公益社団法人 全国老人保健施設協会 法令・Q&A検索システム  全老健介護保険制度情報サービス

[表示中の法令・QA等]
介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて
老介発0705第1号

介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて (老介発0705第1号)

発出日:令和3年7月5日
更新日:令和6年3月29日
 
改正後全文
 
 
老介発0705第1号
令和3年7月5日
 
各都道府県介護保険主管部(局)長 殿
各区市町村介護保険主管部(局)長 殿
 
厚生労働省老健局介護保険計画課長
( 公 印 省 略 )
 
介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて
 
介護保険制度の円滑な運営につきましては、平素より格別の御高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
介護保険制度における利用者負担及び高額介護サービス費等の費用負担等に係る事務処理については、これまで各種通知でお示ししており、その内容を踏まえ、各保険者において御対応いただいているところでございます。
今般、令和3年8月からの制度見直しへの対応に向けて、当該見直し事項に関する留意事項及びこれまでの利用者負担等に係る事務処理の取扱いを別紙1から6にまとめましたので、貴職におかれましては、内容を御了知の上、管内保険者に周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきようお願いします。
なお、本通知の施行に伴い、下記通知は現に申請が行われている場合を除き、令和3年7月31日限りで廃止します。
・ 「高額介護サービス費等の支給並びに食費及び居住費等の負担限度額認定等の運用について」(平成17年9月8日付け老介発0908001号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)
・ 「厚生労働大臣が定める旧措置入所者の所得の区分及び割合並びに食費及び居住費の特定負担限度額の特例について」(平成17円9月8日付け老介発0908002号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)
・ 「境界層措置の運用の詳細について」(平成17年9月21日付け老介発第0921001号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)
・ 「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令等の施行に伴う留意事項について」(平成27年3月31日付け老介発0331第1号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)
・ 「費用負担の見直しに係る事務処理の取扱いについて」(平成27年7月13日付け老介発0713第1号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)
・ 「特定入所者介護(予防)サービス費における非課税年金勘案の事務処理等について(その3)」(平成28年5月26日付け厚生労働省老健局介護保険計画課事務連絡)
・ 「特定入所者介護サービス費における課税層に対する特例減額措置の周知徹底について」(平成28年9月2日付け老介発0902第1号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)
 
 
 
 
(別添1)1.利用者負担割合の判定事務
(別添2)2.高額介護(予防)サービス費の支給事務
(別添3)3.特定入所者介護(予防)サービス費の支給事務
(別添様式1)介護保険負担限度額認定申請書
(別添様式2)同意書
(別添様式3)介護サービス利用者の非課税年金の受給状況について(照会)
(別添様式4)介護サービス利用者の非課税年金の受給状況について(回答)
(参考資料1)「「金融機関本店等に対する一括照会の実施について」の一部改正について(通知)」(令和元年11月13日付け老介発1113第1号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)
(参考資料2)「金融機関本店等に対する一括照会の実施について」(平成27年3月31日付け厚生労働省老健局介護保険計画課事務連絡)
(別添4)4.市町村民税課税層に対する特例減額措置
(別添様式5)特定入所者介護サービス費における課税層に対する特例減額措置に係る資産等申告書(参考)
(別添5)5.境界層措置の運用
(参考資料3)「境界層該当者の取扱いについて」(平成17年9月21日付け社援保発0021001号厚生労働省社会・援護局保護課長通知)
(別添6)6.旧措置入所者に係る手続きについて
(別添様式6)介護保険利用者負担額減額・免除等認定証(特別養護老人ホームの要介護旧措置入所者に関する認定証)
 
 
主な改正事項
第1 高額介護(予防)サービス費の負担限度額の見直し
○ 高額介護(予防)サービス費(以下「高額介護サービス費」という。)の現役並み所得者のうち、サービスを受けた月の属する年の前年(その月が1月から7月までの場合には、前々年。以下同じ。)の課税所得が380万円以上である第一号被保険者(本人を含む)が同一世帯内にいる者の負担限度額については、令和3年8月1日サービス分より、以下のとおり見直されることとなる。
・ 課税所得380万円以上690万円未満の場合、世帯の負担限度額が93,000円
・ 課税所得690万円以上の場合、世帯の負担限度額が140,100円
○ また、医療保険制度の現役並み所得者に係る課税所得の算定には、平成22年度税制改正による年少扶養控除の見直しに対応するための調整措置が設けられていることを踏まえ、介護保険制度においても同様の調整措置を設けている。すなわち、サービスを受けた月の属する年の前年の12月31日現在において世帯主であって、同日において同一世帯に合計所得金額が38万円以下の19歳未満の者(控除対象者)がいる場合には、下記の金額を課税所得から控除する。
・ 16歳未満の控除対象者の人数×33万円
・ 16歳以上19歳未満の控除対象者の人数×12万円
 
第2 特定入所者介護(予防)サービス費の支給要件の見直し
1 食費の負担限度額の見直し
(1)施設入所者
現行の第3段階(本人年金収入等80万円超)を保険料の所得段階と合わせて、本人年金収入等80万円超120万円以下(以下「第3段階①」という。)と本人年金収入等120万円超(以下「第3段階②」という。)の2つの段階に区分するとともに、第3段階②について、本人の負担限度額を1,360円/日とする。
(2)(介護予防)短期入所生活介護及び療養介護利用者
(1)と同様、第3段階を2つに区分するとともに、第3段階②について、(1)の金額を踏まえ、本人の負担限度額を1,300円/日とする。
また、食費が給付対象外となっている通所介護等との均衡等の観点から、本人の負担限度額について、第3段階①は1,000円/日、第2段階は600円/日とする。
 
2 預貯金等の基準の見直し
○ 所得段階に応じて預貯金等の基準を設ける(第2段階:650万円、第3段階①:550万円、第3段階②:500万円)。
○ 第2号被保険者及び旧措置入所者並びに老齢福祉年金受給者は、見直しの対象外としている。
○ なお、令和3年8月の判定では、申請時点の預貯金等の額ではなく、申請者本人及び配偶者等に申請日以降の預貯金等の変動要因を聴取し、8月1日時点の預貯金等の見込み額が見直し後の基準を満たしているか確認する必要があることに留意する。
第3 留意事項
境界層措置における適用期間について、発行日が属する年度の翌年度の7月まで継続することとしていたが、高額介護サービス費及び特定入所者介護(予防)サービス費の適用期間に合わせて、「認定の発効日の属する月が4月1日~7月31日までの場合には、当該年度の7月末まで」とする。
なお、現に境界層措置の認定が発効されている場合については、従前の例に従い、有効期限は翌年の7月までとして差し支えない。
 
 

 
(別添1)
 
 
1.利用者負担割合の判定事務
 
Ⅰ 原則的な要件
(1)合計所得金額による基準
① 一定以上所得者
保険給付の額が費用の100分の80に相当する額(特例居宅介護サービス費等の償還払いの給付については、100分の80に相当する額を基準として市町村が定める額)となる一定以上所得者は、サービスを受けた日の属する年の前年(その日の属する月が1月から7月までの場合には、前々年。以下同じ。)の合計所得金額(地方税法(昭和25年法律第226号)第292条第1項第13号する合計所得金額(※1)をいい、租税特別措置法(昭和32年法律第26号)に規定される長期譲渡所得又は短期譲渡所得に係る特別控除額(※2)の適用がある場合には、当該合計所得金額から特別控除額を控除して得た額。以下同じ。)が160万円以上220万円未満である第一号被保険者とされている。
 
※ 1平成30年度税制改正に伴う所得指標の見直しを反映させた後の合計所得金額。見直しの詳細は、「平成30年度税制改正に伴う介護保険制度における所得指標の見直しについて」(令和2年12月25日厚生労働省老健局介護保険計画課事務連絡)を参照。
 
※2 具体的には、以下の(1)~(8)となる。
(1)収容交換等のために土地等を譲渡した場合:最大5,000万円
(2)特定土地区画整理事業や被災地の防災集団移転促進事業等のために土地等を譲渡した場合:最大2,000万円
(3)特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合:最大1,500万円
(4)農地保有の合理化等のために農地等を売却した場合:最大800万円
(5)居住用財産を譲渡した場合:3,000万円
(6)特定の土地(平成21年及び平成22年に取得した土地等であって所有期間が5年を超えるもの)を譲渡した場合:1,000万円
(7)令和2年7月1日から令和4年12月31日までの間に低未利用土地等を譲渡した場合:100万円
(8)上記の(1)~(7)のうち2つ以上の適用を受ける場合:最高限度額 最大5,000万円
 
② 現役並み所得者
保険給付の額が費用の100分の70に相当する額(特例居宅介護サービス費等の償還払いの給付については、100分の70に相当する額を基準として市町村が定める額)となる現役並み所得者は、サービスを受けた日の属する年の前年の合計所得金額が220万円以上である第一号被保険者とされている。
 
(2)公的年金等の収入金額+その他の合計所得金額による基準
ただし、(1)に該当する場合であっても、本人を含めた同一世帯(住民基本台帳上の世帯が基本。以下同じ。)に属する全ての第一号被保険者のサービスを受けた日の属する年の前年の公的年金等の収入金額(所得税法(昭和40年法律第33号)第35条第2項第1号)及びその他の合計所得金額(公的年金等に係る雑所得を控除した額。以下同じ。)の合計額に応じて、利用者負担割合は以下のとおりとなる。
・ 346万円未満(同一世帯の第一号被保険者が本人のみである場合には、280万円未満)である場合、1割負担
・ 346万円以上463万未満(同一世帯の第一号被保険者が本人のみである場合には、280万円以上340万円未満)である場合、2割負担
・ 463万円以上(同一世帯の第一号被保険者が本人のみである場合には、340万円以上)である場合、3割負担
となる。
 
(3)その他の考慮要素
(1)及び(2)にかかわらず、以下の場合には1割負担とする。
① サービスを受けた日の属する年度(その日の属する月が4月から7月までの場合には、前年度)分の市町村民税が非課税である場合(市町村の条例により免除されている場合を含む。)。
② 生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条第1項に規定する被保護者である場合。
 
※ 被保護者に関しては、保護開始月の初日から1割とし、保護廃止の場合は翌月初日から所得に基づく本来の負担割合を適用する。
※ 第二号被保険者については一律に1割負担となる。
※ 介護保険法施行法(平成9年法律第124号)(以下「施行法」という。)第13条第3項に規定する要介護旧措置入所者については一律に1割負担となる。
 
Ⅱ 事務処理
第一号被保険者の負担割合は、その属する世帯の状況と、本人及び同一世帯に属する他の第一号被保険者の所得の状況に応じて判定されるものであり、具体的には次により判定することとなる。
 
第1 定期的な負担割合の判定
第一号被保険者の負担割合の判定は、地方税法の規定による市町村民税に係る所得の金額に基づいて行うこととしている。市町村民税に係る所得の金額は、毎年度、前年中の所得に基づいて算定されることから、その算定時期を踏まえ、毎年8月1日を基準日として定期的に負担割合の判定を行う必要がある。この判定は、市町村が保有する税情報に基づき職権で行う。なお、転入者の負担割合を判定する際には、転入先市町村が転出元市町村に所得を照会することで対応し、住所地特例対象被保険者の負担割合を判定する際には、現住所地である施設所在市町村に所得を照会することで対応する。
なお、要介護(支援)認定を受けていない第一号被保険者については、必ずしも負担割合の判定は必要ないため、定期的な判定を行う必要はなく、要介護(支援)認定申請があった際に随時判定することとなる。
 
(1)世帯状況・所得状況の把握
保険者は、毎年8月1日現在の世帯状況・所得状況を把握し、次の判定を行う。
 
① 第一号被保険者本人の合計所得金額による判定
まず、判定対象となる第一号被保険者本人について、Ⅰ(1)の合計所得金額を把握する。その額が160万円未満である場合には1割負担とし、160万円以上である場合は②の判定に移る。
 
② 同一世帯の第一号被保険者の「公的年金等の収入金額+その他の合計所得金額」による判定
本人を含めた同一世帯に属する全ての第一号被保険者のⅠ(2)の公的年金等の収入金額及びその他の合計所得金額の合計額を把握するし、判定を行う。
 
③ その他の考慮要素の確認
判定対象となる第一号被保険者本人について、市町村民税非課税者(市町村の条例により免除されている場合を含む。)でないかどうかを確認し、そうである場合には、①及び②にかかわらず1割負担とする。
また、生活保護法に規定する被保護者及び第2号被保険者である場合にも、①及び②にかかわらず1割負担とする。
 
※ その年に海外から帰国した者については、市町村に課税権がなく、そもそも前年所得がないため、一定以上所得者には該当しないものとする。
 
※ 市町村民税未申告のため前年所得が不明である者については、判定上は1割とするが、後に所得更正等があり、再判定の結果一定以上所得者に該当することが判明することはあり得る。その場合、過誤調整(後述第3参照)を行う。
 
(2)負担割合証の作成・交付
(1)により負担割合の判定を行ったら、判定対象者に対して、負担割合及び有効期限を表記した負担割合証を作成し、郵送や窓口交付等により対象者に交付する。有効期限の始期は8月1日、終期は翌年7月31日となる。8月1日からのサービス利用に支障が生じないよう、交付は同日までに確実に完了しておく必要がある。
 
 
※ なお、第二号被保険者は一律に1割負担だが、事業所窓口等で適切に負担割合を確認できるよう、要介護(支援)認定を受けている第二号被保険者に対しても負担割合証を交付する。
 
※ 第二号被保険者がその年の8月1日から翌年の7月31日までの間に65歳に到達する場合、65歳到達以降は一定以上所得者又は現役並み所得者に該当することがわかっていれば、負担割合証の負担割合欄を2段にして、年齢到達月までの割合(1割)とその翌月以降の割合(2割又は3割)をあらかじめ併記して交付することも可能である。
 
(3)負担割合の適用・確認
サービス利用日ごとに負担割合証に記された負担割合が適用されることとなる。居宅介護(予防)福祉用具購入費及び居宅介護(予防)住宅改修費については、従前より支給を受けようとする場合、保険者に提出する書類には領収書が含まれており、そのような提出書類等を確認した上で支給を行うこととしていることから、領収書記載日時点における負担割合を適用することが基本となる。ただし、口座引き落とし等により事業者が領収する時期が遅れる場合であって、当該時期の遅れにより利用者負担割合が変更になってしまうような事例については、変更前の利用者負担割合により対応する。(この場合、保険者が国保連合会に送付する償還明細書情報については、サービス提供年月を当該変更前の利用者負担割合の適用年月とする。)
また、事業所の窓口で本人に負担割合証の提示を求めても確認できない場合、居宅介護支援事業者等の介護サービス事業者から個別の被保険者の負担割合に関する問合せがあることが想定される。このような場合には、市町村が定める個人情報保護条例等の個人情報の取扱いに関するルールを遵守したうえで、対応することは差し支えない。ただし、回答する相手が本人の利用する事業所であることを確認した上で回答する必要があるため、例えば電話で問い合わせがあった場合に相手が誰であるかの確認を経ずに回答することは不適切である。
 
第2 世帯構成の変更に伴う随時の判定
負担割合は世帯単位で判定する仕組みではなく、あくまで第一号被保険者個人を単位として判定する仕組みである。一方で、「公的年金等の収入金額+その他の合計所得金額」による基準は、同一世帯の全ての第一号被保険者に係る額を合計して判定するものであることから、第一号被保険者の世帯構成に変更があった場合には、
・ 異動のあった第一号被保険者本人
・ 異動のあった第一号被保険者が異動前に属していた世帯に属する第一号被保険者
・ 異動のあった第一号被保険者が異動後に属する世帯に属する第一号被保険者
について、負担割合が変更になる可能性がある。このため、変更後の世帯構成を基にこれらの者の負担割合を再判定し、その結果負担割合が変更になる場合には、速やかに新たな負担割合の適用及び負担割合証の再交付を行うことが必要となる。
 
(1)世帯構成の変更の事実の把握
第一号被保険者の転入・転出・転居・死亡・65歳到達等に係る住民基本台帳の更新状況の確認などを通じて、随時、第一号被保険者に係る世帯構成の変更の事実を把握することが重要である。
世帯構成の変更の事実を把握した場合には、変更後の世帯構成に基づいてⅠに掲げる所得の状況を把握し、再度負担割合を判定することとなる。この場合、転入者に係る所得状況は転入先市町村の税情報で確認できないことから、転出元市町村に所得照会を行うことにより把握する必要がある。
 
※ なお、転出元市町村が発行した受給資格証明書の負担割合欄に印字された情報により、転入前の負担割合は確認することができる。この情報も活用して速やかな判定に活かすことが考えられるが、転入後の世帯構成によって負担割合は変わりうるものであり、必ずしも転入前の負担割合を機械的に引き継ぐことはできない。あくまで転入先市町村において世帯状況・所得状況を踏まえつつ自ら判定を行うべきことに留意が必要である。
 
(2)変更後の負担割合の適用
 
① 他保険者への転出・他保険者からの転入があった場合
ア 転入した第一号被保険者本人について
転入した日から新たな負担割合を適用する。
イ 転入した第一号被保険者を受け入れた世帯に属する第一号被保険者について
転入した第一号被保険者を受け入れた月は、当該月の受け入れ前の負担割合を適用し、負担割合に変更が生じる場合には、新たな負担割合を翌月初日から適用する。ただし、転入を受け入れた日が月の初日である場合は、当該月から新たな負担割合を適用する。
ウ 第一号被保険者が転出した世帯に属する第一号被保険者について
イと同様に取り扱う。
 
② 同一保険者内で他世帯への転居・他世帯からの転居があった場合
ア 転居した第一号被保険者本人について
転居した月は、当該月の転居前の負担割合を適用し、負担割合に変更が生じる場合には、新たな負担割合を翌月初日から適用する。ただし、転居した日が月の初日である場合は、当該月から新たな負担割合を適用する。
イ 転居した第一号被保険者を受け入れた世帯に属する第一号被保険者について
①のイと同様に取り扱う。
ウ 第一号被保険者が転居した世帯に属する第一号被保険者について
①のイと同様に取り扱う。
 
③ 新たに65歳到達により第一号被保険者となる者があった場合
ア 65歳到達した第一号被保険者本人について
65歳到達した日に第二号被保険者としての要介護(支援)認定がある場合、その日の属する月は1割負担とし、判定により2割又は3割負担となる場合には、翌月初日から新たな負担割合を適用する。ただし、65歳到達した日が月の初日である場合は、その日の属する月から新たな負担割合を適用する。
65歳到達した日に第二号被保険者としての要介護(支援)認定がない場合、判定により2割又は3割負担となる場合には、その日の属する月から新たな負担割合を適用する。
イ 65歳到達した第一号被保険者と同一世帯に属する他の第一号被保険者について
65歳到達した月は、当該月の従前の負担割合を適用し、負担割合に変更が生じる場合には、新たな負担割合を翌月初日から適用する。ただし、65歳到達した日が月の初日である場合は、当該月から新たな負担割合を適用する。
 
④ 第一号被保険者の死亡等による資格喪失があった場合
第一号被保険者の死亡等による資格喪失があった場合、同一世帯に残る他の第一号被保険者について、当該月は従前の負担割合を適用することとし、負担割合に変更が生じる場合には、新たな負担割合を翌月初日から適用する。なお、死亡等があった日が月の末日である場合は、死亡等があった日の属する月の翌月初日から新たな負担割合を適用することとなる。
 
