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介護輸送に係る法的取扱いについて、介護予防・日常生活支援総合事業による高齢者の移動支援に係る交通施策との関係等について(周知)
事務連絡
介護輸送に係る法的取扱いについて、介護予防・日常生活支援総合事業による高齢者の移動支援に係る交通施策との関係等について(周知)
事務連絡
介護輸送に係る法的取扱いについて、介護予防・日常生活支援総合事業による高齢者の移動支援に係る交通施策との関係等について(周知) (事務連絡)
発出日:令和6年3月29日
更新日:令和6年3月29日
更新日:令和6年3月29日
事 務 連 絡
令和6年3月29日
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各都道府県介護保険主管部局 御中
厚生労働省老健局
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認知症施策・地域介護推進課
老 人 保 健 課
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介護輸送に係る法的取扱いについて
日頃より、介護保険行政に御尽力いただき、厚く御礼申し上げます。
介護輸送における法的取扱いについては、平成18年9月29日付け事務連絡「介護輸送における法的取扱いについて」によりお知らせしてきたところですが、令和6年2月29日付け「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて」(令和6年3月1日国自旅第359号)(別添)が発出され、同事務連絡が廃止されることとなりました。
つきまして、以後の介護輸送における法的取扱いについては、同ガイドラインに基づき、下記のとおり取り扱うこととするので、内容について御了知の上、管内市町村、関係団体、関係機関等への周知をお願いいたします。
本事務連絡については、国土交通省物流・自動車局旅客課と協議済みであることを申し添えます。
なお、平成18年9月29日付け事務連絡「介護輸送における法的取扱いについて」は廃止されるため、ご留意いただきますよう、お願いいたします。
別添:「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて」(令和6年3月1日国自旅第359号)
参考:平成18年9月29日付け事務連絡「介護輸送における法的取扱いについて」
記
1.介護保険法に基づく移動支援等の運送について
① 訪問介護事業者等が行う要介護者等の輸送については、道路運送法(昭和26年法律第183号)制度上、運送サービスに対する報酬が支払われないと扱われるものは、有償の運送には該当しないため許可(同法第4条又は第43条の事業許可)又は登録(同法第79条の登録)は不要である。
※ 乗降介助が介護報酬の対象となっている場合でも、運送は介護報酬の対象外であり利用者から運送の反対給付として金銭を収受しない場合は、許可又は登録は不要である。
② 訪問介護員等が自己の車両で要介護者等を有償で運送する場合については、一定の手続き、条件の下で、道路運送法第78条第3号に基づく許可を受けることができる。
③ 通所介護及び通所リハビリテーション等の利用自体が有償であったとしても、当該事業所の運営者等が利用者の送迎のために付随した運送を行う場合、介護報酬以外の当該運送に特定した反対給付がなければ、許可又は登録は不要である。
※ 短期入所生活介護等において、介護報酬上の加算を受けて行う送迎についても、許可又は登録は不要である。
別添
国自旅第359号
令和6年3月1日
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各地方運輸局自動車交通部長
沖縄総合事務局運輸部長
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殿
殿
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物流・自動車局旅客課長
道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて
標記について、別添のとおり「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」を作成したので、その旨了知されるとともにその取扱いについて円滑な実施に努めることとされたい。
なお、本通達の発出に伴い、以下の通達及び事務連絡を廃止する。
・「介護輸送に係る法的取扱いについて」(平成18年9月通知)
・「宿泊施設及びエコツアー等の事業者が宿泊者及びツアー参加者を対象に行う送迎のための輸送について」(平成23年3月31日付け国自旅第239号)
・「北海道アウトドア優良事業者による道路運送法における許可を要しない運送の態様の明確化等について」(平成25年3月29日付け国自旅第634号)
・「通訳案内士による自家用車を用いた通訳案内行為について」(平成29年8月14日付け国自旅第75号)
・「営利を目的としない互助による運送のためにNPOが市区町村の自動車を利用する場合等の取扱いについて」(平成29年8月25日付け事務連絡)
・道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について」(平成30年3月30日付け国自旅338号)
・「通所介護等に係る送迎に関する道路運送法上の取扱いについて」(平成30年9月28日付け事務連絡)
・「子供の預かりや家事・身辺援助のサービスに附随する送迎の取扱いについて」(令和元年6月26日付け事務連絡)
・「改正自然公園法に基づく自然体験プログラムの提供における送迎について」(令和4年4月5日付け事務連絡)
別添
道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン
自動車による移動手段の確保は、日常生活の維持、地域の活性化、観光振興、教育を受ける機会の確保、外出増加による医療・介護費の削減など、多面的で公共的な意義があるため、地域の関係者が地域公共交通会議等の場を活用して議論を行い、その結果を踏まえた取組を行っていく必要がある。
その際、地域の公共的な運送は、サービスの安全性及び継続性の観点から、バス、デマンド交通やタクシーなどの公共交通機関の活用を第一に考えていくことが重要であり、これらの公共交通機関による運送サービスが十分に確保できない場合には、道路運送法の定める自家用有償旅客運送制度を組み合わせて移動手段を確保することを検討すべきであることは、「ラストワンマイル・モビリティ/自動車DX・GXに関する検討会」の提言のとおりである。
他方、高齢社会や共働きの進展、地域へのさまざまな観光客の来訪などを考慮すると、地域での互助活動・ボランティア活動による運送、自家使用の自動車による運送等にも一定の役割を持たせないと社会・経済活動の維持が困難になることも現実である。
公共交通機関又は自家用有償旅客運送の利用が困難な住民の運送や他のサービスに付随して生じる運送の扱いについては、「道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について」(平成30年3月30日国自旅第338号)により考え方を整理し、運用してきたところであるが、地域における移動資源の確保がかなり困難になっているなかで、道路運送法における許可又は登録を要しない運送についても、公共交通機関や自家用有償旅客運送の果たす役割を補完することが重要であることから、改めて下記のとおり整理したので、その旨了知されるとともに円滑な実施に努められたい。その際、このガイドラインの運用にあたっては、無償運送行為が本来は自由に行えるものであり、一般の方々が「許可又は登録」をせずに行える運送行為を安心して行えるよう記述したものであることを理解しておく必要がある。
「ラストワンマイル・モビリティに係る制度・運用の改善策」で示された施策や本ガイドラインの整理に従い、様々な交通手段が提供されることにより、住民の日々の生活や地域社会の活動が活性化していくことが期待される。
なお、地域における移動資源の供給状況や提供されるサービスの内容は変化していくため、本ガイドラインによる整理も定期的に見直していく必要があると考えている。
記
Ⅰ.道路運送法上の許可又は登録を要しない運送の態様についての考え方
道路運送法(昭和26年法律第183号。以下「法」という。)第78条の規定により、自家用自動車は、原則として、有償で運送の用に供してはならず、災害のため緊急を要するときを除き、例外的にこれを行うためには、国土交通大臣の許可又は登録を受けるべきことが定められている。同規定により許可又は登録を必要とした趣旨は、自家用自動車については、一般的に旅客自動車運送事業のような輸送の安全や利用者の保護のための措置が行われておらず、輸送の安全や利用者の保護のための措置が確実に行われていることについて、許可又は登録を通じて確認する必要があるためである。
個々の運送が、許可又は登録(法第78条第3号の許可、法第79条の登録、行為の態様によっては、法第4条第1項又は法第43条第1項の許可。)を要する有償運送であるか否かについては、最終的には、それぞれの事案に則して個別に総合的な判断を行うことが必要であるが、一般論として、旅客自動車運送事業を含む公共交通機関又は自家用有償旅客運送の利用が困難な住民に対する互助・ボランティアによる運送や他のサービスに付随して生じる運送に係る許可又は登録の要否は、次のとおりである。
Ⅱ.「有償」の意義
「有償」とは「運送サービスの提供に対する反対給付として財物を収受すること。」であり、これに該当するか否かにより、法の許可又は登録の要否が判断される。
