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リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について
老高発0315第2号 老認発0315第2号 老老発0315第2号
リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について
老高発0315第2号 老認発0315第2号 老老発0315第2号
リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について (老高発0315第2号 老認発0315第2号 老老発0315第2号)
発出日:令和6年3月15日
更新日:令和6年3月15日
更新日:令和6年3月15日
老高発0315第2号
老認発0315第2号
老老発0315第2号
令和6年3月15日
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各都道府県介護保険主管部(局)長宛 殿
厚生労働省老健局高齢者支援課長
( 公 印 省 略 )
厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課長
( 公 印 省 略 )
厚生労働省老健局老人保健課長
( 公 印 省 略 )
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リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について
リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施については、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成十二年三月一日老企第三六号)、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成十二年三月八日老企第四〇号)、「指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成十八年三月十七日老計発第〇三一七〇〇一号、老振発第〇三一七〇〇一号、老老発第〇三一七〇〇一号)及び「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成十八年三月三十一日老計発第〇三三一〇〇五号、老振発第〇三三一〇〇五号、老老発第〇三三一〇一八号)において示しているところであるが、今般、基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例を下記のとおりお示しするので、御了知の上、各都道府県におかれては、管内市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その取扱いに当たっては遺漏なきよう期されたい。
本通知は、令和六年四月一日から適用するが、「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和三年三月一六日老認発〇三一六第三・老老発〇三一六第二)については、本通知を新たに発出することから廃止することにご留意されたい。なお、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第16号)において、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導及び介護予防通所リハビリテーション(以下「訪問看護等」という。)に係る改正は令和6年6月施行となっているところ、令和6年4月から5月までの間の訪問看護等については、従前の取り扱いとする。
記
<目次>頁
第一章 リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の一体的取組について...........................................................................................................................................................3
第二章 リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の各取組について...........................................................................................................................................................6
第一 リハビリテーションマネジメントの基本的考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について..................................................................................................................................................................................6
第二 個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について..................................................................................................................................................................................23
第三 施設サービスにおける栄養ケア・マネジメント及び栄養マネジメント強化加算等に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について..................................................................................................................................................................................29
第四 通所・居宅サービスにおける栄養ケア・マネジメント等に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について..................................................................................................................................................................................34
第五 口腔・栄養スクリーニング加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について..................................................................................................................................................................................38
第六 口腔衛生の管理体制に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について..................................................................................................................................................................................40
第七 口腔連携強化加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について..................................................................................................................................................................................42
第八 口腔機能向上加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について..................................................................................................................................................................................45
第一章 リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の一体的取組について
Ⅰ リハビリテーション・個別機能訓練、栄養及び口腔の一体的な実施の基本的な考え方
リハビリテーション・個別機能訓練と栄養管理の連携においては、筋力・持久力の向上、活動量に応じた適切な栄養摂取量の調整、低栄養の予防・改善、食欲の増進等が期待される。栄養管理と口腔管理の連携においては、適切な食事形態・摂取方法の提供、食事摂取量の維持・改善、経口摂取の維持等が期待される。口腔管理とリハビリテーション・個別機能訓練の連携においては、摂食嚥下機能の維持・改善、口腔衛生や全身管理による誤嚥性肺炎の予防等が期待される。
このように、リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の取組は一体的に運用されることで、例えば、
・ リハビリテーション・個別機能訓練の負荷又は活動量に応じて、必要なエネルギー量や栄養素を調整することによる筋力・持久力の向上及びADLの維持・改善
・ 医師、歯科医師等の多職種の連携による摂食嚥下機能の評価により、食事形態・摂取方法の適切な管理、経口摂取の維持等が可能となることによる誤嚥性肺炎の予防及び摂食嚥下障害の改善
など、効果的な自立支援・重度化予防につながることが期待される。
このため自立支援・重度化防止のための効果的なケアを提供する観点から、医師、歯科医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士等の多職種による一体的なリハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理が実施されることが望ましい。
Ⅱ リハビリテーション・個別機能訓練、栄養及び口腔の一体的な実施に関する様式例
リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の取組を一体的に運用し、自立支援・重度化防止を効果的に進めるため、リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理に関する評価等を一体的に記入できる様式として、別紙様式1-1(リハビリテーション、栄養、口腔に係る実施計画書(通所系))、別紙様式1-2(リハビリテーション、栄養、口腔に係る実施計画書(施設系))、別紙様式1-3(個別機能訓練、栄養、口腔に係る実施計画書(通所系))、別紙様式1-4(個別機能訓練、栄養、口腔に係る実施計画書(施設系))を示す。
本様式は、リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の取組を一体的に行う際に、各取組に係る専門職が情報共有を行い、協働して計画を作成する際に用いることができる。各取組についての情報をそれぞれ記載した上で、多職種が連携し、それらを踏まえた共通課題を抽出し、共通目標を設定するとともに、具体的なケア内容に反映させる。
なお、下表中左欄に定める様式を用いて計画書を作成した場合、リハビリテーション・個別機能訓練、栄養及び口腔に係る各加算等の算定に際し必要とされる右欄の様式の作成に代えることができる。ただし、左欄の様式の一部のみを記入した場合に、右欄の様式の作成に代えることはできないため留意すること。
別紙様式1-1(リハビリテーション、栄養、口腔に係る実施計画書(通所系))
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別紙様式2-2-1及び2-2-2(リハビリテーション計画書)
別紙様式4-3-1(栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング(通所・居宅)(様式例))
別紙様式4-3-2(栄養ケア計画書(通所・居宅)(様式例))
別紙様式6-4(口腔機能向上サービスに関する計画書)
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別紙様式1-2(リハビリテーション、栄養、口腔に係る実施計画書(施設系))
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⇒
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別紙様式2-2-1及び別紙様式2-2-2(リハビリテーション計画書)
別紙様式4-1-1(栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング(施設)(様式例))
別紙様式4-1-2(栄養ケア・経口移行・経口維持計画書(施設)(様式例))
「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式3及び「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式1(口腔衛生管理加算様式(実施計画))
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別紙様式1-3(個別機能訓練、栄養、口腔に係る実施計画書(通所系))