(参考)他保険者への転出・他保険者からの転入があった場合
 
(参考)同一保険者内で他世帯への転居・他世帯からの転居があった場合
 
 
 
(3)負担割合証の再交付
負担割合が変更となる第一号被保険者に対しては、(2)に掲げる新たな負担割合と適用開始日を記した負担割合証を再交付する。その際、新たな負担割合の適用開始日前にサービスを利用することもあるため、負担割合欄を2段にして、変更前の割合と変更後の割合を併記することが望ましい。
誤った負担割合に基づく利用者負担の徴収を可能な限り避ける観点から、再判定後速やかに再交付するとともに、既に交付されている負担割合証は速やかな回収に努める。
 
第3 過誤調整
適切に負担割合を判定した後であっても、
・ 被保険者からの世帯変更の届出が遅れたことなどにより、世帯構成の変更の事実の把握が遅れ、随時の再判定が本来適用すべき月に間に合わなかった場合
・ 修正申告等により所得更正があり、判定の根拠とした所得の額が遡及して変更された場合
には、既に利用した過去分のサービスに係る負担割合を訂正して適用する必要が生じることがある。この場合、次の考え方を基本に、事後的に正しい利用者負担額及び保険給付額となるよう過誤調整を行う。こうした過誤調整により被保険者に対して追加支給する場合、法的には支給申請は不要であり、本人確認ができた場合の窓口での支給や口座振込などを通じ、被保険者に手続に係る負担を課さないよう努める。
なお、過大な給付分の返還を求めた場合、会計上、歳入(雑入)と整理するか歳出(戻入)と整理するかは各保険者において判断して差し支えない。
 
(1)世帯構成の変更の事実の把握が遅れた場合
第2に掲げるとおり、世帯構成の変更に伴って負担割合の変更が生じる場合があるが、転出入や死亡等に係る本人からの届出が遅れたことなどが原因でその事実の把握が遅れ、結果として、本来負担割合の切り替えを行うべき時期に切り替えができず、変更前の負担割合で継続的に利用者負担の徴収及び事業所の保険請求が行われるケースも想定される。
こうした場合、事実を把握した時点で速やかに再判定・負担割合証の再交付を行うとともに、既に誤った負担割合を基に利用者負担を徴収されている過去のサービス分については、正しい負担割合で計算した利用者負担額との差額を被保険者との間で調整する必要がある。すなわち、本来2割負担であったはずの期間に1割負担でサービスを受けていた場合は保険者が被保険者から差額を徴収し、本来1割負担であったはずの期間に2割負担でサービスを受けていた場合は保険者が被保険者に差額を還付することが基本となる。
 
(2)所得更正があった場合
負担割合は、地方税法の規定による市町村民税に係る所得の金額に基づいて判定されるが、しばしば修正申告等により、過年度分の所得の金額が修正され、合計所得金額をはじめ判定根拠とした金額が変更されることがある。
これにより負担割合が変更となる場合、変更の事実を把握した時点で速やかに再判定・負担割合証の再交付を行うとともに、既に利用者負担を徴収している過去のサービス分についても、変更後の負担割合を基に利用者負担額を算定すべきことになることから、差額を被保険者との間で調整する必要がある。すなわち、本来2割負担であったはずの期間に1割負担でサービスを受けていた場合は保険者が被保険者から差額を徴収し、本来1割負担であったはずの期間に2割負担でサービスを受けていた場合は保険者が被保険者に差額を還付することが基本となる。
 
※ 事業者の協力が得られる場合に限り、事業者がレセプトの再請求を行ったうえで利用者負担の差額分を被保険者と調整することも可能であるが、世帯構成の変更が後日判明したことや所得更正については事業者には何ら責任はないことから、本来は保険者と被保険者の間で追加給付や過給分の返還請求を行うべきものと考えられる。
 
(3)遡及期間
(1)の場合、世帯構成の変更に伴う新たな負担割合の本来の適用開始時期にまで遡って、その時点から直近に至るまでの間に既に徴収された利用者負担額を過誤調整することとなる。
(2)の場合、所得は年度を通じて一つの金額に決まるものであるから、所得に基づく定期的な判定の切り替えが行われる8月1日まで遡って、その時点から直近に至るまでの間に既に徴収された利用者負担額を過誤調整することとなる。(更に過年度分の所得が更正された場合には、それに応じて、当該所得が判定に用いられる期間の利用者負担額を過誤調整することとなる。)
(1)及び(2)のいずれにしても、遡及は消滅時効の範囲内にとどまるため、
・ 介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第200条第1項の規定により保険給付を受ける権利は2年の消滅時効が適用され、差額の追加給付は2年間を限度
・ 地方自治法(昭和22年法律第67号)第236条第1項の規定により不当利得の返還請求権は5年の消滅時効が適用され、差額の徴収は5年間を限度
として遡及変更し得ることとなる。この場合、消滅時効の起算点は権利を行使することができるに至ったときと解されるため、当該利用者負担の支払日の翌日から進行するものとして取り扱う。
 
 

 
(別添2)
 
 
2.高額介護(予防)サービス費の支給事務
 
Ⅰ 事務処理
高額介護サービス費の負担限度額については、本人及び同一世帯に属する第一号被保険者の所得状況に応じて判定されるものであり、具体的には次により判定することとなる。
 
第1 定期的な判定
市町村民税に係る所得の金額は、毎年度、前年中の所得に基づいて算定されることから、その算定時期を踏まえ、毎年8月1日を基準日として定期的に判定を行うこととする。転入者の所得については転入先市町村が転出元市町村に所得を照会することで対応し、住所地特例対象被保険者については現住所地である施設所在市町村に照会することで対応する。なお、控除対象者の把握については、住民票上の世帯情報を把握するため、転出元市町村や施設所在市町村の住民票担当課へ確認することもあると考えられる。
世帯員のいずれも要介護(支援)認定を受けていない世帯については、負担限度額を判定する必要はなく、新たに要介護(支援)認定の申請があった際に随時判定することとなる。
 
(1)世帯状況・所得状況の把握
保険者は、毎年8月1日現在の世帯・所得状況を把握し、次の判定を行う。
 
① 市町村民税非課税者等の判定
市町村民税非課税者等に該当するかの判断は、サービス利用があった月ごとに、それぞれの月の初日において当該被保険者が属する世帯の世帯主及び世帯員の同日における課税状況等により行うものとする。
当該被保険者が属する世帯の世帯主及び全ての世帯員が市町村民税非課税である場合、以下の区分に応じて負担上限額の判定を行う。
・生活保護の被保護者である場合:個人15,000円
・15,000円への減額により生活保護の被保護者とならない場合:世帯15,000円
・市町村民税世帯非課税かつ①公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下又は②老齢福祉年金受給者の場合:世帯24,600円(個人15,000円)
・市町村民税世帯非課税の場合:世帯24,600円
・24,600円への減額により生活保護の被保護者とならない場合:世帯24,600円
 
② 課税所得の判定
当該被保険者が属する世帯の世帯主及び全ての世帯員の中に市町村民税課税者がいる場合(市町村民税課税世帯である場合)、当該世帯に属する全ての第一号被保険者の課税所得額を把握し、以下の区分に応じて負担上限額の判定を行う。
・課税所得380万円未満である者がいる場合:世帯44,400円
・同380万円以上690万円未満である者がいる場合:世帯93,000円
・同690万円以上である者がいる場合:世帯140,100円
 
※ 課税所得とは、具体的には、当該所得が生じた年の翌年の4月1日の属する年度分の地方税法の規定による市町村民税に係る所得の金額によるものとし、同法第314条の2第1項に規定する総所得金額及び山林所得金額並びに他の所得と区分して計算される所得の金額の合計額から、同項各号及び第2項の規定による控除をした後の金額として算定する。
 
※ また、課税所得の算定には、平成22年度税制改正による年少扶養控除の見直しに対応するための調整措置が設けられており、サービスを受けた月の属する年の前年の12月31日現在において世帯主であって、同日において同一世帯に合計所得金額が38万円以下の19歳未満の者(控除対象者)がいる場合には、下記の金額を課税所得から控除する。
・ 16歳未満の控除対象者の人数×33万円
・ 16歳以上19歳未満の控除対象者の人数×12万円
 
(2)適用
(1)による判定後、8月1日以降に利用するサービス分から当該判定に基づく自己負担限度額が適用される。
 
(3)新たに要介護(支援)認定の申請があった際の判定
8月の定期判定の時点では世帯内に要介護(支援)者がおらず、その後に新たに要介護(支援)認定の申請があった際の判定も、基本的な流れは(1)及び(2)と同じである。
 
第2 世帯構成の変更に伴う随時の判定
高額介護サービス費の現役並み所得区分は世帯単位で適用する仕組みであるから、第1に掲げる定期的な判定後も、世帯構成に変更があった場合には、当該世帯の負担限度額が変更になる可能性がある。このため、変更後の世帯の状況を踏まえ、負担限度額を速やかに再判定し、所得区分が変わる場合には、新たな負担限度額を適用することが必要となる。
 
(1)世帯構成の変更の事実の把握
第一号被保険者の転入・転出・転居・死亡・65歳到達等に係る住民基本台帳の更新状況の確認などを通じて、随時、世帯構成の変更の事実を把握することが必要となる。
世帯構成の変更の事実を把握した場合には、変更後の世帯構成に基づいて再度負担限度額を判定することとなる。この場合、転入者に係る所得状況は転入先市町村の税情報で確認できないことから、転出元市町村に所得照会を行うことにより把握する必要がある。なお、控除対象者の把握については、住民票上の世帯情報を把握するため、転出元市町村の住民票担当課へ確認することもあると考えられる。
 
(2)変更後の状況に基づく判定
変更後の世帯の状況を前提として、第1(1)に基づき、当該世帯に属する全ての第一号被保険者の課税所得額を把握し負担限度額を判定する。
 
(3)変更後の負担限度額の適用
従来から、高額介護サービス費の負担限度額の適用については、サービスの利用月ごとに、それぞれの月の初日における世帯状況及び所得状況により判断する運用とされている。すなわち、世帯構成の変更に伴い自己負担限度額も変更となる場合には、当該世帯構成の変更の事実が生じた月の翌月サービス分から、変更後の自己負担限度額が適用される。
 
① 他保険者への転出・他保険者からの転入があった場合
ア 転入した第一号被保険者が転入先保険者で新たに世帯を形成した場合転入した日から、転入先保険者において判定した負担限度額を適用する。
イ 転入した第一号被保険者が転入先保険者で既存の世帯に入った場合
転入した第一号被保険者を受け入れた月は、当該月の受け入れ前の負担限度額を適用することとし、負担限度額に変更が生じる場合には、新たな負担限度額を翌月初日から適用する。ただし、転入した日が月の初日である場合は、当該月から新たな負担限度額を適用する。
ウ 第一号被保険者が転出した世帯について
イと同様に取り扱う。
 
② 同一保険者内で他世帯への転居・他世帯からの転居があった場合
ア 転居した第一号被保険者が新たに世帯を形成した場合
転居した月は、当該月の転居前の負担限度額を適用することとし、負担限度額に変更が生じる場合には、新たな負担限度額を翌月初日から適用する。ただし、転居した日が月の初日である場合は、当該月から新たな負担限度額を適用する。
イ 転居した第一号被保険者が転居先で既存の世帯に入った場合
アと同様に取り扱う。
ウ 第一号被保険者が転居した世帯について
①イと同様に取り扱う。
 
③ 新たに65歳到達により第一号被保険者となる者があった場合
65歳到達した月は、当該月の従前の負担限度額を適用することとし、負担限度額に変更が生じる場合には、新たな負担限度額を翌月初日から適用する。ただし、65歳到達した日が月の初日である場合は、当該月から新たな負担限度額を適用する。
④ 第一号被保険者の死亡等による資格喪失があった場合
同一世帯に属する他の第一号被保険者について、死亡等による資格喪失があった月は、当該月の従前の負担限度額を適用することとし、負担限度額に変更が生じる場合には、新たな負担限度額を翌月初日から適用する。なお、死亡等があった日が月の末日である場合は、死亡等があった日の属する月の翌月初日から新たな負担限度額を適用することとなる。
 
(参考)他保険者への転出・他保険者からの転入があった場合(ア)
 
(参考)他保険者への転出・他保険者からの転入があった場合(イ)
 
(参考)同一保険者内で他世帯への転居・他世帯からの転居があった場合(ア)
 
(参考)同一保険者内で他世帯への転居・他世帯からの転居があった場合(イ)
 
第3 境界層措置に係る判定
要保護者(生活保護法第六条第二項に規定する要保護者をいう。以下同じ。)のうち、所得区分に応じて通常判定される負担上限額よりも低い負担上限額を適用されたならば、保護(生活保護法第二条に規定する保護をいう。以下同じ。)を必要としない状態となる者の判定については、生活保護の保護申請が却下又は生活保護が廃止され、かつ、これらの規定を適用することが必要であると認められたことが前提となるが、その適用については、保護の却下に係る申請が行われた月又は保護が廃止された月の初日に遡って適用されるものとする。
なお、適用期間は、開始された年度の翌年度の7月末日まで(当該認定を行った日の属する月が4月~7月までの場合は、当年度の7月末まで)継続するものとする。
 
第4 生活保護の開始・廃止に伴う判定
所得や世帯構成の変更における適用と同様の取扱いとし、月の途中において生活保護が開始された場合は、当該月の初日に遡って新たな区分を適用する。
 
第5 過誤調整
適切に負担限度額を判定した後であっても、
・ 被保険者からの世帯変更の届出が遅れたことなどにより、世帯構成の変更の事実の把握が遅れ、随時の再判定が本来適用すべき月に間に合わなかった場合
・ 修正申告等により所得更正があり、判定の根拠とした所得の額が遡及して変更された場合
には、既に利用した過去分のサービスに係る負担限度額を訂正して適用する必要が生じることがある。この場合、次の考え方を基本に、事後的に正しい負担限度額となるよう過誤調整を行う。
 
(1)世帯構成の変更の事実の把握が遅れた場合
第2に掲げるとおり、世帯構成の変更に伴って負担限度額の変更が生じる場合があるが、転出入や死亡等に係る本人からの届出が遅れたことなどが原因でその事実の把握が遅れ、結果として、変更前の負担限度額に基づいて高額介護サービス費が支給されているケースも想定される。
こうした場合、事実を把握した時点で速やかに再判定を行うとともに、既に変更前の負担限度額を基に支給されている過去分の高額介護サービス費については、変更後の負担限度額に基づいて計算した高額介護サービス費との差額を被保険者との間で調整する必要がある。
たとえば、44,400円と判定されていた世帯に、課税所得380万円以上690万円未満の第一号被保険者が転入していたことが後日判明した場合には、転入月の翌月まで遡及して93,000円を適用し、差額を調整することとなる。
 
(2)所得更正があった場合
負担限度額は、地方税法の規定による市町村民税に係る所得の金額に基づいて判定されるが、しばしば修正申告等により、過年度分の所得の金額が修正され、課税所得をはじめ判定根拠に用いた金額が変更されることがある。
これにより負担限度額が変更となる場合、変更の事実を把握した時点で速やかに再判定を行うとともに、既に支給している過去分の高額介護サービス費についても変更後の負担限度額を基に算定すべきことになるから、差額を被保険者との間で調整する必要がある。
例えば、負担限度額の93,000円と判定されていた世帯が、後日生じた所得更正により課税所得380万円を下回った場合には、遡及して44,400円を適用し、差額を調整することとなる。
 
(3)遡及期間
(1)の場合、基本的には、世帯構成の変更に伴う新たな負担限度額の本来の適用開始時期にまで遡って、その時点から直近に至るまでの間に既に支給された高額介護サービス費の額を過誤調整することとなる。
(2)の場合、所得とは年度を通じて一つの金額に決まるものであるから、所得に基づく判定の切り替えが行われる8月1日まで遡って、その時点から直近に至るまでの間に既に支給された高額介護サービス費の額を過誤調整することとなる。(更に過年度分の所得が更正された場合には、それに応じて、当該所得が判定に用いられる期間の負担限度額が変更されるため、その期間の高額介護サービス費の額を過誤調整することとなる。)
(1)及び(2)のいずれにしても、遡及は消滅時効の範囲内にとどまるため、
・ 法第200条第1項の規定により保険給付を受ける権利は2年の消滅時効が適用され、差額の追加給付は2年間を限度
・ 地方自治法第236条第1項の規定により不当利得の返還請求権は5年の消滅時効が適用され、差額の徴収は5年間を限度
として遡及変更し得ることとなる。この場合、消滅時効の起算点は権利を行使することができるに至ったときと解されるためサービスを受けた日の属する月の翌月初日から進行するものとして取り扱う。
 
第6 申請手続の負担軽減の取扱い
支給対象となった場合における受給対象者の毎回の申請・受給に係る負担を軽減するため、
① 申請書の記載内容の工夫などにより、申請は初回のみで足りるようにする
② 申請時に利用者負担額の申告及び領収書の添付を求めない
③ 高額介護サービス費の受取りについても、初回申請時に指定した口座に振り込む
など適切に対応されたい。
 
 

 
(別添3)
 
 
3.特定入所者介護(予防)サービス費の支給事務
 
Ⅰ 支給要件
第1 原則的な支給要件
(1)世帯の課税状況
当該被保険者の属する世帯の世帯主及び全ての世帯員並びにその者の配偶者(※1~3)が、サービスを受けた日の属する年度(その日の属する月が4月から7月までの場合は、前年度)分の市町村民税が非課税(市町村の条例により免除されている場合を含む。)であることが必要となる。
負担限度額認定は、毎年8月以降の申請日の属する月の初日に遡って効力を有するものとする。
 
※1 配偶者には、事実上の婚姻関係にある者も含む((2)において同じ。)。
 
※2 離婚や婚姻の取消しが成立した場合には、配偶者の課税状況の勘案の対象外となるが、運用上、離婚の調停・訴訟や婚姻の取消訴訟等の手続を開始している場合であって、生活に係る配偶者からの援助が期待しがたいと認められるときは、勘案の対象外として差し支えない((2)において同じ。)。この場合、調定申立書の写しや訴状の写し等により事実関係を確認する。
 
※3 ①配偶者が行方不明となった場合、②配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第1項に規定する配偶者からの暴力を受けた場合、③その他これらに準ずる場合には、配偶者の課税状況の勘案の対象外とする。
その他これらに準ずる場合としては、配偶者が本人の財産を不当に処分するなど、いわゆる経済的虐待に該当する場合や、②とは逆に本人が配偶者に暴力を行っている場合が考えられるが、夫婦間には生活保持義務があると解されていることを踏まえた改正の趣旨を逸脱しない範囲において、個別具体的な事情に基づき判断する((2)において同じ。)。なお、配偶者からの暴力や虐待があることを保険者が把握した場合には、福祉事務所や、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)に基づき対応を行う市町村、地域包括支援センター等の関係機関との連携、情報提供に努めることが重要である。
 
(2)預貯金等の状況
(1)とともに、本人及び配偶者の所有する預貯金等の合計額も支給要件に含まれるところ、当該預貯金等の合計額については、配偶者の有無に応じて、以下のとおりとなる。
 
