代に伴う頻繁な変更届の提出や、類似の文書の重複提出が生じていて負担であるとの指摘があり、重複や二度手間を無くすことを念頭に、省令に定める変更時に届出が必要な提出項目について精査するとともに、必要に応じ、変更届の様式例や添付書類の範囲を整理する方向での見直しを検討する。
② 更新申請時に求める文書の簡素化 <指定申請>
指定の更新申請にあたって、変更届を提出済の内容についても文書を求められ負担であるとの指摘や、新規指定申請と同様の一式を提出する場合と簡素化している場合等、自治体による差異があるとの指摘があり、更新申請時に求める文書及び手続の流れについて実態を把握の上、簡素化している自治体に合わせる方向での見直しを検討する。
③ 併設事業所や複数指定を受ける事業所に関する簡素化 <指定申請・報酬請求>
併設事業所や、予防サービスや総合事業等複数指定を受ける事業所に関し、文書や手続の重複が指摘されている。例えば以下のような対応につき、検討を進める。
・ 同一の事業所で実施している介護サービス/予防サービスで類似の書類一本化
・ 介護サービス事業所の指定を受けている事業所の総合事業の指定申請に関し簡素化
・ 介護サービスと予防サービスで指定開始日が異なる場合、更新日を近い方に合わせ集約し、更新申請が6年に1度で済むようにする
④ 介護医療院への移行にかかる文書の簡素化 <指定申請>
介護医療院への移行に関し、転換での申請の場合に新規申請と同様の文書が求められるとの指摘がある。特に介護療養型医療施設と介護医療院では同じ基準を設けている事項もある。この点、介護療養型医療施設から介護医療院への転換での開設許可申請にあたり、介護療養型医療施設の指定の更新を受けた時点から変更がない事項等に係る資料については提出不要とすることにつき検討し、必要な対応を行う。
⑤ 指導監査の時期の取り扱い <指導監査>
実地指導の頻度については多くした方が適正運営につながるとの意見と、過去の実績に応じて実地指導の間隔を延ばすことも可能との意見と、両方の意見がある。また、併設事業所について実地指導を同一日にして欲しいとの要望がある。これらを踏まえ、適切な事業所運営を担保することを前提に、実地指導の実施頻度等について、さらなる効率化が図られるよう検討を行う。
(3)標準化
(3-1)令和元年度内目途の取組
① H30省令改正・様式例改訂の周知徹底による標準化 <指定申請・報酬請求>
【現状】
○ 「介護保険法施行規則等の一部を改正する省令」(平成30年厚生労働省令第80号、平成30年10月1日施行)にて、事業者が指定申請にあたり提出する文書のうち、「申請者又は開設者の定款、寄附行為等」、「事業所の管理者の経歴」、「役員の氏名、生年月日及び住所」、「当該申請に係る事業に係る資産の状況」を不要とするよう省令改正が行われた。また、同省令改正を踏まえ、指定申請に関する様式例の改訂・周知が行われた(平成30年9月28日付事務連絡)。
○ 都道府県へのアンケート結果によると、省令改正については87.2%、様式の改訂については76.6%が、これらに基づく対応を完了している。
【対応の方向性】
○ 省令改正及び様式の改訂について、未対応の都道府県だけでなく、市町村も含めて徹底されるよう、改めて強力に周知を図る。
○ 省令改正により削除された項目の一部は、老人福祉法施行規則に基づいて引き続き提出を求められる場合がある。この点について、介護保険法施行規則との整合性を念頭に、老人福祉法施行規則の改正を行う。併せて、有料老人ホームについては、設置の届出やその変更に際して提出を求められる事項につき、法律上に規定されている事項もあることから、老人福祉法の規定の見直しも含めて検討する。
② 実地指導の「標準化・効率化指針」の周知徹底による標準化 <指導監査>
【現状】
○ 実地指導の標準化・効率化については、令和元年5月29日に「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針」(老指発0529第1号、厚生労働省老健局総務課介護保険指導室長通知。以下「標準化・効率化指針」という。)が発出されている。
○ 本専門委員会において、今後、標準化・効率化指針の内容に即した実地指導を徹底すべきとの意見が聞かれた。
【対応の方向性】
○ 標準化・効率化指針に基づく実地指導を一層推進するよう、国主催の自治体向け研修において、指導担当者がその意義を理解し実践につながるようなプログラムを実施する等により、周知を行う。
(3-2)1~2年以内の取組