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別紙様式3-2(生活機能チェックシート)、別紙様式3-3(個別機能訓練計画書)
別紙様式4-3-1(栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング(通所・居宅)(様式例))
別紙様式4-3-2(栄養ケア計画書(通所・居宅)(様式例))
別紙様式6-4(口腔機能向上サービスに関する計画書)
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別紙様式1-4(個別機能訓練、栄養、口腔に係る実施計画書(施設系))
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別紙様式3-2(生活機能チェックシート)、別紙様式3-3(個別機能訓練計画書)
別紙様式4-1-1(栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング(施設)(様式例))
別紙様式4-1-2(栄養ケア・経口移行・経口維持計画書(施設)(様式例))
「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式3及び「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式1(口腔衛生管理加算 様式(実施計画))
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第二章 リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の各取組について
第一 リハビリテーションマネジメントの基本的考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について
Ⅰ リハビリテーションマネジメントの基本的な考え方
1 リハビリテーションについて
生活機能の低下した利用者に対するリハビリテーションは、単に運動機能や認知機能といった心身機能の改善だけを目指すのではなく、利用者が有する能力を最大限に発揮できるよう、「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかけていくこと、また、これによって日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を可能とすることを目的とするものである。利用者に対して漫然とリハビリテーションの提供を行うことがないよう、症状緩和のための取組(マッサージ等)のみを行う場合はその必要性を見直す必要がある。
リハビリテーションを提供する際には、利用者のニーズを踏まえ、利用者本人による選択を基本とし、利用者やその家族にサービス内容についてわかりやすく説明し、その同意を得なければならない。利用者やその家族の理解を深め、協働作業が十分になされるために、リハビリテーション、生活不活発病(廃用症候群)や生活習慣病等についての啓発を行うことも重要である。
2 リハビリテーションマネジメントについて
リハビリテーションマネジメントは、高齢者の尊厳ある自己実現を目指すという観点に立ち、利用者の生活機能の向上を実現するため、介護保険サービスを担う専門職やその家族等が協働して、継続的な「サービスの質の管理」を通じ、適切なリハビリテーションを提供し、もって利用者の要介護状態又は要支援状態の改善や悪化の防止に資するものである。
Ⅱ(介護予防)訪問・通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメントについて
1 リハビリテーションマネジメントの実務等について
(介護予防)訪問・通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメントについては、基本報酬の要件及び各種加算の要件として定められていることから、各種加算を算定しない場合においても、全利用者に適切なリハビリテーションマネジメントが実施されるよう努める必要がある。
2 リハビリテーションマネジメントにおけるSPDCAサイクルの具体的取組内容
リハビリテーションマネジメントは、調査(Survey)、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)(以下「SPDCA」という。)のサイクルの構築を通じて、質の高いリハビリテーションの提供を目指すものである。SPDCAサイクルの工程を管理するために、別紙様式2―4「リハビリテーションマネジメントにおけるプロセス管理票」を活用することができる。
以下にリハビリテーションマネジメントにおけるSPDCAサイクルの具体的な取組内容を記載する。
⑴ 調査(Survey)
・ リハビリテーションマネジメントにおける調査(Survey)とは、利用者・家族の希望を踏まえた効果的なリハビリテーション計画を作成することを目的として、適切な方法により、利用者及びその環境に関する情報を把握することをいう。
・ 把握する情報として、利用者・家族の希望、全体のケアマネジメントの方針、利用者の健康状態、心身機能、活動(ADLやIADLなど)、参加(家庭内での役割、余暇活動、社会地域活動など)についての状況、環境因子等がある。
・ 情報を把握するための手段として、事業所医師の診療、運動機能検査、作業能力検査等の各種検査、居宅サービス計画の情報の入手、本人・家族からの情報収集等がある。
・ リハビリテーションに対する利用者・家族の希望を確認する際には、利用者の興味や関心のある生活行為について把握するために、別紙様式2―1「興味・関心チェックシート」を活用することができる。把握に当たっては、「こういうことをしてみたい」という目標を利用者自身が意識できるように働きかけ、利用者の意欲の向上を図ることも重要である。
⑵ 計画(Plan)
・ リハビリテーションマネジメントにおける計画(Plan)とは、リハビリテーションに関する目標の設定、解決すべき課題の把握(アセスメント)及び、それを基にした具体的な対応の決定を含むリハビリテーション計画の作成のことをいう。
・ リハビリテーションに関する解決すべき課題の把握は、「⑴調査」の結果を踏まえて行う。複数の課題が見つかる場合は、本人の希望に沿った、活動・参加の向上、生活の質の向上に繋がる課題に対し優先的に介入を行う。
・ 解決すべき課題に対して、心身機能・構造、活動、参加、健康状態、個人因子、環境因子のどこに要因があるのか(どこを改善すれば課題を解決することができるのか)を検討し、それぞれに対する具体的な対応(訓練内容、支援内容、環境調整等)を設定する。その際、残存機能(現時点で利用者ができること)の活用の視点も忘れないようにすること。
・ 訓練内容については、その介入方法で改善しようとしている機能とその目的、介入による変化の予測を明確に設定し、適宜確認を行う。サービス提供時間内だけでなく、日常生活で家族、本人に行って貰うことを設定するのも重要である。
・ 自助具等の導入により本人の機能を補うことや、環境調整を行うことにより、心身機能・構造等の改善が難しい場合においても、本人の活動や参加を改善することができる場合がある。その際、必要以上の調整を行うことで、本人の残存機能の活用を妨げないよう留意する。
⑶ 実行(Do)
・ リハビリテーションマネジメントにおける実行(Do)とは、事業所の医師の指示及びリハビリテーション計画に基づき、実際にサービスを提供することをいう。サービス提供時間内に行われる訓練だけでなく、環境調整や、利用者・家族への助言及び指導が含まれることに留意する。
・ リハビリテーションの提供の際には、医師から指示された、リハビリテーション開始前または実施中の留意事項、やむを得ず当該リハビリテーションを中止する際の基準、当該リハビリテーションにおける利用者に対する負荷等に留意して行うこと。
・ リハビリテーションの提供は、漫然と行うのではなく、常に何のための訓練か、訓練は効果的に行われているか等を考慮しながら行うこと。
⑷ 評価(Check)、改善(Action)
・ リハビリテーションマネジメントにおける評価(Check)とは、医師の指示及びリハビリテーション計画に基づいて実際に行われたサービス提供の結果、利用者の心身機能、活動、参加の状態の変化や、課題の解決及び目標の達成状況について評価し、それによって計画の見直しを行うことをいう。
・ 心身機能、活動、参加の状況はどう変化したか、課題の解決ができたか、介入方法は適切であったか、課題の設定は適切であったか等をよく検討し、より適切なリハビリテーションが行われるよう計画を見直すこと。
3 家族、介護支援専門員又は他事業所との連携
リハビリテーションは、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士だけが提供するものではなく、様々な専門職が協働し、また利用者の家族にも役割を担っていただいて提供されるべきものである。特に日常生活上の生活行為への働きかけである介護サービスは、リハビリテーションの視点から提供されるべきものであることから、介護支援専門員及び他事業所との連携は重要である。
⑴ リハビリテーション会議
リハビリテーション会議の構成員は、利用者及びその家族を基本としつつ、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、居宅サービス計画の原案に位置づけた指定居宅サービス等の担当者、看護師、准看護師、介護職員、介護予防・日常生活支援総合事業のサービス担当者及び保健師等とし、必要に応じて歯科医師、管理栄養士、歯科衛生士等が参加した上で、アセスメント結果などの情報の共有、多職種協働に向けた支援方針、リハビリテーションの内容、構成員間の連携等について協議を行う。
⑵ 介護支援専門員等への情報提供
リハビリテーションに関する専門的な見地から、利用者の有する能力、自立のために必要な支援方法及び日常生活上の留意点に関する以下の内容を含む情報提供を行う。
・ 利用者や家族の活動や参加に関する希望及び将来利用を希望する社会参加に資する取組
・ 利用者の基本的動作能力、応用的動作能力及び社会適応能力等の日常生活能力並びにその能力の改善の可能性
・ 利用者の日常生活能力を維持又は向上させる介護の方法及び留意点
・ 家屋等の環境調整の可能性及び家具や調理器具等の生活用具の工夫
・ その他リハビリテーションの観点から情報共有をすることが必要な内容
⑶ 指定訪問介護等の居宅サービスの従事者又は家族に対する助言リハビリテーション会議により協議した内容等を考慮し、助言する対象者を適切に判断する。利用者の居宅を訪問し、指定訪問介護等の居宅サービスの従事者又は利用者の家族に以下の内容を含む助言を行う。
・ 利用者の基本的動作能力、応用的動作能力及び社会適応能力等の日常生活能力並びにその能力の改善の可能性
・ 生活環境に応じた日常生活上の留意点並びに介護の工夫等
⑷ サービス利用終了時の対応等
サービス利用終了後の利用者の生活機能の維持に資するよう、サービスの利用が終了する一月前以内に、事業所の医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーション会議を行うことが望ましい。その際、介護支援専門員や終了後に利用予定の他の居宅サービス事業所や、介護予防・日常生活支援総合事業の担当者等の参加を求めるものであること。
・ 利用終了時には、担当の介護支援専門員や計画的な医学的管理を行っている医師に対し、リハビリテーションの観点から必要な情報提供を行う。
4 リハビリテーションマネジメントに関連する主な加算の考え方
リハビリテーションマネジメントを前提とする加算の主な考え方について、以下に記載する。
⑴ リハビリテーションマネジメント加算について
上記のリハビリテーションマネジメントの考え方を参照すること。
⑵ 認知症短期集中リハビリテーション実施加算について
・ 心身機能、活動及び参加の維持又は回復を図るに当たって、認知症高齢者の状態によりきめ細かく配慮し、より効果的なリハビリテーションの提供を促進するため、認知症短期集中リハビリテーション実施加算を設けた。
・ 別紙様式2―1を活用し、利用者がしている、してみたい、興味がある生活行為を把握し、見当識や記憶などの認知機能や実際の生活環境を評価し、アセスメント後に、当該生活行為で確実に自立できる行為を目標とする。
・ 居宅で評価する際には、利用者が実際に生活する場面で、失敗をしないで取り組めるよう、実施方法や環境にあらかじめ配慮する。
・ リハビリテーションの内容を選定する際には、役割の創出や達成体験、利用者が得意とすることをプログラムとして提供するなど自己効力感を高める働きかけに留意すること。
⑶ 生活行為向上リハビリテーション実施加算について
・ 活動の観点から、生活行為の内容の充実を図るための目標を設定し、加齢等により低下した利用者の活動の向上を図るためのリハビリテーションの提供を評価するため、生活行為向上リハビリテーション実施加算を設けた。
① 生活行為向上リハビリテーション実施加算の課題分析
・ まず、利用者がしてみたいと思う生活行為で、一連の行為のどの部分が支障となってうまくできていないのかという要因を分析する。例えば、トイレ行為であれば、畳に座っている姿勢、立ち上がり、トイレに行く、トイレの戸の開閉、下着の脱衣、便座に座る動作、排泄、後始末、下着の着衣、元の場所に戻る、畳に座る等の一連の行為を分析し、そのどこがうまくできていないのかを確認すること。
・ うまくできていない行為の要因ごとに、利用者の基本的動作能力(心身機能)、応用的動作能力(活動)、社会適応能力(参加)のどの能力を高めることで生活行為の自立が図られるのかを検討すること。
・ 基本的動作能力については、起居や歩行などの基本的動作を直接的に通所にて訓練を行い、併せて居宅での環境の中で一人でも安全に実行できるかを評価すること。
・ 応用的動作能力については、生活行為そのものの技能を向上させる反復練習、新たな生活行為の技能の習得練習などを通して、通所で直接的に能力を高める他、住環境や調理器具などの生活道具、家具など生活環境について工夫することについても検討すること。通所で獲得した生活行為が居宅でも実行できるよう訪問し、具体的な実践を通して評価を行い、実際の生活の場面でできるようになるよう、支援すること。また、利用者が家庭での役割を獲得できるよう、家族とよく相談し、調整すること。
・ 社会適応能力については、通所の場面だけではなく、居宅に訪問し家庭環境(家の中での環境)への適応状況の評価、利用者が利用する店での買い物や銀行、公共交通機関の利用などの生活環境への適応練習、地域の行事や趣味の教室などへの参加をするための練習をするなど、利用者が一人で実施できるようになることを念頭に指導すること。