※ 生活保護受給者は預貯金等の要件がない。
 
① 配偶者がない場合
・ 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人が老齢福祉年金受給者である場合:1000万円以下
・ 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人の年金収入(非課税年金を含む。)及びその他の合計所得金額の合計額(以下「年金収入等」という。)が80万円以下(第2段階)である場合:650万円以下
・ 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入等80万円超120万円以下(第3段階①)である場合:550万円以下
・ 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入等120万円超(第3段階②)である場合:500万円以下
 
② 配偶者がある場合
・ 本人の預貯金等の合計額に1,000万円を加算した額以下であること
 
また、合計すべき預貯金等の範囲は、介護保険法施行規則(平成11年厚生労働省令第36号。以下「施行規則」という。)第83条の5第1号において、現金、所得税法第2条第1項第10号に規定する預貯金、同項第11号に規定する合同運用信託、同項第15号の3に規定する公募公社債等運用投資信託及び同項第17号に規定する有価証券その他これらに類する資産と定義されている。
 
 
対象か否か
確認方法
預貯金
(普通・定期)
通帳の写し
(インターネットバンクであれば口座残高ページの写し)
有価証券
(株式・国債・地方債・社債など)
証券会社や銀行の口座残高の写し
(ウェブサイトの写しも可)
金・銀(積立購入を含む)など、購入先の口座残高によって時価評価額が容易に把握できる貴金属
購入先の銀行等の口座残高の写し
(ウェブサイトの写しも可)
投資信託
 
銀行、信託銀行、証券会社等の口座残高の写し
(ウェブサイトの写しも可)
タンス預金
(現金)
自己申告
負債
(借入金・住宅ローンなど)
金銭消費貸借契約書など
生命保険
 
×
自動車
 
×
貴金属
(腕時計・宝石など、時価評価額の把握が困難であるもの)
×
その他高価な価値のあるもの
(絵画・骨董品・家財など)
×
 
なお、運用上、負債(借入金、住宅ローン等)がある場合には、預貯金等の合計額から負債の額を控除する。また、現に特定入所者介護(予防)サービス費の支給を受けている者であって、特定の者に対し、精神的な慰謝激励等の目的で給付されている金銭は、預貯金等に含まない。
 
(3)非課税年金の勘案
利用者負担段階を判定するにおける年金収入等について、非課税年金収入が含まれているため、年金保険者から市町村(広域連合が通知を受ける場合は、広域連合を含む。以下同じ。)に非課税年金情報を通知する仕組みを構築している。ここでいう年金保険者とは、日本年金機構、国家公務員共済組合(通知業務は国家公務員共済組合連合会が行う。)、地方公務員共済組合(通知業務は地方公務員共済組合連合会が行う。)及び日本私立学校振興・共済事業団を指す。
市町村は、非課税年金情報の通知により非課税年金額を把握し、課税年金収入額+その他の合計所得金額(以下「課税年金収入等」という。)と合算して判定する。詳細については、Ⅱ非課税年金勘案の事務処理を確認されたい。
なお、旧措置入所者については、非課税年金勘案の対象外としている。
 
第2 市町村民税課税層に対する特例減額措置
市町村民税が課税されている場合でも、一定の要件に該当する場合には、利用者負担第3段階②(年金収入等120万円超)の負担限度額を適用して補足給付を支給する仕組みとなっている。この点、本制度の適用に当たっては、居住用資産以外の資産の状況なども支給要件として勘案する必要があるところ、本制度についても被保険者からの申請が前提となり、保険者側で予め支給要件を満たすかどうかを確認することができないことから、本措置の趣旨・内容について被保険者に対して広く周知することが重要である。詳細は、4.市町村民税課税層に対する特例減額措置(P66)を確認されたい。
 
Ⅱ 非課税年金勘案の事務処理
第1 事務処理
(1)年次処理
毎年1回、当該年の前年の非課税年金情報が年金保険者から市町村に送付される処理をいう。年次処理で通知された非課税年金額を課税年金収入額及び合計所得金額と合算し、当該年の8月からの支給判定に際し勘案することとする。
 
① 通知対象者
当該年の1月1日現在において、国内に居住し、非課税年金(基礎年金・厚生年金・共済年金(旧法年金を含む。)等の障害年金、遺族年金をいう。詳細は、以下の参考又は媒体仕様書中の年金コードを参照。)を受給している40歳以上の年金受給者である。
 
【参考:対象年金について】
※非課税年金情報用の年金コード。年金振込通知書等に表示される年金コードと異なる場合がある。
 
年金コード(※)
媒体仕様書における名称
振込通知書等に出力される年金種別の文言
(例)
1
0500,
0560~69
障害年金(共済)
障害
2
1350~59
障害基礎年金
国民年金 障害基礎
※障害厚生年金併給の場合、
 国民年金・厚生年金
 障害基礎厚生
3
2650~59
障害基礎年金(障害福祉年金裁定替え分)
国民年金 障害基礎
4
5350~59
障害基礎年金(短期)
国民年金 障害基礎
5
6350~59
障害基礎年金(20歳前)
国民年金 障害基礎
6
2350~59
障害厚生年金
厚生年金 障害厚生
※障害基礎年金併給の場合、2と同様
7
0620~29
国民年金障害年金
国民年金 障害
8
0330~39
厚生年金保険障害年金
厚生年金 障害
9
0340~49
船員保険障害年金
船員保険年金 障害
10
1300,
1370~79
障害共済年金
障害共済年金(一元化法改正前の共済法の規定)
障害共済年金(一元化法附則第41条第1項の規定)
障害共済年金(一元化法附則第65条第1項の規定)
障害厚生年金(2号厚年)
障害厚生年金(3号厚年)
障害厚生年金(4号厚年)
障害共済
11
1450~59
遺族基礎年金
国民年金 遺族基礎
※遺族厚生年金併給の場合、
国民年金・厚生年金
遺族基礎厚生
12
6450~59
遺族基礎年金(短期)
国民年金 遺族基礎
13
2450~59
遺族厚生年金
厚生年金 遺族厚生
※遺族基礎年金併給の場合、11と同様
14
0430~39
厚生年金保険遺族年金
厚生年金 遺族
15
0530~39
厚生年金保険寡婦年金
厚生年金 寡婦
16
0930~39
厚生年金保険通算遺族年金
厚生年金 通算遺族
17
0440~49
船員保険遺族年金
船員保険年金 遺族
18
1400,
1470~79
遺族共済年金
遺族共済年金(一元化法改正前の共済法の規定)
遺族共済年金(一元化法附則第41条第1項の規定)
遺族共済年金(一元化法附則第65条第1項の規定)
遺族厚生年金(2号厚年)
遺族厚生年金(3号厚年)
遺族厚生年金(4号厚年)
遺族共済
19
0400,
0460~69
遺族年金(共済)
遺族
20
0900,
0960~69
通算遺族年金(共済)
通算遺族
21
0630~39
厚生年金保険かん夫年金
厚生年金 かん夫
22
0730~39
厚生年金保険遺児年金
厚生年金 遺児
23
1030~39
厚生年金保険特例遺族年金(新法含む)
厚生年金 特例遺族
24
0540~49
船員保険寡婦年金
船員保険年金 寡婦
25
0740~49
船員保険遺児年金
船員保険年金 遺児
26
0940~49
船員保険通算遺族年金
船員保険年金 通算遺族
27
1040~49
船員保険特例遺族年金
船員保険年金 特例遺族
28
0720~29
国民年金母子年金
国民年金 母子
29
0820~29
国民年金準母子年金
国民年金 準母子
30
0920~29
国民年金寡婦年金
国民年金 寡婦
31
1020~29
国民年金遺児年金
国民年金 遺児
32
2750~59
遺族基礎年金(母子福祉年金裁定替え分)
国民年金 遺族基礎
33
2850~59
遺族基礎年金(準母子福祉年金裁定替え分)
国民年金 遺族基礎
34
5950~59
寡婦年金
国民年金 寡婦
 
※ 年金保険者が、非課税年金情報を送付している市町村については、以下のとおりとなる。
 
・ 特別徴収対象者については、特別徴収対象者の送付先市町村に送付(住所地特例対象者も同様。)することとし、特別徴収対象者以外については、時点の捉え方などについて特別徴収と同様の考え方に基づき、市町村に送付する。
・ ただし、当該年の1月1日に日本国内に住所を有する者に限ってデータ送付することとし、1月2日以降に海外から帰国した者(以下「海外帰国者」という。)は非課税年金データ送付の対象外とする。課税所得については、市町村民税の賦課期日が1月1日である関係上、1月2日以降の海外帰国者は、課税対象外であるため、非課税年金も同様の整理とする。
 
※ 自己申告の有無と非課税年金情報の有無の関係については、以下のとおりである。
ⅰ)自己申告で非課税年金「有り」、年金保険者からの非課税年金情報「有り」
補足給付の利用者負担段階判定に当該非課税年金情報を勘案する。
ただし、非課税年金を併給している場合には、それぞれの年金が異なる市町村に通知される可能性があることに留意されたい。
ⅱ)自己申告で非課税年金「有り」、年金保険者からの非課税年金情報「無し」
補足給付申請時に非課税年金を受給していると申告した者の非課税年金情報が保険者である市町村に届かない場合が想定されるところ、以下のとおり対応することが考えられる。
ⅱ-1)年金保険者へ居所のみを登録している者である場合
被保険者本人又は家族に対して居所として年金保険者へ登録した住所(例えば、年金保険者からの通知が届く住所)や住民票登録をしている住所の聞き取りを行い、当該住所の市町村の介護保険部局へ照会することとする(照会方法は(3)、照会様式例は別添様式3及び別添様式4参照)。認知症を有する者など被保険者本人からの聞き取りが難しく、かつ、家族などからの聞き取りも望めない場合には、住民基本台帳の情報などから、過去の住所地を検索することとする。保険者である市町村は、法第203条に基づき、当該申告者の非課税年金情報が送付されている市町村に対して当該申告者の非課税年金情報の照会を行うことができる。
なお、年金保険者へ居所のみを登録している者(例えば、A市からB市に住民票を移したが、住民基本台帳と基礎年金番号が連携していないこと及び住所変更手続きを行っていないことにより、A市しか年金保険者へ登録されていない者)については、非課税年金受給者本人による年金保険者へのマイナンバー(個人番号)の登録、住所変更の届出により、登録・届出以降に作成される通知が、保険者である市町村に送付されることになる。被保険者から問い合わせがあった際は、マイナンバー(個人番号)の登録などの手続きの詳細は、以下のURLを参考としつつ、適宜、各年金保険者の窓口をご案内いただきたい。
 
・日本年金機構「年金を受けている方が住所や年金の受取先金融機関を変えるとき」
・国家公務員共済組合連合会「Q 転居したのですが、手続はどのように行うのですか。」
・日本私立学校振興・共済事業団「氏名・受取金融機関・住所の変更」
・地方公務員共済組合連合会→手続きの詳細は各共済組合のHP等で確認してください。
(各共済組合へのリンク)
 
ⅱ-2) 普通徴収対象者かつ住所地特例対象者である場合
保険者である市町村へ非課税年金情報が届くようにする方法は現時点では想定されないため、保険者である市町村は、必要に応じて、当該者の非課税年金情報を施設所在市町村に照会すること(照会方法は(3)、照会様式例は別添様式3及び別添様式4参照)。
 
ⅱ-3) 前年に海外に居住していた者である場合
海外に居住している間の非課税年金情報は通知されないことについて留意されたい。
 
ⅲ)自己申告で非課税年金「無し」、年金保険者からの非課税年金情報「有り」
非課税年金情報を基に判定を行う。非課税年金勘案により利用者負担段階が変更になる場合や申告を故意に行わなかったと認められる場合などは、必要に応じ被保険者へ確認・説明を行うこと。
 
ⅳ)自己申告で非課税年金「無し」、年金保険者からの非課税年金情報「無し」
非課税年金情報はないものとして判定を行う。
 
② 通知経路
特別徴収対象者の通知経路と同様、年金保険者→経由機関(国民健康保険中央会→各都道府県国民健康保険団体連合会)→市町村の経路で、非課税年金情報を通知する。
ただし、非課税年金額を勘案する際に、特別徴収のように対象となる年金の優先順位の判定は要しないことから、日本年金機構において共済組合から提供された情報を集約することとはしない。このため、国家公務員共済組合連合会及び日本私立学校振興・共済事業団については、日本年金機構を経由することなく、それぞれが直接、国民健康保険中央会に通知する。
 
※ 特別徴収の事務と異なり、非課税年金情報の通知に係る事務については、年金保険者からの情報を受領するのみであるため、例えば、当該市町村の被保険者でない者の非課税年金情報が通知された場合でも、年金保険者及び経由機関に対してや個別に照会することのないよう留意されたい。
 
【参考:特別徴収と非課税年金情報の通知の流れの違い】
③ 通知時期
前年1月1日から12月31日までの間に年金保険者が非課税年金受給者に対して支給した非課税年金(実績)について、非課税年金受給者の住所地の市町村へ当該年の5月31日までに通知される。
 
※ 通知日が行政機関の閉庁日の場合は、当該閉庁日の直前の開庁日となる。
 
④ 通知事項
非課税年金受給者の氏名、住所、生年月日、性別、基礎年金番号、年金コード、支払年金額、対象年、市町村コード等
 
※ 市町村コードについては、特別徴収で住所地特例対象者となっている非課税年金受給者に係る補足給付における非課税年金情報の通知においても、同様に住所地の市町村とは異なる市町村へ送信することができるよう年金保険者において設定している。
 
※ 通知対象者がいない市町村に対しては、該当者がいない旨(0件)の通知が行われる。
 
(2)月次処理
年次処理以降、毎月1回(年12回)、年次処理で通知した非課税年金額に変更があった場合や、遡及して非課税年金額が支給された場合に通知する処理をいう。当該情報を基に、該当者について支給要件の有無を再判定することとする。
 
① 通知対象者
前年以前に遡及して非課税年金が発生し、当該年の1月1日時点で40歳以上の年金受給者及び年次処理又は以前の月次処理において通知した非課税年金額に変更があった年金受給者である。
 
※ 前年以前に遡及して非課税年金が発生した場合は、年次処理と異なり、当該年の1月1日現在において、国内に居住していた者に限定されないことに留意されたい。月次処理の通知があった補足給付受給者について、年次処理で非課税年金情報が得られていない場合には、当該年の1月1日現在において国内に居住していなかった(課税対象外)可能性があるため、住民基本台帳を照会し、当該年の1月1日に当該市町村(広域連合については、構成市町村をいう。当該市町村に当該年の1月2日以降に異動してきた者については、異動前市町村など)に住民票を有していたか確認し、国内居住者であったことを確認すること。
 
※ 前年に非課税年金を受給していた者が、年の途中で40歳に到達した場合は、当該年の翌年に行われる年次処理で初めて通知されることとなり、当該年の月次処理においては通知されない。この場合の非課税年金情報については、本人の自己申告のみにより把握することとなるため、申請を行う本人又は家族から、年金の振込通知書など前年に支給を受けた年金額がわかる書面の提示を求め、判定を行うこととする。
 
※ 基本は当該年より直近3年間分の情報が届くこととなる。
 
② 通知経路
年次処理と同様である。
 
③ 通知時期
非課税年金受給者の住所地の市町村へ毎月10日までに、前月に支給された支給額の改定情報や遡及して支給された額を通知する。
 
※ 通知日が行政機関の閉庁日の場合は、当該閉庁日の直前の開庁日となる。
 
④ 通知事項
年次処理と同様である。
 
(3)非課税年金情報の市町村間の受け渡しについて
 
① 照会方法
本人が非課税年金を受給していると申告しているにも関わらず、年金保険者から非課税年金情報が保険者市町村(以下「照会元市町村」という。)に届かない場合は、他市町村に当該者の非課税年金情報が通知されている可能性が高い。この場合、住所地特例対象者であれば施設所在市町村に、他市町村から転入してきた被保険者であれば当該市町村に通知されていることが予想されるため、別添様式3でお示しする照会様式例を参考とし、他市町村の介護保険部局宛に非課税年金情報を照会されたい。このとき、照会先の市町村(以下「照会先市町村」という。)における住所を把握している場合には、当該住所を記載することでより正確に非課税年金情報の照会を実施できることから、可能な限り記載することが望ましい。
 
② 回答方法
照会先市町村は、照会元市町村より提示された氏名(カナ)、生年月日、性別の情報を基に、年金保険者から通知された非課税年金情報の中から当該者の非課税年金情報(基礎年金番号、情報作成年月日(年金保険者から通知される情報に含まれているレコード作成時の年月日(※))、年金種別、年金保険者、支払額(月次処理により変更されている場合は、直近の月次処理により把握した支払額)を検索し、回答すること。検索の際は、生年月日及び性別で検索をかけ、絞り込んだ情報からカナで特定することが望ましい。(カナについては、年金保険者が把握しているものと市町村が把握しているものが、濁点の有無等について差異がある可能性がある。)また、複数の年金を受給している場合は、全ての種類の年金について回答されたい。
照会先市町村に当該者の情報が通知されていない場合は、照会先市町村(広域連合については、構成市町村をいう。)に転入する前に住所があった市町村を提示するなど、照会先市町村においては照会が引き続き行うことが可能となるよう協力いただきたい。
回答の様式については、別添様式4でお示しする回答様式例を参考とされたい。
 
※ 支払額は月次処理により遡及して変更される可能性があることから、当該支払額に関する情報がいつ作成されたものであるかについて、照会元市町村が管理する観点から含めているもの。
 
【参考:年次処理・月次処理のサイクル】
 
 
年金
保険者
国保
中央会
国保
連合会
市町村
年次
処理
 
5/●
 
5/●
 
5/31
 
月次
処理
 
6/●
 
6/●
 
7/10
 
 
7/●
 
7/●
 
8/10
 
 
8/●
 
8/●
 
9/10
 
 
9/●
 
9/●
 
10/10
 
 
10/●
 
10/●
 
11/10
 
 
11/●
 
11/●
 
12/10
 
 
12/●
 
12/●
 
1/10
 
 
1/●
 
1/●
 
2/10
 
 
2/●
 
2/●
 
3/10
 
 
3/●
 
3/●
 
4/10
 
 
4/●
 
4/●
 
5/10
 
 
5/●
 
5/●
 
6/10
 
 
※ 日付入り(市町村への到達日)は確定日付。●は毎年関係機関間の調整・取り決めにより決定。
 
Ⅲ 事務処理
補足給付の支給は、その属する世帯の状況と、本人、世帯員及び配偶者の所得・資産の状況に応じて判定されるものであり、具体的には次により判定することとなる。
 
第1 申請時の対応
申請書の収入等に関する申告欄及び受給している非課税年金の種別欄(遺族年金・障害年金の別及び年金保険者の別)を申請者に記入させることにより、毎年申告を求めるものとする。
 
※ 非課税年金情報が、保険者である市町村に届かない可能性があるため、年次処理・月次処理(Ⅱの第1(1)及び(2)参照。)に加えて、当該申請者の自己申告により市町村システムにおいて非課税年金勘案情報を確認することとする。
 
