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医療保険及び介護保険におけるリハビリテーションの見直し及び連携の強化について
老老発第1225003号
医療保険及び介護保険におけるリハビリテーションの見直し及び連携の強化について
老老発第1225003号
医療保険及び介護保険におけるリハビリテーションの見直し及び連携の強化について (老老発第1225003号)
発出日:平成18年12月25日
更新日:平成27年3月31日
更新日:平成27年3月31日
老老発第1225003号
保医発第1225001号
平成18年12月25日
地方社会保険事務局長
都道府県 民生主管部(局)長 殿
老人医療主管部(局)長
介護保険主管部(局)長
厚生労働省老健局老人保健課長
保険局医療課長
医療保険及び介護保険におけるリハビリテーションの見直し及び連携の強化について
本年4月の診療報酬・介護報酬改定におけるリハビリテーションの見直しについては、急性期から回復期までのリハビリテーションは医療保険で対応し、維持期のリハビリテーションは介護保険が中心となって対応するとの考え方の下に行ったものであり、この考え方に沿って、医療保険のリハビリテーションについては、発症後早期のリハビリテーションを重点評価するとともに、疾患別に算定日数の上限を設けたところである。
当該算定日数の適用に当たっては、厚生労働大臣が定める疾患又は症状を有し、医療保険のリハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される者については、算定日数上限の経過後であっても、医師の判断によりリハビリテーションの継続を可能とする取扱いとしているところであるが、こうした取扱いについて医療現場等に必ずしも正確に伝わっていないとの指摘がある。
このため、今般のリハビリテーションの見直しの趣旨、内容、医療保険と介護保険のリハビリテーションの連携の強化等について改めてお示しするので、御了知の上、管内市町村、関係団体、関係機関に周知方願いたい。
記
1 見直しの趣旨等
(1) リハビリテーションは、患者の身体機能の向上のみを目的とするものではなく、患者の日常生活の活動性を高め、もって自立を促すことを目的とするものであり、漫然と実施するのではなく、期間及び到達目標を定め、計画的に実施すべきものであること。
(2) 脳卒中や骨折に代表される急激に生活機能が低下するものは、発症後から治療開始までに要する時間及び早期から提供される適切なリハビリテーションの有無が生活機能の低下の程度に大きく影響することを踏まえ、発症後早期からの重点的なリハビリテーションの実施に配慮すること。
(3) 医療保険においては、急性期及び回復期の状態に対応し、主として身体機能の早期改善を目指したリハビリテーションを行い、他方、介護保険においては、維持期の状態に対応し、主として身体機能の維持及び生活機能の維持・向上を目指したリハビリテーションを行うものであること。
(4) 急性期及び回復期のリハビリテーションの終了については、個々の患者の状態に応じて医学的に判断するとともに、医師により維持期のリハビリテーションに移行することが適当と判断された場合には、医療機関と居宅介護支援事業者との連携の確保、介護保険サービスの紹介等、医療保険と介護保険の連携を強化することにより、維持期のリハビリテーションに計画的かつ速やかに移行できるよう配慮すること。
併せて、患者に対し十分説明を行うとともに、家庭での実地指導等とも併せ、患者が日常生活に円滑に移行できるよう配慮すること。
(5) リハビリテーションの実施に当たっては、有意義な生活や人生の実現に向けた患者の視点からの目標を定め、訓練室中心のプログラムのみではなく、日常生活の活動向上訓練や、福祉用具の選択・使用方法の指導等、実生活に即したプログラムの実施が重要であること。
また、リハビリテーションの実施に当たっては、医師、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が、実施するリハビリテーションの目的、内容、身体機能への影響等を利用者に十分説明すること。
2 医療保険におけるリハビリテーションに係る平成18年度診療報酬改定の内容
(1) リハビリテーション料において重点評価した項目
・ 患者一人一日当たりの算定単位数の上限を緩和したこと
・ 一月に一定単位数以上行った場合の点数の逓減制を廃止したこと
・ 集団療法に係る評価は廃止し、個別療法のみに係る評価体系へ転換したこと
・ 機能訓練室の面積要件を緩和したこと
・ 退院後早期の訪問リハビリテーションを充実したこと
(2) リハビリテーション料の疾患別体系への見直しと算定日数上限の取扱い
・ 医療保険における急性期及び回復期のリハビリテーション料について、専門家の意見を聴きつつ、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料及び心大血管疾患リハビリテーション料の4つの疾患別体系に見直すとともに、疾患別に算定日数の上限を設けたこと。
ただし、一定の疾患及び症状(以下「適用除外疾患」という。)を有し、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される者について、算定日数上限を適用しないこととしたこと。
・ 上記以外の者については、算定日数上限が設定されていない難病患者リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料によるサービスのほか、介護保険における維持期のリハビリテーションへの円滑な移行を行う等、適切なサービスの提供を行うこと。