② 生活行為向上リハビリテーション実施加算の留意事項
・ 目標達成後に自宅での自主的な取組や介護予防・日常生活支援総合事業における第一号通所事業や一般介護予防事業、地域のカルチャー教室や通いの場、通所介護などに移行することを目指し、集中的に行う。
・ 生活行為向上リハビリテーションを行うために必要な家事用設備、各種日常生活活動訓練用具などが備えられていることが望ましい。
・ 利用者と家族のプログラムへの積極的な参加が重要であることから、利用者及びその家族に生活行為がうまくできない要因、課題を解決するために必要なプログラム、家での自主訓練を含め分かりやすく説明を行い、利用者及びその家族にプログラムの選択を促すよう配慮し進め、主体的に取り組む意欲を引き出す。
・ 活動と参加の観点からは、居宅からの一連のサービス行為として、買い物やバス等の公共交通機関への乗降などの行為に関する指定訪問リハビリテーションを利用することも重要である。
・ 利用者の能力だけではなく、利用者を取り巻く家族や地域の人々、サービス提供者に対しても、利用者の生活行為の能力について説明を行い、理解を得て、適切な支援が得られるよう配慮すること。
・ 要介護認定等の更新又は区分の変更により、要介護状態区分から要支援状態区分又は要支援状態区分から要介護状態区分となった利用者に対して、生活行為向上リハビリテーションの提供を継続する場合には、算定月数を通算するものとする。その際、作成した生活行為向上リハビリテーション実施計画を活用することは差し支えないが、利用者の心身の状況等を鑑み、適時適切に計画は見直す。
⑷ 移行支援加算について
・ 移行支援加算は、指定通所介護事業所等へのスムーズな移行ができるよう、リハビリテーション計画を基に、リハビリテーションを提供し、その結果、利用者のADLとIADLが向上し、指定通所介護等の他のサービス等に移行できるなど、質の高いリハビリテーションを提供しているリハビリテーションを提供する事業所の体制を評価するものである。
Ⅲ 介護保健施設サービス及び介護医療院サービスにおけるリハビリテーションマネジメントの実務等について
1 基本的な考え方
施設サービスにおいて提供されるリハビリテーションは、施設退所後の居宅における利用者の生活やその場において提供されるリハビリテーションを考慮した上で、利用者の在宅復帰に資するものである必要があり、施設入所中又はその退所後に居宅において利用者に提供されるリハビリテーションが一貫した考え方に基づき提供されるよう努めなければならない。そのためには施設入所中も、常に在宅復帰を想定してリハビリテーションを提供していくことが基本である。
2 リハビリテーションマネジメントの実務等について
⑴ リハビリテーションマネジメントの体制
① リハビリテーションマネジメントは医師、歯科医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、看護職員、介護職員、管理栄養士、歯科衛生士、介護支援専門員、支援相談員その他の職種(以下「関連スタッフ」という。)が協働して行うものである。
② 各施設等の管理者は、リハビリテーションマネジメントに関する手順(情報収集、アセスメント・評価、カンファレンスの支援、計画の作成、説明・同意、サービス終了前のカンファレンスの実施、サービス終了時の情報提供等)をあらかじめ定める。
⑵ リハビリテーションマネジメントの実務
① サービス開始時における情報収集について
関連スタッフは、サービス開始時までに適切なリハビリテーションを実施するための情報を収集するものとする。情報の収集に当たっては主治の医師から診療情報の提供、担当介護支援専門員等からケアマネジメントに関わる情報の提供を文書で受け取ることが望ましい。なお、これらの文書は別紙様式2―6、2―7の様式例を参照の上、作成する。
② サービス開始時におけるアセスメント・評価、計画、説明・同意について
関連スタッフ毎にアセスメントとそれに基づく評価を行い、多職種協働でサービス開始時カンファレンスを開催し、速やかにリハビリテーション計画の原案を作成する。リハビリテーション計画の原案については、利用者又はその家族へ説明し同意を得る。また、リハビリテーション計画の原案に関しては、③ハに掲げるリハビリテーション計画書の様式又はこれを簡略化した様式を用いるものとする。なお、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成十一年厚生省令第四十号)第十四条若しくは第五十条において準用する第十四条又は介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成三十年厚生労働省令第五号)第十七条若しくは第五十四条において準用する第十七条において作成することとされている各計画の中に、リハビリテーション計画の原案に相当する内容をそれぞれ記載する場合は、その記載をもってリハビリテーション計画の原案の作成に代えることができるものとする。
③ サービス開始後二週間以内のアセスメント・評価、計画、説明・同意について
リハビリテーション実施計画の原案に基づいたリハビリテーションやケアを実施しながら、サービス開始からおおむね二週間以内に以下のアからカまでの項目を実施する。
ア アセスメント・評価の実施関連スタッフ毎に別紙様式2―8を参照としたアセスメントを実施し、それに基づく評価を行う。
イ リハビリテーションカンファレンスの実施
関連スタッフによってリハビリテーションカンファレンスを開催し、目標、到達時期、具体的アプローチ、プログラム等を含む実施計画について検討する。リハビリテーションカンファレンスには、状況に応じて利用者やその家族の参加を求めることが望ましい。
目標の設定に関しては利用者の希望や心身の状況等に基づき、当該利用者が自立した尊厳ある日常生活を送る上で特に重要であると考えられるものとし、その目標を利用者、家族及び関連スタッフが共有することとする。目標、プログラム等の設定に当たっては施設及び居宅サービス計画(以下「ケアプラン」という。)と協調し、両者間で整合性が保たれることが重要である。
ウ リハビリテーション計画書の作成
リハビリテーションカンファレンスを経て、リハビリテーション計画書を作成する。リハビリテーション計画書の作成に当たっては、別紙様式2-2-1及び2-2-2又は「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式1を用いて作成する。なお、リハビリテーション計画の原案を作成した場合はリハビリテーション計画書を新たに作成する必要はなく、リハビリテーション計画の原案を必要があれば変更した上で、リハビリテーション計画書の作成に代えることができるものとする。
リハビリテーション計画は、ケアプランと協調し、両者間で整合性が保たれることが重要である。施設サービスにおいてはリハビリテーション計画を作成していれば、ケアプランのうちリハビリテーションに関し重複する部分については省略しても差し支えない。
エ 利用者又は家族への説明と同意
リハビリテーション計画の内容については利用者又はその家族に分かりやすく説明を行い、同意を得る。その際、リハビリテーション計画書の写しを交付することとする。
オ 指示と実施
関連スタッフは、医師の指示に基づきリハビリテーション計画書に沿ったリハビリテーションの提供を行う。リハビリテーションをより有効なものとする観点からは、専門職種によるリハビリテーションの提供のみならず、リハビリテーションに関する情報伝達(日常生活上の留意点、介護の工夫等)や連携を図り、家族、看護職員、介護職員等による日常生活の生活行為への働きかけを行う。
介護老人保健施設サービス費(Ⅰ)及びユニット型介護保険施設サービス費(Ⅰ)を算定すべき介護老人保健施設の医師は、リハビリテーションの実施に当たり、当該事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対して、利用者に対する当該リハビリテーションの目的に加えて、当該リハビリテーション開始前又は実施中の留意事項、やむを得ず当該リハビリテーションを中止する際の基準、当該リハビリテーションにおける利用者に対する負荷等のうちいずれか一以上の指示を行うこと。指示の内容については、利用者の状態の変化に応じ、適宜変更すること。
カ アからオまでの過程はおおむね3月毎に繰り返し、内容に関して見直すこととする。また、利用者の心身の状態変化等により、必要と認められる場合は速やかに見直すこととする。管理者及び関連スタッフは、これらのプロセスを繰り返し行うことによる継続的なサービスの質の向上に努める。
④ サービス終了時の情報提供について
ア サービス終了前に、関連スタッフによるリハビリテーションカンファレンスを行う。その際、担当の介護支援専門員や居宅サービス事業所のサービス担当者等の参加を求め、必要な情報を提供する。
イ サービス終了時には居宅介護支援事業所の介護支援専門員や主治の医師に対してリハビリテーションに必要な情報提供を行う。その際、主治の医師に対しては、診療情報の提供、担当介護支援専門員等に対してはケアマネジメントに関わる情報の提供を文書で行う。なお、これらの文書は別紙様式2―6の様式例を参照の上、作成する(ただし、これらの文書は、リハビリテーション実施計画書、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第九条若しくは第五十条において準用する第九条又は介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成三十年厚生労働省令第五号)第十三条若しくは、第五十四条において準用する第十三条に規定するそれぞれのサービスの提供の記録の写し、又は退所時情報提供加算の算定にあたり交付する様式としても差し支えない。)。
Ⅳ 別紙様式の記載要領
1 別紙様式2―1(興味・関心チェックシート)
利用者が日常生活上実際にしていること、実際にしてはいないがしてみたいと思っていること、してみたいとまでは思わないものの興味があることに関して、利用者の記入又は聞き取りにより作成する。
2 別紙様式2―2―1、別紙様式2―2―2(リハビリテーション計画書)
⑴ 本人・家族等の希望
利用者本人からの聞き取りにより、利用者がしたい又はできるようになりたい生活の希望等を該当欄に記載する。また、本人の希望に沿って、家族が支援できることがあれば、当該箇所に記載する。
⑵ 健康状態、経過
リハビリテーションが必要となった原因疾病、当該疾患の発症日・受傷日、直近の入院日・退院日、手術がある場合は手術日と術式等の治療経過、合併疾患の有無とそのコントロールの状況を該当箇所に記載する。例えば、脳梗塞後で麻痺があるものの、元々生活が自立していた利用者が、誤嚥性肺炎を発症し、その結果介助が必要となった場合は、リハビリテーションが必要となった原因疾病は「誤嚥性肺炎」、合併症は「脳血管疾患」となる。
更に、これまでのリハビリテーションの実施状況(プログラムの実施内容、頻度、量等)を該当箇所に記載すること。
⑶ 心身機能・構造
心身機能の障害の有無について、現在の状況の欄に記載すること。
心身機能の障害があった場合には、現在の状況と活動への支障の有無について該当箇所にチェックすること。なお、該当項目に無い項目に関して障害を認める場合は、特記事項に記載する。
移動能力については、六分間歩行試験又はTimed up & Go Test(TUG)を選択し、客観的測定値を記載する。
認知機能については、MMSE(Mini Mental State Examination)又はHDS―R(改定長谷川式簡易知能評価スケール)を選択し、その得点を記載する。
服薬管理の状況、コミュニケーションの状況については、現在の状況を記載する。
⑷ 活動の状況
現在の状況については「している」状況を該当箇所にチェックすること。また、評点については、リハビリテーション計画の見直しごとに、以下の通り、各活動の状況の評価を行い記載すること。
① 基本動作
居宅を想定しつつ、基本動作の状況を評価し、該当箇所にリハビリテーション開始時点及び現在の状況について記載する。
② 活動(ADL)(Barthel Indexを活用)
リハビリテーションにおいては、訓練上は「できる」ADLを、日常生活上で「している」ADLにするためのアプローチが重要であることから、左記を参考に現在日常生活上で「している」状況について評価を行い、リハビリテーション開始時点及び現在の状況について該当箇所に記載すること。
動作
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選択肢
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1
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食事
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10自立 5一部介助 0全介助
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2
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イスとベッド間の移乗
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15自立 10監視下 5一部介助 0全介助
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3
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整容
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5自立 0一部介助又は全介助
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4
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トイレ動作
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10自立 5一部介助 0全介助
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5
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入浴