※ 非課税年金情報が保険者である市町村に届かず、また、当該申請者からの自己申告がない場合には、システムの利用による非課税年金情報の把握は不可能となることから、被保険者に対して適切に自己申告を求めることが重要であること。また、非課税年金の受給に関する虚偽の自己申告は、法第22条第1項に基づく加算金の対象となり得ることも併せて説明すること。なお、認知症などにより自ら非課税年金の受給状況を認識できず、親族等の助けも望めないと保険者が認めた場合には、そのまま申請を受けても差し支えないこと。
 
第2 定期的な判定
補足給付は市町村民税世帯非課税が支給要件の一つとなっており、市町村民税課税の有無は、毎年度、前年中の所得に基づいて決定されることから、その決定時期を踏まえ、毎年8月1日を基準日として定期的に判定を行う。なお、転入者については転入先市町村が転出元市町村に所得を照会することで対応し、住所地特例対象被保険者については現住所地である施設所在市町村に所得を照会することで対応する。
 
(1)世帯状況・所得及び資産状況の把握
保険者は、毎年8月1日現在の世帯状況・所得及び資産の状況を把握し、次の判定を行う。
 
① 世帯の課税状況の判定
従来どおり、判定対象となる世帯が市町村民税世帯非課税(市町村の条例により免除されている場合を含む。)かどうかを判定する。支給対象者の配偶者が同一世帯に属していなければ②の判定に、同一世帯に属していれば③の判定に移る。
 
② 配偶者の課税状況の判定
配偶者が同一世帯に属していない場合には、別途配偶者の課税状況を把握する必要があることから、まずは介護保険負担限度額認定申請書において配偶者の課税状況(市町村民税課税・非課税)の記入を求め、確認する。
この場合、配偶者が他市町村に居住している場合には、自市町村が保有する税情報では配偶者の課税状況を確認できないが、記入された内容が真性なものかどうか、必要に応じて確認する際には、次の方法で配偶者の課税状況を照会することが考えられる。
 
ⅰ)配偶者の有無及び住所地の確認
介護保険負担限度額認定申請書における配偶者の有無欄、配偶者の氏名・住所等欄の記入内容により、配偶者が住所を有する市町村を把握する。
なお、配偶者が無いと記入された場合に、真に配偶者が無いかどうかを確認する必要があると判断したときは、本人の戸籍による確認が可能である。そのような場合には、本籍地に対して戸籍照会を行うことが考えられる。
本籍地の確認については、
・ 介護保険負担限度額認定申請書に本籍地の記入欄を設ける
・ 本籍地の記載された住民票の写しの添付を求める
・ 法第203条のほか、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第12条の2第1項の規定に基づき、住民票の写しの公用請求を行い本人の本籍地を確認するといった方法が考えられ、こうして把握した本籍地に対して戸籍照会を行う(※)。
 
※ 住民基本台帳法第12条の2第1項(国又は地方公共団体の機関の請求による住民票の写し等の交付)には、「法令で定める事務」の遂行のために必要がある場合には住民票の写し等の交付を請求することができると規定されている。また、戸籍法(昭和22年法律第224号)第10条の2第2項(戸籍謄本等の交付の請求)には、「法令の定める事務」を遂行するために必要があるときは戸籍謄本等の請求ができると規定されている。この点、補足給付の支給要件を定める施行規則第83条の5において、配偶者が非課税であることを要件として規定していることから、この規定に基づき行う支給要件の判定事務は、住民基本台帳法上の「法令で定める事務」又は戸籍法上の「法令の定める事務」に位置付けられる。
 
また、事実上の婚姻関係にある者も配偶者に含めることとしているが、その場合、事実上の婚姻関係を公的に証する書面はないため、本人の申告内容をもとに判断することとなる。(内縁関係者の続柄を届け出ている場合、住民基本台帳の「夫(未届)」「妻(未届)」の記載で確認できることもある。)
一方で、(1)配偶者が行方不明となった場合、(2)配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第1項に規定する配偶者からの暴力を受けた場合、(3)その他これらに準ずる場合には、配偶者の課税状況の勘案の対象外とするが、それぞれ次の方法で確認する。
(1)…本人からの申出を基本とし、警察への行方不明者の届出の写しなど、事実を確認できる方法により把握。
(2)…住民基本台帳の閲覧禁止措置が講じられていることなど、事実を確認できる方法により把握。
(3)…本人からの申出を基本とし、例えば経済的虐待の場合は高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づき対応を行う市町村、地域包括支援センター等の関係機関に確認するなど、個別の事情に応じた方法により把握。
 
ⅱ)配偶者の課税状況の確認
ⅰ)により把握した配偶者が住所を有する市町村に対して、市町村民税課税状況を照会することで確認する。
 
③ 預貯金等の判定
本人及び配偶者の所有する預貯金等の合計額を確認するため、介護保険負担限度額認定申請書に預貯金等の額の記入を求めるとともに、施行規則第83条の6第2項に基づき預金通帳の写し、口座残高が確認できるウェブサイトのコピーなど、記入内容が確認できる書類の添付を求める。あわせて、保険者が金融機関に対して預貯金等の額の照会を行うことについての同意書を必要な添付書類として同項に規定しており、申請書とともに提出を求めることとする。記入する残高及び添付する預金通帳等の写しの記帳の時点としては、高齢者の主たる入金の要因である年金の振り込み期間も踏まえ、運用上、原則として申請日の直近2ヶ月以内の期間として取り扱う。(直近2ヶ月以内に出入金がないなどの例外的なケースもあり得るため、その場合は2ヶ月以前の直近の記帳の金額で判断することとなる。)
 
※ 預金通帳の写し等の書類の添付については、適正な支給決定のため初回申請時には求める必要があるが、介護保険施設等に継続入所中の場合であって、預貯金等の額に大きな変動がないと見込まれるときなどについては、申請者の負担に鑑み、必ずしも毎年の添付まで求めなくとも差し支えない。添付の頻度は、適正な判定を行える範囲で、保険者の運用の中で判断して差し支えない。
 
※ 預金通帳の写し等の添付書類の準備に時間を要したがために申請期限に間に合わなかった場合など、負担限度額認定がサービス利用までに間に合わなかったことがやむを得ないと保険者が認める場合には、施行規則第83条の8に基づき遡って補足給付を支給することが可能である。
また、例えば申請者が独居で認知症などの場合であって、自ら預金通帳の写し等の用意ができない場合には、他の親族や施設職員による代行申請や、成年後見人による申請が基本となる。なお、認知症などにより自ら預貯金等の残高や通帳の所在を認識できず、親族等の助けも望めないと保険者が認めた場合には、預貯金等が基準に満たないものとして一旦支給決定をしても差し支えない。この場合、預貯金等が基準を上回ることが後日確認されたら、過誤調整により対応することとなるが、不正の意図がない場合には加算金の対象にはならないことに留意する。
 
保険者は預貯金等の額が真正なものか確認するため、必要に応じて、法第203条に基づき、金融機関に対して預貯金等の額の照会を行うことができる。
金融機関に対する照会については、「金融機関本店等に対する一括照会の実施に係る照会先一覧について」(平成27年3月31日厚生労働省老健局介護保険計画課事務連絡)に掲載された金融機関の本店等に一括照会することとしている。その詳細な実施方法については「金融機関本店等に対する一括照会の実施についての一部改正について」(令和元年11月13日老介発1113第1号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)参考資料1及び「金融機関本店等に対する一括照会の実施について」(平成27年3月31日厚生労働省老健局介護保険計画課事務連絡)参考資料2に定めているので、これらに従って運用する必要がある。なお、本店等一括照会の対象となっていない金融機関に対しては、従来どおり、各支店に個別に照会を行うこととなる。
 
※ 金融機関に対する照会は、申請に対して全件実施することは想定しておらず、サンプル調査や、申請内容に個別に疑義がある場合などに実施することを想定しているものである。
 
負債を有する場合には、本人からの自己申告とともに、貸付額、返済期日等が記載され、署名、捺印がある金銭消費貸借契約書などの負債額を確認できる書面の写しによりその額を確認し、認定した預貯金等の合計額から控除することとする。なお、個人名義であっても、営む業務に係る負債については、ここでの負債には含まない。また、税金や保険料等の滞納額も、ここでの負債には含まない。
 
(2)認定証の交付
(1)により判定を行ったら、支給対象者に対して、負担限度額及び有効期限を記した認定証を作成し、郵送や窓口交付等により交付する。有効期限の始期は8月1日、終期は翌年7月31日となる。
ただし、保険者において、受給者の預貯金等の額の変動状況や過誤調整の発生見込み等の地域の実情を踏まえ、必要があると認めるときは、当該終期を翌々年7月31日としても差し支えない。ただし、その際には、被保険者に対して、認定証の有効期間中に支給の要件を満たさなくなった場合には認定証返還の徹底を求めるなど不適正受給の発生防止に努めること。
なお、判定の結果、要件を満たしていない場合には不支給決定通知書を発行することとなるが、理由が明確に認識できるよう、たとえば、
・市町村民税課税世帯であるため
・同一世帯でない配偶者が市町村民税課税であるため
・厚生労働省令で定める額を超える資産があるため
・特例減額措置の要件に該当しないため
等の理由を記載する。
 
第3 随時の判定
第2に掲げる定期的な判定後も、世帯構成の変更、配偶者の状況の変更、預貯金等の額の変動に伴い、補足給付の支給の可否が変わる可能性がある。このため、変更後の状況を踏まえて再判定し、支給の可否が変わる場合には速やかに所要の措置を講じる必要がある。
なお、補足給付は申請に基づいて負担限度額認定を行い支給する仕組みであるため、状況の変更を受けて支給要件を満たすこととなることが見込まれる場合、申請を受けてから要件の確認・判定を行う。
 
(1)変更の事実の把握
① 世帯構成の変更
市町村民税世帯非課税か否かは、世帯構成の変更(転入・転出・転居・死亡等)により変わり得るため、住民基本台帳の更新状況の確認などを通じて、随時、世帯構成の変更の事実を把握することが必要となる。
 
② 配偶者の状況の変更
配偶者の死亡・離婚や、新たに婚姻があったことにより、配偶者の課税状況に係る要件の適合状況は変わり得る。この点、配偶者が同一世帯に属している場合には①の確認で対応できるが、同一世帯に属していない場合には保険者の保有する情報では自動的に把握することが困難と考えられる。したがって、本人からの申出等により配偶者の状況の変更が把握できた場合には、それに応じて対応するとともに、把握できない場合には、翌年の定期的な判定時に把握し、必要に応じて過誤調整(後述第6参照)で対応することもあり得る。
 
③ 預貯金等の額の変動
預貯金等の額は日々変動するものであるため、預貯金等の額に係る要件の適合状況は随時変わり得る。この点、保険者が預貯金等の額の変動を自動的に把握することは困難であるから、本人からの申出等により預貯金等の額の変動が把握できた場合にはそれに応じて対応するとともに、把握できない場合には、翌年の定期的な判定時に把握し、必要に応じて過誤調整(後述第6参照)で対応することもあり得る。
また、単身者に婚姻があった場合、その時点から配偶者の預貯金等の額を把握して本人の預貯金等の額との合計額がⅠの第1(2)①及び②以下であるかどうかを確認する必要があるため、配偶者の預貯金等の申告及び預金通帳等の写しの添付が必要となる。
 
④ 65歳到達により第一号被保険者となる場合
補足給付の支給を受けている第二号被保険者が65歳に到達した際は、資産要件が変更となることから新たに判定を行う必要がある。預金通帳の写し等の添付については、Ⅲの第2(1)③の※と同様の考え方とする。
 
(2)変更後の適用
市町村民税世帯非課税か否かを判断する際には、申請日における世帯状況・申請日における課税状況に基づいて判断し、負担限度額認定は申請日の属する月の初日に遡って適用する運用となっている。これを踏まえ、(1)②から④に係る変更後の適用も、同様の考え方で運用する。
すなわち、
・ 死亡・離婚等により課税されている配偶者が不在となる場合や、預貯金等の費消により預貯金要件を満たした場合には、その後の申請を受けて、申請日の状況に基づいて判定し、申請日の属する月の初日に遡って負担限度額認定を適用する。
・ 婚姻により課税されている配偶者が生じる場合や、預貯金等の入金により預貯金要件を満たさなくなった場合には、当該事実が生じた日の属する月の翌月から補足給付対象外とする。
 
例1 本人は施設入所で市町村民税非課税の単独世帯(要件を満たしていた場合は、第3段階②に該当。以下、同じ。)。世帯外に課税されている配偶者がいたが、10月15日に当該配偶者が死亡した場合。
例2 本人は施設入所で市町村民税非課税の単独世帯。配偶者はなく預貯金等は500万円を超えていたが、10月15日に500万円以下となった場合。
⇒ 10月15日以降申請が可能であり、同月内に申請があれば、10月1日から補足給付対象。
 
例3 本人は施設入所で市町村民税非課税の単独世帯。10月15日に配偶者を得て、当該配偶者は課税されていた場合。
例4 本人は施設入所で市町村民税非課税の単独世帯。配偶者はなく預貯金等は500万円以下であったが、10月15日に500万円超となった場合。
⇒ 10月中は補足給付対象で、11月から補足給付対象外。
 
第4 境界層措置に係る判定
要保護者のうち、所得区分に応じて通常判定される負担上限額よりも低い負担上限額を適用されたならば、保護を必要としない状態となる者の判定については、生活保護の保護申請が却下又は生活保護が廃止され、かつ、これらの規定を適用することが必要であると認められたことが前提となるが、その適用については、保護の却下に係る申請が行われた月又は保護が廃止された月の初日に遡って適用されるものとする。
なお、適用期間は、開始された年度の翌年度の7月末日まで(当該認定を行った日の属する月が4月~7月までの場合には、当年度の7月末まで)継続するものとする。
 
第5 生活保護の開始・廃止に伴う判定
所得や世帯構成の変更における適用と同様の取扱いとし、月の途中において生活保護が開始された場合は、当該月の初日に遡って新たな区分を適用する。
 
第6 過誤調整
適切に負担限度額を判定した後であっても、
・ 被保険者からの世帯変更の届出が遅れたことなどにより世帯構成の変更の事実の把握が遅れたり、配偶者の状況の変更や預貯金等の額の変動の把握が事後になったりして、随時の再判定が本来適用すべき月に間に合わなかった場合
・ 修正申告等により所得更正があり、判定の根拠とした所得の額が遡及して変更された場合
には、既に利用した過去分のサービスに係る負担限度額認定を訂正して適用する必要が生じることがある。この場合、次の考え方を基本に、事後的に正しい負担限度額認定となるよう過誤調整を行う。
 
(1)世帯状況・所得及び資産状況の変更の事実の把握が遅れた場合
第2に掲げるとおり、世帯構成の変更に伴って市町村民税世帯非課税と課税の間で変更が生じたり、婚姻や配偶者の死亡・離婚、預貯金等の額の変動が生じたりする場合がある。その際、転出入や死亡等に係る本人からの届出が遅れたことや、同一世帯に属しない配偶者の状況や預貯金等の状況を随時に把握できなかったことなどが原因で、結果として、本来負担限度額認定の見直しを行うべき時期に切り替えができていないケースも想定される。
こうした場合、事実を把握した時点で速やかに再度負担限度額認定を行うとともに、既に被保険者が負担していた金額と補足給付の支給額を調整する必要がある。すなわち、本来負担限度額認定の対象外であるはずの期間に補足給付を支給している場合は、保険者が本人から差額を徴収する。また、本来負担限度額認定を受けられる期間に補足給付を支給していない場合には、食費・居住費の基準費用額を超えない金額を支払っている場合において、施行規則第83条の8の規定により、保険者がやむを得ないと認める場合には差額を本人に支給する。
 
(2)所得更正があった場合
所得更正により、世帯員又は配偶者について非課税と課税が変更となる場合、変更の事実を把握した時点で速やかに再度負担限度額認定を行うとともに、既に被保険者が負担していた金額と補足給付の支給額を調整する必要がある。支給額の調整については、(1)と同様とする。
 
(3)非課税年金額の改定があった場合
非課税年金額の改定や遡及支給の情報については、年金保険者からの月次処理による通知や本人からの申出等により把握できた場合には、それに応じて対応するとともに、非課税年金額が保険者である市町村に届かない上に自己申告がなく把握できない場合には、翌年の定期的な判定時に把握し、必要に応じて過誤調整で対応することもあり得る。支給額の調整については、(1)と同様とする。
 
(4)遡及期間
(1)の場合、本来の負担限度額の適用開始時期にまで遡って、その時点から直近に至るまでの間に生じた差額を過誤調整することとなる。
(2)及び(3)の場合、所得とは年度を通じて一つの金額に決まるものであるから、所得に基づく定期的な判定の切り替えが行われる8月1日まで遡って、その時点から直近に至るまでの間に生じた差額を過誤調整することとなる。(更に過年度分の所得が更正された場合には、それに応じて、当該所得が判定に用いられる期間に生じた差額を過誤調整することとなる。)
(1)、(2)及び(3)のいずれにしても、遡及は消滅時効の範囲内にとどまるため、
・ 法第200条第1項の規定により保険給付を受ける権利は2年の消滅時効が適用され、差額の追加給付は2年間を限度
・ 地方自治法第236条第1項の規定により不当利得の返還請求権は5年の消滅時効が適用され、差額の徴収は5年間を限度
として遡及変更し得ることとなる。この場合、消滅時効の起算点は権利を行使することができるに至ったときと解されるため、食費・居住費の支払日の翌日から進行するものとして取り扱う。
 
 





 
 
老介発1113第1号
令和元年11月13日
 
参考資料1
 
 
各都道府県介護保険主管部(局)長 殿
 
 
厚生労働省老健局介護保険計画課長
( 公 印 省 略 )
 
 
「金融機関本店等に対する一括照会の実施について」の
一部改正について(通知)
 
 
今般、「金融機関本店等に対する一括照会の実施について」(平成27年3月31日老介発0331第3号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)の一部を別紙の新旧対照表のとおり改正し、令和2年4月1日から適用することとしました。
従来は、当該通知に基づく金融機関本店等に対する一括照会の際、申請者本人の同意書を添付することとしていましたが、この度、これを不要とすることとしました。なお、同意書の取得そのものは引き続き必要である取扱いは変わらない点につき、ご留意いただきますようお願いします。
当該内容について、御了知の上、管内保険者へ周知いただきますようお願いします。
 
 

 
別紙
○「金融機関本店等に対する一括照会の実施について」
(平成27年3月31日老介発0331第3号厚生労働省老健局介護保険計画課長通知)
改正後
現行
 
1 (略)
2 実施方法
(1)~(4) (略)
(5)照会方法
ア (略)
イ 本店等一括照会は、調査書(別紙様式)の別紙1に次の①から⑤の事項の記入を行った上で、上記(2)へ郵送することにより行う。
 