1.利用者からの給付について
(1)収受するものが「反対給付」にあたらない場合
① 利用者から収受するものが謝礼と認められる場合
[判断の考え方]
・社会通念上常識的な範囲での「謝礼」は、運送の対価ではない。運送の提供者が金銭の支払いを求めず、利用者から謝礼として金銭等が支払われたとしても、有償の運送といえず許可又は登録は不要である。
ここで言う「謝礼」とは、交通手段を持たない高齢者を街での買い物に同乗させるといったボランティア・共助へのお礼の気持ち程度のもの(この記述は、謝礼の意味する内容を明確にするための例示であって、当然、謝礼の対象となるのは「高齢者の買い物」の場合に限らない。)を想定している。従って、この謝礼を隠れ蓑にして営利事業を行うことは想定されていない。そうした観点から、以下の場合には謝礼とは認められない。
イ 運送を提供する者が運賃表を定めてそれに従って利用者が金銭を支払う場合
ロ ロ頭・ジェスチャーにより利用者に強く謝礼を促す等、謝礼の名を借りて実質的には運賃を求める態様の場合。なお、後掲のとおり、燃料代等の実費を求めることは可能である。
ハ ウェブサイト等により無償の運送サービスを仲介・紹介するサービスにおいて、謝礼の金額を入力しないとサービスが提供されなかったり、謝礼の有無・金額の多寡により、利用者を選別するなどの取扱いを行う場合
・なお、いわゆる白タク行為による運送に対して、利用者から「謝礼」の名目により金銭等が支払われる場合についても、ここで言う「謝礼」にあたるとの拡大解釈がされるべきではないことは言うまでもない。
② 利用者からの給付が、実費相当分の場合
[判断の考え方]
・運送行為が無償で行われる場合においても、ガソリン代等の「実費」を受け取ることは許される。この場合には許可又は登録は不要である。
・「実費」とは、運送(前後の回送を含む。)に必要なガソリン等の燃料代、道路通行料、駐車場料金、保険料(※)、当該運送を行うために発生した車両借料(レンタカー代)をいう。
※保険料とは、以下の保険に関する保険料を指す。
・ボランティア団体・NPO等による、一回あたり、又は一日あたりの無償運送行為を対象に提供されている保険(当該保険が、年間契約による場合を含む。)。ただし、当該車両にもともと掛けられている自賠責保険・任意保険は対象外。
・レンタカーの借り受けに伴って加入する一時的な保険(免責補償制度(CDW)及び休業補償(NOC))。
・ガソリン代の算出は、一般的には、直近のガソリン価格等を利用して以下の方法により算出することが可能であるが、運送行為が頻繁に行われる場合に、一定の期間において「1kmあたり◯円」などと定めて概算することも、簡易な方法として容認できる。
走行距離(km)÷燃費(km/ℓ)×1ℓあたりのガソリン価格(円/ℓ)
(2)反対給付が「運送」に対するものではない場合の有償性判断
[判断の考え方]
・たとえば宿泊や介護など、提供されるメインのサービスが有償であっても、当該サービスの利用者へ付随的に提供される運送については、運送に特定した反対給付がない場合(送迎利用の有無にかかわらず利用料に差異がない場合)、許可又は登録は不要である。この場合、前掲1(1)②のとおり、燃料代等の実費を求めることは可能である。なお、送迎利用の有無によって利用料に差異を設ける場合の扱いについては、後掲2.を参照。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
① ホテル・旅館等の宿泊施設の利用者を対象とする運送
・宿泊施設が、駅・空港・港等と宿泊施設との間で、無償の運送サービスを行う場合
この場合は無償の運送サービスであるから、利用者の依頼・要望に応じて、送迎途中で商店等に立ち寄ることも差し支えない。また、送迎距離が長距離に及ぶ場合であっても、利用者を対象としたサービスとして社会通念上妥当と考えられる場合は、許可又は登録は不要である。
・ホテル、旅館、農家民泊等が近隣施設や観光スポットヘの運送を無償で行う場合
スキー旅館からゲレンデヘの運送、旅館から海水浴場への運送、宿泊施設からイベント会場への運送など、利用者を対象に無料サービスとして行う近隣施設等への運送は、社会通念上常識的な範囲のものは、許可又は登録は不要である。
② 施設送迎(介護施設、学校その他の施設)の運送
・施設利用自体が有償であったとしても、施設の運営者等が施設利用者の送迎のために付随した運送を行う場合、当該運送に特定した反対給付がなければ、許可又は登録は不要である。なお、この場合も無償の運送サービスであるから、施設利用者の依頼・要望に応じて、送迎途中で商店等に立ち寄ることは差し支えない。
③ 生活支援サービスなどとの一体運送
・通院や買物等に同行する支援、子供の送り届けなどが含まれる「子供の見守り支援」など、提供するサービスに人の運送が付随して行われるものについては、当該サービス自体が有料であったとしても、当該運送に特定した反対給付がない限り、許可又は登録は不要である。なお、生活支援サービスと称していても、提供されるサービスの実態が目的地への運送のみである場合には、許可又は登録を要する。
・子供の塾・習い事・部活動等への無償の送迎を、地域のボランティア・互助活動として組織的に行うことは差し支えないが、地域のタクシー事業者の中には、「子育てを応援するタクシー」として積極的に子供送迎に取り組んでいる事業者もおり、自治体等が関与して利用料を低減させることにより、プロドライバーによるより安全・確実な送迎を実現することも可能である。地域住民へのこうしたサービスの活用促進にも留意されたい。
④ ツアー等のサービス提供事業者が、ツアー参加者を対象に行うサービスに付随した運送
・ダイビング・シュノーケリング等のマリンスポーツやスノーシューツアー等の事業者が、ツアー利用者を近隣の駅・バス停・宿泊施設等からツアー実施場所まで運送するなど、利用者を対象に無料サービスとして行う運送は、社会通念上常識的な範囲のものは、許可又は登録は不要である。
・サイクリングツアー等で、ツアー参加者の突発的な身体的不調や急な天候不良等により、ツアー参加者を伴走車に乗せる場合で、運送に特定した反対給付がない場合は、許可又は登録は不要である。
・ただし、ツアーと称していても、提供されるサービスの実態が、単に目的地への運送のみである場合には、許可又は登録を要する。
⑤ 通訳案内士等による観光ガイド事業との一体運送
・国・地方公共団体及び公益社団法人日本観光振興協会並びに公的機関が認定・付与する資格を有する観光ガイドが、ガイドのために人を運送する場合で、運送に特定した反対給付がない場合は、許可又は登録は不要である。
・ただし、観光ガイドと称していても、提供されるサービスの実態が、当該地域に関する専門的な知識や高度な語学力等に基づくガイドの提供ではなく、単に目的地への運送のみである場合には、許可又は登録を要する。
2.利用者の利用料に差を設ける場合の取扱い
[判断の考え方]
・たとえば、有料の施設利用に付随する運送サービス、宿泊施設における運送サービスや幼稚園等の送迎に係る運送サービスについて、利用者間の公平性を図る観点から、当該運送サービスの利用の有無によって施設の利用料や宿泊料に差を設ける場合には、当該差額が運送サービスに要する実費の範囲内であれば、許可又は登録は不要である。
・この場合の実費については、上記1.(1)②の各費用が対象となることはもちろん、当該車両が、主として送迎を要する利用者のためだけに購入・維持されていることにかんがみ、実費の範囲に、車両償却費、車検料・保険料等の車両維持費を含めることも差し支えない。また、幼稚園等において、「通学通園に係る自家用自動車の有償運送の取扱いについて(平成9年6月17日付自旅第101号)」に基づき許可を受けた場合は、利用者から運行にかかる人件費相当を収受することができる。
・なお、上記のように、公平性の観点から実費の負担を一部の利用者に求めるために利用料に差異を設ける場合には、利用料と運送サービスの実費相当額負担分を明確に分け、必要に応じ利用者等に説明できるようにしておくことが望ましい。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
・介護施設への送迎の利用の有無に応じて、施設の利用料金に差を設ける場合。
・宿泊施設における運送サービスについて、運送サービスの利用の有無によって宿泊料金に差を設ける場合。
・保育園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、専門学校、学童保育、学習塾、インターナショナルスクール、スイミングスクールなどへの通園・通学等に係る運送の利用の有無でこれらの施設に支払う料金に差を設ける場合。なお、保育園・幼稚園等の通園バスには自家用車(白ナンバー)がよく見られる一方、中学校・高等学校などのスクールバスは、道路運送法の貸切許可・特定許可を有する事業者(緑ナンバー)が受託して運行していることが多い。いずれを選択するかは、これら施設の経営判断によるが、利用者の多寡、運行距離の長短及び利用者の特性等に応じ、安全に生徒等を送迎するための手段が適切に選択されるよう、留意されたい。
3.第三者からの給付の取扱い
[判断の考え方]
・運送主体が「利用者以外から収受するもの」は、原則として、「運送サービスの提供に対する反対給付」とは解さず、許可又は登録は不要である。
・ただし、利用者以外の第三者が、利用者に代わって運送主体に対し運送の反対給付を行う場合は、許可又は登録を要する。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