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5自立 0一部介助又は全介助
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6
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平地歩行
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15自立 10歩行器等 5車椅子操作が可能 0その他
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7
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階段昇降
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10自立 5一部介助 0全介助
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8
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更衣
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10自立 5一部介助 0全介助
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9
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排便コントロール
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10自立 5一部介助 0全介助
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10
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排尿コントロール
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10自立 5一部介助 0全介助
|
⑸ リハビリテーションの目標、方針、本人・家族への生活指導の内容、実施上の留意点、リハビリテーションの見通し・継続理由、終了の目安と時期
本項目は医師の指示に基づき記載する。目標は長期目標と、今後三か月を目安とした短期目標を、方針については今後三か月の方針を、該当箇所に記載すること。本人・家族への生活指導の内容を、自主トレーニングの内容と併せて記載する。
リハビリテーション実施上の留意点について、リハビリテーション開始前・訓練中の留意事項、運動負荷の強度と量等を該当箇所に記載すること。終了の目安・時期について、おおよその時期を記載する。
また、事業所の医師が利用者に対して3月以上のリハビリテーションの継続利用が必要と判断する場合には、リハビリテーションの継続利用が必要な理由、その他介護サービスの併用と移行の見通しをリハビリテーションの見通し・継続理由に記載する。
⑹ 活動(IADL)(Frenchay Activity Index を活用)
左記を参考に現在「している」状況について評価を行い、リハビリテーション開始時点及び現在の状況を該当箇所にその得点を記載する。
項目
|
選択肢
|
|
1
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食事の用意(買い物は含まれない)
|
0 していない 1 まれにしている
2 時々(週に1~2回)
3 週に3回以上している
|
2
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食事の片づけ
|
0 していない 1 まれにしている
2 時々(週に1~2回)
3 週に3回以上している
|
3
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洗濯
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0 していない 1 まれにしている
2 時々している(週に1回未満)
3 週に1回以上している
|
4
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掃除や整頓(箒や掃除機を使った清掃や身の回りの整理整頓など)
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0 していない 1 まれにしている
2 時々している(週に1回未満)
3 週に1回以上している
|
5
|
力仕事(布団の上げ下げ、雑巾で床を拭く、家具の移動や荷物の運搬など)
|
0 していない 1 まれにしている
2 時々している(週に1回未満)
3 週に1回以上している
|
6
|
買物(自分で運んだり、購入すること)
|
0 していない 1 まれにしている
2 時々している(週に1回未満)
3 週に1回以上している
|
7
|
外出(映画、観劇、食事、酒飲み、会合などに出かけること)
|
0 していない 1 まれにしている
2 時々している(週に1回未満)
3 週に1回以上している
|
8
|
屋外歩行(散歩、買物、外出等のために少なくとも15分以上歩くこと)
|
0 していない 1 まれにしている
2 時々している(週に1回未満)
3 週に1回以上している
|
9
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趣味(テレビは含めない)
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0 していない1 まれにしている
2 時々している(週に1回未満)
3 週に1回以上している
|
10
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交通手段の利用(タクシー含む)
|
0 していない1 まれにしている
2 時々している(週に1回未満)
3 週に1回以上している
|
11
|
旅行
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0 していない1 まれにしている
2 時々している(週に1回未満)
3 週に1回以上している
|
12
|
庭仕事(草曳き、水撒き、庭掃除)
※ベランダ等の作業も含む
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0 していない1 時々している
2 定期的にしている
3 定期的にしている。必要があれば掘り起し、植え替え等の作業もしている
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13
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家や車の手入れ
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0 していない
1 電球の取替・ねじ止めなど
2 ペンキ塗り・模様替え・洗車
3 2の他、家の修理や車の整備
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14
|
読書(新聞・週刊誌・パンフレット類は含めない)
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0 読んでいない1 まれに
2 月に1回程度
3 月に2回以上
|
15
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仕事(収入のあるもの、ボランティアは含まない)
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0 していない 1 週に1~9時間
2 週に10~29時間
3 週に30時間以上
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⑺ 環境因子
家族、住環境、自宅周辺の環境(坂が多いなど)、利用可能な外出手段(公共交通機関や自家用車など)、その他のサービスの利用、福祉用具の利用について、現状を該当箇所にチェックする。環境因子の情報は、利用者の活動・参加の能力の向上を行うにあたり必要となるため、必要に応じて幅広く取得すること。
⑻ 社会参加の状況
現在の参加の状況(家庭内での役割や余暇活動、社会活動及び地域活動への参加等)を聞き取り、記載すること。
⑼ 「活動」と「参加」に影響を及ぼす課題の要因分析
能力及び生活機能の障害と、それらの予後予測を踏まえて、本人が希望する活動と参加において重要性の高い課題を抽出し記載すること。その課題を解決するために、影響を及ぼしていると考えられる機能障害とその改善可能性について検討し、記載すること。また、影響を及ぼしていると考えられる機能障害以外の因子(個人因子、環境因子、健康状態等)と、調整の必要性や実効性について検討し、記載すること。
⑽要 因分析を踏まえた具体的なサービス内容
リハビリテーションの提供計画については、⑼で分析した課題について優先順位をつけ、その順位に沿って、解決すべき課題を記載する。また、⑼で分析した課題に影響を及ぼす因子にアプローチできるよう、具体的支援内容を記載する。その際、サービス提供時間に理学療法士等が行うことだけでなく、日常生活上において、本人・家族が行うべきことについても記載するよう努めること。そのほか、目標達成までの期間、サービス提供の予定頻度、及び時間について記載すること。
⑾ 情報提供
介護支援専門員や他事業所の担当者と共有すべき事項があった場合は、内容を記載すること。また、リハビリテーション計画書は、介護支援専門員や計画的な医学的管理を行っている医師、居宅サービス計画に位置付けられている居宅サービスの担当者と、その写しを共有し、該当の情報提供先にチェックをすること。
3 別紙様式2―3(リハビリテーション会議録)
⑴ リハビリテーション会議の開催日、開催場所、開催時間、開催回数を明確に記載すること。
⑵ 会議出席者の所属(職種)や氏名を記載すること。
⑶ リハビリテーションの支援方針(サービス提供終了後の生活に関する事項を含む。)、リハビリテーションの内容、各サービス間の協働の内容について検討した結果を記載すること。
⑷ 構成員が不参加の場合には、不参加の理由を記載すること。
4 別紙様式2―4(リハビリテーションマネジメントにおけるプロセス管理票)
別紙様式2―4は、リハビリテーションマネジメントをSPDCAサイクルに則り適切に実行しているかを確認するために活用することが出来る。実行した事項にチェックを行い、必要に応じて日付を書き込むこと。
5 別紙様式2―5(生活行為向上リハビリテーション実施計画)の記載
⑴ 利用者が、してみたいと思う生活行為に関して、最も効果的なリハビリテーションの内容(以下「プログラム」という。)を選択し、おおむね6月間で実施する内容を心身機能、活動、参加のアプローチの段階ごとに記載すること。
⑵ プログラムについては、専門職が支援することの他、本人が取り組む自主訓練の内容についても併せて記載すること。また、プログラムごとに、おおむねの実施時間、実施者及び実施場所について、記載すること。
⑶ プログラムの実施に当たっては、訪問で把握した生活行為や動作上の問題を事業所内外の設備を利用し練習する場合には、あらかじめ計画上に書き込むこと。
⑷ 通所で獲得した生活行為については、いつ頃を目安に、利用者の居宅を訪問し、当該利用者の実際の生活の場面で評価を行うのかもあらかじめ記載すること。
⑸ 終了後の利用者の生活をイメージし、引き続き生活機能が維持できるよう地域の通いの場などの社会資源の利用する練習などについてもあらかじめプログラムに組み込むこと。
6 別紙様式2-6(診療情報提供に係る文書)
サービス開始時の主治の医師からの情報収集又は医師への情報提供にあたり、当該様式を参考とする。
7 別紙様式2-7(ケアマネジメント連絡用紙)
介護支援専門員等からの情報収集又は情報提供に当たり、当該様式を参考とする。
8 別紙様式2-8(<リハビリテーションマネジメント>アセスメント上の留意点)
施設系サービスにおけるリハビリテーションマネジメントのアセスメントにあたって、当該文書を参考とする。
9(参考)「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式1
リハビリテーション計画を立てる際に当該様式を参照することができる。なお、別紙様式2―2-1及び2-2-2を用いることとしてもよい。
第二 個別機能訓練加算に関する事務処理手順例及び様式例の提示について
通所介護及び地域密着型通所介護(以下「通所介護等」という。)における個別機能訓練加算を算定する利用者については、住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目的とし、生活機能の維持・向上を図るために、個別機能訓練を実施することが求められる。
本加算の算定要件については、令和三年度介護報酬改定において、より利用者の自立支援等に資する個別機能訓練の提供を促進する観点から、これまでの個別機能訓練加算の取得状況や加算を取得した事業所の個別機能訓練の実施状況等をふまえ、個別機能訓練の実施目的や実施体制、加算取得にあたっての人員配置について見直しを行ったところであり、今般、短期入所生活介護(介護予防含む)における個別機能訓練加算と併せて、改めて個別機能訓練加算の目的、趣旨の徹底を図るとともに、加算の実行性を担保するため、個別機能訓練加算の事務処理手順例及び様式例を示すこととする。
Ⅰ 通所介護等における取扱い
個別機能訓練加算の算定にあたっては、以下の⑴~⑶の実施が必要となる。通所介護事業所等の管理者は、これを参照し、各事業所における個別機能訓練実施に関する一連の手順をあらかじめ定める必要がある。
1 加算算定にあたっての目標設定・個別機能訓練計画の作成
⑴ 利用者の社会参加状況やニーズ・日常生活や社会生活等における役割の把握、心身の状態の確認
機能訓練指導員等は、個別機能訓練の目標を設定するにあたり、以下の①~④により、利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割の把握及び心身の状態の確認を行う。
① 利用者の日常生活や社会生活等について、現在行っていることや今後行いたいこと(ニーズ・日常生活や社会生活等における役割)を把握する。これらを把握するにあたっては、別紙様式3-1の興味・関心チェックシートを活用すること。またあわせて、利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割に対する家族の希望を把握する。