1 (略)
2 実施方法
(1)~(4) (略)
(5)照会方法
ア (略)
イ 本店等一括照会は、調査書(別紙様式)の別紙1に次の①から⑤の事項の記入を行った上で、特定入所者介護(予防)サービス費の支給申請時等に保険者に提出された本人の同意書(写)を添付のうえ、上記(2)へ郵送することにより行う。
ウ (略)
エ 削る
ウ (略)
エ 上記イにおいて添付する同意書(写)は、調査対象者である申請者等及び申請者等の配偶者が個々に調査に同意していることがわかるものとすること。
(6) (略)
3 本店等一括紹介の留意点
(1) (略)
(2)保険者において不正受給の疑いがある場合等、真にやむを得ない理由により上記2の(4)以外の状況(口座の異動明細等)が必要な場合は、予め取引支店等を特定した上で、本店等一括照会によらず、当該取引支店等、銀行等が指定する照会先に直接、郵送により照会を行う(照会文書には、同意書を保険者において保管している旨を付記するものとする)。その際は上記2の(5)のアの内容に加えて可能な範囲で判明している科目名、口座番号等を記入するとともに、極力、照会事項を特定すること。その際の様式は任意とするので、別紙様式は使用しないこと。
なお、保険者において取引支店等を特定できていない場合には、必ずあらかじめ本店等一括照会により取引支店等を特定のうえで、当該取引支店等、銀行等が指定する照会先に対して照会を行うこと。
(3)銀行等及びゆうちょ銀行より同意書(写)の送付を求められた場合は、速やかに提供すること。このため、保険者においては、同意書を常に保管しておくこと。
(6) (略)
3 本店等一括紹介の留意点
(1) (略)
(2)保険者において不正受給の疑いがある場合等、真にやむを得ない理由により上記2の(4)以外の状況(口座の異動明細等)が必要な場合は、予め取引支店等を特定した上で、本店等一括照会によらず、当該取引支店等、銀行等が指定する照会先に直接、同意書(写)を添付のうえ、郵送により照会を行う。その際は上記2の(5)のアの内容に加えて可能な範囲で判明している科目名、口座番号等を記入するとともに、極力、照会事項を特定すること。その際の様式は任意とするので、別紙様式は使用しないこと。
なお、保険者において取引支店等を特定できていない場合には、必ずあらかじめ本店等一括照会により取引支店等を特定のうえで、当該取引支店等、銀行等が指定する照会先に対して照会を行うこと。
 
4 (略)
 
 
 
4 (略)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
参考資料
(改正後全文)
老介発1113第1号
令和元年11月13日
 
 
各都道府県介護保険主管部(局)長 殿
 
 
 
厚生労働省老健局介護保険計画課課長
 
 
金融機関本店等に対する一括照会の実施について
 
 
特定入所者介護(予防)サービス費の支給に当たっては、これまで介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第83条の5第4号に掲げる者に係る同条に規定する市町村の認定(以下「課税層の特例減額措置」という。)を除き資産は勘案せず所得の状況等をしん酌して判断していたところ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第83号)第5条の規定による改正後の介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第51条の3第1項及び第61条の3第1項の規定により、平成27年8月1日から、支給に当たって資産を勘案することとされました。これに伴い、特定入所者介護(予防)サービス費の支給に当たって、課税層の特例減額措置以外についても各保険者は預貯金の照会を必要に応じて実施することとなりました。
これを受け、都市銀行、地方銀行、信託銀行、第二地方銀行協会加盟銀行、信用組合及び信用金庫等(以下「銀行等」という。)に対する法第203条に基づく資料の提供等について、より効果的な手法である銀行等が指定する本店・本部・センター等(以下「本店等」という。)への一括照会(以下「本店等一括照会」という。)を下記により平成27年7月から実施することとするとともに、これまで既に本店等一括照会と同様の取扱いを行っていたゆうちょ銀行への照会について、取扱いを整理しました。ついては、これらの取扱いに遺漏なきよう管内保険者への周知方よろしくお取り計らい願います。
なお、本通知については、一般社団法人全国銀行協会、一般社団法人全国信用金庫協会、一般社団法人全国信用組合中央協会及び株式会社ゆうちょ銀行と協議済みであることを念のため申し添えます。
 
 
1 銀行等が指定する本店等への一括照会について
これまで、各保険者が複数の取引銀行支店や取引店(以下「取引支店等」という。)に別々に照会をしていたものを、本店等一括照会とすることによって、各保険者の事務負担の軽減につながるとともに、より多くの取引支店等の状況も把握できるようになることから、資産の確認を効率的、効果的に実施できるものである。
 
2 実施方法
(1)本店等一括照会を行う銀行等の範囲
各保険者が本店等一括照会を行う銀行等の範囲は、別途送付する照会先一覧に掲げる銀行等である。
 
(2)本店等一括照会の依頼先
本店等一括照会の依頼先は、銀行等が指定する本店等とする。
銀行等は本店等一括照会の目的に反しない範囲で、地域(東京・名古屋・大阪等)毎に本店等を指定でき、各保険者は、指定された本店等に依頼を行えば、当該銀行等の日本国内全店舗における回答を得られるものとする。
なお、各銀行等の具体的な照会先は別途送付する照会先一覧に明記する。
 
(3)調査対象者
本店等一括照会による調査対象者は、原則として、特定入所者介護(予防)サービス費の支給申請者、不正受給が疑われる者(以下「申請者等」という。)及び申請者等の配偶者(内縁関係の者も含む。以下同じ。)に限るものとする。
 
(4)照会内容
本店等一括照会の照会内容は、次の二点とする。
ア 口座の有無
イ 口座が「有」の場合の取引店(ゆうちょ銀行の場合は口座記号番号)及び調査時点の残高
 
(5)照会方法
ア 本店等一括照会の調査書については、別紙様式によることとする。
イ 本店等一括照会は、調査書(別紙様式)の別紙1に次の①から⑤の事項の記入を行った上で、上記(2)へ郵送することにより行う。郵送は、照会に必要な書類と返信用の封筒(料金受取人払又は切手を貼付した返信先(保険者)の住所と宛名を書いたもの)を同封のうえ行うこと。
①漢字氏名
②カナ氏名
③性別
④生年月日
⑤現住所
イ 調査書については、別紙様式によることとする。
ウ 調査依頼時点ですでに調査対象者の取引支店等が判明しているものの、判明している取引支店等以外における口座の有無等について調査を行うために本店等一括照会を行う場合には、当該銀行等への調査書に判明している取引支店等や口座番号等を可能な範囲で記入すること。
 
(6)銀行等による回答
ア 銀行等は保険者から上記(5)に基づく照会が行われた場合、当該銀行等の日本国内全店舗(事務・システム上の事情から調査困難な店舗がある場合には、当該店舗を除く。)における上記(4)の内容を調査し、回答する。
イ 銀行等による上記アの回答は、当該銀行等の回答を保険者が予め調査書を送付した際同封した返信用の封筒に封入し郵送することにより行われる。この場合の回答は別添を参考とした任意の書面とし、銀行等における内部帳票等により代えることができることとしているので、銀行等により様式が異なることに留意すること。
 
3 本店等一括照会の留意点
(1)本店等一括照会は平成27年8月以降の特定入所者介護(予防)サービス費の支給に関するものであって、平成27年7月1日以降、保険者が郵送するものから実施する。
なお、申請日が平成27年7月以前のものであっても、平成27年8月以降の支給に関するものであれば対象となる。
 
(2)保険者において不正受給の疑いがある場合等、真にやむを得ない理由により上記2の(4)以外の状況(口座の異動明細等)が必要な場合は、予め取引支店等を特定した上で、本店等一括照会によらず、当該取引支店等、銀行等が指定する照会先に直接、郵送により照会を行う(照会文書には、同意書を保険者において保管している旨を付記するものとする)。その際は上記2の(5)のアの内容に加えて可能な範囲で判明している科目名、口座番号等を記入するとともに、極力、照会事項を特定すること。その際の様式は任意とするので、別紙様式は使用しないこと。
なお、保険者において取引支店等を特定できていない場合には、必ずあらかじめ本店等一括照会により取引支店等を特定のうえで、当該取引支店等、銀行等が指定する照会先に対して照会を行うこと。
 
(3)銀行等及びゆうちょ銀行より同意書(写)の送付を求められた場合は、速やかに提供すること。このため、保険者においては、同意書を常に保管しておくこと。
 
4 ゆうちょ銀行への本店等一括照会の留意点
ゆうちょ銀行の口座については、各地域に設けられている貯金事務センターにおいて管理しており、当該貯金事務センターに照会することにより。調査が可能な体制が既に整備されている。今般の銀行等に対する本店等一括照会の実施に併せ、ゆうちょ銀行に対する照会については以下のとおり整理することとする。
(1)基本的には下記(2)を除き銀行等への本店等一括照会と同様の取扱いであること。
 
(2)銀行等への本店等一括照会と異なる点は次の通りであること。
ア ゆうちょ銀行では取引店の表記が無いこと。
イ 調査書(別紙様式)の別紙については、別紙2を用いることとすること。
ウ 口座の記号(記号が判明していない場合は、調査対象者の住所地の都道府県)により照会先の貯金事務センターが異なること
エ 口座の異動明細等が必要な場合の照会先も、個別の支店ではなく、貯金事務センターとなること。
 
 

 
【別紙様式】 
介護保険
本店等一括照会
第         号
令和  年  月  日
 
         銀行 様
 
 
市町村長
氏      名    公印
 
 
介護保険法第203条の規定に基づく調査について(依頼)
 
保険給付の適正な給付のために必要がありますので、介護保険法第203条の規定に基づき、別紙の(第    号―)~(第    号―)記載の調査対象者(計 人分)について、貴行本支店における預金口座の有無、及び口座保有されている場合の残高を照会します。
なお、入手した資料については、当保険者において厳秘資料として扱いますので念のため申し添えます。
※ 厚生労働省介護保険課長通知「金融機関本店等に対する一括照会の実施について」(令和○○年○○月○日老介発0331第3号)等を参考にご回答ください。
※ 調査対象者である特定入所者介護(予防)サービス費の支給申請者、不正受給が疑われる者(以下「申請者等」という。)及び申請者等の配偶者(内縁関係も含む。)からお調査への同意については、書面(同意書)を徴取の上、当保険者において当該書面を保管している旨を申し添えます。また、当該書面の提供依頼があった場合は、その写しを速やかに提供いたします。
 
(参考)介護保険法第203条第1項
市町村は、保険給付、地域支援事業及び保険料に関して必要があると認められるときは、被保険者、第一号被保険者の配偶者若しくは第一号被保険者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者の資産若しくは収入の状況又は被保険者に対する老齢等年金給付の支給状況につき、官公署若しくは年金保険者に対し必要な文書の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは被保険者の雇用主その他の関係人に報告を求めることができる。
 
 
〔回答先〕
住所
 
担当部署
 
担当者名
 
 



 
(別添)
 
 
(参考例)
 
 
 
年 月 日
 
 
市町村長 殿
 
 
 
銀 行
 
 
 
介護保険法第203条の規定に基づく調査について(回答)
 
 
 
令和      日付貴照会書(第    号)によりご照会を受けた調査対象者について、別紙のとおりご回答申しあげます。
 
以 上
 
 
 
 

 
参考資料2
事 務 連 絡
平成27年3月31日
 
 
各都道府県介護保険主管部(局) 御中
 
 
厚生労働省老健局介護保険計画課
 
 
金融機関本店等に対する一括照会の実施について
 
 
介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第51条の3第1項及び第61条の3第1項の規定に基づく特定入所者介護(予防)サービス費の支給に係る業務については日頃よりご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
このたびの制度改正に伴う金融機関本店等に対する一括照会(以下「本店等一括照会」という。)については、「金融機関本店等に対する一括照会の実施について(平成27年3月31日老介発0331第3号)」(以下「課長通知」という。)により実施することとしていますが、下記のとおり実施にあたって留意すべき事項を整理しましたので、管内保険者への周知方よろしくお取り計らい願います。
 
 
 
 
1 本店等一括照会を行う銀行等の範囲及び調査対象者について
本店等一括照会を行う銀行等の範囲は、課長通知の2の(1)にあるように別途送付する照会先一覧に掲げる銀行等とし、それ以外の銀行等については、各取引銀行支店や取引店(以下「取引支店等」という。)に対して行うものとする。なお、銀行等への照会は必ずしも全ての申請について行う必要は無く、不正受給を防止する観点から必要な範囲で標本調査を行うなど、各保険者で適切に対応いただきたい。
なお、口座を保有している蓋然性が高いと想定される銀行等に照会するよう、ご留意願いたい。
 
2 調査件数の報告について
本店等一括照会の実施について、当分の間、その実施状況を把握するため、毎年本店等一括照会に係る調査件数を報告いただき、一般社団法人全国銀行協会等関係団体(以下「全銀協等」という。)と情報を共有することにしている。そのため、別途、本店等一括照会に係る調査件数の把握について依頼するので予め了知願いたい。
 
3 照会内容について
本店等一括照会により銀行等から回答が得られる情報は、「口座の有無」と「口座が有る場合の取引支店等及び調査時点の残高」であり、調査時点については、本店等からの回答において調査日が明確にされる。口座の異動明細等が必要な場合は課長通知の3の(2)のとおり本店等一括照会により取引支店等を特定したうえで、当該取引支店等に照会すること。
 
4 照会方法について
(1)調査書については、課長通知の別紙様式によることとする。
 
(2)照会の際に、返信用の封筒(料金受取人払又は切手貼付、返信先(保険者)の住所と宛名を書いたもの)を同封すること。今回の本店等一括照会に関して、銀行等ではこれに対応するための要員、施設・設備費、システム経費等の費用を要していることに鑑み、対応することについてご配慮願いたい。
 
なお、銀行等から手数料の請求があった場合の対応については、これまでの各保険者と銀行等との関係を踏まえつつ、各保険者で個別に銀行等と協議し判断されたい。
 
5 留意事項について
本店等一括照会が適正に実施されるよう、あらかじめ想定される留意すべき事項を別紙のとおり整理したので、本店等一括照会を実施する際は、実施方法について適正な処理が行われるよう、留意事項を徹底していただきたい。
 
6 その他
全銀協等は、保険者の事務負担軽減の観点から、法203条に基づく調査に限定して本店等一括照会に協力することとしているものであることにご留意願いたい。
また、銀行等における対応の参考例として、全国銀行協会が会員銀行に対して周知している「介護保険法第203条にもとづく調査における「本店等一括照会」実施要領」を別添のとおりお示しする。
なお、ゆうちょ銀行への本店等一括照会については、基本的に上記1から5までと同様の取扱いとする。
 
(担 当)
厚生労働省老健局
介護保険計画課企画法令係
TEL:03-5253-1111(内線2164)
FAX:03-3503-2167
 
 
 

 
 
(別紙)
 
金融機関本店等に対する一括照会の留意事項について
 
1 本店等一括照会を行う銀行等の範囲について
本店等一括照会における照会先は、当課から別途送付する「金融機関本店等に対する一括照会の実施に係る照会先一覧」に掲載されている銀行等の照会先に送付することを徹底し、それ以外の住所・部署等に送付することがないよう留意すること。
 
<例>
× 照会先一覧に掲載されていない銀行等に本店等一括照会をするもの
 
2 照会内容について
本店等一括照会の照会内容は、「ア 口座の有無」、「イ 口座が「有」の場合の取引店(ゆうちょ銀行の場合は口座記号番号)及び調査時点の残高」の2点のみであり、当該2点以外のその他の調査(口座の異動明細等)が必要な場合は、口座の保有が確認されている取引支店等、銀行が指定する照会先に対して個別に照会を行うこと。
 
<例>
× 課長通知で定めた項目以外(以下a~i等)の事項を照会し、回答を依頼するもの
a 口座の異動明細 b 指定した日付の口座残高 c 口座の開設日 d 貸出の有無
e 最終取引日 f 預貯金の種類 g 口座番号 h 出資金残高 i 借入金残高
× 個別照会であるにも関わらず本店等一括照会の様式を使用するもの
 
3 照会方法について
(1)本店等一括照会は、課長通知の調査書(別紙様式)(以下「調査書」という。)及びその別紙により行うこと。また、「介護保険本店等一括照会」の共通の表示をしたものによって行うよう徹底し、文書番号や公印の押印漏れがないよう留意すること。
(2)調査書の別紙には、課長通知の2の(5)イに定める記載事項(①から⑤)を漏れなく記入し、また住所の市町村名等を省略したりせず、調査対象者の現住所と同意書の記載住所が異なる場合には、調査書の別紙「参考情報」欄に同意書の記載住所を旧住所として記入すること。
(3)調査書の別紙には、調査対象者である申請者等及び申請者等の配偶者が個々に同意していることが分かる同意書(写)を必ず添付すること。また、調査対象者の氏名と同意書(写)の氏名が旧姓である等異なる場合には、調査書の別紙「備考」欄にその旨記入するなど配慮すること。
(4)個別照会は保険者において不正受給の疑いがある場合等、真にやむを得ない理由により口座の異動明細等が必要な場合に限り、本店等一括照会によらず、取引支店等、銀行等が指定する照会先に対して照会を行うこと。その際の様式は任意であるが、課長通知に定める調査書及びその別紙は使用しないこと。
 
<例>
× 市町村名までしか記載していない又は市町村名を省略しているもの
× 調査書に文書番号や公印押印、照会番号、「介護保険本店等一括照会」の標記がされていないもの
× 複数名を照会する場合に調査書とその別紙とで照会番号が相違しているもの
× 調査書の別紙と同意書(写)に記載されている氏名に相違があるもの
× 同意書(写)の添付が漏れているもの
× 住所等の必要事項を記入せず住民票が添付されているもの
× 「住所相違でも回答願う」と記載されているもの
 
4 銀行等による回答について
調査書には、返信用の封筒(料金受取人払又は切手貼付、返信先(保険者)の住所と宛名を書いたもの)を同封すること。また、当該調査における依頼件数、回答書の分量に対して適切な封筒(大きさ、適正金額の切手の添付等)の同封に配慮すること。
 
<例>
× 返信用封筒が同封されていないもの
× 調査における依頼件数、回答書の分量に対して適切な封筒が同封されていないもの
 
5 円滑かつ効率的な調査実施への配慮について
調査書の送付に当たっては、銀行等において円滑かつ効率的に必要な回答を行い得るよう、調査項目の記載方法等について配慮すること。例えば、
・ 調査対象者の氏名(漢字・フリガナ)や生年月日、住所等の標記について誤りがないか、同意書に押印漏れ、押印不鮮明となっていないか入念に確認する
・ 文字が小さい、また同意書等の縮小コピーにより、判読が困難にならないよう、分かりやすい表記とする
・ 調査書の用紙サイズをA4に統一し、また調査書の別紙と同意書(写)の対応関係を明確にする(調査書の別紙と同意書(写)を別に編綴して照会する場合には、それぞれの順番をあわせるなど)
・ 同意書(写)について、銀行等において同意書の原本と同一であることが容易に確認できるよう、同意書(写)に原本証明を記載する
等により、銀行等の調査がより円滑かつ正確に行われることで迅速な回答にも資することになるため、調査実施に当たっては留意すること。
 
<例>
× 調査対象者の氏名、生年月日、住所等の表記が誤っているもの
× 同一の調査対象者について複数の調査書の別紙を作成しているもの
× 複数名について調査する場合において調査書の添付がないもの
× 同意書の署名、押印等が不鮮明なもの
× 同意書等の文字が小さく不鮮明、縮小コピー等により判読が困難なもの
× 用紙サイズがA4以外のもの
 
 
○金融機関本店等に対する一括照会に関する事務の流れ
市町村
銀行等
1 本店等一括照会を行う対象の銀行等への調査書に調査対象者ごとの調査書の別紙及び同意書の写しを添えて、調査依頼を「本店等一括照会依頼先」宛に行う。
 