以下①及び②につき、令和2年度中に見直しの方向性の検討を行い、結論を得る。その上で、各取組の結論に応じて速やかに必要な対応を行う。
① 様式例の整備(総合事業、加算の添付書類等) <指定申請・報酬請求>
総合事業は様式例が存在しない状況であり、国が様式例を示すべきとの指摘や、各種加算の要件を確認する文書について添付すべき書類が定められていないために差異が生じている場合があるといった指摘がある。今後、作成すべき様式例の範囲及び優先順位を検討し、必要な対応を行う。
② ガイドライン、ハンドブック等、効果的な周知の方法 <指定申請・報酬請求>
指定申請や報酬請求に関し、不明確なルールや解釈の幅を少なくするため、ガイドラインやハンドブックがあると良いとの意見があったが、今後、様式例以外にも標準化のために有効な方法がないか検討し、必要な対応を行う。
(4)ICT等の活用
(4-1)令和元年度内目途の取組
① 申請様式のHPにおけるダウンロード <指定申請・報酬請求>
【現状】
○ 本専門委員会においてウェブ入力や電子申請等のICTの活用について意見が示された。ただし、ICT化は一定の時間を要するため、少なくとも様式や記入例をホームページでダウンロードできるようにする取組は早期に進められるのではないかといった意見が示された。
【対応の方向性】
○ 現在、厚生労働省ホームページに掲載している様式例及び参考様式について、改めて掲載につき周知を行う。
○ また、各指定権者においても、Excel等の編集可能なファイル形式にて、外部から分かりやすい形でホームページに申請様式を掲載するとともに、国の様式例と異なる様式を用いている場合にはその旨記載するよう、周知を行う。
② 実地指導のペーパーレス化・画面上での文書確認 <指導監査>
【現状】
○ 本専門委員会において、実地指導に関し、介護記録ソフト等を活用している場合、PCの画面上での書類の確認をできるようにすべき等の意見が見られた。
【対応の方向性】
○ ICTを活用し関係書類を管理している事業所に対する実地指導においては、事業所のPC画面上で書類を確認するなど、事業者に配慮した実地指導の方法について、自治体において検討するよう依頼する。
(4-2)3年以内の取組
以下①及び②につき、令和2年度中に見直しの方向性の検討を行い、結論を得る。その上で、各取組の結論に応じて速やかに必要な対応を行う。なお、以下の対応を待たずに前倒しで実現可能な取組があれば、順次取り組んでいく。
① ウェブ入力・電子申請 <指定申請・報酬請求>
ウェブ入力や電子申請を推進すべきとの意見があるが、(2)の簡素化及び(3)の標準化が、ウェブ入力・電子申請等のさらなるICT等の活用の前提となることから、その実現のための諸課題(例:自治体において様式等を定める規則や要綱の改正、自治体のシステム改修等の影響等)を整理し、検討を進める。具体的には、既存の「介護サービス情報公表システム」を活用した、指定申請及び報酬請求に関する届出等の入力項目の標準化とウェブ入力の実現について、その実現可能性、技術的課題及び費用対効果等に関し、「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」の機能も参考にしながら、来年度中に検討し、方針を得る。さらに、各都道府県の所有する事業所情報の管理を行うシステムとの連携可能性についても、併せて検討を行う。
② データの共有化・文書保管の電子化 <指定申請・報酬請求・指導監査>
自治体と事業者との間でやり取りする文書に関し、ルールと様式を統一し、ウェブ化により各自治体で共有できる仕組みとすべきとの意見や、文書保管について管理の煩雑さや保管場所の観点で負担であるとの指摘がある。この点についても、今後、ウェブ入力・電子申請の検討と併せて、検討する。
(5)取組を徹底するための方策
○ 上記の簡素化、標準化及びICT等の活用について、厚生労働省が必要な対応を行った場合にも、その内容が全国的に徹底されなければ、現場の負担軽減に繋がらないばかりか、逆にローカルルールが増えて負担増になるおそれがある。そのため、関係者協力の下での各取組の周知徹底、国及び都道府県から市区町村への支援、また、小規模事業者等を支援する方策を、併せて行うことが求められる。
○ 特に、本専門委員会において、小規模事業者を中心にICTへの対応が困難な事業所がある点に留意すべきとの意見があったことを踏まえ、事業所におけるICTの導入支援を併せて推進することが、ICT化を通じた簡素化、標準化のためにも重要である。