② 利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)を居宅訪問の上で確認する。具体的には、別紙様式3―2の生活機能チェックシートを活用し以下を実施する。
ア 利用者の居宅の環境(居宅での生活において使用している福祉用具・補助具等を含む)を確認する。
イ ADL、IADL項目について、居宅の環境下での自立レベルや実施するにあたっての課題を把握する。
③ 必要に応じて医師又は歯科医師から、これまでの利用者に対する病名、治療経過、合併疾患、個別機能訓練実施上の留意事項についての情報を得る。直接医師又は歯科医師から情報が得られない場合は、介護支援専門員を通じて情報収集を図ること。
④ 介護支援専門員から、居宅サービス計画に記載された利用者本人や家族の意向、総合的な支援方針、解決すべき課題、長期目標、短期目標、サービス内容などについて情報を得ること。
⑵ 多職種協働での個別機能訓練計画の作成
⑴で把握した利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割及び心身の状態に応じ、機能訓練指導員等が多職種協働で個別機能訓練計画を作成する。その際、必要に応じ各事業所に配置する機能訓練指導員等以外の職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士等)からも助言を受けることが望ましい。
① 個別機能訓練計画書の作成(総論)
・ 個別機能訓練計画は別紙様式3―3を参考に作成すること。なお、個別機能訓練計画に相当する内容を通所介護計画又は地域密着型通所介護計画の中に記載する場合は、その記載をもって個別機能訓練計画の作成に代えることができる。
・ また、個別機能訓練計画の作成にあたっては、居宅サービス計画、通所介護計画又は地域密着型通所介護計画と連動し、これらの計画と整合性が保たれるように行うことが重要である。
② 個別機能訓練目標・個別機能訓練項目の設定
ア 個別機能訓練目標の設定
・ ⑴で把握した利用者のニーズ・日常生活や社会生活等における役割及び心身の状態に応じ、機能訓練指導員等が協働し、利用者又は家族の意向及び利用者を担当する介護支援専門員の意見も踏まえつつ、個別機能訓練目標を設定する。なお、目標設定にあたっては、当該利用者の意欲の向上に繋がるよう、長期目標・短期目標のように段階的な目標設定をするなど、可能な限り具体的かつ分かりやすい目標とすること。
<長期目標の設定>
長期目標は生活機能の構成要素である体や精神の働きである「心身機能」、ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、家庭や社会で役割を果たすことである「参加」をバランスよく含めて設定することが求められる。
具体的には、利用者が住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることができるよう、単に座る・立つ・歩くといった身体機能の向上を目指すことのみを目標とするのではなく、居宅における生活行為(トイレに行く、自宅の風呂に一人で入る、料理を作る、掃除・洗濯をする等)や地域における社会的関係の維持に関する行為(商店街に買い物に行く、囲碁教室に行く、孫とメールの交換をする、インターネットで手続きをする等)等、具体的な生活上の行為の達成を含めた目標とすること。
<短期目標の設定>
長期目標を設定した後は、目標を達成するために必要な行為ごとに細分化し、短期目標として整理する。
(例)長期目標が「スーパーマーケットに食材を買いに行く」の場合必要な行為
・ 買いたい物を書き記したリストを作る
・ 買い物量を想定し、マイバッグを用意する
・ スーパーマーケットまでの道順を確認する
・ スーパーマーケットまで歩いて行く
・ スーパーマーケットの入り口で買い物かごを持つ
・ スーパーマーケットの中でリストにある食材を見つける
・ 食材を買い物かごに入れる
・ レジで支払いをする
・ 買った品物を袋に入れる
・ 買った品物を入れた袋を持って、自宅まで歩いて帰る
ⅱ 個別機能訓練項目の設定
・ 短期目標を達成するために必要な行為のうち、利用者の現状の心身機能等に照らし可能であること、困難であることを整理する。
・ 利用者の現状の心身機能等に照らし困難であることについて、どのような訓練を行えば可能となるのか検討する。
(例) 前記の事例において、歩行機能が低下していることから、「スーパーマーケットまで歩いて行く」「スーパーマーケットの中でリストにある食材を見つける」「買った品物を入れた袋を持って、自宅まで歩いて帰る」ことが困難である場合、自宅からスーパーマーケットまでの距離等を勘案した上で、
・ 歩行機能を向上させる訓練(筋力向上訓練、耐久性訓練、屋内外歩行訓練等)
・ 歩行を助ける福祉用具(つえ等)を使用する訓練
・ 歩行機能の向上が難しい場合、代替的な移動手段となりうる福祉用具(電動車いす等)を使用する訓練を行うことが想定される。
・ 目標を達成するために必要な行為を遂行できるように、生活機能を向上させるための訓練項目を決定する。なお、訓練項目の決定にあたっては、利用者の生活機能の向上に資するよう複数の種類の訓練項目を準備し、その項目の選択に当たっては、利用者の生活意欲の向上に繋がるよう利用者を援助すること。
・ 生活機能の向上のためには、通所介護等提供中に個別機能訓練を行うのみでなく、利用者が日々の生活においてもできる限り自主訓練を行うことが重要であることから、利用者が自身で又は家族等の援助を受けて、利用者の居宅等においても実施できるような訓練項目をあわせて検討し、提示することが望ましい。
イ 利用者又はその家族への説明と同意
利用者又はその家族に対し、機能訓練指導員等が個別機能訓練の内容について分かりやすく説明を行い、同意を得ること。またその際、個別機能訓練計画を交付(電磁的記録の提供を含む)すること。
ウ 介護支援専門員への報告
介護支援専門員に対し、個別機能訓練計画を交付(電磁的記録の提供を含む)の上、利用者又はその家族への説明を行い、内容に同意を得た旨報告すること。
2 個別機能訓練の実施
⑴ 個別機能訓練の実施体制
・ 個別機能訓練加算に係る個別機能訓練は、類似の目標を持ち、同様の訓練項目を選択した五人程度以下の小集団(個別対応含む)に対して機能訓練指導員が直接行うこととする。なお、機能訓練指導員が直接個別機能訓練を行っていれば、その補助者として看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が個別機能訓練に関与することは差し支えない。
・ 個別機能訓練の目標を具体的な生活上の行為の達成としている場合、実際の生活上の様々な行為を構成する実際的な行動やそれを模した行動を反復して行うことにより、段階的に目標の行動ができるようになることを目指すことから、事業所内であれば実践的訓練に必要な浴室設備、調理設備・備品等を備えること、事業所外であれば、利用者の居宅や近隣の施設等に赴くこと等により、事業所内外の実地的な環境下で訓練を行うことが望ましい。
⑵ 訓練時間
個別機能訓練計画に定めた訓練項目の実施に必要な1回あたりの訓練時間を考慮し適切に設定すること。
⑶ 訓練実施回数
個別機能訓練の目的を達成するためには、生活機能の維持・向上を図る観点から、計画的・継続的に個別機能訓練を実施する必要があり、おおむね週1回以上実施することを目安とする。
3 個別機能訓練実施後の対応
個別機能訓練加算に係る個別機能訓練を開始した後は、
・ 個別機能訓練の目的に照らし、個別機能訓練項目や訓練実施時間が適切であったか、個別機能訓練の効果(例えば当該利用者のADL及びIADLの改善状況)が現れているか等について、評価を行う。
・ 3月ごとに1回以上、利用者の居宅を訪問し、利用者の居宅での生活状況(起居動作、ADL、IADL等の状況)を確認する。また、利用者又はその家族に対して個別機能訓練の実施状況や個別機能訓練の効果等について説明し、記録する。なお、個別機能訓練の実施状況や個別機能訓練の効果等についての説明・記録は、利用者の居宅を訪問する日とは別の日にICT等を活用し行っても差し支えない。
・ おおむね3月ごとに1回以上、個別機能訓練の実施状況や個別機能訓練の効果等について、当該利用者を担当する介護支援専門員等にも適宜報告・相談し、利用者又はその家族の意向を確認の上、当該利用者に対する個別機能訓練の効果等をふまえた個別機能訓練の目標の見直しや訓練項目の変更を行う。
等、適切な対応を行うこととする。
Ⅱ 介護老人福祉施設と短期入所生活介護(介護予防含む)における取扱い
介護老人福祉施設と短期入所生活介護(介護予防含む)における個別機能訓練加算と、通所介護等における個別機能訓練加算とは、加算算定の目的、人員配置要件等が異なっているが、加算算定にあたっての目標設定方法、個別機能訓練計画の作成、個別機能訓練の実施、個別機能訓練実施後の対応については一致する点も多いため、適宜参照されたい。
Ⅲ 別紙様式の記載要領
1 別紙様式3-1(興味・関心チェックシート)
利用者が日常生活上実際にしていること、実際にしてはいないがしてみたいと思っていること、してみたいとまでは思わないものの興味があることに関して、利用者の記入又は聞き取りにより作成する。
2 別紙様式3-2(生活機能チェックシート)
利用者の居宅での生活状況(ADL、IADL等)及び課題の把握にあたり、当該様式を参考とする。
3 別紙様式3-3(個別機能訓練計画書)
個別機能訓練計画の策定にあたり、当該様式を参考とする。
なお、個別機能訓練計画作成の実施に関しては、Ⅰ1を参照すること。
第三 施設サービスにおける栄養ケア・マネジメント及び栄養マネジメント強化加算等に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について
Ⅰ 施設サービスにおける栄養ケア・マネジメントについて
1 基本的な考え方
栄養ケア・マネジメントは、低栄養状態のリスクにかかわらず、入所者全員に対し、各入所者の状態に応じ実施することで、低栄養状態等の予防・改善を図り、自立支援・重度化防止を推進するものである。
2 体制について
⑴ 栄養ケア・マネジメントは、ケアマネジメントの一環として、個々人に最適な栄養ケアを行い、その実務遂行上の機能や方法手順を効率的に行うための体制をいう。
⑵ 施設長は、管理栄養士と医師、歯科医師、看護師及び介護支援専門員その他の職種(以下「関連職種」という。)が共同して栄養ケア・マネジメントを行う体制を整備すること。
⑶ 施設長は、各施設における栄養ケア・マネジメントに関する手順(栄養スクリーニング、栄養アセスメント、栄養ケア計画、モニタリング、評価等)をあらかじめ定める。
⑷ 管理栄養士は、入所者又は入院患者(以下「入所(院)者」という。)に適切な栄養ケアを効率的に提供できるよう関連職種との連絡調整を行う。
⑸ 施設長は、栄養ケア・マネジメント体制に関する成果を含めて評価し、改善すべき課題を設定し、継続的な品質改善に努める。
3 実務について
⑴ 入所(院)時における栄養スクリーニング
介護支援専門員は、管理栄養士と連携して、入所(院)者の入所(院)後遅くとも一週間以内に、関連職種と共同して低栄養状態のリスクを把握する(以下「栄養スクリーニング」という。)。なお、栄養スクリーニングは、別紙様式4-1-1の様式例を参照すること。
⑵ 栄養アセスメントの実施
管理栄養士は、栄養スクリーニングを踏まえ、入所(院)者毎に解決すべき課題を把握する(以下「栄養アセスメント」という。)。栄養アセスメントの実施にあたっては、別紙様式4-1-1の様式例を参照すること。
⑶ 栄養ケア計画の作成
① 管理栄養士は、前記の栄養アセスメントに基づいて、入所(院)者のⅰ)栄養補給(補給方法、エネルギー・たんぱく質・水分の補給量、療養食の適用、食事の形態等食事の提供に関する事項等)、ⅱ)栄養食事相談、ⅲ)課題解決のための関連職種の分担等について、関連職種と共同して、別紙様式4-1-2の様式例を参照の上、栄養ケア計画を作成する。その際、必要に応じ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士の助言を参考とすること。なお、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十九号)第十二条若しくは第四十九条において準用する第十二条、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第十四条若しくは第五十条において準用する第十四条、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十八年厚生労働省令第三十四号)第百三十八条若しくは第百六十九条において準用する第百三十八条又は介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第十七条若しくは第五十四条において準用する第十七条において作成することとされている各計画の中に、栄養ケア計画に相当する内容をそれぞれ記載する場合は、その記載をもって栄養ケア計画の作成に代えることができるものとする。
② 管理栄養士は、サービス担当者会議(入所(院)者に対する施設サービスの提供に当たる担当者の会議)に出席し、栄養ケア計画の原案を報告し、関連職種との話し合いのもと、栄養ケア計画を完成させる。栄養ケア計画の内容を、施設サービス計画にも適切に反映させる。
③ 医師は、栄養ケア計画の実施に当たり、その同意等を確認する。
⑷ 入所(院)者及び家族への説明
介護支援専門員等は、サービスの提供に際して、施設サービス計画に併せて栄養ケア計画を入所(院)者又は家族に分かりやすく説明し、同意を得る。
⑸ 栄養ケアの実施
① サービスを担当する関連職種は、医師の指導等に基づき栄養ケア計画に基づいたサービスの提供を行う。
② 管理栄養士は、食事の提供に当たっては、給食業務の実際の責任者としての役割を担う者(管理栄養士、栄養士、調理師等)に対して、栄養ケア計画に基づいて個別対応した食事の提供ができるように説明及び指導する。なお、給食業務を委託している場合においては、委託業者の管理栄養士等との連携を図る。
③ 管理栄養士は、栄養ケア計画に基づいて、栄養食事相談を実施する。
④ 管理栄養士は、関連職種と共同して食事摂取状況や食事に関するインシデント・アクシデント事例等の把握を行う。