 
 
2 調査書等を受理し、調査対象者ごとの調査書の別紙及び同意書の写しを参照して口座の有無、残高を確認する。
 
3 口座の有無、調査時点の残高を市町村へ回答する。
 
4 回答内容から負担限度額認定の要件に適合しているかを確認する。
 
5 更に詳細事項の照会を行う場合又は本店等一括照会の対象外の銀行等に対して照会を行う場合、調査対象者の確認すべき具体的な照会事項及び判明している事項を明記した調査依頼書及び同意書の写しを添えて、調査依頼を「個別照会先」宛に行う。この際、本店等一括照会と異なることが分かるよう、統一様式は使用しないこと。
 
 
 
6 詳細事項の調査依頼書等を受理し、調査依頼書及び同意書の写しを参照して、市町村が明記した照会事項を確認する。
 
7 市町村が明記した照会事項を市町村へ回答する。
 
8 回答内容から負担限度額認定の要件に適合しているかを確認する。
 
 
 
 
○金融機関本店等に対する一括照会に係る事務フロー
○金融機関本店等に対する一括照会に係る事務フロー
※1統一様式を使用しないこと。
※2ゆうちょ銀行へ照会する場合は、担当貯金事務センターへ照会すること。
 
 

 
(別添)
 
平27事会第3号
平成27年1月9日
 
 
正会員・準会員
担 当 部 門  殿
 
 
一般社団法人全国銀行協会
事務システム部
 
 
介護保険法第203条にもとづく調査における「本店等一括照会」実施要領について
 
先般、厚生労働省老健局介護保険計画課(以下「介護保険計画課」という。)から当協会の事務システム部に対して、別添のとおり、介護保険制度の利用者が施設に入所した場合に低所得の利用者に対して居住費や食費を給付する特定入所者介護(予防)サービス費の支給(以下「補足給付」という。)に当たって、介護保険法第203条にもとづく預貯金の調査(以下「本件調査」という。)における本店等一括照会への協力について依頼があったことから、銀行界として、実務的に対応可能な範囲で協力することとし、介護保険計画課と協議を進めてまいりました。
介護保険計画課との協議を踏まえ、今般、当協会において、別紙のとおり「介護保険法第203条にもとづく調査における『本店等一括照会』実施要領」(以下「本実施要領」という。)を取りまとめ、平成27年7月から本実施要領による本店等一括照会を実施することといたしました。
会員各行におかれては、本実施要領のほか、下記の事項を参考に平成27年7月の実施に向けて準備を行ってくださいますようお願い申しあげます。また、下記3.にもとづき、本店等一括照会の依頼先および真にやむを得ない理由により本実施要領に掲げるもの以外の事項(口座の異動明細等)を照会する場合の照会先(以下「個別照会先」という。)をお届けいただきますよう、併せてお願い申しあげます。
なお、本実施要領に記載のある調査書の統一様式案や、下記4.(4)補足給付の申請書および同意書の様式案については、平成27年度当初に予定されている介護保険計画課から各都道府県介護保険主管部(局)宛の本件に係る通知により確定することとなりますのでご留意ください。介護保険計画課から発出される当該通知については、別途、ご送付申しあげます。
おって、本実施要領は、介護保険法第203条にもとづく調査に限定して取りまとめたものであり、他の公的調査等への適用は想定しておりませんので、念のため申し添えます。
 
 
1.本件調査について
補足給付の実施に当たっては、これまで申請者の課税状況や所得が勘案され、一部の特例を受ける者を除き申請者の資産は勘案されていなかったが、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(平成26年法律第83号)により、これ以外の者についても資産が勘案されることとなった。これに伴い、保険者は全ての申請者について預貯金の照会を実施することが可能となった。
ただし、本件調査は全件調査を前提としているわけではなく、保険者が、不正受給を防止する観点から、口座を保有している蓋然性が高いと想定される銀行等に対して必要な範囲で標本調査を行うものである。標本調査を行う割合については特に定めは無いとのことであるが、仮に新規件数の1%とした場合の件数は、3.本店等一括照会の照会件数等について(参考)のとおりとのことである。
 
2.本店等一括照会の依頼先および個別照会先の届出について
本店等一括照会の依頼先は、銀行が指定する本店・本部・センター等としており(本実施要領「3.本店等一括照会の依頼先」参照)、また、真にやむを得ない理由により本実施要領に掲げるもの以外の事項(口座の異動明細等)を照会する場合には、予め取引店等を特定したうえで、本店等一括照会によらず、当該取引店等、銀行等が指定する照会先(個別照会先)に直接照会することとしている(本実施要領「9.『本店等一括照会』に関する留意点(4)」参照)。
このため、(1)本店等一括照会の依頼先、(2)個別照会先を、資料1により、1月30日(金)までに【本件連絡先】記載のEメールアドレス宛届出いただきたい。なお、(2)個別照会先については、「各取引店」や「本店等一括照会の依頼先と同様」等としていただいても差し支えない。
届出いただいた内容については、当協会において取りまとめのうえ、一覧表のかたちで介護保険計画課に提供し、介護保険計画課から各都道府県介護保険主管部(局)宛に送付される。
 
【届出時の留意事項】
・Eメールのタイトルは「介護保険本店等一括照会の届出」とする。
 
3.本店等一括照会の照会件数等について(参考)
本店等一括照会の実施に向けた行内態勢の整備等の参考としていただくため、介護保険計画課を通じて、次の(1)~(4)の資料の提供を受けた(資料2~資料5)。
(1) 各都道府県における平成24年度の補足給付認定件数(資料2)
(2) (1)をもとに介護保険計画課が算出した推計新規件数(資料3)
(3) 推計新規件数の1%の件数(資料4)
(4) 補足給付の申請書および同意書の様式案(資料5)
 
4.本店等一括照会の運用改善のための意見交換について
介護保険法第203条にもとづく銀行への調査、特に本店等一括照会の実施状況について、全銀協事務システム部からの申し入れにもとづき、介護保険計画課と意見交換を行うこととしているので、平成27年7月の本店等一括照会の実施後、取り上げるべき事項等があった場合には、随時、【本件連絡先】記載のEメールアドレス宛に適宜の様式でご連絡いただきたい。
 
【ご連絡いただく場合の留意事項】
・Eメールのタイトルは「介護保険本店等一括照会」とする。
・照会先(担当者および電話番号)を必ず記載する。
以 上
 
【本件連絡先】全国銀行協会事務システム部 吉村、和泉
TEL:03-5252-3713
Eメールアドレス:jimu@zenginkyo.or.jp
 
 

 
 
(別 紙)
 
介護保険法第203条にもとづく調査における「本店等一括照会」実施要領
 
1.目的
保険者および銀行双方の事務負担に配慮して実施するため、以下のとおり「本店等一括照会」の実施要領を定める。
 
2.本店等一括照会を行う銀行の範囲
各保険者が本店等一括照会を行う銀行の範囲は、保険者において申請者が口座を保有している蓋然性が高いと想定される銀行である。
 
3.本店等一括照会の依頼先
本店等一括照会の依頼先は、銀行が指定する本店・本部・センター等(以下「本店等」という。)とする。なお、銀行は本店等一括照会の目的に反しない範囲で、地域(東京・名古屋・大阪等)毎に本店等を指定することができるものとする。
 
4.調査対象者
本店等一括照会による調査対象者は、原則として、特定入所者介護(予防)サービス費の支給(以下「補足給付」という。)の申請者、不正受給が疑われる者(以下「申請者等」という。)および申請者等の配偶者(内縁関係の者も含む。)に限るものとする。
 
5.照会内容
本店等一括照会の照会内容は、次の2点とする。
① 口座の有無
② 口座が「有」の場合の取引店および調査時点の残高
 
6.保険者による照会方法
(1) 本店等一括照会は、調査書(別紙様式)の別紙に次の①から⑤の事項の記入を行ったうえで、補足給付申請時等に保険者が徴取した本人の同意書(写)(調査対象者が個々に調査に同意していることがわかるもの。以下同じ。)を添付のうえ、上記「3.本店等一括照会の依頼先」へ郵送することにより行う。郵送は、保険者が照会に必要な書類と返信用の封筒(返信先(保険者)の住所と宛名を書いたものであって、料金受取人払又は切手を貼付したもの)を同封のうえ行う。
① 漢字氏名
② カナ氏名
③ 性別
④ 生年月日
⑤ 現住所
(2) 調査依頼時点ですでに調査対象者の取引銀行や取引店が判明しているものの、判明している取引店以外における口座の有無等について調査を行うために本店等一括照会を行う場合には、当該取引銀行への調査書に判明している取引店や口座番号等を可能な範囲で記入する。
 
7.銀行による回答
(1) 銀行は保険者から上記6.にもとづく照会が行われた場合、当該銀行の日本国内全店舗(事務・システム上の事情から調査困難な店舗がある場合には、当該店舗を除く。)における上記5.の内容を調査し、回答する。
(2) 銀行による上記(1)の回答は、任意の書面を郵送することにより行う(回答書カバーレターの参考例については参考参照)。この場合の書面は、内部帳票等により代えることができる。
 
8.運用改善のための意見交換
本店等一括照会の実施開始後、全銀協事務システム部からの申し入れにもとづき、介護保険法第203条にもとづく銀行への調査、特に本店等一括照会の実施状況について、厚生労働省老健局介護保険計画課(以下「介護保険計画課」という。)、全銀協事務システム部および関係金融団体による意見交換を日程調整のうえ実施する。
 
9.「本店等一括照会」に関する留意点
(1) 本店等一括照会は平成27年8月以降の補足給付に関するものであって、平成27年7月1日以降、保険者が郵送するものから実施する。なお、申請日が平成27年7月以前のものであっても、平成27年8月以降の支給に関するものであれば対象となる。
(2) 補足給付に関する介護保険法第203条にもとづく調査は、必ずしも全ての申請について行う必要は無く、不正受給を防止する観点から必要な範囲で標本調査を行うなど、保険者において適切に対応することとされている。
(3) 本実施要領によらずに本店等一括照会を求める保険者に対しては、銀行は回答を行わないことができるものとする。なお、全銀協事務システム部が当該事実を把握した場合には、介護保険計画課に報告し、介護保険計画課は、事情を確認のうえ、必要に応じて当該保険者に改善を促す。
(4) 保険者において、不正受給の疑いがある場合等、真にやむを得ない理由により上記5.以外の状況(口座の異動明細等)が必要な場合は、予め取引店を特定したうえで、本店等一括照会によらず、当該取引店等、銀行が指定する照会先に、補足給付申請時等に保険者が取得した本人の同意書(写)を添付のうえ、郵送により照会を行う。その際は上記6.(1)の内容に加えて可能な範囲で判明している科目名、口座番号等を記入するとともに、極力、照会事項を特定する(本店等一括照会の調査書(統一様式)は使用しない)。なお、保険者において取引店を特定できていない場合には、必ず予め本店等一括照会により取引店を特定したうえで、当該取引店等、銀行が指定する照会先に対して照会を行うものとする。
(5) 本店等一括照会への回答に当たって、銀行において要する郵送実費等は、保険者に請求することができるものとする。
 
以 上
 
 

 
 
(別添4)
 
 
4.市町村民税課税層に対する特例減額措置
 
Ⅰ 支給要件
特定入所者介護サービス費の利用者負担第4段階に該当する者が、次の要件の全てを満たした場合に特例的に第3段階②の負担軽減を受けられるものである。
 
① 属する世帯の構成員の数が2以上
※ 配偶者が同一世帯内に属していない場合は、世帯員の数に1を加えた数が2以上。
※ 施設入所により世帯が分かれた場合は、なお同一世帯とみなす。②から⑥において同じ。
② 介護保険施設又は地域密着型介護老人福祉施設に入所し、利用者負担第4段階の食費・居住費を負担
③ 全ての世帯員及び配偶者について、サービスを受けた日の属する年の前年(その日の属する月が1月から7月までの場合は、前々年)の「公的年金等の収入金額+年金以外の合計所得金額(長期譲渡所得又は短期譲渡所得の特別控除の適用がある場合には、控除すべき金額を控除して得た額。)」を合計した額から、利用者負担、食費及び居住費の年額見込みの合計額を控除した額が80万円以下
④ 全ての世帯員及び配偶者について、現金、預貯金、合同運用信託、公募公社債等運用投資信託及び有価証券の合計額が450万円以下
⑤ 全ての世帯員及び配偶者について、居住の用に供する家屋その他日常生活のために必要な資産以外に利用し得る資産を所有していない
⑥ 全ての世帯員及び配偶者について、介護保険料を滞納していない
 
Ⅱ 事務処理
第1 本人及び配偶者等(配偶者以外の同一世帯に属する者を含む。以下同じ。)のどちらかが施設に入所している場合
 
(1)適用する負担限度額
課税層に対する特例減額措置の対象となる者に対する特定入所者介護サービス費の適用については、法第51条の3第2項第1号及び第61条の3第2項第1号に規定する食費の負担限度額(平成17年厚生労働省告示第413号。以下「食費の負担限度額告示」という。)、法第51条の3第2項第2号に規定する居住費の負担限度額及び同法第61条の3第2項第2号に規定する滞在費の負担限度額(平成17年厚生労働省告示第414号。以下「居住費等の負担限度額告示」という。)により次の①及び②を適用することとしている。
① 食費の負担限度額告示の表の二の項の下欄に掲げる食費の負担限度額
② 居住費等の負担限度額告示の表の一の項の下欄に掲げる居住費の負担限度額
 
(2)適用順序
① 食事の提供に要する費用から(1)①の額を控除した額(以下「食費に係る給付額」という。)と、居住の提供に要する費用から(1)②の額を控除した額(以下「居住費等に係る給付額」という。)を比べ、より低い方に係る負担限度額を適用する。
② ①を適用した時に、引き続き施行規則第83条の5第4号イの要件に該当する場合は、もう一方の負担限度額を適用する。
③ ②を適用しても、施行規則第83条の5第4号イの要件に該当したままである場合については、(1)①及び②のいずれの負担限度額も適用する。
 
(3)具体的な事務手続
① 申請者の属する世帯に、収入、現金、預貯金等又は資産を有する世帯員が加わること等により課税層に対する特例減額措置の要件に該当しなくなった場合には認定証を返還する必要があるので、介護保険負担限度額認定決定通知書の「(承認内容)」の欄に「ただし、課税層に対する特例減額措置の要件(施行規則第83条の5第4号)に該当しなくなった場合には負担限度額認定証を返還する必要があります。」といった記載をするなど適切に対処されたい。
また、この課税層の特例減額措置については、施設から退所したときにも認定証を返還する必要があるので、認定証の有効期限の欄「令和○年○月○○日まで」の次に「又は施設から退所するまで」と記載するなど、適切に対処されたい。
② 認定証の記載に当たり、負担限度額を適用しない部分((1)において負担限度額を適用しないとされた食費又は居住費)については、負担限度額を適用しないことが分かるように、負担限度額の欄に、例えば「――――」(取消線)、「****」、「負担限度額なし」、等の記載をされたい。
③ Ⅰの④の判定の際には、運用上、負債(借入金、住宅ローン)がある場合には、特定入所者介護(予防)サービス費の判定の際と同様に預貯金等の合計額から負債の額を控除する取扱いとする。
④ 資産等の申告に関する様式については、別添様式5を参考例として示すが、Ⅰの⑤の要件の判定の際には、全ての世帯員及び配偶者が日常生活を営む上で収入を得るために最低限必要である資産(田、畑、店舗等)については、「その他日常生活のために必要な資産」として差し支えない。また、現に特例減額措置に該当している者で、特定の者に対し、精神的な慰謝激励等の目的で給付されている金銭は、預貯金等に含まない。
 
(4)課税層に対する特例減額措置の基準日及び効力
① 課税層に対する特例減額措置の対象となる者についての負担限度額認定は、施行規則第83条の6に基づく申請書の提出が行われた日(申請日)において、当該被保険者が属する全ての世帯員及び配偶者の申請日における課税状況等により行うものとすること。
② 課税層に対する特例減額措置の対象となる者についての負担限度額認定は、申請日の属する月の初日に遡って効力を有するものとすること。
 
(5)認定証の有効期限
施行規則第83条の6第4項に規定する認定証の有効期限は、負担限度額認定証の発効日の属する年度の翌年度の7月末日又は施設から退所するまで(負担限度額認定の発効日の属する月が4月から7月までである場合にあっては、当該月の属する年度の7月末日又は施設から退所するまで)とすること。
 
第2 本人及び配偶者等が同時に施設に入所している場合の課税層に対する特例減額措置の取扱いについて
本人及び配偶者等が同時に介護保険施設又は地域密着型介護老人福祉施設に入所している場合についても、課税層に対する特例減額措置の対象となる。その場合の課税層に対する特例減額措置の適用については、次のとおりとする。
なお、配偶者等の負担限度額を適用する場合には、申請が前提となるため、判定の際には、当該配偶者等からの申請も合わせて受ける必要がある。
 
(1)適用される負担限度額
本人及び配偶者等が施設(同一・別にかかわらず)に入所している場合の課税層に対する特例減額措置について、Ⅰ支給要件の③の判定の際、本人及び配偶者等の前年の公的年金等の収入額と合計所得金額の合計額から、本人及び配偶者等の利用者負担、食事の提供に要する費用及び居住に要する費用として支払う見込額の年額の合計額を控除した額を判定に用いる。
判定の結果、対象となる場合、(2)の適用順序に基づき、次に掲げる①から④を適用する。
① 本人の食費の負担限度額告示の表の二の項の下欄に掲げる食費の負担限度額
② 本人の居住費等の負担限度額告示の表の一の項の下欄に掲げる居住費の負担限度額
③ 配偶者等の食費の負担限度額告示の表の二の項の下欄に掲げる食費の負担限度額
④ 配偶者等の居住費等の負担限度額告示の表の一の項の下欄に掲げる居住費の負担限度額
 
(2)適用順序
本人及び配偶者等の適用順序については、以下の①から⑮までの額の中で当該額が適用されれば、施行規則第83条の5第4号イの要件に該当しなくなるもののうち、最も低い額に係る負担限度額を適用する。
ただし、⑮を適用してもなお施行規則第83条の5第4号イの要件に該当する場合は、⑮に係る負担限度額を適用する。
① 本人の食費に係る給付額
② 本人の居住費等に係る給付額
③ 配偶者等の食費に係る給付額
④ 配偶者等の居住費等に係る給付額
⑤ 本人の食費に係る給付額及び本人の居住費等に係る給付額の合算額
⑥ 本人の食費に係る給付額及び配偶者等の食費に係る給付額の合算額
⑦ 本人の食費に係る給付額及び配偶者等の居住費等に係る給付額の合算額
⑧ 本人の居住費等に係る給付額及び配偶者等の食費に係る給付額の合算額
⑨ 本人の居住費等に係る給付額及び配偶者等の居住費等に係る給付額の合算額
⑩ 配偶者等の食費に係る給付額及び配偶者等の居住費等に係る給付額の合算額
⑪ 本人の食費に係る給付額、本人の居住費等に係る給付額及び配偶者等の食費に係る給付額の合算額
⑫ 本人の食費に係る給付額、本人の居住費等に係る給付額及び配偶者等の居住費等に係る給付額の合算額
⑬ 本人の食費に係る給付額、配偶者等の食費に係る給付額及び配偶者等の居住費等に係る給付額の合算額
⑭ 本人の居住費等に係る給付額、配偶者等の食費に係る給付額及び配偶者等の居住費等に係る給付額の合算額
⑮ 本人の食費に係る給付額、本人の居住費等に係る給付額、配偶者等の食費に係る軽給付及び配偶者等の居住費等に係る給付額の合算額
 