・国・地方公共団体が運送サービスを行うボランティア団体に対し、団体の職員(運転のみを行う職員及び運転・その他の業務も行う職員を含む)の人件費などに充てるものとして、団体の運営に要する費用の補助金を支出する場合。なお、当該運送サービスの提供を受ける利用者に対し、国・地方公共団体が運送利用券を直接又は間接的に給付する場合は、許可又は登録を要する。
・団体運営の支援として個々の運送行為と紐付かない寄付金、協賛金などを第三者から収受する場合は、有償には該当しない。
4.介護保険法等に基づく移動支援等の運送に関する給付の取扱い
[判断の考え方]
・法制度上、運送サービスに対する報酬が支払われていないと扱われるものは、有償の運送には該当しないため許可又は登録は不要である。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
(1)訪問介護における運送
・乗降介助が介護報酬の対象となっている場合でも運送は介護報酬の対象外であり、利用者から運送の反対給付として金銭を収受しない場合は許可又は登録は不要である。障害者総合支援法に基づく居宅介護、行動援護、同行援護、重度訪問介護、重度障害者等包括支援及び地域生活支援事業の移動支援事業において運送を行うことがある場合についても同様である。
(2)介護保険法第115条の45第1項に規定する介護予防・日常生活支援総合事業における訪問型サービスB・D及び同条第2項に規定する一般介護予防事業の一環として行う運送
・本事業として行う運送は、1(2)の③の「提供するサービスに人の運送が付随して行われるもの」に該当するものであり、当該運送に特定した反対給付がない限り、許可又は登録は不要である(なお、委託を受けて通所サービス事業所等への送迎を実施する場合は、同②の取扱いと同じ扱い。)。
・地域支援事業交付金等から補助されるガソリン代等の実費並びにボランティア(運送を行う者を含む。)に対するボランティアポイント及びボランティア奨励金は運送の反対給付とはみなされないため、許可又は登録は不要である。
Ⅲ.その他、運送に関連して金銭授受が行われる場合の取扱い
1.運転役務の提供について報酬が支払われた場合
[判断の考え方]
・他人の車両の運転を委託されて運転役務を提供した場合に、運転役務の委託者から運転役務の提供者に対して当該役務の提供について報酬が支払われたとしても、有償の運送行為にはあたらない。
・ただし、運送の態様又は対象となる旅客の範囲によっては、自動車運転代行業、人材派遣業等とみなされる場合があり、それぞれの関係法令が適用されるため留意が必要。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
・運転役務の提供者が利用者の所有する車両を使用して送迎を行う場合
・企業所有の車両を使用し従業員送迎を行う場合で、運転業務を外部に委託する場合。
●車両提供者が、運転役務提供者に運転をさせて、第三者たる利用者の運送を行う場合の扱い
・車両提供者が利用者から金銭を収受しない場合は、無償運送であるため、許可又は登録を要しない。この場合に、車両提供者が自己の負担で、運転役務提供者に報酬を支払うことは差し支えない。
・車両提供者が利用者からII1.(1)①の謝礼及び②の実費を受け取ることは、無償運送への謝礼及び実費の支払いであるため、差し支えない。
・ただし、運転役務の報酬の名目で、実質的には利用者から運転役務提供者に運送の対価を支払っていると見られる場合(単に車両提供者を介して運送の対価を収受していると見られる場合)には、運転役務提供者と利用者との間で有償運送が行われているといえるため、許可又は登録を要する。
2.仲介手数料の受領及び運送サービス提供者に対する謝礼及び実費の代行受領
(1)運送サービスの仲介者が仲介手数料を受け取る場合
[判断の考え方]
・運送サービスの仲介を依頼した者(運送サービスの提供者及び当該サービスの利用者)から仲介者に対して仲介に関する報酬が支払われたとしても、運送サービスの提供に対する反対給付ではないので、運送が有償で行われたことにはならない。
・ただし、仲介の態様によっては、旅行業等とみなされる場合があり、それぞれの関係法令が適用されるため留意が必要。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
・仲介者が、自家用自動車を用いて運送サービスを行う者と当該サービスを利用する者を仲介する場合において、運送主体ではない仲介者がそのいずれか又は双方から仲介手数料を収受しても差し支えない。
(2)運送サービスの仲介者が運送サービスの提供者の受領すべき謝礼及び実費を代行受領する場合
[判断の考え方]
・運送サービスの仲介者が利用者から謝礼及び実費を代行受領し、運送サービスの提供者に支払うことは差し支えない。
・ただし、運送サービスの提供者が、名目・支払方法の如何を問わず、仲介者あるいは仲介者以外の第三者を通じて謝礼及び実費を超える金銭等を収受することにより、運送の対価を収受したとみられる場合には、有償の運送行為として、許可又は登録を要する。また、仲介者が、運送サービスの提供者に対して、仲介手数料等からキックバックするなど、謝礼及び実費を超える金額が運送の対価とみられる場合には、有償の運送行為として、許可又は登録を要する。いずれにせよ、仲介サービスを隠れ蓑にして有償運送をすることは認められない。
3.NPO法人等が同法人の職員等に対して報酬を支払う場合
[判断の考え方]
・NPO法人等が、同法人の管理下にある運転手(職員、登録ボランティア等)に対して、NPO法人等からの指示に応じて第三者を無償で運送し、当該業務を遂行したことに対して報酬が支払われたとしても、「運送サービスの提供に対する反対給付」にはならない。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
・NPO法人が同法人の職員に指示して運送させた場合に、当該職員に支払う報酬の名目が「送迎手当」等である場合
・登録ボランティアがNPO法人等の指示に基づき、自己の車両を用いて無償運送を行う場合、運送の主体はNPO法人等であって、NPO法人等が利用者から謝礼及び実費を収受することはもちろん、ボランティア輸送に協力してもらった謝礼・報酬等として、金銭等を運転者に与えることは差し支えない。なお、ここで授受される「謝礼・報酬等」は、運送主体と利用者の間で授受されるものではないので、1.(1)①及び②の謝礼、実費とは関係がなく、NPO法人等において任意に決定できるものである。
4.自治会等の活動として、会員向け運送サービスを行う場合
[判断の考え方]
・市町村社会福祉協議会、地区社会福祉協議会・自治会・町内会・まちづくり協議会・マンション管理組合・老人クラブ等の地縁団体(以下「自治会等」という。)の活動において、会員が負担する会費で運送サービスを提供しても差し支えない。この場合、会費で車両を調達することや、会費から当該サービスを提供するための運転者に対して報酬を支払っても差し支えない。
・自治会等において、公平性を図る観点から運送サービスの利用の有無に応じて会費に差を設けることも、当該差額が運送サービスに要する実費の範囲内であれば、許可又は登録は不要である。
・この場合の実費の考え方は、前記Ⅱ2.(利用者の利用料に差を設ける場合の取扱い)のとおりである。
参 考
事務連絡
平成18年9月29日
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各
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都道府県高齢者保健福祉課・介護保険主管課(室)
指定都市高齢者保健福祉課
中核市高齢者保健福祉課
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御中
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厚生労働省老健局振興課
介護輸送に係る法的取扱いについて
介護輸送に係る法的取扱いについて、平成16年3月16日付け事務連絡によりお知らせしていたところですが、道路運送法等の一部を改正する法律(平成18年法律第40号)が平成18年10月1日から施行されることに伴い、新制度を踏まえた介護輸送に係る法的取扱いの方針について、別添1のとおり定めましたので、お知らせいたします。
また、国土交通省より、上記方針に沿って、平成18年9月29日付けで別添2のとおり通知が発出されておりますので、ご参考までお送りいたします。
なお、別添2の別紙の2の取扱いをされている場合においては、別添1の1④の取扱いは適用しないことを念のため申し添えます。
管内市町村、関係団体及び関係機関等に周知徹底を図っていただきますようお願いいたします。
(参考)
別添1 「介護輸送に係る法的取扱いについて」
別添2 「道路運送法の改正に伴うNPO等による福祉有償運送についての協力依頼について(平成18年9月29日付け国自旅第185号の2)」
別添1
介護輸送に係る法的取扱いについて
平 成 1 8 年 9 月
国土交通省自動車交通局旅客課
厚生労働省老健局振興課
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
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介護輸送に係る法的取扱いについては、平成16年3月に整理し、運用してきたところであるが、今般、道路運送法等の一部を改正する法律(平成18年法律第40号。以下「改正法」という。)が本年10月1日から施行されることに伴い、新たに以下の通り整理することとした。
1.訪問介護について
① 訪問介護事業者等が行う要介護者等の輸送については、、道路運送法(昭和26年法律第183号)第4条又は第43条の事業許可(一般又は特定)によることを原則とする。.