⑤ 管理栄養士は、栄養ケア提供の主な経過を記録する。記録の内容は、栄養補給(食事の摂取量等)の状況や内容の変更、栄養食事相談の実施内容、課題解決に向けた関連職種のケアの状況等について記録する。なお、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第八条若しくは第四十九条において準用する第八条、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第九条若しくは第五十条において準用する第九条又は指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第百三十五条若しくは第百六十九条において準用する第百三十五条又は介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第十三条若しくは第五十四条において準用する第十三条に規定するそれぞれのサービスの提供の記録において管理栄養士が栄養ケア提供の経過を記録する場合にあっては、当該記録とは別に栄養ケア提供の経過を記録する必要はないものとする。
⑹ 実施上の問題点の把握
管理栄養士又は関連職種は、栄養ケア計画の変更が必要となる状況を適宜把握する。栄養ケア計画の変更が必要になる状況が確認された場合には、対応する関連の職種へ報告するとともに計画の変更を行う。
⑺ モニタリングの実施
① 管理栄養士又は関連職種は、入所(院)者ごとの栄養状態に応じて、定期的に、入所者の生活機能の状況を検討し、栄養状態のモニタリングを行うこと。その際、栄養スクリーニング時に把握した入所(院)者ごとの低栄養状態のリスクのレベルに応じ、それぞれのモニタリング間隔を設定し、入所者ごとの栄養ケア計画に記載すること。その際、低栄養状態の低リスク者はおおむね3月毎、低栄養状態の高リスク者及び栄養補給法の移行(経管栄養法から経口栄養法への変更等)の必要性がある者の場合には、おおむね二週間毎等適宜行う。ただし、低栄養状態の低リスク者も含め、体重は1月毎に測定する。
② 管理栄養士又は関連職種は、長期目標の達成度、体重等の栄養状態の改善状況、栄養補給量等をモニタリングし、総合的な評価判定を行うとともに、サービスの質の改善事項を含めた、栄養ケア計画の変更の必要性を判断する。モニタリングの記録は、別紙様式4-1-1の様式例を参照の上、作成する。
⑻ 再スクリーニングの実施
介護支援専門員は、管理栄養士と連携して、低栄養状態のリスクにかかわらず、栄養スクリーニングを3月毎に実施する。
⑼ 栄養ケア計画の変更及び退所(院)時の説明等
栄養ケア計画の変更が必要な場合には、管理栄養士は、介護支援専門員に、栄養ケア計画の変更を提案し、サービス担当者会議等において計画の変更を行う。
また、入所(院)者の退所(院)時には、総合的な評価を行い、その結果を入所(院)者又は家族に分かりやすく説明するとともに、必要に応じて居宅介護支援専門員や関係機関との連携を図る。
⑽ 帳票の整理
栄養ケア・マネジメントを実施している場合には、個別の高齢者の栄養状態に着目した栄養管理が行われるため、検食簿、喫食調査結果、入所(院)者の入退所簿及び食料品消費日計等の食事関係書類(食事箋及び献立表を除く。)、入所(院)者年齢構成表及び給与栄養目標量に関する帳票は、作成する必要がないこととする。
Ⅱ 栄養マネジメント強化加算について
栄養マネジメント強化加算は、栄養ケアに係る体制の充実を図るとともに、第三のⅠの2及び3で示した栄養ケア・マネジメントを実施した上で、更に入所(院)者全員への丁寧な栄養ケアを実施している場合に、算定できるものである。丁寧な栄養ケアの実施に当たっては、以下を参考とすること。
1 食事の観察について
⑴ 低栄養状態のリスクが高リスク及び中リスクに該当する者
低栄養状態のリスクが高リスクに該当する者は、別紙様式4-1-1の様式例に示す食事摂取量、食欲・食事の満足度、食事に対する意識、多職種による栄養ケアの課題(低栄養関連問題)のうち口腔関係の項目、栄養ケア計画に記載した食事の観察の際に特に確認すべき点等を総合的に観察する。低栄養状態のリスクが中リスクに該当する者は、栄養ケア計画に記載した食事の観察の際に特に確認すべき視点を中心に観察する。
ただし、1回の食事の観察で全てを確認する必要はなく、週3回以上(異なる日に実施)の食事の観察を行う中で確認できれば差し支えない。適宜、食事の調整や食事環境の整備等を実施するとともに、問題点が見られた場合は、速やかに関連する職種と情報共有を行い、栄養ケア計画の変更の必要性を判断すること。また、食事の観察を行った日付と食事の調整や食事環境の整備等を実施した場合の対応を記録すること。
⑵ 低栄養状態のリスクが低リスクに該当する者
⑴の者に対する食事の観察の際に、あわせて食事の状況を適宜把握すること。問題点がみられた場合は、速やかに関連する職種と情報共有し、栄養ケア計画の変更の必要性を判断すること。
2 退所(院)時の対応
低栄養状態のリスクが高リスク及び中リスクに該当する者が退所し、居宅での生活に移行する場合は、入所(院)者又はその家族に対し、管理栄養士が退所後の食事に関する相談支援を行うこと。また、他の介護保険施設や医療機関に入所(院)する場合は、入所(院)中の栄養管理に関する情報(必要栄養量、食事摂取量、嚥下調整食の必要性(嚥下食コード)、食事上の留意事項等)を入所(院)先に提供すること。
Ⅲ 経口移行加算及び経口維持加算について
経口移行加算に係る経口移行計画及び経口維持加算に係る経口維持計画については、別紙様式4-1-2の様式例を参照の上、栄養ケア計画と一体的に作成する。なお、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第十二条若しくは第四十九条において準用する第十二条、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第十四条若しくは第五十条において準用する第十四条において作成することとされている各計画の中に、経口移行計画又は経口維持計画に相当する内容をそれぞれ記載する場合は、その記載をもって経口移行計画又は経口維持計画の作成に代えることができるものとする。
Ⅳ 退所時栄養情報連携加算について
1 退所時栄養情報連携加算の基本的な考え方
退所時栄養情報連携加算は、介護保険施設から、居宅や医療機関等に退所する者の栄養管理に関する情報連携を切れ目なく行うことを推進するものである。さらに、情報提供先の施設等においては、医師、管理栄養士、看護師、介護職員等の多職種が連携して栄養管理を行えるよう、当該情報を関係職種に共有を行うものであること。
2 退所時栄養情報連携加算の実務について
退所時栄養情報連携加算に係る情報については、別紙様式4-2の様式例を参照の上、退所後の栄養管理に必要となる情報を、退所後の医療機関等が確実に活用できるように提供すること。なお、当該情報提供に必要とされる事項が記載できるものであれば、別の様式を利用して差し支えない。
第四 通所・居宅サービスにおける栄養ケア・マネジメント等に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について
Ⅰ 通所・居宅サービスにおける栄養ケア・マネジメントについて
1 基本的な考え方
栄養ケア・マネジメントは、低栄養状態のリスクにかかわらず、利用者全員に対し、各入所者の状態に応じ実施することで、低栄養状態等の予防・改善を図り、自立支援・重度化防止を推進するものである。
2 体制について
⑴ 栄養ケア・マネジメントは、ケアマネジメントの一環として、個々人に最適な栄養ケアを行い、その実務遂行上の機能や方法手順を効率的に行うための体制をいう。
⑵ 事業所は、管理栄養士(他の介護事業所(栄養改善加算の対象事業所に限る。)、医療機関、介護保険施設(栄養マネジメント強化加算の算定要件として規定する員数を超えて管理栄養士を置いているもの又は常勤の管理栄養士を一名以上配置しているものに限る。)又は公益社団法人日本栄養士会若しくは都道府県栄養士会が設置し、運営する「栄養ケア・ステーション」との連携を含む。以下この項において同じ。)と主治の医師、歯科医師、看護師及び居宅介護支援専門員その他の職種(以下「関連職種」という。)が行う体制を整備すること。
⑶ 事業所における栄養ケア・マネジメントに関する手順(栄養スクリーニング、栄養アセスメント、栄養ケア計画、モニタリング、評価等)をあらかじめ定める。
⑷ 管理栄養士は、利用者に適切な栄養ケアを効率的に提供できるよう関連職種との連絡調整を行う。
⑸ 事業所は、栄養ケア・マネジメント体制に関する成果を含めて評価し、改善すべき課題を設定し、継続的な品質改善に努める。
3 実務について
⑴ 利用開始時における栄養スクリーニング
管理栄養士は、利用者の利用開始時に、関連職種と共同して、低栄養状態のリスクを把握する(以下「栄養スクリーニング」という。)。なお、栄養スクリーニングの結果は、別紙様式4-3-1の様式例を参照の上、記録する。
⑵ 栄養アセスメントの実施
管理栄養士は、栄養スクリーニングを踏まえ、利用者毎に解決すべき課題を把握する(以下「栄養アセスメント」という。)。栄養アセスメントの実施にあたっては、別紙様式4-3-1の様式例を参照の上、作成する。栄養アセスメント加算を算定する場合は、栄養アセスメントの結果(低栄養状態のリスク、解決すべき栄養管理上の課題の有無等)を当該利用者又はその家族に対して説明し、必要に応じ解決すべき栄養管理上の課題に応じた栄養食事相談、情報提供等を行うこと。利用者の解決すべき栄養管理上の課題を的確に把握し、適切な栄養改善サービスにつなげることを目的としているため、利用者全員に継続的に実施することが望ましい。利用者又はその家族への説明に当たっては、LIFEにおける利用者フィードバック票を活用すること。
⑶ 栄養ケア計画の作成
① 管理栄養士は、前記の栄養アセスメントに基づいて、利用者のⅰ)栄養補給(補給方法、エネルギー・たんぱく質・水分の補給量、慢性的な疾患に対する対応、食事の形態等食事の提供に関する事項等)、ⅱ)栄養食事相談、ⅲ)課題解決のための関連職種の分担等について、関連職種と共同して、別紙様式4-3-2の様式例を参照の上栄養ケア計画を作成する。その際、必要に応じ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士の助言を参考とすること。なお、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号)第九十九条若しくは第百十五条、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第二十七条、第五十二条若しくは第百七十九条、指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成十八年厚生労働省令第三十五号)第百二十五条又は指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成十八年厚生労働省令第三十六号)第四十二条において作成することとされている各計画の中に、栄養ケア計画に相当する内容をそれぞれ記載する場合は、その記載をもって栄養ケア計画の作成に代えることができるものとする。
② 管理栄養士は、作成した栄養ケア計画の原案については、関連職種と調整を図り、サービス担当者会議に事業所を通じて報告し、栄養ケア計画の原案を報告し、関連職種との話し合いのもと、栄養ケア計画を完成させる。栄養ケア計画の内容を、居宅サービス計画に適切に反映させる。
③ 管理栄養士は、利用者の主治の医師の指示・指導が必要な場合には、利用者の主治の医師の指示・指導を受けなければならない。
⑷ 利用者及び家族への説明
管理栄養士は、サービスの提供に際して、栄養ケア計画を利用者又は家族に説明し、サービス提供に関する同意を得る。
⑸ 栄養ケアの実施
① 管理栄養士と関連職種は、主治の医師の指示・指導が必要な場合には、その指導等に基づき栄養ケア計画に基づいたサービスの提供を行う。
② 管理栄養士は、通所サービスでの食事の提供に当たっては、給食業務の実際の責任者としての役割を担う者(管理栄養士、栄養士、調理師等)に対して、栄養ケア計画に基づいて個別対応した食事の提供ができるように説明及び指導する。なお、給食業務を委託している場合においては、委託業者の管理栄養士等との連携を図る。
③ 管理栄養士は、栄養ケア計画に基づいて、栄養食事相談を実施する。居宅における食事の状況を聞き取った結果、課題がある場合は、当該課題を解決するため、利用者又はその家族の同意を得て、当該利用者の居宅を訪問し、居宅での食事状況・食事環境等の具体的な課題の把握や、主として食事の準備をする者に対する栄養食事相談等の栄養改善サービスを提供すること。
④ 管理栄養士は、関連職種に対して、栄養ケア計画に基づいて説明、指導及び助言を行う。
⑤ 管理栄養士は、関連職種と共同して食事摂取状況や食事に関するインシデント・アクシデントの事例等の把握を行う。
⑥ 管理栄養士は、栄養ケア提供の主な経過を記録する。記録内容、栄養補給(食事等)の状況や内容の変更、栄養食事相談の実施内容、課題解決に向けた関連職種のケアの状況等について記録する。なお、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第百五条若しくは第百十九条において準用する第十九条、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第三十七条、第六十一条若しくは第百八十二条において準用する第三条の十八、指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準第百二十三条において準用する第四十九条の十三、若しくは第二百三十七条又は指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準第二十一条に規定するサービスの提供の記録において管理栄養士が栄養ケア提供の経過を記録する場合にあっては、当該記録とは別に栄養改善加算の算定のために栄養ケア提供の経過を記録する必要はないものとする。
⑹ 実施上の問題点の把握
管理栄養士又は関連職種は、栄養ケア計画の変更が必要となる状況を適宜把握する。栄養ケア計画の変更が必要になる状況が確認された場合には、管理栄養士は対応する関連の職種へ報告するとともに計画の変更を行う。
⑺ モニタリングの実施
① モニタリングは、栄養ケア計画に基づいて、低栄養状態の低リスク者は3月毎、低栄養状態の高リスク者及び栄養補給法の移行の必要性がある者の場合には、二週間毎等適宜行う。ただし、低栄養状態の低リスク者も含め、体重は一月毎に測定する。
② 管理栄養士又は関連職種は、長期目標の達成度、体重等の栄養状態の改善状況、栄養補給量等をモニタリングし、総合的な評価判定を行うとともに、サービスの質の改善事項を含めた、栄養ケア計画の変更の必要性を判断する。モニタリングの記録は、別紙様式4-3-1の様式例を参照の上、作成する。