3 医療保険のリハビリテーション実施に当たっての医療機関における留意事項
(1) サービス開始時のリハビリテーションの意義等の説明
リハビリテーションの開始に当たり、リハビリテーション実施計画を説明する際に、急性期、回復期及び維持期のリハビリテーションの意義及び内容の違いについて十分説明を行うとともに、身体機能が改善し、維持期になった場合については介護保険のリハビリテーションに移行することの説明を行うこと。
(2) 介護保険サービスの利用支援
平素より、地域の介護保険サービス事業者等の福祉サービス資源について把握を行うこと。
医療保険におけるリハビリテーションの終了後速やかに介護保険におけるリハビリテーションを受けることが重要であることから、早期の段階から、患者が要介護認定又は要支援認定(以下「要介護認定等」という。)を受けているかどうかを確認し、当該患者の意向等を踏まえ、要介護認定等の申請の手続や居宅介護支援事業者への連絡等について計画的な支援を行うこと。
また、医療保険におけるリハビリテーションの終了後速やかに介護保険におけるリハビリテーションを受けるためには、医療保険におけるリハビリテーション期間中から居宅介護支援事業者との調整が必要となるものであり、特に要介護認定等を受けていない者については、要介護認定等の申請から認定されるまでに約30日を要することに留意しつつ、利用者への支援を行うこと。
(3) 算定日数上限と適用除外疾患
適用除外疾患を正確に把握すること。
リハビリテーション料の算定日数上限に到達した後であっても、適用除外疾患を有し、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される者であれば、医療保険によるリハビリテーションの継続は可能であり、算定日数上限をもって医療保険によるリハビリテーションの実施を機械的に打ち切ることは適切でないこと。
なお、リハビリテーションの継続により状態の改善が期待できるか否かについては、ADLの改善にも十分に配慮し定期的に客観的な評価を行った上で医師が適切に判断すること。
また、リハビリテーションを行った後、急性増悪等により心身の状態が著しく悪化した場合には、再度該当するリハビリテーション料の算定が可能であること。
(4) 医療保険のリハビリテーション終了時の説明・指導
ア 入院患者が医療保険のリハビリテーションを終了する際の説明・指導
入院患者が急性期及び回復期のリハビリテーションを終了し、退院するに当たっては、入院患者の状態や意向等を踏まえ、退院後の調整に努めること。
特に維持期のリハビリテーションとの継続性に配意し、在宅に復帰する者に対して、居宅介護支援事業者との調整等について支援を行うこと。
また、改めて急性期、回復期及び維持期のリハビリテーションの意義及び内容の違いについて十分説明を行い、介護保険における維持期のリハビリテーションは、医療保険における急性期及び回復期のリハビリテーションと同様に、医師の指示の下、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門職が提供するものであること、及び、主にして身体機能の維持及び生活機能の維持・向上を目指したリハビリテーションを行うものであることの説明を行うものであること。
また、地域包括支援センターへの相談も可能であることの情報提供を行うこと。
イ 診療報酬における評価
入院患者が居宅に戻る場合には、退院前に、診療報酬上評価されている地域連携退院時共同指導や、退院前在宅療養指導、退院時リハビリテーション指導などを行い、退院後の療養生活を支援するよう努めること。この場合において、地域の医療機関への紹介を適切に行うこと。
ウ 外来患者が医療保険のリハビリテーションを終了する際の説明・指導
アと同様に、急性期、回復期及び維持期のリハビリテーションの意義及び内容の違いについて説明を行うとともに、3(2)にあるような平素からの活動をもとに、当該患者が速やかに介護保険におけるリハビリテーションを受けられるよう、居宅介護支援事業者との調整等を行うこと。
エ 介護報酬における評価
入院患者が、医療保険のリハビリテーション終了後、介護保険の居宅サービスを利用することとなる場合には、居宅介護支援事業所は初回加算(Ⅱ)(退院又は退所に当たっての加算)を算定することができること。
(5) 当該医療機関における維持期リハビリテーションの実施
今般の制度見直しにより維持期のリハビリテーションについては、介護保険によるサービスとなったが、従来、維持期のリハビリテーションを医療保険で行っていた医療機関等においては、急性期から維持期までの一貫したリハビリテーションを当該医療機関において実施できるよう、当該医療機関において介護保険のリハビリテーションを実施することについて検討されたいこと。
なお、保険医療機関については、介護保険における指定訪問リハビリテーション事業所等の指定があったとみなされており、当該指定に係る申請は不要であること。
4 介護保険におけるリハビリテーション
(1) 介護保険において提供される維持期のリハビリテーション
ア 介護保険において提供される維持期のリハビリテーションについては、身体的な機能の大幅な改善が見込まれない者等について、日常生活を送る上で必要となる機能の維持及び向上を主たる目的として行うものであること。
イ 介護保険において提供されるリハビリテーションは、
1) 介護老人保健施設及び介護療養型医療施設において提供される施設サービスのリハビリテーションと