② NPO法人その他道路運送法施行規則(昭和26年運輸省令第75号)第48条に定める法人等は、一定の手続き、条件の下で、道路運送法第79条に基づく登録を受けることができる。
③ 訪問介護員等が自己の車両で要介護者等を有償で運送する場合については、一定の手続き、条件の下で、道路運送法第78条第3号に基づく許可を受けることができる。
④ 訪問介護サービス等に連続して移送を行う場合は、道路運送法上の許可又は登録を求めることとし、これらを受けずに運送を行う訪問介護事業所については、介護報酬の対象としないものとする.
なお、障害者(児)福祉サービスに係る自家用自動車を使用した有償旅客運送についても、上記①~④の方針に沿って具体的な取扱いを行うものとする。
2.施設介護について
施設介護事業者(デイサービス、ショートステイの事業者を含む。)が行う要介護者等の送迎輸送についてば、自家用輸送であることを明確化するとともに、輸送の安全の確保,向上の観点から、運行管理体制の確保、道路運送法の許可を受けた旅客自動車運送事業者への送迎輸送の外部委託等を促進する。
また、障害者自立支援法の改正により、デイサービス事業の廃止や短期・入所事業の送迎加算が廃止されたことに伴う障害福祉サービス事業者等に係る送迎輸送の取扱いについては、引き続き検討することとする。この場合において、当該送迎輸送に対して市町村が従来の送迎加算の範囲内の額(利用者負担分を含む。)を給付する場合には、当分の間、「自家輸送」として取り扱うこととし、自家用輸送であることを明確化するとともに、輸送の安全の確保・向上の観点から、運行管理体制の確保、道路運送法の許可を受けた旅客自動車運送事業者への送迎輸送の外部委託等を促進する。
3.周知期間について
福祉有償運送に係る改正法による改正後の道路運送法(以下「新法」という。)の円滑な運用を確保するための体制整備や、新法第79条の登録制度の仕組み等について各地方公共団体、事業者等の関係者への周知徹底を図るため、国土交通省と厚生労働省は、改正法施行後1年間の周知期間を設け、当該登録制度の運用のための体制整備や広報等を協力して積極的に行うものとする。
当該周知期間においては、各地方公共団体、関係事業者に対する説明会の開催や当該登録制度に関するガイドブック等の地方公共団体の担当者への配布などを通じて、計画的かつ効果的に当該登録制度の理解の深化を促進することとする。
なお、当該周知期間内においては、新法第79条の登録の対象となるNPO等については、登録取得に向けた環境整備及び指導等を実施することとし、その上でやむを得ない理由により登録を受けることができないものについては、これに係る行政処分及び刑事告発は行わないものとするとともに、上記1.④の取扱いについては、当該NPO等に適用しないものとする。
別添2
国自旅第185号の2
平成18年9月29日
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厚生労働省老健局振興課長 殿
国土交通省自動車交通局旅客課長
道路運送法の改正に伴うNPO等による福祉有償運送についての協力依頼について
NPO等による自家用自動車を使用した福祉有償運送については、「福祉有償運送及び過疎地有償運送に係る道路運送法第80条第1項による許可の取扱いについて」(平成16年3月16日付け国自旅第240号)により、道路運送法(昭和26年法律第183号)第80条第1項による許可の対象として取り扱ってきたところですが、本年10月1日から、道路運送法等の一部を改正する法律(平成18年法律第40号)が施行されることに伴い、NPO等による自家用自動車を使用した福祉有償運送については、道路運送法(昭和26年法律第183号)第79条に基づき国土交通大臣の登録の対象とされることとなりました。
国土交通省では、本制度の運用に当たって、別紙のとおり取り扱うこととしましたので、貴課におかれましては、地方公共団体、関係団体等への周知にご協力頂くとともに、運営協護会の設置促進のため、地方公共団体等への働きかけにご協力方宜しくお願いいたします。
〔別 紙〕
国自旅第185号
平成18年9月29日
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各地方運輸局自動車交通部長 殿
沖縄総合事務局運輸部長 殿
自動車交通局旅客課長
NPO等による過疎地有償運送及び福祉有償運送の取扱いに係る留意点について
本年10月1日から道路運送法等の一部を改正する法律(平成18年法律第40号)が施行されることに伴い、NPO等による過疎地有償運送及び福祉有償運送については、道路運送法(昭和26年法律第183号。以下「法」という。)第79条に基づき国土交通大臣の登録の対象とされることとなった。
NPO等による過疎地有償運送及び福祉有償運送に係る登録制度の運用については、「過疎地有償運送の申請に対する処理方針」(平成18年9月15日付 国自旅第142号)及び「福祉有償運送の申請に対する処理方針」(平成18年9月15日付 国自旅第143号)に定めたところであるが、その適用に当たっては、下記の点に留意するとともに、関係者への周知徹底を図られたい。
記
1.運営協議会の設置促進及び円滑な運営について
各地方運輸局・支局においては、運雷協議会の設立が円滑に行われるよう、地方公共団体に対し、運営協論会の趣旨及び制度について周知徹底を図るとともに、地方公共団体から運営協議会の設置及び運営に関する相談等があった場合には、適切な助言を行うものとする。
また、地方公共団体が運営協議会を設置するため、道路運送法施行規則(昭和26年運輸省令第75号)第51条の8に規定する運営協議会の構成員となるべき者に参加要請を行ったにもかかわらず、当該者が正当な理由なく要請に応じない場合には、各地方運輸局・支局は当該地方公共団体と密接に連携を取りつつ、積極的に参加要請に協力するものとする。
2.運営協議会が設置されていない場合の登録申請の取扱いについて
法第79条の登録の申請を行おうとするNPO等(以下「申請NPO等」という。)が地方公共団体に対して運営協議会の設置を申し出た場合であって、当該地方公共団体が正当な理由なくして運営協議会を設置しないときには、当該地方公共団体に対して運営協護会の設置を促すよう働きかけるものとする。
また、こうした働きかけにもかかわらず当該地方公共団体が運営協議会を設置しない場合であって、当該申請NPO等が登録申請を行い、法第79条の4第1項各号(第5号を除く。)に該当していないことについて確認がされた場合には、当該申請については、1年以内の期間を定めて申請に係る判断を保留することができる。
3.介護輸送に係る法的取扱いについて
介護サービス事業者が介護サービスと連続的・一体的に行う要介護者に係るSTS(スペシャル・トランスポート・サービス。要介護者、身体障害者等であって、公共交通機関を利用することが困難な移動制約者を対象に、必要な介助等と連続して又は一体として行われる個別的な輸送サービスをいう。)については、平成16年3月に「介護輸送に係る法的取扱いについて」において、厚生労働省老健局振興課と国土交通省自動車交通局旅客課との間で基本的な考え方を整理したが、これについて、本年9月に別添のとおり改めたので、その旨了知されたい。
なお、重点指導期間は、平成18年9月30日をもって廃止する。
介護輸送に係る法的取扱いについて
平 成 1 8 年 9 月
国土交通省自動車交通局旅客課
厚生労働省老健局振興課
厚生労働省社会・援證局障害保健福祉部障害福祉課
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介護輸送に係る法的取扱いについては、平成16年3月に整理し、運用してきたところであるが、今般、道路運送法等の一部を改正する法律(平成18年法律第40号。以下「改正法」という。)が本年10月1日から施行されることに伴い、新たに以下の通り整理することとした。
1.訪問介護について
① 訪問介護事業者等が行う要介護者等の輸送については、道路運送法(昭和26年法律第183号)第4条又は第43条の事業許可(一般又は特定)によることを原則とする。
② NPO法人その他道路運送法施行規則(昭和26年運輸省令第75号)第48条に定める法人等は、一定の手続き、条件の下で、道路運送法第79条に基づく登録を受けることができる。
③ 訪問介護員等が自己の車両で要介護者等を有償で運送する場合については、一定の手続き、条件の下で、道路運送法第78条第3号に基づく許可を受けることができる。