③ 低栄養状態のリスクの把握やモニタリング結果は、3月毎に事業所を通じて利用者を担当する介護支援専門員等へ情報を提供する。
⑻ 再スクリーニングの実施
管理栄養士は関連職種と連携して、低栄養状態のおそれのある者の把握を3月毎に実施する。
⑼ 栄養ケア計画の変更及び終了時の説明等
栄養ケア計画の変更が必要な場合には、管理栄養士は、居宅介護支援専門員に、栄養ケア計画の変更を提案し、サービス担当者会議等において計画の変更を行う。計画の変更については、利用者又は家族へ説明し同意を得る。
また、利用者の終了時には、総合的な評価を行い、その結果を利用者又は家族に説明するとともに、必要に応じて居宅介護支援専門員や関係機関との連携を図る。
Ⅱ 管理栄養士の居宅療養管理指導について
管理栄養士の居宅療養管理指導にかかる栄養スクリーニング、栄養アセスメント、栄養ケア計画、モニタリング、評価等については、別紙様式4-3-1、4-3-2の様式例を準用する。ただし、当該指導に必要とされる事項が記載できるものであれば、別の様式を利用して差し支えない。
第五 口腔・栄養スクリーニング加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について
Ⅰ 口腔・栄養スクリーニングの基本的な考え方
口腔・栄養スクリーニングは、事業所において、口腔の健康状態及び栄養状態についての簡易な評価を継続的に実施することにより、利用者の状態に応じて必要な医療や口腔機能向上サービス、栄養改善サービス等の提供に繋げるとともに、当該事業所の従業者の口腔・栄養に関する意識の向上を図ることを目的とするものである。そのため、事業所は、口腔・栄養スクリーニングの実施体制を評価し、効率的・効果的に実施できるよう改善すべき課題を整理・分析し、継続的な見直しに努めること。
Ⅱ 口腔・栄養スクリーニングの実務等について
1 スクリーニングの実施
介護職員等は、利用者のサービス利用開始時又は事業所における口腔・栄養スクリーニング加算の算定開始時に、別紙様式5-1通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、通所型サービス(介護予防も含む)及び別紙様式5-2特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(介護予防も含む)を用いてスクリーニングを行うこと。なお、口腔スクリーニングにおいては、別紙様式5-1通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、通所型サービス(介護予防も含む)を用いてスクリーニングを実施した場合に、「硬いものを避け、柔らかいものを中心に食べる者」、「入れ歯を使っている者」及び「むせやすい者」の口腔スクリーニング項目で問題があった利用者、誤嚥性肺炎の既往がある利用者、その他の口腔の健康状態に確認を要する状態の利用者においては、第2章第七のⅡの1に示す口腔の健康状態の評価項目の利用も検討することが望ましい。
2 スクリーニング結果の情報提供等
介護職員等は、各利用者のスクリーニング結果を、当該利用者を担当する介護支援専門員に別紙様式5-1通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、通所型サービス(介護予防も含む)及び別紙様式5-2特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(介護予防も含む)を参考に文書等で情報提供すること。
口腔の健康状態が低下しているおそれのある場合はかかりつけ歯科医への受診状況を利用者又はその家族等に確認し、必要に応じて受診を促すとともに、当該利用者を担当する介護支援専門員に対して、口腔機能向上サービスの提供を検討するように依頼すること。また、口腔の健康状態によっては、主治医の対応を要する場合もあることから、必要に応じて介護支援専門員を通じて主治医にも情報提供等の適切な措置を講ずること。低栄養状態の利用者については、かかりつけ医への受診状況を利用者又はその家族等に確認し、必要に応じて受診を促すとともに、当該利用者を担当する介護支援専門員に対して、栄養改善サービスの提供を検討するように依頼すること。
3 再スクリーニングの実施
介護職員等は、再スクリーニングを6月毎に実施するとともに、前回実施した際の結果と併せて2に従い介護支援専門員に情報提供等を行うこと。これらを継続的に実施することにより、利用者の口腔の健康状態及び栄養状態の維持・向上に努めることが望ましい。
第六 口腔衛生の管理体制に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について
Ⅰ 口腔衛生の管理体制の基本的な考え方
口腔衛生の管理体制とは、介護保険施設及び特定施設においてケアマネジメントの一環として、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士(以下「歯科医師等」という。)及び関連職種の共同により、口腔衛生に係る課題把握・改善を行い、入所(居)者に適した口腔清掃等を継続的に行うための体制をいう。歯・口腔の健康の保持・増進を図ることは、自立した質の高い生活を営む上で重要であり、介護保険施設における口腔衛生等の管理は、利用者の口腔の健康状態に応じた効率的・効果的な口腔清掃等が行われるだけでなく、摂食嚥下機能の維持・向上、栄養状態の改善等にもつながるものであることに留意すること。
Ⅱ 口腔衛生の管理体制の整備にかかる実務について
1 口腔衛生の管理体制に係る計画の立案
歯科医師等は、介護保険施設及び特定施設における口腔清掃等の実態の把握、介護職員からの相談等を踏まえ、当該施設の実情に応じ、口腔衛生の管理に係る技術的助言及び指導を行うこと。なお、施設の実情を踏まえて、適切に介護職への理解に資すると考えられる場合は、当該助言及び指導について、情報通信機器を用いて実施しても差し支えない。
介護職員は、当該技術的助言及び指導に基づき、別紙様式6-1(介護保険施設)または別紙様式6-2(特定施設)を参考に、以下の事項を記載した口腔衛生管理体制計画を作成すること。
⑴ 助言を行った歯科医師等
⑵ 歯科医師からの助言の要点
⑶ 当該施設における実施目標
⑷ 具体的方策
⑸ 留意事項・特記事項
実施目標においては、助言及び指導を踏まえて、施設の実情に応じて検討されたい。例えば、口腔清掃の用具の整備、口腔清掃の方法・内容等の見直し、施設職員に対する口腔衛生管理の推進に資する研修会の開催、歯科専門職による入所(居)者の口腔管理等、歯科専門職による食事環境、食形態等の確認又は現在の取組の継続等である。
介護職員は、口腔清掃等を含めた施設における課題や疑問等を、適宜、歯科医師等に相談する。歯科医師等は、概ね6月毎に、施設における口腔清掃の実態、介護職員からの相談等を踏まえ、当該施設の実情に応じた口腔衛生の管理体制に係る計画に関する技術的助言及び指導を行うこと。介護職員は、当該技術的助言・指導を踏まえ、口腔衛生管理体制計画の見直しを行い、口腔衛生の管理体制の充実を図ること。また、必要に応じて、「介護保険施設等における口腔衛生管理の評価と実践」(一般社団法人日本老年歯科医学会)等の関連学会が示す記載等も参考にされたい。
2 入所者の口腔の健康状態の評価
介護保険施設においては、当該施設の従業者又は歯科医師等が入所者の施設入所時及び月に1回程度の口腔の健康状態の評価を実施することとしており、各入所者について、別紙様式6-3を参考に以下の事項等を確認する。ただし、歯科医師等が訪問歯科診療、訪問歯科衛生指導、または口腔衛生管理加算等により口腔管理を実施している場合は、当該口腔の健康状態の評価に代えることができる。
【口腔の健康状態の評価例】
⑴ 開口の状態
⑵ 歯の汚れの有無
⑶ 舌の汚れの有無
⑷ 歯肉の腫れ、出血の有無
⑸ 左右両方の奥歯のかみ合わせの状態
⑹ むせの有無
⑺ ぶくぶくうがいの状態
⑻ 食物のため込み、残留の有無
ただし、⑺及び⑻については、利用者の状態に応じて確認可能な場合に限って評価を行うこと。⑴から⑻の項目を参考に歯科医師等による口腔内等の確認の必要性について検討する。評価の実施にあたっては第七のⅡの1及び「入院(所)中及び在宅等における療養中の患者に対する口腔の健康状態の確認に関する基本的な考え方」(令和6年3月日本歯科医学会)等の関連学会が示す記載等も参考にされたい。
歯科医師等による口腔内等の確認の必要性が高い場合、歯・口腔の疾患が疑われる場合及び介護職員による口腔清掃等が困難な場合等は各利用者の口腔の健康状態に応じた口腔健康管理が行われるよう、歯科受診の必要性も含めて歯科医師等に相談すること。
第七 口腔連携強化加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について
Ⅰ 口腔連携強化加算に関する基本的な考え方
口腔連携強化加算は、介護事業所が口腔の健康状態の評価の方法や在宅歯科医療等について歯科医療機関に相談できる体制を構築するとともに、口腔の健康状態の評価の実施並びに歯科医療機関及びに介護支援専門員への情報提供することを評価したものである。これにより、利用者毎の口腔の健康状態の把握並びに歯科専門職の確認を要する状態の利用者の把握を通じて、歯科専門職による適切な口腔管理の実施につなげることが目的である。
Ⅱ 口腔連携強化加算にかかる実務について
1 口腔の健康状態の評価の実施
介護職員等は、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式6、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式11、「指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式6及び「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式8等を用いて口腔の健康状態の評価を行い、評価した情報を歯科医療機関及び当該利用者を担当する介護支援専門員に対し、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式6、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式11、「指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式6及び「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準及び指定地域密着型介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」別紙様式8等により提供する。評価にあたっては、「入院(所)中及び在宅等における療養中の患者に対する口腔の健康状態の確認に関する基本的な考え方」(令和6年3月日本歯科医学会)等の関連学会が示す口腔の評価及び管理に係る記載等も参考にされたい。なお、必要に応じて口腔健康管理に係る研修等も活用し、適切な口腔の健康状態の評価の実施に務めること。介護職員については、事業所の医療従事者に相談する等の対応も検討すること。また、継続的な口腔の健康状態の評価を実施することにより、利用者の口腔の健康状態の向上に努めること。
【口腔の健康状態の評価項目】
項目
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評価
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評価基準
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評価の必要性
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1.開口
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1. できる
2. できない
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・上下の前歯の間に指2本分(縦)入る程度まで口があかない場合(開口量3cm以下)には「2」につける。
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開口が不十分及び開口拒否等は口の中の観察も困難にするとともに、口腔清掃不良となる要因である。また、開口が不十分においては要因の精査等が必要となる場合がある。
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2.歯の汚れ
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1. なし
2. あり
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・歯の表面や歯と歯の間に白や黄色の汚れ等がある場合には「2」につける。
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歯が汚れている状態は、汚れに含まれる細菌等も含めて付着している状態である。虫歯や歯周病の原因となるだけでなく、汚れを飲み込み肺に到達すると誤嚥性肺炎の原因にもなる。
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3.舌の汚れ
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1. なし
2. あり
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・舌の表面に白や黄色、茶、黒色の汚れなどがある場合には「2」につける。
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舌が汚れている状態は、汚れに含まれる細菌等も含めて付着している状態である。歯の汚れと同じく、汚れを飲み込み肺に到達すると誤嚥性肺炎の原因にもなる。
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4.歯肉の腫れ、出血
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1. なし
2. あり
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・歯肉が腫れている場合(反対側の同じ部分の歯肉との比較や周囲との比較)や歯磨きや口腔ケアの際に出血する場合は「2」につける。