○ 事業所のICT化にあたっては、今後検討されるウェブ入力や電子申請の取組とケア記録等のICT化が両輪で進むことにより、例えばケア記録作成業務と報酬請求業務を一気通貫で行うことがさらに促進される等、ICT化を通じたさらなる効率化が期待できる。
○ さらには、保険者機能強化推進交付金の活用等、自治体における各取組の推進を図るための仕組みを検討する。
4.今後の進め方
○ 上述のとおり、介護分野の文書負担軽減に関しては、今年度内に対応可能なものと来年度に継続して方針を検討する必要があるものを含めて、多岐にわたる取組が挙げられた。また、取組を全国で徹底するという観点も含めて、継続的な改善が必要と言える。
○ 今般、計5回の専門委員会を通じ、文書負担の現状と課題を整理するとともに、短期的な取組を中心に負担軽減策の方向性につき具体化を行ったが、さらに検討を深めるべき項目があり、また、取組のフォローアップも必要である。これを踏まえ、取組及び検討状況のモニタリングを行うため、引き続き、こうした事業者と自治体が協働で負担軽減について検討する場である本専門委員会を随時又は定期に開催することが有益である。
○ さらに、本専門委員会においては、国、指定権者・保険者及び介護サービス事業者の間でやり取りされている文書、特に指定申請・報酬請求・指導監査に関する文書に係る負担軽減を主な検討対象としてきたが、議論の中では、これら以外の行政に提出する文書についても簡素化や標準化を求める意見があった(例:事故報告の標準化による情報蓄積と有効活用等)ほか、現場の感覚として、ケア記録等の事業所が作成・保管する文書が介護職員の大きな負担となっていることが提起された点にも、留意が必要である。
介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会 委員名簿
令和元年12月4日現在
○ 井口 経明 東北福祉大学客員教授
石川 貴美子 秦野市福祉部高齢介護課参事(兼高齢者支援担当課長)
江澤 和彦 公益社団法人日本医師会常任理事
遠藤 健 一般社団法人全国介護付きホーム協会代表理事
菊池 良 奥多摩町福祉保健課長
木下 亜希子 公益社団法人全国老人保健施設協会研修推進委員
久保 祐子 公益社団法人日本看護協会医療政策部在宅看護課長
◎ 野口 晴子 早稲田大学政治経済学術院教授
野原 恵美子 栃木県保健福祉部高齢対策課長
橋本 康子 一般社団法人日本慢性期医療協会副会長
濵田 和則 一般社団法人日本介護支援専門員協会副会長
桝田 和平 公益社団法人全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員会委員長
松田 美穂 豊島区保健福祉部介護保険課長(兼介護保険特命担当課長)
山際 淳 民間介護事業推進委員会代表委員
山本 千恵 神奈川県福祉子どもみらい局福祉部高齢福祉課長
(敬称略、五十音順)
◎:委員長、○:委員長代理
介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会 開催経過
第1回(令和元年8月7日)
・ 委員の紹介及び委員長の選出
・ 経緯及びこれまでの見直し状況
・ 今後の検討の進め方
第2回(令和元年8月28日)
・ 事業者団体ヒアリング
<ヒアリング団体>
高齢者住宅協会
全国介護事業者連盟
全国個室ユニット型施設推進協議会
全国社会福祉法人経営者協議会
日本医療法人協会
日本精神科病院協会
日本認知症グループホーム協会
日本理学療法士協会
日本リハビリテーション病院・施設協会
日本訪問リハビリテーション協会
全国デイ・ケア協会
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<資料提出団体>
全国訪問看護事業協会
全国ホームヘルパー協議会
全国有料老人ホーム協会
全日本病院協会
24時間在宅ケア研究会
日本作業療法士協会
日本歯科医師会
日本福祉用具供給協会
日本ホームヘルパー協会
日本薬剤師会
日本リハビリテーション医学会
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・ 介護分野の文書に係る負担軽減について
第3回(令和元年9月18日)
・ 介護分野の文書に係る負担軽減に関する論点について
第4回(令和元年10月16日)
・ 介護分野の文書に係る負担軽減に関する方策について
第5回(令和元年11月27日)
・ 中間取りまとめ(案)について