④ 訪問介護サービス等に連続して移送を行う場合は、道路運送法上の許可又は登録を求めることとし、これらを受けずに運送を行う訪問介護事業所については、介護報酬の対象としないものとする。
なお、障害者(児)福祉サービスに係る自家用自動車を使用した有償旅客運送についても、上記①~④の方針に沿って具体的な取扱いを行うものとする。
2.施設介護について
施設介護事業者(デイサービス、ショートステイの事業者を含む。)が行う要介護者等の送迎輸送については、自家用輸送であることを明確化するとともに、輸送の安全の確保・向上の観点から、運行管理体制の確保、道路運送法の許可を受けた旅客自動車運送事業者への送迎翰送の外部委託等を促進する。
また、障害者自立支援法の改正により、デイサービス事業の廃止や短期入所事業の送迎加算が廃止されたことに伴う障害福祉サービス事業者等に係る送迎輸送の取扱いについては、引き続き検討することとする。この場合において、当該送迎輸送に対して市町村が従来の送迎加算の範囲内の額(利用者負担分を含む。)を絵付する場合には、当分の間、「自家輸送」として取り扱うこととし、自家用輸送であることを明確化するとともに、輸送の安全の確保・向上の観点から、運行管理体制の確保、道路運送法の許可を受けた旅客自動車運送事業者への送迎輸送の外部委託等を促進する。
3.周知期間について
福祉有償運送に係る改正法による改正後の道路運送法(以下「新法」,という。)の円滑な運用を確保するための体制整備や、新法第79条の登録制度の仕組み等について各地方公共団体、事業者等の関係者への周知徹底を図るため、国土交通省と厚生労働省は、改正法施行後1年間の周知期間を設け、当該登録制度の運用のための体制整備や広報等を協力して稜極的に行うものとする。
当該周知期間においては、各地方公共団体、関係事業者に対する説明会の開催や当該登録制度に関するガイドブック等の地方公共団体の担当者への配布などを通じて、計画的かつ効果的に当該登録制度の理解の深化を促進することとする。
なお、当該周知期間内においては、新法第79条の登録の対象となるNPO等については、登録取得に向けた環境整備及び指導等を実施することとし、その上でやむを得ない理由により登録を受けることができないものについては、これに係る行政処分及び刑事告発は行わないものとするとともに、上記1.④の取扱いについては、当該NPO等に適用しないものとする。
事 務 連 絡
令和6年3月29日
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各 都道府県・市町村 介護保険主管部(局)御中
厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課
介護予防・日常生活支援総合事業による高齢者の移動支援に係る
交通施策との関係等について(周知)
交通施策との関係等について(周知)
平素より、厚生労働行政の推進につきまして、ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という。)においては、
・ 第1号訪問事業における住民互助による通院・買物等の付添い支援
・ 第1号通所事業を実施する施設への送迎
など、地域での高齢者の移動手段の確保のための事業を位置づけています。
この高齢者の移動手段の確保については、令和5年12月に取りまとめられた「介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会における議論の中間整理」において、「総合事業において住民互助により生活支援と一体的に行われる移動・外出支援の普及方策について検討が必要」とされたところです。
また、国土交通省においても、
・ 「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて」(令和6年3月1日国土交通省物流・自動車局旅客課長通知。以下「道路運送法新ガイドライン」という。)の発出(別添参照)
・ 「デジタル田園都市国家構想実現会議」の下に「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」を立ち上げ、関係省庁の連携の下、デジタルを活用しつつ、交通のリ・デザインと地域の社会的課題解決を一体的に推進するための検討
などの様々な取組が進められているところです。
これらの動向を踏まえ、今般、介護予防・日常生活支援総合事業による高齢者の移動支援に係る交通施策との関係等について、別紙のとおり整理を行いましたので、市町村におかれては、その運用に遺憾のないようお願いいたします。
厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課
地域づくり推進室 地域包括ケア推進係
TEL:03-5253-1111(内線3986)/FAX:03-3503-7894
別紙
1 道路運送法との関係
総合事業による高齢者の移動支援と道路運送法(昭和26年法律第183号)における許可・登録の必要性との関係等について、道路運送法新ガイドラインを踏まえ整理すると以下のとおりとなる。なお、その他の詳細な取扱い等については、道路運送法新ガイドラインを参照すること。
(1) 訪問型サービス・活動D(又はB)として、住民主体による通院・買い物等のための移動・付き添いを行う活動に補助(助成)する場合
・ 本事業として行う運送は、道路運送法新ガイドラインⅡ1(2)③の提供するサービスに人の運送が付随して行われるものに該当するものであり、道路運送法による許可・登録は不要である。
・ 本事業の実施主体が、利用者からガソリン代等の実費相当分(道路運送法新ガイドラインⅡ1(1)②のガソリン代等の「実費」相当分をいう。以下同じ。)を受け取る場合も、道路運送法による許可・登録の判断基準において、有償の運送とはならず、許可・登録は不要である。
(参考)道路運送法新ガイドラインⅡ1(1)②(抜粋)
・運送行為が無償で行われる場合においても、ガソリン代等の「実費」を受け取ることは許される。この場合には許可又は登録又は不要である。
・「実費」とは、運送(前後の回送を含む。)に必要なガソリン代等の燃料代、道路通行料、駐車場料金、保険料(※)、当該運送を行うために発生した車両借料(レンタカー代)をいう。
※保険料とは、以下の保険に関する保険料を指す。
・ボランティア団体・NPO等による、一回あたり、又は一日あたりの無償運送行為を対象に提供されている保険(当該保険が年間契約による場合を含む。)。ただし、当該車両にもともと掛けられている自賠責保険・任意保険は対象外。
・レンタカーの借り受けに伴って加入する一次的な保険(免責補償制度(CDW)及び休業補償(NOC))。
・ガソリン代の算出は、一般的には、直近のガソリン価格等を利用して以下の方法により算出することが可能であるが、運送行為が頻繁に行われる場合に、一定の期間において「1㎞あたり◯円」などと定めて概算することも、簡易な方法として容認できる。
走行距離(㎞)÷燃費(㎞/ℓ)×1ℓあたりのガソリン価格(円/ℓ)
・ 総合事業としての補助(助成)対象経費は、移動・付き添い活動に係る間接経費(活動団体の事務職員等の人件費、利用調整に関する経費、運転を行う者の研修に要する費用等)のほか、ガソリン代等の実費相当分、ボランティア(運送を行う者を含む。)に対するボランティア奨励金の支給やボランティアポイントの付与に係る経費が想定される。なお、これらの経費に対する補助(助成)を行う場合も、当該補助(助成)については運送の反対給付とはみなされず、道路運送法による許可・登録は不要である。
(2) 第一号通所事業を実施する施設への送迎(道路運送法新ガイドラインⅡ1(2)②関係)
・いずれの場合も、第一号通所事業利用者の送迎のために付随した運送を行うものであり、かつ、市町村から第一号通所事業の実施に要する費用が支給されていることから、利用者から利用料を徴収する場合であっても、当該利用料は運送に特定した反対給付とはならず、道路運送法による許可・登録は不要である。
・また、利用者の依頼・要望に応じて、送迎途中に商店等に立ち寄ることも差し支えない。
2 第1号通所事業を実施する施設への送迎の取扱い
(1) 従前相当サービスにおける送迎
第1号通所事業のうち、従前相当サービス(注1)については、指定事業者により自家用輸送として行われるものであるが、輸送の安全の確保・向上の観点から、交通事業者への送迎輸送の外部委託等を行うことも可能である。