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歯肉の腫れ、出血は歯周病の可能性があり、歯周病は放置すると歯を失う可能性がある。また、糖尿病等の全身疾患との関連性も報告されている。
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5.左右両方の奥歯でしっかりかみしめられる
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1. できる
2. できない
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・本人にしっかりかみしめられないとの認識がある場合または義歯をいれても奥歯がない部分がある場合は「2」につける。
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奥歯が無い場合に、食物をかみ砕く能力が低下し、食事形態等に関連があるだけでなく、窒息事故との関連も報告されている。転倒リスクとの関連性も報告されており、義歯の利用等も含めて検討が必要である。
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6.むせ
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1. なし
2. あり
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・平時や食事時にむせがある場合や明らかな「むせ」はなくても、食後の痰がらみ、声の変化、息が荒くなるなどがある場合は「2」につける。
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摂食嚥下障害の可能性があり、食事形態等に関連があるだけでなく、入院等との関連も報告されている。唾液や食物などを誤嚥している可能性があり、摂食嚥下機能の精査や訓練等が必要な場合もある。
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7.ぶくぶくうがい※1
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1. できる
2. できない
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・歯磨き後のうがいの際に口に水をためておけない場合や頬を膨らませない場合や膨らました頬を左右に動かせない場合は「2」につける。
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口の周りの筋肉等の動きと関連しており、食事形態等に関連があるだけでなく、入院等との関連も報告されている。口腔機能の低下の可能性があるとともに、口腔衛生管理とも関連している。
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8.食物のため込み、残留※2
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1. なし
2. あり
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・食事の際に口の中に食物を飲み込まずためてしまう場合や飲み込んだ後に口を開けると食物が一部残っている場合は「2」につける。
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摂食嚥下障害等に関連しており、摂食嚥下機能の精査や訓練等が必要な場合もある。
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9.その他
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自由記載
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・歯や粘膜に痛みがある、口の中の乾燥、口臭、義歯の汚れ、義歯がすぐに外れる、口の中に薬が残っている等の気になる点があれば記載する。
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その他、歯科疾患との関連がある事項や利用者の訴え等も含めて検討する。
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歯科医師等による口腔内等の確認の必要性
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1. 低い
2. 高い
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・項目1-8について「あり」または「できない」が1つでもある場合は、歯科医師等による口腔内等の確認の必要性「高い」とする。
・その他の項目等も参考に歯科医師等による口腔内等の確認の必要性が高いと考えられる場合は、「高い」とする。
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※1 現在、歯磨き後のうがいをしている場合に限り実施する。
※2 食事の観察が可能な場合は確認する。
2 情報を提供された歯科医療機関における対応
情報を提供された歯科医療機関については、介護事業所から情報を提供された場合は、必要に応じて相談に応じるとともに、歯科診療等の必要な歯科医療提供についても検討する。特に、歯科医師等による口腔内等の確認の必要性が「高い」場合は、情報提供した介護事業所及び当該利用者を担当する介護支援専門員等に利用者の状況を確認し、歯科診療の必要性等について検討する。歯科医師等による口腔内等の確認の必要性が「低い」場合は、基本情報も含めて確認し、不明点等がある場合や、追加で必要な情報がある場合は、情報提供した介護事業所及び当該利用者を担当する介護支援専門員等に問い合わせる等の必要な対応を実施する。
第八 口腔機能向上加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について
Ⅰ 口腔機能向上サービスの実務等について
1 通所サービス等における口腔機能向上サービスの提供体制
⑴ 口腔機能向上サービスの提供体制は、ケアマネジメントの一環として、個々人に最適な実地指導を行い、その実務遂行上の機能や方法手順を効率的に行うための体制をいう。
⑵ 事業所は、言語聴覚士、歯科衛生士又は看護職員(以下「サービス担当者」という。)と介護職員、生活相談員その他の職種の者等(以下「関連職種」という。)が共同した口腔機能向上サービスを行う体制を整備する。
⑶ 事業所は、サービス担当者と関連職種が共同して口腔機能向上サービスに関する手順(口腔の健康状態の評価、口腔機能改善管理指導計画、サービス実施、口腔の健康状態の再評価等)をあらかじめ定める。
⑷ サービス担当者は、利用者に適切な実地指導を効率的に提供できるよう関連職種との連絡調整を行う。
⑸ 事業所は、サービス担当者と関連職種が共同して口腔機能向上サービス体制に関する成果を含めて評価し、改善すべき課題を設定し、継続的なサービス提供内容の改善に努める。
2 口腔機能向上サービスの実務
⑴ 口腔の健康状態の評価の実施
サービス担当者は、利用開始時においては、利用者毎に口腔衛生、摂食嚥下機能等に関する解決すべき課題の確認・把握を行う。解決すべき課題の確認・把握の実施にあたっては、別紙様式6-4様式例を参照の上、作成する。
様式例における解決すべき課題の確認・把握に係る項目については、事業所の実状にあわせて項目を追加することについては差し支えない。ただし、項目の追加に当たっては、利用者等の過剰な負担とならぬよう十分配慮しなければならない。
⑵ 口腔機能改善管理指導計画の作成
① サービス担当者は、口腔の健康状態の評価に対しサービス担当者と関連職種が共同して取り組むべき事項等について記載した口腔機能改善管理指導計画を作成する。なお、この作成には、別紙様式6-4の様式例を参照の上、作成することとし、必要に応じて理学療法士、作業療法士、管理栄養士等の助言を参考にする。ただし、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第九十九条若しくは第百十五条、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第二十七条、第五十二条、若しくは第百七十九条、指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準第百二十五条又は指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準第四十二条において作成することとされている各計画の中に、口腔機能改善管理指導計画に相当する内容をそれぞれ記載する場合は、その記載をもって口腔機能改善管理指導計画の作成に代えることができるものとすること。
② サービス担当者は、作成した口腔機能改善管理指導計画について、関連職種と調整を図り、居宅サービス計画又は介護予防サービス計画にも適切に反映させる。
③ 介護予防通所介護又は通所介護において行われる口腔機能向上サービスの場合、サービス担当者は、それぞれの職種が兼ね備えた専門知識、技術等を用いて実施する。しかし、利用者の心身の状況等に応じ、利用者の主治の医師又は主治の歯科医師の指示・指導が必要と判断される場合は、サービス担当者は、主治の医師又は主治の歯科医師の指示・指導を受けること。
④ 介護予防通所リハビリテーション又は通所リハビリテーションにおいて行われる口腔機能向上サービスの場合、サービス担当者は、医師又は歯科医師の指示・指導が必要であり、利用者の主治の医師又は主治の歯科医師等の指示・指導を受けなければならない。
⑶ 利用者又はその家族への説明
サービス担当者は、口腔機能向上サービスの提供に際して、口腔機能改善管理指導計画を利用者又はその家族に説明し、口腔機能向上サービスの提供に関する同意を得る。医師又は歯科医師は、サービス担当者への指示・指導が必要な場合、口腔機能改善管理指導計画の実施に当たり、その計画内容、利用者又はその家族の同意等を確認する。
⑷ 口腔機能向上サービスの実施
① サービス担当者と関連職種は、口腔機能改善管理指導計画に基づいた口腔機能向上サービスの提供を行う。
② サービス担当者は、口腔機能改善管理指導計画に基づいて、口腔衛生、摂食嚥下機能等に関する実地指導を実施する。
③ サービス担当者は、口腔機能向上サービスの提供に当たっては、それぞれの職種が兼ね備えた専門知識、技術等を用いて実施する。しかし、利用者の心身の状況等に応じ、利用者の主治の医師又は主治の歯科医師等の指示・指導が必要と考えられる場合、サービス担当者は、主治の医師又は主治の歯科医師等の指示・指導を受けなければならない。また、関連職種に対して、口腔機能改善管理指導計画に基づいて個別又は集団に対応した口腔機能向上サービスの提供ができるように指導及び助言等を行う。
④ サービス担当者は、関連職種と共同して口腔機能向上サービスに関するインシデント・アクシデント事例等の把握を行う。
⑤ サービス担当者は、口腔機能向上サービス提供の主な経過を記録する。記録の内容は、実施日、サービス提供者氏名及び職種、指導の内容(口腔清掃、口腔清掃に関する指導、摂食嚥下等の口腔機能に関する指導、音声・言語機能に関する指導)について記録する。なお、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第百五条若しくは第百十九条において準用する第十九条若しくは第百八十一条、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第三十七条、第六十一条若しくは第百八十二条において準用する第三条の十八、第九十五条若しくは第百十六条、指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準第百二十三条において準用する第四十九条の十三若しくは第二百三十七条又は指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準第二十一条に規定するサービスの提供の記録においてサービス担当者が口腔機能向上サービス提供の経過を記録する場合は、当該記録とは別に口腔機能向上加算の算定のために口腔機能向上サービスの提供の経過を記録する必要はないものとすること。
⑸ 実施上の問題点の把握
サービス担当者は、口腔機能改善管理指導計画に基づき、利用者の目標の達成状況、口腔衛生、口腔機能の改善状況等を適宜把握する。改善状況に係る記録は、別紙様式6-4様式例を参照の上、作成する。口腔機能改善管理指導計画の変更が必要になる状況が疑われる場合には、口腔機能改善管理指導計画の変更を検討する。
⑹ 口腔の健康状態の再評価の実施
① サービス担当者は、目標の達成状況、口腔衛生、口腔機能等の改善状況等を適宜、再評価を行うとともに、サービスの見直し事項を含めた、口腔機能改善管理指導計画の変更の必要性を判断する。口腔の健康状態の再評価の記録は、別紙様式6-4様式例を参照の上、作成する。
② 口腔の健康状態の再評価は、月1回程度を目処に、必要に応じて適宜実施する。再評価の結果、口腔の健康状態に変化がある場合には、口腔機能改善管理指導計画を再度作成する。
⑺ 再把握の実施
サービス担当者は、口腔衛生、摂食嚥下機能等に関する解決すべき課題の把握を3月毎に実施し、事業所を通じて利用者を担当する介護支援専門員又は介護予防支援事業者等へ情報を提供する。なお、この把握には、別紙様式6-4の様式例を参照の上、作成する。
介護支援専門員又は介護予防支援事業者等は、情報提供を受け、サービス担当者と連携して、口腔衛生、摂食嚥下機能等に関するリスクにかかわらず、把握を3月毎に実施する。
⑻ 口腔機能向上サービスの継続及び終了時の説明等
サービス担当者は、総合的な評価を行い、口腔機能向上サービスの継続又は終了の場合には、その結果を利用者又はその家族に説明するとともに、利用者を担当する介護支援専門員又は介護予防支援事業者等に継続又は終了の情報を提供し、サービスを継続又は終了する。サービスの継続又は終了については、利用者又はその家族へ説明し同意を得る。
評価の結果、改善等により終了する場合は、関連職種や居宅サービス事業所又は介護予防サービス事業所との連携を図る。また、評価において医療が必要であると考えられる場合は、主治の医師又は主治の歯科医師、介護支援専門員若しくは介護予防支援事業者並びに関係機関(その他の居宅サービス事業所等)との連携を図る。