(3)本人と配偶者の保険者が異なる場合の取扱いについて
本人と配偶者が施設入所する場合に、それぞれの介護保険の保険者が異なる場合も考えられ、その場合の課税層に対する特例減額措置の適用の際は、双方の保険者が連携して第2(2)の適用順序に基づき適用することとする。
 
第4 被保険者に対する周知
特例減額措置については、居住用の資産以外の資産の状況なども支給要件として勘案することとなっているところ、本制度については被保険者からの申請が前提となり、保険者側で予め支給要件を満たすかどうか確認することができないことから、特に本人又は配偶者等が課税されているために特定入所者介護サービス費の支給対象外とされた被保険者に対し、保険者が本制度の趣旨・内容を周知徹底することが重要である。
 
 



 
 
(別添5)
 
 
5.境界層措置の運用
 
Ⅰ 境界層措置について
介護保険制度においては、以下の①から⑤までに関し、本来適用されるべき基準等を適用すれば生活保護を必要とするが、より負担の低い基準等を適用すれば生活保護を必要としない状態となる者については、当該より低い基準等を適用する措置を設けている(当該措置を以下「境界層措置」という。)。
① 法第69条第1項に規定する給付額減額等の記載
② 居住費等の負担限度額告示又は施行法第13条第5項第2号に規定する居住費の特定負担限度額(平成17年厚生労働省告示第418号。以下、「居住費の特定負担限度額告示」という。)
③ 食費の負担限度額告示又は施行法第13条第5項第1号に規定する食費の特定負担限度額(平成17年厚生労働省告示第417号。以下、「食費の特定負担限度額告示」という。)
④ 法第51条第1項の規定による高額介護サービス費に係る負担の上限額又は法第61条第1項の規定による高額介護予防サービス費に係る負担の上限額
⑤ 法第129条第1項の規定による保険料の負担額
 
Ⅱ 境界層措置の適用順序
1 まず、Ⅰの①について、施行令第35条第3号及び施行規則第113条第4号の規定に基づき、法第69条第1項に規定する給付額減額等の記載を行わないこととする。
 
2 1に係る境界層措置の適用がない場合又は当該境界層措置を適用してもなお生活保護を必要とする者である場合においては、Ⅰの②に掲げる負担額について、居住費等の負担限度額告示及び居住費の特定負担限度額告示の規定に基づき、より低い居住費等の負担限度額又は居住費の特定負担限度額を適用することとする。
 
3 1及び2に係る境界層措置の適用がない場合又はこれらの境界層措置を適用してもなお生活保護を必要とする者である場合においては、Ⅰの③に掲げる負担額について、食費の負担限度額告示及び食費の特定負担限度額の規定に基づき、より低い食費の負担限度額又は食費の特定負担限度額を適用することとする。
 
4 1から3までに係る境界層措置の適用がない場合又はこれらの境界層措置を適用してもなお生活保護を必要とする者である場合においては、Ⅰの④に掲げる限度額について、施行令第22条の2の2第7項第2号及び同条第8項又は施行令第29条の2の2第7項第2号及び同条第8項の規定に基づき、より低い上限額(1月につき24,600円又は15,000円)を適用することとする。
 
5 1から4までに係る境界層措置の適用がない場合又はこれらの境界層措置を適用してもなお生活保護を必要とする者である場合においては、Ⅰの⑤に掲げる保険料額について、施行令第38条第1項第1号イ(2)若しくはニ、同項第2号ロ、同項第3号ロ、同項第4号ロ、同項第5号ロ、同項第6号ロ、同項第7号ロ、同項第8号ロ、同項第9号ロ、同項第10号ロ、同項第11号ロ若しくは同項第12号ロ又は同令第39条第1項第1号イ(2)若しくはニ、同項第2号ロ、同項第3号ロ、同項第4号ロ、同項第5号ロ、同項第6号ロ、同項第7号ロ、同項第8号ロ、同項第9号ロ、同項第10号ロ、同項第11号ロ、同項第12号ロ若しくは同項第13号ロの規定に基づき、より低い標準割合(10分の4.55(同令第38条第11項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)、10分の6.85(同令第38条第12項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)、10分の6.9(同令第38条第13項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)、10分の9、10分の10、10分の12、10分の13、10分の15、10分の17、10分の19、10分の21若しくは10分の23又は同令第39条第1項第1号から第13号までの規定に基づき市町村が条例で定めた割合(同条第5項から第7項までに基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合))を適用することとする。
 
Ⅲ 具体的な事務処理
 
「境界層該当者の取扱いについて」(平成17年9月21日付け社援保発0021001号厚生労働省社会・援護局保護課長通知)参考資料3により、福祉事務所長は、生活保護の申請を行った被保険者等に対し、必要な境界層措置の証明を行うこととされているので、保険者は、Ⅰの①から⑤の順(具体的には福祉事務所長が交付した証明書等に記載されることとなる。)に境界層措置を適用することとなる。
具体的な事務処理は、以下のとおりである。
① 福祉事務所長は、生活保護の申請者又は現に生活保護を受けている者が境界層措置を講ずれば生活保護を必要としない者であると認めた場合には、Ⅰの①から⑤の順に当てはめた上で、当該者についてどの境界層措置が講じられるべきであるかを示す証明書等を交付して、保護申請を却下し、又は保護を廃止することとされている。また、福祉事務所長は、当該者が保険者に境界層措置の申請をするに当たっては当該証明書等を申請書に添えて提出するよう、当該者に対し教示することとされている。
② 保険者においては、境界層措置の申請者が申請書に添付する証明書等を確認の上、実際の境界層措置を講ずることとなる。なお、この際に発行する負担限度額認定証の記載について、介護保険施設を利用する場合にあっては、負担限度額を適用しない部分(境界層措置において負担限度額を適用しないとされた食費又は居住費及び入所する居室以外の居室の居住費)については、負担限度額を適用しないことがわかるように、負担限度額の欄に、例えば、「――――」(取消線)、「****」、「負担限度額なし」等の記載をされたい。
 
Ⅳ 留意点
 
境界層措置を適用すべき者に対しこれまで当該境界層措置が講じられていない場合においては、2.高額介護サービス費の支給事務(P13)Ⅰの第3並びに3.特定入所者介護(予防)サービス費の支給事務(P20)Ⅲの第4及び6.旧措置入所者に係る手続きについて(P89)Ⅱの(2)に基づき、保護の却下に係る申請が行われた月又は保護が廃止された月の初日に遡って、当該境界層措置が行われるべきものである。
 
 

 
参考資料
(改正後全文)
 
 
[最終改正] 
 
社援保発第0921001号
平成17年9月21日
 
社援保発0329第2号
平成31年3月29日
 
社援保発0727第1号
令和3年7月27日
 
社援保発0329第5号
令和6年3月29日
 
 
各 
都道府県
指定都市
中核市
 民生主管部(局)長 殿
 
 
厚生労働省社会・援護局保護課長
( 公 印 省 略 )
 
 
境界層該当者の取扱いについて
 
 
介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第22条の2の2第7項第2号又は第8項の規定が適用される要保護者、同令第29条の2の2第7項第2号又は第8項の規定が適用される要保護者、同令第38条第1項第1号イ(2)若しくはニ、同項第2号ロ、同項第3号ロ、同項第4号ロ、同項第5号ロ、同項第6号ロ、同項第7号ロ、同項第8号ロ、同項第9号ロ、同項第10号ロ、同項第11号ロ若しくは同項第12号ロ又は同令第39条第1項第1号イ(2)若しくはニ、同項第2号ロ、同項第3号ロ、同項第4号ロ、同項第5号ロ、同項第6号ロ、同項第7号ロ、同項第8号ロ、同項第9号ロ、同項第10号ロ、同項第11号ロ、同項第12号ロ若しくは同項第13号ロの規定が適用される要保護者、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第83条の5第2号及び第97条の3第2号に掲げる要保護者、同規則第113条第4号に規定する要保護者及び同規則第172条の2において準用する同規則第83条の5第2号に掲げる要保護者(以下「境界層該当者」という。)の取扱いについては、今般、「介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて」(令和3年7月5日付け老介発第0705第1号老健局介護保険計画課長通知)により都道府県及び市町村あて示されたところであるが、福祉事務所における具体的な取扱いを下記のとおり定め、平成17年10月1日より施行することとしたので、よろしくお取り計らい願いたい。
なお、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定に基づく処理基準とし、施行に伴い、「境界層該当者の取扱いについて」(平成12年7月14日社援保第44号各都道府県・指定都市・中核市民生主管部(局)長宛本職通知)は廃止する。
また、本通知については、老健局介護保険計画課と協議済みであることを申し添える。
 
 
 
 
1 基本的な取扱い
(1)境界層該当者と境界層該当措置について
以下の各号に掲げる者については、保険者により、次表で定める区分に応じた境界層措置がなされることとされているため、保護を要しないこと。
ア 要保護者であって、給付額減額等の記載(介護保険法(平成9年法律第123号)第69条第1項に規定する給付額減額等の記載をいう。)を受けないとしたならば保護を必要としない状態となるもの
イ その属する世帯の世帯主及び全ての世帯員が特定介護サービス(介護保険法第51条の3第1項に規定する特定介護サービスをいう。以下同じ。)又は特定介護予防サービス(介護保険法第61条の3第1項に規定する特定介護予防サービスをいう。以下同じ。)を受ける日の属する月において要保護者である者であって、当該特定介護サービス又は特定介護予防サービスに係る居住費の負担限度額(介護保険法第51条の3第2項第2号に規定する居住費の負担限度額をいう。以下同じ。)又は滞在費の負担限度額(介護保険法第61条の3第2項第2号に規定する滞在費の負担限度額をいう。以下同じ。)について、ユニット型個室を利用するときには1日につき「1310円」又は「820円」が、ユニット型個室的多床室を利用するときには1日につき「1310円」又は「490円」が、従来型個室(介護福祉施設サービス、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、短期入所生活介護及び介護予防短期入所生活介護に限る。以下「従来型個室(特養等)」という。)を利用するときには1日につき「820円」、「420円」又は「320円」が、従来型個室(介護老人保健施設サービス、介護医療院サービス、短期入所療養介護及び介護予防短期入所療養介護に限る。以下「従来型個室(老健・医療院等)」という。)を利用するときには1日につき「1310円」又は「490円」が、多床室を利用する場合には「370円」又は「零円」が適用され、特定入所者介護サービス費(介護保険法第51条の3第1項に規定する特定入所者介護サービス費をいう。以下同じ。)又は特定入所者介護予防サービス費(介護保険法第61条の3第1項に規定する特定入所者介護予防サービス費をいう。以下同じ。)を支給されたとすれば、保護を必要としない状態となるもの
ウ その属する世帯の世帯主及び全ての世帯員が特定介護サービスを受ける日の属する月において要保護者である者であって、当該特定介護サービスに係る居住費の特定負担限度額(介護保険法施行法第13条(平成9年法律124号)第5項第2号に規定する居住費の特定負担限度額をいう。以下同じ。)について、ユニット型個室を利用するときには1日につき「1310円」又は「820円」が、ユニット型個室的多床室を利用するときには1日につき「1310円」、「490円」又は「零円」が、従来型個室を利用するときには1日につき「820円」、「420円」、「320円」又は「零円」が、多床室を利用する場合には「370円」又は「零円」が適用され、介護保険法施行法第13条第5項により算定された特定入所者介護サービス費を支給されたとすれば、保護を必要としない状態となるもの
エ その属する世帯の世帯主及び全ての世帯員が特定介護サービス又は特定介護予防サービスを受ける日の属する月において要保護者である者であって、当該特定介護サービス又は特定介護予防サービスに係る食費の負担限度額(介護保険法第51条の3第2項第1号に規定する食費の負担限度額又は介護保険法第61条の3第2項第1号に規定する食費の負担限度額をいう。以下同じ。)について1日につき「1360円」、「650円」、「390円」又は「300円」(短期入所生活介護(介護保険法第8条第9項に規定する短期入所生活介護をいう。以下同じ。)若しくは短期入所療養介護(介護保険法第8条第10項に規定する短期入所療養介護をいう。以下同じ。)又は介護予防短期入所生活介護(介護保険法第8条の2第7項に規定する介護予防短期入所生活介護をいう。以下同じ。)若しくは介護予防短期入所療養介護(介護保険法第8条の2第8項に規定する介護予防短期入所療養介護をいう。以下同じ。)を利用する場合にあっては「1300円」、「1000円」「600円」又は「300円」)が適用され、特定入所者介護サービス費又は特定入所者介護予防サービス費を支給されたとすれば、保護を必要としない状態となるもの
オ その属する世帯の世帯主及び全ての世帯員が特定介護サービスを受ける日の属する月において要保護者である者であって、特定介護サービスに係る食費の特定負担限度額(介護保険法施行法第13条第5項第1号に規定する食費の特定負担限度額をいう。以下同じ。)について1日につき「650円」、「390円」又は「300円(平成17年厚生労働省告示第417号に規定する300円未満の額にあっては、当該額)」が適用され、介護保険法施行法第13条第5項により算定された特定入所者介護サービス費を支給されたとすれば、保護を必要としない状態となるもの
カ その属する世帯の世帯主及び全ての世帯員が居宅サービス等(介護保険法施行令第22条の2の2第1項に規定する居宅サービス等をいう。以下同じ。)があった月において要保護者である者であって、利用者負担世帯合算額(介護保険法施行令第22条の2の2第2項に規定する利用者負担世帯合算額をいう。以下同じ。)を「2万4600円」又は「1万5000円」と読み替えて高額介護サービス費(介護保険法第51条に規定する高額介護サービス費をいう。以下同じ。)が適用されたならば保護を必要としない状態となるもの
キ その属する世帯の世帯主及び全ての世帯員が居宅サービス等があった月において要保護者である者であって、利用者負担世帯合算額を「2万4600円」又は「1万5000円」と読み替えて高額介護予防サービス費(介護保険法第61条に規定する高額介護予防サービス費をいう。以下同じ。)が適用されたならば保護を必要としない状態となるもの
ク 要保護者であって、その者に課される保険料額について、介護保険法施行令第38条第1項第1号イ(2)若しくはニ、同項第2号ロ、同項第3号ロ、同項第4号ロ、同項第5号ロ、同項第6号ロ、同項第7号ロ、同項第8号ロ、同項第9号ロ、同項第10号ロ、同項第11号ロ若しくは同項第12号ロ又は同令第39条第1項第1号イ(2)若しくはニ、同項第2号ロ、同項第3号ロ、同項第4号ロ、同項第5号ロ、同項第6号ロ、同項第7号ロ、同項第8号ロ、同項第9号ロ、同項第10号ロ、同項第11号ロ、同項第12号ロ若しくは同項第13号ロの規定に基づき、より低い標準割合(10分の4.55(同令第38条第11項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)、10分の6.85(同令第38条第12項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)、10分の6.9(同令第38条第13項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)、10分の9、10分の10、10分の12、10分の13、10分の15、10分の17、10分の19、10分の21若しくは10分の23又は同令第39条第1項第1号から第13号までの規定に基づき市町村が条例で定めた割合(同条第5項から第7項までに基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合))が適用されたならば保護を必要としない状態となるもの
区 分
境 界 層 該 当 措 置
アに掲げる者
(ア)
給付減額等の記載が行われない。
イに掲げる者
(イ)
特定介護サービス又は特定介護予防サービスに係る居住費又は滞在費の負担限度額について保護を必要としなくなるまで、以下の額が段階的に適用される。
居 室 の 種 類
適 用 さ れ た 後 の 額
ユニット型個室
1日につき「1310円」又は「820円」
ユニット型個室的多床室
1日につき「1310円」又は「490」円
従来型個室
(特養等)
1日につき「820円」、「420円」又は「320円」
従来型個室
(老健・医療院等)
1日につき「1310円」又は「490円」
多床室
1日につき「370円」又は「零円」
ウに掲げる者
(ウ)
特定介護サービスに係る居住費の特定負担限度額について保護を必要としなくなるまで、以下の額が段階的に適用される。
居 室 の 種 類
適 用 さ れ た 後 の 額
ユニット型個室
1日につき「1310円」又は「820円」
ユニット型個室的多床室
1日につき「1310円」、「490円」又は「零円」
従来型個室
1日につき「820円」、「420円」、「320円」又は「零円」
多床室
1日につき「370円」又は「零円」
エに掲げる者
(エ)
特定介護サービス又は特定介護予防サービスに係る食費の負担限度額について保護を必要としなくなるまで、以下の額が段階的に適用される。
特定介護サービス又は特定介護予防サービスの種類
適 用 さ れ た 後 の 額
短期入所生活介護若しくは短期入所療養介護又は介護予防短期入所生活介護若しくは介護予防短期入所療養介護
1日につき「1300円」、「1000円」、「600円」又は「300円」
前の項に掲げる特定介護サービス以外の特定介護サービス
1日につき「1360円」、「650円」、「390円」又は「300円」
オに掲げる者
(オ)
特定介護サービスに係る食費の特定負担限度額が保護を必要としなくなるまで、1日につき「650円」、「390円」又は「300円(平成17年厚生労働省告示第417号に規定する300円未満の額にあっては、当該額)」が段階的に適用される。
カに掲げる者
(カ)
保護を必要としなくなるまで、利用者負担世帯合算額を「2万4600円」又は「1万5000円」と読み替えて高額介護サービス費が適用される。
キに掲げる者
(キ)
保護を必要としなくなるまで利用者負担世帯合算額を「2万4600円」又は「1万5000円」と読み替えて高額介護予防サービス費が適用される。
クに掲げる者
(ク)
保険料額について、保護を必要としなくなるまで、介護保険法施行令第38条第1項第1号イ(2)若しくはニ、同項第2号ロ、同項第3号ロ、同項第4号ロ、同項第5号ロ、同項第6号ロ、同項第7号ロ、同項第8号ロ、同項第9号ロ、同項第10号ロ、同項第11号ロ若しくは同項第12号ロ又は同令第39条第1項第1号イ(2)若しくはニ、同項第2号ロ、同項第3号ロ、同項第4号ロ、同項第5号ロ、同項第6号ロ、同項第7号ロ、同項第8号ロ、同項第9号ロ、同項第10号ロ、同項第11号ロ、同項第12号ロ若しくは同項第13号ロの規定に基づき、より低い標準割合(10分の4.55(同令第38条第11項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)、10分の6.85(同令第38条第12項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)、10分の6.9(同令第38条第13項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)、10分の9、10分の10、10分の12、10分の13、10分の15、10分の17、10分の19、10分の21若しくは10分の23又は同令第39条第1項第1号から第13号までの規定に基づき市町村が条例で定めた割合(同条第5項から第7項までに基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合))が適用される。
 