今般、「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」における議論を踏まえ、地域全体で高齢者の移動手段を確保するという視点にたち、令和6年度から、従前相当サービスに係る第一号事業費の額に関する基準(注2)を一部改正し、送迎を外部委託等する場合の基本報酬に占める送迎に要する費用を明確化している。
(注1)指定事業者(介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の45の3第1項に規定する指定事業者をいう。)により、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第140条の63の6第1号に定める基準に従い行われるものをいう。
(注2)介護保険法施行規則第140条の63の2第1項第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準(令和3年厚生労働省告示第72号)
令和6年度からの第1号通所事業(従前相当サービス)に係る送迎のパターンは以下のアからエまでのとおり整理される(ア及びイのパターンでは、送迎を実施しない利用者がいる場合、当該利用者ごとに送迎減算が適用される。)。
(2) 複数の通所型サービス事業所の利用者の送迎を共同実施する場合
「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」における議論を踏まえ、令和6年度介護報酬改定等において、利用者の利便性を損なわない限り、送迎を行う通所型サービス事業所(通所型サービスから送迎の委託を受けた者を含む。)が、他の通所型サービス事業所、介護事業所、福祉施設等の利用者を、同時に送迎する場合の送迎減算の取扱いが明確化されたところ。詳細については、令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)問66、67を参照されたい。
なお、(1)のエ(指定事業者が送迎を行わず、訪問型サービス・活動D(又はB)として、住民主体による送迎・付き添いを行う活動に補助(助成)する場合)のパターンについては、従前の取扱いどおり、複数の通所型サービス事業所の利用者の送迎・付き添いを実施することは可能である。
(3) 多様なサービスにおける送迎
第1号通所事業のうち従前相当サービスを除く多様なサービスにおける送迎については、(1)及び(2)の内容を踏まえ、市町村が定める基準等に従い、柔軟に実施することが可能であり、例えば以下のような多様なパターンが想定される。
以上
(参考)第1号通所事業を実施する施設への送迎に係る全体像(イメージ)
別添
国自旅第359号
令和6年3月1日
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各地方運輸局自動車交通部長
沖縄総合事務局運輸部長
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殿
殿
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物流・自動車局旅客課長
道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて
標記について、別添のとおり「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン」を作成したので、その旨了知されるとともにその取扱いについて円滑な実施に努めることとされたい。
なお、本通達の発出に伴い、以下の通達及び事務連絡を廃止する。
・「介護輸送に係る法的取扱いについて」(平成18年9月通知)
・「宿泊施設及びエコツアー等の事業者が宿泊者及びツアー参加者を対象に行う送迎のための輸送について」(平成23年3月31日付け国自旅第239号)
・「北海道アウトドア優良事業者による道路運送法における許可を要しない運送の態様の明確化等について」(平成25年3月29日付け国自旅第634号)
・「通訳案内士による自家用車を用いた通訳案内行為について」(平成29年8月14日付け国自旅第75号)
・「営利を目的としない互助による運送のためにNPOが市区町村の自動車を利用する場合等の取扱いについて」(平成29年8月25日付け事務連絡)
・道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について」(平成30年3月30日付け国自旅338号)
・「通所介護等に係る送迎に関する道路運送法上の取扱いについて」(平成30年9月28日付け事務連絡)
・「子供の預かりや家事・身辺援助のサービスに附随する送迎の取扱いについて」(令和元年6月26日付け事務連絡)
・「改正自然公園法に基づく自然体験プログラムの提供における送迎について」(令和4年4月5日付け事務連絡)
別添
道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドライン
自動車による移動手段の確保は、日常生活の維持、地域の活性化、観光振興、教育を受ける機会の確保、外出増加による医療・介護費の削減など、多面的で公共的な意義があるため、地域の関係者が地域公共交通会議等の場を活用して議論を行い、その結果を踏まえた取組を行っていく必要がある。
その際、地域の公共的な運送は、サービスの安全性及び継続性の観点から、バス、デマンド交通やタクシーなどの公共交通機関の活用を第一に考えていくことが重要であり、これらの公共交通機関による運送サービスが十分に確保できない場合には、道路運送法の定める自家用有償旅客運送制度を組み合わせて移動手段を確保することを検討すべきであることは、「ラストワンマイル・モビリティ/自動車DX・GXに関する検討会」の提言のとおりである。
他方、高齢社会や共働きの進展、地域へのさまざまな観光客の来訪などを考慮すると、地域での互助活動・ボランティア活動による運送、自家使用の自動車による運送等にも一定の役割を持たせないと社会・経済活動の維持が困難になることも現実である。
公共交通機関又は自家用有償旅客運送の利用が困難な住民の運送や他のサービスに付随して生じる運送の扱いについては、「道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について」(平成30年3月30日国自旅第338号)により考え方を整理し、運用してきたところであるが、地域における移動資源の確保がかなり困難になっているなかで、道路運送法における許可又は登録を要しない運送についても、公共交通機関や自家用有償旅客運送の果たす役割を補完することが重要であることから、改めて下記のとおり整理したので、その旨了知されるとともに円滑な実施に努められたい。その際、このガイドラインの運用にあたっては、無償運送行為が本来は自由に行えるものであり、一般の方々が「許可又は登録」をせずに行える運送行為を安心して行えるよう記述したものであることを理解しておく必要がある。
「ラストワンマイル・モビリティに係る制度・運用の改善策」で示された施策や本ガイドラインの整理に従い、様々な交通手段が提供されることにより、住民の日々の生活や地域社会の活動が活性化していくことが期待される。
なお、地域における移動資源の供給状況や提供されるサービスの内容は変化していくため、本ガイドラインによる整理も定期的に見直していく必要があると考えている。
記
I.道路運送法上の許可又は登録を要しない運送の態様についての考え方
道路運送法(昭和26年法律第183号。以下「法」という。)第78条の規定により、自家用自動車は、原則として、有償で運送の用に供してはならず、災害のため緊急を要するときを除き、例外的にこれを行うためには、国土交通大臣の許可又は登録を受けるべきことが定められている。同規定により許可又は登録を必要とした趣旨は、自家用自動車については、一般的に旅客自動車運送事業のような輸送の安全や利用者の保護のための措置が行われておらず、輸送の安全や利用者の保護のための措置が確実に行われていることについて、許可又は登録を通じて確認する必要があるためである。
個々の運送が、許可又は登録(法第78条第3号の許可、法第79条の登録、行為の態様によっては、法第4条第1項又は法第43条第1項の許可。)を要する有償運送であるか否かについては、最終的には、それぞれの事案に則して個別に総合的な判断を行うことが必要であるが、一般論として、旅客自動車運送事業を含む公共交通機関又は自家用有償旅客運送の利用が困難な住民に対する互助・ボランティアによる運送や他のサービスに付随して生じる運送に係る許可又は登録の要否は、次のとおりである。