2) 通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション等の居宅サービスのリハビリテーション
により構成されている。居宅サービスのリハビリテーションについては、通所によるリハビリテーションが基本であるが、
1) 通所によるリハビリテーションを受けることができない場合
2) 通所によるリハビリテーションのみでは家屋内におけるADLの自立が困難である場合における家屋状況の確認を含めた介護予防訪問リハビリテーションの提供など、ケアマネジメントの結果、必要と判断された場合
については、訪問によるリハビリテーションが提供されること。
ウ 介護保険におけるリハビリテーションについても、医療保険におけるリハビリテーションと同様に、医師の指示のもと、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門職が提供するものであること。
エ 介護保険におけるリハビリテーションについても、短期集中リハビリテーション等においては個別リハビリテーションが実施されるものであること。
(2) 介護保険において提供されるリハビリテーションに関する留意事項
ア 医療保険における急性期及び回復期のリハビリテーションを終了した者が要介護認定等により非該当となった場合も、当該者の心身の状態によっては、介護保険における地域支援事業の介護予防事業の対象者として、運動器の機能向上プログラム等の心身の状態の維持・改善に資するサービスを受けることができること。
イ 介護保険において提供される維持期のリハビリテーションを受ける要介護者等が、急性増悪等により心身の状態が著しく悪化した場合には、医療機関を受診し、医療保険において提供される急性期のリハビリテーションを受けることができること。
5 介護保険におけるリハビリテーションに係る平成18年度介護報酬改定の内容
(1) 介護保険におけるリハビリテーションの見直しの基本的な考え方医療保険による回復期のリハビリテーション終了後、引き続き速やかに維持期のリハビリテーションに移行できる体制の整備を図ったものであること。
(2) 通所リハビリテーション等における加算
ア 介護サービスを担う多職種が協働して、利用者毎の課題の把握、改善に係る目標の設定、計画の作成等の一連のプロセスを継続的に実施することを評価した「リハビリテーションマネジメント加算」を創設したこと
イ 医療機関からの退院又は介護保険施設からの退所後一定の期間において、短期集中的にリハビリテーションを行うことを評価した「短期集中リハビリテーション実施加算」を創設したこと
(3) 居宅介護支援における加算
居宅介護支援事業所については、新規に居宅サービス計画を作成した場合であって、医療機関からの退院又は介護保険施設からの退所に当たって、病院・施設等と居宅サービス事業者との連携を図りつつ、居宅サービス計画を策定した場合の加算(初回加算(Ⅱ))を創設したこと。
6 介護保険におけるリハビリテーション実施に当たっての留意事項
(1) リハビリテーション実施機関における留意事項
リハビリテーションの開始に当たり、急性期、回復期及び維持期のリハビリテーションの意義及び内容の違いについて説明を行うとともに、介護保険におけるリハビリテーションについては、生活機能の維持・向上を目指したリハビリテーションを行うことの説明を行うこと。
質の高いサービスを提供する観点から、リハビリテーションマネジメントや短期集中リハビリテーションの実施に努めるとともに、通所リハビリテーションについては、利用者の希望等を勘案して、短時間のサービスを提供できるよう努めること。
また、個別リハビリテーションについては、リハビリテーションマネジメント加算や短期集中個別リハビリテーション実施加算の算定に当たっては個別リハビリテーションが行われることとなるが、利用者の心身の状況等を勘案して個別リハビリテーションを行うことが必要と認められる場合には、個別リハビリテーションが提供されるよう、利用者の状態の維持・改善に向けた最善の取組を図るよう努めること。
(2) 居宅介護支援事業者及び介護予防支援事業者における留意事項平素より、地域の医療サービスも含めたリハビリテーションの提供体制を把握すること。
居宅介護支援事業者及び介護予防支援事業者は、要介護者等が急性期及び回復期のリハビリテーションを受けている間からも、要介護者等から依頼があった場合には、あらかじめ、維持期におけるリハビリテーション等を含めた居宅サービス計画の作成等を行い、居宅における生活に円滑に移行できるようにすること。
居宅サービス計画等については、利用者の主治の医師等の意見を求めて作成することとなるが、利用者の希望等を踏まえ、急性期及び回復期のリハビリテーションを行った医療機関において維持期のリハビリテーションを実施することとするなど、急性期及び回復期のリハビリテーションとの継続性にも配慮が必要であること。
(3) 地域包括支援センターにおける留意事項
平素より、地域の医療サービスも含めたリハビリテーションの提供体制を把握することに努め、高齢者からのリハビリテーションに関する相談に応じ、必要に応じて、関係機関において必要なリハビリテーションが受けられるよう入所や利用に係る連絡調整を行うこと。
(4) 都道府県及び市町村における留意事項
都道府県及び市町村は、都道府県介護保険事業支援計画や市町村介護保険事業計画に基づき、リハビリテーションに係る利用者のニーズも踏まえつつ、計画的にサービスの確保を進めること。
また、都道府県は、医療機関や介護サービス事業者が、域内の医療サービスや福祉サービスを把握できるよう、WAM NETの情報や事業所一覧等により、域内の医療機関や介護サービス事業者の情報を提供すること。