(2)境界層措置の優先順位について
境界層措置の優先順位については、老健局介護保険計画課により、上表の①(ア)、②(イ)又は(ウ)、③(エ)又は(オ)、④(カ)又は(キ)、⑤(ク)の順に優先して講ずべきものとされていること。
 
2 境界層該当者に対する証明書の交付
境界層措置は保険者が行うものであるが、福祉事務所長は、保護の申請に応じ、保護開始時の要否判定を行った結果、境界層該当者であることが明らかになった場合又は保護を受けている者が境界層該当者に該当する場合、別添の証明書及び添付書類(以下「証明書等」という。以下同じ。)を境界層該当者に交付するものとし、その際、保険者に対する境界層該当措置の申請に当たっては当該証明書等を添えて提出するよう教示すること。
 
3 証明書等の記載
(1) 境界層該当証明書
境界層該当証明書には以下の事項を記載すること。
ア 却下に係る申請日又は保護廃止日
当該者に係る処分が却下の場合には、却下に係る申請日を、保護廃止の場合には、保護廃止日を記載すること。
イ 保護を要しない理由
境界層該当措置により何円以上の減額がなされれば、保護を要さないかを記載すること。
(2)添付書類
境界層措置は、表中の(1)~(5)の順で講ぜられることとなるので、証明書に記載された額から、その額が0円以下になるまで、以下の(ア)~(ナ)に掲げる額のうち境界層措置がなされる以前に自己負担していた額を(ア)~(ナ)の順に減じることとし、その減じた額を表中の(1)~(5)の「減額される自己負担(月額)」にそれぞれ記載すること。
なお、施設入所者に係る居住費(イ)・(ウ)は、入所中又は入所を予定している居室の種類により算定すること。
また、短期入所生活介護、短期入所療養介護、介護予防短期入所生活介護又は介護予防短期入所療養介護を利用する者についての滞在費及び食費((イ)~(キ))は、利用日数を居宅サービス計画又は介護予防サービス計画(介護保険法第8条第24項に規定する居宅サービス計画及び介護保険法第8条の2第16項に規定する介護予防サービス計画をいう。以下「ケアプラン」という。)における利用計画回数とし、滞在費(イ)に係る居室の種類を直近のケアプランにおいて利用が計画されている居室の種類(複数の種類の居室の利用が計画されている場合には、利用計画回数が最も多い居室の種類)として算定すること。
したがって、表中の「減額される自己負担(月額)合計」には、証明書に記載された額以上の額であって、境界層措置により減額可能な必要最小限の額を記載することとなる。
ア 多床室を利用する場合
(ア) 介護サービス費合計額(介護保険法施行令第22条の2の2第1項に規定する介護サービス費合計額をいう。以下同じ。)の3割の額から介護サービス費合計額の1割の額(介護サービス費合計額の1割の額が4万4400円以上の場合には4万4400円)を減じて得た額
(イ) 居住費等の基準費用額(介護保険法第51条の3第2項第2号に規定する居住費の基準費用額又は介護保険法第61条の3第2項第2号に規定する滞在費の基準費用額をいう。以下同じ。)又は特定基準費用額(介護保険法施行法第13条第5項第2号に規定する居住費の特定基準費用額をいう。以下同じ。)にその月の日数を乗じた額から居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「370円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
(ウ) 居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「370円」にその月の日数を乗じた額
(エ) 食費の基準費用額(介護保険法第51条の3第2項第1号に規定する食費の基準費用額又は同法第61条の3第2項第1号に規定する食費の基準費用額をいう。以下同じ。)又は特定基準費用額(介護保険法施行法第13条第5項第1号に規定する食費の特定基準費用額をいう。以下同じ。)の「1445円」にその月の日数を乗じた額から食費の負担限度額の「1360円」(短期入所生活介護若しくは短期入所療養介護又は介護予防短期入所生活介護若しくは介護予防短期入所療養介護を利用する場合にあっては「1300円」。)又は特定負担限度額の「650円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
(オ) 食費の負担限度額の「1360円」(短期入所生活介護若しくは短期入所療養介護又は介護予防短期入所生活介護若しくは介護予防短期入所療養介護を利用する場合にあっては「1300円」。)にその月の日数を乗じた額から負担限度額の「650円」(短期入所生活介護若しくは短期入所療養介護又は介護予防短期入所生活介護若しくは介護予防短期入所療養介護を利用する場合にあっては「1000円」。)にその月の日数を乗じた額を減じて得た額又は特定負担限度額の「650円」にその月の日数を乗じた額から特定負担限度額の「390円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
(カ) 食費の負担限度額の「650円」(短期入所生活介護若しくは短期入所療養介護又は介護予防短期入所生活介護若しくは介護予防短期入所療養介護を利用する場合にあっては「1000円」。)にその月の日数を乗じた額から負担限度額の「390円」(短期入所生活介護若しくは短期入所療養介護又は介護予防短期入所生活介護若しくは介護予防短期入所療養介護を利用する場合にあっては「600円」。)にその月の日数を乗じた額を減じて得た額又は特定負担限度額の「390円」にその月の日数を乗じた額から特定負担限度額の「300円(平成17年厚生労働省告示第417号に規定する300円未満の額にあっては、当該額)」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
(キ) 食費の負担限度額の「390円」(短期入所生活介護若しくは短期入所療養介護又は介護予防短期入所生活介護若しくは介護予防短期入所療養介護を利用する場合にあっては「600円」。)にその月の日数を乗じた額から負担限度額の「300円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
(ク) 利用者負担世帯合算額の「4万4400円」から「2万4600円」を減じて得た額
(ケ) 利用者負担世帯合算額の「2万4600円」から「1万5000円」を減じて得た額
(コ) 基準額に標準割合の「24/10」を乗じた額から基準額に標準割合の「23/10」を乗じた額を減じて得た額
(サ) 基準額に標準割合の「23/10」を乗じた額から基準額に標準割合の「21/10」を乗じた額を減じて得た額
(シ) 基準額に標準割合の「21/10」を乗じた額から基準額に標準割合の「19/10」を乗じた額を減じて得た額
(ス) 基準額に標準割合の「19/10」を乗じた額から基準額に標準割合の「17/10」を乗じた額を減じて得た額
(セ) 基準額に標準割合の「17/10」を乗じた額から基準額に標準割合の「15/10」を乗じた額を減じて得た額
(ソ) 基準額に標準割合の「15/10」を乗じた額から基準額に標準割合の「13/10」を乗じた額を減じて得た額
(タ) 基準額に標準割合の「13/10」を乗じた額から基準額に標準割合の「12/10」を乗じた額を減じて得た額
(チ) 基準額に標準割合の「12/10」を乗じた額から基準額に標準割合の「10/10」を乗じた額を減じて得た額
(ツ) 基準額に標準割合の「10/10」を乗じた額から基準額に標準割合の「9/10」を乗じた額を減じて得た額
(テ) 基準額に標準割合の「9/10」を乗じた額から基準額に標準割合の「6.9/10(介護保険法施行令第38条第13項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)」を乗じた額を減じて得た額
(ト) 基準額に標準割合の「6.9/10(同令第38条第13項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)」を乗じた額から基準額に標準割合の「6.85/10(同令第38条第12項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)」を乗じた額を減じて得た額
(ナ) 基準額に標準割合の「6.85/10(同令第38条第12項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)」を乗じた額から基準額に標準割合の「4・55/10(同令第38条第11項に基づき減額賦課した場合には、当該減額賦課後の割合)」を乗じた額を減じて得た額
※(コ)~(ナ)については、介護保険料の標準割合が介護保険法施行令第38条による場合である。
イ ユニット型個室を利用する場合
アにおける(イ)・(ウ)の部分について、次の①、②の順に減額される。
① 居住費等の基準費用額又は特定基準費用額の「2006円」にその月の日数を乗じた額から居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「1310円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
② 居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「1310円」にその月の日数を乗じた額から居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「820円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
ウ ユニット型個室的多床室を利用する場合
アにおける(イ)・(ウ)の部分について、次の①から③(③については旧措置入所者のみ)の順に減額される。
① 居住費等の基準費用額又は特定基準費用額の「1668円」にその月の日数を乗じた額から居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「1310円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
② 居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「1310円」にその月の日数を乗じた額から居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「490円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
③ 居住費の特定負担限度額の「490円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
エ 従来型個室(特養等)を利用する場合
アにおける(イ)・(ウ)の部分について、次の①から④(④については旧措置入所者のみ)の順に減額される。
① 居住費等の基準費用額又は特定基準費用額の「1171円」にその月の日数を乗じた額から居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「820円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
② 居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「820円」にその月の日数を乗じた額から居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「420円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
③ 居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「420円」にその月の日数を乗じた額から居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「320円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
④ 居住費の特定負担限度額の「320円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
オ 従来型個室(老健・医療院等)を利用する場合
アにおける(イ)・(ウ)の部分について、次の①、②の順に減額される。
① 居住費等の基準費用額又は特定基準費用額の「1668円」にその月の日数を乗じた額から居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「1310円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
② 居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「1310円」にその月の日数を乗じた額から居住費等の負担限度額又は特定負担限度額の「490円」にその月の日数を乗じた額を減じて得た額
 
4 境界層該当者に対する保護廃止の際の留意点
1の各号に該当することにより保護を廃止する場合は、生活保護法による介護扶助が現物給付であるのに対し、高額介護サービス費の支給が償還払により行われることなどから、生活福祉資金の療養・介護資金等の融資制度を含めた他法他施策の活用あっせん等によりその円滑な移行について十分配慮すること。
 
 




 
(別添6)
 
 
6.旧措置入所者に係る手続きについて
Ⅰ 利用者負担の減免
 
(1)申請
「厚生労働大臣が定める旧措置入所者の所得の区分及び割合」(平成17年厚生労働省告示第409号。以下「割合告示」という。)の表の上欄の二の項、三の項又は四の項に規定する者に対する同表の下欄の割合(100分の90を超える割合に限る。)の適用(以下「利用者負担の減免」という。)は、旧措置入所者からの申請に基づいて行うものとすること。
 
(2)認定
① 割合告示の表の上欄の二の項及び三の項に規定する市町村民税世帯非課税者に係る利用者負担の減免の認定は、(1)の申請書の提出が行われた日(申請日)において、当該旧措置入所者が属する世帯の世帯主及び世帯員の申請日における課税状況により行うものとすること。
② 割合告示の表の上欄の二の項及び三の項に規定する者に係る利用者負担の減免は、申請日の属する月の初日に遡って効力を有するものとすること。
③ 被保護者に係る利用者負担の減免は、保護が開始された日の属する月の初日にさかのぼって効力を有するものとすること。
 
(3)減免を証する書面
① 市町村は、利用者負担の減免の認定を行ったときは、当該認定が行われた旨を証する書面(様式は別添様式6の例によるものとする。)を旧措置入所者に対して交付すること。
② ①の書面の有効期限は、利用者負担の減免の適用開始日の属する年度の翌年度の7月末日まで(利用者負担の減免の適用開始日の属する月が4月から7月である場合には、当該月の属する年度の7月末日まで)とすること。
 
Ⅱ 食費及び居住費の特定負担限度額認定
 
(1)施行規則第172条の2において準用する施行規則第83条の5第1号に掲げる者に係る特定負担限度額認定について
3.特定入所者介護(予防)サービス費の支給事務(P20)Ⅲの第2及び第3を準用すること。
 
(2)施行規則第172条の2において準用する施行規則第83条の5第2号に掲げる者に係る特定負担限度額認定について
3.特定入所者介護(予防)サービス費の支給事務(P20)Ⅲの第4を準用すること。
 
(3)被保護者に係る特定負担限度額認定について
3.特定入所者介護(予防)サービス費の支給事務(P20)Ⅲの第5を準用すること。
 
(4)施行規則第172条の2において準用する施行規則第83条の5第4号に掲げる者に係る特定負担限度額認定について
① 次の(ⅰ)及び(ⅱ)を適用することとしている。
(ⅰ) 施行法第13条第5項第1号に規定する食費の特定負担限度額の表の三の項の下欄に掲げる食費の特定負担限度額
(ⅱ) 施行法第13条第5項第2号に規定する居住費の特定負担限度額の表の一の項の下欄に掲げる居住費の特定負担限度額
② 適用順序、具体的な事務手続並びに特定負担限度額認定の基準日及び効力
適用順序、具体的な事務手続並びに特定負担限度額認定の基準日及び効力については、4.市町村民税課税層に対する特例減額措置(P66)Ⅱの第1(2)から(4)を準用すること。
 
(5)認定証の有効期限
施行規則第172条の2において準用する施行規則第83条の6第4項に規定する認定証の有効期限は、特定負担限度額認定の発効日の属する年度の翌年度の7月末日(特定負担限度額認定の発効日の属する月が4月から7月である場合には、当該月の属する年度の7月末日)とすること。
 
(6)認定証の居住費の特定負担限度額の欄への記載方法
平成17年9月30日において廃止前の厚生労働大臣が定める旧措置入所者の所得の区分及び割合(平成12年厚生省告示第63号)における旧措置入所者の割合が100分の95以上の者(以下「実質的負担軽減者」という。)については、入所する居室の種別(申請書に記入された入所する居室の種別)にのみ金額を記載することとし、それ以外の居室については、「――――」(取消線)、「****」等の記載をされたい。
また、実質的負担軽減者以外の者については、全ての種別の居室に金額を記載することとする。
 
Ⅲ 利用者負担の減免及び特定負担限度額認定の特例
割合告示の表の上欄の三の項、食費の特定負担限度額告示の表の上欄の六の項及び居住費の特定負担限度額告示の表の上欄の六の項イに規定する「これに準ずると認められる者」を次のとおりとする。
(1)法の施行の際現に施行法第20条の規定による改正前の老人福祉法(昭和38年法律第133号)第28条第1項の規定による被措置者に係る費用徴収が、「老人保護措置費の国庫負担について」(昭和47年6月1日厚生省社第451号厚生事務次官通達)別表2に定める費用徴収基準の「対象収入による階層区分」において0円~420,000円に該当するもの。
なお、この取扱いにあたっては、市町村民税世帯非課税者(割合告示の表の上欄の二の項に規定する市町村民税世帯非課税者、食費の特定負担限度額告示の表の上欄の六の項に規定する施行規則第172条の2において準用する施行規則第83条の5第1号に掲げる者及び居住費の特定負担限度額告示の表の上欄の六の項イに規定する施行規則第172条の2において準用する施行規則第83条の5第1号に掲げる者をいう。以下同じ。)であるか否か、老齢福祉年金(割合告示の表の上欄の三の項、食費の特定負担限度額告示の表の上欄の六の項及び居住費の特定負担限度額告示の表の上欄の五の項イに規定する老齢福祉年金をいう。)の受給権を有する者であるか否かは問わないものとする。
 
(2)割合告示の所得の区分、特定食費の特定負担限度額の上欄(区分)及び居住費の特定負担限度額告示の上欄(所得の区分)の認定において、市町村民税世帯非課税者であるか否かの認定は、毎年行う必要がある。
 
 



 
備考
1.この用紙は、日本工業規格A列4番とすること。
 
ご記入上の注意事項等
 
1.高額介護合算療養費等支給申請について
(1)医療保険の自己負担額と介護保険の自己負担額を合計した結果、一定の限度額を超えた場合に、その超えた額が高額介護合算療養費(高額医療合算介護(予防)サービス費)として支給されます。
(2)各資格情報欄については、申請対象年度末日(記載年の7月末日)に加入する医療保険(介護保険)の資格情報を記載して下さい。
(3)国民健康保険資格情報の続柄欄、「2.擬制世帯主」とは世帯員が国保の被保険者であるが、世帯主は国保の加入者ではない場合を指します。
(4)計算期間の始期及び終期の間に加入する医療保険(介護保険)に変更があった場合、保険者加入暦欄に以前に加入していた医療保険(介護保険)の保険者名称(広域連合名称)と加入期間を記載し、また同保険者(広域連合)加入時の自己負担額証明書を添付する場合には同証明書整理番号を記載して下さい。添付する同証明書がない場合には、「添付なし」と記載して下さい。
なお、申請対象年度末日に加入している医療保険(介護保険)については、当該保険者加入歴欄への記載は不要です。
(5)複数名の支給額の同一口座への振込を希望する場合、該当者の振込口座記載欄(金融機関名から口座名義人まで)は記載せず、振込先口座管理番号欄に希望振込先口座の口座管理番号を記載して下さい。
例)口座管理番号2の被保険者への支給額を、口座管理番号1の被保険者の口座へ振り込んでほしい場合、口座管理番号2の被保険者の振込口座記載欄は記載せず、振込先口座管理番号欄に1と記載する。
(6)備考欄には、以下の内容を記載して下さい。
①国民健康保険、後期高齢者医療の被保険者
・当該医療保険者(広域連合)の所在地、及び同医療保険者における計算期間内の受診歴(以前に加入していた医療保険者における受診歴は記載する必要はありません。)
②健保組合等被用者保険の被保険者で介護保険の被保険者
・健保組合等被用者保険の名称、所在地、及び同保険者における計算期間内の受診歴
③死亡・海外移住・生保適用等により計算期間の途中に被保険者資格を喪失した者(ただし、介護保険適用除外施設入所・他保険者への転出による資格喪失者を除く)
・被保険者資格を喪失した年月日、被保険者資格を喪失した事由
(7)国民健康保険における高額介護合算療養費は、世帯主・世帯員の支給合計額が世帯主(擬制世帯主)の口座に振り込まれることとなりますので、ご留意下さい。
(8)2名を超える対象者を記載する場合等、複数枚に渡ることがわかるよう、右下の頁欄に全体の枚数と何枚目かを記載して下さい。
(9)介護保険被保険者証が交付されていない介護保険被保険者については、介護保険情報(保険者番号、被保険者番号、保険者の名称、加入期間)の記載は不要です。
(10)介護保険で給付制限を受けており、自己負担が3割となっている方については、その給付制限期間中は自己負担額が零として計算されることとなり、高額医療合算介護(予防)サービス費の支給ができない場合があります。
 
2.自己負担額証明書交付申請について
(1)自己負担額証明書の交付を申請する場合、必ず同じ市町村の保険者番号を記載して下さい(2以上の市町村の保険者番号を記載しないで下さい)。
(2)各医療保険(介護保険)資格情報ごとに、複数保険者分の自己負担額証明書が必要である場合、それぞれの保険者へ申請する必要があります。
 
保険者記入上の注意事項
1.複数枚に渡る支給申請の受付時において、右上の支給申請書整理番号には提出者単位で同一の番号を記載すること。
2.支給申請書整理番号は以下の番号体系とすること。
「GYY(申請対象年度和暦、平成の場合、Gは“4”)+保険者番号8桁(介護保険者の場合、先頭2桁を“99”とする)+保険者が付する通し番号6桁」(計17桁)
なお、保険者が付する通し番号は、申請対象年度ごとに申請受付順に1から付番すること。
3.保険者加入歴に介護保険(総合事業)自己負担額証明書の情報(保険者名、加入期間、添付の自己負担額証明書整理番号)が記載されている場合、介護保険者においてのみ使用するため、医療保険者は、システムへの登録を行わないこと。
なお、介護保険(総合事業)自己負担額証明書整理番号の番号体系については、以下のとおり。
「証明対象年度西暦(4桁)+”98”+保険者番号(6桁)+保険者が付する通し番号(8桁)」
 
ページトップへ