Ⅱ.「有償」の意義
「有償」とは「運送サービスの提供に対する反対給付として財物を収受すること。」であり、これに該当するか否かにより、法の許可又は登録の要否が判断される。
1.利用者からの給付について
(1)収受するものが「反対給付」にあたらない場合
① 利用者から収受するものが謝礼と認められる場合
[判断の考え方]
・社会通念上常識的な範囲での「謝礼」は、運送の対価ではない。運送の提供者が金銭の支払いを求めず、利用者から謝礼として金銭等が支払われたとしても、有償の運送といえず許可又は登録は不要である。
ここで言う「謝礼」とは、交通手段を持たない高齢者を街での買い物に同乗させるといったボランティア・共助へのお礼の気持ち程度のもの(この記述は、謝礼の意味する内容を明確にするための例示であって、当然、謝礼の対象となるのは「高齢者の買い物」の場合に限らない。)を想定している。従って、この謝礼を隠れ蓑にして営利事業を行うことは想定されていない。そうした観点から、以下の場合には謝礼とは認められない。
イ 運送を提供する者が運賃表を定めてそれに従って利用者が金銭を支払う場合
ロ ロ頭・ジェスチャーにより利用者に強く謝礼を促す等、謝礼の名を借りて実質的には運賃を求める態様の場合。なお、後掲のとおり、燃料代等の実費を求めることは可能である。
ハ ウェブサイト等により無償の運送サービスを仲介・紹介するサービスにおいて、謝礼の金額を入力しないとサービスが提供されなかったり、謝礼の有無・金額の多寡により、利用者を選別するなどの取扱いを行う場合
・なお、いわゆる白タク行為による運送に対して、利用者から「謝礼」の名目により金銭等が支払われる場合についても、ここで言う「謝礼」にあたるとの拡大解釈がされるべきではないことは言うまでもない。
② 利用者からの給付が、実費相当分の場合
[判断の考え方]
・運送行為が無償で行われる場合においても、ガソリン代等の「実費」を受け取ることは許される。この場合には許可又は登録は不要である。
・「実費」とは、運送(前後の回送を含む。)に必要なガソリン等の燃料代、道路通行料、駐車場料金、保険料(※)、当該運送を行うために発生した車両借料(レンタカー代)をいう。
※保険料とは、以下の保険に関する保険料を指す。
・ボランティア団体・NPO等による、一回あたり、又は一日あたりの無償運送行為を対象に提供されている保険(当該保険が、年間契約による場合を含む。)。ただし、当該車両にもともと掛けられている自賠責保険・任意保険は対象外。
・レンタカーの借り受けに伴って加入する一時的な保険(免責補償制度(CDW)及び休業補償(NOC))。
・ガソリン代の算出は、一般的には、直近のガソリン価格等を利用して以下の方法により算出することが可能であるが、運送行為が頻繁に行われる場合に、一定の期間において「1kmあたり◯円」などと定めて概算することも、簡易な方法として容認できる。
走行距離(km)÷燃費(km/ℓ)×1ℓあたりのガソリン価格(円/ℓ)
(2)反対給付が「運送」に対するものではない場合の有償性判断
[判断の考え方]
・たとえば宿泊や介護など、提供されるメインのサービスが有償であっても、当該サービスの利用者へ付随的に提供される運送については、運送に特定した反対給付がない場合(送迎利用の有無にかかわらず利用料に差異がない場合)、許可又は登録は不要である。この場合、前掲1(1)②のとおり、燃料代等の実費を求めることは可能である。なお、送迎利用の有無によって利用料に差異を設ける場合の扱いについては、後掲2.を参照。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
① ホテル・旅館等の宿泊施設の利用者を対象とする運送
・宿泊施設が、駅・空港・港等と宿泊施設との間で、無償の運送サービスを行う場合
この場合は無償の運送サービスであるから、利用者の依頼・要望に応じて、送迎途中で商店等に立ち寄ることも差し支えない。また、送迎距離が長距離に及ぶ場合であっても、利用者を対象としたサービスとして社会通念上妥当と考えられる場合は、許可又は登録は不要である。
・ホテル、旅館、農家民泊等が近隣施設や観光スポットヘの運送を無償で行う場合
スキー旅館からゲレンデヘの運送、旅館から海水浴場への運送、宿泊施設からイベント会場への運送など、利用者を対象に無料サービスとして行う近隣施設等への運送は、社会通念上常識的な範囲のものは、許可又は登録は不要である。
② 施設送迎(介護施設、学校その他の施設)の運送
・施設利用自体が有償であったとしても、施設の運営者等が施設利用者の送迎のために付随した運送を行う場合、当該運送に特定した反対給付がなければ、許可又は登録は不要である。なお、この場合も無償の運送サービスであるから、施設利用者の依頼・要望に応じて、送迎途中で商店等に立ち寄ることは差し支えない。
③ 生活支援サービスなどとの一体運送
・通院や買物等に同行する支援、子供の送り届けなどが含まれる「子供の見守り支援」など、提供するサービスに人の運送が付随して行われるものについては、当該サービス自体が有料であったとしても、当該運送に特定した反対給付がない限り、許可又は登録は不要である。なお、生活支援サービスと称していても、提供されるサービスの実態が目的地への運送のみである場合には、許可又は登録を要する。
・子供の塾・習い事・部活動等への無償の送迎を、地域のボランティア・互助活動として組織的に行うことは差し支えないが、地域のタクシー事業者の中には、「子育てを応援するタクシー」として積極的に子供送迎に取り組んでいる事業者もおり、自治体等が関与して利用料を低減させることにより、プロドライバーによるより安全・確実な送迎を実現することも可能である。地域住民へのこうしたサービスの活用促進にも留意されたい。
④ ツアー等のサービス提供事業者が、ツアー参加者を対象に行うサービスに付随した運送
・ダイビング・シュノーケリング等のマリンスポーツやスノーシューツアー等の事業者が、ツアー利用者を近隣の駅・バス停・宿泊施設等からツアー実施場所まで運送するなど、利用者を対象に無料サービスとして行う運送は、社会通念上常識的な範囲のものは、許可又は登録は不要である。
・サイクリングツアー等で、ツアー参加者の突発的な身体的不調や急な天候不良等により、ツアー参加者を伴走車に乗せる場合で、運送に特定した反対給付がない場合は、許可又は登録は不要である。
・ただし、ツアーと称していても、提供されるサービスの実態が、単に目的地への運送のみである場合には、許可又は登録を要する。
⑤ 通訳案内士等による観光ガイド事業との一体運送
・国・地方公共団体及び公益社団法人日本観光振興協会並びに公的機関が認定・付与する資格を有する観光ガイドが、ガイドのために人を運送する場合で、運送に特定した反対給付がない場合は、許可又は登録は不要である。
・ただし、観光ガイドと称していても、提供されるサービスの実態が、当該地域に関する専門的な知識や高度な語学力等に基づくガイドの提供ではなく、単に目的地への運送のみである場合には、許可又は登録を要する。
2.利用者の利用料に差を設ける場合の取扱い
[判断の考え方]
・たとえば、有料の施設利用に付随する運送サービス、宿泊施設における運送サービスや幼稚園等の送迎に係る運送サービスについて、利用者間の公平性を図る観点から、当該運送サービスの利用の有無によって施設の利用料や宿泊料に差を設ける場合には、当該差額が運送サービスに要する実費の範囲内であれば、許可又は登録は不要である。
・この場合の実費については、上記1.(1)②の各費用が対象となることはもちろん、当該車両が、主として送迎を要する利用者のためだけに購入・維持されていることにかんがみ、実費の範囲に、車両償却費、車検料・保険料等の車両維持費を含めることも差し支えない。また、幼稚園等において、「通学通園に係る自家用自動車の有償運送の取扱いについて(平成9年6月17日付自旅第101号)」に基づき許可を受けた場合は、利用者から運行にかかる人件費相当を収受することができる。
・なお、上記のように、公平性の観点から実費の負担を一部の利用者に求めるために利用料に差異を設ける場合には、利用料と運送サービスの実費相当額負担分を明確に分け、必要に応じ利用者等に説明できるようにしておくことが望ましい。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
・介護施設への送迎の利用の有無に応じて、施設の利用料金に差を設ける場合。
・宿泊施設における運送サービスについて、運送サービスの利用の有無によって宿泊料金に差を設ける場合。
・保育園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、専門学校、学童保育、学習塾、インターナショナルスクール、スイミングスクールなどへの通園・通学等に係る運送の利用の有無でこれらの施設に支払う料金に差を設ける場合。なお、保育園・幼稚園等の通園バスには自家用車(白ナンバー)がよく見られる一方、中学校・高等学校などのスクールバスは、道路運送法の貸切許可・特定許可を有する事業者(緑ナンバー)が受託して運行していることが多い。いずれを選択するかは、これら施設の経営判断によるが、利用者の多寡、運行距離の長短及び利用者の特性等に応じ、安全に生徒等を送迎するための手段が適切に選択されるよう、留意されたい。
3.第三者からの給付の取扱い
[判断の考え方]
・運送主体が「利用者以外から収受するもの」は、原則として、「運送サービスの提供に対する反対給付」とは解さず、許可又は登録は不要である。
・ただし、利用者以外の第三者が、利用者に代わって運送主体に対し運送の反対給付を行う場合は、許可又は登録を要する。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
・国・地方公共団体が運送サービスを行うボランティア団体に対し、団体の職員(運転のみを行う職員及び運転・その他の業務も行う職員を含む)の人件費などに充てるものとして、団体の運営に要する費用の補助金を支出する場合。なお、当該運送サービスの提供を受ける利用者に対し、国・地方公共団体が運送利用券を直接又は間接的に給付する場合は、許可又は登録を要する。
・団体運営の支援として個々の運送行為と紐付かない寄付金、協賛金などを第三者から収受する場合は、有償には該当しない。
4.介護保険法等に基づく移動支援等の運送に関する給付の取扱い
[判断の考え方]
・法制度上、運送サービスに対する報酬が支払われていないと扱われるものは、有償の運送には該当しないため許可又は登録は不要である。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
(1)訪問介護における運送
・乗降介助が介護報酬の対象となっている場合でも運送は介護報酬の対象外であり、利用者から運送の反対給付として金銭を収受しない場合は許可又は登録は不要である。障害者総合支援法に基づく居宅介護、行動援護、同行援護、重度訪問介護、重度障害者等包括支援及び地域生活支援事業の移動支援事業において運送を行うことがある場合についても同様である。
(2)介護保険法第115条の45第1項に規定する介護予防・日常生活支援総合事業における訪問型サービスB・D及び同条第2項に規定する一般介護予防事業の一環として行う運送
・本事業として行う運送は、1(2)の③の「提供するサービスに人の運送が付随して行われるもの」に該当するものであり、当該運送に特定した反対給付がない限り、許可又は登録は不要である(なお、委託を受けて通所サービス事業所等への送迎を実施する場合は、同②の取扱いと同じ扱い。)。
・地域支援事業交付金等から補助されるガソリン代等の実費並びにボランティア(運送を行う者を含む。)に対するボランティアポイント及びボランティア奨励金は運送の反対給付とはみなされないため、許可又は登録は不要である。
Ⅲ.その他、運送に関連して金銭授受が行われる場合の取扱い
1.運転役務の提供について報酬が支払われた場合
[判断の考え方]
・他人の車両の運転を委託されて運転役務を提供した場合に、運転役務の委託者から運転役務の提供者に対して当該役務の提供について報酬が支払われたとしても、有償の運送行為にはあたらない。
・ただし、運送の態様又は対象となる旅客の範囲によっては、自動車運転代行業、人材派遣業等とみなされる場合があり、それぞれの関係法令が適用されるため留意が必要。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
・運転役務の提供者が利用者の所有する車両を使用して送迎を行う場合
・企業所有の車両を使用し従業員送迎を行う場合で、運転業務を外部に委託する場合。
●車両提供者が、運転役務提供者に運転をさせて、第三者たる利用者の運送を行う場合の扱い
・車両提供者が利用者から金銭を収受しない場合は、無償運送であるため、許可又は登録を要しない。この場合に、車両提供者が自己の負担で、運転役務提供者に報酬を支払うことは差し支えない。
・車両提供者が利用者からII1.(1)①の謝礼及び②の実費を受け取ることは、無償運送への謝礼及び実費の支払いであるため、差し支えない。
・ただし、運転役務の報酬の名目で、実質的には利用者から運転役務提供者に運送の対価を支払っていると見られる場合(単に車両提供者を介して運送の対価を収受していると見られる場合)には、運転役務提供者と利用者との間で有償運送が行われているといえるため、許可又は登録を要する。
2.仲介手数料の受領及び運送サービス提供者に対する謝礼及び実費の代行受領
(1)運送サービスの仲介者が仲介手数料を受け取る場合
[判断の考え方]
・運送サービスの仲介を依頼した者(運送サービスの提供者及び当該サービスの利用者)から仲介者に対して仲介に関する報酬が支払われたとしても、運送サービスの提供に対する反対給付ではないので、運送が有償で行われたことにはならない。
・ただし、仲介の態様によっては、旅行業等とみなされる場合があり、それぞれの関係法令が適用されるため留意が必要。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
・仲介者が、自家用自動車を用いて運送サービスを行う者と当該サービスを利用する者を仲介する場合において、運送主体ではない仲介者がそのいずれか又は双方から仲介手数料を収受しても差し支えない。
(2)運送サービスの仲介者が運送サービスの提供者の受領すべき謝礼及び実費を代行受領する場合
[判断の考え方]
・運送サービスの仲介者が利用者から謝礼及び実費を代行受領し、運送サービスの提供者に支払うことは差し支えない。
・ただし、運送サービスの提供者が、名目・支払方法の如何を問わず、仲介者あるいは仲介者以外の第三者を通じて謝礼及び実費を超える金銭等を収受することにより、運送の対価を収受したとみられる場合には、有償の運送行為として、許可又は登録を要する。また、仲介者が、運送サービスの提供者に対して、仲介手数料等からキックバックするなど、謝礼及び実費を超える金額が運送の対価とみられる場合には、有償の運送行為として、許可又は登録を要する。いずれにせよ、仲介サービスを隠れ蓑にして有償運送をすることは認められない。
3.NPO法人等が同法人の職員等に対して報酬を支払う場合
[判断の考え方]
・NPO法人等が、同法人の管理下にある運転手(職員、登録ボランティア等)に対して、NPO法人等からの指示に応じて第三者を無償で運送し、当該業務を遂行したことに対して報酬が支払われたとしても、「運送サービスの提供に対する反対給付」にはならない。
[法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
・NPO法人が同法人の職員に指示して運送させた場合に、当該職員に支払う報酬の名目が「送迎手当」等である場合
・登録ボランティアがNPO法人等の指示に基づき、自己の車両を用いて無償運送を行う場合、運送の主体はNPO法人等であって、NPO法人等が利用者から謝礼及び実費を収受することはもちろん、ボランティア輸送に協力してもらった謝礼・報酬等として、金銭等を運転者に与えることは差し支えない。なお、ここで授受される「謝礼・報酬等」は、運送主体と利用者の間で授受されるものではないので、1.(1)①及び②の謝礼、実費とは関係がなく、NPO法人等において任意に決定できるものである。
4.自治会等の活動として、会員向け運送サービスを行う場合
[判断の考え方]
・市町村社会福祉協議会、地区社会福祉協議会・自治会・町内会・まちづくり協議会・マンション管理組合・老人クラブ等の地縁団体(以下「自治会等」という。)の活動において、会員が負担する会費で運送サービスを提供しても差し支えない。この場合、会費で車両を調達することや、会費から当該サービスを提供するための運転者に対して報酬を支払っても差し支えない。
・自治会等において、公平性を図る観点から運送サービスの利用の有無に応じて会費に差を設けることも、当該差額が運送サービスに要する実費の範囲内であれば、許可又は登録は不要である。
・この場合の実費の考え方は、前記Ⅱ2.(利用者の利用料に差を設ける場合の取扱い)のとおりである。